IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士フイルム株式会社の特許一覧

特開2022-149948磁気テープカートリッジ及び磁気テープカートリッジの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149948
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】磁気テープカートリッジ及び磁気テープカートリッジの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 23/107 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
G11B23/107
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052312
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角屋 陽介
(57)【要約】      (修正有)
【課題】未使用品か否かを識別できる磁気テープカートリッジ及び磁気テープカートリッジの製造方法を提供する。
【解決手段】磁気テープカートリッジは、磁気テープを収容し、かつ、開口を有するケース12と、ケース12に設けられ、開口を塞ぐドア50と、ドア50をケース12に固着する固着部110と、を備える。固着部110は、突起112を含んでいる。突起112はドア50に形成されている。突起112の先端がケース12に固着されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気テープを収容し、かつ、開口を有するケースと、
前記ケースに設けられ、前記開口を塞ぐドアと、
前記ドアを前記ケースに固着する固着部と、
を備える磁気テープカートリッジ。
【請求項2】
前記固着部は、突起を含み、
前記突起は、前記ドアに形成され、かつ、前記ケースに固着されている、請求項1に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項3】
前記突起は、前記ケースに溶着されることにより、前記ケースに固着されている
請求項2に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項4】
前記突起は、超音波溶着部を介して前記ケースに溶着されている
請求項3に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項5】
前記ドアの第1方向へのスライドを案内する案内機構を備え、
前記ドアは、前記第1方向に延びる第1面を有し、
前記突起は、前記第1面に設けられている
請求項2から請求項4の何れか一項に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項6】
前記案内機構は、前記第1面と対向する底面を有する溝を有し、
前記溝は、前記ドアの前記第1面側の端部を収容し、
前記突起は、前記溝の底面に溶着されている
請求項5に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項7】
前記突起は、前記第1面における前記ドアの閉じ方向の端部側に設けられている
請求項5又は請求項6に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項8】
前記突起は、前記第1方向に延びる突条である
請求項5から請求項7の何れか一項に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項9】
前記突起は、基端側から先端側に向かうに従って断面積が減少する形状である
請求項5から請求項8の何れか一項に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項10】
前記突起は、先端側に向かうに従って幅寸法が減少する形状である
請求項8に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項11】
前記ドアは、
前記第1面と、
前記第1方向と交差する第2方向における前記第1面と反対側に形成され、かつ、前記第1方向に延びる第2面と、を有し、
前記固着部は、
前記第1面に設けられた前記突起としての第1突起と、
前記第2面に設けられた前記突起としての第2突起と、を有する
請求項5から請求項10の何れか一項に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項12】
前記第1突起は、前記第2方向における前記第2突起と反対側の位置に設けられている
請求項11に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項13】
前記第1突起及び前記第2突起は、互いに同一の形状である
請求項11又は請求項12に記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項14】
磁気テープを収容し、かつ、開口を有するケースにドアを設けることにより、前記開口をドアで塞ぐこと、及び、
前記ドアを前記ケースに固着すること、
を備える磁気テープカートリッジの製造方法。
【請求項15】
前記ドアを前記ケースに固着することは、前記ドアに形成された突起を前記ケースに超音波溶着によって固着することを含む
請求項14に記載の磁気テープカートリッジの製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、磁気テープカートリッジ及び磁気テープカートリッジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上ケースと下ケースとの重ね合わせにより、磁気テープを巻装した単一のリールを回転可能に収容するカートリッジケースが開示されている。カートリッジケースでは、磁気テープの先端に磁気テープを引き出すためのリーダーピンが固着されている。また、カートリッジケースでは、リーダーピンの両端部がカートリッジケースの開口部内の凹状収納部に着脱可能にロック部材によって固定保持されている。そしてカートリッジケースは、開口部を開閉するスライドドアが設置されてなる磁気テープカートリッジである。磁気テープカートリッジでは、スライドドアの内面に、スライドドアの閉状態においてカートリッジケースの上ケース及び下ケースに設けられた係合溝に係合し、開口部の口開きを阻止する係合突起が形成されている。
【0003】
特許文献2には、磁気テープカートリッジが開示されている。磁気テープカートリッジでは、磁気テープを巻装した単一のリールがカートリッジケース内に回転可能に収容されている。また、磁気テープカートリッジでは、カートリッジケースに形成された移動通路内を摺動して磁気テープの一端を引き出すためのテープ引出用開口部を開閉するスライドドアが設けられている。また、磁気テープカートリッジでは、移動通路の摺動面に対向するスライドドアの摺動面が、凸形状に形成されている。
【0004】
特許文献3には、カートリッジケースが開示されている。カートリッジケースは、一対のカートリッジハーフが組み合わされて構成されると共にテープリールが内部に収納されるカートリッジ本体を備えている。また、カートリッジケースは、カートリッジ本体の一側面に形成されたテープ引出し口にテープ引出し口を開閉自在に取り付けられたドアを備えている。カートリッジケースでは、カートリッジ本体にテープ引出し口の開閉方向に沿ってドアを案内する一対の案内路が形成されている。そして、カートリッジケースでは、ドアの上下端面の少なくとも一方、および/または一対の案内路のドアの端面に対向する対向面の少なくとも一方に摺動抵抗低減加工が施されている。
【0005】
特許文献4には、テープカートリッジ用ドア部材が開示されている。テープカートリッジ用ドア部材は、テープカートリッジのケース本体に取り付けられてケース本体におけるアクセス用の開口部を閉塞する閉塞位置から開口部を開口する開口位置までの間をケース本体に対してスライドさせられる平板状のドア本体を備えている。また、テープカートリッジ用ドア部材は、閉塞位置に向けてドア本体を付勢する付勢手段を取り付け可能にドア本体の一方の側端面における高さ方向の上側および下側のいずれかの側に配設された付勢手段取付部を備えている。さらに、テープカートリッジ用ドア部材は、閉塞位置から開口位置に向けてドア本体をスライドさせるスライド手段が当接可能にドア本体の他方の側端面に配設されたスライド手段当接部を備えている。テープカートリッジ用ドア部材では、スライド手段当接部は、他方の側端面における高さ方向におけるいずれかの側が付勢手段による付勢の方向に沿って最も突出するように形成されている。
