(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150437
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】皮膚状態改善剤及び皮膚粘弾性改善剤
(51)【国際特許分類】
A23L 33/135 20160101AFI20220929BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220929BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20220929BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220929BHJP
A61K 35/742 20150101ALI20220929BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20220929BHJP
A61K 31/718 20060101ALI20220929BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A23L33/135
A61P17/00
A61P17/16
A61P1/00
A61K35/742
A61K31/702
A61K31/718
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053032
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】内田 典芳
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD31
4B018MD36
4B018MD86
4B018ME11
4B018ME14
4B018MF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086EA20
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA73
4C086ZA89
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC55
4C087CA09
4C087MA05
4C087MA16
4C087MA28
4C087MA34
4C087MA52
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA73
4C087ZA89
4C087ZC75
(57)【要約】
【課題】新たな皮膚状態改善剤を提供することを課題とする。
【解決手段】ワイツマニア・コアギュランス(Weizmannia coagulans)及び少なくともオリゴ糖又はデキストリンの一方を含む、皮膚状態改善剤及び該皮膚状態改善剤を含む食品、飲料又はサプリメント。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイツマニア・コアギュランス(Weizmannia coagulans)及び少なくともオリゴ糖又はデキストリンの一方を含む、皮膚状態改善剤。
【請求項2】
前記ワイツマニア・コアギュランスがSANK70258株、P-22株、lilac-01株、SIM-7 DSM14043株、C101株、NBRC12583株、GBI-1株、GBI-20株、GBI-30株、GBI-40株又はこれらの菌株由来の変異株である、請求項1に記載の皮膚状態改善剤。
【請求項3】
前記オリゴ糖又はデキストリンが、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マンノオリゴ糖、イヌリン、グアガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、レジスタントスターチ、アカシア食物繊維、デキストリンからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の皮膚状態改善剤。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の皮膚状態改善剤を含む食品。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の皮膚状態改善剤を含む飲料。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の皮膚状態改善剤を含むサプリメント。
【請求項7】
