(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150139
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】分岐部保護構造、及び分岐部保護方法
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20220929BHJP
H02G 3/06 20060101ALI20220929BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H02G3/04 068
H02G3/06
B60R16/02 623U
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052601
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】山口 ビニシウス
(72)【発明者】
【氏名】奥川 伸輝
(72)【発明者】
【氏名】水野 圭吾
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD10
5G357DD12
5G357DG05
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で分岐部を保護できる分岐部保護構造及び分岐部保護方法を提供すること。
【解決手段】可撓性を有する主管状保護部材20及び枝管状保護部材30の内部に挿通されたワイヤーハーネス10において、複数の電線が束ねられた主幹線11から分岐方向Bに向かって枝線12が分岐された分岐部13を保護する分岐保護構造1は、主幹線11が挿通する主管状保護部材20と、枝線12が挿通する枝管状保護部材30とが備えられ、分岐部13において枝線12は、主管状保護部材20から分岐方向Bに向かって導出され、分岐方向Bに向かって延出する枝線12が挿通する枝管状保護部材30の主幹線11側の端部は、軸線方向Lに延びる複数の枝本体側スリット32によって形成された複数の延出片33,33を有し、複数の延出片33,33は、主幹線11に沿うように、分岐方向Bからそれぞれ異なる方向に曲げられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
束ねられた複数の電線が、可撓性を有する管状保護部材の内部に挿通されたワイヤーハーネスにおいて、複数の前記電線が束ねられた主幹線から、前記主幹線の軸線方向と交差する分岐方向に向かって枝線が分岐された分岐部を保護する分岐部保護構造であって、
前記主幹線が挿通する主管状保護部材と、
前記枝線が挿通する枝管状保護部材とが備えられ、
前記分岐部において前記枝線は、前記主管状保護部材から前記分岐方向に向かって導出され、
前記分岐方向に向かって延出する前記枝線が挿通する前記枝管状保護部材の前記主幹線側の端部は、軸方向に延びる複数のスリットによって形成された複数の延出片を有し、
複数の前記延出片は、前記主幹線あるいは前記主管状保護部材に沿うように、前記分岐方向からそれぞれ異なる方向に曲げられた
分岐部保護構造。
【請求項2】
2本の前記スリットによって、ふたつの前記延出片が形成された
請求項1に記載の分岐部保護構造。
【請求項3】
前記延出片は、前記軸線方向に向かう方向に曲げられた
請求項1又は請求項2に記載の分岐部保護構造。
【請求項4】
前記延出片は、前記軸線方向に交差する軸線交差方向に向かうとともに、前記主幹線あるいは前記主管状保護部材の外側を巻き回す方向に曲げられた
請求項1又は請求項2に記載の分岐部保護構造。
【請求項5】
前記延出片は、前記主管状保護部材の内部において前記主幹線に沿うとともに、前記主幹線に固定された
請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の分岐部保護構造。
【請求項6】
前記主管状保護部材には、周方向の一部に前記軸方向に連続するメインスリットが設けられ、
前記枝線は、前記メインスリットから外部に導出され、
前記延出片は、少なくとも、前記枝線が導出された箇所の周りの前記主管状保護部材の外周に巻き回したテープで固定された
請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の分岐部保護構造。
【請求項7】
前記枝管状保護部材は、前記主管状保護部材より細径である
請求項1乃至請求項6のうちのいずれかに記載の分岐部保護構造。
【請求項8】
前記管状保護部材は、凹凸が長手方向に交互に配置されたコルゲートで構成された
請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載の分岐部保護構造。
【請求項9】
束ねられた複数の電線を、凹凸が長手方向に交互に配置されたコルゲートの内部に挿通されたワイヤーハーネスにおいて、複数の前記電線が束ねられた主幹線から、前記主幹線の軸線方向と交差する分岐方向に向かって枝線が分岐された分岐部を保護する分岐部保護方法であって、
