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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151016
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】光電変換素子及び発電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/46 20060101AFI20220929BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20220929BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L31/04 168
H01L31/04 112Z
H01L31/04 152D
H01L31/04 152G
H01L31/04 152J
C08L65/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053883
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593232206
【氏名又は名称】学校法人桐蔭学園
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 力
(72)【発明者】
【氏名】郭 章林
(72)【発明者】
【氏名】アジェイ クマー ジェナ
(72)【発明者】
【氏名】武井 出
【テーマコード(参考)】
4J002
5F151
【Fターム(参考)】
4J002CE001
4J002GQ05
5F151AA11
5F151BA18
5F151CB13
5F151FA04
5F151FA06
5F151GA03
(57)【要約】
【課題】有機無機ハイブリッド型半導体化合物を活性層として用いた光電変換素子において、高性能を維持しつつ、その耐久性を向上させることを目的とする
【解決手段】上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記一対の電極間に位置し、有機無機ハイブリッド型半導体化合物を含有する活性層と、を有する光電変換素子であって、
正孔輸送能を有する有機半導体化合物が、前記活性層と前記一対の電極の少なくとも一方との間に位置し、前記正孔輸送能を有する有機半導体化合物が高分子化合物であり、且つ該高分子化合物が縮合多環式芳香族骨格を含む、光電変換素子。
【選択図】図4-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記一対の電極間に位置し、有機無機ハイブリッド型半導体化合物を含有する活性層と、を有する光電変換素子であって、
正孔輸送能を有する有機半導体化合物が、前記活性層と前記一対の電極の少なくとも一方との間に位置し、前記正孔輸送能を有する有機半導体化合物が高分子化合物であり、且つ該高分子化合物が縮合多環式芳香族骨格を含む、光電変換素子。
【請求項2】
前記高分子化合物が、下記式(I)で表される縮合多環芳香族骨格を含む、請求項1に記載の光電変換素子。
【化1】

(式(I)中、環A及び環Bはそれぞれ独立して、5員環芳香族複素環を表し、環Cは置換基を有していてもよい環を表す。X及びXはそれぞれ独立して、活性基を表す。R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基から選択される。)
【請求項3】
前記式(I)で表される化合物が、式(II)及び式(III)で表される縮合多環芳香族骨格から選択される化合物を含む、請求項2に記載の光電変換素子。
【化2】

(式(II)及び式(III)中、X、X、R、R及び環Cは前記式(I)中の定義の通りである。X11及びX21はそれぞれ独立して、周期表第16族元素から選ばれる原子である。)
【請求項4】
前記式(II)又は式(III)で表される化合物が、式(IV)、式(V)、式(VI)又は式(VII)で表される縮合多環芳香族骨格を含む化合物である、請求項3に記載の光電変換素子。
【化3】

(式(IV)、式(V)、式(VI)及び式(VII)中、X、X、R及びRは前記式(I)中の定義の通りである。式(IV)中、ZはZ11(R)(R)、Z12(R)又はZ13を示し、Z11は周期表第14族元素から選ばれた原子を示し、R及びRは前記式(1)のR及びRと同義であり、Z12は周期表第15族元素から選ばれた原子を示し、RはR及びRと同義であり、Z13は周期表第16族元素から選ばれた原子を示す。
式(V)において、R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよい芳香族基、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基から選択される。
式(VI)において、R~R11はR及びRと同義であり、R12及びR13は前記式(1)のR及びRと同義であり、Z及びZはそれぞれ独立して、周期表第14族元素から選ばれた原子を示す。
式(VII)において、R14及びR15はR及びRと同義であり、Zは、周期表第16族元素から選ばれた原子を示す。
【請求項5】
前記有機無機ハイブリッド型半導体化合物が、ペロブスカイト構造を有する化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
【請求項6】
前記ペロブスカイト構造を有する化合物が、CsPb(1-y)(但し、Mは金属元素、Xはハロゲン元素、yは0≦y≦1を満たす実数である)で表される、請求項5に記載の光電変換素子。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えた、5,000ルクス以下の低照度向け光環境発電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子及び発電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換素子として、一対の電極の間に、活性層、及びバッファ層等が配置されたものが知られている。この光電変換効率の向上を目的として、有機無機ハイブリッド型半導体化合物を活性層として用いることが検討されており、特に、ペロブスカイト構造を有する化合物が注目されている。
【0003】
このような光電変換素子の正孔輸送材料として有機半導体化合物等が使用されており、例えば特許文献1では、ペロブスカイト化合物を含む光電子デバイスにおいて、正孔輸送材料として、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(以下、P3HTとも称する)を使用した例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-149564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、光電変換素子に求められる高性能且つ高耐久性の要求に対して、更に改善の余地を残していた。
本発明は、有機無機ハイブリッド型半導体化合物を活性層として用いた光電変換素子において、高性能を維持しつつ、その耐久性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべき検討し、電極と活性層との間に、正孔輸送能を有する特定の縮合多環式芳香族骨格を含む化合物を配置することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は以下のものを含む。
