(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150026
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】生育状況評価システム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
G01B11/24 A
G01B11/24 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052422
(22)【出願日】2021-03-25
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センターの、「次世代型ロボットによる視覚・体内から捉える飼養管理高度化システムの開発~搾乳ロボット及びセンシング技術の活用による個体情報高度活用システムの開発に向けて」の委託試験研究」に関する委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹村 裕
(72)【発明者】
【氏名】矢羽田 彩乃
(72)【発明者】
【氏名】阿出川 俊和
(72)【発明者】
【氏名】横山 宗央
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA52
2F065AA53
2F065BB15
2F065CC16
2F065DD03
2F065FF04
2F065FF11
2F065GG04
2F065HH04
2F065JJ03
2F065LL62
2F065MM16
2F065PP22
2F065QQ03
2F065QQ17
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065UU06
(57)【要約】
【課題】動物の育成状況の評価を適切に得ることのできる生育状況評価システムを提供する。
【解決手段】生育状況評価システム10は、出射したレーザ光の動物(乳牛51)からの反射光を受光することで動物(乳牛51)の外形を三次元座標で示す点群データD1を取得するレーザ測定器13と、点群データD1に基づいて動物(乳牛51)の三次元面データD5を生成する面データ生成部65と、三次元面データD5に適合する近似曲線Acを算出する近似曲線算出部69と、近似曲線Acに基づいて、動物(乳牛51)の評価を示す評価データEvを生成する育成状況評価部71と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射したレーザ光の動物からの反射光を受光することで前記動物の外形を三次元座標で示す点群データを取得するレーザ測定器と、
前記点群データに基づいて前記動物の三次元面データを生成する面データ生成部と、
前記三次元面データに適合する近似曲線を算出する近似曲線算出部と、
前記近似曲線に基づいて、前記動物の評価を示す評価データを生成する育成状況評価部と、を備えることを特徴とする生育状況評価システム。
【請求項2】
前記近似曲線算出部は、前記三次元面データを切断平面に沿って切断した切断面の輪郭に適合させて前記近似曲線を算出することを特徴とする請求項1に記載の生育状況評価システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の生育状況評価システムであって、
さらに、前記動物の前記点群データを取得するデータ取得領域が設定され、
前記データ取得領域に前記動物がいることを検出する動物検出機構を備え、
前記レーザ測定器は、前記動物検出機構が前記動物を検出すると、前記データ取得領域の前記点群データを取得することを特徴とする生育状況評価システム。
【請求項4】
前記レーザ測定器は、前記データ取得領域を挟んで対を為して設けられていることを特徴とする請求項3に記載の生育状況評価システム。
【請求項5】
請求項4に記載の生育状況評価システムであって、
さらに、各前記レーザ測定器が取得した前記点群データを合成して合成点群データを生成するデータ合成部と、
前記合成点群データから前記動物を示す動物点群データを生成する動物抽出部と、を備え、
前記面データ生成部は、前記動物点群データから前記三次元面データを生成することを特徴とする生育状況評価システム。
【請求項6】
前記動物検出機構は、検出した前記動物を個体別に識別した個体識別データを生成し、
前記育成状況評価部は、生成した前記評価データに前記個体識別データを関連付けることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の生育状況評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生育状況評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、牛や豚等の動物の生育状況の判断のために、BCS(ボディーコンディションスコア)等を用いることが知られている。
【0003】
そのBCSは、動物に触れることなく自動で求めることのできる健康状態推定装置が考えられている(例えば、特許文献1参照)。その健康状態推定装置は、距離画像センサを用いることで動物の三次元形状を示す三次元座標群を取得し、その三次元座標群に基づいて動物の体躯の幅を示す特徴値や、動物の背骨の位置を示す特徴値を求めて、それらに基づいてBCSを算出する。このため、従来の健康状態推定装置は、動物への負担を軽減しつつ、バラツキの抑制されたBCSによる評価を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の健康状態推定装置では、距離画像センサを用いて動物の三次元座標群を取得している。このため、従来の健康状態推定装置では、取得した三次元座標群では動物の三次元形状の再現に限界があるので、その三次元座標群に基づいてBCS等のような育成状況の評価を適切に得ることは困難である。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、動物の育成状況の評価を適切に得ることのできる生育状況評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本開示の生育状況評価システムは、出射したレーザ光の動物からの反射光を受光することで前記動物の外形を三次元座標で示す点群データを取得するレーザ測定器と、前記点群データに基づいて前記動物の三次元面データを生成する面データ生成部と、前記三次元面データに適合する近似曲線を算出する近似曲線算出部と、前記近似曲線に基づいて、前記動物の評価を示す評価データを生成する育成状況評価部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の生育状況評価システムによれば、動物の育成状況の評価を適切に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示に係る生育状況評価システムの一例としての実施例1の生育状況評価システムの全体構成を示す説明図である。
【
図2】生育状況評価システムにおける制御系の構成を示すブロック図である。
【
図3】生育状況評価システムにおける撮像装置が取り付けられている様子を示す説明図である。
【
図4】撮像装置により牛が撮像された画像を示す説明図である。
【
図5】生育状況評価システムにおけるレーザ測定器を示す説明図である。
【
図6】レーザ測定器における制御系の構成を示すブロック図である。
【
図7】一方のレーザ測定器(第1)により取得された点群データを示す説明図である。
【
図8】他方のレーザ測定器(第2)により取得された点群データを示す説明図である。
【
図9】両点群データを合成した合成点群データを示す説明図である。