【0006】
特許文献5には、テープカートリッジが開示されている。テープカートリッジでは、ケース本体内にテープを巻装した1つのテープリールが回転可能に収容され、テープの先端がピン状のリーダー部材に固定されて、ケース本体に設けたテープ引き出し口から装置にテープ引き出し部材によって引き出される。また、テープカートリッジでは、テープ引き出し口を開閉するドア部材を有し、このドア部材は上下ケースに形成されたガイド溝内を摺動するもので、上下ケースのガイド溝またはドア部材上下のガイド溝に案内される部分のいずれかに凹凸を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-148179号公報
【特許文献2】特開平11-306722号公報
【特許文献3】特開2003-077252号公報
【特許文献4】特開2005-346854号公報
【特許文献5】特開2001-35127号公報
【発明の概要】
【0008】
本開示の技術に係る一つの実施形態は、未使用品か否かを識別できる磁気テープカートリッジ及び磁気テープカートリッジの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の技術に係る第1の態様は、磁気テープを収容し、かつ、開口を有するケースと、ケースに設けられ、開口を塞ぐドアと、ドアをケースに固着する固着部と、を備える磁気テープカートリッジである。
【0010】
本開示の技術に係る第2の態様は、固着部は、突起を含み、突起は、ドアに形成され、かつ、ケースに固着されている第1の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0011】
本開示の技術に係る第3の態様は、突起は、ケースに溶着されることにより、ケースに固着されている第2の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0012】
本開示の技術に係る第4の態様は、突起は、超音波溶着部を介してケースに溶着されている第3の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0013】
本開示の技術に係る第5の態様は、ドアの第1方向へのスライドを案内する案内機構を備え、ドアは、第1方向に延びる第1面を有し、突起は、第1面に設けられている第2の態様から第4の態様の何れか1つの態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0014】
本開示の技術に係る第6の態様は、案内機構は、第1面と対向する底面を有する溝を有し、溝は、ドアの第1面側の端部を収容し、突起は、溝の底面に溶着されている第5の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0015】
本開示の技術に係る第7の態様は、突起は、第1面におけるドアの閉じ方向の端部側に設けられている第5の態様又は第6の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0016】
本開示の技術に係る第8の態様は、突起は、第1方向に延びる突条である第5の態様から第7の態様の何れか1つの態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0017】
本開示の技術に係る第9の態様は、突起は、基端側から先端側に向かうに従って断面積が減少する形状である第5の態様から第8の態様の何れか1つの態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0018】
本開示の技術に係る第10の態様は、突起は、先端側に向かうに従って幅寸法が減少する形状である第8の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0019】
本開示の技術に係る第11の態様は、ドアは、第1面と、第1方向と交差する第2方向における第1面と反対側に形成され、かつ、第1方向に延びる第2面と、を有し、固着部は、第1面に設けられた突起としての第1突起と、第2面に設けられた突起としての第2突起と、を有する第5の態様から第10の態様の何れか1つの態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0020】
本開示の技術に係る第12の態様は、第1突起は、第2方向における第2突起と反対側の位置に設けられている第11の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0021】
本開示の技術に係る第13の態様は、第1突起及び第2突起は、互いに同一の形状である第11の態様又は第12の態様に係る磁気テープカートリッジである。
【0022】
本開示の技術に係る第14の態様は、磁気テープを収容し、かつ、開口を有するケースにドアを設けることにより、開口をドアで塞ぐこと、及び、ドアをケースに固着すること、を備える磁気テープカートリッジの製造方法である。
【0023】
本開示の技術に係る第15の態様は、ドアをケースに固着することは、ドアに形成された突起をケースに超音波溶着によって固着することを含む第14の態様に係る磁気テープカートリッジの製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る磁気テープカートリッジの斜視図である。
図2図1の磁気テープカートリッジを上方から見た場合の分解斜視図である。
図3図1の磁気テープカートリッジを下方から見た場合の分解斜視図である。
図4図1の磁気テープカートリッジのドア周りの拡大斜視図である。
図5図4の5X-5X線断面図である。
図6図5において矢印6Xで指し示す部分の拡大図である。
図7図5において矢印7Xで指し示す部分の拡大図である。
図8図4において矢印8Xで指し示す部分の拡大斜視図である。
図9図4において矢印9Xで指し示す部分の拡大斜視図である。
図10図1の磁気テープカートリッジのドア周りの側断面図である。
図11図1の磁気テープカートリッジで用いられるドアの斜視図である。
図12図11のドアの側面図である。
図13図11のドアの上面図である。
図14図11において矢印14Xで指し示す部分の拡大斜視図である。
図15図14で示される突起を前側から見た正面図である。
図16図1の磁気テープカートリッジの製造方法を示すドア周りの拡大斜視図である。
図17図16の磁気テープカートリッジのドア周りの側断面図である。
図18】変形例の磁気テープカートリッジのドア周りの側断面図である。
図19】変形例の磁気テープカートリッジのドア周りの側断面図である。
図20】変形例の磁気テープカートリッジのドア周りの側断面図である。
図21】変形例の磁気テープカートリッジのドア周りの側断面図である。
図22】変形例の磁気テープカートリッジのドアの突起周りの側断面図である。
図23図22の23X-23X線断面図である。
図24】変形例の磁気テープカートリッジのドアの突起周りの側断面図である。
図25】変形例の磁気テープカートリッジのドア周りの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に従って本開示の技術に係る磁気テープカートリッジ及び磁気テープカートリッジの実施形態の一例について説明する。
【0026】
まず、図1図3を参照しながら、磁気テープカートリッジ10の構成の一例について説明する。以下の説明では、説明の便宜上、図1図3において、磁気テープカートリッジ10の磁気テープドライブ(図示省略)への装填方向を矢印Aで示す。矢印A方向を磁気テープカートリッジ10の前方向とし、磁気テープカートリッジ10の前方向の側を磁気テープカートリッジ10の前側とする。以下に示す構造の説明において、「前」とは、磁気テープカートリッジ10の前側を指す。
【0027】
また、以下の説明では、説明の便宜上、図1図3において、矢印A方向と直交する矢印B方向を右方向とし、磁気テープカートリッジ10の右方向の側を磁気テープカートリッジ10の右側とする。以下に示す構造の説明において、「右」とは、磁気テープカートリッジ10の右側を指す。
【0028】