[1]上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記一対の電極間に位置し、有機無機ハイブリッド型半導体化合物を含有する活性層と、を有する光電変換素子であって、
正孔輸送能を有する有機半導体化合物が、前記活性層と前記一対の電極の少なくとも一方との間に位置し、前記正孔輸送能を有する有機半導体化合物が高分子化合物であり、且つ該高分子化合物が縮合多環式芳香族骨格を含む、光電変換素子。
[2]前記高分子化合物が、下記式(I)で表される縮合多環芳香族骨格を含む、[1]に記載の光電変換素子。
【化1】
(式(I)中、環A及び環Bはそれぞれ独立して、5員環芳香族複素環を表し、環Cは置換基を有していてもよい環を表す。X及びXはそれぞれ独立して、活性基を表す。R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基から選択される。)
[3]前記式(I)で表される化合物が、式(II)及び式(III)で表される縮合多環芳香族骨格から選択される化合物を含む、[2]に記載の光電変換素子。
【化2】

(式(II)及び式(III)中、X、X、R、R及び環Cは前記式(I)中の定義の通りである。X11及びX21はそれぞれ独立して、周期表第16族元素から選ばれる原子である。)
[4]前記式(II)又は式(III)で表される化合物が、式(IV)、式(V)、式(VI)又は式(VII)で表される縮合多環芳香族骨格を含む化合物である、[3]に記載の光電変換素子。
【化3】

(式(IV)、式(V)、式(VI)及び式(VII)中、X、X、R及びRは前記式(I)中の定義の通りである。式(IV)中、ZはZ11(R)(R)、Z12(R)又はZ13を示し、Z11は周期表第14族元素から選ばれた原子を示し、R及びRは前記式(1)のR及びRと同義であり、Z12は周期表第15族元素から選ばれた原子を示し、RはR及びRと同義であり、Z13は周期表第16族元素から選ばれた原子を示す。
式(V)において、R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよい芳香族基、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基から選択される。
式(VI)において、R~R11はR及びRと同義であり、R12及びR13は前記式(1)のR及びRと同義であり、Z及びZはそれぞれ独立して、周期表第14族元素から選ばれた原子を示す。
式(VII)において、R14及びR15はR及びRと同義であり、Zは、周期表第16族元素から選ばれた原子を示す。
[5]前記有機無機ハイブリッド型半導体化合物が、ペロブスカイト構造を有する化合物である、[1]~[4]のいずれかに記載の光電変換素子。
[6]前記ペロブスカイト構造を有する化合物が、CsPb(1-y)(但し、Mは金属元素、Xはハロゲン元素、yは0≦y≦1を満たす実数である)で表される、[5]に記載の光電変換素子。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の光電変換素子を備えた、5,000ルクス以下の低照度向け光環境発電デバイス。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、有機無機ハイブリッド半導体化合物を用いた光電変換素子において、高性能を維持しつつ、その耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態としての光電変換素子を模式的に表す断面図である。
図2】一実施形態としての太陽電池を模式的に表す断面図である。
図3】一実施形態としての太陽電池モジュールを模式的に表す断面図である。
図4-1】実施例及び比較例の光電変換素子の性能を比較したグラフである。具体的には、(a)Jsc、(b)Voc、をそれぞれ示す。
図4-2】実施例及び比較例の光電変換素子の性能を比較したグラフである。具体的には、(c)FF、(d)PCE、及び(e)ヒステリシスインデックス、をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一形態である光電変換素子は、上部電極と下部電極とにより構成される一対の電極と、前記一対の電極間に位置し、有機無機ハイブリッド型半導体化合物を含有する活性層と、を有する光電変換素子であって、
正孔輸送能を有する有機半導体化合物が、前記活性層と前記一対の電極の少なくとも一方との間に位置し、前記正孔輸送能を有する有機半導体化合物が高分子化合物であり、且つ該高分子化合物が縮合多環式芳香族骨格を含む、光電変換素子である。
【0011】
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定はされない。
【0012】
[1.一実施形態に係る光電変換素子]
図1は、本発明に係る光電変換素子の一実施形態を模式的に表す断面図である。図1に示される光電変換素子は、一般的な薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子であるが、本発明に係る光電変換素子が図1に示されるものに限られるわけではない。
図1に示す光電変換素子100においては、下部電極101、活性層103、及び上部電極105がこの順に配置されている。また、光電変換素子100において、下部電極101と活性層103との間に存在するバッファ層102は、有機半導体化合物を含有する正孔輸送層とすることができる。この場合、有機半導体化合物とともに、ドーパントをさらに含有させることもできる。もっとも、光電変換素子100が上部電極105と活性層103との間にバッファ層104を有していてもよく、この場合、このバッファ層104を上述の正孔輸送層とすることもできる。また、図1に示すように、光電変換素子100が、基材106を有していてもよく、絶縁体層、及び仕事関数チューニング層のようなその他の層を有していてもよい。
【0013】
[2.電極]
電極は、活性層103における光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。本発明の一実施形態に係る光電変換素子100は一対の電極を有し、一対の電極のうち一方を上部電極と呼び、他方を下部電極と呼ぶ。光電変換素子100が基材を有するか又は基材上に設けられている場合、基材により近い電極を下部電極と、基材からより遠い電極を上部電極と、それぞれ呼ぶことができる。また、透明電極を下部電極と、下部電極よりも透明性が低い電極を上部電極と、それぞれ呼ぶこともできる。図1に示す光電変換
素子100は、下部電極101及び上部電極105を有している。
【0014】
一対の電極としては、正孔の捕集に適したアノードと、電子の捕集に適したカソードとを用いることができる。この場合、光電変換素子100は、下部電極101がアノードであり上部電極105がカソードである順型構成を有していてもよいし、下部電極101がカソードであり上部電極105がアノードである逆型構成を有していてもよい。
【0015】
一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを指す。また、透明電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、より多くの光が透明電極を透過して活性層103に到達するために好ましい。光の透過率は、分光光度計(例えば、日立ハイテク社製U-4100)で測定できる。