【
図10】牛を示す牛点群データを示す説明図である。
【
図11】牛点群データをメッシュ化した三次元面データを示す説明図である。
【
図12】三次元面データから臀部近傍を切り出した臀部近傍面データを示す説明図である。
【
図13】臀部近傍面データから臀部近傍断面データを切り出す各スライス位置を示す説明図である。
【
図14】臀部近傍断面データを示す説明図であり、
図13の各スライス位置に対応するものを左から順に並べて示している。
【
図15】臀部近傍断面データの輪郭の近似曲線を求める様子を示す説明図である。
【
図16】一例としての臀部近傍断面データ(その輪郭)と近似曲線とを示す説明図である。
【
図17】生育状況評価システムの制御機構で実行される育成状況評価処理(育成状況評価処理方法)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る生育状況評価システムの一実施形態としての生育状況評価システム10の実施例1について
図1から
図17を参照しつつ説明する。なお、
図1、
図3では、牛舎50における水飲み場52(データ取得領域14)の周辺を模式的に示しており、必ずしも実際の牛舎50の様子と一致するものではない。
【実施例0011】
本開示に係る生育状況評価システム10は、動物の育成状況を自動で評価するものである。実施例1の生育状況評価システム10は、動物の一例としてホルスタイン種の牛(以下では乳牛51とする)の育成状況を評価する。この生育状況評価システム10は、
図1から
図3に示すように、牛舎50に設けられており、制御機構11とカメラ12と2つのレーザ測定器13とを備える。
【0012】
牛舎50は、複数の乳牛51が飼われており、各乳牛51の移動が可能とされている。牛舎50では、乳牛51のための水飲み場52が設けられている。水飲み場52は、複数の乳牛51が入ることのできる空間(スペース)に水桶53が置かれて構成されている。水桶53は、長尺とされており、水飲み場52の片隅に配置されている。この水飲み場52では、乳牛51が自らの意思で定期的に訪れて、水桶53の前で立ち止まることとなる。このため、生育状況評価システム10では、水飲み場52をデータ取得領域14として設定している。
【0013】
制御機構11は、
図2に示すように、記憶部18または内蔵する内部メモリ11aに記憶したプログラムを例えばRAM(Random Access Memory)上に展開することにより、生育状況評価システム10の動作を統括的に制御する。実施例1では、内部メモリ11aは、RAM等で構成され、記憶部18は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等で構成される。生育状況評価システム10では、上記した構成の他に、測定完了信号や測定者からの指示に応じて測定結果を印字するプリンタや、測定結果を外部メモリやサーバーに出力する出力部や、動作の状況等を報知する音声出力部が適宜設けられる。
【0014】
制御機構11は、カメラ12と2つのレーザ測定器13(
図2では、一方を第1、他方を第2としている)とが接続されて適宜それらを制御するとともに、それらからの信号(データ)を受け取ることが可能とされている。この接続は、カメラ12および各レーザ測定器13との信号の遣り取りを可能とするものであれば、有線でもよく無線でもよい。この制御機構11は、牛舎50とは異なる位置に設けてもよく、牛舎50内に設けてもよい。制御機構11には、操作部15と表示部16と通信部17と記憶部18とが接続されている。
【0015】
その操作部15は、生育状況の評価のための各種の設定や、カメラ12や各レーザ測定器13の動作や設定等を操作するものである。操作部15は、例えばキーボード、マウス等の入力装置で構成されていてもよく、表示部16の表示画面をタッチパネル式としてそこに表示されたソフトウェアキー等で構成されてもよい。
【0016】
表示部16は、カメラ12で取得した画像I(静止画でもよく動画でもよい(
図4参照))、各レーザ測定器13で取得した点群データD1(
図7、
図8参照)、それらに基づく各種のデータ(
図9から
図14等参照)、動物(乳牛51)の評価を示す評価データEv等を表示する。表示部16は、一例として液晶表示装置(LCDモニタ)で構成しており、操作部15とともに制御機構11に設けられている。なお、操作部15と表示部16とは、スマートフォンやタブレット等の携帯端末で構成してもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0017】
通信部17は、カメラ12や各レーザ測定器13(その通信部45)や外部機器との通信を行うもので、カメラ12や各レーザ測定器13の駆動や、カメラ12からの画像Iや各レーザ測定器13からの点群データD1の受信を可能とする。なお、制御機構11は、タブレット端末で構成することができ、その場合には操作部15や表示部16を制御機構11と一体的な構成とすることができる。
【0018】
カメラ12は、データ取得領域14の全域を撮影可能とされており、実施例1では4Kカメラ(3840×2160画素の解像度を有する)を用いている。カメラ12は、
図1、
図3に示すように、データ取得領域14とされた水飲み場52の上方の設置板54に取り付けられており、乳牛51を邪魔することなく水飲み場52の撮影を可能としている。その設置板54は、カメラ12の設置のために牛舎50の支柱55に設けられている。カメラ12は、生育状況評価システム10が動作状態とされている間、水飲み場52を常時撮影しており、その撮影した画像I(そのデータ(
図4参照))を制御機構11に出力する。
【0019】
2つのレーザ測定器13は、既知点に設置されて測定点へ向けてパルスレーザ光線を投射し、その測定点からのパルスレーザ光線の反射光(パルス反射光)を受光して、パルス毎に測距を行い、測距結果を平均化して高精度の距離測定を行う。そして、各レーザ測定器13は、設定された測定範囲内を走査(スキャン)して測定範囲全体に亘って満遍なく測定点を設定することにより、測定範囲の全域に存在する物体の表面形状を三次元座標で示す三次元位置データの集まり(以下では、点群データD1とする)を取得できる。これにより、各レーザ測定器13は、設定された測定範囲内に存在するものの表面形状を示す点群データD1を取得できる。
【0020】
この2つのレーザ測定器13は、
図1に示すように、データ取得領域14とされた水飲み場52を挟んで対を為す位置であって、乳牛51の移動の邪魔となることのない高さ位置に配置されている。両レーザ測定器13は、水飲み場52(データ取得領域14)にいる乳牛51の姿勢に拘らず、その乳牛51の臀部近傍51aの少なくとも半身(左右のいずれか一方)の点群データD1を取得可能とするように、水飲み場52に対する位置関係が設定されている。この2つのレーザ測定器13は、設けられている位置が異なることを除くと、互いに等しい構成とされている。なお、レーザ測定器13は、所定の周波数で変調された光ビームを用いる位相差測定方式を採用してもよく、他の方式を採用してもよく、実施例1に限定されない。このレーザ測定器13は、
図5、
図6に示すように、台座31と本体部32と鉛直回転部33とを備える。
【0021】
