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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149691
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】化粧料用リポソーム組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/14 20060101AFI20220929BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20220929BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20220929BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220929BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220929BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61K8/14
A61K8/63
A61K8/55
A61K8/34
A61Q19/00
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051956
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金海 俊
(72)【発明者】
【氏名】柳 輝一
(72)【発明者】
【氏名】村上 達也
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA072
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB051
4C083AB222
4C083AB242
4C083AB282
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC212
4C083AC252
4C083AC262
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD152
4C083AD172
4C083AD222
4C083AD332
4C083AD392
4C083AD432
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD532
4C083AD571
4C083AD572
4C083AD622
4C083AD631
4C083AD632
4C083AD642
4C083AD662
4C083BB51
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC19
4C083DD31
4C083DD41
4C083DD44
4C083DD45
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE11
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】美容成分の内包率が向上したリポソームを含む化粧料用リポソーム組成物の提供。
【解決手段】ポリオキシエチレンフィトステロールと、レシチンと、コレステロール及びポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールの少なくとも一方とを含み、平均粒子径100nm~350nmのリポソーム、水、エタノール及び美容成分を含み、リポソームに内包される内水相、並びに水及びエタノールを含み、リポソームを分散する外水相を含む、化粧料用リポソーム組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシエチレンフィトステロールと、レシチンと、コレステロール及び前記ポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールの少なくとも一方とを含み、平均粒子径100nm~350nmのリポソーム、
水、エタノール及び美容成分を含み、前記リポソームに内包される内水相、並びに
水及びエタノールを含み、前記リポソームを分散する外水相を含む、化粧料用リポソーム組成物。
【請求項2】
前記ポリオキシエチレンフィトステロールのオキシエチレン基の平均付加モル数が10以上である、請求項1に記載の化粧料用リポソーム組成物。
【請求項3】
化粧料用リポソーム組成物に対する前記ポリオキシエチレンフィトステロールの含有率が、0.1質量%以上である、請求項1又は請求項2に記載の化粧料用リポソーム組成物。
【請求項4】
化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する前記エタノールの含有率が、0.2質量%~30質量%である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の化粧料用リポソーム組成物。
【請求項5】
化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する、前記コレステロール及び前記ポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールの少なくとも一方の含有率が、0.1質量%~0.5質量%である、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の化粧料用リポソーム組成物。
【請求項6】
前記美容成分が、水溶性美容成分である、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の化粧料用リポソーム組成物。
【請求項7】
前記美容成分が、カフェイン、塩酸ピリドキシン及びニコチン酸アミドから選択される少なくとも1つである、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の化粧料用リポソーム組成物。
【請求項8】
化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームの総数に対するシングルラメラ構造を有するリポソームの総数の割合が70%以上である、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の化粧料用リポソーム組成物。
【請求項9】
化粧料である、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の化粧料用リポソーム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化粧料用リポソーム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
リポソームは、レシチン等の脂質を含む脂質二重膜により形成される閉鎖小胞体であり、閉鎖小胞の空間内に水相(内水相)を有する。また、通常、リポソームは、閉鎖小胞外の水溶液(外水相)に分散した状態で存在する。
【0003】
近年、内水相に医薬成分又は美容成分を含有させたリポソームの医薬組成物又は化粧料等への適用が検討されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、医薬成分を含む内水相に含み、平均粒子径が5nm~100nm以下のリポソームを含むリポソーム組成物が提案されている。
また、特許文献2では、油脂成分を内水相に含み、平均粒子径が82nm以下のリポソームを含む化粧料用リポソーム組成物が提案されている。
さらに、特許文献3では、美容成分を内水相に含み、平均粒子径が50nm以下のリポソームを含む化粧料用リポソーム組成物が提案されている。
また、特許文献4には、リポソームではなく、脂質二重膜により形成されるディスク形状のバイセル構造体を含む化粧料用組成物が提案されている。
また、特許文献5には、エタノールを含む外水相に含む、ベシクルを含む化粧料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6251385号公報
【特許文献2】特開2020-93992号公報
【特許文献3】特許第5064717号公報
【特許文献4】国際公開第2017/090740号
【特許文献5】特開2016-56198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
美容成分を内包させたリポソームを化粧料に適用する場合、より多くの量の美容成分を内包することができるリポソームが求められている。
今般、本発明者らは、特許文献1~3において提案される組成物に含まれるリポソーム、特許文献4において提案される組成物に含まれるバイセル構造及び特許文献5において提案される組成物に含まれるベシクルは、美容成分の内包率には改善の余地があるとの新たな知見を得た。
【0007】
また、美容成分の内包率の観点から、リポソーム組成物に含まれるリポソームは、脂質二重膜が1重であるシングルラメラ構造を有するリポソーム(単層小胞)の割合が大きいことが望まれる。
本発明者らは、特許文献2、特許文献3及び特許文献5における組成物は、シングルラメラ構造を有するリポソームの割合が小さく、美容成分の内包率が十分ではないというさらなる知見を得た。