【0016】
下部電極101及び上部電極105、又はアノード及びカソードの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012-191194号公報等の公知文献に記載の部材及びその製造方法を使用することができる。
【0017】
[3.活性層]
図1の実施形態において、活性層103は光電変換が行われる層である。光電変換素子100が光を受けると、光が活性層103に吸収されてキャリアが発生し、発生したキャリアは下部電極101及び上部電極105から取り出される。
活性層103は、前記一対の電極間に位置し、有機無機ハイブリッド型半導体材料を含有する。有機無機ハイブリッド型半導体材料とは、有機成分と無機成分とが分子レベル又はナノレベルで組み合わせられた材料であって、半導体特性を示す材料のことを指す。
【0018】
本実施形態において、有機無機ハイブリッド型半導体材料は、ペロブスカイト構造を有する化合物(以下、ペロブスカイト半導体化合物と呼ぶことがある)であることが好ましい。ペロブスカイト半導体化合物としては、特段の制限はないが、例えば、Galasso et al. Structure and Properties of Inorganic Solids, Chapter 7 - Perovskite type and related structuresで挙げられているものから選ぶことができる。例えば、ペロブスカイト半導体化合物としては、一般式AMXで表されるAMX型のもの、又は一般式AMXで表されるAMX型のものが挙げられる。ここで、Mは2価のカチオンを、Aは1価のカチオンを、Xは1価のアニオンを指す。
【0019】
1価のカチオンAに特段の制限はないが、上記Galassoの著書に記載されているものを用いることができる。より具体的な例としては、周期表第1族及び第13族乃至第16族元素を含むカチオンが挙げられる。これらの中でも、セシウムイオン、ルビジウムイオン、カリウムイオン、置換基を有していてもよいアンモニウムイオン又は置換基を有していてもよいホスホニウムイオンが好ましい。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの例としては、1級アンモニウムイオン又は2級アンモニウムイオンが挙げられる。置換基にも特段の制限はない。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの具体例としては、アルキルアンモニウムイオン又はアリールアンモニウムイオンが挙げられる。特に、立体障害を避けるために、3次元の結晶構造となるモノアルキルアンモニウムイオンが好ましく、安定性向上の観点からは、一つ以上のフッ素基を置換したアルキルアンモニウムイオンを用いることが好ましい。また、カチオンAとして2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。
【0020】
1価のカチオンAの具体例としては、メチルアンモニウムイオン、モノフッ化メチルア
ンモニウムイオン、ジフッ化メチルアンモニウムイオン、トリフッ化メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、イソプロピルアンモニウムイオン、n-プロピルアンモニウムイオン、イソブチルアンモニウムイオン、n-ブチルアンモニウムイオン、t-ブチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、フェニルアンモニウムイオン、ベンジルアンモニウムイオン、フェネチルアンモニウムイオン、グアニジウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、アセトアミジニウムイオン又はイミダゾリウムイオン等が挙げられる。
【0021】
2価のカチオンMにも特段の制限はないが、2価の金属カチオン又は半金属カチオンであることが好ましい。具体的な例としては周期表第14族元素のカチオンが挙げられ、より具体的な例としては、鉛カチオン(Pb2+)、スズカチオン(Sn2+)、ゲルマニウムカチオン(Ge2+)が挙げられる。また、カチオンMとして2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。なお、安定な光電変換素子を得る観点からは、鉛カチオン又は鉛カチオンを含む2種以上のカチオンを用いることが特に好ましい。
【0022】
1価のアニオンXの例としては、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、ホウ酸イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、クエン酸イオン、硫黄イオン、テルルイオン、チオシアン酸イオン、チタン酸イオン、ジルコン酸イオン、2,4-ペンタンジオナトイオン又はケイフッ素イオン等が挙げられる。バンドギャップを調整するためには、Xは1種類のアニオンであってもよいし、2種類以上のアニオンの組み合わせであってもよい。一実施形態において、Xとしてはハロゲン化物イオン、又はハロゲン化物イオンとその他のアニオンとの組み合わせが挙げられる。ハロゲン化物イオンXの例としては、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン等が挙げられる。半導体のバンドギャップを広げすぎない観点から、ヨウ化物イオンもしくは臭化物イオンを主に用いることが好ましいが、ヨウ化物イオンと臭化物イオンとを適当な比率で組み合わせてもよい。
【0023】
ペロブスカイト半導体化合物の具体例としては、CHNHPbI、CHNHPbBr、CHNHPbCl、CHNHSnI、CHNHSnBr、CHNHSnCl、CHNHPbI(3-x)Cl、CHNHPbI(3-x)Br、CHNHPbBr(3-x)Cl、CHNHPb(1-y)Sn、CHNHPb(1-y)SnBr、CHNHPb(1-y)SnCl、CHNHPb(1-y)Sn(3-x)Cl、CHNHPb(1-y)Sn(3-x)Br、及びCHNHPb(1-y)SnBr(3-x)Cl、並びに、上記の化合物においてCHNHの代わりにCFHNH、CFHNH、CFNH、又はCsを用いたもの、等が挙げられる。なお、xは0以上3以下、yは0以上1以下の任意の値を示す。本実施形態では、CsPb(1-y)(但し、Mは金属元素、Xはハロゲン元素、、yは0≦y≦1を満たす実数である)である化合物であることが好ましく、MとしてSn,Geなどの金属元素を用いることができる。またCsPbXである化合物であることが特に好ましく、これらの無機元素からなる化合物は、ペロブスカイト構造ABX結晶の格子安定性を担保し、特にカチオン・アニオン形状やサイズによる3次元的安定性を保持可能なtolerance factorと呼ばれるパラメータを満たす観点から好ましい。
【0024】
活性層103は、2種類以上のペロブスカイト半導体化合物を含有していてもよい。例えば、A、B及びXのうちの少なくとも1つが異なる2種類以上のペロブスカイト半導体化合物が活性層103に含まれていてもよい。また活性層103は、異なる材料を含み又は異なる成分を有する複数の層で形成される積層構造を有していてもよい。
【0025】
活性層103に含まれるペロブスカイト半導体化合物の量は、良好な半導体特性が得ら
れるように、好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。上限に特に制限はない。また、活性層103には、ペロブスカイト半導体化合物に加えて添加剤が含まれていてもよい。添加剤の例としては、ハロゲン化物、酸化物、又は硫化物、硫酸塩、硝酸塩若しくはアンモニウム塩等の無機塩のような、無機化合物、又は有機化合物が挙げられる。
