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  • 特開-ウエーハの貼り合わせ方法 図1
  • 特開-ウエーハの貼り合わせ方法 図2
  • 特開-ウエーハの貼り合わせ方法 図3
  • 特開-ウエーハの貼り合わせ方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150172
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ウエーハの貼り合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052658
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝
(57)【要約】
【課題】貼り合わせウエーハ容易に生成することができるウエーハの貼り合わせ方法を提供する。
【解決手段】ウエーハの貼り合わせ方法は、第1のウエーハ2を冷却する冷却工程と、冷却した第1のウエーハ2の面に結露が生じた際に第2のウエーハ4を第1のウエーハの面2に積層して貼り合わせ、貼り合わせウエーハを生成する貼り合わせ工程と、貼り合わせウエーハに熱処理を施す熱処理工程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のウエーハと第2のウエーハとを貼り合わせるウエーハの貼り合わせ方法であって、
第1のウエーハを冷却する冷却工程と、
冷却した第1のウエーハの面に結露が生じた際に第2のウエーハを第1のウエーハの面に積層して貼り合わせ、貼り合わせウエーハを生成する貼り合わせ工程と、
貼り合わせウエーハに熱処理を施す熱処理工程と、
を含むウエーハの貼り合わせ方法。
【請求項2】
第1のウエーハおよび第2のウエーハはシリコンウエーハである請求項1記載のウエーハの貼り合わせ方法。
【請求項3】
該熱処理工程において、1000~1100℃の温度で熱処理を施す請求項1または2記載のウエーハの貼り合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のウエーハと第2のウエーハとを貼り合わせるウエーハの貼り合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記非特許文献1には、2枚のウエーハを直接貼り合わせる技術が開示されており、この技術がSOI(Silicon-On-Insurator)ウエーハの作製に利用されている。
【0003】
この技術は、酸などの化学薬品と純水を用いてウエーハの表面を僅かに酸化させて酸化膜を形成すると共に表面に多数の水酸基を付着させる前処理と、ウエーハ同士を重ね合わせて接合し1000℃以上の高温で熱処理して結合を強固にする後処理と、によって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】国立研究開発法人産業技術総合研究所,高木 秀樹,“ウェハ直接接合技術:Wafer Direct Bonding”,[online],[検索日2021年2月17日],インターネット<URL:https://staff.aist.go.jp/takagi.hideki/waferbonding.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の技術においては、ウエーハ同士を重ね合わせて接合する際に、ウエーハの表面間引力を利用していることから、それぞれのウエーハの表面の原子に十分な表面間引力が働く程度に、それぞれのウエーハの表面を接近させる必要がある。このため、前処理において、それぞれのウエーハの表面を1ナノメートル以下のレベルで平滑化しなければならず、生産性の点において改善の余地がある。
【0006】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、貼り合わせウエーハ容易に生成することができるウエーハの貼り合わせ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記課題を解決する以下のウエーハの貼り合わせ方法が提供される。すなわち、第1のウエーハと第2のウエーハとを貼り合わせるウエーハの貼り合わせ方法であって、第1のウエーハを冷却する冷却工程と、冷却した第1のウエーハの面に結露が生じた際に第2のウエーハを第1のウエーハの面に積層して貼り合わせ、貼り合わせウエーハを生成する貼り合わせ工程と、貼り合わせウエーハに熱処理を施す熱処理工程と、を含むウエーハの貼り合わせ方法が提供される。
【0008】
好ましくは、第1のウエーハおよび第2のウエーハはシリコンウエーハである。該熱処理工程において、1000~1100℃の温度で熱処理を施すのが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のウエーハの貼り合わせ方法は、第1のウエーハを冷却する冷却工程と、冷却した第1のウエーハの面に結露が生じた際に第2のウエーハを第1のウエーハの面に積層して貼り合わせ、貼り合わせウエーハを生成する貼り合わせ工程と、貼り合わせウエーハに熱処理を施す熱処理工程と、を含むので、貼り合わせウエーハを容易に生成することができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)第1のウエーハおよび冷却テーブルの斜視図、(b)冷却工程を実施している状態を示す斜視図。
図2】貼り合わせ工程を実施している状態を示す斜視図。
図3】貼り合わせウエーハの斜視図。