【0008】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、美容成分の内包率が向上したリポソームを含む化粧料用リポソーム組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<1> ポリオキシエチレンフィトステロールと、レシチンと、コレステロール及び上記ポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールの少なくとも一方とを含み、平均粒子径100nm~350nmのリポソーム、
水、エタノール及び美容成分を含み、上記リポソームに内包される内水相、並びに
水及びエタノールを含み、上記リポソームを分散する外水相を含む、化粧料用リポソーム組成物。
<2> 上記ポリオキシエチレンフィトステロールのオキシエチレン基の平均付加モル数が10以上である、上記<1>に記載の化粧料用リポソーム組成物。
<3> 化粧料用リポソーム組成物に対する上記ポリオキシエチレンフィトステロールの含有率が、0.1質量%以上である、<1>又は<2>に記載の化粧料用リポソーム組成物。
<4> 化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する上記エタノールの含有率が、0.2質量%~30質量%である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の化粧料用リポソーム組成物。
<5> 化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する、上記コレステロール及び上記ポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールの少なくとも一方の含有率が、0.1質量%~0.5質量%である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の化粧料用リポソーム組成物。
<6> 上記美容成分が、水溶性美容成分である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の化粧料用リポソーム組成物。
<7> 上記美容成分が、カフェイン、塩酸ピリドキシン及びニコチン酸アミドから選択される少なくとも1つである、<1>~<6>のいずれか1つに記載の化粧料用リポソーム組成物。
<8> 上記化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームの総数に対するシングルラメラ構造を有するリポソームの総数の割合が70%以上である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の化粧料用リポソーム組成物。
<9> 化粧料である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の化粧料用リポソーム組成物。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、美容成分の内包率が向上したリポソームを含む化粧料用リポソーム組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1-2において得られた化粧料用リポソーム組成物のTEM(Transmission Electron Microscope)画像を示す。
図2】実施例3-1において得られた化粧料用リポソーム組成物のTEM画像を示す。
図3】実施例3-2において得られた化粧料用リポソーム組成物のTEM画像を示す。
図4】比較例1-2において得られた化粧料用リポソーム組成物のTEM画像を示す。
図5】比較例1-5において得られた化粧料用リポソーム組成物のTEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。下記実施形態において、その構成要素は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
【0013】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する化合物を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
【0014】
本開示において、「リポソーム」は、脂質二重膜で形成される閉鎖小胞体である。
脂質二重膜が1重である構造をシングルラメラ構造といい、脂質二重膜が多重である構造をマルチラメラ構造という。
本開示において、「内水相」とは、閉鎖小胞体内に存在する溶液を意味する。
本開示において、「外水相」とは、リポソームを分散する溶液を意味する。
【0015】
本開示において、「コレステロール」とは、動物に含まれるステロールの総称であり、「フィトステロール」とは、植物に含まれるステロールの総称である。
【0016】
本開示において、「美容成分」とは、皮膚等の身体に作用する成分であり、化粧料等に使用される有効成分を意味する。
また、「水溶性」とは、液温22℃及びpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。
【0017】
本開示において、「平均粒子径」とは、動的光散乱法により求められる体積平均粒径を意味する。
動的光散乱式粒径測定機としては、濃厚系粒径アナライザーFPAR-1000(大塚電子株式会社製)、ナノトラックUPA(日機装株式会社製)、動的光散乱式粒径分布測定装置LB-550(株式会社堀場製作所製)等が挙げられる。
平均粒子径の測定は、化粧料用リポソーム組成物を純水で10倍質量に希釈し、室温(例えば25℃)において行う。
なお、「純水」は、メルク株式会社製の超純水製造装置等による得られる純水を使用する。
【0018】
本開示において、「化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームの総数に対するシングルラメラ構造を有するリポソームの総数の割合」は、化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームを氷包埋状態で、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し、化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームの総数及びシングルラメラ構造を有するリポソームの総数をカウントすることにより求める。
より具体的には、まず、透過型電子顕微鏡を用いて、化粧料用リポソーム組成物の倍率50000倍TEM画像を得る。
TEM画像の任意の3箇所それぞれにおいて、半径2μmの円内に存在するリポソームの総数及びシングルラメラ構造を有するリポソームの総数をカウントすることにより、「化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームの総数に対するシングルラメラ構造を有するリポソームの総数の割合」を求める。
なお、本開示において、「化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームの総数に対するシングルラメラ構造を有するリポソームの総数の割合」は、3箇所の平均値である。
本開示において、リポソームの美容成分の内包率は、「リポソームの平均粒子径」及び化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームの総数に対するシングルラメラ構造を有するリポソームの総数の割合」により評価することができる。
【0019】
(化粧料用リポソーム組成物)
本開示の化粧料用リポソーム組成物は、ポリオキシエチレンフィトステロールと、レシチンと、コレステロール及び上記ポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールの少なくとも一方とを含み、平均粒子径100nm~350nmのリポソーム、水、エタノール及び美容成分を含み、上記リポソームに内包される内水相、並びに水及びエタノールを含み、上記リポソームを分散する外水相を含む。
【0020】
本開示の化粧料用リポソーム組成物によれば、美容成分の内包率に優れるリポソームを含む化粧料用リポソーム組成物を提供することができる。
【0021】
上記効果が奏される理由は以下のように推測されるが、これに限定されない。
本開示の化粧料用リポソーム組成物において、リポソームはポリオキシエチレンフィトステロールを含むことにより、脂質二重膜同士の接近を阻害し、かつポリオキシエチレンフィトステロールはリポソームの形成に寄与するため、形成されるリポソームの平均粒子径及びシングルラメラ構造を有するリポソームの割合が増大し、美容成分の内包率が改善されると推測される。
【0022】
美容成分の内包率向上の観点から、化粧料用リポソーム組成物において、エタノールの含有率に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率の比(ポリオキシエチレンフィトステロールの含有率/エタノールの含有率)は、質量基準で、0.001~1であることが好ましく、0.002~0.98であることがより好ましく、0.03~0.97であることがさらに好ましい。
また、エタノールの含有率に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率の比を上記数値範囲内とすることにより、リポソームが経時的に凝集し、リポソームの粒子径が増大し、化粧料用リポソーム組成物の懸濁が生じることを抑制することができる。