台座31は、設置台34に取り付けられる箇所である。その設置台34は、レーザ測定器13の設置のために牛舎50の支柱55に取り付けられる。本体部32は、台座31に対して鉛直軸心を中心に回転可能に当該台座31に設けられる。本体部32は、全体にU字形状とされており、その間の部分に鉛直回転部33が設けられている。この本体部32には、測定器表示部35と測定器操作部36とが設けられる。測定器表示部35は、後述する測定器制御部43の制御下で、測定のための各種の操作アイコンや設定等を表示する箇所である。この測定器操作部36は、レーザ測定器13における各種機能の利用や設定のための操作が為される箇所であり、入力操作された情報を測定器制御部43へと出力する。実施例1の本体部32では、測定器表示部35に表示された各種の操作アイコンが測定器操作部36として機能するものとされている。なお、測定器表示部35と測定器操作部36とは、その上記した機能を生育状況評価システム10における操作部15と表示部16とに持たせることで、支柱55の設置台34上に設けられた状態のままでの遠隔の操作が可能となる。なお、レーザ測定器13は、後述するようにデータ取得領域14(そこにいる乳牛51等の動物)の走査(スキャン)を可能とするものであれば、設ける場所や設置方法は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0022】
鉛直回転部33は、水平方向に伸びる回転軸を中心に回転可能に本体部32に設けられる。この鉛直回転部33には、測距光学部37が内蔵される。この測距光学部37は、測距光としてのパルスレーザ光線を投射するとともに測定点からの反射光(パルス反射光)を受光して測定点までの光波距離測定を行う。
【0023】
その鉛直回転部33を水平軸心回りに回転可能とする本体部32には、水平回転駆動部38と水平角検出部39とが設けられる。その水平回転駆動部38は、台座31に対して本体部32を鉛直軸心回りにすなわち水平方向に回転させる。水平角検出部39は、その本体部32の台座31に対する水平回転角を検出することで、視準方向の水平角を検出(測角)する。これらは、例えば、水平回転駆動部38をモータで構成することができ、水平角検出部39をエンコーダで構成することができる。
【0024】
また、本体部32には、鉛直回転駆動部41と鉛直角検出部42とが設けられる。その鉛直回転駆動部41は、本体部32に対して鉛直回転部33を水平軸心回りにすなわち鉛直方向に回転させる。鉛直角検出部42は、その鉛直回転部33の本体部32に対する鉛直角を検出することで、視準方向の鉛直角を検出(測角)する。これらは、例えば、鉛直回転駆動部41をモータで構成することができ、鉛直角検出部42をエンコーダで構成することができる。
【0025】
さらに、本体部32には、測定器制御部43が内蔵される。その測定器制御部43は、接続された記憶部44に格納されたプログラムにより、レーザ測定器13の動作を統括的に制御する。その記憶部44は、半導体メモリや各種の記憶媒体により構成され、測定に必要な計算プログラムや、送信する情報を生成して送信するデータ送信プログラム等のプログラムが格納されるとともに、設定データや点群データD1が適宜格納される。その情報やデータは、後述する通信部45と上記した通信部17(
図2参照)とを介して制御機構11に適宜送信される。その測定器制御部43には、測定器表示部35、測定器操作部36、測距光学部37、水平回転駆動部38、水平角検出部39、鉛直回転駆動部41、鉛直角検出部42、記憶部44および通信部45が接続される。
【0026】
通信部45は、通信部17を介してその制御機構11(
図2参照)と測定器制御部43との通信を可能とし、測定器制御部43の制御下において記憶部44に格納された各情報を適宜送信する。この通信部45は、制御機構11(通信部17)とデータ等の遣り取りを可能とする。通信部45は、敷設したLANケーブルを介して通信部17と有線通信するものとしてもよく、通信部17と無線通信するものとしてもよい。
【0027】
その測定器制御部43には、測距光学部37、水平角検出部39および鉛直角検出部42からの測定のための出力値が入力される。測定器制御部43は、それらの出力値に基づき、本体部32内に設けられた基準光路を伝搬してきた基準光と測距光学部37を介して取得した反射光との到達時間差または位相差から測定点(反射点)までの距離を算出する。また、測定器制御部43は、その算出した距離測定時の高低角、水平角の測定(算出)を行う。そして、測定器制御部43は、それらの測定結果を記憶部44に格納するとともに、通信部45を介して、制御機構11(通信部17)に適宜送信する。
【0028】
その測定器制御部43は、水平回転駆動部38および鉛直回転駆動部41の駆動を制御して本体部32および鉛直回転部33(
図1参照)を適宜回転させることにより、当該鉛直回転部33を所定の方向に向けることができ、所定の範囲を走査することができる。実施例1の測定器制御部43は、データ取得領域14である水飲み場52を走査するものとしており、そこにいる乳牛51を含む水飲み場52の各位置を測定点とする。両レーザ測定器13は、水飲み場52との位置関係が予め解っているとともに一定なので、走査する範囲を水飲み場52の全域に適切に合わせることができる。実施例1の測定器制御部43は、水飲み場52を走査する際、その走査面上において12.5mmの間隔で測定点を設定する。その走査面は、水飲み場52内で適宜設定することができ、実施例1では乳牛51の臀部近傍51aが位置することが想定される位置に設定している。
【0029】
測定器制御部43は、測距光学部37を制御して水飲み場52を走査しつつ設定した各測定点の測距(距離測定)を行う。このとき、測定器制御部43は、視準方向の高低角および水平角を測定(算出)することで、水飲み場52の各測定点の三次元座標位置を測定する。そして、測定器制御部43は、測定した水飲み場52の各測定点の三次元座標位置(座標データ)の集まりである点群データD1(一方の例を
図7に示し、他方の例を
図8に示す)を生成し、適宜通信部45、通信部17を介して制御機構11へと送信する。その点群データD1は、水飲み場52の表面形状を示すこととなり、水飲み場52に乳牛51が存在する場合にはその乳牛51の表面形状も含まれることとなる。
【0030】
制御機構11は、乳牛51の生育状況の評価のために、
図2に示すように、動物検出部61とデータ取得部62とデータ合成部63と動物抽出部64と面データ生成部65と特定部位切出部66と部位体積算出部67と切断面抽出部68と近似曲線算出部69と育成状況評価部71とを備える。
【0031】
動物検出部61は、カメラ12が取得した画像Iから、データ取得領域14とされた水飲み場52に動物(実施例1では乳牛51)が存在することを検出する。動物検出部61は、画像Iにおいて、コントラスト等に基づいて各種の形状を認識し、その認識した形状等に基づいて水飲み場52における水桶53等の設備と乳牛51との判別を行う。ここで、動物検出部61は、カメラ12が所定の位置に配置されていることから、水飲み場52における水桶53等の設備の画像が予め解っているので、それを利用することで乳牛51の判別が容易となるとともに、乳牛51が映し出された領域を示すデータの取得も容易にできる。動物検出部61は、画像Iに乳牛51が映し出されている場合には、水飲み場52に乳牛51を検出した旨の信号をデータ取得部62に出力する。このため、動物検出部61は、カメラ12と協働して、データ取得領域14に動物がいることを検出する動物検出機構として機能する。
【0032】
加えて、実施例1の動物検出部61は、検出した動物(乳牛51)を個体別に識別し、その識別した情報を示す個体識別データD2を生成する。先ず、動物検出部61は、乳牛51が映し出された画像Iに基づいて、牛舎50で飼われている乳牛のうちのどの乳牛51が映し出されたものであるのかを特定する。例えば、動物検出部61は、画像Iの乳牛51が映し出された領域から、コントラスト等に基づいて乳牛51における白黒模様の形状や位置を認識し、その認識した白黒模様を予め登録してある各乳牛の白黒模様と比較することで、乳牛51を特定する。そして、動物検出部61は、その特定に従って、乳牛51を個体別に識別した個体識別データD2を生成し、その個体識別データD2をデータ取得部62に出力する。なお、動物検出部61は、画像Iに映し出された乳牛51、すなわちその時点で水飲み場52にいる乳牛51が、牛舎50で飼われている乳牛のうちのいずれであるのかを特定し、それに基づき乳牛51を個体別に識別した個体識別データD2を生成するものであれば、例えばタグを利用する等のように他の方法を用いてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0033】