ワイツマニア・コアギュランス(Weizmannia coagulans)を含む皮膚粘弾性改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイツマニア・コアギュランス(Weizmannia coagulans)(シノニム:バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans))を含む皮膚状態改善剤に関するものである。また、ワイツマニア・コアギュランス(Weizmannia coagulans)を含む皮膚粘弾性改善剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚の状態は、物理的刺激、温度、湿度、大気中の微粒子等に対するアレルギー反応、化粧品の使用、及び紫外線の暴露などの外的要因のみならず、疲労、健康状態、栄養状態などの内的要因によっても悪化しうる。皮膚の状態の悪化は、美容の観点から好ましくなく、また、痛みやかゆみを伴う、細菌増殖の場となる、などの問題を生じ得る。皮膚の状態を改善するために、保湿作用、紫外線防止作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用等を有する外用薬又は化粧料を皮膚に塗布することが行われている。
【0003】
一方、これらの外用薬等の使用によりかぶれや刺激などの新たな問題を生じることがあるため、外用薬等とは異なる、より安全性の高い皮膚状態改善剤が求められている。そこで近年、経口摂取により疲労、健康状態、栄養状態などの内的要因を改善することが可能な組成物の開発が行われている。例えば、生菌を摂取することにより、腸内細菌叢を改善する方法(プロバイオティクスと呼ばれる)が知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、ラクトバチルス属菌を含有する組成物を経口摂取することにより美容効果、特に美肌効果を得られることが開示されている。
また、特許文献2には、セラミドと乳酸菌、好ましくはペプチドを組み合わせることによって、肌の状態の相乗的改善効果が期待できる美容食品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-179601号公報
【特許文献2】特開2004-254632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記特許文献で開示された方法と異なる、新たな皮膚状態改善剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を進めた結果、ワイツマニア・コアギュランス(Weizmannia coagulans)を経口摂取することにより、皮膚の状態が改善することを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
即ち、本発明は以下の通りである。
[1] ワイツマニア・コアギュランス(Weizmannia coagulans)及び少なくともオリゴ糖又はデキストリンの一方を含む、皮膚状態改善剤。
[2] 前記ワイツマニア・コアギュランスがSANK70258株、P-22株、lilac-01株、SIM-7
DSM14043株、C101株、NBRC12583株、GBI-1株、GBI-20株、GBI-30株、GBI-40株又はこれらの菌株由来の変異株である、[1]に記載の皮膚状態改善剤。
[3] 前記オリゴ糖又はデキストリンが、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシ
ロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マンノオリゴ糖、イヌリン、グアガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、レジスタントスターチ、アカシア食物繊維、デキストリンからなる群から選択される、[1]または[2]に記載の皮膚状態改善剤。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載の皮膚状態改善剤を含む食品。
[5] [1]~[3]のいずれかに記載の皮膚状態改善剤を含む飲料。
[6] [1]~[3]のいずれかに記載の皮膚状態改善剤を含むサプリメント。
[7] ワイツマニア・コアギュランス(Weizmannia coagulans)を含む皮膚粘弾性改善剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、皮膚の状態を改善することができる。皮膚の状態とは、より詳細には肌のキメ、肌の透明感、肌の若々しさ、肌荒れ、皮膚のくすみなどを指し、角層水分量、経表皮膚水分蒸散量、皮膚粘弾性などを含み得る。そして皮膚の状態の改善効果は、これらを指標とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されるものではない。
【0011】
本発明の実施形態である皮膚状態改善剤は、ワイツマニア・コアギュランス(Weizmannia coagulans)を含むことを特徴とする。
【0012】
