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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150165
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】蓋付き容器を搬送する搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/28 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
B65G47/28 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052643
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】本田 敦
(72)【発明者】
【氏名】吉浦 竜一
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】合田 英司
【テーマコード(参考)】
3F081
【Fターム(参考)】
3F081AA20
3F081AA43
3F081AA47
3F081BC01
3F081BC05
3F081BF13
3F081CA05
3F081CC08
3F081CE02
3F081DA04
3F081DA05
3F081DA09
3F081DA10
3F081DB08
3F081EA09
3F081EA15
(57)【要約】
【課題】蓋付き容器を所望の向きに補正するために利用され得る、蓋付き容器を搬送する搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明の搬送装置は、コンベヤベルト8の上方に配置された蓋付き容器向き補正機構12を備え、コンベヤベルトの上面は、蓋付き容器の底面に対して滑りやすい材料で表面コーティングされる又は蓋付き容器の底面との接触面積を減らすような凹凸を備えており、蓋付き容器向き補正機構12は、蓋付き容器2の蓋6に水平面内での静摩擦力を作用させる摩擦体26と、摩擦体を蓋付き容器の蓋に対して所定の荷重で鉛直方向に押し付ける押し付けアーム28と、押し付けアームが摩擦体26を蓋付き容器2の蓋6に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、摩擦体26が蓋付き容器2に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、押し付けアーム28を水平面内で回動移動させるアーム駆動部30とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋付き容器を搬送する搬送装置であって、
上面側に蓋が位置する姿勢の蓋付き容器が載置されるコンベヤベルトと、
前記コンベヤベルトを水平方向に駆動する駆動機構と、
前記コンベヤベルトの上方に配置された蓋付き容器向き補正機構と、
を備え、
前記コンベヤベルトの上面は、前記蓋付き容器の底面に対して滑りやすい材料で表面コーティングされる又は前記蓋付き容器の底面との接触面積を減らすような凹凸を備えており、
前記蓋付き容器向き補正機構は、
前記蓋付き容器の蓋に水平面内での静摩擦力を作用させる摩擦体と、
前記摩擦体を前記蓋付き容器の蓋に対して所定の荷重で鉛直方向に押し付ける押し付けアームと、
前記押し付けアームが前記摩擦体を前記蓋付き容器の蓋に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、前記摩擦体が前記蓋付き容器に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、前記押し付けアームを水平面内で回動移動させるアーム駆動部と、
を有する
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記摩擦体は、樹脂製シートである
ことを特徴とする請求項1に記載に搬送装置。
【請求項3】
前記コンベヤベルトの上面は、ポリウレタン、シリコーン又はフッ素樹脂で表面コーティングされている
ことを特徴とする請求項1または2に記載に搬送装置。
【請求項4】
前記押し付けアームと前記摩擦体との間に、前記摩擦体の傾きを調整する弾性部材が設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載に搬送装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、複数個の板バネである
ことを特徴とする請求項4に記載に搬送装置。
【請求項6】
前記蓋付き容器向き補正機構の上流側を搬送中の蓋付き容器を捕捉するカメラと、
前記カメラが捕捉した前記蓋付き容器の向きを判別する画像処理部と、
を更に備え、
前記アーム駆動部は、前記画像処理部によって判別された向きに基づいて、当該蓋付き容器の向きを所定の向きに揃えるように作動される
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載に搬送装置。
【請求項7】
前記アーム駆動部は、前記蓋付き容器の向きに加えて搬送位置をも補正するべく、前記押し付けアームを、水平面内で回動移動させることに加えて当該水平面内で平行移動させるようになっている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載に搬送装置。
【請求項8】
前記アーム駆動部は、前記摩擦体が前記蓋付き容器に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、前記押し付けアームが前記コンベヤベルトと共に同期して移動するように、前記コンベヤベルトの駆動方向の平行移動成分を前記押し付けアームの水平面内の移動に加えるようになっている
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載に搬送装置。
【請求項9】
コンベヤベルト上を搬送中の物体の向きを補正する物体向き補正装置であって、
前記物体の上面に水平面内での静摩擦力を作用させる摩擦体と、
前記摩擦体を前記物体の上面に対して所定の荷重で鉛直方向に押し付ける押し付けアームと、
前記押し付けアームが前記摩擦体を前記物体の上面に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、前記摩擦体が前記物体の上面に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、前記押し付けアームを水平面内で回動移動させるアーム駆動部と、
を備えたことを特徴とする物体向き補正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば蓋付き容器を所望の向きに補正するために利用され得る、蓋付き容器を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、弁当の一種として、弁当の具材を入れた蓋付き容器にシュリンク包装がかけられたものが販売されている。
【0003】
そのような蓋付き容器は、例えばベルトコンベヤによって搬送される容器内に具材が盛り付けられた後、容器に対応する蓋が被せられて製造される。その後、当該ベルトコンベヤの搬送タイミングと連動するロボットによって、ベルトコンベヤによって搬送される蓋付き容器にシュリンク包装がかけられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、容器内に具材を盛り付ける際に、盛り付け指示書等の指定により、ベルトコンベヤ上を流れる容器の向きが、後のシュリンク包装をかける向きとは異なる向きに指定されている場合や、容器の向きが盛り付け中や移動中にずれたりする場合がある。