データ取得部62は、動物検出部61から乳牛51を検出した信号を受け取ると、2つのレーザ測定器13をそれぞれ駆動させて水飲み場52(データ取得領域14)の走査を行わせる。各レーザ測定器13は、それぞれが水飲み場52の点群データD1を取得し、その点群データD1に個体識別データD2を関連付けてデータ合成部63に出力する。ここで、上記のようにデータ取得部62が駆動される際には水飲み場52に乳牛51がいることから、点群データD1には個体識別データD2が示す乳牛51が含まれていることとなる。
【0034】
データ合成部63は、2つのレーザ測定器13が取得した点群データD1を合成して、合成点群データD3(
図9参照)を生成する。ここで、2つのレーザ測定器13は、上記のように水飲み場52を挟んで対を為す位置に設けられているので、同じ水飲み場52を互いに異なる方向から測定していることとなる。このため、それぞれの点群データD1を合成(所謂点群合成)することで、水飲み場52の異なる面(例えば、そこにいる乳牛51に対して、一方が右側面、他方が左側面等)の表面形状を含む三次元位置データの集まりとすることができる。データ合成部63は、点群が重なり合う(オーバーラップする)部分を繋げること(所謂点群マッチング)や、目印となるターゲットを使用すること(所謂タイポイント法)やその他の公知の技術を用いて、点群データD1を合成して合成点群データD3を生成する。ここで、生育状況評価システム10では、データ取得領域14として水飲み場52を設定しているとともに、その水飲み場52に対するレーザ測定器13の位置関係が予め解っている。このため、それぞれのレーザ測定器13が取得した2つの点群データD1における点群が重なり合う部分の判別が容易であるので、データ合成部63は、合成点群データD3を適切に生成できる。データ合成部63は、生成した合成点群データD3に個体識別データD2を関連付けて動物抽出部64に出力する。
【0035】
動物抽出部64は、データ合成部63が生成した合成点群データD3の中から、乳牛51に相当する三次元座標位置(座標データ)のみを抽出することで、乳牛51の表面形状を示す動物点群データD4を生成する。ここで、生育状況評価システム10では、データ取得領域14として水飲み場52を設定しているとともに、その水飲み場52に対するレーザ測定器13の位置関係が予め解っているので、各レーザ測定器13が取得する水飲み場52の点群データも予め解っている。このため、動物抽出部64は、合成点群データD3と、乳牛51がいない状態の水飲み場52を示す点群データと、の差分を取ることで、動物点群データD4を生成する。この動物点群データD4は、両レーザ測定器13が上記のように配置されているので、水飲み場52にいる乳牛51の姿勢に拘らず、その臀部近傍51aの少なくとも半身が必ず含まれている。動物抽出部64は、生成した動物点群データD4に個体識別データD2を関連付けて面データ生成部65に出力する。
【0036】
なお、動物抽出部64は、動物点群データD4を生成するものであれば、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。例えば、動物抽出部64は、様々な角度や大きさや種類の乳牛51を示す三次元座標位置(座標データ)を予め登録しておき、それらとの比較により動物点群データD4を抽出してもよい。また、動物抽出部64は、水飲み場52における床面や壁等の綺麗な平面を合成点群データD3から抽出し、その平面を基準として乳牛51がいそうな場所を閾値処理することにより、乳牛51がいる可能性の高い場所を抽出する。そして、動物抽出部64は、抽出した場所をクラスタリング処理により近い点群データの塊を複数のグループに分け、その中の最も大きな塊を乳牛51であるとして動物点群データD4を抽出してもよい。
【0037】
面データ生成部65は、動物点群データD4に基づき、公知の技術を用いて乳牛51を面で示す三次元面データD5を生成する。実施例1の面データ生成部65は、三角メッシュを生成するアルゴリズムを用いて複数のメッシュを張り付け、ポアソン再構成を利用することにより、乳牛51の三次元面データD5(メッシュデータ)を生成する。なお、面データ生成部65は、三次元面データD5を生成するものであれば、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。面データ生成部65は、生成した三次元面データD5に個体識別データD2を関連付けて特定部位切出部66に出力する。
【0038】
特定部位切出部66は、乳牛51を示す三次元面データD5から、その臀部近傍51aの臀部近傍面データD6(
図12、
図13参照)を生成する。本開示では、乳牛51における臀部近傍51aが、その乳牛51の育成状況を評価する上で重要であると考えているので、特定部位切出部66で臀部近傍面データD6を生成する。実施例1の特定部位切出部66は、三次元面データD5から臀部近傍51aにおける骨の特徴部分を抽出し、その特徴部分に基づいて切出面を設定する。特定部位切出部66は、一例として、乳牛51の前後方向において、pin bone(
図13の符号Bp参照)とtail head(
図13の符号Bt参照)との中間位置からhook bone(
図13の符号Bh参照)の長さを基準(基準長さLrとする)として、pin boneから頭に向かってその基準長さLrの2倍の長さに相当する位置を、前後方向に直交する切出面Scvで切り取る。また、特定部位切出部66は、一例として、乳牛51の高さ方向において、下腹部(下っ腹から乳の辺り)を除くように、上下方向に直交する切出面Schで切り取る。これは、下腹部は、日毎に変化し易い部分であって、育成状況を判別する上で好ましくはないと考えたことによる。なお、臀部近傍面データD6は、臀部近傍51aを示す三次元座標位置(座標データ)であれば、その大きさ(各切出面の位置)は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。特定部位切出部66は、生成した臀部近傍面データD6に個体識別データD2を関連付けて部位体積算出部67に出力する。
【0039】
部位体積算出部67は、特定部位切出部66が生成した臀部近傍面データD6に基づいて、公知の技術を用いて臀部近傍面データD6(切り出した部位)の体積(切出部位体積Vc)を算出する。部位体積算出部67は、例えば、三次元面データD5における三角メッシュを底面としつつ臀部近傍面データD6内の基準点を頂点とする三角推の体積の算出を、全ての三角メッシュに対して行うことで、切出部位体積Vcを算出する。なお、部位体積算出部67は、臀部近傍面データD6の体積である切出部位体積Vcを算出するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。部位体積算出部67は、各切出部位体積Vcに個体識別データD2を関連付けて育成状況評価部71に出力する。
【0040】
切断面抽出部68は、臀部近傍面データD6から、乳牛51の臀部近傍51aを所定の平面に沿って切断した断面となる臀部近傍断面データD7(
図14参照)を生成する。実施例1の切断面抽出部68は、所定の平面を乳牛51の前後方向に直交するものとし、その前後方向における任意の位置に設定されたスライス位置Spに沿って臀部近傍面データD6を切断することにより、臀部近傍断面データD7を生成する。このスライス位置Spは、適宜設定すればよいが、実施例1では