さらに、エタノールの含有率に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率の比を上記数値範囲内とすることにより、凝集したリポソームが合一し、マルチラメラ化し、美容成分の内包率の低下を招いてしまうことを抑制することができる。
上記したリポソームの凝集を抑制する性能を以下、経時安定性ともいう。
なお、化粧料用リポソーム組成物におけるエタノールの含有率に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率の比は、小数点第4位において四捨五入して求める。
【0023】
化粧料用リポソーム組成物において、コレステロールの含有率に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率の比(ポリオキシエチレンフィトステロールの含有率/コレステロールの含有率)は、質量基準で、2以下であることが好ましく、1.7以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましい。
化粧料用リポソーム組成物におけるコレステロールの含有率に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率の比が、質量基準で、2以下であることにより、化粧料用リポソーム組成物におけるシングルラメラ構造を有するリポソームの割合がより増大し、美容成分の内包率がより向上される。
また、化粧料用リポソーム組成物におけるコレステロールの含有率に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率の比の下限値は、特に限定されるものではないが、リポソームの形成性の観点からは、0.1以上であることが好ましい。
なお、化粧料用リポソーム組成物におけるコレステロールの含有率に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率の比は、小数点第2位において四捨五入して求める。
【0024】
(リポソーム)
本開示の化粧料用リポソーム組成物において、リポソームは、100nm~350nmの平均粒子径を有する。
リポソームの平均粒子径が100nm以上であることにより、美容成分の内包率が改善される。また、リポソームの平均粒子径が100nm以上であることにより、化粧料用リポソーム組成物におけるシングルラメラ構造を有するリポソームの割合がより増大する傾向にある。
平均粒子径350超のリポソームは、経時安定性が低く、リポソームの経時的な凝集及び合一により、マルチラメラ化し、美容成分の内包率が低下する傾向にある。リポソームの平均粒子径が350nm以下であることにより、上記マルチラメラ化を抑制することができる。また、リポソームの平均粒子径が350nm超である場合、製造される化粧料用リポソーム組成物の濁度が上昇する傾向にある。リポソームの平均粒子径を350nm以下とすることにより、化粧料用リポソーム組成物の濁度の上昇を抑えることができ、化粧料用リポソーム組成物の外観が優れたものとなる傾向にある。さらに、リポソームの平均粒子径が350nm以下であることにより、化粧料用リポソーム組成物の肌等への浸透性を向上することができる傾向にある。
美容成分の内包率向上及び経時安定性の観点から、リポソームの平均粒子径は、110nm~330nmであることが好ましく、120nm~320nmであることがより好ましく、150nm~300であることがさらに好ましい。
【0025】
美容成分の内包率向上の観点から、リポソームは、シングルラメラ構造を有するリポソーム(単層小胞とも呼ばれる)であることが好ましく、リポソーム組成物に含まれるリポソームの総数に対するシングルラメラ構造を有するリポソームの総数の割合は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
なお、リポソーム組成物は、マルチラメラ構造を有するリポソーム(多層小胞体とも呼ばれる)を含んでいてもよい。
【0026】
リポソームは、ポリオキシエチレンフィトステロールと、レシチンと、コレステロール及びポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールの少なくとも一方とを含む。
より具体的には、リポソームを構成する脂質二重膜が上記成分を含む。以下に各成分について説明する。
【0027】
(ポリオキシエチレンフィトステロール)
ポリオキシエチレンフィトステロールは、(CHCH-O)で表されるオキシエチレン基を有するフィトステロールである。
本開示において、フィトステロールには、フィトステロールの水素添加物(フィトスタノール)が含まれる。
フィトステロールの具体例としては、シトステロール、スチグマステロール、フコステロール、スピナステロール、ブラシカステロール及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
【0028】
美容成分の内包率向上の観点から、ポリオキシエチレンフィトステロールのオキシエチレン基の平均付加モル数は5以上であることが好ましく、10以上であることが好ましく、20以上であることがさらに好ましい。
また、ポリオキシエチレンフィトステロールのオキシエチレン基の平均付加モル数を5以上とすることにより、化粧料用リポソーム組成物におけるシングルラメラ構造を有するリポソームの割合を増大することができ、リポソームの美容成分の内包率をより向上させることができる。なお、ポリオキシエチレンフィトステロールのオキシエチレン基の平均付加モル数は、カタログ値を参照することができる。
【0029】
市販されるポリオキシエチレンフィトステロールとしては、日光ケミカルズ株式会社製のNikkol(登録商標)BPS-5(オキシエチレン基の平均付加モル数5)、Nikkol(登録商標)BPS-10(オキシエチレン基の平均付加モル数10)、Nikkol(登録商標)BPS-20(オキシエチレン基の平均付加モル数20)及びNikkol(登録商標)BPS-30(オキシエチレン基の平均付加モル数30)、Nikkol(登録商標)BPSH-25(オキシエチレン基の平均付加モル数25、水素添加フィトステロールの酸化エチレン付加物)、日本エマルジョン株式会社製のEMALEX(登録商標)PS-5(オキシエチレン基の平均付加モル数5)、EMALEX(登録商標)PS-10(オキシエチレン基の平均付加モル数10)、EMALEX(登録商標)PS-20(オキシエチレン基の平均付加モル数20)及びEMALEX(登録商標)PS-30(オキシエチレン基の平均付加モル数30)、EMALEX(登録商標)PS-25(オキシエチレン基の平均付加モル数25)等が挙げられる。
【0030】
化粧料用リポソーム組成物の全質量に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率は、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.23質量%以上であることがより好ましい。
ポリオキシエチレンフィトステロールの含有率が0.05質量%以上であることにより、化粧料用リポソーム組成物におけるシングルラメラ構造を有するリポソームの割合を増大することができ、リポソームの美容成分の内包率をより向上させることができる。
また、化粧料用リポソーム組成物の全質量に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率は、1質量%以下であることが好ましく、0.70質量%以下であることがより好ましい。ポリオキシエチレンフィトステロールの含有率が1質量%以下であることにより、リポソームに代わりディスク粒子又はミセルが形成されてしまうことを抑制することができる。
【0031】
(レシチン)
レシチンとしては、大豆、菜種、ヒマワリ、サフラワー、落花生、綿実、トウモロコシ、米、大麦等の植物、卵黄等から得られる天然レシチン、これらの誘導体(以下、レシチン誘導体ともいう。)などが挙げられる。
レシチン誘導体としては、レシチンの水素添加物、レシチン中のリン脂質にポリエチレングリコール、アミノグリカン類等を導入した化合物などが挙げられる。
上記した中でも、酸化安定性の観点から、レシチンの水素添加物が特に好ましい。
【0032】
化粧料用リポソーム組成物の経時安定性の観点から、レシチンの全質量に対するホスファチジルコリンの含有率(以下、PC含有率ともいう)は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
なお、PC含有率は、リン脂質組成物をTLC-FID法又はHPLC法にて測定する。
【0033】
市販されるレシチンとしては、日油株式会社製のCOATSOME NC-21(PC含有率90質量%以上)、日光ケミカルズ株式会社製のNikkol(登録商標)レシノールS-10E(PC含有率75質量%~85質量%以上)等が挙げられる。
【0034】
脂質二重膜の形成及び経時安定性の観点から、化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する、レシチンの含有率は、0.3質量%~10質量%であることが好ましく、0.4質量%~5質量%であることがより好ましく、0.5質量%~3質量%がさらに好ましい。
【0035】
(コレステロール及びポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロール)
本開示において、コレステロールには、コレスタノール及びコレステロール誘導体が含まれる。
