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特開2022-151071反応管、処理装置、および半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151071
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】反応管、処理装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220929BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20220929BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/316 X
C23C16/455
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053975
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠松 健太
(72)【発明者】
【氏名】平野 敦士
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隆史
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030EA00
4K030KA00
5F045AA06
5F045AC15
5F045BB03
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045DQ10
5F045EF03
5F045EF09
5F045EF13
5F045EG01
5F045EG05
5F045EK06
5F045EM09
5F045EM10
5F045GB05
5F058BF04
5F058BF37
5F058BG01
5F058BG02
(57)【要約】
【課題】処理室の基板設置領域における圧力差を低減し、排出部から排出されるガスの流れを均一にする構成を提供する。
【解決手段】反応管について、一端にガス供給部、他端に排出部が設けられる処理室が内部に形成され、排出部から排出されるガスの流れを抑制するように構成されている調整部を備え、この調整部によって、処理室における、ガス供給部から排出部までのガスの流れが調整されることにより、排出部から排出されるガスの流れを均一にするよう構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にガス供給部、他端に排出部が設けられる処理室が内部に形成され、前記排出部から排出されるガスの流れを抑制するように構成されている調整部を備え、前記調整部によって、前記処理室における、前記ガス供給部から前記排出部までの前記ガスの流れが調整されることにより、前記排出部から排出されるガスの流れを均一にするよう構成されている反応管。
【請求項2】
前記調整部は、前記排出部から排出されるガスのうち、一部のガスの流れを抑制するように構成されている
請求項1記載の反応管。
【請求項3】
前記調整部は、前記排出部から排出されるガスの流れを上下方向において均一にするよう構成されている
請求項2記載の反応管。
【請求項4】
一端にガス供給部、他端に排出部が設けられる処理室が内部に形成され、前記排出部から排出されるガスの流れを抑制するように構成されている調整部を備え、前記調整部によって、前記処理室における、前記ガス供給部から前記排出部までの前記ガスの流れが調整されることにより、前記排出部から排出されるガスの流れを均一にするよう構成されている反応管を備えた処理装置。
【請求項5】
一端にガス供給部、他端に排出部が設けられる処理室が内部に形成され、前記排出部から排出されるガスの流れを抑制するように構成されている調整部を備え、前記調整部によって、前記処理室における、前記ガス供給部から前記排出部までの前記ガスの流れが調整されることにより、前記排出部から排出されるガスの流れを均一にするよう構成されている反応管に基板を搬入する工程と、前記基板を処理する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、反応管、処理装置、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する処理装置として、処理室が内部に形成された反応管を有し、処理室内に所定枚数の基板を上下方向に配列して設置し、基板を所定温度に加熱し、処理ガスを処理室内に供給して基板処理を行う縦型の処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、処理室の排気効率をよくするために、処理室の基板設置領域を挟んで、一端にガス供給部、他端に排出部が設けられた構成が開示されている。
【0004】
例えば、基板を上下方向に配列して設置する縦型の処理装置では、処理室の基板設置領域において圧力差が発生すると、基板毎の膜厚均一性を悪化させる要因となることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2017/010125号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、処理室の基板設置領域における圧力差を低減し、排出部から排出されるガスの流れを均一にする構成を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、一端にガス供給部、他端に排出部が設けられる処理室が内部に形成され、前記排出部から排出されるガスの流れを抑制するように構成されている調整部を備え、前記調整部によって、前記処理室における、前記ガス供給部から前記排出部までの前記ガスの流れが調整されることにより、前記排出部から排出されるガスの流れを均一にするよう構成されている反応管が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、処理室の基板設置領域における圧力差を低減し、排出部から排出されるガスの流れを均一にさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置の処理炉を示す立断面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1のB矢指方向から見た側面図である。