このため、シュリンク包装をかけるために決められている向きに、作業者が蓋付き容器を所望の向きに補正する必要があり、作業者の手間やコストが生じるという問題があった。
【0005】
また、このような蓋付き容器は、例えば少量多品種製造のため四角形形状、丸形状、楕円形状等の異なる容器形状に形成される場合があり、製造スピードも比較的速く、製造品目の切り替え時間も比較的短いため、蓋付き容器を所望の向きに補正する作業を自動化させることが比較的困難であるという問題があった。
【0006】
仮に、蓋付き容器を所望の向きに補正する作業を、ハンドにより、蓋付き容器を定位置に止めた後、1個ずつ持ち上げて回転させようとする場合には、回転動作に時間がかかることの他に、蓋付き容器を持ち上げるための機器を配置するためにこの容器を搬送するベルトコンベヤ等のラインの改造が必要となることや、容器の形状、大きさ等に合わせてハンドの交換や調整が必要となること等の問題が生じる。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑みて創案されたものである。本発明の目的は、例えば蓋付き容器を所望の向きに補正するために利用され得る、蓋付き容器を搬送する搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態は、蓋付き容器を搬送する搬送装置であって、上面側に蓋が位置する姿勢の蓋付き容器が載置されるコンベヤベルトと、前記コンベヤベルトを水平方向に駆動する駆動機構と、前記コンベヤベルトの上方に配置された蓋付き容器向き補正機構と、を備え、前記コンベヤベルトの上面は、前記蓋付き容器の底面に対して滑りやすい材料で表面コーティングされており、前記蓋付き容器向き補正機構は、前記蓋付き容器の蓋に水平面内での静摩擦力を作用させる摩擦体と、前記摩擦体を前記蓋付き容器の蓋に対して所定の荷重で鉛直方向に押し付ける押し付けアームと、前記押し付けアームが前記摩擦体を前記蓋付き容器の蓋に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、前記摩擦体が前記蓋付き容器に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、前記押し付けアームを水平面内で回動移動させるアーム駆動部と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、押し付けアームが前記摩擦体を前記蓋付き容器の蓋に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、前記摩擦体が前記蓋付き容器に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、アーム駆動部により押し付けアームを水平面内で回動移動させることができる。これにより、表面コーティングされているコンベヤベルトの上面上において蓋付き容器が押し付けアームの回動移動に合わせて回動でき、蓋付き容器を所望の向きに補正できる。
【0009】
本発明の一実施形態において、好ましくは、前記摩擦体は、樹脂製シートである。
このように構成された本発明の一実施形態においては、摩擦体は、樹脂製シートであるので、樹脂製シートが蓋付き容器に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、樹脂製シートにより蓋付き容器を水平面内で回動移動できる。また、摩擦体は、樹脂製シートであるので、メンテナンス時に洗浄しやすく、衛生的に保ちやすくできる。また、摩擦体は、樹脂製シートであるので、比較的簡単な構成により、樹脂製シートと蓋付き容器との間の水平面内で生じる静摩擦力が、コンベヤベルトの上面の表面コーティングと、蓋付き容器との間の水平面内で生じる静摩擦力よりも大きくできる。
【0010】
本発明の一実施形態において、好ましくは、前記コンベヤベルトの上面は、ポリウレタンまたはシリコーンで表面コーティングされている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、コンベヤベルトの上面は、ポリウレタン、シリコーン又はフッ素樹脂で表面コーティングされるので、比較的簡単な構成により、摩擦体と蓋付き容器との間の水平面内で生じる静摩擦力が、コンベヤベルトの上面の表面コーティングと、蓋付き容器との間の水平面内で生じる静摩擦力よりも大きくできる。
【0011】
本発明の一実施形態において、好ましくは、前記押し付けアームと前記摩擦体との間に、前記摩擦体の傾きを調整する弾性部材が設けられる。
このように構成された本発明の一実施形態においては、前記押し付けアームと前記摩擦体との間に、前記摩擦体の傾きを調整する弾性部材が設けられるので、コンベヤベルトの傾き及び/又は蓋付き容器向き補正機構の摩擦体の傾きにより、蓋付き容器がコンベヤベルトの上で摩擦体に対して平行より傾いた姿勢となっている場合にも、摩擦体の傾きが蓋付き容器の蓋に合わせて調整され、摩擦体を蓋付き容器の蓋に対して比較的平行となるように押し付けることができる。これにより、摩擦体と蓋付き容器との静摩擦力を比較的大きく作用させ、蓋付き容器を所望の向きにより補正させやすくできる。
【0012】
本発明の一実施形態において、好ましくは、前記弾性部材は、複数個の板バネである。
このように構成された本発明の一実施形態においては、弾性部材は、複数個の板バネであるので、蓋付き容器がコンベヤベルトの上で摩擦体に対して平行より傾いた姿勢となっている場合にも、比較的簡易な構成により、摩擦体の傾きが蓋付き容器の蓋に合わせて調整され、摩擦体を蓋付き容器の蓋に対して比較的平行となるように押し付けることができる。これにより、摩擦体と蓋付き容器との静摩擦力を比較的大きく作用させ、蓋付き容器を所望の向きにさらに補正させやすくできる。
【0013】
本発明の一実施形態において、好ましくは、前記蓋付き容器向き補正機構の上流側を搬送中の蓋付き容器を捕捉するカメラと、前記カメラが捕捉した前記蓋付き容器の向きを判別する画像処理部と、を更に備え、前記アーム駆動部は、前記画像処理部によって判別された向きに基づいて、当該蓋付き容器の向きを所定の向きに揃えるように作動される。
このように構成された本発明の一実施形態においては、アーム駆動部は、前記画像処理部によって判別された向きに基づいて、当該蓋付き容器の向きを所定の向きに揃えるように作動される。これにより、蓋付き容器が押し付けアームの回動移動に合わせて回動でき、蓋付き容器の向きを所定の向きに揃えることができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、好ましくは、前記アーム駆動部は、前記蓋付き容器の向きに加えて搬送位置をも補正するべく、前記押し付けアームを、水平面内で回動移動させることに加えて当該水平面内で平行移動させるようになっている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、アーム駆動部は、押し付けアームを、水平面内で回動移動させることに加えて当該水平面内で平行移動させ、蓋付き容器の向きに加えて搬送位置をも補正することができる。これにより、表面コーティングされているコンベヤベルトの上面上において蓋付き容器が押し付けアームの回動移動及び平行移動に合わせて移動でき、蓋付き容器を所望の向き及び位置に補正できる。
【0015】