前記主幹線が挿通する主管状保護部材と、
前記枝線が挿通する枝管状保護部材とが備えられ、
前記分岐部において前記主管状保護部材を前記分岐方向に向かって導出される前記枝線が挿通する前記枝管状保護部材の前記主幹線側の端部に設けた、軸方向に延びる複数のスリットによって形成された複数の延出片を、前記主幹線あるいは前記主管状保護部材に沿うように、前記分岐方向からそれぞれ異なる方向に曲げる
分岐部保護方法。
【請求項10】
2本の前記スリットによって、ふたつの前記延出片が形成された
請求項9に記載の分岐部保護方法。
【請求項11】
前記延出片を、前記軸線方向に沿う方向に曲げる
請求項9又は請求項10に記載の分岐部保護方法。
【請求項12】
前記延出片は、前記軸線方向に交差する軸線交差方向に沿うとともに、前記主幹線あるいは前記主管状保護部材の外側を巻き回す方向に曲げる
請求項9又は請求項10に記載の分岐部保護方法。
【請求項13】
前記延出片を前記主幹線に沿うように曲げるとともに、前記主幹線に固定してから、
前記主管状保護部材を装着する
請求項9乃至請求項12のうちのいずれかに記載の分岐部保護方法。
【請求項14】
前記主管状保護部材に設けられた、周方向の一部に前記長手方向に連続するスリットから前記枝線を外部に導出し、
少なくとも、前記枝線が導出された箇所の周りの前記主管状保護部材の外周に巻き回したテープで固定する
請求項12に記載の分岐部保護方法。
【請求項15】
前記枝管状保護部材は、前記主管状保護部材より細径である
請求項9乃至請求項14のうちのいずれかに記載の分岐部保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、主幹線から枝線が分岐された分岐部を保護する分岐部保護構造及び分岐部保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されている電気機器同士を電気的に接続している長尺状のワイヤーハーネスは、自動車の車両の凹凸形状に合わせて直線部分と湾曲部分とを組み合わせた2次元的、又は、3次元的に複雑な配索経路で配索されている。
【0003】
このワイヤーハーネスは、可撓性を有するとともに、長尺状に構成された中空状のコルゲートチューブ(以下、コルゲートとする。)などの管状保護部材に挿通させて保護されていることがある。しかしながら、ワイヤーハーネスの主幹線から枝線が分岐する分岐部では、枝線がコルゲートと干渉するため、分岐部をコルゲートに挿通させることができない。
【0004】
そのため、主幹線と枝線との分岐部に、主幹線及び枝線の延びる方向に沿って分岐した円筒状の硬質プロテクタを組み付け、分岐部をプロテクタで囲繞することで、分岐部を保護することがあった(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、枝線の分岐方向や、主幹線などに外装されたコルゲートの外径などは配索箇所によってそれぞれ異なり、分岐部の形状は多種多様である。そのため、それぞれの分岐部に合わせた硬質プロテクタを準備する必要があった。そこで、より簡易な構造で分岐部を保護できる分岐部保護構造が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の問題に鑑み、簡易な構造で分岐部を保護できる分岐部保護構造及び分岐部保護方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、束ねられた複数の電線が、可撓性を有する管状保護部材の内部に挿通されたワイヤーハーネスにおいて、複数の前記電線が束ねられた主幹線から、前記主幹線の軸線方向と交差する分岐方向に向かって枝線が分岐された分岐部を保護する分岐部保護構造であって、前記主幹線が挿通する主管状保護部材と、前記枝線が挿通する枝管状保護部材とが備えられ、前記分岐部において前記枝線は、前記主管状保護部材から前記分岐方向に向かって導出され、前記分岐方向に向かって延出する前記枝線が挿通する前記枝管状保護部材の前記主幹線側の端部は、軸方向に延びる複数のスリットによって形成された複数の延出片を有し、複数の前記延出片は、前記主幹線あるいは前記主管状保護部材に沿うように、前記分岐方向からそれぞれ異なる方向に曲げられたことを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、束ねられた複数の電線を、凹凸が長手方向に交互に配置されたコルゲートの内部に挿通されたワイヤーハーネスにおいて、複数の前記電線が束ねられた主幹線から、前記主幹線の軸線方向と交差する分岐方向に向かって枝線が分岐された分岐部を保護する分岐部保護方法であって、前記主幹線が挿通する主管状保護部材と、前記枝線が挿通する枝管状保護部材とが備えられ、前記分岐部において前記主管状保護部材を前記分岐方向に向かって導出される前記枝線が挿通する前記枝管状保護部材の前記主幹線側の端部に設けた、軸方向に延びる複数のスリットによって形成された複数の延出片を、前記主幹線あるいは前記主管状保護部材に沿うように、前記分岐方向からそれぞれ異なる方向に曲げることを特徴とする。