図4図1におけるフィン付近の拡大図である。
図5】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置の処理炉におけるガスの流れを説明するイメージ図であり、図5Aは従来の基板処理装置の処理炉におけるガスの流れを示す図であり、図5Bは本実施形態の基板処理装置の処理炉におけるガスの流れを示す図である。
図6】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置の処理炉におけるガスの流速を示すグラフである。
図7】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置の処理炉におけるガスの圧力を示すグラフである。
図8】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置の制御系を説明する概略構成図である。
図9】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置により基板にジルコニウム酸化膜を形成するプロセスを説明するフローチャートである。
図10】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおける排気孔の変形例を示す図であり、横長の小さい四角形の開口を上下方向に複数配列した態様を示す図である。
図11】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおける排気孔の変形例を示す図であり、上下方向に延びる1つの楕円形の開口とした態様を示す図である。
図12】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおける排気孔の変形例を示す図であり、横長の小さい楕円形の開口を上下方向に複数配列した態様を示す図である。
図13】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおける排気孔の変形例を示す図であり、小さい円形の開口を上下方向に複数配列した態様を示す図である。
図14】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおける排気孔の変形例を示す図であり、上下方向に延びる1つの三角形の開口とした態様を示す図である。
図15】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおける排気孔の変形例を示す図であり、上下方向に延びる1つの台形の開口とした態様を示す図である。
図16】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおける排気孔の変形例を示す図であり、上下方向に延びる1つの菱形の開口とした態様を示す図である。
図17】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおける排気孔の変形例を示す図であり、上下方向に延びる1つの多角形の開口とした態様を示す図である。
図18】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおけるフィンの変形例を示す図であり、三角形状とした態様を示す図である。
図19】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおけるフィンの変形例を示す図であり、曲線形状とした態様を示す図である。
図20】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおけるフィンの変形例を示す図であり、上下方向において分離された複数の小片を組み合わせて、全体として階段形状とした態様を示す図である。
図21】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおけるフィンの変形例を示す図であり、アウタチューブに取り付けた態様を示す図である。
図22】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブにおけるフィンの変形例を示す図であり、上下方向で厚さが異なるように構成した態様を示す図である。
図23】本開示の実施形態に好適に用いられる基板処理装置のプロセスチューブの変形例を示す図であり、排気孔の上方に近い場所に排気管を形成した態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本開示の一実施形態について説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、必ずしも一致していない。
【0011】
先ず、半導体装置の製造工程の一工程で使用される半導体装置の一例である、基板処理装置について説明する。本実施形態では、基板処理装置の一例として、一度に複数枚の基板に対して成膜処理等を行うバッチ式の縦型装置である基板処理装置を使用した場合について説明する。
【0012】
図1および図2を用いて、本実施形態における基板処理装置の処理炉1について説明する。
【0013】
