(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149685
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
H01L21/78 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051949
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 崇史
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA02
5F063AA48
5F063BA33
5F063BA34
5F063BA43
5F063BA45
5F063DD18
5F063DE06
5F063DE12
5F063DE17
5F063DE23
5F063DE33
(57)【要約】
【課題】撮像ユニットの視野に収まらない撮像対象を有する被加工物でも、撮像ユニットのレンズを交換せずに、撮像対象の登録処理の実行を可能にする加工装置を提供すること。
【解決手段】加工装置1は、被加工物100を保持する保持テーブル10と、被加工物100を加工する加工ユニット20と、被加工物100を撮像する撮像ユニット40と、撮像された画像を表示する表示ユニット50と、制御ユニット60と、を備える。加工装置1の制御ユニット60は、撮像ユニット40によって撮像された隣接する複数の領域の画像を合体させ、撮像ユニット40の視野よりも広い領域を示す広域画像として表示ユニット50に表示する広域画像表示部61と、広域画像において特定されたデバイス103の任意のパターンを、分割予定ライン102を検出するターゲット110として登録するターゲット登録部62と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の分割予定ラインによって区画された複数のデバイスを有する被加工物を該分割予定ラインに沿って加工する加工装置であって、
被加工物を保持する保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、
該保持テーブルに保持された被加工物を撮像する撮像ユニットと、
撮像された画像を表示する表示ユニットと、
制御ユニットと、を備え、
該制御ユニットは、
該撮像ユニットによって撮像された隣接する複数の領域の画像を合体させ、該撮像ユニットの視野よりも広い領域を示す広域画像として該表示ユニットに表示する広域画像表示部と、
該広域画像において特定された該デバイスの任意のパターンを、該分割予定ラインを検出するターゲットとして登録するターゲット登録部と、
を有することを特徴とする加工装置。
【請求項2】
該広域画像は、該分割予定ラインを含んで形成され、
該制御ユニットは、
該広域画像において選択された該分割予定ラインの位置を加工予定位置として登録する分割予定ライン登録部、
を有することを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
該広域画像は、加工後の加工溝を含んで形成され、
該制御ユニットは、該加工溝の品質を確認するカーフチェックを実施する際に、該表示ユニットに該広域画像を表示する事を特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物を分割予定ラインに沿って加工する加工装置では、加工溝の形成後には、加工溝を撮像し、加工溝の状態や位置を確認するカーフチェックと呼ばれる動作を行っている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加工溝が撮像ユニットの視野に収まらない広い幅を有する場合、カーフチェック時に加工溝の幅方向の両端が同時に表示されないので、カット位置ずれが発生していて補正が必要だとしてもオペレータが認識できない恐れがあった。そこで、このような被加工物を加工する場合には、あらかじめ撮像ユニットのレンズを低倍率のレンズに交換し、加工溝の両端が視野範囲に収まるようにして対応していた。しかし、一つの被加工物に合わせて撮像ユニットのレンズを低倍に変更すると、多品種の被加工物を加工する場合、他品種の被加工物のカーフチェックの精度まで低下させてしまう問題があった。
【0005】
また、被加工物を分割予定ラインに沿って加工する加工装置では、被加工物の表面に形成されているデバイスのパターンのうち、特徴的なパターンをターゲットとし、このターゲットと分割予定ラインとの距離を事前に登録するティーチと呼ばれる動作を行い、実際の加工時には分割予定ラインの位置を自動で検出するアライメントと呼ばれる動作を行っている。分割予定ラインが撮像ユニットの視野に収まらない広い幅を有する場合、ティーチ時に分割予定ラインの両端が同時に表示されないので、分割予定ラインの位置をオペレータが認識できず誤登録してしまう恐れがあった。またアライメントに適したターゲットが撮像ユニットの視野に収まらない場合も、撮像ユニットの視野に収まる範囲をターゲットとして登録するとアライメント時に誤認識が起こり誤った位置をカットしてしまう恐れがあった。そこで、このような場合にも、撮像ユニットのレンズを低倍率のレンズに交換し視野範囲に収まるようにして対応すると、多品種の被加工物を加工する場合、他ワークのティーチやアライメントの精度まで低下させてしまう問題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、撮像ユニットの視野に収まらない撮像対象を有する被加工物でも、撮像ユニットのレンズを交換せずに、撮像対象の登録処理の実行を可能にする加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置は、表面に複数の分割予定ラインによって区画された複数のデバイスを有する被加工物を該分割予定ラインに沿って加工する加工装置であって、被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットと、該保持テーブルに保持された被加工物を撮像する撮像ユニットと、撮像された画像を表示する表示ユニットと、制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該撮像ユニットによって撮像された隣接する複数の領域の画像を合体させ、該撮像ユニットの視野よりも広い領域を示す広域画像として該表示ユニットに表示する広域画像表示部と、該広域画像において特定された該デバイスの任意のパターンを、該分割予定ラインを検出するターゲットとして登録するターゲット登録部と、を有することを特徴とする加工装置。