ワイツマニア・コアギュランス(Weizmannia coagulans)は有胞子性乳酸菌に属する乳酸菌であり、乾燥状態、熱及び酸に非常に強く、経口投与された場合でも胃酸や胆汁で死滅せずに腸に到達し、腸内で発芽して栄養細胞の状態となり、さらに増殖して乳酸を産生する。これらの特徴を有することから、ワイツマニア・コアギュランスはラクトバチルス属菌に比べて高耐性であり、比較的少量の投与であっても十分な効果を奏することが期待できる。ワイツマニア・コアギュランスとしては、ワイツマニア・コアギュランスのSANK70258株、P-22株、lilac-01株、SIM-7 DSM14043株、C101株、NBRC12583株、GBI-1株、GBI-20株、GBI-30株、GBI-40株等が挙げられ、中でもワイツマニア・コアギュランスのSANK70258株が供給の安定性、入手の容易性の点から好ましい。また、皮膚状態改善効果を有するものであれば、これらの菌株由来の変異株であってよい。
【0013】
また、ワイツマニア・コアギュランスは整腸作用を有することが知られているため、本発明の実施形態に係る皮膚状態改善剤の摂取により、皮膚状態改善効果に加えて整腸効果が期待できる。
【0014】
ワイツマニア・コアギュランスは、市販のものを用いることができる(例えば、三菱ケミカルフーズ株式会社「ラクリス-S」、「ラクリス-S顆粒」、「ラクリス-15」、及び「飼料用ラクリス-10」、並びにKerry Inc.社、SABINSA社、アテリオバイオ、UNIQUEBIOTECH、アサヒバイオサイクル社等の製品があげられる)。これらを適当な培地において適宜培養して用いてもよい。本実施形態においては、これらを胞子の状態で、あるいは胞子と栄養細胞の混合物の状態で用いることができる。
【0015】
皮膚状態改善剤中のワイツマニア・コアギュランス(Weizmannia coagulans)の含有量は、通常1.0×106cfu/g以上、好ましくは1.0×107cfu/g以上であり、また、通常1.0×1011cfu/g以下、好ましくは1.0×1010cfu/g以下である。ワイツマニア・コアギュランスの含有量を上記範囲内とすると、十分な皮
膚状態改善効果を得ることができる。なお、cfuとはコロニー形成単位(colony formation unit)を指す。
【0016】
本実施形態の皮膚状態改善剤は、好ましくはオリゴ糖又はデキストリンを含む。皮膚状態改善剤に含まれるオリゴ糖は特に限定されないが、ワイツマニア・コアギュランスによって資化されうるオリゴ糖が好適に用いられる。具体的には、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マンノオリゴ糖、イヌリン、グアガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、レジスタントスターチ、アカシア食物繊維などが挙げられ、ガラクトオリゴ糖が好ましい。ガラクトオリゴ糖の固形分中の糖組成は、ガラクトオリゴ糖55%以上、単糖類及び乳糖45%以下であることが好ましい。また、デキストリンとしては、マルトデキストリン、シクロデキストリンなどが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、複数を組み合わせて用いられてもよい。マルトデキストリンのデキストロース当量は3以上20以下であり、好ましくは7以上9以下である。皮膚状態改善剤がワイツマニア・コアギュランスとオリゴ糖又はデキストリンの両者をシンバイオティクスとして含むことによって、皮膚状態改善効果が相乗的に向上することが期待される。
【0017】
皮膚状態改善剤に含まれるオリゴ糖又はデキストリンの含有量は、通常1.0重量%以上であり、好ましくは5.0重量%以上であり、より好ましくは10.0重量%以上であり、さらに好ましくは50.0重量%以上であり、特に好ましくは80.0重量%以上であり、また通常99.9重量%以下、好ましくは95.0重量%以下である。
【0018】
皮膚状態改善剤に含まれるワイツマニア・コアギュランスとオリゴ糖又はデキストリンの割合は、特に限定されないが、ワイツマニア・コアギュランス1.0×108cfuに対し、通常オリゴ糖又はデキストリンが0.01g以上であり、0.1g以上であることが好ましく、また、通常オリゴ糖又はデキストリンが10.0g以下であり、5.0g以下であることが好ましい。
【0019】
本実施形態の皮膚状態改善剤は、ワイツマニア・コアギュランス以外の菌を含むものであってもよい。その他の菌の例としては、乳酸菌、酪酸産生菌、ビフィズス菌、納豆菌、麹菌、酵母等が挙げられる。乳酸菌の例としては、ラクトバチルス属、バチルス属の菌が挙げられる。
【0020】