本発明の一実施形態において、好ましくは、前記アーム駆動部は、前記摩擦体が前記蓋付き容器に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、前記押し付けアームが前記コンベヤベルトと共に同期して移動するように、前記コンベヤベルトの駆動方向の平行移動成分を前記押し付けアームの水平面内の移動に加えるようになっている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、前記摩擦体が前記蓋付き容器に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、前記押し付けアームが前記コンベヤベルトと共に同期して移動することができる。従って、アーム駆動部は、摩擦体により蓋付き容器をコンベヤベルトの上面上に留めることなく、搬送速度を維持したまま、蓋付き容器を所望の向きに補正できる。また、動いているコンベヤベルトの搬送方向に対して蓋付き容器を停止させた状態で回転させることにより、蓋付き容器同士がぶつかることや蓋付き容器の停止位置が不正確になることを抑制できる。
【0016】
本発明の一実施形態において、好ましくは、コンベヤベルト上を搬送中の物体の向きを補正する物体向き補正装置であって、前記物体の上面に水平面内での静摩擦力を作用させる摩擦体と、前記摩擦体を前記物体の上面に対して所定の荷重で鉛直方向に押し付ける押し付けアームと、前記押し付けアームが前記摩擦体を前記物体の上面に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、前記摩擦体が前記物体の上面に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、前記押し付けアームを水平面内で回動移動させるアーム駆動部と、を備えたことを特徴としている。
このように構成された本発明の一実施形態においては、押し付けアームが前記摩擦体を物体の上面に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、前記摩擦体が物体の上面に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、アーム駆動部により押し付けアームを水平面内で回動移動させることができる。これにより、コンベヤベルト上において物体が押し付けアームの回動移動に合わせて回動でき、物体を所望の向きに補正できる。
【0017】
本発明の搬送装置によれば、蓋付き容器を所望の向きに補正するために利用され得る、蓋付き容器を搬送する搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態による搬送装置の正面図である。
図2図1の搬送装置の上面図である。
図3図1の搬送装置の押し付けアーム及び摩擦体を示す斜視図である。
図4図1の搬送装置の押し付けアーム及び摩擦体を示す側面図である。
図5図1の搬送装置の押し付けアーム及び摩擦体を示す底面図である。
図6図1の搬送装置の押し付けアーム及び摩擦体を示す上面図である。
図7図1の搬送装置の押し付けアーム及び摩擦体を示す正面図において、弾性部材の位置を概略的に示す図である。
図8図1の搬送装置において、摩擦体側部材がアーム駆動部側部材に対し最も下降した状態を示す側面図である。
図9図1の搬送装置において、蓋付き容器向き補正機構の摩擦体が蓋付き容器の蓋まで下降した状態を示す側面図である。
図10】本発明の第2実施形態による搬送装置の押し付けアーム及び摩擦体を示す斜視図である。
図11図10の搬送装置の押し付けアーム及び摩擦体の上面図である。
図12】本発明の第2実施形態による搬送装置の押し付けアーム及び摩擦体を側面から示すと共に弾性部材と摩擦体の関係を示す図である。
図13】本発明の第3実施形態による搬送装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面により、本発明の第1実施形態による搬送装置について説明する。
まず、図1及び図2により、本発明の第1実施形態による搬送装置について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による搬送装置の正面図である。図2は、図1の搬送装置の上面図である。
【0020】
本実施形態の搬送装置1は、蓋付き容器2を搬送する。蓋付き容器2は、下部の容器4と、容器4に対応する蓋6とにより形成される。容器4は、有底の器に形成され且つ上面視で四角形状に形成される。蓋6は、上面視で四角形状に形成され、容器4に被せられるように形成される。蓋6は、ほぼ平坦な頂面を形成しているが、この頂面上に凹凸が形成されていてもよい。蓋付き容器2は、例えば食品を入れた食品容器、弁当の具材を入れた弁当容器等である。蓋付き容器2は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料により形成される。なお、蓋付き容器2は、容器4と蓋6とが一体の容器として形成されていてもよい。このように、蓋付き容器2は、蓋付きの容器に限られず、後述する押し付けアームが摩擦体を押し付ける上面を有している容器に変更可能である。
【0021】
搬送装置1は、上面側に蓋6が位置する姿勢の蓋付き容器2が載置されるコンベヤベルト8と、コンベヤベルト8を水平方向に駆動する駆動機構10と、コンベヤベルト8の上方に配置された蓋付き容器向き補正機構12と、蓋付き容器向き補正機構12を制御する制御装置13と、を備えている。
【0022】
コンベヤベルト8は、コンベヤベルト8の上面上に蓋付き容器2を載置した状態で蓋付き容器2を矢印Aで示す進行方向に搬送するようになっている。コンベヤベルト8は、蓋付き容器2を常に一定の速度で搬送するが、例えば、蓋付き容器2が蓋付き容器向き補正機構12により移動されるタイミングで停止され且つこの移動後に搬送を再開するように構成されてもよい。コンベヤベルト8は、一定幅の帯状に形成され、蓋付き容器向き補正機構12より上流側から下流側までほぼ水平に延びるように形成されている。コンベヤベルト8は、樹脂材料により形成される。コンベヤベルト8の上面8aは、その全部又は一部が蓋付き容器2の容器4の底面に対して滑りやすい材料で表面コーティングされている。例えば、コンベヤベルト8の上面8aは、ポリウレタン、シリコーン又はフッ素樹脂で表面コーティングされている。従って、蓋付き容器2の容器4の底面がコンベヤベルト8の上面8aに対して滑りやすく、コンベヤベルト8の上面8aの表面コーティングと、蓋付き容器2との間の水平面内で生じる静摩擦力が比較的小さくできる。なお、コンベヤベルト8の上面8aは、表面コーティングされていなくともよい。例えば、コンベヤベルト8が比較的滑りやすい材料で形成されていてもよい。また、例えば、コンベヤベルト8の上面8aは、滑り搬送用ベルト等のように、蓋付き容器2の底面との接触面積を減らすような凹凸を備えていてもよい。この凹凸は、例えば、コンベヤベルト8の上面を形成する素材で形成される。この凹凸は、例えば、上面8aに形成された複数の微小な凹凸である。この凹凸の凸上に蓋付き容器2の底面が支持され、蓋付き容器2の底面と上面8aとの接触面積が低減され、蓋付き容器2の底面が上面8aに対して滑りやすくされる。
【0023】
駆動機構10は、コンベヤベルト8の下部に設けられる。駆動機構10は、駆動力を生じさせるモータ11と、モータ11と駆動ベルトで連結されモータの駆動力をコンベヤベルト8に伝達するプーリ14と、コンベヤベルト8の下部側のベルトをプーリ14に掛けると共に張力を調整できるローラ16とを備えている。駆動機構10は、このような機構により、コンベヤベルト8を一定の速度で進行方向に駆動させ、多数の蓋付き容器2を一定の速度で搬送できる。
【0024】
搬送装置1は、蓋付き容器向き補正機構12の上流側を搬送中の蓋付き容器2を捕捉するカメラ18と、カメラ18が捕捉した蓋付き容器2の向きを判別する画像処理部20と、を更に備えている。