【0010】
前記管状保護部材とは、例えば前記管状保護部材の軸方向(長手方向)に沿って凹凸形状を繰り返すコルゲートの他、可撓性を有する円筒状のチューブなどを含む。また、前記管状保護部材は、前記管状保護部材の軸方向と直交する直交断面が円形状である場合や多角形状である場合を含む。
前記軸線方向は、前記主幹線における分岐部よりも一方側に沿った方向をさす。
【0011】
上述の前記主幹線あるいは前記主管状保護部材に沿うようにとは、前記主幹線の軸線方向あるいは前記主管状保護部材の軸方向に沿う場合や、前記主幹線の軸線方向あるいは前記主管状保護部材の軸方向と交差する軸線交差断面における周方向に沿う場合を含む。
【0012】
前記分岐部において前記枝線は、前記主管状保護部材から前記分岐方向に向かって導出されとは、前記主管状保護部材に枝線を導出するために設けた貫通孔や、前記主管状保護部材の軸方向に沿って一端から他端まで、あるいは軸方向における一部分に設けられたスリットから、枝線を導出する場合などを含む。
【0013】
この発明により、枝線を挿通させた枝管状保護部材の延出片を主幹線あるいは主管状保護部材に沿わせることができ、枝線が導出された箇所における主管状保護部材と枝管状保護部材との間に生じる隙間を延出片で塞ぐことができる。このように、枝管状保護部材に複数のスリットを設けて延出片を形成するだけの簡易な構造で、主幹線から枝線が分岐する分岐部を保護することができる。
【0014】
また、主幹線あるいは主管状保護部材に、枝線を挿通する枝管状保護部材の端部に設けた延出片を沿わせるだけで、容易に分岐部を保護することができるため、枝線が様々な方向に分岐する場合であっても分岐部を保護できる。
【0015】
この発明の態様として、2本の前記スリットによって、ふたつの前記延出片が形成されてもよい。
上述の2本の前記スリットは、前記枝管状保護部材における中心軸を回転軸として回転対称形状の位置に設けられている場合や、回転非対称の位置に設けられている場合を含む。すなわち、ふたつの延出片が同形状である場合や異形状である場合を含む。
【0016】
この発明によると、2本のスリットを設けるだけでふたつの延出片を形成し、分岐部を保護することができる。すなわち、延出片を設けるための加工が容易であるため、生産性を向上させることができるとともに、分岐部を保護することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記延出片は、前記軸線方向に向かう方向に曲げられてもよい。
この発明により、分岐部における枝線の根本を、延出片で覆うことができるため、より確実に分岐部を保護することができる。また、軸線方向に沿った少なくとも2方向で延出片を固定することができるため、主管状保護部材あるいは主幹線に対して枝管状保護部材を安定して固定できる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記延出片は、前記軸線方向に交差する軸線交差方向に向かうとともに、前記主幹線あるいは前記主管状保護部材の外側を巻き回す方向に曲げられてもよい。
この発明により、枝管状保護部材に対する分岐方向への引き抜き強度を向上させることができるため、分岐方向の主幹線側と反対側に向けて外力が作用した場合であっても、枝管状保護部材を確実に主管状保護部材あるいは主幹線に固定できる。したがって、分岐部を確実に保護することができる。
【0019】
また、延出片が枝管状保護部材の軸方向と直交する直交方向の内側に湾曲されるため、延出片が直交方向の外側に湾曲される場合に比べて、延出片及び延出片の境界部分にかかる負荷を軽減できる。これにより、外力が作用したとしても、延出片が損傷しにくく、安定して分岐部を保護することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記延出片は、前記主管状保護部材の内部において前記主幹線に沿うとともに、前記主幹線に固定されてもよい。
この発明により、枝管状保護部材が主幹線から脱落することを防止しつつ、枝管状保護部材が枝線の導出位置から移動することを防止できる。また、導出された枝線が主管状保護部材と干渉して損傷することを防止できる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記主管状保護部材には、周方向の一部に前記軸方向に連続するメインスリットが設けられ、前記枝線は、前記メインスリットから外部に導出され、前記延出片は、少なくとも、前記枝線が導出された箇所の周りの前記主管状保護部材の外周に巻き回したテープで固定されてもよい。
【0022】
この発明によると、分岐部が主管状保護部材の内部に収容されるため、確実に分岐部を保護することができる。また、主管状保護部材における枝線の導出された箇所の周辺に延出片が固定されるため、延出片により主幹線から分岐される枝線の根本部分を確実に保護することができる。