図13に示す5箇所に設定しており、個別に示す際には頭側から順に末尾に1から5の数字を付している。スライス位置Sp1は、臀部近傍面データD6を切り出した際の切出面Scvと同じ位置としている。スライス位置Sp3は、hook boneの位置としている。スライス位置Sp2は、スライス位置Sp1とスライス位置Sp3との中間位置としている。スライス位置Sp5は、tail head(符号Bt参照)とpin bone(符号Bp参照)の中間位置としている。スライス位置Sp4は、スライス位置Sp3とスライス位置Sp5との中間位置としている。
【0041】
なお、切断面抽出部68は、臀部近傍断面データD7として、乳牛51の幅方向に直交する平面に沿って切断した断面を生成してもよい。この一例として、スライス位置Sp6を示す。このスライス位置Sp6を背骨とhook bone(符号Bh参照)の中間位置で背骨と平行としている。
【0042】
その臀部近傍断面データD7の一例を
図14に示す。その
図14では、各スライス位置Spの末尾の数字に対応させて正面視して左側から順に並べており、末尾に1から6の数字を付している。すなわち、臀部近傍断面データD71がスライス位置Sp1に、臀部近傍断面データD72がスライス位置Sp2に、臀部近傍断面データD73がスライス位置Sp3に、臀部近傍断面データD74がスライス位置Sp4に、臀部近傍断面データD75がスライス位置Sp5に、臀部近傍断面データD76がスライス位置Sp6に、それぞれ対応している。切断面抽出部68は、生成した臀部近傍断面データD7に個体識別データD2を関連付けて近似曲線算出部69に出力する。
【0043】
近似曲線算出部69は、切断面抽出部68が生成した臀部近傍断面データD7における外表面側の輪郭OL(
図14参照)に適合する近似曲線Ac(
図15、
図16参照)を算出する。近似曲線算出部69は、公地の技術を用いることで輪郭OLに適合する近似曲線Acを算出することができるが、実施例1ではベジェ曲線を用いることで近似曲線Acを滑らかなものとする。この概念を
図15、
図16を用いて説明する。
【0044】
図15は、輪郭OLの一部と、その適合させて算出した2つの近似曲線Ac(以下では、個別に示す際には左側を第1近似曲線Ac1とし、右側を第2近似曲線Ac2とする)と、を示している。その
図15では、互いの線が重なって見難くなるので、輪郭OLを太い実践で示すとともに、第1近似曲線Ac1を細い破線で示し、第2近似曲線Ac2を細い一点鎖線で示している。
【0045】
近似曲線算出部69は、
図15に示す輪郭OLの一部に対して、2つの近似曲線Ac(Ac1、Ac2とする)を算出したものとする。先ず、近似曲線算出部69は、輪郭OLのうちの左端近傍から中央近傍までに適合する第1近似曲線Ac1を算出するために、その輪郭OL上の始点と終点とに通過点Pを設定する。以下では、個別に示す際には、始点側を通過点Psとするとともに、終点側を通過点Peとする。また、近似曲線算出部69は、通過点Psから通過点Peに至る曲線の曲がり方を調整するために、複数の制御点(
図15の例ではC1、C2の2つ)を設定する。そして、近似曲線算出部69は、通過点Psから通過点Peに至る曲線が輪郭OLと重なるように、各制御点(C1、C2)の位置を調整する。これにより、近似曲線算出部69は、輪郭OLと重なりつつ通過点Psから通過点Peに至る第1近似曲線Ac1を求めることができる。
【0046】
次に、近似曲線算出部69は、輪郭OLのうちの中央近傍から右端近傍までに適合する第2近似曲線Ac2を算出するために、上記と同様に、輪郭OL上における中央近傍に通過点Ps´を、右端近傍に通過点Peをそれぞれ設定し、複数の制御点(C1´、C2´)を設定する。その通過点Ps´は、輪郭OLを切れ目なく近似曲線で示すために、第1近似曲線Ac1の通過点Peと同一座標とする。そして、近似曲線算出部69は、通過点Ps´から通過点Pe´に至る曲線が輪郭OLと重なるように、各制御点(C1´、C2´)の位置を調整する。これにより、近似曲線算出部69は、輪郭OLと重なりつつ通過点Psから通過点Peに至る第2近似曲線Ac2を求めることができる。
【0047】
ここで、近似曲線算出部69は、第1近似曲線Ac1と第2近似曲線Ac2とを滑らかに連続させるために、第1近似曲線Ac1における制御点C2から通過点Peまでと、第2近似曲線Ac2における通過点Ps´から制御点C1´までと、を同一直線上に位置させる。実施例1では、制御点C1´は、共通する通過点(Pe、Ps)に関して制御点C2と点対称となる位置とすることで、同一直線上に位置させつつ、実質的に制御点C1´の設定を省略している。このように、近似曲線算出部69は、上記のことを鑑みて各通過点Pおよび各制御点Cを設定することで、滑らかに連続しつつ輪郭OLと重なる両近似曲線(Ac1、Ac2)を求めることができる。
【0048】
実施例1の近似曲線算出部69は、近似曲線Acの求め方を規格化している。すなわち、近似曲線算出部69は、輪郭OLにおける乳牛51の特徴点(例えば、輪郭OLに現れる各種の骨の特徴部分等)を基準として、輪郭OLを複数の範囲に分割し、それぞれの範囲で近似曲線Acを求めるものとする。ここで、近似曲線算出部69は、乳牛51の特徴点を乳牛51の個体差に拘らず共通する箇所とすることで、全ての乳牛51に対して個体差に拘らず等しい数の近似曲線Acで輪郭OLを表すことができる。そして、近似曲線算出部69は、各領域の始点と終点とのそれぞれに通過点Pを設定するとともに、各領域において設定する制御点Cの数を予め規定する。これにより、近似曲線算出部69は、乳牛51の個体差に拘らず等しい数の近似曲線Acで輪郭OLを表すことができるとともに、乳牛51の個体差に応じてそれぞれの近似曲線Acにおける係数や各通過点Pおよび各制御点Cの位置を変化させることができる。
【0049】
そして、近似曲線算出部69は、上記のように臀部近傍断面データD7の輪郭OLに適合する複数の近似曲線Acを求めることで、輪郭OLを複数の近似曲線Acで表すことができる。その一例として、輪郭OLを複数の近似曲線Acで表した様子を
図16に示す。この
図16の例では、
図14の臀部近傍断面データD73の輪郭OLに適合させた近似曲線を示しており、9つの通過点Pと9つの制御点Cとを設定しており、8つの近似曲線Acで表すものとしている。なお、この
図16の例では、9つの制御点Cの他に、7つの制御点(
図16では区別するために対称制御点Csとする)を設けている。この7つの対称制御点Csは、上記のように隣り合う2つの近似曲線Acを滑らかに連続させるために、その間の通過点Pに関して制御点Cと点対称となる位置に設定している。また、9つの制御点Cのうちの、両端の制御点Cでは、隣り合う近似曲線Acが存在しないので、点対称となる位置の対称制御点Csを記載していない。このため、
図16の例では、実質的に9つの通過点Pと9つの制御点Cとを設定して、8つの近似曲線Acで表していることとなる。近似曲線算出部69は、各通過点Pと各制御点Cとを含む算出した複数の近似曲線Ac(そのデータ)を、そこに個体識別データD2を関連付けて育成状況評価部71に出力する。
【0050】
育成状況評価部71は、部位体積算出部67からの切出部位体積Vcや、近似曲線算出部69からの各近似曲線Acに基づいて、水飲み場52にいた乳牛51の育成状況の評価を示す評価データEvを生成する。育成状況評価部71は、例えば、切出部位体積Vcを用いることで、従来から用いられているBCSを求めることができ、このBCSを乳牛51の評価データEvとすることができる。また、育成状況評価部71は、各近似曲線Acにおける各係数(例えば、基準値からの変化量や係数毎の分布等)や、各通過点Pおよび各制御点Cの位置(座標または基準位置からの変位等)を求めることができ、それらを乳牛51の評価データEvとすることができる。育成状況評価部71は、乳牛51の評価データEvに個体識別データD2を関連付けて、適宜記憶部18に格納する。