【0025】
カメラ18は、蓋付き容器向き補正機構12より上流側におけるコンベヤベルト8の上方に配置される。カメラ18は、下方に向けて配置され、コンベヤベルト8の上面8a及びコンベヤベルト8上の蓋付き容器2を静止画像又は動画で撮影するようになっている。カメラ18は、搬送中の蓋付き容器2をコンベヤベルト8とは区別して認識且つ捕捉できる。カメラ18は、カメラ18の上方及び周囲を囲み且つ下方が開口される暗箱22内に配置される。暗箱22内の内側の壁面には、照明24が設けられ、蓋付き容器2を画像処理しやすい明るさで撮影できるようになっている。カメラ18は、画像処理部20と電気的に接続され、撮影した画像等を画像処理部20に送信できる。
【0026】
画像処理部20は、後述する制御装置13に設けられている。画像処理部20は、カメラ18から受信した画像を画像処理することによりコンベヤベルト8に対する蓋付き容器2の向き及び位置を判別する。画像処理部20は、例えば、蓋付き容器2の長辺や短辺の延びる向き、蓋付き容器2の中心の位置、又は蓋付き容器2内の区画形状の位置又は向き等から蓋付き容器2の向き及び位置を判別する。
【0027】
制御装置13は、蓋付き容器向き補正機構12、カメラ18と電気的に接続されている。制御装置13は、蓋付き容器向き補正機構12及びカメラ18の制御を行うためのCPU、メモリ等を内蔵している。また、制御装置13は、蓋付き容器向き補正機構12と接続されるロボットアームの制御を行うことができる。制御装置13は、CPU上で実行される制御プログラムに基づいて、これらの装置等に作動信号を送り、各装置等を制御する。制御装置13は、駆動機構10と電気的に接続され、駆動機構10を制御できるようにされていてもよい。制御装置13は、画像処理部20、及び補正量決定部21を備えている。
【0028】
補正量決定部21は、画像処理部20で判別した蓋付き容器2の向き及び位置(例えば、図2において2A及び2Bで示すような蓋付き容器2の例示の向き及び位置)に対し、蓋付き容器2の例示の所定の向き及び位置(例えば、図2において2Cで示すような蓋付き容器2の向き及び位置)に補正するための、アーム駆動部30の回転量、及び位置の移動量等を決定する。補正量決定部21は、カメラ18で撮影したときの、蓋付き容器2の中心Cの予定された位置(例えばコンベヤ中心線D上の位置)且つ蓋付き容器2の予定された向き(例えば図2等に示すようなシュリンク包装を行うために効率的な向き)を記憶している。例えば、2Cで示すような蓋付き容器2の予定された向き及び位置は、下流側でシュリンク包装を行うために効率的な向き及び位置であり、例えば蓋付き容器2の長辺2aがコンベヤベルト8の進行方向に対して直交する方向(左右方向)とされ、且つ蓋付き容器2の中心の位置Cがコンベヤベルト8の左右方向の幅のほぼ中央(中心線D上)に位置するように位置決めされている。補正量決定部21は、蓋付き容器2の中心Cの予定された位置と、画像処理部20によって取得された蓋付き容器2の中心Cの位置との差分を算定し、蓋付き容器2の中心Cを予定された位置に補正するための移動量を決定する。また、補正量決定部21は、蓋付き容器2の予定された向きと、画像処理部20によって取得された蓋付き容器2の向きとの差分(例えば角度等の差分)を算定し、蓋付き容器2の向きを予定された向きに補正するための回転量を決定する。
【0029】
なお、蓋付き容器向き補正機構12より下流側のコンベヤベルト8に沿って、帯シュリンク装置15が設けられている。帯シュリンク装置15は、所定の向きに整列された蓋付き容器2に対し、予め決められた方向にシート状のフィルム40を包装し、さらに熱収縮を行わせて帯シュリンク包装を行う。このとき、蓋付き容器2が同じ方向に向けられているので、予め決められた方向に帯シュリンク包装を確実に行うことができる。
【0030】
次に、図1図9を参照して、蓋付き容器向き補正機構12を説明する。
図1に示すように、蓋付き容器向き補正機構12は、ロボットアーム等の構造体に取付けられる。
【0031】
蓋付き容器向き補正機構12は、蓋付き容器2の蓋6に水平面内での静摩擦力を作用させる摩擦体26と、摩擦体26を蓋付き容器2の蓋6に対して所定の荷重で鉛直方向に押し付ける押し付けアーム28と、押し付けアーム28が摩擦体26を蓋付き容器2の蓋に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、摩擦体26が蓋付き容器2に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、押し付けアーム28を水平面内で回動移動させるアーム駆動部30と、を有する。
本実施形態における蓋付き容器向き補正機構12は、アーム駆動部30と、押し付けアーム28と、摩擦体26との組を、合わせて2組備えているが、蓋付き容器向き補正機構12は、アーム駆動部30と、押し付けアーム28と、摩擦体26との組を、1組のみ又は3組以上備えていてもよい。
【0032】
図3及び図5等に示すように、摩擦体26は、上面視で四角形状に形成され、平板状に形成されている。摩擦体26はほぼ水平に延びるように支持されている。摩擦体26は、上面視で、蓋付き容器2の蓋6よりも大きな範囲まで拡がるように形成されている。よって、摩擦体26を蓋6に対して押し付ける際に若干の位置のずれが生じたとしても、摩擦体26が蓋付き容器2に水平面内での静摩擦力をより確実に作用させることができる。摩擦体26は、樹脂製シートであり、例えばウレタン素材のシートである。摩擦体26の下面にはエンボス加工がなされ、多数の凸部が並んで形成されている(図5参照)。よって、摩擦体26は、表面に形成された多数の凹凸により、蓋付き容器2に比較的大きな静摩擦力を生じさせることができる。摩擦体26は、蓋付き容器2に比較的大きな静摩擦力を生じさせる他の素材で形成されてもよい。また、摩擦体26は、蓋付き容器2に比較的大きな静摩擦力を生じさせる他の表面加工を備えていてもよい。また、摩擦体26は、下面がほぼ平坦となっている平板状のものに限られず、下面が湾曲した形状や表面に比較的大きな凹凸を有する形状に形成されていてもよい。例えば、摩擦体26は、上面視で長方形形状に形成され、上面視で長方形形状となっている蓋付き容器2を効率的に移動させることができるが、長方形形状以外の蓋付き容器2、例えば、正方形形状や円形形状の蓋付き容器2であっても移動させることができる。
【0033】
図3図4及び図8に示すように、押し付けアーム28は、鉛直方向に延び、その上部がアーム駆動部30(図1参照)に接続され、その下部が摩擦体26に接続される。押し付けアーム28は、アーム駆動部30に接続されるアーム駆動部側部材36と、アーム駆動部側部材36に対して上下方向に摺動可能に形成される摩擦体側部材38と、摩擦体側部材38の下部に接続される枠体34と、を備えている。
【0034】
押し付けアーム28において、アーム駆動部側部材36と、摩擦体側部材38とは互いに相対的に摺動可能に形成されている。図4に示すように、アーム駆動部側部材36に対し、摩擦体側部材38が最も上昇した状態では、アーム駆動部側部材36と摩擦体側部材38とが当接して上昇が停止される。一方で、図8に示すように、アーム駆動部側部材36に対し、摩擦体側部材38が下降する状態では、アーム駆動部側部材36に対し、摩擦体側部材38が摩擦体側部材38、枠体34及び摩擦体26の自重(所定の荷重)により自在に下降できる。なお、図8に示すように、アーム駆動部側部材36に対し、摩擦体側部材38が最も下降した状態では、アーム駆動部側部材36のストッパー36aと摩擦体側部材38とが当接してさらなる下降が停止される。
【0035】