【0023】
さらにまた、延出片を主管状保護部材の外周に巻き回したテープで固定することから、枝管状保護部材を主管状保護部材に後付けできるため、容易に枝管状保護部材を主管状保護部材に装着することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記枝管状保護部材は、前記主管状保護部材より細径であってもよい。
この発明により、枝管状保護部材を枝線の外径に合わせることができるため、枝管状保護部材のコンパクト化を図ることができる。
【0025】
また、枝管状保護部材における延出片を主幹線に固定する場合には、容易に主管状保護部材から枝管状保護部材を導出させることができる。これにより、分岐部の確実な保護に加え、分岐部に主管状保護部材及び枝管状保護部材を装着させる作業の作業性を向上させることができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記管状保護部材は、凹凸が長手方向に交互に配置されたコルゲートで構成されてもよい。
【0027】
この発明により、既製品であるコルゲートを加工することで保護できるため、安定供給することができるとともに、コスト低下を図ることができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明により、この発明は、上述の問題に鑑み、簡易な構造で分岐部を保護できる分岐部保護構造及び分岐部保護方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図5】分岐部に対する主管状保護部材及び枝管状保護部材の組み付け方法を説明する断面図。
【
図6】分岐部に対する主管状保護部材及び枝管状保護部材の組み付け方法を説明する断面図。
【
図8】他の実施形態の分岐部保護構造の概略斜視図。
【
図9】他の実施形態の分岐部保護構造の概略分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の一実施態を以下
図1乃至
図6とともに説明する。
図1は分岐保護構造1の概略斜視図を示し、
図2は分岐保護構造1の概略分解斜視図を示し、
図3は主管状保護部材20の平面図を示し、
図4は枝管状保護部材30の側面図を示す。
図5及び
図6は分岐部13に対して主管状保護部材20及び枝管状保護部材30の装着方法を説明する断面図を示す。
【0031】
図4乃至
図6について詳述する。
図4(a)は第1スリット321が設けられた側の側面図を示し、
図4(b)は第2スリット322が設けられた側の側面図を示す。
図4(c)は枝本体側スリット32を径外側に湾曲させた状態における第2スリット322が設けられた側の側面図を示す。
【0032】
図5及び
図6は、分岐部13における軸線方向L及び分岐方向Bに直交する方向に対して直交する直交断面を、第1スリット321側から視た断面図を示す。
図5(a)は分岐部13に枝管状保護部材30を装着する前の断面図を示し、
図5(b)は分岐部13に枝管状保護部材30を装着した状態の断面図を示す。
図6(a)は枝管状保護部材30を装着した分岐部13に対して主管状保護部材20を装着する前の断面図を示し、
図6(b)は枝管状保護部材30を組み付けた分岐部13に対して主管状保護部材20を組み付けた状態の断面図を示す。
【0033】
なお、全体構造を理解しやすくするため、
図3及び
図4を除き、隆起部と溝部とで凹凸形状を繰り返すコルゲートの隆起部(凸形状)と溝部(凹形状)の図示を省略している。
【0034】
ここで、便宜上、
図1における主管状保護部材20の長手方向を軸線方向Lとし、枝管状保護部材30の長手方向を分岐方向Bとする。また、
図1中において、軸線方向Lに沿って左側を先端側Lfとし、軸線方向Lに沿って右側を基端側Lbとし、
図1中の上側及び下側を上方及び下方とする。なお、軸線方向Lと分岐方向Bは直交するものとする。
【0035】
すなわち、主幹線11の延びる方向は軸線方向Lとなり、主幹線11に対して枝線12の分岐する方向は分岐方向Bとなる。
なお、これらの方向は、
図2乃至
図10でも同様とする。
【0036】
分岐保護構造1は、
図1及び
図2に示すように、ワイヤーハーネス10において、複数の電線が束ねられた主幹線11から、主幹線11の軸線方向Lと交差する分岐方向Bに向かって枝線12が分岐する分岐部13を保護する構造である。分岐保護構造1は、主幹線11が挿通する管状の主管状保護部材20と、枝線12が挿通する管状の枝管状保護部材30とが備えられている。
【0037】
ワイヤーハーネス10は、車両に搭載された電気機器類を電気的に接続する複数の電線が束ねられて構成されている。
このワイヤーハーネス10を構成する主幹線11は、導線を絶縁被覆で被覆した被覆電線の束であり、例えばバッテリなど一般的に搭載されている電気機器類同士を電気的に接続している。
【0038】