【0008】
該広域画像は、該分割予定ラインを含んで形成され、該制御ユニットは、該広域画像において選択された該分割予定ラインの位置を加工予定位置として登録する分割予定ライン登録部、を有していてもよい。
【0009】
該広域画像は、加工後の加工溝を含んで形成され、該制御ユニットは、該加工溝の品質を確認するカーフチェックを実施する際に、該表示ユニットに該広域画像を表示してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、撮像ユニットの視野に収まらない撮像対象を有する被加工物でも、撮像ユニットのレンズを交換せずに、撮像対象の登録処理の実行を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る加工装置が加工する加工対象である被加工物の要部を示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る加工装置がターゲットの登録の際に表示する画面の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る加工装置がターゲットの登録の際に表示する画像及び広域画像の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る加工装置が分割予定ラインの登録の際に表示する画面の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る加工装置が分割予定ラインの登録の際に表示する画像及び広域画像の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る加工装置がカーフチェックを実行する加工溝を表示する画面の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態1に係る加工装置が表示する加工溝の画像及び広域画像の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る加工装置の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0013】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工装置1を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る加工装置1の構成例を示す斜視図である。
図2は、実施形態1に係る加工装置1が加工する加工対象である被加工物100の要部を示す平面図である。加工装置1は、
図1に示すように、保持テーブル10と、加工ユニット20と、X軸移動ユニット31と、Y軸移動ユニット32と、Z軸移動ユニット33と、撮像ユニット40と、表示ユニット50と、報知ユニット55と、制御ユニット60と、を備える。
【0014】
実施形態1に係る加工装置1が加工する加工対象である被加工物100は、実施形態1では、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどである。被加工物100は、
図1に示すように、平坦な表面101において、第1の方向と、第1の方向と交差する第2の方向とに沿ってそれぞれ形成された複数の分割予定ライン102によって区画された領域にチップサイズのデバイス103が形成されている。被加工物100は、実施形態1では、さらに、第1の方向と第2の方向とが互いに直交して、複数の分割予定ライン102が格子状に形成されているが、本発明ではこれに限定されない。分割予定ライン102の幅は、実施形態1では、撮像ユニット40の視野範囲の領域の幅よりも大きい。被加工物100は、実施形態1では、表面101の裏側の裏面104に粘着テープ105が貼着され、粘着テープ105の外縁部に環状フレーム106が装着されているが、本発明ではこれに限定されない。また、被加工物100は、本発明では、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0015】
被加工物100の各デバイス103は、実施形態1では、
図2に示すように、ターゲット110が形成されている。ターゲット110は、本発明に係るデバイス103の任意のパターンの一例であり、特徴的な形状を有し、撮像ユニット40で撮像した画像201(
図4参照)で検出して特定することができる平面形及び色のキーパターンとなるものである。ターゲット110は、当該ターゲット110が形成されたデバイス103を囲む各分割予定ライン102からそれぞれ所定の距離だけ離れた位置に形成されており、分割予定ライン102を検出する目印となる。ターゲット110は、
図2に示す例では、第1の方向(
図2の横方向)に沿った分割予定ライン102の幅方向の中央を通る中央線から第2の方向(
図2の縦方向)に距離111だけ離れた位置に形成されている。ターゲット110は、実施形態1では、撮像ユニット40の視野範囲の領域よりも大きい。
【0016】