このように、摩擦体側部材38は、図4に示す上昇位置と、図8に示す下降位置との間で自重により自在に下降できる。摩擦体26が蓋付き容器2に接しているとき、摩擦体側部材38は、自在に上下動できる位置にある。よって、押し付けアーム28は、摩擦体26を蓋付き容器2の蓋6に対して所定の荷重、例えば自重(摩擦体側部材38、枠体34、弾性部材32及び摩擦体26等の重さ)で鉛直方向に押し付ける機能を有する。これらの重さは、蓋付き容器2の容器4及び蓋6が変形しない程度の重さに設定される。よって、蓋付き容器2が、過度の力により押し付けられ、変形することを抑制できる。
【0036】
枠体34は、金属製のフレームにより形成され、上面視で、四角形状の外形に形成されている。図7等に示すように、枠体34の下面に弾性部材32の一端が固定される。弾性部材32は、複数個の板バネであり、例えば4つの板バネである。図6及び図7に示すように、押し付けアーム28と摩擦体26との間に、押し付けアーム28に対する摩擦体26の傾きを調整する弾性部材32が設けられる。摩擦体26は、摩擦体26よりもやや大きな枠体34の下部に取付けられている。摩擦体26は、蝶番37を介して、押し付けアーム28の枠体34に支持されている。摩擦体26は、弾性部材32を介して、押し付けアーム28により押し付けられる。図7に示すように、枠体34に弾性部材32の上部が固定され、この弾性部材32の下部が摩擦体26に接する又は枠体34が下方に押されたときに弾性部材32の下部が摩擦体26に接するようになっている。よって、摩擦体26は、枠体34に対してやや傾きが自在に変化できるようになっている。弾性部材32は、摩擦体26の4角の位置の4か所に取付けられ、摩擦体26の傾きが枠体34に対して調整できるようにしながらも、通常の押し付け時には摩擦体26の傾きを比較的安定して維持できるようになっている。よって、蓋付き容器2がコンベヤベルト8上で水平よりもやや傾いているような場合においても、弾性部材32により、摩擦体26の傾きが蓋付き容器2の蓋6に合わせて調整され、摩擦体26を蓋付き容器2の蓋6に対して比較的平行となるように押し付けることができる。よって、摩擦体26と蓋6との接触領域が確保されやすくなり、静摩擦力を比較的大きく作用させることができる。また、接触領域が確保されないことにより、静摩擦力が小さくなり、摩擦体26と共に蓋付き容器2が回転することの失敗を抑制できる。
【0037】
アーム駆動部30は、押し付けアーム28を駆動させる部材である。アーム駆動部30は、ロボットアーム等の構造体に取付けられる。よって、アーム駆動部30の位置及び高さ等は、制御装置13の指令を受けたロボットアームにより制御される。アーム駆動部30の下部は、押し付けアーム28に接続される。アーム駆動部30は、接続された押し付けアーム28を水平面内で回動移動させることができる。さらに、アーム駆動部30は、押し付けアーム28を、水平面内で平行移動させることができる。アーム駆動部30は、蓋付き容器2の向きに加えて搬送位置をも補正するべく、押し付けアーム28を、水平面内で回動移動させることに加えて水平面内で平行移動させるようになっている。このように、アーム駆動部30は、回動移動と平行移動とをほぼ同時に行っているが、順次行ってもよい。アーム駆動部30は、さらに、摩擦体26が蓋付き容器2に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、押し付けアーム28がコンベヤベルト8と共に同期して移動するように、コンベヤベルト8の駆動方向(進行方向A)の平行移動成分を押し付けアーム28の水平面内の移動に加えるようになっている。アーム駆動部30は、アーム駆動部30の接続されたロボットアームの動作と合わせて、押し付けアーム28の回動移動及び平行移動を行ってもよい。
【0038】
アーム駆動部30は、ロータの位置や速度を制御できるサーボ機構を備えたサーボモータ(図示せず)を備えている。アーム駆動部30は、このサーボモータにより押し付けアーム28を回転駆動させる。アーム駆動部30は、制御装置13と電気的に接続され、アーム駆動部30は、制御装置13の補正量決定部21から押し付けアーム28を回転させる回転量、及び押し付けアーム28を移動させる移動量等の指令を受けて作動される。よって、アーム駆動部30は、画像処理部20によって判別された向きに基づいて、蓋付き容器2の向きを所定の向き(例えば、図2において2Cで示すような蓋付き容器2の向き及び位置)に揃えるように作動される。アーム駆動部30は、他の電気により駆動されるモータ、例えばステッピングモータであってもよい。アーム駆動部30は、空気圧回路から供給される空気の空気圧により作動するアクチュエータ(図示せず)により駆動されてもよい。
【0039】
次に、図1図2及び図9により、上述した本発明の実施形態による搬送装置の動作(作用)を説明する。図9は、図1の搬送装置において、蓋付き容器向き補正機構の摩擦体が蓋付き容器の蓋まで下降した状態を示す側面図である。
図1に示すように、搬送装置1より上流側の盛り付け工程(図示せず)において蓋付き容器2内に具材が盛り付けられた後、容器に対応する蓋が被せられる蓋取付工程(図示せず)において蓋付き容器2の容器4に蓋6が嵌合されると共に取付けられる。その後、図1及び図2に示すように、蓋6が取付られた蓋付き容器2がコンベヤベルト8によりカメラ18の下方に搬送される。そして、カメラ18により、蓋付き容器2をコンベヤベルト8上で撮影し、カメラ18は、撮影した静止画像等を制御装置13に送信する。
【0040】
制御装置13の画像処理部20は、受信した静止画像等により、蓋付き容器2の向き及び位置を判別する。例えば、画像処理部20は、上面視で、蓋付き容器2の中心Cの位置、例えばコンベヤベルト8の左右方向の中心において搬送方向に延びるコンベヤ中心線Dに対してずれている位置(例えば距離L)を判定する。また、例えば、画像処理部20は、上面視で、蓋付き容器2の向き(例えば蓋付き容器2の長辺2aの向き)、例えば、コンベヤベルト8に対して向けられている向きを判定する。なお、変形例として、画像処理部20は、上面視で、蓋付き容器2の向き(例えば蓋付き容器2の長辺2aの向き)がコンベヤベルト8を左右に横断するコンベヤ横断線B(蓋付き容器2の予定された向きに沿う線)に対してずれている角度αを判定するようにしてもよい。
【0041】
蓋付き容器2はコンベヤベルト8により、さらに蓋付き容器向き補正機構12の鉛直方向下方まで搬送される。制御装置13は、コンベヤベルト8の搬送速度情報に基づいて、蓋付き容器2が蓋付き容器向き補正機構12による蓋付き容器2の所望の向きの補正位置に到達したことを認識する。
【0042】
制御装置13は、蓋付き容器向き補正機構12のアーム駆動部30等の動作により摩擦体26を蓋付き容器2の真上に移動させ、押し付けアーム28により摩擦体26を下降させる。このとき、アーム駆動部30等の動作により押し付けアーム28がコンベヤベルト8上の蓋付き容器2と共に同期して搬送方向に移動している。よって、摩擦体26と蓋付き容器2とは水平方向においては相対的に静止している関係となる。
【0043】
制御装置13は、押し付けアーム28の摩擦体側部材38及び枠体34を、アーム駆動部側部材36に対して下降を開始させる。アーム駆動部側部材36に対し、摩擦体側部材38が自重により下降される。枠体34に取付けられた摩擦体26が蓋付き容器2の蓋6に接する時、摩擦体側部材38の下降が停止される。以後、摩擦体26が蓋付き容器2の蓋6を、摩擦体側部材38、枠体34及び摩擦体26の自重に基づく所定の荷重Eにより鉛直方向に押し付ける。所定の荷重Eは樹脂材料により形成される蓋6が回復不能に変形しない程度の大きさに設定される。
【0044】