枝線12は主幹線11から分岐方向Bに引き出した被覆電線であり、例えば、車両にオプションとして搭載される電子機器類などと接続されている。ここで、主幹線11から枝線12を引き出した分岐部分を分岐部13とする。
【0039】
主管状保護部材20は、内部に主幹線11を挿通する円筒状に構成された樹脂製のコルゲートであり、
図3に示すように、第1主隆起部20aと第1主溝部20bとが軸線方向Lに沿って交互に配置された、可撓性を有する蛇腹構造で構成されている。
【0040】
また、主管状保護部材20は、
図3に示すように、円筒状に構成された主筒状本体21で構成され、主筒状本体21の上方には、主筒状本体21の軸方向(軸線方向L)に沿って基端側Lbの端部から先端側Lfの端部まで延びる直線状の主本体側スリット22が設けられている。
【0041】
枝管状保護部材30は、内部に枝線12を挿通する円筒状に構成された樹脂製のコルゲートである。この枝管状保護部材30は、主管状保護部材20よりも細径で構成され、
図4に示すように、第2主隆起部30aと第2主溝部30bとが分岐方向Bに沿って交互に配置された、可撓性を有する蛇腹構造で構成されている。
【0042】
この枝管状保護部材30は、
図2及び
図4に示すように、円筒状に構成された枝筒状本体31で構成され、枝筒状本体31には2本の枝本体側スリット32が設けられている。
より具体的に説明すると、枝本体側スリット32は、枝筒状本体31の軸方向(分岐方向B)に沿って一端から他端まで延びる直線状の第1スリット321と(
図4(a)参照)、主筒状本体21の一端側の端部から分岐方向Bに沿って延びる,第2スリット322とで構成されている(
図4(b)参照)。
【0043】
なお、この第1スリット321と第2スリット322は、分岐方向Bと直交する直交断面において、枝筒状本体31の中心軸を回転軸として、回転対称の位置に設けられている。すなわち、第1スリット321と第2スリット322とは、枝筒状本体31の一端側において対向配置されている。
【0044】
第2スリット322は、枝筒状本体31の分岐方向Bに沿った長さの約半分程度の長さを有しており、第2スリット322の他端側の端部は、
図4(b)に示すように、第2主溝部30bに配置されている。
【0045】
このように設けられた第1スリット321と第2スリット322とによって、枝筒状本体31の分岐部13側の端部には、一対の延出片33,33が形成されている。この延出片33,33は可撓性を有しており、例えば
図4(c)に示すように、延出片33,33を枝筒状本体31の径方向外側に向けて湾曲させることができる。
【0046】
次に、このように構成された主管状保護部材20及び枝管状保護部材30を分岐部13に装着する方法について、
図5及び
図6に基づき簡単に説明する。
はじめに、
図5(a)に示すように、延出片33,33が設けられた枝筒状本体31の端部が分岐部13を向くとともに、延出片33,33が軸線方向Lを向くように、枝管状保護部材30の第1スリット321から分岐方向Bに延びる枝線12を枝管状保護部材30に挿入する。
【0047】
そして、
図5(b)に示すように、枝線12に沿って枝管状保護部材30を分岐部13に向けて移動させるとともに、一対の延出片33,33をそれぞれ基端側Lb及び先端側Lfに曲げながら延出片33,33を主幹線11に当接させてテープTで固定する。これにより、枝管状保護部材30が分岐部13に固定され、枝線12に対する枝管状保護部材30の位置ずれを防止することができる。
【0048】
続いて、
図6(a)に示すように、主本体側スリット22を主筒状本体21の径外側に向けて広げ、枝管状保護部材30が組み付けられた分岐部13を挟み込むように、軸線方向Lに沿って延びる主幹線11を主管状保護部材20に挿入する(
図1参照)。
これにより、
図6(b)に示すように、分岐部13に対して装着された主管状保護部材20及び枝管状保護部材30で分岐部13を保護する分岐保護構造1とすることができる。
【0049】
詳述すると、分岐保護構造1は、ワイヤーハーネス10において、枝線12が分岐方向Bに沿って主幹線11から分岐する分岐部13を保護する主管状保護部材20及び枝管状保護部材30を備えている。そして、分岐部13において枝線12及び枝管状保護部材30は、主管状保護部材20の内部から分岐方向Bに向かって外部に導出される。
【0050】
また、枝線12を挿通する枝管状保護部材30における分岐部13側の端部には、2本の枝本体側スリット32(第1スリット321、第2スリット322)によって形成されたふたつの延出片33,33を有している。そして、延出片33,33は主幹線11に沿うように、分岐方向Bからそれぞれ異なる方向である先端側Lf及び基端側Lbに向けて曲げられ、主幹線11に固定されている。
【0051】
これにより、分岐部13は主管状保護部材20及び枝管状保護部材30で囲まれるため、分岐部13を確実に保護することができる。また、主本体側スリット22と枝線12との間に枝筒状本体31が配置されるため、枝線12が主本体側スリット22の角部分と当接して損傷することを防止できる。