【0051】
なお、育成状況評価部71は、切出部位体積Vcや各近似曲線Acに基づいて、他の数値等を用いることにより乳牛51の評価データEvを生成してもよい。例えば、育成状況評価部71は、対象とする乳牛51の切出部位体積Vcや各近似曲線Acの経時的な変化に基づいて評価データEvを生成してもよい。
【0052】
制御機構11は、記憶部18に格納された評価データEvを、表示部16に適宜表示させたり、通信部17を介して外部の機器に適宜出力させたりする。ここで、評価データEvには、個体識別データD2が関連付けられているので、いずれの乳牛51の育成状況を示すものであるのかを容易に把握できる。これにより、制御機構11は、乳牛51の評価データEvを報知することができる。
【0053】
次に、生育状況評価システム10を用いて、乳牛51の育成状況の評価を行う一例としての育成状況評価処理(育成状況評価制御方法)について、
図17を用いて説明する。この育成状況評価処理は、記憶部18または内部メモリ11aに記憶されたプログラムに基づいて、制御機構11が実行する。以下では、この
図17のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この
図17のフローチャートは、生育状況評価システム10が起動されてブラウザまたはアプリが立ち上がってカメラ12が駆動されるとともに、両レーザ測定器13が待機状態とされることにより開始される。
【0054】
ステップS1では、水飲み場52(データ取得領域14)に乳牛51が存在するか否かを判断し、YESの場合はステップS2へ進み、NOの場合はステップS1を繰り返す。ステップS1では、動物検出部61が、カメラ12が取得した画像Iを解析することで、水飲み場52に乳牛51がいるか否かを判断し、乳牛51がいる場合にはその旨の信号をデータ取得部62に出力する。加えて、実施例1のステップS1は、乳牛51を検出した場合、その乳牛51を個体別に識別した個体識別データD2を生成し、その個体識別データD2をデータ取得部62に出力する。
【0055】
ステップS2では、水飲み場52の点群データD1を取得して、ステップS3へ進む。ステップS2では、データ取得部62が、動物検出部61から乳牛51を検出した信号を受け取ると、2つのレーザ測定器13を駆動させて水飲み場52(データ取得領域14)の走査を行わせて、水飲み場52の点群データD1を取得させる。そして、ステップS2では、データ取得部62が、両レーザ測定器13からの点群データD1を受け取ると、それぞれの点群データD1に個体識別データD2を関連付けてデータ合成部63に出力する。
【0056】
ステップS3では、合成点群データD3を生成して、ステップS4へ進む。ステップS3では、データ合成部63が、両レーザ測定器13が取得した点群データD1を合成して、合成点群データD3を生成し、その生成した合成点群データD3に個体識別データD2を関連付けて動物抽出部64に出力する。
【0057】
ステップS4では、動物点群データD4を生成して、ステップS5へ進む。ステップS4では、動物抽出部64が、データ合成部63が生成した合成点群データD3から乳牛51に相当する三次元座標位置(座標データ)のみを抽出して動物点群データD4を生成し、その生成した動物点群データD4に個体識別データD2を関連付けて面データ生成部65に出力する。
【0058】
ステップS5では、三次元面データD5を生成して、ステップS6へ進む。ステップS5では、面データ生成部65が、動物抽出部64が生成した動物点群データD4から乳牛51の三次元面データD5を生成し、その生成した三次元面データD5に個体識別データD2を関連付けて特定部位切出部66に出力する。
【0059】
ステップS6では、臀部近傍面データD6を生成して、ステップS7へ進む。ステップS6では、特定部位切出部66が、面データ生成部65が生成した三次元面データD5から乳牛51の臀部近傍51aの臀部近傍面データD6を生成し、その生成した臀部近傍面データD6に個体識別データD2を関連付けて部位体積算出部67に出力する。
【0060】
ステップS7では、切出部位体積Vcを算出して、ステップS8へ進む。ステップS7では、部位体積算出部67が、特定部位切出部66が生成した臀部近傍面データD6(切り出した部位)からその体積である切出部位体積Vcを算出し、その算出した切出部位体積Vcに個体識別データD2を関連付けて育成状況評価部71に出力する。
【0061】
ステップS8では、臀部近傍断面データD7を生成して、ステップS9へ進む。ステップS8では、切断面抽出部68が、特定部位切出部66が生成した臀部近傍面データD6(切り出した部位)から乳牛51の臀部近傍51aを所定の平面に沿って切断した断面となる臀部近傍断面データD7を生成し、その生成した臀部近傍断面データD7に個体識別データD2を関連付けて近似曲線算出部69に出力する。
【0062】
ステップS9では、近似曲線Acを算出して、ステップS10へ進む。ステップS9では、近似曲線算出部69が、切断面抽出部68が生成した臀部近傍断面データD7における外表面側の輪郭OLに適合する近似曲線Acを算出し、その近似曲線Acをその各通過点Pと各制御点Cとともに個体識別データD2を関連付けて育成状況評価部71に出力する。
【0063】
ステップS10では、評価データEvを生成して、ステップS11へ進む。ステップS10では、育成状況評価部71が、部位体積算出部67からの切出部位体積Vcや、近似曲線算出部69からの各近似曲線Acに基づいて、水飲み場52にいた乳牛51の育成状況の評価を示す評価データEvを生成し、その評価データEvに個体識別データD2を関連付けて適宜記憶部18に格納する。
【0064】
ステップS11では、育成状況評価処理が終了されたか否かを判断し、YESの場合はこの育成状況評価処理を終了し、NOの場合はステップS1に戻る。ステップS11は、生育状況評価システム10が停止される、もしくは操作部15に育成状況評価処理を終了する旨の操作が為されると、育成状況評価処理が終了されたと判断する。
【0065】
次に、生育状況評価システム10を用いて、育成状況評価を行う様子について説明する。
生育状況評価システム10は、カメラ12を介して水飲み場52に乳牛51がいることを検出すると、両レーザ測定器13により水飲み場52の点群データD1を取得する(ステップS1、S2)。その後、生育状況評価システム10は、点群データD1に基づいて、乳牛51の臀部近傍51aの体積(切出部位体積Vc)を算出する(ステップS3からS7)とともに、臀部近傍51aの外表面側の輪郭OLに適合する近似曲線Acを算出する(ステップS3からS6、S8、S9)。そして、生育状況評価システム10は、切出部位体積Vcや近似曲線Acを用いて、乳牛51の評価データEvを生成し、適宜記憶部18に格納する(ステップS10)。生育状況評価システム10は、評価データEvを表示部16に適宜表示させたり、評価データEvを通信部17を介して外部の機器に適宜出力させたりすることで、評価データEvを報知できる。
【0066】
ここで、従来技術の生育状況評価システムは、距離画像センサを用いて動物の三次元座標群を取得している。その距離画像センサは、取得する三次元座標群の精度や解像度を高めることに限界があるので、その三次元座標群が実際の動物の輪郭を適切に表すことが困難である。このため、従来技術の健康状態推定装置では、三次元座標群を用いても、BCSにより適切な評価を得ることが困難となる。
【0067】