保持テーブル10は、凹部が形成された円盤状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の吸着部と、を備える。保持テーブル10の吸着部は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から形成され、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。保持テーブル10の吸着部の上面は、被加工物100が載置されて、載置された被加工物100を吸引保持する保持面11である。保持面11は、実施形態1では、被加工物100が表面101を上方に向けて載置され、載置された被加工物100を裏面104側から粘着テープ105を介して吸引保持する。保持面11と保持テーブル10の枠体の上面とは、同一平面上に配置されており、水平面に平行なXY平面に沿って形成される。保持テーブル10は、不図示の回転駆動源により鉛直方向に平行でかつXY平面に直交するZ軸回りに回転自在に設けられている。
【0017】
加工ユニット20は、実施形態1では、
図1に示すように、スピンドルの先端に装着された切削ブレード21を有する切削ユニットである。加工ユニット20は、スピンドルにより水平方向と平行でかつX軸方向と直交するY軸方向と平行な軸心周りの回転動作が加えられた切削ブレード21で、保持テーブル10の保持面11で保持された被加工物100を切削する。
【0018】
X軸移動ユニット31は、X軸方向に沿って、保持テーブル10を加工ユニット20に対して相対的に移動させる。Y軸移動ユニット32は、Y軸方向に沿って、加工ユニット20を保持テーブル10に対して相対的に移動させる。Z軸移動ユニット33は、Z軸方向に沿って、加工ユニット20を保持テーブル10に対して相対的に移動させる。X軸移動ユニット31は、保持テーブル10のX軸方向の位置を検出する不図示のX軸位置検出部を有し、X軸位置検出部で検出した保持テーブル10のX軸方向の位置を制御ユニット60に出力する。Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33は、それぞれ、加工ユニット20のY軸方向及びZ軸方向の位置を検出する不図示のY軸位置検出部及びZ軸位置検出部を有し、Y軸位置検出部及びZ軸位置検出部で検出した加工ユニット20のY軸方向及びZ軸方向の位置を制御ユニット60に出力する。
【0019】
加工装置1は、加工ユニット20の切削ブレード21を回転させながら、X軸移動ユニット31、Y軸移動ユニット32及びZ軸移動ユニット33により、回転中の切削ブレード21を、保持テーブル10上の被加工物100に切り込ませて、被加工物100に対して相対的に、切削加工前に実行したアライメントで後述する分割予定ライン登録部63が加工予定位置として登録した分割予定ライン102に沿って移動させることにより、回転中の切削ブレード21で被加工物100を分割予定ライン102に沿って切削加工して、分割予定ライン102に沿って加工溝(切削溝)120を形成する。加工溝120の幅は、実施形態1では、撮像ユニット40の視野範囲の領域の幅よりも大きい。
【0020】
撮像ユニット40は、加工前の被加工物100の分割予定ライン102やターゲット110を含む表面101や、加工後の被加工物100に形成された加工溝120を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子である。撮像ユニット40は、不図示の対物レンズ等の光学系に基づく所定の倍率で、撮像素子及び不図示の光学系に基づく所定の面積の視野範囲の領域を撮像して、当該領域の画像を取得する。撮像ユニット40は、例えば顕微鏡である。撮像ユニット40は、実施形態1では、加工ユニット20と一体的に移動するように、加工ユニット20に固定されて設けられている。
【0021】
撮像ユニット40は、保持テーブル10に保持された加工前の被加工物100を撮像して、ターゲット110の画像と、ターゲット110から分割予定ライン102までの距離111と、を事前に登録するティーチを実行し、被加工物100と加工ユニット20の切削ブレード21との位置合わせを行うアライメントを実行するためのターゲット110や分割予定ライン102の画像を得、得た画像を制御ユニット60に出力する。また、撮像ユニット40は、保持テーブル10に保持された加工中または加工後の被加工物100を撮像して、加工溝120の品質を自動的に確認するカーフチェックを実行するための画像を得、得た画像を制御ユニット60に出力する。
【0022】
表示ユニット50は、加工装置1の不図示のカバーに、表示面側を外側に向けて設けられている。表示ユニット50は、加工装置1の切削条件や撮像ユニット40の撮像条件、ティーチやアライメント、カーフチェック等の各種条件の設定の画面や、撮像ユニット40により撮像されたティーチやアライメント、カーフチェックを実行するための画像、広域画像表示部61によりそれらの画像を合体させて生成した広域画像、画像や広域画像を含む画面、カーフチェックによる加工溝120の検査結果等をオペレータに視認可能に表示する。表示ユニット50は、液晶表示装置等により構成される。表示ユニット50は、オペレータが加工装置1の上記した各種条件に関する情報や画像の表示に関する情報等を入力する際に使用する入力ユニット51が設けられている。表示ユニット50に設けられた入力ユニット51は、表示ユニット50に設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0023】
報知ユニット55は、加工装置1の不図示のカバーの上方に設けられている。報知ユニット55は、実施形態1では、発光ダイオードなどで構成される発光ユニットであり、発光ユニットの点灯や点滅や光の色彩等により、カーフチェックによる加工溝120の検査結果等をオペレータに認識可能に報知する。なお、報知ユニット55は、本発明では発光ユニットに限定されず、スピーカなどで構成され音声を発信する音声ユニットであり、音声ユニットの音声により、カーフチェックによる加工溝120の検査結果等をオペレータに認識可能に報知してもよい。