図4】熱処理工程を実施している状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1のウエーハと第2のウエーハとを貼り合わせるウエーハの貼り合わせ方法の好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1を参照して説明すると、本実施形態においては、まず、第1のウエーハ2を冷却する冷却工程を実施する。第1のウエーハ2は円板状のシリコンウエーハでよい。また、第2のウエーハ4(図2参照。)も、第1のウエーハ2と同様に円板状のシリコンウエーハでよい。なお、第1・第2のウエーハ2、4のそれぞれの表面および裏面には、IC、LSI等のデバイスは形成されておらず、円柱状のシリコンインゴットから単にスライスされたものであるが、表面にデバイスが形成されたウエーハであってもよい。また、第1・第2のウエーハ2、4のそれぞれの貼り合わせ面は、研削または研磨によって平滑化されていることが必要であるが、1ナノメートル以下のレベルでの高精度な平滑化は要求されない。
【0013】
冷却工程では、たとえば図1に示す冷却テーブル6を用いて実施することができる。冷却テーブル6は、円形の天板8と、天板8の周縁から垂下する側壁10とを含む。天板8の直径は第1・第2のウエーハ2、4の直径よりも大きく、第1・第2のウエーハ2、4が冷却テーブル6の天板8に載せられるようになっている。そして、冷却テーブル6においては、天板8上に置かれた被冷却物を冷却するようになっている。
【0014】
図1を参照して説明を続けると、図示の実施形態の冷却工程では、冷却テーブル6の上面に第1のウエーハ2を載せ、第1のウエーハ2を冷却する。第1のウエーハ2を冷却する際は、第1のウエーハ2を載せた冷却テーブル6を、天板8の上面よりも高い温度で、比較的湿度が高い雰囲気の下(たとえば、常温で湿度40~60%程度)に置くのが好ましい。
【0015】
ただし、冷却工程は、このような形態に限定されず、第1のウエーハ2を冷凍庫(たとえば、内部温度が-20~0℃程度)の内部に入れて、第1のウエーハ2の全体を一様に冷却してもよい。
【0016】
冷却工程を実施した後、冷却した第1のウエーハ2の面に結露を生じた際に第2のウエーハ4を第1のウエーハ2の面に積層して貼り合わせ、貼り合わせウエーハを生成する貼り合わせ工程を実施する。
【0017】
図示の実施形態では、上述したとおり、冷却工程において、第1のウエーハ2の上面に結露が生じる雰囲気の下で冷却テーブル6によって第1のウエーハ2を冷却している。このため、図2に示すとおり、冷却テーブル6に載せた第1のウエーハ2の上面に結露が生じて水分層12が形成されたら、第1のウエーハ2を冷却テーブル6に載せたまま、第1のウエーハ2に第2のウエーハ4に積層して貼り合わせることができる。これによって、図3に示すような貼り合わせウエーハ14を生成することができる。
【0018】
なお、冷凍庫内で第1のウエーハ2を冷却した場合には、冷却した第1のウエーハ2に結露が生じるような雰囲気に第1のウエーハ2をさらす。すなわち、冷凍庫内よりも高い温度で、比較的湿度が高い雰囲気の下(たとえば、常温で湿度40~60%程度)に第1のウエーハ2を置く。そして、第1のウエーハ2の面に結露が生じて水分層12が形成されたら、第1のウエーハ2に第2のウエーハ4に積層し、貼り合わせウエーハ14を生成する。
【0019】
第1のウエーハ2と第2のウエーハ4との結合度を高める観点から、第1のウエーハ2の面に形成する水分層12は比較的薄くほぼ均一であるのが好ましい。逆に、第1のウエーハ2の面の水分層が不均一である場合、たとえば、水分層が粒状の水滴を含んでおり、第1のウエーハ2の面において、水分層が存在する領域と、水分層が存在しない領域とがある場合には、第1のウエーハ2と第2のウエーハ4とを貼り合わせた際に、第1のウエーハ2と第2のウエーハ4との間に部分的に水分層が存在しない貼り合わせウエーハができてしまう。そして、このような貼り合わせウエーハに熱処理を施しても、第1のウエーハ2と第2のウエーハ4とが強固には結合しない。このため、第1のウエーハ2の面に水分層を形成するために、霧吹き等を用いて第1のウエーハ2の面に水を噴射することは、比較的薄いほぼ均一な水分層の形成が困難であるから望ましくない。
【0020】
この点、図示の実施形態では、第1のウエーハ2を冷却し、冷却した第1のウエーハ2の面に結露を生じさせて水分層12を形成するので、比較的薄いほぼ均一な水分層12を容易に形成することができる。これによって、第1のウエーハ2と第2のウエーハ4とを貼り合わせた際に、第1のウエーハ2と第2のウエーハ4との間に一様に水分層12が存在する貼り合わせウエーハ14を形成することができ、このような貼り合わせウエーハ14に熱処理を施すことにより、第1のウエーハ2と第2のウエーハ4とを強固に結合させることができる。
【0021】
また、図示の実施形態では、冷却した第1のウエーハ2の面に生じた結露による水分層を利用して、第1のウエーハ2と第2のウエーハ4とを貼り合わせているため、酸などの化学薬品や純水は不要であり、貼り合わせウエーハ14を容易に生成することができる。
【0022】
そして、上記のとおりの貼り合わせ工程を実施した後、貼り合わせウエーハ14に熱処理を施す熱処理工程を実施し(図4参照。)、第1のウエーハ2と第2のウエーハ4とを強固に結合させる。熱処理工程においては、貼り合わせウエーハ14を高温炉に入れ、1000~1100℃の温度で5~6時間程度かけて貼り合わせウエーハ14に熱処理を施すのが好適である。これによって、第1のウエーハ2と第2のウエーハ4とを比較的強固に結合させることができる。
【0023】
以上のとおりであり、図示の実施形態のウエーハの貼り合わせ方法では、第1のウエーハ2を冷却する冷却工程と、冷却した第1のウエーハ2の面に結露が生じた際に第2のウエーハ4を第1のウエーハ2の面に積層して貼り合わせ、貼り合わせウエーハ14を生成する貼り合わせ工程と、貼り合わせウエーハ14に熱処理を施す熱処理工程とを含むので、第1のウエーハ2と第2のウエーハ4とが強固に結合した貼り合わせウエーハ14を容易に生成することができ、生産性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0024】
2:第1のウエーハ
4:第2のウエーハ
12:水分層
14:貼り合わせウエーハ
図1
図2
図3
図4