コレステロールとしては、コレステロール、ジヒドロコレステロール、デヒドロコレステロール、オレイン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル等が挙げられる。
また、ポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールとは、ポリオキシエチレン基を有しないフィトステロールを指す。
また、美容成分の内包率の観点から、本開示の化粧料用リポソーム組成物は、少なくともコレステロールを含むことが好ましい。
【0036】
化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する、コレステロール及びポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールの少なくとも一方の含有率は、0.05質量%~0.7質量%であることが好ましく、0.1質量%~0.5質量%であることがより好ましく、0.2質量%~0.4質量%であることがさらに好ましい。
コレステロール及びポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールの少なくとも一方の含有率を上記数値範囲とすることにより、化粧料用リポソーム組成物におけるシングルラメラ構造を有するリポソームの割合を増大することができ、リポソームの美容成分の内包率をより向上させることができる。
また、本開示において、「化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する、コレステロール及びポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールの少なくとも一方の含有率」とは、化粧料用リポソーム組成物が、コレステロールのみ含む場合には、コレステロールの含有率を意味し、化粧料用リポソーム組成物が、フィトステロールのみ含む場合には、コレステロールの含有率を意味し、化粧料用リポソーム組成物が、コレステロール及びフィトステロールを含む場合には、これらの含有率の和を意味する。
【0037】
(内水相及び外水相)
本開示の化粧料用リポソーム組成物は、内水相及び外水相を含む。
内水相は、水、エタノール及び美容成分を少なくとも含み、外水相は、水及びエタノールを少なくとも含む。内水相及び外水相がエタノールを含むことにより、リポソームの形成性及び経時安定性を向上することができる。
【0038】
(水)
水としては、イオン交換水、純水、精製水及び水道水などが挙げられ、これらの中でも化粧料への適用性から精製水が好ましい。
【0039】
化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する水の含有率は、特に限定されるものではなく、1質量%~99質量%が好ましく、10質量%~95質量%であることがより好ましく、20質量%~90質量%であることがさらに好ましい。
なお、本開示において、「化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する水の含有率」とは、化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する、内水相に含まれる水の含有率及び外水相に含まれる水の含有率の和を意味する。
【0040】
(エタノール)
経時安定性の観点から、化粧料用リポソーム組成物の全質量に対するエタノールの含有率は、0.2質量%~30質量%であることが好ましい。
また、化粧料用リポソーム組成物の全質量に対するエタノールの含有率は、3質量%以上であってもよく、9質量%以上であってもよく、15質量%以上であってもよい。
また、化粧料用リポソーム組成物の全質量に対するエタノールの含有率は、27質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよく、23質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよい。
なお、本開示において、「化粧料用リポソーム組成物の全質量に対するエタノールの含有率」とは、化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する、内水相に含まれるエタノールの含有率及び外水相に含まれるエタノールの含有率の和を意味する。
なお、エタノールには、無水エタノールが含まれる。
【0041】
(美容成分)
美容成分としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸ナトリウムアスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、アスパラギン酸、アスパルテーム、アセチルグルコサミン、アセチルグルタミン酸、アセチルシステイン、アセチルパントテニルエチルエステル、アデノシン三リン酸二ナトリウム、アデノシン一リン酸二ナトリウム、ε-アミノカプロン酸、γ-アミノ酪酸、アラントイン、アラントイン-β-グリチルレチン酸、アルブミン、イノシット、エリスリトール、塩酸グルコサミン、塩酸ピリドキシン、オキシプロリン、オロット酸、加水分解エラスチン、カフェイン水和物、コンドロイチン硫酸ナトリウム、シアノコバラミン、水溶性エラスチン、タウリン、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、チアミン塩酸塩、テアニン、デオキシリボ核酸、パルミチン酸アスコルビル、パントテニルアルコール、パントテン酸ナトリウム、パントテン酸カルシウム、ピリドキシン、フィチン酸、プラセンタエキス、フラビンアデニンジヌクレオチド二ナトリウム二水塩、無水カフェイン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンリン酸エステル、レゾルシン、レブリン酸、グリシン、アルギニン、リジン液、ラウロイルリジン、アスパラギン酸、パルミトイルアスパラギン酸、システイン、メチオニン、グルタミン酸、トレオニン、セリン、チロシン、ヒスチジン、プロリン、グルタチオン、サリチル酸、ニコチン酸アミド、パルミチン酸レチノール、アルギン酸、γ-ウンデカラクトン、エゴマ油、エストラジオール、エストロン、エルゴカルシフェロール、β-カロチン、グルコサミン、コレカルシフェロール、酢酸トコフェロール、酢酸レチノール、サリチル酸、シコニン、ジパルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸ピリドキシン、天然ビタミンE、α-トコフェロール、馬油、γ-ノナラクトン、ビサボロール、ビタミンA油、ヒノキチオール、フマル酸、粉末ビタミンA、リノール酸トコフェロール、δ-トコフェロール、リノール酸トコフェロール、イソロイシン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、テトラ2-へキシルデカン酸アスコルビル等が挙げられる。なお、カフェインには、無水カフェインが含まれる。
溶解性の観点から、内水相に含まれる美容成分は、水溶性美容成分であることが好ましく、上記した中でも、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸ナトリウムアスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、アスパラギン酸、アスパルテーム、アセチルグルコサミン、アセチルグルタミン酸、アセチルシステイン、アセチルパントテニルエチルエステル、アデノシン三リン酸二ナトリウム、アデノシン一リン酸二ナトリウム、εアミノカプロン酸、γ-アミノ酪酸、アラントイン、アラントインβグリチルレチン酸、アルブミン、イノシット、エリスリトール、塩酸グルコサミン、塩酸ピリドキシン、オキシプロリン、オロット酸、加水分解エラスチン、カフェイン水和物、コンドロイチン硫酸ナトリウム、シアノコバラミン、水溶性エラスチン、タウリン、パルミトイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、チアミン塩酸塩、テアニン、デオキシリボ核酸、パルミチン酸アスコルビル、パントテニルアルコール、パントテン酸ナトリウム、パントテン酸カルシウム、ピリドキシン、フィチン酸、プラセンタエキス、フラビンアデニンジヌクレオチド二ナトリウム二水塩、無水カフェイン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンリン酸エステル、レゾルシン、レブリン酸、グリシン、アルギニン、リジン液、ラウロイルリジン、アスパラギン酸、パルミトイルアスパラギン酸、システイン、メチオニン、グルタミン酸、トレオニン、セリン、チロシン、ヒスチジン、プロリン、グルタチオン、サリチル酸、ニコチン酸アミド等が好ましい。
さらに、上記した中でも、抗老化、抗シワ、抗シミ、抗ハリ等の観点から、内水相は、カフェイン、塩酸ピリドキシン及びニコチン酸アミドから選択される少なくとも1つを含むことがより好ましい。
なお、美容成分は、外水相にも含まれていてもよい。
【0042】
化粧料用リポソーム組成物の全質量に対する美容成分の含有率は、0.3質量%~5質量%であることが好ましく、0.5質量%~3質量%であることがより好ましい。
【0043】