【0024】
加工装置1は、有線または無線で、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス、コンピュータなどの情報機器に接続されている場合、当該情報機器の表示部を本発明に係る表示ユニットとして機能させてもよい。すなわち、加工装置1は、有線または無線接続された情報機器の表示部に、上記した種々の画像や広域画像や画面や検査結果等をオペレータに視認可能に表示してもよい。
【0025】
制御ユニット60は、加工装置1の各構成要素の動作を制御して、被加工物100の切削加工処理を加工装置1に実施させる。制御ユニット60は、保持テーブル10の保持面11で保持された被加工物100の表面101上の任意の位置を、この保持テーブル10の保持面11上に設定したXY平面座標で処理する。加工装置1では、チャンネル1(CH1)とチャンネル2(CH2)との2種類が設定でき、チャンネル1(CH1)に設定した場合では、被加工物100は第1の方向及び第2の方向がそれぞれX軸方向及びY軸方向と一致するように保持テーブル10の保持面11で保持され、被加工物100の表面101上の第1の方向及び第2の方向の座標がそれぞれX座標及びY座標で表されて処理され、チャンネル2(CH2)に設定した場合では、被加工物100は第2の方向及び第1の方向がそれぞれX軸方向及びY軸方向と一致するように保持テーブル10の保持面11で保持され、被加工物100の表面101上の第2の方向及び第1の方向の座標がそれぞれX座標及びY座標で表されて処理される。
【0026】
制御ユニット60は、撮像ユニット40で保持テーブル10の保持面11で保持された被加工物100の表面101上の任意の視野範囲の領域を撮像する際に、X軸位置検出部及びY軸位置検出部で検出した保持テーブル10のX軸方向の位置及び加工ユニット20のY軸方向の位置に基づいて、撮像ユニット40で撮像する視野範囲の領域の中央の位置を示すXY座標の情報を取得する。制御ユニット60は、加工ユニット20の切削ブレード21で保持テーブル10の保持面11で保持された被加工物100を切削加工する際に、X軸位置検出部及びY軸位置検出部で検出した保持テーブル10のX軸方向の位置及び加工ユニット20のY軸方向の位置に基づいて、切削ブレード21で切削加工する位置を示すXY座標の情報を取得する。制御ユニット60は、切削ブレード21で切削加工する予定の加工予定位置がXY座標で登録されると、この登録されたXY座標に基づいて加工予定位置を切削ブレード21で切削加工することが可能となる。
【0027】
制御ユニット60は、X軸移動ユニット31及びY軸移動ユニット32により、保持テーブル10に保持された加工前の被加工物100に対して相対的に撮像ユニット40を移動させることにより、撮像ユニット40で被加工物100の表面101上の所定の領域を走査する。制御ユニット60は、撮像ユニット40で被加工物100の表面101の複数の視野範囲の領域を走査しながら連続的に撮像して、隣接する複数の領域の画像を取得する。制御ユニット60は、取得した画像に、画像を取得した際の撮像ユニット40の視野範囲の領域の中央の位置を示すXY座標を関連付ける。ここで、隣接する2つの領域は、実施形態1では、一方の領域の一端と他方の領域の一端とが一致することを指しているが、本発明ではこれに限定されず、一方の領域の一端側の部分と、他方の領域の一端側の部分とが重なっていてもよい。
【0028】
制御ユニット60は、
図1に示すように、広域画像表示部61と、ターゲット登録部62と、分割予定ライン登録部63と、を有する。広域画像表示部61は、撮像ユニット40によって撮像された隣接する複数の領域の画像をそれぞれ合体させて、撮像ユニット40の視野よりも広い領域を示す広域画像を生成し、生成した広域画像を表示ユニット50に表示する。
【0029】
広域画像表示部61は、複数の画像にそれぞれ関連付けられたXY座標に基づいて、領域が互いに隣接している画像を抽出し、抽出した画像を繋げ合わせて合体させることにより、撮像ユニット40の視野範囲よりも広い領域を示す広域画像を生成する。広域画像表示部61は、生成した広域画像を表示ユニット50に表示する。
【0030】
ターゲット登録部62は、広域画像211において特定されたデバイス103のターゲット110を、分割予定ライン102を検出するためのターゲット110として登録する。分割予定ライン登録部63は、広域画像212において選択された分割予定ライン102の位置を、切削ブレード21で切削加工する予定の加工予定位置として登録する。
【0031】
制御ユニット60は、実施形態1では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット60が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット60の演算処理装置は、制御ユニット60の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、加工装置1を制御するための制御信号を、制御ユニット60の入出力インターフェース装置を介して加工装置1の各構成要素に出力する。
【0032】
広域画像表示部61の機能は、実施形態1では、制御ユニット60の演算処理装置が記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより実現される。ターゲット登録部62及び分割予定ライン登録部63の機能は、実施形態1では、制御ユニット60の記憶装置により実現される。
【0033】
加工装置1は、