処理炉1は、中心線が垂直になる様に縦向きに配置され、筐体(図示せず)により固定的に支持された反応管としての縦型のプロセスチューブ2を有している。プロセスチューブ2は、インナチューブ(内管)3とアウタチューブ(外管)4とを有している。インナチューブ3およびアウタチューブ4は、例えば石英(SiO2)または炭化珪素(SiC)、石英や炭化珪素の複合材料等耐熱性の高い材料によって、それぞれ一体に成形されている。
【0014】
インナチューブ3は、上端が閉塞され下端が開放された円筒形状であり、インナチューブ3内には基板保持手段(基板保持具)としてのボート5が収納され、このボート5には基板としてのウェハ6が水平姿勢で多段に積層されており、インナチューブ3にウェハ6を収納して処理する処理室7が画成される。インナチューブ3の下端開口は、ウェハ6を保持したボート5を挿脱する為の炉口を構成している。従って、インナチューブ3の内径は、ウェハ6を保持したボート5の最大外径よりも大きくなる様に設定されている。
【0015】
アウタチューブ4は、上端が閉塞され下端が開口された円筒形状であり、内径がインナチューブ3よりも大きく、このインナチューブ3の外側を囲む様同心に配置される。アウタチューブ4の下端部は、マニホールド8のフランジ9にOリング(図示せず)を介して取付けられ、Oリングにより気密に封止される。
【0016】
インナチューブ3の下端部は、マニホールド8の内周面に形成された円板状のリング部11上に載置されている。マニホールド8には、インナチューブ3およびアウタチューブ4についての保守点検作業や清掃作業の為、インナチューブ3およびアウタチューブ4が着脱自在に取付けられている。更に、マニホールド8が筐体(図示せず)に支持されることにより、プロセスチューブ2は垂直に据付けられた状態になっている。
【0017】
なお、上記においてはインナチューブ3の内部に画成される空間を処理室7としているが、以下では、アウタチューブ4内に画成される空間を処理室7と呼ぶ場合もある。
【0018】
マニホールド8の側壁の一部には、処理室7の雰囲気を排気する排気管12が接続されている。マニホールド8と排気管12との接続部には、処理室7の雰囲気を排気する排気口が形成されている。排気管12内は、排気口を介してインナチューブ3とアウタチューブ4との間に形成された隙間からなる排気路47(後述)内に連通している。なお、排気路47の横断面形状は略円形リング状になっている。これにより、後述するインナチューブ3に形成された排出部としての排気孔13の上端から下端迄均一に排気することができる。すなわち、ボート5に載置された複数枚のウェハ6全てから均一に排気することができる。
【0019】
排気管12には、上流側から順に、圧力センサ14、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ15、真空排気装置としての真空ポンプ16が設けられている。真空ポンプ16は、処理室7の圧力が所定の圧力(真空度)となる様真空排気し得る様に構成されている。圧力センサ14およびAPCバルブ15には、コントローラ17が電気的に接続されている。コントローラ17は、処理室7の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となる様に、圧力センサ14により検出された圧力に基づいてAPCバルブ15の開度を制御する様に構成されている。
【0020】
主に、排気管12、圧力センサ14、APCバルブ15により、本実施例に係る排気ユニット(排気系)が構成される。また、この排気ユニットには真空ポンプ16を含めてもよい。また、排気管12には、排気ガス中の反応副生成物や未反応の原料ガス等を補足するトラップ装置や、排気ガス中に含まれる腐食成分や有毒成分等を除外する除外装置が接続されている場合がある。この場合、トラップ装置や除外装置を排気ユニットに含めてもよい。
【0021】
マニホールド8には、マニホールド8の下端開口を閉塞するシールキャップ18が垂直下方から当接される。シールキャップ18は、アウタチューブ4の外径と同等以上の外径を有する円盤形状となっており、プロセスチューブ2の外部に垂直に設置されたボートエレベータ19(後述)によって水平姿勢で垂直方向に昇降される。
【0022】
シールキャップ18上には、ウェハ6を保持するボート5が垂直に立脚されて支持されている。ボート5は、上下で一対の端板21と、この端板21間に垂直に設けられた複数本の保持部材22とを有している。端板21および保持部材22は、例えば石英(SiO2)または炭化珪素(SiC)、石英や炭化珪素の複合材料等の耐熱性材料からなる。各保持部材22には、多数条の保持溝23が長手方向に等間隔に形成されている。ウェハ6の円周縁が複数本の保持部材22における同一段の保持溝23内にそれぞれ挿入されることにより、複数枚のウェハ6が水平姿勢且つ互いに中心を揃えた状態で多段に積層されて保持される。
【0023】
ボート5とシールキャップ18との間には、上下で一対の補助端板24が複数本の補助保持部材25によって支持されている。各補助保持部材25には、多数条の保持溝26が形成されている。保持溝26には、例えば石英(SiO2)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性材料からなる円板形状の複数枚の断熱板27が、水平姿勢で多段に装填される。この断熱板27によって、後述するヒータユニット28からの熱がマニホールド8側に伝わり難くなっている。また、ボート5に載置される複数枚のウェハ6の下側での温度低下を抑制できる様になっている。
【0024】
シールキャップ18の処理室7と反対側には、ボート5を回転させる回転機構29が設けられている。回転機構29の回転軸31は、シールキャップ18を貫通してボート5を下方から支持している。回転機構29により回転軸31を回転させることで、処理室7にてウェハ6を回転させることができる。