また、以下の説明では、説明の便宜上、図1図3において、矢印B方向と逆の方向を左方向とし、磁気テープカートリッジ10の左方向の側を磁気テープカートリッジ10の左側とする。以下に示す構造の説明において、「左」とは、磁気テープカートリッジ10の左側を指す。
【0029】
また、以下の説明では、説明の便宜上、図1図3において、矢印A方向及び矢印B方向と直交する方向を矢印Cで示し、矢印C方向を磁気テープカートリッジ10の上方向とし、磁気テープカートリッジ10の上方向の側を磁気テープカートリッジ10の上側とする。以下に示す構造の説明において、「上」とは、磁気テープカートリッジ10の上側を指す。
【0030】
また、以下の説明では、説明の便宜上、図1図3において、磁気テープカートリッジ10の前方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ10の後方向とし、磁気テープカートリッジ10の後方向の側を磁気テープカートリッジ10の後側とする。以下に示す構造の説明において、「後」とは、磁気テープカートリッジ10の後側を指す。
【0031】
また、以下の説明では、説明の便宜上、図1図3において、磁気テープカートリッジ10の上方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ10の下方向とし、磁気テープカートリッジ10の下方向の側を磁気テープカートリッジ10の下側とする。以下に示す構造の説明において、「下」とは、磁気テープカートリッジ10の下側を指す。
【0032】
また、以下の説明では、磁気テープカートリッジ10の仕様としてLTOを例に挙げて説明する。なお、磁気テープカートリッジ10の仕様はIBM3592に準じていてもよい。LTOは、“Linear Tape Open”の略称である。IBMは、“International Business Machines Corporation”の略称である。
【0033】
一例として図1及び図2に示すように、磁気テープカートリッジ10は、平面視で略矩形状である。磁気テープカートリッジ10は、箱状のケース12を備えている。ケース12は、本開示の技術に係る「ケース」の一例である。ケース12には、磁気テープMTが収容されている。ケース12は、ポリカーボネート等の樹脂製であり、上ケース14及び下ケース16を備えている。上ケース14及び下ケース16は、上ケース14の下周縁面と下ケース16の上周縁面とを接触させた状態で、溶着(例えば、超音波溶着)又はビス止めによって接合されている。接合方法は、溶着又はビス止めに限らず、他の接合方法であってもよい。なお、ケース12の前方向、後方向、左方向、右方向、上方向、及び下方向は、磁気テープカートリッジ10の前方向、後方向、左方向、右方向、上方向、及び下方向にそれぞれ相当する。
【0034】
一例として図2及び図3に示すように、上ケース14及び下ケース16には、ビスボス15がそれぞれ各コーナー部近傍に形成されている。下ケース16の下面側から、ビスボス15にビス(図示省略)を螺合することで、ケース12が組み立てられる。
【0035】
一例として図2に示すように、ケース12の内部には、カートリッジリール20が回転可能に収容されている。カートリッジリール20は、リールハブ22、上フランジ24、及び下フランジ26を備えている。リールハブ22は、円筒状に形成されている。リールハブ22は、カートリッジリール20の軸心部である。リールハブ22の軸心方向は、ケース12の上下方向に沿っている。リールハブ22は、ケース12の中央部に配置されている。上フランジ24及び下フランジ26の各々は円環状に形成されている。平面視で上フランジ24の中央部は、リールハブ22の上端部に固定されている。平面視で下フランジ26の中央部は、リールハブ22の下端部に固定されている。なお、リールハブ22と下フランジ26が一体として成形されていてもよい。
【0036】
リールハブ22の外周面には、磁気テープMTが巻き回されている。磁気テープMTの幅方向の端部は、上フランジ24及び下フランジ26によって支持されている。
【0037】
リールハブ22は、底壁28を有している。底壁28は、リールハブ22の下端部を閉塞している。一例として図3に示すように、底壁28の下面には、リールギア44が環状に形成されている。下ケース16の中央部には、リールギア44をケース12の外部に露出させるギア開口40が形成されている。リールギア44は、ギア開口40から露出された状態で、磁気テープドライブが備える回転シャフト(図示省略)の駆動ギア(図示省略)に噛み合う。駆動ギアとリールギア44が噛み合った状態で、磁気テープドライブの回転シャフトが回転駆動することにより、ケース12内において、カートリッジリール20がケース12に対して相対回転する。
【0038】
底壁28の下面には、リールプレート46が取り付けられている。リールプレート46は、リールギア44の径方向内側に配置されている。一例として、リールプレート46は、インサート成形により、底壁28に一体的に設けられている。リールプレート46は、環状の金属板である。リールプレート46の軸心は、リールハブ22の軸心と一致している。ここで、「一致」とは、完全な一致の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの一致を指す。リールプレート46は、磁気テープドライブの駆動ギアとリールギア44が噛み合った状態で、磁気テープドライブの環状のマグネットの磁力によって吸着保持される。なお、磁気テープドライブの回転シャフトには、環状のマグネット(図示省略)が設けられている。
【0039】
また、カートリッジリール20は、上ケース14及び下ケース16の各々の内面にそれぞれ設けられた遊動制限壁42(図2及び図3参照)によって囲まれている。遊動制限壁42は、上ケース14及び下ケース16の各々の内面から対向する内面に向けて突出している。また、遊動制限壁42は、ギア開口40と同心円の軌跡上に配置されている。カートリッジリール20は、遊動制限壁42によって保持されている。
【0040】
一例として図1に示すように、ケース12の右壁12Bには、開口18が形成されている。開口18は、カートリッジリール20に巻装された磁気テープMTを引き出すための矩形状の開口である。磁気テープMTの自由端部は、開口18から引き出される。磁気テープMTの自由端部には、リーダーピン30が取り付けられている。リーダーピン30は、磁気テープドライブの引出部材(図示省略)によって係止され、かつ、引き出し操作される。リーダーピン30の両端部は、磁気テープMTの幅方向端部よりも突出している。リーダーピン30の両端部には、環状溝30Aがそれぞれ形成されている。環状溝30Aに磁気テープドライブの引出部材のフック等が引っ掛かることで、リーダーピン30が引出部材に係止される。
【0041】
ケース12の開口18の内側、すなわち上ケース14の天板14Aの内面及び下ケース16の底板16Aの内面には、上下一対のピン保持部36が設けられている。一対のピン保持部36は、ケース12内においてリーダーピン30を位置決めした状態で保持する。ピン保持部36は、磁気テープMTの引き出し側が開放された略半円形状である。直立状態のリーダーピン30の両端部30Bは、ピン保持部36の開放側からピン保持部36内に出入する。
【0042】
一例として図2及び図3に示すように、ピン保持部36の近傍には、板バネ38が固定されている。板バネ38は、二股状の先端部を有している。板バネ38の二股状の先端部がリーダーピン30の両端部30Bにそれぞれ係合することにより、板バネ38によってリーダーピン30がピン保持部36に保持される。リーダーピン30がピン保持部36に出入する場合には、板バネ38の二股状の先端部は、弾性変形してリーダーピン30の移動を許容する。
【0043】
ケース12には、開口18を塞ぐドア50が設けられている。すなわち、ケース12の開口18は、ドア50によって開閉される。
【0044】
一例として図2及び図3に示すように、ドア50は、略矩形板状であり、開口18を閉塞する大きさを有している(図4参照)。また、ドア50は、ケース12の前後方向に延びる第1面50Aを有している(図12参照)。また、ドア50は、ケース12の前後方向に延びる第2面50Bを有している(図12参照)。第2面50Bは、ケース12の上下方向において第1面50Aと反対側に位置する。一例として、第1面50Aはドア50の上面であり、第2面50Bはドア50の下面である。ケース12の前後方向は、本開示の技術に係る「第1方向」の一例であり、ケース12の上下方向は、本開示の技術に係る「第2方向」の一例である。