図1に示すように、さらに、カセット載置台81と、洗浄ユニット82と、一対のレール83と、不図示の搬送ユニットとを備える。カセット載置台81は、複数の被加工物100を収容するための収容器であるカセット85を載置する載置台であり、載置されたカセット85をZ軸方向に昇降させる。洗浄ユニット82は、切削加工後の被加工物100を洗浄し、被加工物100に付着した切削屑等の異物を除去する。不図示の搬送ユニットは、保持テーブル10と、洗浄ユニット82と、一対のレール83と、カセット85とのそれぞれの間で、被加工物100を搬送する。
【0034】
次に、本明細書は、実施形態1に係る加工装置1が実行するティーチ、アライメント及びカーフチェックの例を説明する。加工装置1は、ティーチにおいて、制御ユニット60のターゲット登録部62がターゲット110の画像を登録し、制御ユニット60の分割予定ライン登録部63が第1のターゲット110から第1のターゲット110に最も近い第1の方向に沿った分割予定ライン102までの距離111を登録し、さらに保持テーブル10を90度回転させて、ターゲット登録部62がターゲット110とは別または同じ第2のターゲットを登録し、分割予定ライン登録部63が第2のターゲットから第2のターゲットに最も近い第2の方向に沿った分割予定ライン102までの距離を登録する。加工装置1は、アライメントにおいて、ティーチでターゲット登録部62及び分割予定ライン登録部63が登録した情報を適宜参照して、制御ユニット60が、切削ブレード21で切削加工する予定の分割予定ライン102の位置を加工予定位置として検出する。さらに、加工装置1は、カーフチェックの頻度を登録し、設定されたタイミングに該当する加工溝120を撮像し、加工溝120の品質を自動的に確認する。
【0035】
(加工装置のティーチにおけるターゲットの登録の例)
実施形態1に係る加工装置1がティーチにおいて実行するターゲット110の登録の例を説明する。
図3は、実施形態1に係る加工装置1がターゲット110の登録の際に表示する画面の一例を説明するための図である。
図4は、実施形態1に係る加工装置1がターゲット110の登録の際に表示する画像及び広域画像の一例を説明するための図である。
【0036】
加工装置1の制御ユニット60は、ターゲット110を登録するために、ターゲット110の登録に関する種々の入力を受け付けるターゲット登録用の画面301(
図3参照)の画像表示領域310(
図3参照)に表示する表示画像がちょうどターゲット110の全体を表示するように、表示画像の表示領域を調整する処理を実行する。加工装置1の制御ユニット60は、表示領域を調整する処理の後、画面301において画像表示領域310の表示画像に表示されたターゲット110の画像を登録する処理を実行する。
【0037】
加工装置1の制御ユニット60は、実施形態1では、まず、初期設定に設定された表示領域の画像を画像表示領域310に表示する。なお、実施形態1において、初期設定は撮像ユニット40の1視野となっているため、ターゲット110のサイズが撮像ユニット40の視野に収まらず、
図3に示す画像表示領域310の画像は、ターゲット110の一部を表示する状態になっている。制御ユニット60は、実施形態1では、ターゲット登録用の画面301における初期設定の表示領域2011を撮像ユニット40の視野範囲と同じに設定しているが、本発明ではこれに限定されず、画面301における初期設定の表示領域を撮像ユニット40の視野範囲より広くしたり狭くしたり設定してもよい。
【0038】
ターゲット登録用の画面301には、
図3に示す例では、表示画像を表示する画像表示領域310を有し、表示画像の視野範囲を拡大または縮小する表示領域設定ボタン311と、表示領域移動ボタン312と、モード切替ボタン313と、登録ボタン314とが表示されている。
【0039】
表示領域設定ボタン311は、画像表示領域310に表示する表示画像の表示領域の広さの設定入力を受け付けるボタンである。表示領域設定ボタン311は、実施形態1では、
図3に示すように、表示領域を拡大する旨の入力を受け付ける拡大ボタンと、表示領域を縮小する旨の入力を受け付ける縮小ボタンとを有する。また、表示領域設定ボタン311のすぐ近く(下方)には、表示領域の広さが例えば撮像ユニット40の視野範囲に対比づけて表示されている。
【0040】
表示領域移動ボタン312は、表示領域の移動の入力を受け付けるボタンである。表示領域移動ボタン312は、実施形態1では、
図3に示すように、表示領域を上、下、左、右にそれぞれ移動させる旨の入力を受け付ける各方向の移動ボタンを有する。モード切替ボタン313は、表示領域を調整する表示領域調整モードと、表示画像上においてターゲット110の登録範囲を設定する登録範囲設定モードとを切替えるボタンである。登録ボタン314は、ターゲット110の登録の入力を受け付けるボタンである。
【0041】
表示領域の広さの変更は、実施形態1では、オペレータが表示領域設定ボタン311の拡大ボタンや縮小ボタンを選択することにより実行される。なお、表示領域の広さの変更は、本発明ではこれに限定されず、例えば、画像表示領域310に表示する表示画像上でのピンチアウト操作の入力を受け付けることにより表示領域の広さを拡大し、表示画像上でのピンチイン操作の入力を受け付けることにより表示領域の広さを縮小してもよいし、オペレータからの表示領域の広さの数値等の入力を受け付けることにより行ってもよい。
【0042】
制御ユニット60は、例えば、
図4に示すように、画像表示領域310に表示する表示画像の表示領域が、撮像ユニット40の1つ分の視野範囲(横1倍×縦1倍)から9つ分の視野範囲(横3倍×縦3倍)に拡大される旨の入力を受け付けると、もともと表示していた視野範囲と隣接する領域を撮像し、複数の画像を合体させて新たな表示領域2012を示す広域画像211を生成し、画像表示領域310に表示する。
【0043】