【0025】
また、シールキャップ18は、搬送手段(搬送機構)としてのボートエレベータ19によって垂直方向に昇降される様に構成されており、このボートエレベータ19によってボート5を処理室7内外に搬送することが可能となっている。
【0026】
アウタチューブ4の外部には、プロセスチューブ2内を全体に亘って均一または所定の温度分布に加熱する加熱手段(加熱機構)としてのヒータユニット28が、アウタチューブ4を囲繞する様に設けられている。ヒータユニット28は、基板処理装置の筐体(図示せず)に支持されることにより、垂直に据付けられた状態となっており、例えばカーボンヒータ等の抵抗加熱ヒータとして構成されている。
【0027】
プロセスチューブ2内には、温度検出器としての温度センサ32が設置されている。主に、ヒータユニット28、温度センサ32により、本実施例に係る加熱ユニット(加熱系)が構成される。
【0028】
インナチューブ3の側壁(排気孔13とは180°反対側の位置)には、チャンネル形状の予備室33が、インナチューブ3の側壁からインナチューブ3の径方向外向きに突出して垂直方向に長く延在する様に形成されている。また、予備室33の内壁は処理室7の内壁の一部を形成している。
【0029】
予備室33の内部には、予備室33の内壁(すなわち処理室7の内壁)に沿う様に、予備室33の下部から上部に沿ってウェハ6の積層方向に延在し、処理室7にガスを供給するノズル34,35,36,37が設けられている。すなわち、ノズル34,35,36,37は、ウェハ6が配列されるウェハ配列領域の側方の、ウェハ配列領域を水平に取囲む領域に、ウェハ配列領域に沿う様に設けられている。
【0030】
ノズル34,35,36,37は、ノズル34,35,36,37の水平部がマニホールド8を貫通し、ノズル34,35,36,37の垂直部がウェハ配列領域の下端から上端に向って立ち上がる様に設けられている。なお、便宜上、図1には1本のノズル34を記載しているが、実際には図2に示される様に、4本のノズル34,35,36,37が設けられている。
【0031】
また、ノズル34,35,36,37の側面には、ガスを供給する多数のガス供給孔38,39,40,41がそれぞれ設けられている。ガス供給孔38,39,40,41は、下部から上部に亘ってそれぞれ同一、または大きさに傾斜を付けた開口面積を有し、更に同一の開口ピッチで設けられている。
【0032】
マニホールド8を貫通したノズル34,35,36,37の水平部の端部は、プロセスチューブ2の外部で、ガス供給ラインとしてのガス供給管43,44,45,46とそれぞれ接続されている。
【0033】
上記した様に、本実施形態におけるガス供給の方法は、ガス供給部として予備室33内に配置されたノズル34,35,36,37を介してガスを搬送し、ガス供給孔38,39,40,41からウェハ6の近傍より処理室7にガスを噴出させている。
【0034】
ガス供給管43には、上流側から順に、流量制御装置(流量制御部)としての図示しないMFC(マスフローコントローラ)および図示しない開閉弁であるバルブがそれぞれ設けられており、例えば不活性ガスである窒素(N2)ガスがガス供給管43およびノズル34を通って処理室7へ供給される。主に、ノズル34、ガス供給管43、MFC、バルブにより第1の不活性ガス供給系が構成される。
【0035】
ガス供給管46には、上流側から順に、流量制御装置(流量制御部)として図示しないMFC(マスフローコントローラ)および図示しない開閉弁であるバルブがそれぞれ設けられており、例えば不活性ガスである窒素(N2)ガスがガス供給管46およびノズル37を通って処理室7へ供給される。主に、ノズル37、ガス供給管46、MFC、バルブにより第2の不活性ガス供給系が構成される。
【0036】
不活性ガス供給系は、第1の不活性ガス供給系と第2の不活性ガス供給系のいずれかまたは両方で構成される。ウェハ6への処理によって2つを使い分けてもよいが、第1の不活性ガス供給系と、第2の不活性ガス供給系の両方を用いることで、ウェハ6に均一な処理を施すことができる。また、図2に示される様に、ノズル34とノズル37は、他のノズルを挾む様に配置することが好ましい。この様な配置とすることで、ウェハ6への処理均一性を向上させることができる。
【0037】
ガス供給管44には、上流側から順に、図示しない反応ガス供給源、流量制御装置(流量制御部)である図示しないMFCおよび図示しない開閉弁であるバルブが設けられており、反応ガスがガス供給管46およびノズル37を通って処理室7へ供給される。主に、ノズル35、ガス供給管44、MFC、バルブにより反応ガス供給系が構成される。
【0038】
ガス供給管44には、図示しない反応ガス活性化装置を設けてもよい。例えば、この活性化装置にて、所定のガスを活性化して反応ガスを生成し、処理室7に供給するよう構成してもよい。
【0039】
ガス供給管45には、上流側から順に、図示しない原料ガス供給源、流量制御装置(流量制御部)である図示しないMFCおよび図示しない開閉弁であるバルブが設けられており、反応ガスがガス供給管45およびノズル36を通って処理室7へ供給される。主に、ノズル36、ガス供給管45、MFC、バルブにより原料ガス供給系が構成される。
【0040】
ガス供給管45には、図示しない気化システム(気化部)を設けてもよい。例えば、液体原料を気化して原料ガスとしての気化ガスを生成し、処理室7へ供給するようにしてもよい。この場合、気化器の下流側には、上流側から順に開閉弁であるバルブ、ガスフィルタ等が設けられるのが好ましい。
【0041】
インナチューブ3の側壁であって、ノズル34,35,36,37に対向した位置、すなわち予備室33とは180°反対側の位置には、排気孔13が形成されている。本実施形態において、排気孔13は、一例として図3に示すように、上下方向に細長く延びる四角形である。