【0026】
活性層103の厚さに特段の制限はない。より多くの光を吸収できる点で、活性層103の厚さは、一実施形態において10nm以上、別の実施形態において50nm以上、さらに別の実施形態において100nm以上、さらに別の実施形態において120nm以上である。一方で、直列抵抗が下がる点、又は電荷の取出し効率を高める点で、活性層103の厚さは、一実施形態において1500nm以下、別の実施形態において1200nm以下、さらに別の実施形態において800nm以下である。
【0027】
活性層103の形成方法は特に限定されず、任意の方法を用いることができる。具体例としては、塗布法及び蒸着法(又は共蒸着法)が挙げられる。簡易に活性層103を形成できる点で、塗布法を用いることができる。例えば、ペロブスカイト半導体化合物又はその前駆体を含有する塗布液を塗布し、必要に応じて加熱乾燥することにより活性層103を形成する方法が挙げられる。また、このような塗布液を塗布した後で、ペロブスカイト半導体化合物の溶解性が低い溶媒をさらに塗布することにより、ペロブスカイト半導体化合物を析出させることもできる。
【0028】
ペロブスカイト半導体化合物の前駆体とは、塗布液を塗布した後にペロブスカイト半導体化合物へと変換可能な材料のことを指す。具体的な例として、加熱することによりペロブスカイト半導体化合物へと変換可能なペロブスカイト半導体化合物前駆体を用いることができる。例えば、一般式AXで表される化合物と、一般式MXで表される化合物と、溶媒と、を混合して加熱攪拌することにより、塗布液を作製することができる。この塗布液を塗布して加熱乾燥を行うことにより、一般式AMXで表されるペロブスカイト半導体化合物を含有する活性層103を作製することができる。溶媒としては、ペロブスカイト半導体化合物及び添加剤が溶解するのであれば特に限定されず、例えばN,N-ジメチルホルムアミドのような有機溶媒が挙げられる。
【0029】
塗布液の塗布方法としては任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ドクターブレード法、ドロップキャスティング法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。
【0030】
活性層のイオン化ポテンシャルの範囲は特段限定されないが、好ましくは-5.5eV以上-4.0eV以下であり、より好ましくは-5.2eV以上-4.6eV以下であり、特に好ましくは-5.0eV以上-4.4eV以下である。
また、活性層のバンドギャップは、好ましくは2.6eV以上1.2eV以下であり、より好ましくは2.4eV以上1.4eV以下であり、特に好ましくは2.2eV以上1.6eV以下である。
活性層のイオン化ポテンシャル及びバンドギャップを上記範囲とすることによって、屋内や室内において広範に用いられる可視光光源である蛍光灯やLED灯に対する、発電効率を向上させることができるため、好ましい。
特に、活性層のバンドギャップが上記範囲だと、屋内光源を受けることによって発生するエネルギーが、半導体中に生成する励起子を正負電荷に分離するために十分なものとなり、かつ過剰とならず、発電効率を良好なものとすることができる。
【0031】
イオン化ポテンシャルは、サンプルに対して光を照射し、照射エネルギーが光電子をはじき出すのに必要な最低エネルギー(eV)を計測することで、算出することができる。測定機器は任意のものを用いることができるが、例えば、理研計器(株)のAC-2、AC-3等を用いることができる。
また、バンドギャップは、半導体化合物の吸収端波長と吸光度とから算出することができる。具体的には、透明ガラス基板等の適当な試料上に半導体化合物薄膜を成膜し、その透過スペクトルを測定し、横軸波長をeVに、縦軸透過率を√(ahν)に変換し、この吸収の立ち上がりを直線としてフィッティングし、ベースラインと交わるeV値をバンドギャップとして算出することができる。透過スペクトルは、例えば、日立ハイテク製U-4100等の分光光度計を使用して測定することができる。
【0032】
活性層のイオン化ポテンシャルを上記所望の範囲とするための方法としては、例えば、前記のペロブスカイト半導体化合物におけるカチオン成分を適宜変更することがあげられる。
また、活性層のバンドギャップを上記所望の範囲とするための方法としては、例えば、前記ペロブスカイト半導体化合物におけるハロゲン元素の構成比率を適宜変更することがあげられる。
【0033】
[4.バッファ層]
バッファ層は、活性層103と一対の電極101、105の少なくとも一方との間に位置する層である。バッファ層は、例えば、活性層103から下部電極101又は上部電極105へのキャリア移動効率を向上させるために用いることができる。
【0034】
本実施形態においては、正孔輸送能を有する特定の有機半導体化合物が、活性層と一対の電極の少なくとも一方との間に位置する。従って、以下に示す正孔輸送能を有する特定の有機半導体化合物を、以下に示すバッファ層に含んでいてもよく、バッファ層とは別に活性層と前記一対の電極との間に含んでいてもよい。
正孔輸送能を有する特定の有機半導体化合物をバッファ層とは別に活性層と前記一対の電極との間に含む形態としては、
(i)活性層と正孔輸送層との間に存在させる方法、例えば活性層の正孔輸送層側の界面を、正孔輸送能を有する特定の有機半導体化合物で修飾する方法、
(ii)活性層と電子輸送層との間に存在させる方法、例えば活性層の電子輸送層側の界面を、正孔輸送能を有する特定の有機半導体化合物で修飾する方法、などが挙げられる。
修飾の方法としては、当該正孔輸送能を有する特定の有機半導体化合物を含む層を設ける方法などが挙げられる。
【0035】
正孔輸送能を有する有機半導体化合物は、縮合多環式芳香族骨格を含む高分子化合物である。縮合多環式芳香族骨格を含む高分子化合物としては、正孔輸送能を有する限り特に限定されないが、下記式(I)で表される縮合多環芳香族骨格を含む有機半導体化合物であることが好ましい。
【化4】
【0036】
上記式(I)中、環A及び環Bはそれぞれ独立して、5員環芳香族複素環を表し、環C
は置換基を有していてもよい環を表す。X及びXはそれぞれ独立して、活性基を表す。R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、及びヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基から選択される。
活性基は、1価の酸化数を示す基であれば特に限定されず、水素原子、ハロゲン、炭化水素基、アリール基、種々の有機金属基M-R(但し、Mは金属化合物、Rは1価の有機基である)、などが挙げられる。炭化水素基としては特に限定されないが、炭素数1~16の炭化水素基であることが好ましい。
【0037】
また、前記式(I)で表される化合物が、式(II)及び式(III)で表される縮合多環芳香族骨格から選択される化合物を含むことが好ましい。
【化5】
【0038】
上記式(II)及び式(III)中、X、X、R、R及び環Cは前記式(I)中の定義の通りである。X11及びX21はそれぞれ独立して、周期表第16族元素から選ばれる原子である。
【0039】
更に、前記式(II)又は式(III)で表される化合物が、式(IV)、式(V)、式(VI)又は式(VII)で表される縮合多環芳香族骨格を含む化合物であることが、より好ましい。
【化6】
【0040】