画像表示領域310に表示する表示画像の表示領域の移動は、実施形態1では、オペレータが表示領域移動ボタン312の各方向の移動ボタンを選択することにより実行される。オペレータは、画像表示領域310に表示されている表示画像を見ながら、表示領域を所望の領域に移動させることができる。なお、画像表示領域310に表示する表示画像の表示領域の移動は、本発明ではこれに限定されず、例えば、画像表示領域310に表示されている表示画像上でのスワイプ操作の入力を受け付けることによってもよいし、オペレータからの表示領域の移動量の数値等の入力を受け付けることにより行ってもよい。
【0044】
表示領域の変更は、
図4の左下に示すように、1つのターゲット110の全体を表示する表示領域2013となるまで、繰り返し行われる。なお、制御ユニット60の広域画像表示部61は、実施形態1では表示領域の変更に応じて新たな視野範囲を撮像して画像201を取得し広域画像211を生成して表示しているが、本発明ではこれに限定されず、表示領域が変更される前に、撮像ユニット40の視野範囲よりも十分に広い範囲を撮像して得られた複数枚の画像201を合体させて、撮像ユニット40の視野範囲よりも十分に広い範囲の広域画像211を予め生成しておき、表示領域の変更に応じて画像表示領域310に表示する表示領域を変更させてもよい。
【0045】
また、制御ユニット60の広域画像表示部61は、表示領域が撮像した複数の視野範囲の領域を超える領域に変更された場合、撮像ユニット40で当該超えた領域の画像201を新たに撮像して、この新たに撮像した画像201を合体させて新たな広域画像211を生成して表示してもよいし、当該超えた領域を黒色表示とした広域画像211を生成して表示してもよい。
【0046】
画面301において表示領域が表示領域2013に設定されて、表示画像がちょうど1つのターゲット110の全体を表示するように表示領域が調整されると、モード切替ボタン313が選択されることにより、画面301が表示領域調整モードから登録範囲設定モードに切替えられる。制御ユニット60の広域画像表示部61は、画面301が表示領域調整モードから登録範囲設定モードに切替えられることに応じて、
図4の右下に示すように、画像表示領域310に表示する表示画像上に登録範囲枠321を表示する。なお、ターゲット登録用の画面301は、モード切り替えボタン313を備えず、登録範囲枠321が画像表示領域310に表示される表示画像上に常に表示され、表示領域を調整しているシーンでも登録ボタン314が常に表示されていても良い。
【0047】
登録範囲枠321は、
図3に示す画面301の例では、
図4の右下に示すように、長方形状の破線の枠である。登録範囲枠321の枠内の範囲の変更は、登録範囲枠321の枠線上(辺上)でのドラッグ操作の入力を受け付けることにより行われる。制御ユニット60の広域画像表示部61は、登録範囲枠321の枠内の範囲を変更する旨の入力を受け付けると、範囲を変更した新たな登録範囲枠321を画像表示領域310に表示する表示画像上に表示する。制御ユニット60は、登録範囲枠321の枠内の範囲を変更する旨の入力を受け付けなくなるまで、この処理を繰り返す。
【0048】
制御ユニット60のターゲット登録部62は、登録範囲枠321の枠内の範囲を変更する旨の入力を受け付けなくなり、登録ボタン314の選択を受け付けると、画像表示領域310に表示する表示画像において登録範囲枠321により特定された枠内の範囲をターゲット110の画像として登録し、ターゲット110の画像の登録とともに、ターゲット110の画像に含まれるターゲット110の平面形及び色等の情報も合わせて登録し、さらに、登録範囲枠321の中央のXY座標をターゲット110の位置として登録する。
【0049】
(加工装置のティーチにおける分割予定ラインの登録の例)
実施形態1に係る加工装置1がティーチにおいて実行する分割予定ライン102の登録の例を説明する。
図5は、実施形態1に係る加工装置1が分割予定ライン102の登録の際に表示する画面の一例を説明するための図である。
図6は、実施形態1に係る加工装置1が分割予定ライン102の登録の際に表示する画像及び広域画像の一例を説明するための図である。
【0050】
加工装置1の制御ユニット60は、ターゲット110の登録の例と同様に、ターゲット110に最も近い第1の方向に沿った分割予定ライン102と第2のターゲットに最も近い第2の方向に沿った分割予定ライン102とを登録するために、分割予定ライン102の登録に関する種々の入力を受け付ける分割予定ライン登録用の画面302(
図5参照)の画像表示領域310(
図5参照)に表示する表示画像が分割予定ライン102の幅方向の両端を表示し、なおかつ、表示画像の中央線と分割予定ライン102の中央線とが一致するように、表示画像の表示領域を調整する処理を実行する。加工装置1の制御ユニット60は、ターゲット110の登録の例と同様に、表示領域を調整する処理の後、画面302において画像表示領域310の表示画像に表示された分割予定ライン102の画像を登録する処理を実行する。
【0051】
なお、本明細書では、登録されたターゲット110に最も近い第1の方向に沿った分割予定ライン102の登録の例を説明するが、登録された第2のターゲットに最も近い第2の方向に沿った分割予定ライン102の登録の例も、分割予定ライン102の延びる方向以外の点では同様である。
【0052】
分割予定ライン102の登録では、ターゲット110の登録において、表示ユニット50に表示する対象が分割予定ライン102を含む領域に変更されたものであり、その他の点ではターゲット110の登録と同様である。分割予定ライン登録用の画面302は、
図5に示すように、ターゲット登録用の画面301において、表示画像が分割予定ライン102を含む画像(画像202、広域画像212(
図6参照))に変更され、画面302上の表示が一部変更されたものである。なお、実施形態1において、分割予定ライン102の幅方向の両端が撮像ユニット40の視野に収まらないため、初期設定では、
図5で表示される画像表示領域310に表示されている画像は、分割予定ライン102の一部が表示されている画像となっている。