【0045】
ケース12は、ドア50のケース12における前後方向へのスライドを案内する案内機構120を備えている。案内機構120は、溝64を有している。溝64は、第1面50Aと対向する底面64Aを有する(図5参照)。一例として、ケース12の天板14Aには、ケース12の前後方向に沿って延びる溝64が設けられている。言い換えると、溝64は、ケース12の右壁12Bに沿って延びている。溝64は、ドア50の第1面50A側の端部、すなわち、ドア50の上端部を収容している。
【0046】
また、案内機構120は、溝65を有している。溝65は、第2面50Bと対向する底面65Aを有する(図5参照)。一例として、ケース12の底板16Aには、ケース12の前後方向に沿って延びる溝65が設けられている。言い換えると、溝65は、ケース12の右壁12Bに沿って延びている。溝65は、ドア50の第2面50B側の端部、すなわち、ドア50の下端部を収容している。
【0047】
ドア50の上端部及び下端部は、上下一対の溝64及び65によってガイドされている。これにより、ドアは、ケース12の前後方向に沿ってスライドする。
【0048】
一例として図2及び図3に示すように、ドア50の後端部中央には、シャフト52が設けられている。シャフト52は、ドア50の後端部中央からケース12の後方に向けて突出している。コイルバネ58の内側にシャフト52が配置されている。シャフト52の後端には、コイルバネ58の脱落防止用として拡開部54が設けられている。下ケース16の内面には支持台60が設けられている。支持台60は、シャフト52をスライド自在に支持する。支持台60は、係止部62を有している。係止部62は、コイルバネ58の後端を係止する。また、下ケース16の内面には支持台60よりもケース12の後方側に支持台66が設けられている。支持台66は、シャフト52をスライド自在に支持する。
【0049】
ドア50は、コイルバネ58の付勢力によって、開口18を閉じる閉じ方向へ付勢されている。一方、ドア50は、開口18を開放した場合に、シャフト52のケース12における前側が支持台60によって支持され、シャフト52のケース12における後側が支持台66によって支持される。
【0050】
また、ドア50の前端部には、開閉操作用の凸部56が設けられている。凸部56は、ケース12の外方へ向かって突出している。一例として、凸部56は、ケース12の左側へ向けて突出している。凸部56は、磁気テープカートリッジ10の磁気テープドライブへの装填に伴い、磁気テープドライブが備える開閉部材(図示省略)と係合する。凸部56と開閉部材との係合により、ドア50がコイルバネ58の付勢力に抗してスライドする。ドア50のスライドにより、開口18が開放される。
【0051】
一例として図3に示すように、下ケース16の底板16Aには、一対の基準穴32及び基準穴3234がケース12の左右方向に離隔して形成されている。一対の基準穴32及び基準穴34は、底板16Aを貫通しない穴である。一対の基準穴32及び基準穴34は、底板16Aに形成された凹部である。基準穴32は、底板16Aの右壁12B側かつ前壁12A側に配置されている。基準穴32の形状は、底面視で略円形状である。基準穴34は、底板16Aの左壁12C側かつ前壁12A側に配置されている。基準穴34の形状は、底面視でケース12の左右方向に長い略楕円形状である。一対の基準穴32及び基準穴34は、ケース12の前後方向で同じ位置に形成されている。
【0052】
磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブに装填された状態では、基準穴32及び基準穴34に磁気テープドライブが備える位置決め部材(図示省略)がそれぞれ挿入される。これにより、磁気テープドライブ内において、磁気テープカートリッジ10の前後方向及び左右方向が位置決めされる。
【0053】
底板16Aにおける基準穴32の周りには、鏡面仕上げされた円形状の基準面33が形成されている。また、底板16Aにおける基準穴34の周りには、鏡面仕上げされた楕円形状の基準面35が形成されている。
【0054】
底板16Aにおける後端側かつ右壁12B側の角部には、鏡面仕上げされた矩形状の基準面37が形成されている。基準面37の矩形状は、ケース12の前後方向が長手方向とされた長方形状である。底板16Aにおける後端側かつ左壁12C側の角部には、鏡面仕上げされた矩形状の基準面39が形成されている。基準面39の矩形状は、ケース12の前後方向が長手方向とされた長方形状である。
【0055】
なお、各基準面33、35、37、及び39は同一平面上にある。
【0056】
磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブへ装填された状態では、基準面33及び基準面35と、基準面37及び基準面39と、に磁気テープドライブが備える位置決め面(図示省略)がそれぞれ接触する。これにより、磁気テープドライブ内において、磁気テープカートリッジ10の厚み方向、言い換えると磁気テープカートリッジ10の上下方向が位置決めされる。
【0057】
一例として図2及び図3に示すように、ケース12の左後部には、磁気テープMTへの記録可又は不可が設定されるライトプロテクト70が設けられている。ライトプロテクト70は、ケース12の左右方向にスライドする。ライトプロテクト70は、ユーザが手で操作するための操作突起72を備えている。ケース12の後壁12Dには、操作突起72を後壁12Dから突出させる開孔68が形成されている。
【0058】
開孔68は、上ケース14の周壁14Bに形成された切欠部68Aと、下ケース16の周壁16Bに形成された切欠部68Bとを有する。下ケース16には、ケース12の左右方向が長手方向とされた長孔69が形成されている。そして、ライトプロテクト70の突部74は、下ケース16の長孔69から露出される。
【0059】
磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブに装填された状態では、磁気テープドライブ側でライトプロテクト70の位置が検知される。検知された結果により、磁気テープドライブ側で磁気テープMTへの記録可又は不可が判断される。
【0060】
リールハブ22の底壁28の上面周縁には、複数の係合ギア48(図2参照)が間隔をあけて設けられている。本実施形態では、一例として、リールハブ22の周方向に120度間隔で配置された3個の係合ギア48が、底壁28に設けられている。
【0061】
リールハブ22の底壁28には、周方向に隣り合う係合ギア48の間で、リールギア44上に複数の貫通孔28A(図2参照)が設けられている。本実施形態では、一例として、リールハブ22の周方向に120度間隔で配置された3個の貫通孔28Aが、底壁28に設けられている。そして、リールハブ22の内部には、制動部材80が挿入されている。制動部材80は、円板状であり、樹脂材で形成されている。
【0062】
一例として図3に示すように、制動部材80の下面80Aの周縁には、制動ギア84が環状に形成されている。制動ギア84は、係合ギア48(図2参照)と噛み合っている。制動部材80の上面には、平面視で略十字状の係合突起86(図2参照)が設けられている。係合突起86の内部には、上ケース14に設けられた回転制限リブ76(図3参照)が挿入されている。ここで、回転制限リブ76は、上ケース14の天板14Aの内面からケース12における下方へ向けて突出している。回転制限リブ76は、平面視で略十字状に形成されている。また、ケース12の上下方向を係合突起86及び回転制限リブ76の高さ方向とした場合に、係合突起86の高さは、回転制限リブ76の高さよりも高い。これにより、制動部材80は、上ケース14に対して回転不能とされている。回転が制限される。一方、制動部材80は、リールハブ22内において、ケース12の上下方向に移動可能とされている。
【0063】
一例として図3に示すように、上ケース14と制動部材80との間には、圧縮コイルスプリング98が配置されている。一例として、圧縮コイルスプリング98の一端は、上ケース14の回転制限リブ76を囲う環状突起78の内側に接触している。具体的には、圧縮コイルスプリング98の一端が、回転制限リブ76と環状突起78の間に接触している。一方、圧縮コイルスプリング98の他端は、制動部材80の上面に設けられた環状溝88(図2参照)内に接触している。そして、制動部材80は、圧縮コイルスプリング98の付勢力によりケース12における下方へ向かって付勢されている。
【0064】