また、従来の健康状態推定装置では、距離画像センサを用いているので、三次元座標群が示す動物の輪郭がギザギザな凹凸となる等のように実際の動物とは異なり、適切な輪郭形状を数式(近似曲線)で表すことが困難となる。このため、従来の健康状態推定装置では、輪郭形状を適切に表す数式を得ることが困難となり、輪郭を用いて育成状況を適切に評価することが困難である。
【0068】
そして、従来、獣医等は、手触り等で乳牛の形状を把握することで、BCSを求めることが一般的である。すると、BCSでは、それを求める者(獣医等)が、自身の見え方に応じて、骨や肉付き等に基づく形状がどこに当て嵌まるのかを判断するので、求める者によってバラツキが生じてしまい、適切な評価を得ることが困難である。すなわち、従来のBCSは、求める者による個人差や、同じ者が求めた場合であっても判断の揺らぎが生じることにより、評価の精度を高めることが困難である。加えて、BCSでは、乳牛の形状を把握のために触れられたりすることが、乳牛にとってストレスとなってしまう。
【0069】
これらに対して、生育状況評価システム10は、レーザ測定器13を用いて動物(実施例1では乳牛51)の三次元座標群を取得している。そのレーザ測定器13は、精密な測量に用いられる水準での精度の三次元座標群(点群データD1)を取得可能であるとともに、解像度も極めて高くする(実施例1では12.5mmの間隔)ことができるので、その点群データD1が実際の乳牛51の輪郭を極めて忠実に表すことができる。ここで、実施例1のレーザ測定器13は、一例として、パルスレーザ光線の到達距離の精度を3.5mm以下の誤差とすることができ、走査面の精度を2.0mm以下の誤差とすることができ、測角の精度を鉛直、水平ともに6秒(角度)以下の誤差とすることができる。また、実施例1のレーザ測定器13は、低出力のモードとすることもできるが、その場合であってもパルスレーザ光線の到達距離の精度を4.0mm以下の誤差となることを除くと、その他に関しては上記した精度とすることができる。このように、生育状況評価システム10は、レーザ測定器13を用いることにより、極めて高い精度で三次元座標群を取得できるとともに解像度も極めて高くできる。このため、生育状況評価システム10は、レーザ測定器13からの点群データD1を用いることで、育成状況の評価を適切に得ることができる。
【0070】
また、生育状況評価システム10は、レーザ測定器13を用いているので、点群データD1が示す乳牛51の輪郭OLが実際の乳牛51の輪郭を極めて忠実に表すことができるので、輪郭OLを滑らかな曲線で近似することができ、実際の乳牛51の輪郭に適切に表す近似曲線Acを求めることができる。このため、生育状況評価システム10では、実際の乳牛51の輪郭を極めて忠実に表した近似曲線Acを求めることができるので、輪郭OLを標準化した数式で示すことができ、バラツキのない育成状況の評価を得ることができる。すなわち、生育状況評価システム10は、点群データD1に基づく輪郭OLを近似して近似曲線Acを求めることにより、乳牛51の体形を数式で表すことができるようになって、育成状況の評価を計算により算出できるようになるので、その評価を客観的かつ適切なものにできる。
【0071】
さらに、生育状況評価システム10は、その近似曲線Acの求め方を規格化することで、輪郭OLの個体差を、近似曲線Acにおける各係数や各通過点Pおよび各制御点Cの位置等で示すことができる。このため、生育状況評価システム10は、各係数や各通過点Pおよび各制御点Cの位置等の変化等で評価データEvを生成することができ、よりバラツキのない育成状況の判断を可能とする。
【0072】
加えて、生育状況評価システム10は、レーザ測定器13で取得した点群データD1から求めた近似曲線Acを用いて評価データEvを生成するので、その評価データEvを育成状況の評価として知らせることができる。このため、生育状況評価システム10は、求める者による個人差や判断の揺らぎが育成状況の評価に反映することを防止できるとともに、場所や施設や時間等が異なることに起因する差異をなくすことができる。これにより、生育状況評価システム10は、統一した基準で評価データEvを生成することができ、定量的な数値として乳牛51(動物)を評価できる。
【0073】
生育状況評価システム10は、カメラ12を介して水飲み場52に乳牛51がいることを検出したときだけ、両レーザ測定器13により水飲み場52の点群データD1を取得し、それに基づいて評価データEvを生成できる。このため、生育状況評価システム10は、乳牛51が自らの意思で水飲み場52にくることを利用しつつ、その乳牛51に触れることなく評価データEvを得られる。よって、生育状況評価システム10は、評価データEvの生成のために、触れたり意思に反した場所等へ導いたりする等のストレスを乳牛51に与えることなく、適切な育成状況の判断を可能とする。また、生育状況評価システム10は、乳牛51の自然な行動を利用して自動で評価データEvを得るものなので、時刻の制限をなくすことができ、一日中(24時間)管理できる。さらに、生育状況評価システム10は、水飲み場52に乳牛51がいない場合には、両レーザ測定器13により点群データD1を取得することはないので、不要なデータの取得や蓄積を防止することができ、効率良く運用できる。
【0074】
本開示に係る生育状況評価システムの実施例1の生育状況評価システム10は、以下の各作用効果を得ることができる。
生育状況評価システム10は、出射したレーザ光(パルスレーザ光線)の動物(乳牛51)からの反射光を受光することで動物の外形を三次元座標で示す点群データD1を取得するレーザ測定器13を備える。また、生育状況評価システム10は、点群データD1に基づいて動物の三次元面データD5を生成する面データ生成部65と、三次元面データD5に適合する近似曲線Acを算出する近似曲線算出部69と、近似曲線Acに基づいて、動物の評価を示す評価データEvを生成する育成状況評価部71と、を備える。このため、生育状況評価システム10は、実際の動物の輪郭を極めて忠実に表す点群データD1に基づいて、輪郭OLを標準化した数式で示す近似曲線Acを算出することができ、その近似曲線Acから評価データEvを生成できるので、バラツキのない適切な育成状況の評価を得ることができる。
【0075】
また、生育状況評価システム10は、近似曲線算出部69が、三次元面データD5を切断平面に沿って切断した切断面(臀部近傍断面データD7)の輪郭OLに適合させて近似曲線Acを算出する。このため、生育状況評価システム10は、切断面の位置を、骨等を利用した特徴部分に基づいて定めることで、生成する評価データEvの容量を抑制しつつ、動物同士の比較を容易として育成状況を適切に評価できる。
【0076】
さらに、生育状況評価システム10は、動物(乳牛51)の点群データD1を取得するデータ取得領域14を設定し、そのデータ取得領域14に動物がいることを検出する動物検出機構(カメラ12、動物検出部61)を備える。そして、生育状況評価システム10は、レーザ測定器13が、動物検出機構(カメラ12、動物検出部61)が動物を検出すると、データ取得領域14の点群データD1を取得する。このため、生育状況評価システム10は、動物がデータ取得領域14にいる時だけレーザ測定器13を駆動させるので、容量の大きな点群データD1を動物が存在しない状態で取得することがなくなり、効率良く評価データEvを生成できる。加えて、生育状況評価システム10は、触れたり意思に反した場所等へ導いたりする等のストレスを動物に与えることなく評価データEvを生成でき、動物の育成を阻害することを防止できる。特に、実施例1の生育状況評価システム10は、データ取得領域14を水飲み場52としているので、動物が自然に行動している中で自ら停止するときを利用して評価データEvを生成できるので、その生成に伴う動物のストレスをなくすことができる。