【0053】
図6に示すように、画面302において表示画像が分割予定ライン102の幅方向の両端を表示し、なおかつ、表示画像の中央線と分割予定ライン102の中央線とが一致するように調整されると、モード切替ボタン313が選択されることにより、画面302が表示領域調整モードから登録範囲設定モードに切替えられる。制御ユニット60の広域画像表示部61は、画像表示領域310に表示する表示画像上に登録範囲枠322及び中央線323を表示する。なお、分割予定ライン登録用の画面302は、モード切り替えボタン313を備えず、登録範囲枠322及び中央線323が画像表示領域310に表示される表示画像上に常に表示され、表示領域を調整しているシーンでも登録ボタン314が常に表示されていても良い。
【0054】
登録範囲枠322は、
図5に示す画面302の例では、
図6の右下に示すように、一対の直線状の破線である。中央線323は、
図5に示す画面302の例では、登録範囲枠322の一対の直線状の破線の中央に一点鎖線で表示される。制御ユニット60の広域画像表示部61は、中央線323を画像表示領域310に表示する表示画像の中央に固定して表示し、登録範囲枠322を表示画像において中央線323に対して線対称になるように表示する。登録範囲枠322の間の範囲の変更は、
図5に示す画面302の例では、登録範囲枠322の一方の直線上での直線に交差する方向へのドラッグ操作の入力を受け付けることにより行われる。
【0055】
制御ユニット60の分割予定ライン登録部63は、登録範囲枠322の間の範囲を変更する旨の入力を受け付けなくなり、登録ボタン314の選択を受け付けると、画像表示領域310に表示する表示画像において登録範囲枠322により特定された間の範囲を分割予定ライン102の画像として登録し、中央線323のY座標(分割予定ライン102の延びる方向に直交する座標)をこの分割予定ライン102の位置として登録する。
【0056】
制御ユニット60は、分割予定ライン登録部63による第1の方向の分割予定ライン102の位置の登録後に、ターゲット登録部62が登録したターゲット110の位置を表すY座標と、分割予定ライン登録部63が登録した第1の方向の分割予定ライン102の位置を表すY座標との差分に基づき、ターゲット110と第1の方向に沿った分割予定ライン102の中央線との間の第2の方向の距離111を算出する。制御ユニット60のターゲット登録部62は、この算出した距離111をターゲット110に関する情報の1つとして登録する。
【0057】
制御ユニット60は、ターゲット110の画像と、ターゲット110から第1の方向の分割予定ライン102までの距離111を登録した後に、保持テーブル10を90度回転させ、同じ手順で、第2のターゲットの画像と、第2のターゲットから第2の方向の分割予定ライン102までの距離を登録する。
【0058】
実施形態1に係る加工装置1が被加工物100のアライメントにおいて実行する分割予定ライン102の登録の例を説明する。加工装置1の制御ユニット60は、まず、撮像ユニット40の1つの視野範囲に該当する画像を取得し、例えば所定のパターンマッチングを行って、先に実行したティーチでターゲット登録部62が登録したターゲット110となる広域画像211の中に、アライメント時に撮像した画像が含まれるかを検出し、新たな被加工物100のターゲット110の位置を取得する。制御ユニット60は、新たな被加工物100のターゲット110の位置を取得した後、この新たな被加工物100のターゲット110の位置と、先に実行したティーチでターゲット登録部62が登録した距離111とに基づいて、新たな被加工物100のターゲット110に最も近い第1の方向の分割予定ライン102の位置を算出し、分割予定ライン登録部63がこの位置を新たな被加工物100の加工予定位置として登録する。制御ユニット60は、第2の方向の分割予定ライン102についても同様にして、分割予定ライン登録部63が新たな被加工物100の加工予定位置として登録する。制御ユニット60は、検出した加工予定位置を基準に登録されたインデックス幅で保持テーブル10と切削ブレード21とをY軸方向に割り出し送りしながら全ての分割予定ライン102を切削する。
【0059】
(加工装置が実行するカーフチェックの例)
実施形態1に係る加工装置1が実行するカーフチェックの例を説明する。
図7は、実施形態1に係る加工装置1がカーフチェックを実行する加工溝120を表示する画面の一例を説明するための図である。
図8は、実施形態1に係る加工装置1が表示する加工溝120の画像及び広域画像の一例を説明するための図である。
【0060】
加工装置1の制御ユニット60は、カーフチェックを被加工物100の加工中に所定のタイミングで実施し、
図7及び
図8に示すように、分割予定ライン102の位置を登録する際に使用した広域画像212と同じ視野範囲で、加工溝120の幅方向の両端を含む広域画像213を生成し、広域画像213を画像表示領域310に表示した画面303を表示ユニット50に表示する。
【0061】
また、制御ユニット60は、加工溝120と、撮像ユニット40が認識する切削予定ラインであるヘアラインとが閾値以上ずれた場合、エラーを出す。オペレータは、加工溝120と、加工溝120を含む画像に重ねて表示されているヘアラインとを合わせる処理を行い、撮像ユニット40と、切削ブレード21との位置関係を補正する。このとき、
図8に示すように、表示画像が加工溝120の幅方向の両端を含むように広域画像213で表示されているためヘアラインを合わせる処理を行い易い。
【0062】