ラクトバチルス属の菌の例としては、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobaillus gaceli)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantrum)などが挙げられる。バチルス属の菌の例としては、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)などが挙げられる。ワイツマニア・コアギュランス以外の菌を含む場合、菌全量に対するワイツマニア・コアギュランスの割合は通常1重量%以上であり、10重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることが好ましく、通常100重量%以下である。
【0021】
また、本実施形態の皮膚状態改善剤には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの塩類;リジン、メチオニン、スレオニン、トリプトファン、バリンなどのアミノ酸;タンニン酸などの有機酸;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸、アスコルビン酸などのビタミン類を添加してもよい。
【0022】
本発明の別の実施形態は、上記皮膚状態改善剤を含む経口組成物であり、より具体的には食品であってよく、飲料であってよく、サプリメントであってよい。
【0023】
本明細書における「食品」は、健康食品、機能性食品、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等)、健康補助食品、栄養補助食品を含む。また、食品の形状は固形、液状又はペースト状等、適宜選択することができる。
【0024】
本明細書における「飲料」は、清涼飲料水、乳飲料、アルコール飲料を含む。
【0025】
本発明に係る皮膚状態改善剤を含有するサプリメントはどのような形状であってもよく、錠剤、顆粒剤、散剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁剤、液剤、乳剤等であってよい。また、皮膚状態改善剤を胃酸から保護し、腸において作用させるため、異なるpHに対する溶解性に差異のある腸溶剤としてもよい。
【0026】
皮膚状態改善剤を含む経口組成物には、必要に応じて、安定剤、賦形剤、pH調整剤等がさらに含まれても構わない。安定剤としては、無水ケイ酸などが挙げられ、賦形剤としては、コーン、小麦、大豆、マイロ等の穀類、乳糖、ショ糖、ブドウ糖等の糖類、大豆かす、コーングルテンミール、ごま油かす、コーンファームミール、なたね油かす、蒸留穀物残渣等の植物性油かす類、ふすま、米ぬか、脱脂米ぬか、コーングルテンフィード等の糟糠類、魚粉等の動物性素材、ヤシ油、ラード、コーンオイル等の植物性油脂、コーンスターチ、ポテトスターチ等の澱粉類、炭酸カルシウム等のミネラル類、ビタミンE等のビタミン類、デキストリン、コーンスチーブリカー、パプリカ抽出物、アルファルファミールなどが挙げられる。
【0027】
ワイツマニア・コアギュランスの摂取量は、1日あたり1×107cfu以上であることが好ましく、1×108cfu以上であることがより好ましく、また上限は1日あたり5×1010cfu以下であることが好ましい。
【0028】
本実施形態の皮膚状態改善剤が改善し得る皮膚の状態とは、より詳細には肌のキメ、肌の透明感、肌の若々しさ、肌荒れ、皮膚のくすみなどを含み、また、角層水分量、経表皮膚水分蒸散量、皮膚粘弾性などを含み得る。このうち、ワイツマニア・コアギュランスは、単独使用で、皮膚粘弾性を顕著に改善し得る。従って、本発明の別の形態は、ワイツマニア・コアギュランスを含む皮膚粘弾性改善剤であり得る。
【0029】
本実施形態の皮膚状態改善剤による皮膚の状態の改善効果は、肌のキメ、肌の透明感、肌の若々しさ、肌荒れ、皮膚のくすみ、角層水分量、経表皮膚水分蒸散量、皮膚粘弾性などが、皮膚改善剤の適用により改善されることで、皮膚の状態の改善効果を有すると判断することができる。
皮膚の状態の改善効果は、マイクロスコープによる肌状態の観察、専門家の目視による肌状態の観察、アンケートによる自己評価、角層水分量の測定、TEWLの測定、皮膚粘弾性測定装置による皮膚粘弾性の測定、などにより測定できる。
【実施例0030】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明する。
【0031】
ワイツマニア・コアギュランスの摂取による皮膚状態及び整腸効果について以下の試験を行った。
試験手法:プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間法
被験者:排便回数が比較的少ない(週3~5回)健常成人女性45名
試験食品:被験食品1群(ワイツマニア・コアギュランス+ガラクトオリゴ糖)、被験食品2群(ワイツマニア・コアギュランス+デキストリン)、又は対照食品(デキストリン)
摂取期間:8週間
【0032】
上記試験において、ワイツマニア・コアギュランスは三菱ケミカルフーズ株式会社「ラクリス-S」を用い、生菌数4億cfu/日で摂取した。ガラクトオリゴ糖はヤクルト薬品工業株式会社「オリゴメイト55N」を用い、2.5g/日で摂取した。デキストリンは松谷化学工業株式会社「パインデックス#1」を用い、6g/日で摂取した。