これにより、磁気テープカートリッジ10は、不使用時において、制動ギア84が係合ギア48と噛み合っており、カートリッジリール20のケース12に対する相対回転が阻止されている。カートリッジリール20のケース12に対する相対回転が阻止された状態を以下では、「回転ロック状態」と称する。回転ロック状態では、カートリッジリール20が圧縮コイルスプリング98の付勢力によって下ケース16側に押し付けられ、リールギア44がギア開口40から露出される。なお、磁気テープカートリッジ10の不使用時とは、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブに装填されていない状態を指す。
【0065】
一例として図3に示すように、リールハブ22の内部で、かつ制動部材80のケース12における下側には、解除部材90が配置されている。解除部材90は、底壁28と制動部材80との間に配置されている。解除部材90は、平面視で略正三角形状であり、樹脂材で成形されている。解除部材90には、軽量化用に複数の貫通孔92が形成されている。
【0066】
解除部材90の下面で、かつ正三角形状の各頂点部分には、脚部94がそれぞれ設けられている。3つの脚部94は、解除部材90の下面からケース12における下方へ向けて突出している。また、3つの脚部94は、底壁28の3つの貫通孔28Aにそれぞれ挿入されている。各脚部94の突出高さは、貫通孔28Aに挿入された状態で底壁28の下面からリールギア44上に所定高さ突出する高さである。
【0067】
解除部材90の上面90A(図2参照)の中央には、平面状の支持凸部96が設けられている。支持凸部96には、制動部材80の略半球状の解除突起82(図3参照)が接触している。解除突起82は、制動部材80の下面80Aの中央からケース12における下方へ向けて突出している。このため、制動部材80と解除部材90との接触面積が低減される。これにより、カートリッジリール20の回転時における摺動抵抗が軽減される。制動部材80の材質としては、例えばポリアセタールが用いられ、解除部材90の材質としては、例えばポリブチレンテレフタレートが用いられる。
【0068】
一例として図2及び図3に示すように、ケース12の右後部には、非接触式通信媒体の一例としてのカートリッジメモリMがケース12の上下方向に対して斜めに配置されている。カートリッジメモリMは、カートリッジメモリMの長手方向がケース12の左右方向とされた略矩形平板状に形成されている。言い換えると、カートリッジメモリMは、平面視で略長方形状に形成されている。カートリッジメモリMは、記録容量及び記録形式等の各種情報が記憶されたIC(Integrated Circuit)チップ(図示省略)と、磁気テープドライブが備える非接触式読み書き装置(図示省略)から照射される磁界を受けるアンテナ(図示省略)と、を有している。一例として、アンテナは、カートリッジメモリMの下面に設けられている。
【0069】
一例として図2に示すように、下ケース16の底板16Aの内面でかつ後壁12D側には、支持リブ100が設けられている。一例として、底板16Aの内面にケース12の左右方向に間隔をあけて一対の支持リブ100が設けられている。支持リブ100は、底板16Aの内面からケース12の上方に向けて突出している。また、支持リブ100は、後壁12Dに対応する周壁16Bに向けて延びて、周壁16Bにつながっている。支持リブ100は、側面視で略直角三角形状に形成されている。支持リブ100は、傾斜面である支持面100AでカートリッジメモリMを支持している。
【0070】
底板16Aの内面における支持リブ100のケース12における前側には、ケース12の左右方向に間隔をあけて位置制限リブ104が設けられている。一例として、底板16Aの内面に一対の位置制限リブ104が設けられている。位置制限リブ104は、カートリッジメモリMの下端部を支持することにより、下端部の位置を制限する。
【0071】
また、底板16Aの内面における支持リブ100のケース12における左側には、位置制限リブ106が設けられている。位置制限リブ106は、底板16Aの内面からケース12の上方に向けて突出しており、カートリッジメモリMの左端部を支持することにより、左端部の位置を制限する。
【0072】
また、底板16Aの内面における支持リブ100のケース12における右側には、位置制限リブ108が設けられている。位置制限リブ108は、底板16Aの内面からケース12の上方に向けて突出しており、カートリッジメモリMの右端部を支持することにより、右端部の位置を制限する。
【0073】
一例として図3に示すように、上ケース14の天板14Aの内面でかつ後壁12D側には、保持リブ102が設けられている。一例として、底板16Aの内面にケース12の左右方向に間隔をあけて一対の保持リブ102が設けられている。保持リブ102は、天板14Aの内面からケース12における下方に向けて突出しており、カートリッジメモリMをケース12の上方側から押さえることでカートリッジメモリMの位置を制限する。
【0074】
次に、上述のドア50及びドア50の周辺部の構成について、さらに詳述する。
一例として図4に示すように、磁気テープカートリッジ10は、前述したケース12と、前述したドア50と、を有している。ここで、図4は、磁気テープカートリッジ10のドア50周りの拡大図を示している。また、図4に示すドア50の断面図が一例として図5に示されている。また、図5に示すドア50の上端部の拡大図が図6に示されている。また、図5に示すドア50の下端部の拡大図が図7に示されている。また、一例として図6及び図7に示すように、磁気テープカートリッジ10は、ドア50をケース12に固着する固着部110を有している。固着の一例としては、超音波溶着、熱溶着、及び接着等が挙げられる。すなわち、固着部110は、超音波溶着部、熱溶着部、及び接着部等のいずれでもよい。
【0075】
一例として図6及び図7に示すように、固着部110は、突起112を含んでいる。突起112は、ドア50に形成されている。突起112の先端がケース12に固着されている。一例として、突起112は、ケース12に溶着されることにより、ケース12に固着されている。本実施形態では、突起112は、ケース12に超音波溶着によって固着されている。したがって、突起112は、超音波溶着部である固着部110を介してケース12に溶着されている。なお、本実施形態の突起112は、所謂エネルギダイレクタである。エネルギダイレクタとは超音波のエネルギが集中する場所のことである。
【0076】
一例として図6及び図7に示すように、突起112は、ドア50の第1面50A及び第2面50Bにそれぞれ設けられている。以下では、第1面50Aに設けられた突起112を上突起114と称する。また、第2面50Bに設けられた突起112を下突起116と称する。すなわち、固着部110は、第1面50Aに設けられた上突起114と、第2面50Bに設けられた下突起116と、を有している。上突起114は、本開示の技術に係る「第1突起」の一例である。下突起116は、本開示の技術に係る「第2突起」の一例である。
【0077】
一例として図6に示すように、上突起114は、溝64の底面64Aに溶着されている。一例として、上突起114の先端114A側が超音波溶着によって底面64Aの溝幅方向の中央部に溶着されている(図5参照)。本実施形態における溝64の溝幅方向は、ケース12の左右方向に相当する。
【0078】
一例として図6に示すように、上突起114は、基端側から先端114A側に向かうに従って断面積が減少する形状に形成されている。一例として、上突起114は、先端114A側に向かうに従って幅寸法が減少する形状である。なお、「突起の幅寸法」とは、突起の両側面間の寸法を意味する。また、本実施形態の上突起114は、上突起114が延びる方向と直交する方向の断面形状が台形状とされている。本実施形態における上突起114が延びる方向と直交する方向は、ケース12の左右方向に相当する。また、一例として図6に示すように、上突起114は、上ケース14への溶着により、先端114Aが潰れて平坦な形状になっている。一方、一例として図15に示すように、溶着前の上突起114は、先端114Aが円弧状に湾曲している。なお、本開示の技術はこれに限定されない。溶着前の上突起114の先端114Aの形状は平面でも尖っていてもよい。ここで「平面」とは、完全な平面の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの平面を指す
【0079】