また、制御ユニット60は、登録された加工溝120を含む広域画像213を構成する元の画像203に基づいて、加工溝120の両端の情報が不要な各チェック項目、例えば、チッピング幅、カーフ端からのMaxチッピング幅等を検出する。そして、制御ユニット60は、これらの検出値の合否判定をすることにより、加工溝120の品質を確認する。制御ユニット60は、このようにカーフチェックを実施することにより、オペレータがカット位置ずれの補正を行う際には広域画像213を表示し、加工溝120の両端が一画面に収まっていることで誤登録が防げるため、正確に検出及び判定をすることができ、制御ユニット60が自動で判定し、さらに加工溝120の両端が一画面に収まっていなくても良いチェック項目については元の高倍率の画像203に基づいて精度の高い検出及び判定をすることができる。本発明では、撮像ユニット40の視野に収まらない撮像対象を有する被加工物100でも、オペレータの判断を要する操作では広域画像を表示して撮像ユニット40の視野に収まらない撮像対象を一画面に表示するため、撮像対象の登録処理をミスなく行える。よって撮像ユニット40のレンズを交換せずに、高い精度で撮像対象の登録処理の実行が可能になる。
【0063】
なお、カーフ幅は、カーフチェックで確認する領域内における加工溝120の両端の間の距離(間隔)である。カーフ端からのMaxチッピング幅は、カーフチェックで確認する領域内において幅方向で最大のチッピングの端部と加工溝120の端部との間の距離である。合否判定は、検出値が、チェック項目毎に予め設定された許容値の範囲内である場合には合格、許容値の範囲外である場合には不合格(結果エラー)とするものである。
【0064】
実施形態1では、オペレータが広域画像213を見ながら、画面303上でカーフチェックにより加工溝120のヘアライン合わせをする形態としたが、本発明ではこれに限定されず、ヘアラインずれが所定の閾値以下である場合には自動で加工溝120を設定してもよい。
【0065】
以上のような構成を有する実施形態1に係る加工装置1は、制御ユニット60の広域画像表示部61が、撮像ユニット40によって撮像された隣接する複数の領域の画像201,202,203を合体させ、撮像ユニット40の視野よりも広い領域を示す広域画像211,212,213として表示ユニット50に表示し、広域画像211,212,213において特定された撮像対象(ターゲット110、分割予定ライン102、及び、加工溝120)を登録することができる。このため、実施形態1に係る加工装置1は、撮像ユニット40の視野に収まらない撮像対象を有する被加工物100でも、撮像ユニット40のレンズを交換せずに、撮像対象の登録処理の実行を可能にするという作用効果を奏する。
【0066】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る加工装置1-2を図面に基づいて説明する。
図9は、実施形態2に係る加工装置1-2の構成例を示す斜視図である。
図9は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
実施形態2に係る加工装置1-2は、
図9に示すように、実施形態1に係る加工装置1において、加工ユニット20に代えて加工ユニット20-2を備えるものである。加工ユニット20-2は、実施形態2では、
図9に示すように、レーザー照射器を有するレーザー加工ユニットである。加工ユニット20-2は、レーザー照射器により照射した被加工物100に対して吸収性を有する波長のレーザーで、保持テーブル10の保持面11で保持された被加工物100をレーザー加工(いわゆるアブレーション加工)する。
【0068】
実施形態2では、Y軸移動ユニット32は、Y軸方向に沿って、保持テーブル10を加工ユニット20-2に対して相対的に移動させるものであり、Y軸位置検出部で検出した保持テーブル10のY軸方向の位置を制御ユニット60に出力する。実施形態2では、Z軸移動ユニット33は省略されている。
【0069】
実施形態2に係る加工装置1-2は、加工ユニット20-2のレーザー照射器によりレーザーを保持テーブル10上の被加工物100に照射させながら、X軸移動ユニット31及びY軸移動ユニット32により、レーザーを照射中のレーザー照射器を被加工物100に対して相対的に、レーザー加工前に実行したアライメントで分割予定ライン登録部63が加工予定位置として登録した分割予定ライン102に沿って移動させることにより、レーザー照射器が照射中のレーザーで被加工物100を分割予定ライン102に沿ってレーザー加工して、分割予定ライン102に沿って加工溝(レーザー加工溝)120を形成する。実施形態2に係る加工装置1-2が形成する加工溝(レーザー加工溝)120は、実施形態1に係る加工装置1が形成する加工溝(切削溝)120と同様である。
【0070】
実施形態2に係る加工装置1-2は、実施形態1に係る加工装置1と同様のティーチ、アライメント及びカーフチェックを実行する。実施形態2に係る加工装置1-2が実行するティーチ、アライメント及びカーフチェックにおいて制御ユニット60が実行する処理は、実施形態1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0071】
以上のような構成を有する実施形態2に係る加工装置1-2は、制御ユニット60が、ティーチ、アライメント及びカーフチェックにおいて実施形態1と同様の処理を実行するので、加工ユニット20-2により分割予定ライン102に沿ってレーザー加工をして加工溝120を形成する場合にも、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0072】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
1,1-2 加工装置
10 保持テーブル
20,20-2 加工ユニット
40 撮像ユニット
50 表示ユニット
60 制御ユニット
61 広域画像表示部
62 ターゲット登録部
63 分割予定ライン登録部
100 被加工物
101 表面
102 分割予定ライン
103 デバイス
110 ターゲット
120 加工溝
201,202,203 画像
211,212,213 広域画像