内水相及び外水相は、生理食塩水、糖、pH調整剤、防腐剤等のその他の成分を含んでいてもよい。糖としては、グルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、ラクチュロース、マルチトール等が挙げられる。pH調整剤としては、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム無水物、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、クエン酸、酢酸、トリエタノールアミン等が挙げられる。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル等が挙げられる。
【0044】
内水相及び外水相のpHは、特に限定されないが、5~9が好ましく、7~8がより好ましい。内水相及び外水相のpHは、上記したpH調整剤を使用することにより調整することができる。
【0045】
本開示の化粧料用リポソーム組成物の製造方法を以下に説明するが、これに限定されるものではない。
化粧料用リポソーム組成物は、油相組成物及び水相組成物を混合した後、攪拌し、乳化させ、リポソームを形成させることにより製造することができる。
【0046】
油相組成物及び水相組成物を混合し、撹拌し、乳化することにより、油相組成物及び水相組成物がO/W型(水中油型)に乳化し、リポソーム、内水相及び外水相を含む化粧料用リポソーム組成物が製造される。
【0047】
撹拌方法としては、超音波又は機械的せん断力が用いられる。また、粒子径の均一化のためには、一定の孔径のフィルターを通すエクストルーダー処理又はマイクロフルイダイザー処理を行うことができる。エクストルーダー処理等を行うことにより、複数の単胞リポソームを含む多胞リポソームを、複数の単胞リポソームに分離することができる。
【0048】
混合物の液温は、適宜調整することが可能であるが、混合物に含まれるレシチンの相転移温度より高い温度に設定することが好ましく、例えば、35℃~70℃に設定することが好ましい。
【0049】
化粧料用リポソーム組成物の製造において、リポソームを含む水溶液から有機溶媒及び水を蒸発させてもよい。
上記蒸発には、意図的に、有機溶媒及び水の一部又は全部を蒸発させること、並びに有機溶媒及び水の一部又は全部が撹拌及び乳化の過程で自然に蒸発することのいずれもが含まれる。
【0050】
意図的に、有機溶媒及び水を蒸発させる場合、蒸発方法は、特に限定されないが、有機溶媒及び水を加熱する方法、化粧料用リポソーム組成物を静置する方法、化粧料用リポソーム組成物を攪拌する方法、真空脱気を行う方法等が挙げられる。
【0051】
リポソームへの美容成分の内包方法は、特に限定されるものではなく、美容成分が溶解した水相組成物を乳化時に使用することにより行うことができる。
【0052】
得られた化粧料用リポソーム組成物に対し、透析法、ろ過法又はエクストルージョン処理法等を実施してもよく、これにより、含有されるリポソームの平均粒子径を均一にすることができる。エクストルージョン処理法とは、化粧料用リポソーム組成物に細孔を有するフィルターを通過させることにより、物理的なせん断力を加え、微粒化する方法である。化粧料用リポソーム組成物を通過させる際、化粧料用リポソーム組成物及びフィルターを、レシチンの相転移温度以上の温度に保温することで、速やかに微粒化することができる。
【0053】
(用途)
一実施形態において、本開示の化粧料用リポソーム組成物は化粧料である。化粧料の形態は、特に限定されるものではなく、液体であってもよく、ジェリー状であってもよく、ゲル状であってもよく、クリーム状であってもよく、スティック等の固体であってもよく、半固体状であってもよい。化粧料としては、スキンケア化粧料(化粧水、乳液、美容液、日焼け止め(サンスクリーン剤)等)、ボディ用化粧料(ボディ用ローション等)、頭皮用化粧料、パックなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願お及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【実施例0055】
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
<実施例1-1>
(油相組成物の調製)
水素添加大豆リン脂質(水素添加レシチン、PC含有率90%以上)、ポリオキシエチレンフィトステロールA(オキシエチレン基の平均付加モル数:20)、コレステロール、無水エタノール及びテトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルを混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、油相組成物Aを得た。
【0057】
(水相組成物の調製)
無水カフェイン(美容成分)、ニコチン酸アミド、リン酸水素二ナトリウム無水物、リン酸二水素ナトリウム及び精製水を混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、水相組成物Aを得た。
【0058】
(化粧料用リポソーム組成物の製造)
上記で得られた水相組成物Aを60℃に保ったままホモミキサーにより攪拌した後(3400rpm(revolutions per minute)、水相組成物Aへ油相組成物Aを添加した。
添加後、3400rpmの条件で攪拌を45分間継続した。攪拌後、35℃以下まで冷却し、冷却後、230メッシュろ布でろ過して、化粧料用リポソーム組成物を得た。
なお、化粧料用リポソーム組成物における各成分の含有率は、表1に示す通りであった。
実施例1-1において得られた化粧料用リポソーム組成物において、エタノールの含有率に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率の比(ポリオキシエチレンフィトステロールの含有率/エタノールの含有率)は、質量基準で、0.002であった。
また、実施例1-1において得られた化粧料用リポソーム組成物において、コレステロールの含有率に対するポリオキシエチレンフィトステロールの含有率の比(ポリオキシエチレンフィトステロールの含有率/コレステロールの含有率)は、質量基準で、0.2であった。
なお、表1中においては、ポリオキシエチレンフィトステロールの含有率/エタノールの含有率を「P/E」で示し、ポリオキシエチレンフィトステロールの含有率/コレステロールの含有率を「P/C」で示す。
以降の実施例についても各成分の含有率、P/E及びP/Cを表1~表3に示す。
【0059】
<実施例1-2~実施例1-4及び比較例1-1~1-5>
化粧料用リポソーム組成物の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1-1と同様にして、化粧料用リポソーム組成物を製造した。
なお、比較例1-1においては、リポソーム化ができなかったため、表1において、以降の評価結果を「-」とする。
【0060】
<実施例1-5>
(油相組成物の調製)
水素添加大豆リン脂質(水素添加レシチン、PC含有率90%以上)、ポリオキシエチレンフィトステロールA(オキシエチレン基の平均付加モル数:20)、コレステロール、オレイン酸、無水エタノール及びテトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルを混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、油相組成物Bを得た。
【0061】
(水相組成物の調製)
塩酸ピリドキシン(美容成分)、ニコチン酸アミド(美容成分)、リン酸水素二ナトリウム無水物、水酸化ナトリウム液(苛性ソーダ)及び精製水を混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、水相組成物Bを得た。
【0062】
(リポソーム組成物の製造)
上記で得られた水相組成物Bを60℃に保ったままホモミキサーにより攪拌した後(3000rpm)、水相組成物Bへ油相組成物Bを添加した。
添加後、3000rpmで45分攪拌を継続した。攪拌後、35℃以下まで冷却し、230メッシュろ布でろ過した後、エバポレーターにてエタノールを蒸散させ、化粧料用リポソーム組成物を得た。
なお、表1中における各成分の含有率は、エタノール蒸発後の化粧料用リポソーム組成物における含有率である。
【0063】
<実施例1-6~実施例1-7>
化粧料用リポソーム組成物の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1-5と同様にして、化粧料用リポソーム組成物を製造した。
【0064】
<実施例2-1~実施例2-3>
(油相組成物の調製)
水素添加大豆リン脂質(水素添加レシチン、PC含有率90%以上)、ポリオキシエチレンフィトステロールB(オキシエチレン基の平均付加モル数:30)、コレステロール、無水エタノール及びテトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルを混合し、60℃で10分間加熱することにより、溶解させ、油相組成物C1を得た。
【0065】
(水相組成物の調製)
無水カフェイン(美容成分)、ニコチン酸アミド(美容成分)、リン酸水素二ナトリウム無水物、リン酸二水素ナトリウム及び精製水を混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、水相組成物Cを得た。
【0066】
(化粧料用リポソーム組成物の製造)
上記で得られた水相組成物Cを60℃に保ったままホモミキサーにより攪拌した後(3400rpm)、水相組成物Cへ油相組成物C1を添加した。