式(IV)、式(V)、式(VI)及び式(VII)中、X、X、R及びRは前記式(I)中の定義の通りである。式(IV)中、ZはZ11(R)(R)、Z12(R)又はZ13を示し、Z11は周期表第14族元素から選ばれた原子を示し、R及びRは前記式(1)のR及びRと同義であり、Z12は周期表第15族元素から選ばれた原子を示し、RはR及びRと同義であり、Z13は周期表第16族元素から選ばれた原子を示す。
式(V)において、R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよい芳香族基、置換基を有していてもよいアルコキシ基及び置換基を有していてもよいアリールオキシ基から選択される。
式(VI)において、R~R11はR及びRと同義であり、R12及びR13は前記式(1)のR及びRと同義であり、Z及びZはそれぞれ独立して、周期表第14族元素から選ばれた原子を示す。
式(VII)において、R14及びR15はR及びRと同義であり、Zは、周期表第16族元素から選ばれた原子を示す。
【0041】
式(I)で表される化合物として、具体的には以下の化合物が例示される。
【化7】



【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


【化12】
【0042】
(有機半導体化合物)
バッファ層は、有機半導体化合物を含む。半導体化合物とは、半導体特性を示す半導体材料として使用可能な化合物のことを指す。なお、本明細書において「半導体」とは、固体状態におけるキャリア移動度の大きさによって定義される。キャリア移動度とは、周知であるように、電荷(電子又は正孔)がどれだけ速く(又は多く)移動されうるかを示す指標となるものである。具体的には、本明細書における「半導体」は、室温におけるキャリア移動度が好ましくは1.0×10-6cm/V・s以上、より好ましくは1.0×10-5cm/V・s以上、さらに好ましくは5.0×10-5cm/V・s以上、特に好ましくは1.0×10-4cm/V・s以上である。なお、キャリア移動度は、例えば電界効果トランジスタのIV特性の測定、又はタイムオブフライト法等により測定できる。
本明細書において、正孔輸送能を有する有機半導体化合物は、正孔のキャリア移動度が上記範囲内である有機半導体化合物を指す。
【0043】
本発明においては、上記記載の縮合多環式芳香族骨格を含む有機半導体化合物の他、他の有機半導体化合物を用いてバッファ層を形成してもよい。その種類は特に限定されず、例えば従来知られているものを用いることができる。その他の有機半導体化合物としては、低分子化合物及び高分子化合物が知られている。低分子の有機半導体化合物としては、多環芳香族化合物が挙げられ、具体例としてはテトラセン若しくはペンタセン等のアセン類化合物、オリゴチオフェン類化合物、フタロシアニン類化合物、ペリレン類化合物、ルブレン類化合物、又はトリアリールアミン化合物等のアリールアミン化合物、等が挙げられる。また、高分子の有機半導体化合物としては、ポリチオフェン系ポリマー、ポリアセチレン系ポリマー、ポリアニリン系ポリマー、ポリフェニレン系ポリマー、ポリフェニレンビニレン系ポリマー、ポリフルオレン系ポリマー、若しくはポリピロール系ポリマーのような共役ポリマー、又はトリアリールアミンポリマーのようなアリールアミンポリマーが挙げられる。
【0044】
有機半導体化合物として好ましくはアリールアミン系化合物であり、より好ましくはトリアリールアミン系化合物である。アリールアミン系化合物とは、アリールアミン構造(
アリール基と窒素原子との結合)を有する化合物のことであり、アリールアミン系ポリマーを含む。アリールアミン系ポリマーとは、繰り返し単位がアリールアミン構造を含んでいるポリマーのことであり、ポリアリールアミン系化合物ともいう。また、トリアリールアミン系化合物とは、トリアリールアミン構造(3つのアリール基の同じ窒素原子への結合)を有する化合物のことであり、トリアリールアミン系ポリマーを含む。トリアリールアミンポリマーとは、繰り返し単位がトリアリールアミン構造を含んでいるポリマーのことであり、ポリトリアリールアミン系化合物ともいう。このようなアリールアミン系化合物又はトリアリールアミン系化合物は、ドーパントにより安定に酸化され、良好な半導体特性を示しうる点で好ましく、中でもトリアリールアミン系化合物がより好ましい。
【0045】
ここで、アリール基(又は芳香族基)は、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基のことを指し、単環のもの、縮合環のもの、及び単環又は縮合環が連結しているもの、を含む。芳香族基としては、特に限定されないが、炭素数30以下であることが好ましく、炭素数12以下であることがより好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基等が挙げられる。芳香族複素環基の具体例としては、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、又はイミダゾリル基等が挙げられる。
【0046】
芳香族基は、さらなる置換基を有していてもよい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、特に制限されないが、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、エステル基、アルキルカルボニル基、アセチル基、スルホニル基、シリル基、ボリル基、ニトリル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、チオ基、セレノ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基等が挙げられる。アリール基が有している置換基として好ましくは、アミノ基又は炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。ここで、アミノ基として好ましくは、炭素数2~12のジアルキルアミノ基、炭素数7~20のアルキルアリールアミノ基、又は炭素数12~30のジアリールアミノ基である。
【0047】
(ドーパント)
バッファ層は、正孔輸送層の導電性や正孔輸送能力を前記活性層に対して最適化するために、添加物としてドーパントを有してもよい。
ドーパントとして使用できる物質としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートなどのホウ素化合物、トリス[1-(メトキシカルボニル)-2-(トリフルオロ
メチル)-エタン-1,2-ジチオレン]モリブデンなどのモリブデン化合物、2,3,4,6-テトラフルオロ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタンといったテトラシアノキノジメタン骨格を有する有機化合物などが挙げられる。
【0048】
ドーパントの含有量は、有機半導体材料とドーパントの合計量に対して、例えば0.001~10質量%の範囲とすることができる。
ドーパントの含有量を0.001質量%以上とすることによって、バッファ層の導電性や正孔輸送能力を活性層に対してより向上できる傾向にある。より好ましくは、0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、特に好ましくは0.1質量%以上である。
また、ドーパントの含有量を10質量%以下とすることによって、光電変換素子のリーク電流の発生を抑制し、特に低照度領域における発電効率をより向上できる傾向にある。より好ましくは、8質量%以下であり、さらに好ましくは、6質量%以下である。