【0042】
また、排気孔13の両側には、排気孔13から排出されるガスの流れを抑制するように構成されている調整部としてのフィン100が設けられており、このフィン100によって処理室7におけるガス供給孔38,39,40,41から排気孔13までのガスの流れが調整されることにより、排気孔13から排出されるガスの流れを均一にするよう構成されている。本実施形態において、フィン100は、一例として図4に示すように、階段形状である。
【0043】
インナチューブ3とアウタチューブ4との間に形成される空間の幅Wsに対するフィン100の幅Wfの空間比率(wf/ws)は、フィン100の上下方向の全域において、0.2以上0.9以下となるように構成されている。
【0044】
詳細には、排気孔13は上下方向において9個の区間に分けられ、一番上の区間にはフィン100が設けられないように構成されている。上から2番目から9番目の区間にわたってフィン100が設けられており、上から2番目の区間の空間比率は0.21、上から3番目の区間の空間比率は0.34、上から4番目の区間の空間比率は0.46、上から5番目の区間の空間比率は0.58、上から6番目の区間の空間比率は0.68、上から7番目の区間の空間比率は0.75、上から8番目の区間の空間比率は0.81、上から9番目の区間の空間比率は0.84となるように構成されている。すなわち、フィン100は、排気孔13から排出されるガスのうち、一部のガスの流れを抑制するように構成されている。
【0045】
排気孔13の両側の2枚のフィン100は、インナチューブ3の外壁に固着されている。また、インナチューブ3の外壁には、フィン100を排気孔13の近傍に配置する台座110が固着されている。本実施形態において、台座110は、一例として板状の部材であり、排気孔13の下端と台座110の上面とが同じ高さになるように配置されている。台座110の上面には、2枚のフィン100の下端部が固着されている。
【0046】
インナチューブ3とアウタチューブ4との間の隙間により排気路47が形成され、この排気路47は排気孔13を介して処理室7と連通している。従って、ガス供給孔38,39,40,41から処理室7に供給されたガスは、排気孔13を介して排気路47内へと流れた後、排気孔13の下方に位置する排気口を介して排気管12内に流れ、プロセスチューブ2外へと排出される。
【0047】
この時、ガス供給孔38,39,40,41から処理室7のウェハ6の近傍に供給されたガスは、水平方向、すなわちウェハ6の表面と平行な方向に向って流れた後、排気孔13を介して排気路47へと流れる。つまり、処理室7におけるガスの主たる流れは水平方向、すなわちウェハ6の表面と平行な方向となる。
【0048】
この場合、上下方向に延びる排気孔13において、排気管12に近い位置では圧力が低くなり、離れると圧力は高くなるため、フィン100を設けない場合には、図5Aに示すように、排気管12に近い下側の方がガスの流速が速くなり、処理室7のウェハ6の設置領域の上部と下部では圧力差が生じる。
【0049】
これに対し、本実施形態では、インナチューブ3の外壁に、排気孔13から排出されるガスの流れを抑制するように構成されている調整部としてのフィン100を設け、このフィン100によって処理室7におけるガス供給孔38,39,40,41から排気孔13までのガスの流れを調整している。本実施形態では一例として、フィン100は、下方に行くにつれて幅が広くなる階段形状であり、排気孔13の下方ほどガスの流れが抑制されるように構成されている。すなわち、圧力が低くガスが流れやすい箇所ほどフィン100の幅Wfを大きくし、排気孔13付近の圧力を高めてガスが流れにくくしている。これにより、図5Bに示すように、処理室7における、ガス供給孔38,39,40,41から排気孔13までガスの流れが上下方向において均等化されており、排気孔13の上部と下部のガスの流れが均一化されている。このとき、圧力に関しても処理室7のウェハ6の設置領域の上部と下部での圧力差が低減され、均一化される。
【0050】
図6は、本実施形態の構成によるプロセスチューブ2における処理室7のウェハ6の直上のガスの流速を示すグラフである。グラフの横軸は、台座110の上面(排気孔13の下端と同じ)からの高さを示しており、排気孔13の上端を1として規格化している。グラフの左側の縦軸は、フィン100の空間比率(wf/ws)を示しており、インナチューブ3とアウタチューブ4との間に形成される空間の幅Wsを1として規格化している。グラフの右側の縦軸は、ウェハ6の直上のガスの流速を示しており、排気孔13の下端におけるウェハ6の直上のガスの流速を1として規格化している。
【0051】
グラフ中の実線は、フィン100の空間比率(wf/ws)を示している。グラフ中の一点鎖線は、フィン100がある場合のウェハ6の直上のガスの流速を示している。グラフ中の点線は、フィン100がない場合のウェハ6の直上のガスの流速を示している。図6のグラフから、フィン100を設けることにより、フィン100がない場合と比較して、処理室7内のウェハ6の設置領域の上部と下部でのガスの流速差が改善され、ガスの流速が均一になっていることが分かる。
【0052】
図7は、本実施形態の構成によるプロセスチューブ2における処理室7のウェハ6の直上のガスの圧力を示すグラフである。グラフの横軸は、台座110の上面(排気孔13の下端と同じ)からの高さを示しており、排気孔13の上端を1として規格化している。グラフの左側の縦軸は、フィン100の空間比率(wf/ws)を示しており、インナチューブ3とアウタチューブ4との間に形成される空間の幅Wsを1として規格化している。グラフの右側の縦軸は、ウェハ6の直上のガスの圧力を示しており、排気孔13の上端におけるウェハ6の直上のガスの圧力を1として規格化している。