添加後、3400rpmの条件で攪拌を45分間継続した。攪拌後、35℃以下まで冷却し、冷却後、230メッシュろ布でろ過して、化粧料用リポソーム組成物を得た。
【0067】
<実施例2-4>
(油相組成物の調製)
水素添加大豆リン脂質(水素添加レシチン、PC含有率90%以上)、ポリオキシエチレンフィトステロールC(オキシエチレン基の平均付加モル数:10)、コレステロール、無水エタノール及びテトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルを混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、油相組成物C2を得た。
【0068】
(水相組成物の調製)
無水カフェイン(美容成分)、ニコチン酸アミド(美容成分)、リン酸水素二ナトリウム無水物、リン酸二水素ナトリウム及び精製水を混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、水相組成物Cを得た。
【0069】
(化粧料用リポソーム組成物の製造)
上記で得られた水相組成物Cを60℃に保ったままホモミキサーにより攪拌した後(3400rpm)、水相組成物Cへ油相組成物C2を添加した。
添加後、3400rpmの条件で攪拌を45分間継続した。攪拌後、35℃以下まで冷却し、冷却後、230メッシュろ布でろ過して、化粧料用リポソーム組成物を得た。
【0070】
<実施例2-5>
(油相組成物の調製)
水素添加大豆リン脂質(水素添加レシチン、PC含有率90%以上)、ポリオキシエチレンフィトステロールD(オキシエチレン基の平均付加モル数:5)、コレステロール、無水エタノール及びテトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルを混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、油相組成物C3を得た。
【0071】
(水相組成物の調製)
無水カフェイン(美容成分)、ニコチン酸アミド(美容成分)、リン酸水素二ナトリウム無水物、リン酸二水素ナトリウム及び精製水を混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、水相組成物Cを得た。
【0072】
(化粧料用リポソーム組成物の製造)
上記で得られた水相組成物Cを60℃に保ったままホモミキサーにより攪拌した後(3400rpm)、水相組成物Cへ油相組成物C3を添加した。
添加後、3400rpmの条件で攪拌を45分間継続した。攪拌後、35℃以下まで冷却し、冷却後、230メッシュろ布でろ過して、化粧料用リポソーム組成物を得た。
【0073】
<実施例3-1>
(油相組成物の調製)
水素添加大豆リン脂質(水素添加レシチン、PC含有率90質量%以上)、ポリオキシエチレンフィトステロールA(オキシエチレン基の平均付加モル数:20)、コレステロール、無水エタノール及びテトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルを混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、油相組成物Dを得た。
【0074】
(水相組成物の調製)
塩酸ピリドキシン(美容成分)、無水カフェイン(美容成分)、ニコチン酸アミド(美容成分)、リン酸水素二ナトリウム無水物、リン酸二水素ナトリウム及び精製水を混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、水相組成物D-1を得た。
また、パラオキシ安息香酸メチル及び精製水を混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、水相組成物D-2を得た。
【0075】
(化粧料用リポソーム組成物の製造)
上記で得られた水相組成物D-1を60℃に保ったままホモミキサーにより攪拌した後(3400rpm)、水相組成物D-1へ油相組成物Dを添加した。
添加後、3400rpmの条件で攪拌を45分間継続した。攪拌後、水相組成物D-2を添加し、5分間均一攪拌を行い、35℃以下まで冷却した。冷却後、230メッシュろ布でろ過して、化粧料用リポソーム組成物を得た。
【0076】
<実施例3-2>
(油相組成物の調製)
水素添加大豆リン脂質(水素添加レシチン、PC含有率90質量%以上)、ポリオキシエチレンフィトステロールA(オキシエチレン基の平均付加モル数:20)、コレステロール、オレイン酸、無水エタノール及びテトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビルを混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、油相組成物Eを得た。
【0077】
(水相組成物の調製)
塩酸ピリドキシン(美容成分)、ニコチン酸アミド(美容成分)、リン酸水素二ナトリウム無水物、水酸化ナトリウム液(苛性ソーダ)及び精製水を混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、水相組成物E-1を得た。
また、パラオキシ安息香酸メチル及び精製水を混合し、60℃で10分間加熱することにより溶解させ、水相組成物E-2を得た。
【0078】
(化粧料用リポソーム組成物の製造)
上記で得られた水相組成物E-1を60℃に保ったままホモミキサーにより攪拌した後(3000rpm)、水相組成物E-1へ油相組成物Eを添加した。
添加後、3000rpmの条件で攪拌を45分間継続した。攪拌後、水相組成物E-2を添加し、5分間均一攪拌を行い、35℃以下まで冷却した。冷却後、230メッシュろ布でろ過して、化粧料用リポソーム組成物を得た。
【0079】
<<内包率評価-1(シングルラメラ構造を有するリポソームの割合)>>
実施例及び比較例において製造された化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームを氷包埋状態で、透過型電子顕微鏡を用い、倍率50000倍TEM画像を得た。
【0080】
TEM画像の任意の3箇所において、半径2μmの円内に存在するリポソームの総数及びシングルラメラ構造を有するリポソームの総数をカウントすることにより、化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームの総数に対するシングルラメラ構造を有するリポソームの総数の割合の平均値を確認し、下記評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表1~表3に示す。
また、実施例1-2、実施例3-1、実施例3-2、比較例1-2及び比較例1-5のTEM画像を図1図5に示す。なお、リポソームの総数及びシングルラメラ構造を有するリポソームの総数は、図1図5に示す円は、リポソームの総数及びシングルラメラ構造を有するリポソームの総数をカウントした任意の1箇所の円を示す。
(評価基準)
A:シングルラメラ構造を有するリポソームの割合が、70%以上であった。
B:シングルラメラ構造を有するリポソームの割合が、50%以上、70%未満であった。
C:シングルラメラ構造を有するリポソームの割合が、30%以上、50%未満であった。
D:シングルラメラ構造を有するリポソームの割合が、30%未満であった。
【0081】
<<内包率評価-2(リポソームの平均粒子径)>>
実施例及び比較例において製造された化粧料用リポソーム組成物を、純水により10倍質量に希釈し、含まれるリポソームの体積平均粒子径を、濃厚系粒径アナライザーFPAR-1000(大塚電子株式会社製)を用いて、動的光散乱法により測定した。なお、体積平均粒子径の測定は、化粧料用リポソーム組成物の製造後20時間~24時間以内に実施した。また、測定環境の温度は25℃とした。測定結果を表1~表3に示す。
【0082】
<<経時安定性評価>>
実施例1-5~実施例1-7、実施例2-1~実施例2-5、実施例3-1~実施例3-2及び比較例1-4において製造された化粧料用リポソーム組成物を、50℃の環境において1週間静置した。
静置後の化粧料用リポソーム組成物を純水で10倍質量に希釈し、化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームの体積平均粒子径を、上記した方法により測定した。
製造直後の化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームの体積平均粒子径に対する、静置後のリポソーム組成物に含まれるリポソームの体積平均粒子径の比(静置後のリポソーム組成物に含まれるリポソームの体積平均粒子径/製造直後の化粧料用リポソーム組成物に含まれるリポソームの体積平均粒子径)を求め、下記評価基準に基づいて、化粧料用リポソーム組成物の経時安定性を評価した。評価結果を表1~表3に示す。
なお、比較例1-2及び比較例1-3は、シングルラメラ構造を有するリポソームの割合が小さく、美容成分の内包率が十分ではなかったため、経時安定性評価は実施せず、表1中において、評価結果を「-」とする。
また、比較例1-5は、内包率評価が十分ではなかったため、経時安定性評価は実施せず、表1中において、評価結果を「-」とする。
(評価基準)
A:体積平均粒子径の比が、1.1未満であった。
B:体積平均粒子径の比が、1.1以上、1.4未満であった。
C:体積平均粒子径の比が、1.4以上であった。

【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】