摩擦体26が蓋6を押し付けている状態では、摩擦体26、蓋付き容器2及びコンベヤベルト8が同期して移動し且つ互いに相対的に移動していない。これにより、摩擦体26が蓋付き容器2の蓋6に水平面内での静摩擦力(静止摩擦力)を作用させている状態、且つ蓋付き容器2の容器4がコンベヤベルト8に水平面内での静摩擦力(静止摩擦力)を作用させている状態となる。
【0045】
摩擦体26が蓋6を押し付けている状態において、アーム駆動部30により押し付けアーム28を水平面内で回動移動させる。このとき、摩擦体26と蓋6との間の静摩擦力が、容器4とコンベヤベルト8との間の静摩擦力よりも大きくなるようにされている。よって、容器4がコンベヤベルト8に対して静摩擦力を超えて滑り出すのに対し、摩擦体26が蓋6に対して静摩擦力を超えずに依然として互いの係合状態を保っている(互いに対して滑りだしていない状態を保っている)。容器4がコンベヤベルト8に対して滑り出して以降は、摩擦体26と蓋6との間の静摩擦力が、容器4とコンベヤベルト8との間の動摩擦力よりも大きくなっている。これにより、押し付けアーム28及び摩擦体26の回転と共に蓋付き容器2がコンベヤベルト8に対して回転移動をすることが可能となる。また、同様な原理により、押し付けアーム28及び摩擦体26の移動と共に蓋付き容器2がコンベヤベルト8に対して平行移動をすることも可能となる。
【0046】
このような蓋付き容器向き補正機構12によれば、蓋付き容器2がコンベヤベルト8上を搬送された状態のまま回転移動や平行移動を行うことができる。従って、ハンドで蓋付き容器2を掴んで持ち上げるためにコンベヤベルト8を停止させ、蓋付き容器2を停止させてから掴んで持ち上げることを検討する場合と比べて、回転移動等にかかる時間をさらに短縮することが可能となる。また、蓋付き容器向き補正機構12は、蓋付き容器2を容器の外側から掴んで持ち上げるハンドと比べてよりコンパクトに構成することが可能である。
【0047】
蓋付き容器向き補正機構12は、アーム駆動部30と、押し付けアーム28と、摩擦体26との組を、合わせて2組備えている。例えば、図2の紙面上において蓋付き容器向き補正機構12の右側のロボットハンド上のアーム駆動部30等の組と、図2の紙面上において蓋付き容器向き補正機構12の左側のロボットハンド上のアーム駆動部30等の組とが設けられている。それぞれの組は互いに独立して動作可能である。制御装置13は、決定した組の摩擦体26により蓋付き容器2を回転動作等させる。蓋付き容器向き補正機構12は、ロボットハンド上のアーム駆動部30等の組を2組以上備えているものに限られず、ロボットハンド上のアーム駆動部30等の組を1組のみ備えていてもよい。
【0048】
制御装置13は、補正量決定部21により、画像処理部20で判別した蓋付き容器2の向き及び位置に対し、アーム駆動部30の回転量、及び位置の移動量等を決定する。補正量決定部21は、対象となる蓋付き容器2の長辺2aの向きを、蓋付き容器2の目的の所定の向き(例えばコンベヤ横断線Bに沿った向き)とするための回転角度を決定する。また、補正量決定部21は、対象となる蓋付き容器2の中心Cの位置を、コンベヤ中心線D上に補正させるための移動量を決定する。制御装置13は、補正量決定部21により決定された回転角度及び移動量を実現するようにアーム駆動部30を駆動させる。これにより、蓋付き容器2がコンベヤベルト8に対して所定の向きの姿勢となるまで所定量の回転移動及び/又は平行移動をされる。以後、蓋付き容器向き補正機構12は、押し付けアーム28の摩擦体側部材38及び摩擦体26等を上昇させ、待機状態に戻る。
【0049】
蓋付き容器向き補正機構12の動作領域を通過した蓋付き容器2は、それぞれの長辺2aがコンベヤ横断線Bに沿った向きとなり、さらに、中心Cの位置がコンベヤ中心線D上に位置している整列姿勢となっている。よって、各蓋付き容器2がコンベヤベルト8上で整列して搬送される。よって、図2に示すように、帯シュリンク装置15により、常に一定の方向で帯シュリンクのフィルム40を蓋付き容器2にかけることができる。従って、蓋付き容器向き補正機構12により、蓋付き容器2が帯シュリンク装置15に到達する前に、作業員により手作業で蓋付き容器2の方向を修正する手間及び作業員コストを削減できる。さらに、帯シュリンク装置15により、常に一定の方向で効率的に帯シュリンクのフィルム40を蓋付き容器2にかけることができる。
【0050】
上述した本発明の第1実施形態による搬送装置1によれば、押し付けアーム28が摩擦体26を蓋付き容器2の蓋に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、摩擦体26が蓋付き容器2に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、アーム駆動部30により押し付けアーム28を水平面内で回動移動させることができる。これにより、表面コーティングされているコンベヤベルト8の上面上において蓋付き容器2が押し付けアーム28の回動移動に合わせて回動でき、蓋付き容器2を所望の向きに補正できる。
また例えば、蓋付き容器2を持ち上げて回転させる機器を配置しようとするためにコンベヤベルト8等のラインに改造をすることを抑制でき、例えば既存のコンベヤベルト8等のラインを利用して例えば蓋付き容器向き補正機構12を後付けで配置する等して搬送装置1を比較的簡単に構成できる。
【0051】
さらに、本実施形態の搬送装置1によれば、摩擦体26は、樹脂製シートであるので、樹脂製シートが蓋付き容器2に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、樹脂製シートにより蓋付き容器2を水平面内で回動移動できる。また、摩擦体26は、樹脂製シートであるので、メンテナンス時に洗浄しやすく、衛生的に保ちやすくできる。また、摩擦体26は、樹脂製シートであるので、比較的簡単な構成により、樹脂製シートと蓋付き容器2との間の水平面内で生じる静摩擦力が、コンベヤベルト8の上面の表面コーティングと、蓋付き容器2との間の水平面内で生じる静摩擦力よりも大きくできる。
【0052】
さらに、本実施形態の搬送装置1によれば、コンベヤベルト8の上面は、ポリウレタン、シリコーン又はフッ素樹脂で表面コーティングされるので、比較的簡単な構成により、摩擦体26と蓋付き容器2との間の水平面内で生じる静摩擦力が、コンベヤベルト8の上面の表面コーティングと、蓋付き容器2との間の水平面内で生じる静摩擦力よりも大きくできる。
【0053】
さらに、本実施形態の搬送装置1によれば、押し付けアーム28と摩擦体26との間に、摩擦体26の傾きを調整する弾性部材32が設けられるので、コンベヤベルト8の傾き及び/又は蓋付き容器向き補正機構12の摩擦体26の傾きにより、蓋付き容器2がコンベヤベルト8の上で摩擦体26に対して平行より傾いた姿勢となっている場合にも、摩擦体26の傾きが蓋付き容器2の蓋に合わせて調整され、摩擦体26を蓋付き容器2の蓋に対して比較的平行となるように押し付けることができる。これにより、摩擦体26と蓋付き容器2との静摩擦力を比較的大きく作用させ、蓋付き容器2を所望の向きにより補正させやすくできる。
【0054】
さらに、本実施形態の搬送装置1によれば、弾性部材32は、複数個の板バネであるので、蓋付き容器2がコンベヤベルト8の上で摩擦体26に対して平行より傾いた姿勢となっている場合にも、比較的簡易な構成により、摩擦体26の傾きが蓋付き容器2の蓋に合わせて調整され、摩擦体26を蓋付き容器2の蓋に対して比較的平行となるように押し付けることができる。これにより、摩擦体26と蓋付き容器2との静摩擦力を比較的大きく作用させ、蓋付き容器2を所望の向きにさらに補正させやすくできる。
【0055】