【0077】
生育状況評価システム10は、レーザ測定器13を、データ取得領域14を挟んで対を為して設けている。このため、生育状況評価システム10は、データ取得領域14において、動物の位置や姿勢や向いている方向等に拘らず、動物の点群データD1を取得でき、ストレスを軽減しつつ動物の適切な評価データEvを生成できる。特に、実施例1では、両レーザ測定器13は、データ取得領域14としての水飲み場52にいる動物の姿勢に拘らず、その動物の少なくとも半身(左右のいずれか一方)の点群データD1を取得可能とするように、水飲み場52に対する位置関係が設定されている。このため、生育状況評価システム10は、評価データEvの生成のために生じる動物のストレスをなくしつつ、評価データEvの生成に必要な点群データD1の取得の可能性を極めて高めることができる。
【0078】
生育状況評価システム10は、さらに、各レーザ測定器13が取得した点群データD1を合成して合成点群データD3を生成するデータ合成部63と、合成点群データD3から動物(乳牛51)を示す動物点群データD4を生成する動物抽出部64と、を備える。そして、生育状況評価システム10は、面データ生成部65が、動物点群データD4から三次元面データD5を生成する。このため、生育状況評価システム10は、2つの点群データD1を合成して合成点群データD3とすることで、動物における育成状況の評価のために必要なデータ(実施例1では臀部近傍51aの少なくとも半身)の取得の可能性を極めて高めることができる。また、生育状況評価システム10は、合成点群データD3のうちで育成状況の評価のために必要となる動物を示すもの(動物点群データD4)を生成し、そこからから三次元面データD5、評価データEvを生成するので、三次元面データD5および評価データEvの容量およびその生成のための作業量を抑制でき、効率良く評価データEvを生成できる。
【0079】
生育状況評価システム10は、動物検出機構(カメラ12、動物検出部61)が、検出した動物(乳牛51)を個体別に識別した個体識別データD2を生成し、育成状況評価部71が、生成した評価データEvに個体識別データD2を関連付ける。このため、生育状況評価システム10は、複数の動物がデータ取得領域14に時間や順序の決まりなく訪れるような状況であっても、それぞれの動物の育成状況の評価を適切に得ることができる。
【0080】
したがって、本開示に係る生育状況評価システムの一実施例としての生育状況評価システム10では、動物(乳牛51)の育成状況の評価を適切に得ることができる。
【0081】
以上、本開示の生育状況評価システムを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0082】
例えば、実施例1では、水飲み場52をデータ取得領域14として設定している。しかしながら、データ取得領域14は、適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。ここで、データ取得領域14は、餌場等のように、水飲み場52と同様に動物が自らの意思で定期的に訪れる場所を設定することで、動物にとってのストレスとなることなく育成状況の評価を適切に得ることができる。加えて、データ取得領域14は、各レーザ測定器13による走査を完了するために必要な時間だけ、動物が自らの意思で立ち止まる場所に設定することで、動物のストレスをより低減しつつ育成状況の評価を適切に得ることができる。ここで、上記の必要な時間は、各レーザ測定器13における走査の速度に左右されるもので、例えば、一度に放射するパルスレーザ光線の本数を増やすことで短くすることができ、立ち止まる時間を短くしても点群データD1を適切に取得できる。
【0083】
また、実施例1では、動物の一例として乳牛51を対象として、その育成状況の評価を示す評価データEvを生成している。しかしながら、評価データEvを生成(育成状況を評価する対象と)するものは、育成状況の評価が求められる動物であればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0084】
さらに、実施例1では、近似曲線算出部69が、切断面抽出部68が生成した臀部近傍断面データD7における外表面側の輪郭OLに適合する近似曲線Acを算出している。しかしながら、臀部近傍51aすなわち臀部近傍断面データD7において、育成状況の評価に用いる箇所は基本的に左右対称であるので、臀部近傍断面データD7(臀部近傍51a)の左右いずれかの半身に対して近似曲線Acを算出(半身で評価する)してもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0085】
実施例1では、動物検出部61が、カメラ12からの画像に基づいて、データ取得領域14に動物がいることを検出する動物検出機構として機能している。しかしながら、動物検出機構は、データ取得領域14に動物がいることを検出するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。この一例として、例えば、カメラ12に替えて赤外線スキャナや赤外線サーモグラフィのように赤外線を利用したものを用いることができる。この場合には、暗い状況であっても動物の検出をより確実なものにできる。また、他の例として、例えば、水飲み場52の蛇口に圧力センサを設けたり、データ取得領域14に重さを検知する装置を設けたり、データ取得領域14の出入り口にセンサを設けたりすることができる。
【0086】
実施例1では、レーザ測定器13を、データ取得領域14を挟んで対を為して設けている。しかしながら、レーザ測定器13は、データ取得領域14に存在する動物の点群データD1を取得するものであれば、単一としてもよく、3つ以上設けてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0087】
実施例1では、特定部位切出部66が、乳牛51の臀部近傍51aの臀部近傍面データD6を生成している。しかしながら、特定部位切出部66は、動物の育成状況の評価に適した箇所を特定部位として切り出すものであれば、特定する部位は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0088】
実施例1では、特定部位切出部66や切断面抽出部68や近似曲線算出部69が、骨の特徴部分を基準としている。しかしながら、それらの各部(66、68、69)は、動物の部位を設定する際に検出可能であって動物の個体差に拘らず共通するものであれば、他の部分を基準としてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0089】
実施例1では、近似曲線算出部69が、ベジェ曲線を用いて近似曲線Acを算出している。しかしながら、近似曲線算出部69は、特定された箇所の輪郭(実施例1では臀部近傍断面データD7の輪郭OL)を適合しつつ所定の形式とされた式で表すことのできる近似曲線を算出するものであれば、近似曲線の算出方法は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
10 生育状況評価システム 12 (一例としての動物検出機構の一部を構成する)カメラ 13 レーザ測定器 14 データ取得領域 51 (動物の一例としての)乳牛 61 (一例としての動物検出機構の一部を構成する)動物検出部 63 データ合成部 64 動物抽出部 65 面データ生成部 69 近似曲線算出部 71 育成状況評価部 Ac 近似曲線 D1 点群データ D2 個体識別データ D3 合成点群データ D4 動物点群データ D5 三次元面データ D7 (切断面の一例としての)臀部近傍断面データ Ev 評価データ OL 輪郭