【0033】
(実施例1)
被験食品1群と被験食品2群について、接種開始時(0週)並びに摂取開始後4週及び8週における角層水分量をCourage+Khazaka社製Corneometer
CM825を用いて静電容量法により測定した。静電容量法は、皮膚に水分を多く含有していると静電容量が大きくなることを利用する方法であり、計測値は、0~120の相対値(AU)で表示される。結果を表1に示す。
【0034】
【0035】
角層水分量は、被験食品1群と被験食品2群のいずれにおいても、摂取開始時(0週)に比べ、摂取後4週、8週で有意に高い値(改善)が認められた。
【0036】
(実施例2)
被験食品1群と被験食品2群について、接種開始時(0週)及び摂取開始後4週における経表皮膚水分蒸散量をCourage+Khazaka社製Tewameter TM300を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0037】
【0038】
経表皮膚水分蒸散量は、被験食品2群において、摂取開始時(0週)に比べ、摂取後4週で有意に低い値(改善)が認められた。また、被験食品1群においても、摂取開始時(0週)に比べ、摂取後4週で経表皮膚水分蒸散量が低下する傾向が認められた。
【0039】
(実施例3)
被験食品1群と被験食品2群について、接種開始時(0週)及び摂取開始後4週における皮膚粘弾性をCourage+Khazaka社製Tewameter TM300を用いて測定した。全体の弾力をR2、回復の弾力をR7とした。結果を表3に示す。
【0040】
【0041】
皮膚粘弾性は、被験食品1群と被験食品2群のいずれにおいても、摂取開始時(0週)に比べ、摂取開始4週で有意に高い値(改善)が認められた。
【0042】
(実施例4)
被験食品1群と被験食品2群について、接種開始時(0週)並びに摂取開始後4週及び8週における皮膚の状態(肌のキメ、肌の透明感、肌の若々しさ、皮膚のくすみ)についてアンケートにより調査した。最も良い皮膚の状態を0、最も悪い皮膚の状態を100とした評価線上において、被験者が現在の皮膚の状態に相当すると考える位置をチェックし、その距離を計測したものを評価値とした。結果を表4に示す。
【0043】
【0044】
肌のキメは、被験食品1群において、摂取開始時(0週)に比べ、摂取後4週及び8週で有意な改善が認められた。また、被験食品2群において、摂取開始時(0週)に比べ、摂取後8週で有意な改善が認められた。
肌の透明感は、被験食品1群において、摂取開始時(0週)に比べ、摂取後4週及び8
週で有意な改善が認められた。また、被験食品2群において、摂取開始時(0週)に比べ、摂取後8週で有意な改善が認められた。
肌の若々しさは、被験食品1群において、摂取開始時(0週)に比べ、摂取後4週及び8週で有意な改善が認められた。また、被験食品2群において、摂取開始時(0週)に比べ、摂取後8週で有意な改善が認められた。
皮膚のくすみは、被験食品1群において、摂取開始時(0週)に比べ、摂取後4週で有意な改善が認められた。また、被験食品2群において、摂取開始時(0週)に比べ、摂取後8週で有意な改善が認められた。
【0045】
(実施例5)
被験食品1群と対照食品群について、接種開始時(0週)並びに摂取開始後4週及び8週における皮膚の状態(肌荒れ)についてアンケートにより調査した。結果を表5に示す。
【0046】
【0047】
肌荒れは、被験食品1群において、摂取開始時(0週)に比べ摂取開始4週及び8週で有意に高い値が認められた。また、対照食品群に比べ摂取後8週で有意な改善が認められた。
【0048】
(実施例6)
被験食品1群について、接種開始時(0週)並びに摂取開始後4週及び8週における週あたりの排便日数を被験者日誌により調査した。結果を表6に示す。
【0049】
【0050】
排便日数は、被験食品1群において、摂取開始時(0週)に比べ摂取開始4週及び8週で有意に高い値が認められた。
【0051】
(実施例7)
被験食品1群と対照食品群について、接種開始時(0週)並びに摂取開始後4週及び8週におけるパラクレゾールについて、糞便のGC-MS分析により調査した。各時点のパラクレゾール量、及び0週とのパラクレゾール量の差分(Δパラクレゾール)を表7に示す。
なお、パラクレゾールは、食物に含まれるタンパク質から腸内細菌の作用により産生さ
れる。一部は腸から吸収され、血液を介して体内を循環し、生体内で様々な悪影響を示すことから、肌の状態にも大きな影響を及ぼすと考えられている。
【0052】
【0053】
パラクレゾールは、被験食品1群において、対照食品に比べ摂取後8週で改善する傾向が認められた。また、被験食品1群及び被験食品2群において、対照食品に比べ0週と8週の差分が改善した。すなわち被験食品1群は糞便中のパラクレゾールを低減させ、被験食品1群及び被験食品2群はパラクレゾールの増加を抑制する効果があるといえる。