さらに、本実施形態の搬送装置1によれば、アーム駆動部30は、画像処理部20によって判別された向きに基づいて、当該蓋付き容器2の向きを所定の向きに揃えるように作動される。これにより、蓋付き容器2が押し付けアーム28の回動移動に合わせて回動でき、蓋付き容器2の向きを所定の向きに揃えることができる。
【0056】
さらに、本実施形態の搬送装置1によれば、アーム駆動部30は、押し付けアーム28を、水平面内で回動移動させることに加えて当該水平面内で平行移動させ、蓋付き容器2の向きに加えて搬送位置をも補正することができる。これにより、表面コーティングされているコンベヤベルト8の上面上において蓋付き容器2が押し付けアーム28の回動移動及び平行移動に合わせて移動でき、蓋付き容器2を所望の向き及び位置に補正できる。
【0057】
さらに、本実施形態の搬送装置1によれば、前記摩擦体26が蓋付き容器2に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、押し付けアーム28がコンベヤベルト8と共に同期して移動することができる。従って、アーム駆動部30は、摩擦体26により蓋付き容器2をコンベヤベルト8の上面上に留めることなく、搬送速度を維持したまま、蓋付き容器2を所望の向きに補正できる。また、動いているコンベヤベルト8の搬送方向に対して蓋付き容器2を停止させた状態で回転させることにより、蓋付き容器2同士がぶつかることや蓋付き容器2の停止位置が不正確になることを抑制できる。
【0058】
次に、図10乃至図12により、本発明の第2実施形態による搬送装置を説明する。第2実施形態は、本発明による搬送装置の摩擦体を異なる形状に形成した例である。図10は本発明の第2実施形態による搬送装置の押し付けアーム及び摩擦体を示す斜視図である。図11は、図10の搬送装置の押し付けアーム及び摩擦体の上面図である。図12は本発明の第2実施形態による搬送装置の押し付けアーム及び摩擦体を側面から示すと共に弾性部材と摩擦体の関係を示す図である。なお、図11においては、摩擦体126により押さえられている蓋付き容器102を仮想線により例示し、蓋付き容器102と摩擦体126との位置関係を例示している。また、図12においては、側面図において弾性部材32と摩擦体126が見えるように内部の一部を図示している。
第2実施形態による搬送装置は、上述した第1実施形態による搬送装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0059】
第2実施形態の搬送装置101は、円形の蓋付き容器102を搬送する。蓋付き容器102は、下部の容器104と、容器104に対応する蓋106とにより形成される。容器104は、有底の器に形成され且つ上面視で円形形状に形成される。蓋106は、上面視で円形形状に形成され、容器104に被せられるように形成される。蓋106は、ほぼ平坦な頂面を形成しているが、この頂面上に凹凸が形成されていてもよい。蓋付き容器102は、例えば食品を入れた食品容器、例えば弁当の具材を入れた弁当容器である。蓋付き容器102は、例えば、丼メニューやカレー等を収容するような丼容器、ラーメン、うどん、そば等を収容する器容器、サラダ等を収容するような円形の器容器等である。蓋付き容器102は、上面視で円形形状に形成されるものに限られず、楕円形形状、四角形状等であってもよい。蓋付き容器102は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料により形成される。なお、蓋付き容器102は、容器104と蓋106とが一体の容器として形成されていてもよい。また、蓋付き容器102は、蓋付きの容器に限られず、後述する押し付けアーム128が押し付ける上面を有している容器に変更可能である。
【0060】
搬送装置101は、上面側に蓋106が位置する姿勢の蓋付き容器102が載置されるコンベヤベルト8(図1参照)と、コンベヤベルト8を水平方向に駆動する駆動機構10(図1参照)と、コンベヤベルト8の上方に配置された蓋付き容器向き補正機構112と、蓋付き容器向き補正機構12を制御する制御装置13(図1参照)と、を備えている。
【0061】
次に、図10図12を参照して、蓋付き容器向き補正機構112を説明する。
図1に示すように、蓋付き容器向き補正機構112は、ロボットアーム等の構造体に取付けられる。図10に示すように、蓋付き容器向き補正機構112は、蓋付き容器102の蓋106に水平面内での静摩擦力を作用させる摩擦体126と、摩擦体126を蓋付き容器102の蓋106に対して所定の荷重で鉛直方向に押し付ける押し付けアーム128と、押し付けアーム128が摩擦体126を蓋付き容器102の蓋に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、摩擦体126が蓋付き容器102に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、押し付けアーム128を水平面内で回動移動させるアーム駆動部30と、を有する。
【0062】
図10及び図11等に示すように、摩擦体126は、上面視で八角形状に形成され、平板状に形成されている。摩擦体126はほぼ水平に延びるように支持されている。摩擦体126は、上面視で、蓋付き容器102の蓋106よりも大きな範囲まで拡がるように形成されている。よって、摩擦体126を蓋106に対して押し付ける際に若干の位置のずれが生じたとしても、摩擦体126が蓋付き容器102に水平面内での静摩擦力をより確実に作用させることができる。摩擦体126は、樹脂製シートであり、例えばウレタン素材のシートである。摩擦体126の下面にはエンボス加工がなされ、多数の凸部が並んで形成されている。よって、摩擦体126は、表面に形成された多数の凹凸により、蓋付き容器102に比較的大きな静摩擦力を生じさせることができる。摩擦体126は、蓋付き容器102に比較的大きな静摩擦力を生じさせる他の素材で形成されてもよい。また、摩擦体126は、蓋付き容器102に比較的大きな静摩擦力を生じさせる他の表面加工を備えていてもよい。また、摩擦体126は、下面がほぼ平坦となっている平板状のものに限られず、下面が湾曲した形状や表面に比較的大きな凹凸を有する形状に形成されていてもよい。例えば、摩擦体26は、上面視で八角形形状に形成され、上面視で円形形状の蓋付き容器102を効率的に移動させることができるが、円形形状以外の蓋付き容器102、例えば、正方形形状、長方形形状や楕円形形状の蓋付き容器102であっても移動させることができる。
【0063】
押し付けアーム128は、鉛直方向に延び、その上部がアーム駆動部30(図1参照)に接続され、その下部が摩擦体126に接続される。押し付けアーム128は、アーム駆動部30に接続されるアーム駆動部側部材36と、アーム駆動部側部材36に対して上下方向に摺動可能に形成される摩擦体側部材38と、摩擦体側部材38の下部に接続される枠体134と、を備えている。
【0064】
摩擦体側部材38は、図10に示す上昇位置と、下降位置との間で自重により自在に下降できる。摩擦体126が蓋付き容器102に接しているとき、摩擦体側部材38は、自在に上下動できる位置にある。よって、押し付けアーム128は、摩擦体126を蓋付き容器102の蓋106に対して所定の荷重、例えば自重(摩擦体側部材38、枠体134、弾性部材32及び摩擦体126等の重さ)で鉛直方向に押し付ける機能を有する。これらの重さは、蓋付き容器102の容器104及び蓋106が変形しない程度の重さに設定される。よって、蓋付き容器102が、過度の力により押し付けられ、変形することを抑制できる。
【0065】