【0086】
表1の結果から、実施例1-1~実施例1-7において得られたリポソーム組成物は、比較例1-2~比較例1-3において得られた、ポリオキシエチレンフィトステロール及びエタノールの少なくとも一方を含まないリポソーム組成物と比べて、シングルラメラ構造を有するリポソームの割合が大きく、美容成分の内包率に優れることが分かる。
また、表1の結果から、実施例1-1~実施例1-7において得られたリポソーム組成物は、比較例1-5において得られた、コレステロール及びポリオキシエチレンフィトステロール以外のフィトステロールの少なくとも一方を含まず、平均粒子径100nm未満のリポソームを含むリポソーム組成物と比べて、シングルラメラ構造を有するリポソームの割合が大きく、美容成分の内包率に優れることが分かる。
また、実施例1-1~実施例1-7において得られたリポソーム組成物が含むリポソームは、平均粒子径が大きく、美容成分の内包率に優れることが分かる。
なお、比較例1-2~比較例1-3では、美容成分の含有率は、実施例1-1~実施例1-7と同じではあるが、得られたリポソーム組成物に含まれるシングルラメラ構造を有するリポソームの割合が小さいため、美容成分の多くが内水相ではなく、外水相に含まれる。
実施例1-1~実施例1-7において得られたリポソーム組成物は、比較例1-4において得られた、ポリオキシエチレンフィトステロールを含まず、平均粒子径350nm超のリポソームを含むリポソーム組成物と比べて、経時安定性に優れることが分かる。
なお、比較例1-1は、エタノールを含んでいなかったため、リポソームの形成性が低かったと推察される。
【0087】
表2及び表3の結果から、実施例2-1~実施例2-5及び実施例3-1~3-2において得られたリポソーム組成物は、シングルラメラ構造を有するリポソームの割合が大きく、美容成分の内包率に優れることが分かる。
また、実施例2-1~実施例2-5及び実施例3-1~3-2において得られたリポソーム組成物が含むリポソームは、平均粒子径が大きく、美容成分の内包率に優れることが分かる。
さらに、実施例2-1~実施例2-5及び実施例3-1~実施例3-2において得られたリポソーム組成物は、経時安定性に優れることが分かる。
【0088】
図1図5から、実施例において得られたリポソーム組成物は、比較例において得られたリポソーム組成物に比べて、シングルラメラ構造を有するリポソームの割合が大きく、美容成分の内包率に優れることが分かる。また、図5からは、リポソームではなく、ディスク粒子が多く含まれてしまっていることが分かる。
【0089】
以下、本開示の化粧料用リポソーム組成物が化粧料である場合の処方例を開示する。
【0090】
<実施例4-1:クリーム>
下記組成を有するクリームを、常法により調製した(全量100質量%)。
(組成)
・実施例3-1のリポソーム組成物 2.0質量%
・水添ポリイソブテン 10.0質量%
・グリチルリチン酸ジカリウム 1.0質量%
・ワセリン 8.0質量%
・ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 12.0質量%
・ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 4.0質量%
・ジメチコン 6.0質量%
・1,2-ペンタンジオール 3.0質量%
・ジプロピレングリコール 7.0質量%
・濃グリセリン 9.0質量%
・ポリエチレングリコール6000(重量平均分子量:6000) 1.0質量%
・ヒアルロン酸ナトリウム 0.5質量%
・ベヘニルアルコール 2.0質量%
・モノステアリン酸ポリグリセリル 3.0質量%
・トコフェロール 0.5質量%
・アスタキサンチン 0.2質量%
・水溶性コラーゲン 1.0質量%
・加水分解コラーゲン溶液(魚由来) 1.0質量%
・N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン 1.0質量%
・クエン酸 0.7質量%
・クエン酸ナトリウム 適量
・フェノキシエタノール 0.3質量%
・精製水 残部
【0091】
<実施例4-2:クリーム>
下記組成を有するクリームを、常法により調製した(全量100質量%)。
(組成)
・実施例3-2のリポソーム組成物 2.0質量%
・水添ポリイソブテン 10.0質量%
・グリチルリチン酸ジカリウム 1.0質量%
・ワセリン 8.0質量%
・ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 12.0質量%
・ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 4.0質量%
・ジメチコン 6.0質量%
・1,2-ペンタンジオール 3.0質量%
・ジプロピレングリコール 7.0質量%
・濃グリセリン 9.0質量%
・ポリエチレングリコール6000(重量平均分子量:6000) 1.0質量%
・ヒアルロン酸ナトリウム 0.5質量%
・ベヘニルアルコール 2.0質量%
・モノステアリン酸ポリグリセリル 3.0質量%
・トコフェロール 0.5質量%
・アスタキサンチン 0.2質量%
・水溶性コラーゲン 1.0質量%
・加水分解コラーゲン溶液(魚由来) 1.0質量%
・N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン 1.0質量%
・クエン酸 0.7質量%
・クエン酸ナトリウム 適量
・フェノキシエタノール 0.3質量%
・精製水 残部
【0092】
実施例4-1及び実施例4-2において得られたクリームは、使用感、香り等で良好な性質を有し、本開示の化粧料用リポソーム組成物は、クリームの調製に好適に使用することができることがわかった。
【0093】
<実施例5-1:化粧水>
下記組成を有する化粧水を、常法により調製した(全量100質量%)。
(組成)
・実施例3-1のリポソーム組成物 2.0質量%
・アルブチン 2.0質量%
・グリチルリチン酸ジカリウム 1.0質量%
・ジプロピレングリコール 4.0質量%
・ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1.0質量%
・1,3-ブチレングリコール 4.0質量%
・ポリエチレングリコール 1.0質量%
・エタノール 2.0質量%
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2質量%
(オキシエチレンの平均付加モル数:60)
・フェノキシエタノール 0.3質量%
・グリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテル 0.2質量%
・オリザノール 0.01質量%
・ポリオキシエチレンフィトステロール 0.03質量%
(日光ケミカルズ株式会社製、Nikkol(登録商標)BPS-20)
・N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン 1.0質量%
・水溶性コラーゲン 1.0質量%
・加水分解コラーゲン 1.0質量%
・海藻エキス 1.0質量%
・リコピン含有乳化組成物(後述の方法で調製した組成物) 0.1質量%
・リン酸-L-アスコルビルマグネシウム 1.0質量%
・ヒアルロン酸ナトリウム 0.2質量%
・クエン酸 1.0質量%
・クエン酸ナトリウム 適量
・水 残部
【0094】
<実施例5-2:化粧水>
下記組成を有する化粧水を、常法により調製した(全量100質量%)。
(組成)
・実施例3-2のリポソーム組成物 2.0質量%
・アルブチン 2.0質量%
・グリチルリチン酸ジカリウム 1.0質量%
・ジプロピレングリコール 4.0質量%
・ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1.0質量%
・1,3-ブチレングリコール 4.0質量%
・ポリエチレングリコール 1.0質量%
・エタノール 2.0質量%
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2質量%
(オキシエチレンの平均付加モル数:60)
・フェノキシエタノール 0.3質量%
・グリセリンモノ-2-エチルヘキシルエーテル 0.2質量%
・オリザノール 0.01質量%
・ポリオキシエチレンフィトステロール 0.03質量%
(日光ケミカルズ株式会社製、Nikkol(登録商標)BPS-20)
・N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン 1.0質量%
・水溶性コラーゲン 1.0質量%
・加水分解コラーゲン 1.0質量%
・海藻エキス 1.0質量%
・リコピン含有乳化組成物(後述の方法で調製した組成物) 0.1質量%
・リン酸-L-アスコルビルマグネシウム 1.0質量%
・ヒアルロン酸ナトリウム 0.2質量%
・クエン酸 1.0質量%
・クエン酸ナトリウム 適量
・水 残部
【0095】
実施例5-1及び実施例5-2において得られた化粧水は、使用感、香り等で良好な性質を有し、本開示の化粧料用リポソーム組成物は、化粧水の調製に好適に使用することができることがわかった。
【0096】
実施例5-1及び実施例5-2で使用したリコピン含有乳化組成物は、以下の方法で調製した。
【0097】
<リコピン含有乳化組成物の調製>
(油相組成物aの調製)
下記組成の成分を容器に秤量し、150℃のホットプレート上にて攪拌しながら5分間加熱混合し、油相組成物aを得た。
(組成)
・トマトオレオレジン(リコピン含有量6質量%) 2.8質量部