一例として図8及び図10に示すように、上突起114は、第1面50Aにおけるドア50の閉じ方向の端部側に設けられている。本実施形態におけるドア50の閉じ方向は、ケース12の前方に向けた方向に相当する。すなわち、上突起114は、第1面50Aにおいて、ケース12の前側かつピン保持部36よりもケース12の後側に設けられている(図8参照)。上突起114は、第1面50Aにおけるドア50の厚み方向の中央部分に設けられている(図5参照)。本実施形態におけるドア50の厚み方向は、ケース12の左右方向に相当する。
【0080】
一例として図10及び図11に示すように、上突起114は、第1面50Aに沿ってケース12の前後方向に延びる突条である。
【0081】
一例として図7に示すように、下突起116は、溝65の底面65Aに溶着されている。一例として、下突起116の先端116A側が超音波溶着によって底面65Aの溝幅方向の中央部に溶着されている(図5参照)。本実施形態における溝65の溝幅方向は、ケース12の左右方向に相当する。
【0082】
一例として図7に示すように、下突起116は、基端側から先端116A側に向かうに従って断面積が減少する形状である。一例として、下突起116は、先端側に向かうに従って幅寸法が減少する形状である。また、本実施形態の下突起116は、下突起116が延びる方向と直交する方向の断面形状が台形状とされている。本実施形態における下突起116が延びる方向と直交する方向は、ケース12の左右方向に相当する。また、一例として図7に示すように、下突起116は、下ケース16への溶着により、先端116Aが潰れて平坦な形状になっているが、溶着前の下突起116は、上突起114と同様に、先端116Aが円弧状に湾曲している。なお、本開示の技術はこれに限定されない。溶着前の下突起116の先端116Aの形状は平面でも尖っていてもよい。
【0083】
一例として図9及び図10に示すように、下突起116は、第2面50Bにおけるドア50の閉じ方向の端部側に設けられている。一例として、下突起116は、第2面50Bにおいて、ケース12の前側かつピン保持部36よりもケース12の後側に設けられている(図9参照)。下突起116は、第2面50Bにおけるドア50の厚み方向の中央部分に設けられている(図5参照)。
【0084】
一例として図10に示すように、下突起116は、第2面50Bに沿ってケース12の前後方向に延びる突条である。
【0085】
一例として図10に示すように、上突起114は、ドア50に対してケース12の上下方向における下突起116と反対側の位置に設けられている。一例として、上突起114と下突起116は、ケース12の前後方向において同じ位置に配置されている。ここで、「同じ」とは、完全な同じの他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの同じを指す。
【0086】
本実施形態では、上突起114と下突起116が互いに同一の形状である。ここで、「同一」とは、完全な同一の他に、本開示の技術が属する技術分野で一般的に許容される誤差であって、本開示の技術の趣旨に反しない程度の誤差を含めた意味合いでの同一を指す。
【0087】
本実施形態では、ドア50をケース12に溶着する前の上突起114の幅寸法Wは0.5mm以上1.0mm以下とすることが好ましい。また、上突起114の長さ寸法Lは、0.5mm以上2.0mmm以下とすることが好ましい。本実施形態における上突起114の長さ寸法は、ケース12の前後方向に沿った長さ寸法である。また、下突起116の幅寸法及び長さ寸法の各々の範囲は、上突起114の長さ寸法Lの幅寸法及び長さ寸法の各々の範囲と同様である。
一例として図12図15に示すように、ドア50の縦寸法UDを19.4mmとし、ドア50の横寸法FRを27.9mmとし、ドア50の厚み寸法Tを1.4mmとした場合、上突起114の高さ寸法H(図15参照)を0.2mmとし、長さ寸法L(図14参照)を1.6mmとし、幅寸法W(図15参照)を0.2mmとしてもよい。ここでドア50の縦寸法UD(図12参照)とは、ドア50のケース12の上下方向に沿った寸法である。ドア50の横寸法FR(図12参照)とは、ドア50のケース12の前後方向に沿った寸法である。ドア50の厚み寸法T(図13参照)とは、ドア50のケース12の左右方向に沿った寸法である。なお、下突起116の各寸法も上突起114の各寸法と同じ寸法としてもよい。
【0088】
次に、図16及び図17を参照しながら、磁気テープカートリッジ10の製造方法について説明する。
【0089】
まず、開口18を有するケース12に、磁気テープカートリッジ10のドア50を含む構成部品が組み付けられる。次に、ドア50をスライドさせることにより、開口18を開放させる。そして、開口18を通してケース12内に磁気テープMTが収容される。磁気テープMTを収容した後、ケース12の開口18がドア50で閉塞される。
【0090】
次に、ドア50がケース12に固着される。ここで、ドア50をケース12に固着することは、ドア50に形成された上突起114及び下突起116をケース12に超音波溶着によって固着することを含む。本実施形態では、一例として図16及び図17に示すように、ドア50に形成された上突起114及び下突起116が超音波溶着によってケース12にそれぞれ固着される。超音波溶着について詳述すると、まず、ケース12のドア50に対応する部分が、超音波溶着用のホーン122と支持台124とで挟まれる。一例として、下ケース16のドア50に対応する部分が支持台124で支持された状態で、上ケース14のドア50に対応する部分がホーン122で加圧される。これにより、ドア50が上ケース14及び下ケース16を介してケース12の上下方向に加圧される。ホーン122と支持台124による加圧状態では、ドア50の上突起114の先端114Aが溝64の底面64Aに押し付けられる。また、ドア50の下突起116の先端116Aが溝65の底面65Aに押し付けられる。
【0091】
その後、ホーン122と支持台124によるドア50の加圧状態を維持しながら、ホーン122からケース12に超音波振動を付与する。ケース12に超音波振動が付与されると、ドア50の上突起114の先端114Aと溝64の底面64Aとの接触部(一例として先端114Aと底面64Aとの接触面)が摩擦により発熱し、上突起114の先端114Aと溝64の底面64Aとが溶着される。また、ドア50の下突起116の先端116Aと溝65の底面65Aとの接触部(一例として先端116Aと底面65Aとの接触面)が摩擦により発熱し、下突起116の先端116Aと溝65の底面65Aとが溶着される。
【0092】
ドア50がケース12に溶着されると、磁気テープカートリッジ10の組立が完了する。
【0093】
次に、磁気テープカートリッジ10の磁気テープドライブへの装填動作について説明する。
【0094】
磁気テープカートリッジ10は、前壁12Aを先頭にして磁気テープドライブ内に装填される。装填時には、磁気テープドライブの開放部材と接触したドア50にケース12における後側の力が作用し、固着部110が破壊される。固着部110が破壊されると、ドア50はケース12における後側にスライドし、開口18が開放される。また、基準穴32及び基準穴34に磁気テープドライブの位置決め部材がそれぞれ相対的に挿入される。
【0095】
そして、基準面33、基準面35、基準面37及び基準面39に磁気テープドライブの位置決め面がそれぞれ相対的に接触することで、磁気テープドライブ内において、磁気テープカートリッジ10の前後方向、左右方向及び上下方向が位置決めされる。
【0096】
また、磁気テープドライブの回転シャフトが相対的にギア開口40から進入し、駆動ギアがリールギア44に噛み合う。駆動ギアがリールギア44と噛み合う動作に伴って、リールギア44上に突出している脚部94が、圧縮コイルスプリング98の付勢力に抗して押し上げられ、解除部材90を介して制動部材80が上方へ押し上げられて、制動ギア84と係合ギア48との噛み合い噛合が解除される。
【0097】
そして、駆動ギアとリールギア44とが完全に噛合した状態で、リールプレート46が、駆動ギアの内側に設けられた環状のマグネットの磁力によって吸着保持される。これにより、カートリッジリール20は、駆動ギアに対するリールギア44の噛合が維持されつつ、ケース12内で、そのケース12に対して相対回転可能となるロック解除状態とされる。
【0098】