枠体134は、金属製のフレームにより形成され、上面視で、八角形状の外形に形成されている。枠体134の下面に弾性部材32の一端が固定される。弾性部材32は、複数個の板バネであり、例えば4つの板バネである。図12に示すように、押し付けアーム128と摩擦体126との間に、摩擦体126の傾きを調整する弾性部材32が設けられる。摩擦体126は、摩擦体126よりもやや大きな枠体134の下部に取付けられている。摩擦体126は、蝶番137を介して、押し付けアーム128の枠体134に支持されている。摩擦体126は、弾性部材32を介して、押し付けアーム128により押し付けられる。枠体134に弾性部材32の上部が固定され、この弾性部材32の下部が摩擦体126に接する又は枠体134が下方に押されたときに弾性部材32の下部が摩擦体126に接するようになっている。よって、摩擦体126は、枠体134に対してやや傾きが自在に変化できるようになっている。弾性部材32は、摩擦体126の8辺のうちの4辺の近傍且つ内側の位置の4か所に取付けられている。弾性部材32は、上面視で十字状に配置されている。弾性部材32は、摩擦体126の傾きが枠体134に対して調整できるようにしながらも、通常の押し付け時には摩擦体126の傾きを比較的安定して維持できるようになっている。蓋付き容器102がコンベヤベルト8上で水平よりもやや傾いているような場合においても、弾性部材32により、摩擦体126の傾きが蓋付き容器102の蓋106に合わせて調整され、摩擦体126を蓋付き容器102の蓋106に対して比較的平行となるように押し付けることができる。よって、摩擦体126と蓋106との接触領域が確保されやすくなり、静摩擦力を比較的大きく作用させることができる。また、接触領域が確保されないことにより、静摩擦力が小さくなり、摩擦体126と共に蓋付き容器102が回転することの失敗を抑制できる。
【0066】
なお、本発明の第2実施形態による搬送装置の動作(作用)については、第1実施形態による搬送装置の動作(作用)と基本的に同じであるので説明を省略する。
【0067】
次に、図13により、本発明の第3実施形態による搬送装置を説明する。第3実施形態は、第1実施形態による搬送装置の蓋付き容器向き補正機構を、物体の向きを補正する物体向き補正装置として形成した例である。図13は本発明の第3実施形態による搬送装置の上面図である。第3実施形態による搬送装置は、上述した第1実施形態による搬送装置と構造がほぼ同じであり、向きを補正する対象物を物体としている。このように、第3実施形態による搬送装置は、上述した第1実施形態による搬送装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第3実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。すなわち、第3実施形態による搬送装置は、上述した第1実施形態による搬送装置と構造がほぼ同じであるため、同様な部分の構造の図示も省略されている。例えば、図13においては、制御装置13(図1参照)は図示及び説明を省略されている。
【0068】
本実施形態の搬送装置201は、物体202を搬送する。物体202は、コンベヤベルト8上に載置された状態で、載置された姿勢を維持したまま(例えば倒れたり転がったりせずに)搬送できる形状に形成される。物体202は、コンベヤベルト8上で搬送できる重量で構成されると共に、後述するように、押し付けアーム28及び摩擦体26の回転と共に物体202がコンベヤベルト8に対して回転移動をすることが可能となる程度の重量で構成されている。物体202は、摩擦体26が物体202に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で物体202を回動できるように、摩擦体26と接する上面を形成している。物体202は、例えば直方体形状の箱状に形成されている。物体202は、有底に形成されたものに限られず、底が無く形成されていてもよい。物体202は、上面視で四角形状に形成されたものに限られず、円形状、楕円形状等の他の形状に形成されてもよい。物体202は、蓋と容器に分かれるものに限られず、頂部まで容器が一体となって形成されていてもよい。例えば、物体202の頂部が蓋体として形成されていなくともよい。なお、物体202は、第1実施形態に示すような蓋付き容器2であってもよい。また、物体202は、容器に限られず、機器や構造体であってもよい。物体202は、中空に構成されてもよく、又は中実に構成されてもよい。物体202は、コンベヤベルト8上で搬送でき且つ回動できる比較的小型の物体である。なお、コンベヤベルト8が大型に形成される場合には、物体202は、比較的大型の物体であってもよい。物体202は、例えば、電子機器、部品、構造体、段ボール容器、プラスチック容器、紙容器、輸送容器、小包等の梱包物、食品用又は製品用等の蓋付き容器、食品用又は製品用等の蓋状の上面を有する容器である。なお、本実施形態においては、物体202は、第1実施形態における蓋付き容器2と同じ外形の形状を有するものとして、図13において例示される。なお、物体202にシュリンク包装を行わない場合には、帯シュリンク装置15は省略可能である。すなわち、搬送装置201及び物体向き補正装置212は、帯シュリンク装置15を設けない場合にも適用可能である。
【0069】
このように、本実施形態の搬送装置201によれば、押し付けアーム28及び摩擦体26の回転と共に物体202がコンベヤベルト8に対して回転移動をすることが可能となる。また、同様な原理により、押し付けアーム28及び摩擦体26の移動と共に物体202がコンベヤベルト8に対して平行移動をすることも可能となる。物体202の向き及び位置については、第1実施形態における蓋付き容器2の向き及び位置の説明に用いた符号等を用いて説明される。
【0070】
搬送装置201は、第1実施形態による搬送装置の蓋付き容器向き補正機構12と同様の構成である物体向き補正装置212を備えている。物体向き補正装置212は、コンベヤベルト8上を搬送中の物体202の向きを補正する。物体向き補正装置212は、物体202に水平面内での静摩擦力を作用させる摩擦体26と、摩擦体26を物体202の上面に対して所定の荷重で鉛直方向に押し付ける押し付けアーム28と、押し付けアーム28が摩擦体26を物体202の上面に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、摩擦体26が物体202の上面に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、押し付けアーム28を水平面内で回動移動させるアーム駆動部30と、を有する。このように第3実施形態による搬送装置201は、上述した第1実施形態による搬送装置1と構造がほぼ同じであるため、以後説明を省略する。
【0071】
上述した本発明の第3実施形態による搬送装置201の物体向き補正装置212によれば、押し付けアーム28が摩擦体26を物体202の上面に対して鉛直方向に押し付けていて、且つ、摩擦体26が物体202の上面に水平面内での静摩擦力を作用させている状態で、アーム駆動部30により押し付けアーム28を水平面内で回動移動させることができる。これにより、コンベヤベルト8上において物体202が押し付けアーム28の回動移動に合わせて回動でき、物体202を所望の向きに補正できる。
【符号の説明】
【0072】
1 搬送装置
2 蓋付き容器
3 アーム駆動部
4 容器
6 蓋
8 コンベヤベルト
8a 上面
10 駆動機構
12 蓋付き容器向き補正機構
18 カメラ
20 画像処理部
26 摩擦体
28 押し付けアーム
30 アーム駆動部
32 弾性部材
101 搬送装置
112 蓋付き容器向き補正機構
126 摩擦体
128 押し付けアーム
201 搬送装置
202 物体
212 物体向き補正装置
図1
図2
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