(サンブライト株式会社製、Lyc-O-Mato 6%)
・モノステアリン酸ジグリセリル 0.3質量部
(日光ケミカルズ株式会社製、Nikkol(登録商標)DGMS、HLB:5.0)
・トリカプリル酸グリセリン及びトリカプリン酸グリセリンの混合物 11.3質量部
(花王株式会社製、ココナード(登録商標)MT、HLB:1)
・ミックストコフェロール 0.6質量部
(理研ビタミン株式会社製、理研Eオイル800)
【0098】
(水相組成物aの調製)
下記組成の成分を容器に秤量し、70℃の恒温槽にて攪拌しながら加熱混合し、水相組成物aを得た。
(組成)
・オレイン酸デカグリセリル 10質量部
(日光ケミカルズ株式会社製、Decaglyn 1-O)
・グリセリン 45質量部
・精製水 30質量部
【0099】
得られた水相組成物aを油相組成物aに加えて攪拌混合し、超音波ホモジナイザーを用いて、所定の時間分散させて、粗分散液を得た。
その後、超高圧乳化装置(株式会社スギノマシン社製、アルティマイザー)を用い、200MPaの高圧乳化を得られた粗分散物に対して行い、リコピン含有乳化組成物(リコピン含有率:0.17質量%)を調製した。
【0100】
得られたリコピン含有乳化組成物をミリQ水にて1質量%希釈し、粒径アナライザーFPAR-1000(大塚電子株式会社製)を用いて、分散粒子の粒径を測定したところ、52nmであった。
【0101】
<実施例6-1:ジェリー様美容液>
下記組成を有するジェリー様美容液を常法により調製した(全量100質量%)。
(組成)
・実施例3-1のリポソーム組成物 2.0質量%
・ヘマトコッカス藻抽出物 0.1質量%
・アスタキサンチン含有乳化組成物 0.2質量%
(オキアミ抽出物、後述の方法で調製した組成物]
・セラミドIII及びセラミドVIの混合物 1.0質量%
・加水分解コラーゲン 1.0質量%
・アセチルヒドロキシプロリン 1.0質量%
・エチルヘキシルグリセリン 0.1質量%
・オレイン酸 0.5質量%
・1,3-ブチレングリコール 1.0質量%
・グリセリン 2.0質量%
・スクロース 0.1質量%
・オレイン酸ポリグリセリル-10 0.1質量%
・ステアリン酸ポリグリセリル-2 0.1質量%
・フェノキシエタノール 0.2質量%
・コラーゲン 1.0質量%
・オリザノール 0.01質量%
・ポリオキシエチレンフィトステロール 0.03質量%
(日光ケミカルズ株式会社製、Nikkol(登録商標)BPS-20)
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2質量%
(オキシエチレンの平均付加モル数:60)
・ツボクサエキス 0.01質量%
・レシチン 0.1質量%
・クエン酸 1.0質量%
・クエン酸ナトリウム 適量
・PEG-240、デシルテトラデセス-20及びHDIのコポリマー 1.5質量%
・ダマスクバラ花油 微量
・香料 微量
・水 残部
【0102】
<実施例6-2:ジェリー様美容液>
下記組成を有するジェリー様美容液を常法により調製した(全量100質量%)。
(組成)
・実施例3-2のリポソーム組成物 2.0質量%
・ヘマトコッカス藻抽出物 0.1質量%
・アスタキサンチン含有乳化組成物 0.2質量%
(オキアミ抽出物、後述の方法で調製した組成物]
・セラミドIII及びセラミドVIの混合物 1.0質量%
・加水分解コラーゲン 1.0質量%
・アセチルヒドロキシプロリン 1.0質量%
・エチルヘキシルグリセリン 0.1質量%
・オレイン酸 0.5質量%
・1,3-ブチレングリコール 1.0質量%
・グリセリン 2.0質量%
・スクロース 0.1質量%
・オレイン酸ポリグリセリル-10 0.1質量%
・ステアリン酸ポリグリセリル-2 0.1質量%
・フェノキシエタノール 0.2質量%
・コラーゲン 1.0質量%
・オリザノール 0.01質量%
・ポリオキシエチレンフィトステロール 0.03質量%
(日光ケミカルズ株式会社製、Nikkol(登録商標)BPS-20)
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2質量%
(オキシエチレンの平均付加モル数:60)
・ツボクサエキス 0.01質量%
・レシチン 0.1質量%
・クエン酸 1.0質量%
・クエン酸ナトリウム 適量
・PEG-240、デシルテトラデセス-20及びHDIのコポリマー 1.5質量%
・ダマスクバラ花油 微量
・香料 微量
・水 残部
【0103】
実施例6-1及び実施例6-2において得られたジェリー様美容液は、使用感、香り等で良好な性質を有し、本開示の化粧料用リポソーム組成物は、ジェリー様美容液の調製に好適に使用することができることがわかった。
【0104】
実施例6-1及び実施例6-2において使用したアスタキサンチン含有乳化組成物は、以下の方法で調製した。
【0105】
<アスタキサンチン含有乳化組成物の調製>
(水相組成物bの調製)
下記の成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、水相組成物bを得た。
(組成)
・ショ糖ステアリン酸エステル(HLB:16) 33.0g
・モノオレイン酸デカグリセリル(HLB:12) 67.0g
・グリセリン 450.0g
・純水 300.0g
【0106】
(油相組成物bの調製)
下記成分を、70℃で加熱しながら1時間溶解して、油相組成物bを得た。
(組成)
・オキアミ抽出物 15.0g
・ミックストコフェロール 32.0g
(理研ビタミン株式会社製、理研Eオイル800)
・中鎖脂肪酸グリセライド 93.0g
(花王株式会社製、ココナード(登録商標)MT)
・レシチン 10.0g
(理研ビタミン株式会社製、レシオン(登録商標)P、大豆由来)
【0107】
上記で得られた水相組成物Bを70℃に保ったまま、ホモジナイザー(株式会社エスエムテー社製、HP93)を用いて攪拌し(10000rpm)、次いで、水相組成物bへ油相組成物bを添加して予備乳化物を得た。
得られた予備乳化物を約40℃まで冷却し、アルティマイザーHJP-25005(株式会社スギノマシン社製)を用いて、200MPaの圧力で高圧乳化を行った。その後、平均孔径1μmのミクロフィルターでろ過して、アスタキサンチン含有乳化組成物(アスタキサンチン含有率:0.3質量%)を調製した。
【0108】
得られたアスタキサンチン乳化組成物をミリQ水にて1質量%に希釈し、粒径アナライザーFPAR-1000(大塚電子株式会社製)を用いて、分散粒子の粒径を測定したところ、58nmであった。
【0109】
<実施例7-1:サンスクリーン剤>
下記組成を有するサンスクリーン剤を常法により調製した(全量100質量%)。
(組成)
・実施例3-1のリポソーム組成物 2.0質量%
・シクロペンタシロキサン 20.0質量%
・ジメチコン 10.0質量%
・酸化チタン 5.0質量%
・t-ブチルメトキシベンゾイルメタン 1.0質量%
・HXMT-100ZA(テイカ社、平均一次粒径15nm) 6.0質量%
・水酸化アルミニウム 1.0質量%
・イソステアリン酸 0.5質量%
・セスキオレイン酸ソルビタン 1.0質量%
・グリチルリチン酸ジカリウム 0.5質量%
・リン酸-L-アスコルビルマグネシウム 0.1質量%
・オキアミ抽出物 0.5質量%
・水溶性コラーゲン 1.0質量%
・クエン酸 0.7質量%
・クエン酸ナトリウム 適量
・トコフェロール 0.5質量%
・オリザノール 0.01質量%
・ポリオキシエチレンフィトステロール 0.03質量%
(日光ケミカルズ株式会社製、Nikkol(登録商標)BPS-20)
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2質量%
(オキシエチレンの平均付加モル数:60)
・ツボクサエキス 0.01質量%
・レシチン 0.1質量%
・香料 微量
・パラオキシ安息香酸メチル 0.15質量%
・水 残部
【0110】
<実施例7-2:サンスクリーン剤>
下記組成を有するサンスクリーン剤を常法により調製した(全量100質量%)。
(組成)
・実施例3-2のリポソーム組成物 2.0質量%
・シクロペンタシロキサン 20.0質量%
・ジメチコン 10.0質量%
・酸化チタン 5.0質量%
・t-ブチルメトキシベンゾイルメタン 1.0質量%
・HXMT-100ZA(テイカ社、平均一次粒径15nm) 6.0質量%
・水酸化アルミニウム 1.0質量%
・イソステアリン酸 0.5質量%
・セスキオレイン酸ソルビタン 1.0質量%
・グリチルリチン酸ジカリウム 0.5質量%
・リン酸-L-アスコルビルマグネシウム 0.1質量%
・オキアミ抽出物 0.5質量%
・水溶性コラーゲン 1.0質量%
・クエン酸 0.7質量%
・クエン酸ナトリウム 適量
・トコフェロール 0.5質量%
・オリザノール 0.01質量%
・ポリオキシエチレンフィトステロール 0.03質量%
(日光ケミカルズ株式会社製、Nikkol(登録商標)BPS-20)
・ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.2質量%
(オキシエチレンの平均付加モル数:60)
・ツボクサエキス 0.01質量%
・レシチン 0.1質量%
・香料 微量
・パラオキシ安息香酸メチル 0.15質量%
・水 残部
【0111】
実施例7-1及び実施例7-2において得られたサンスクリーン剤は、使用感、香り等で良好な性質を有し、本開示の化粧料用リポソーム組成物は、サンスクリーン剤の調製に好適に使用することができることがわかった。
図1
図2
図3
図4
図5