磁気テープMTにデータを記録又は磁気テープMTのデータを再生するときには、開放された開口18から、磁気テープドライブに設けられた引出部材(図示省略)がケース12内に進入し、ピン保持部36に位置決め保持されているリーダーピン30を把持して引き出す。このとき、カートリッジリール20は、その回転ロック状態が解除されているので、リーダーピン30の引出動作に伴って回転できる。
【0099】
次に、磁気テープカートリッジ10の作用について説明する。
磁気テープカートリッジ10では、ケース12とドア50が固着部110を介して固着されている。このため、磁気テープカートリッジ10が未使用品である場合、ドア50を開くためには固着部110を破壊する必要がある。ここで、固着部110が破壊されている場合は、破壊の痕跡により磁気テープカートリッジ10が未使用品でないことを識別することができる。一方、固着部110が破壊されていない場合は、固着部110の破壊の痕跡がないため、未使用品であることを識別することができる。したがって、本構成によれば、磁気テープカートリッジ10が、例えば固着部110を有しない場合に比して、固着部110の破壊の痕跡によって磁気テープカートリッジ10が未使用品か否かを識別することができる。
【0100】
磁気テープカートリッジ10では、ドア50に形成された上突起114及び下突起116がケース12にそれぞれ固着されている。したがって、本構成によれば、例えば固着部がドア50の全周をケース12に固着する構成に比して、固着部110の破壊に要する力が少なくて済む。
【0101】
例えば上突起114及び下突起116を接着材によってケース12に接着する場合には、接着材の影響が磁気テープMT及び/又はカートリッジリール20に及ぶ可能性がある。このため、磁気テープカートリッジ10では、上突起114及び下突起116をケース12に溶着している。したがって、本構成によれば、接着材を不要にすることができるので、接着材の影響が磁気テープMT及び/又はカートリッジリール20に及ぶことを回避することができる。
【0102】
また、例えば上突起114及び下突起116を熱溶着によってケース12に溶着する場合には、熱の影響が磁気テープMT及び/又はカートリッジリール20に及ぶ可能性がある。このため、磁気テープカートリッジ10では、上突起114及び下突起116を超音波溶着部を介してケース12に溶着している。したがって、本構成によれば、上突起114及び下突起116を熱溶着によってケース12に溶着する場合に比して、熱の影響が磁気テープMT及び/又はカートリッジリール20に及ぶことを低減することができる。
【0103】
磁気テープカートリッジ10では、ドア50においてケース12の前後方向に延びる第1面50Aに上突起114が設けられ、ドア50においてケース12の前後方向に延びる第2面50Bに下突起116が設けられている。したがって、本構成によれば、ケース12の前後方向にドア50を移動させた場合、上突起114及び下突起116とケース12との間に生じるせん断力で上下の固着部110を破壊することができる。
【0104】
磁気テープカートリッジ10では、ドア50の上端部が溝64に収容され、下端部が溝65に収容されている。したがって、本構成によれば、例えばドア50の上端部及び下端部がそれぞれ溝64及び溝65に収容されない構成と比して、溝64及び溝65によってドア50のがたつきが抑えられる。ドア50のがたつきが抑えられることで、固着部110を破壊する力を固着部に与えやすくなる。
【0105】
磁気テープカートリッジ10では、上突起114がドア50の第1面50Aにおける前端部側に設けられ、下突起116がドア50の第2面50Bにおける前端部側に設けられている。したがって、本構成によれば、例えば上突起114及び下突起116が第1面50A及び第2面50Bの後端部側に設けられている構成と比して、ユーザがドア50を開ける場合にドア50に力を入れる位置と上突起114及び下突起116の位置とが近くなる。これにより、磁気テープカートリッジ10では、ドア50の固着部110を容易に破壊することができる。
【0106】
磁気テープカートリッジ10では、上突起114及び下突起116がそれぞれケース12の前後方向に延びる突条である。したがって、本構成によれば、上突起114とケース12との固着面積及び下突起116とケース12との固着面積を確保できる。
【0107】
磁気テープカートリッジ10では、上突起114及び下突起116がそれぞれ基端側から先端側に向かうに従って断面積が減少する形状である。したがって、本構成によれば、上突起114の先端側及び下突起116の先端側で各々の固着部110を破壊できる。
【0108】
磁気テープカートリッジ10では、上突起114及び下突起116がそれぞれ先端側に向かうに従って幅寸法が減少する形状である。したがって、本構成によれば、上突起114及び下突起116の各々のケース12の前後方向の長さを確保しつつ、上突起114の先端側及び下突起116の先端側で各々の固着部110を破壊できる。
【0109】
磁気テープカートリッジ10では、ドア50の第1面50Aに設けられた上突起114と、ドア50の第2面50Bに設けられた下突起116とがケース12に固着されている。したがって、本構成によれば、ドア50に上突起114又は下突起116のみを設けられる構成と比して、ドア50をケース12の上下方向にバランスよくケース12に固着することができる。
【0110】
磁気テープカートリッジ10では、上突起114は、ケース12の上下方向において下突起116と反対側の位置に設けられている。したがって、本構成によれば、例えば上突起114がケース12の上下方向に下突起116と反対側の位置からずれて設けられている構成と比して、ドア50をケース12の上下方向にバランスよくケース12に固着することができる。
【0111】
磁気テープカートリッジ10では、上突起114及び下突起116が互いに同一の形状である。したがって、本構成によれば、磁気テープカートリッジ10では、例えば上突起114の形状と下突起116の形状とが異なる場合に比して、ドア50をケース12の上下方向にバランスよくケース12に固着することができる。
【0112】
上記実施形態では、ドア50の第1面50Aに一つの上突起114が設けられ、第2面50Bに一つの下突起116が設けられているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図18に示す磁気テープカートリッジ130のように、ドア132の第1面132Aに複数の上突起134が設けられ、第2面132Bに複数の下突起136が設けられていてもよい。ここで磁気テープカートリッジ130は、上突起134と下突起136の数を除き、磁気テープカートリッジ10と同様の構成である。したがって、磁気テープカートリッジ130は、磁気テープカートリッジ10と同様の作用を得ることができる。上突起134は、本開示の技術に係る「第1突起」の一例である。下突起136は、本開示の技術に係る「第2突起」の一例である。
【0113】
上記実施形態では、ドア50の第1面50Aに設けられる上突起114の数と、第2面50Bに設けられる下突起116の数が同じであるが、本開示の技術はこれに限定されず、ドア50の第1面50Aに設けられる上突起114の数と、第2面50Bに設けられる下突起116の数が異なっていてもよい。例えば、図19に示す磁気テープカートリッジ140のように、ドア142の第1面142Aに複数の上突起144が設けられ、第2面142Bに下突起146が上突起144の数よりも少ない数だけ設けられていてもよい。一例として図19では、ドア142に2つの上突起144が設けられ、ドア142に1つの下突起146が設けられている。なお、ドア142における下突起146の数を上突起144の数よりも多くしてもよい。磁気テープカートリッジ140は、上突起144と下突起146の数が異なる構成を除き、磁気テープカートリッジ10と同様の構成である。したがって、磁気テープカートリッジ140は、磁気テープカートリッジ10と同様の作用を得ることができる。上突起144は、本開示の技術に係る「第1突起」の一例である。下突起146は、本開示の技術に係る「第2突起」の一例である。
【0114】
上記実施形態では、ドア50においてケース12の前後方向における上突起114と下突起116の位置が同じ位置であるが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図20に示す磁気テープカートリッジ150のように、ドア152においてケース12の前後方向における上突起154と下突起156の位置がずれていてもよい。磁気テープカートリッジ150は、ケース12の前後方向における上突起114と下突起116の位置が同じ位置にあることを除き、磁気テープカートリッジ10と同様の構成である。したがって、磁気テープカートリッジ150は、ケース12の前後方向における上突起114と下突起116の位置が同じ位置にあることで得られる作用を除き、磁気テープカートリッジ10と同様の作用を得ることができる。上突起154は、本開示の技術に係る「第1突起」の一例である。下突起156は、本開示の技術に係る「第2突起」の一例である。