【0049】
正孔輸送層のイオン化ポテンシャルは、活性層のイオン化ポテンシャルに対し、-0.6eV以上+0.6eV以下の範囲であることが好ましく、-0.4eV以上+0.4eV以下の範囲であることがより好ましく、-0.2eV以上+0.2eV以下の範囲であることが特に好ましい。正孔輸送層のイオン化ポテンシャルが上記範囲内であると、正孔輸送能を低下させずに活性層からの正孔授受を円滑に進めることが可能となり、エネルギ
ー損失及び電圧損失を抑えることができる。
正孔輸送層のイオン化ポテンシャルを上記所望の範囲とするための方法としては、例えば、正孔輸送層を構成する塗布変換型材料に電子吸引性官能基を導入することや、この塗布変換型材料の共役部位成分を拡張することで電子を非局在化させ安定性を向上させることや、塗布変換型材料の中心金属を選定することが挙げられる。
【0050】
上述のように、光電変換素子100は、下部電極101と活性層103との間にバッファ層102を有することができ、又は、上部電極105と活性層103との間にバッファ層104を有することができる。また、光電変換素子100は、バッファ層102とバッファ層104との双方を有することもできる。ここで、下部電極101と活性層103との間に設けられるバッファ層102と、上部電極105と活性層103との間に設けられるバッファ層104とは、異なる材料で構成されていてもよい。すなわち、一方のバッファ層が有機半導体化合物を含有する正孔輸送層である一方、他方のバッファ層はこれと異なる物質で構成される電子輸送層等であってもよい。なお、上述の通り、有機半導体化合物を含有する正孔輸送層は、下部電極101と活性層103との間に位置していてもよいし、活性層103と上部電極105との間に位置していてもよい。但し、有機半導体化合物を含有する正孔輸送層を塗布法により成膜する際には、塗布溶媒が活性層103を浸漬して、活性層103に影響を及ぼす可能性があるため、正孔輸送層は、下部電極101と、活性層103との間に位置していることが好ましい。
【0051】
アノードと活性層との間に設けられたバッファ層は正孔輸送層と呼ばれることがあり、カソードと活性層との間に設けられたバッファ層は電子輸送層と呼ばれることがある。本発明においては、n-i-p積層型光電変換素子において輸送電荷量の制御が容易となる傾向にあることから、有機半導体化合物を含有するバッファ層は正孔輸送層として使用される。
【0052】
なお、本発明においては、上記の有機半導体化合物やそのドーパントを含むバッファ層を正孔輸送層として好適に使用することができるが、バッファ層に関しては、材料に特に限定はない。例えば、正孔輸送層については、活性層からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させることが可能な任意の材料を用いることができる。具体的には、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012-191194号公報等の公知文献に記載の無機化合物、有機化合物、又は本発明に係る有機無機ペロブスカイト化合物が挙げられる。例えば、無機化合物としては、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物が挙げられる。また、有機化合物としては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等にドーパントがドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、ナフィオン、又はリチウムドーピングされたspiro-OMeTADが挙げられる。
【0053】
同様に、電子輸送層についても、活性層からカソードへの電子の取り出し効率を向上させることが可能な任意の材料を用いることができる。具体的には、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012-191194号公報等の公知文献に記載の無機化合物、有機化合物、又は本発明に係る有機無機ペロブスカイト化合物が挙げられる。例えば、無機化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム又はセシウム等のアルカリ金属の塩、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム又は酸化インジウム等の金属酸化物が挙げられる。有機化合物としては、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)、(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、ホウ素化合物、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ペリレンテトラカルボン酸無水
物(PTCDA)、フラーレン化合物、又はホスフィンオキシド化合物若しくはホスフィンスルフィド化合物等の周期表第16族元素と二重結合を有するホスフィン化合物が挙げられる。
【0054】
バッファ層の膜厚は、本発明における正孔輸送層を含めて特に限定はないが、一実施形態において0.5nm以上、別の実施形態において1nm以上、さらに別の実施形態において5nm以上である、一方、一実施形態において1μm以下、別の実施形態において500nm以下、さらに別の実施形態において200nm以下、さらに別の実施形態において150nm以下である。バッファ層の膜厚が上記の範囲内にあることで、キャリアの移動効率が向上しやすくなり、光電変換効率が向上しうる。
【0055】
また、本発明における正孔輸送層を含めて、バッファ層の形成方法に制限はなく、材料の特性に合わせて形成方法を選択することができる。例えば、上述の有機半導体化合物及び溶媒を含有する塗布液を作製し、スピンコート法やインクジェット法等の湿式成膜法を用いることにより、バッファ層を形成することができる。
塗布液に用いられる溶媒は、上記前駆体化合物を0.1質量%以上溶解するものが好ましく、0.5質量%以上溶解するものがより好ましく、1質量%以上溶解するものが特に好ましい。
【0056】
上記溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族系溶媒;1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の含ハロゲン溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル、1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール等の芳香族エーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸イソプロピル、安息香酸プロピル、安息香酸n-ブチル等の芳香族エステル等のエステル系溶媒等の有機溶媒が挙げられる。表面張力が低い点から、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族系溶媒、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、アニソール、トリフルオロメトキシアニソール、ペンタフルオロメトキシベンゼン、3-(トリフルオロメチル)アニソール、エチル(ペンタフルオロベンゾエート)等のエーテル系溶媒が好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で用いてもよい。