【0052】
このように分岐保護構造1は、束ねられた複数の電線が、可撓性を有する主管状保護部材20及び枝管状保護部材30の内部に挿通されたワイヤーハーネス10において、複数の電線が束ねられた主幹線11から、主幹線11の軸線方向Lと交差する分岐方向Bに向かって枝線12が分岐された分岐部13を保護する。詳述すると、分岐保護構造1は、主幹線11が挿通する主管状保護部材20と、枝線12が挿通する枝管状保護部材30とが備えられ、分岐部13において枝線12は、主管状保護部材20から分岐方向Bに向かって導出されている。そして、分岐方向Bに向かって延出する枝線12が挿通する枝管状保護部材30の主幹線11側の端部は、軸線方向Lに延びる複数の枝本体側スリット32によって形成された複数の延出片33,33を有し、複数の延出片33,33は、主幹線11に沿うように、分岐方向Bからそれぞれ異なる方向に曲げられている。
【0053】
また、
図5及び
図6に示すように、分岐部13を保護する分岐部保護方法として、分岐部13において主管状保護部材20を分岐方向Bに向かって導出される枝線12が挿通する枝管状保護部材30の主幹線11側の端部に設けた、軸線方向Lに延びる複数の枝本体側スリット32によって形成された複数の延出片33,33を、主幹線11に沿うように、分岐方向Bからそれぞれ異なる方向に曲げている。
【0054】
これにより、枝線12を挿通させた枝管状保護部材30の延出片33,33を主幹線11に沿わせることができ、枝線12が導出された箇所における主管状保護部材20と枝管状保護部材30との間に生じる隙間を延出片33,33で塞ぐことができる。
【0055】
このように、枝管状保護部材30に複数の枝本体側スリット32(第1スリット321,第2スリット322)を設けて延出片33,33を形成するだけの簡易な構造で、主幹線11から枝線12が分岐する分岐部13を保護することができる。
【0056】
また、主幹線11に、枝線12を挿通する枝管状保護部材30の端部に設けた延出片33,33を沿わせるだけで、容易に分岐部13を保護することができるため、枝線12の分岐方向B以外の様々な方向に分岐する場合であっても分岐部13を保護できる。
【0057】
また、2本の枝本体側スリット32(第1スリット321,第2スリット322)によって、ふたつの延出片33,33が形成されている。この2本の枝本体側スリット32(第1スリット321,第2スリット322)のみを設けることで、分岐部13を保護するふたつの延出片33,33を容易に形成することができる。すなわち、延出片33,33を設けるための加工が容易であるため、生産性を向上させることができるとともに、より容易に分岐部13を保護することができる。
【0058】
さらにまた、延出片33,33は、軸線方向Lに向かう方向に曲げられていることにより、分岐部13における枝線12の根本を、延出片33,33で覆うことができ、より確実に分岐部13を保護することができる。また、軸線方向Lに沿った2方向で延出片33,33を固定することができるため、主管状保護部材20あるいは主幹線11に対して枝管状保護部材30を安定して固定できる。
【0059】
また、延出片33,33は、主管状保護部材20の内部において主幹線11に沿うとともに、主幹線11に固定されていることにより、枝管状保護部材30が主幹線11から脱落することを防止しつつ、枝管状保護部材30が枝線12の導出位置から移動することを防止できる。また、導出された枝線12が主管状保護部材20と干渉して損傷することを防止できる。
【0060】
さらにまた、枝管状保護部材30は、主管状保護部材20より細径であることにより、枝管状保護部材30を枝線12の外径に合わせることができるため、枝管状保護部材30のコンパクト化を図ることができる。
【0061】
加えて、枝管状保護部材30における延出片33,33を主幹線11に固定した場合に、容易に主管状保護部材20から枝管状保護部材30を導出させることができる。したがって、分岐部13の確実な保護に加え、分岐部13に主管状保護部材20及び枝管状保護部材30を組み付ける作業の作業性を向上させることができる。
【0062】
また、主管状保護部材20及び枝管状保護部材30は、凹凸が長手方向に交互に配置されたコルゲートで構成されていることにより、既製品であるコルゲートを加工することで保護できる。したがって、安定供給することができるとともに、コスト低下を図ることができる。
【0063】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
管状保護部材は、主管状保護部材20及び枝管状保護部材30に対応し、
ワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネス10に対応し、
主幹線は、主幹線11に対応し、
軸線方向は、軸線方向Lに対応し、
分岐方向は、分岐方向Bに対応し、
枝線は、枝線12に対応し、
分岐部 は、分岐部13に対応し、
分岐部保護構造は、分岐保護構造1に対応し、