【0115】
上記実施形態では、ドア50の第1面50Aに設けた上突起114を上ケース14に溶着し、第2面50B設けた下突起116を下ケース16に溶着しているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図21に示す磁気テープカートリッジ160のように、ドア162の第1面162Aに設けた上突起164を上ケース14に溶着し、第2面162Bを直接下ケース16に溶着してもよい。上突起164は、本開示の技術に係る「突起」の一例である。
【0116】
上記実施形態では、上突起114及び下突起116は、ケース12の前後方向から見て、先端側に向かうに従って幅寸法が減少する形状であるが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図22に示す磁気テープカートリッジ170のように、ドア172に設けられた上突起174は、ケース12の左右方向から見て、先端174A側に向かうに従って長さ寸法が減少する形状でもよい。一例として、ケース12の左右方向から見て、上突起174が略台形状であってもよい。また、ドア172には、下突起(図示省略)も設けられている。磁気テープカートリッジ170は、上突起174及び下突起が左右方向から見て、先端174A側に向かうに従って長さ寸法が減少する形状あることを除き、磁気テープカートリッジ10と同様の構成である。したがって、磁気テープカートリッジ170は、上突起114及び下突起116がケース12の前後方向から見て、先端側に向かうに従って幅寸法が減少する形状であることで得られる作用を除き、磁気テープカートリッジ10と同様の作用を得ることができる。一例として図23に示すように、磁気テープカートリッジ170では、ケース12の前後方向から見た上突起114の形状が矩形状であるが、本開示の技術はこれに限定されず、先端側に向かうに従って幅寸法が減少する形状でもよい。上突起174は、本開示の技術に係る「突起」の一例である。
【0117】
上記実施形態では、上突起114及び下突起116をケース12に溶着により固着しているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図24に示す磁気テープカートリッジ180のように、上突起184及び下突起(図示省略)をケース182に接着により固着してもよい。一例として、磁気テープカートリッジ180では、ケース182において上突起184の上方でかつ上突起184とケース182との接触領域に貫通孔186を設けており、貫通孔186から接着剤を注入することにより、上突起184とケース182を接着している。一例として図24では、貫通孔186が接着剤の充填により埋められている。また下突起も上突起184と同様にケース182に接着により固着されている。上突起184は、本開示の技術に係る「突起」の一例である。
【0118】
上記実施形態では、ドア50の第1面50Aに上突起114を設け、第2面50Bに下突起116を設けているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図25に示す磁気テープカートリッジ190のように、ドア192の前端に突起194を設け、突起194を開口18の前縁に溶着により固着してもよい。突起194は、本開示の技術に係る「突起」の一例である。
【0119】
上記実施形態では、ドア50の第1面50Aに上突起114を設け、第2面50Bに下突起116を設けているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、ケース12の溝64の底面64Aにケース12における下方に突出する突起を設け、突起をドア50の第1面50Aに溶着してもよい。また、ケース12の溝65の底面65Aに上方に突出する突起を設け、突起をドア50の第2面50Bに溶着してもよい。
【0120】
上記実施形態では、上突起114及び下突起116をケース12に溶着により固着しているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、上突起114及び下突起116をケース12に熱溶着で溶着してもよい。
【0121】
上記実施形態では、ホーン122と支持台124を用いてドア50をケース12に超音波溶着しているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、ドア50を、ケース12を介してケース12の上下方向の両側から2つのホーン122で挟んだ状態で、超音波溶着してもよい。
【0122】
上記実施形態では、ドア50がケース12の前後方向に直線状にスライドする構成であるが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、ドア50が曲線状にスライドする円弧状のドアであってもよい。この場合、ドア50のスライド方向が本開示の技術に係る「第1方向」の一例である。
【0123】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0124】
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0125】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0126】
10 磁気テープカートリッジ
12 ケース
12A 前壁
12B 右壁
12C 左壁
12D 後壁
14 上ケース
14A 天板
14B 周壁
15 ビスボス
16 下ケース
16A 底板
16B 周壁
18 開口
20 カートリッジリール
22 リールハブ
24 上フランジ
26 下フランジ
28 底壁
28A 貫通孔
30 リーダーピン
30A 環状溝
30B 両端部
32 基準穴
33 基準面
34 基準穴
35 基準面
36 ピン保持部
37 基準面
38 板バネ
39 基準面
40 ギア開口
42 遊動制限壁
44 リールギア
46 リールプレート
48 係合ギア
50 ドア
50A 第1面
50B 第2面
52 シャフト
54 拡開部
56 凸部
58 コイルバネ
60 支持台
62 係止部
64 溝部
64A 底面
65 溝部
65A 底面
66 支持台
68 開孔
68A 切欠部
68B 切欠部
69 長孔
70 ライトプロテクト
72 操作突起
74 突部
76 回転制限リブ
78 環状突起
80 制動部材
80A 下面
82 解除突起
84 制動ギア
86 係合突起
88 環状溝
90 解除部材
90A 上面
92 貫通孔
94 脚部
96 支持凸部
98 圧縮コイルスプリング
100 支持リブ
100A 支持面
102 保持リブ
102A 下端面
104 位置制限リブ
106 位置制限リブ
108 位置制限リブ
110 固着部
112 突起
114 上突起(「第1突起」の一例)
114A 先端
116 下突起(「第2突起」の一例)
116A 先端
120 案内機構
122 ホーン
124 支持台
124 ホーン
126 支持台
130 磁気テープカートリッジ
132 ドア
132A 第1面
132B 第2面
134 上突起(「第1突起」の一例)
136 下突起(「第2突起」の一例)
140 磁気テープカートリッジ
142 ドア
142A 第1面
142B 第2面
144 上突起(「第1突起」の一例)
146 下突起(「第2突起」の一例)
150 磁気テープカートリッジ
152 ドア
154 上突起(「第1突起」の一例)
156 下突起(「第2突起」の一例)
160 磁気テープカートリッジ
162 ドア
162A 第1面
162B 第2面
164 上突起(「第1突起」の一例)
170 磁気テープカートリッジ
172 ドア
174 上突起(「第1突起」の一例)
174A 先端
180 磁気テープカートリッジ
182 ケース
184 上突起(「第1突起」の一例)
186 貫通孔
190 磁気テープカートリッジ
192 ドア
194 突起
M カートリッジメモリ
MT 磁気テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25