【0057】
[5.基材]
光電変換素子100は、通常は支持体となる基材106を有する。もっとも、本発明に係る光電変換素子は基材106を有さなくてもよい。基材106の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されず、例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012-191194号公報等の公知文献に記載の材料を使用することができる。
【0058】
[6.光電変換素子の作製方法]
上述の方法に従って、光電変換素子100を構成する各層を形成することにより、光電変換素子100を作製することができる。光電変換素子100を構成する各層の形成方法に特段の制限はなく、シートツゥーシート(万葉)方式、又はロールツゥーロール方式で形成することができる。
【0059】
なお、ロールツゥーロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出
して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。ロールツゥーロール方式によれば、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、ロールツゥーロール方式はシートツゥーシート方式に比べて量産化に適している。一方、ロールツゥーロール方式で各層を成膜しようとすると、その構造上、成膜面とロールとが接触することにより膜に傷がついたり、部分的に剥がれてしまったりする場合がある。
【0060】
ロールツゥーロール方式に用いることのできるロールの大きさは、ロールツゥーロール方式の製造装置で扱える限り特に限定されないが、外径の上限は、好ましくは5m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは1m以下である。一方、下限は好ましくは10cm以上、さらに好ましくは20cm以上、より好ましくは30cm以上である。ロール芯の外径の上限は、好ましくは4m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは0.5m以下である。一方、下限は好ましくは1cm以上、さらに好ましくは3cm以上、より好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、特に好ましくは20cm以上である。これらの径が上記上限以下であることはロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であることは各工程で成膜される層が曲げ応力により破壊される可能性が低くなる点で好ましい。ロールの幅の下限は、好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、より好ましくは20cm以上である。一方、上限は、好ましくは5m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下である。幅が上限以下であることはロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であることは光電変換素子100の大きさの自由度が高くなるため好ましい。
【0061】
また、上部電極105を積層した後に、光電変換素子100を50℃以上または80℃以上、一方、300℃以下、280℃以下、または250℃以下の温度範囲において、加熱することができる(この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある)。アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことは、光電変換素子100の各層間の密着性、例えばバッファ層102と下部電極101、バッファ層102と活性層103等の層間の密着性が向上する効果が得られる。各層間の密着性が向上することにより、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上しうる。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、光電変換素子100に含まれる有機化合物が熱分解する可能性が低くなる。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内において異なる温度を用いた段階的な加熱を行ってもよい。
【0062】
加熱時間としては、熱分解を抑えながら密着性を向上させるために、一実施形態において1分以上、別の実施形態において3分以上、一方、一実施形態において180分以下、別の実施形態において60分以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることができる。また、アニーリング処理工程は、構成材料の熱酸化を防ぐ上でも、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することができる。加熱方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
【0063】
[7.光電変換特性]
光電変換素子100の光電変換特性は次のようにして求めることができる。光電変換素子100に適当なスペクトルの光をある照射強度で照射して、電流-電圧特性を測定する。得られた電流-電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。一例として、光電変換素子100に色温度5000Kの白色LED光を適当な照射強度(照度)で照射することで、各照度における電流-電圧特性を測定することができる。
【0064】
本発明の光電変換素子は低照度領域(10~5000ルクス)における発電効率に優れ、特に白色LED光等の光源を用いた場合において、光電変換効率を20%以上とすることができる。また、200ルクスにおける光電変換効率を25%以上とすることができる。この効率の上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
なお、この光電変換効率(PCE)は、所定の照射光により測定される、光電変換素子の電流-電圧曲線の最適動作点における出力(最大出力)をこの照射光が有する総エネルギー量(例えば、強度AM1.5Gの太陽光であれば100mW/cm)で除した値(%)である。
【0065】
[8.発電デバイス]
一実施形態において、本発明に係る光電変換素子100は、発電デバイス、中でも室内等の低照度環境用太陽電池として好適に使用される。図2は本発明の一実施形態に係る太陽電池の構成を模式的に表す断面図であり、図2には本発明の一実施形態に係る太陽電池である太陽電池が示されている。図2に表すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10と、をこの順に備える。本実施形態に係る薄膜太陽電池14は、太陽電池素子6として、本発明に係る光電変換素子を有している。そして、保護フィルム1が形成された側(図2中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、薄膜太陽電池14は、これらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。