主管状保護部材は、主管状保護部材20に対応し、
枝管状保護部材は、枝管状保護部材30に対応し、
スリットは、枝本体側スリット32に対応し、
延出片は、延出片33に対応し、
テープは、テープTに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0064】
以下、他の実施形態の例について簡単に説明する。
なお、以下に記載の他の実施形態において、分岐保護構造1と同じ構成については同一の番号を付しその説明を省略する。また、それぞれの実施形態に記載の内容は、それぞれの実施形態にのみ実施できるものではなく、効果を奏する限り適宜組み合わせを変更することができる。
【0065】
例えば、本実施形態において、分岐保護構造1は一般的に搭載されている電気機器類同士を電気的に接続して主幹線11及び車両にオプションとして搭載される電子機器類などと接続されている枝線12の分岐部13を保護している。しかしながら、この態様に限定されず、例えばオプション機器に接続された枝線から他の枝線が分岐している分岐部や、一般的に搭載されている電気機器類を接続する主幹線から主幹線が分岐している分岐部など、電線が分岐する箇所であれば、特に限定なく用いることができる。すなわち、分岐保護構造1は、様々な分岐部に対して用いて保護することができる。
【0066】
なお、本実施形態において、主幹線11は軸線方向Lに沿った直線状としているが、分岐部13の一方側が他方側と異なる方向に延びていてもよい。この場合、軸線方向Lは、主幹線11における分岐部13よりも一方側(基端側Lb又は先端側Lf)において主幹線11に沿った方向をさす。この場合、主管状保護部材20は、主幹線11に沿って湾曲することとなる。
【0067】
また、本実施形態では、延出片33,33を軸線方向Lに沿って主幹線11に組み付けているが、例えば
図7に示すように、延出片33,33を軸線方向L及び分岐方向Bと直交する軸線交差方向Wに曲げ、主幹線11の外側に巻き回してもよい。
【0068】
以下、
図7に基づき簡単に説明する。
図7は、分岐部13における軸線方向Lに直交する直交断面の断面図である。
【0069】
図7の例によると、枝線12に挿通させた枝管状保護部材30では、延出片33,33が軸線交差方向Wを向くように、すなわち第1スリット321及び第2スリット322が軸線方向Lを向くように配置されている。そして、延出片33,33を軸線交差方向Wに向けて曲げるとともに、主幹線11の外周に巻き回している。この状態で延出片33,33を主幹線11にテープTでテープ固定した後に、主幹線11に対して主管状保護部材20を組み付けて主管状保護部材20と枝管状保護部材30とをテープ固定している。
【0070】
このように、延出片33,33は、軸線方向Lに交差する軸線交差方向Wに向かうとともに、主幹線11の外側を巻き回す方向に曲げられている。これにより、枝管状保護部材30に対する分岐方向Bへの引き抜き強度を向上させることができる。このため、分岐方向Bの主幹線11と反対側に向けて外力が作用した場合であっても、枝管状保護部材30を確実に主管状保護部材20あるいは主幹線11に固定できる。したがって、分岐部13を確実に保護することができる。
【0071】
加えて、延出片33,33が径内側に湾曲されるため、延出片33,33が径外向きに湾曲される場合に比べて、延出片33,33及び延出片33,33の境界部分にかかる負荷を軽減できる。これにより、外力が作用したとしても、延出片33,33が損傷しにくく、安定して分岐部13を保護することができる。
【0072】
また、本実施形態において、枝管状保護部材30は主幹線11に対して固定しているが、主管状保護部材20に対して固定してもよい。
以下、枝管状保護部材30を主管状保護部材20に対応する主管状保護部材20xに対して固定することにより分岐部13を保護する分岐保護構造1xについて
図8乃至
図10に基づき簡単に説明する。
【0073】
図8は分岐保護構造1xの概略斜視図を示し、
図9は分岐保護構造1xの概略分解斜視図を示す。
図10は、主管状保護部材20xを組み付けた分岐部13に対して枝管状保護部材30を組み付けた状態の断面図を示す。なお、
図10に示す断面図は、分岐部13における軸線方向L及び分岐方向Bに直交する直交断面を、第1スリット321側から視た断面図である。
【0074】
分岐保護構造1xは、
図8に示すように、軸線方向Lに沿って延びる主幹線11から分岐方向Bに沿って枝線12が分岐する分岐部13を保護する構造であり、主管状保護部材20x及び枝管状保護部材30で分岐部13を保護している。
【0075】
主管状保護部材20xは、主管状保護部材20と同様に、内部に主幹線11を挿通する円筒状に構成された樹脂製のコルゲートであり、軸線方向Lに沿って凹凸が交互に配置された、可撓性を有する蛇腹構造で構成されている(図示省略)。
【0076】
この主管状保護部材20xは、