なお、本明細書において、低照度環境とは、10~5000ルクスを意味し、典型的には200ルクス周辺である。
【0066】
光電変換素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012-191194号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
【0067】
本実施形態に係る太陽電池、特に上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、一実施形態に係る太陽電池は、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池として用いることができる。上記説明したとおり、低照度環境下で優れた変更効率を有することから、特にエネルギーハーベスティング用途に、好適に適用できる。
【0068】
本実施形態に係る太陽電池、特に上述した薄膜太陽電池14はそのまま用いてもよいし、太陽電池モジュールの構成要素として用いられてもよい。例えば、図3に示すように、本実施形態に係る太陽電池、特に上述した太陽電池14を基材12上に備える太陽電池モジュール13を作製し、この太陽電池モジュール13を使用場所に設置して用いることができる。
【実施例0069】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、以下の実施例の記載により本発明の範囲が限定されないことはいうまでもない。
(ポリマー1の合成)
塩化スズSnCl(99.9%)は富士フイルム和光より、ヨウ化鉛PbI(II)(99.99%)と臭化セシウムCsBr(99.0%)はそれぞれ東京化成工業より購入した。ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)regioregular
(P3HT)はシグマアルドリッチ社より購入した。エタノール(99.5%)、DMSO(99.9%)、DMF(99.8%)はそれぞれ富士フイルム和光より、酸化スズ(II)15%水溶液コロイド分散液はAlfa Aeser社より購入した。Pd EnCat(R)TPP30、トリメチル(フェニル)スズはメルクより購入した。シリカゲル60は関東化学より購入した。SCAVENGERジアミンシリカは富士シリシア化学より購入した。
【0070】
1,3-ジブロモ-5-オクチルチエノ[3,4-c]ピロール-4,6-ジオン(モノマー1)は非特許文献[Org.Lett.2004,6,3381-3384]に従って合成した。
4,4-ビス(2-エチルヘキシル)-2,6-ビス(トリメチルスタニル)-ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]シロール(モノマー2)と4,4-ジ-n-オクチル-2,6-ビス(トリメチルスタニル)-ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]シロール(モノマー3)は、国際公開第2013/0658364号に従って合成した。
【0071】
モノマー1(98.9mmol)、モノマー2(47.0mg)、モノマー3(47.0mg)、Pd(PPh(12mg,モノマー1に対して3mol%)、Pd EnCat(R) (25mg,モノマー1に対して3mol%)を窒素気流下の50mLフラスコに入れ、トルエン(5.3mL)とDMF(1.3mL)を加えて90℃、1時間撹拌し、さらに100℃、2時間撹拌した。得られた溶液をトルエンで4倍希釈し、さらに0.5時間撹拌した。
この溶液に43μLのトリメチル(フェニル)スズを加え、100℃で6時間撹拌してから、さらに臭化フェニルを2.0mLを加えて100℃で11時間撹拌し、末端処理を行った。反応混合物を室温に放冷し、メタノールを加えた。発生した析出物を濾過し、室温にて真空乾燥した。得られた固体をクロロホルムに溶解し、SCAVENGERジアミンシリカとともに室温で1時間撹拌した。混合物をシリカゲルクロマトグラフ(シリカゲル60、展開溶媒クロロホルム)に通じ、生成物のクロロホルム溶液を得た。溶液に酢酸エチルを加え、生じた固体を濾過し、50℃で真空乾燥することで生成物であるポリマー1(poly[DTS(EH)TPD-r-DTS(nC8)TPD])を得た。ポリマー1の平均分子量Mwは3.2×10、PDIは5.2であった。収率は83%であった。
【0072】
(スキーム)
【化13】
【0073】
(実施例:光電変換素子の作製)
ITOで被膜したガラス基板をIPA/水(体積比1:1)で10分間、アセトンで5分間、それぞれ超音波洗浄し、乾燥させてから10分間UV-オゾン表面処理した。この基板にSnOコロイド溶液を純水で1/10に希釈した溶液を5,000rpm30秒間スピンコートし、150℃で40分ベークした。0.1M塩化スズ溶液を189mgの塩化スズを10mLのエタノールと36μLの水との混合溶液を1時間混合して作製した。この塩化スズ溶液を透明バイアル中、大気で3日間以上エイジングしてから、酸化スズ
膜上に6,000rpm30秒間スピンコートし、さらに100℃10分、つづいて180℃1時間ベークし、SnOx膜(電子輸送層)を作製した。
得られたSnOx膜上に、CsBrとPbIをDMSO/DMF(体積比4:6)混合溶媒中、室温で1時間撹拌して調製した1.25MのCsPbIBr溶液を1,000rpmで10秒間、次いで3,000rpmで30秒間スピンコートした。この塗布膜を室温で10分間保管したのち、ホットプレート上で180℃10分間加熱することでペロブスカイト層(活性層)を形成した。
ポリマー1をクロロベンゼン中に7mg/mLの濃度で溶解させ、3,000rpm30秒間スピンコート成膜することで正孔輸送層を形成した。これらの作業はすべて湿度を20%以下に制御したクリーンルーム環境にて行った。最後に、1×10-3Pa以下の高真空条件において金電極を蒸着によって成膜することで光電変換素子を得た。
【0074】
(比較例)
P3HTをクロロベンゼン中に10mg/mLの濃度で溶解させ、3,000rpm30秒間スピンコート成膜することで正孔輸送層を形成した以外は実施例と同様に光電変換素子を作製した。
【0075】
(光電変換素子の評価)
PEC-L01ソーラーシミュレータ(ペクセルテクノロジーズ)を用い、AM1.5G(100mW/cm)の疑似太陽光を照射してI-V測定を行った。室内光源としては200lx(60μW/cm)~1000lx(300μW/cm)の白色LED光源を用いた。
実施例で作製した光電変換素子と、比較例で作製した光電変換素子とをそれぞれAM1.5GにてI-V測定することによって得られたパラメータを表1に、統計的データを図4-1及び図4-2にまとめた。
【0076】
【表1】
【0077】
また表2には、実施例で作製した光電変換素子と、比較例で作製した光電変換素子とをそれぞれ照度を200lx~1000lxに変化させたときの、得られたパラメータを示す。
【0078】
【表2】

【0079】
これらの結果から、本発明による光電変換素子(実施例)は、疑似太陽光、LED低照度光のいずれにおいても、特に開放電圧とヒステリシスにおいて優れ、高性能を示すことがわかる。
【符号の説明】
【0080】
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池
100 光電変換素子
101 下部電極
102 バッファ層
103 活性層
104 バッファ層
105 上部電極
106 基材
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】