図9に示すように、円筒状に構成された主筒状本体21で構成され、主筒状本体21には軸線方向Lに沿って基端側Lbの端部から先端側Lfの端部まで延びる直線状の主本体側スリット22が設けられている。また、主筒状本体21には、主筒状本体21の板厚を貫通する貫通孔23xが設けられている。
【0077】
貫通孔23xは、
図9及び
図10に示すように、主幹線11から分岐方向Bに向けて分岐する枝線12を挿通可能な大きさで構成され、主本体側スリット22の中央部分に設けられている。
【0078】
続いて、このように構成された主管状保護部材20x及び枝管状保護部材30を分岐部13に装着する方法について簡単に説明する。
はじめに、主本体側スリット22を径外側に向けて広げ、貫通孔23xから枝線12を導出できるように、軸線方向Lに沿って延びる主幹線11を主管状保護部材20xに挿入する。そして、主管状保護部材20xと主幹線11をテープ固定する(図示省略)。
【0079】
次に、延出片33,33が軸線方向L及び分岐部13を向くように、枝管状保護部材30の第1スリット321から分岐方向Bに延びる枝線12を枝管状保護部材30に挿入し、枝線12に沿って枝管状保護部材30を分岐部13に向けて移動させる。また、一対の延出片33,33をそれぞれ基端側Lb及び先端側Lfに曲げながら延出片33,33を分岐部13の基端側Lb及び先端側Lfに配置された主管状保護部材20xに当接させテープTで固定する。これにより、主幹線11に対して固定された主管状保護部材20xに枝管状保護部材30が固定されるため、枝管状保護部材30の枝線12に対する位置ずれを防止することができる。
【0080】
このように、主管状保護部材20xには、周方向の一部に長手方向に連続する主本体側スリット22が設けられ、枝線12は、メインスリットに対応する主本体側スリット22に設けた貫通孔23xから外部に導出されている。そして、延出片33,33は、少なくとも、枝線12が導出された箇所の周辺における主管状保護部材20の外周に巻き回したテープTで固定されている。
【0081】
さらにまた、延出片33,33を主管状保護部材20の外周に巻き回したテープTで固定することから、枝管状保護部材30を主管状保護部材20に後付けできる。このため、容易に枝管状保護部材30を主管状保護部材20に装着することができる。
【0082】
これにより、分岐部13が主管状保護部材20の内部に収容することができるため、確実に分岐部13を保護することができる。また、主管状保護部材20における枝線12の導出された箇所の周辺に延出片33,33が固定されるため、延出片33,33により主幹線11から分岐される枝線12の根本部分を確実に保護することができる。
【0083】
また、本実施形態では、主管状保護部材20及び枝管状保護部材30はともにコルゲートで構成されているが、コルゲートに限定されるわけではない。例えば、主管状保護部材20及び枝管状保護部材30の少なくとも一方を、可撓性を有する円筒状のチューブなどとしてもよい。
また、主管状保護部材20及び枝管状保護部材30は、軸線方向Lと直交する直交断面が円形状である場合の他、多角形状としてもよい。
【0084】
さらにまた、本実施形態では、枝管状保護部材30は2本の枝本体側スリット32(第1スリット321、第2スリット322)でふたつの延出片33,33を形成している。しかしながら、必ずしもスリットは2本である必要はなく、2本以上の枝本体側スリット32で複数の延出片33を設けてもよい。この場合、複数の延出片33のうちの少なくともひとつは軸線方向Lに沿い、他は軸線交差方向Wに沿うなどとしてもよい。
【0085】
さらにまた、第1スリット321及び第2スリット322は、枝管状保護部材30における中心軸を回転軸として回転対称形状の位置に設けられているが、必ずしも回転対称の位置に設ける必要はなく、回転非対称の位置に設けられていてもよい。
【0086】
例えば、第1スリット321及び第2スリット322を、枝筒状本体31における中心軸を回転軸として回転非対称の位置に設けることで、延出片33,33が回転非対称の形状とすることができる。すなわち、一方の延出片33の外周長が長く、他方の延出片33の外周長が短く形成することができる。
【0087】
これにより、例えば分岐方向Bが軸線方向Lに対して鋭角に分岐している場合、外角側に外周長が長い延出片33を配置し、内角側に外周長が短い延出片33を配置することができる。すなわち、分岐部13における外角側に剛性の高い延出片33を配置して、分岐部13の外郭側をより保護することができる。また、分岐部13における内角側に剛性の低い延出片33を配置し、分岐部13の内角側への延出片33の装着作業を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0088】
1,1x 分岐保護構造
10 ワイヤーハーネス
11 主幹線
12 枝線
13 分岐部
20,20x 主管状保護部材
22 主本体側スリット
23x 貫通孔
30 枝管状保護部材
32 枝本体側スリット
33 延出片
B 分岐方向
L 軸線方向
T テープ