【0053】
グラフ中の実線は、フィン100の空間比率(wf/ws)を示している。グラフ中の一点鎖線は、フィン100がある場合のウェハ6の直上のガスの圧力を示している。グラフ中の点線は、フィン100がない場合のウェハ6の直上のガスの圧力を示している。図7のグラフから、フィン100を設けることにより、フィン100がない場合と比較して、処理室7内のウェハ6の設置領域の上部と下部でのガスの圧力差が改善され、ガスの圧力が均一になっていることが分かる。
【0054】
上記の通り、本実施形態の構成とすることにより、処理室7のウェハ6の設置領域における上下圧力差を低減し、排気孔13から排出されるガスの流れを上下方向において均一にさせることができる。そのため、各ウェハ6に対して均一にガスを供給でき、各ウェハ6に形成される薄膜の膜厚を均一にすることができる。
【0055】
次に、図8において、制御部(制御手段)であるコントローラ17と各構成の接続について説明する。
【0056】
コントローラ17は、CPU(Central Processing Unit)75、RAM(Random Access Memory)76、記憶装置77、I/Oポート78を具備するコンピュータとして構成されている。RAM76、記憶装置77、I/Oポート78は、内部バス79を介してCPU75とデータ交換可能な様に構成されている。コントローラ17には、ディスプレイ等の表示装置80や、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置81が接続されている。
【0057】
記憶装置77は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置77内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が読出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ17に実行させ、所定の結果を得ることが出来る様に組合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書において、プログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM76は、CPU75によって読出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0058】
I/Oポート78は、ガス供給管43,44,45,46にそれぞれ設けられるMFCやバルブ、圧力センサ14、APCバルブ15、真空ポンプ16、ボートエレベータ19、ヒータユニット28、回転機構29、温度センサ32等に接続されている。
【0059】
CPU75は、記憶装置77から制御プログラムを読出して実行すると共に、入出力装置81からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置77からプロセスレシピを読出す。そして、CPU75は、読出したプロセスレシピの内容に沿う様に、MFCによる各種ガスの流量調整動作、バルブの開閉操作、APCバルブ15の開閉動作およびAPCバルブ15による圧力センサ14に基づく圧力調整動作、温度センサ32に基づくヒータユニット28の温度調整動作、真空ポンプ16の起動および停止、回転機構29によるボート5の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ19によるボート5の昇降動作等を制御する。
【0060】
なお、コントローラ17は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)82を用意し、この外部記憶装置82を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施例に係るコントローラ17を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給する為の手段は、外部記憶装置82を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置82を介さずにプログラムを供給する様にしてもよい。なお、記憶装置77や外部記憶装置82は、コンピュータで読取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置77単体のみを含む場合、外部記憶装置82単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0061】
次に、上述した基板処理装置の処理炉1を用いて半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成するシーケンス例について、図9を参照して説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ17により制御される。
【0062】
なお、本明細書において、「ウェハ」という言葉を用いた場合は、「ウェハそのもの」を意味する場合や、「ウェハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合、すなわち表面に形成された所定の層や膜等を含めてウェハと称する場合がある。また、本明細書において「ウェハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウェハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウェハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち積層体としてのウェハの最表面」を意味する場合がある。
【0063】
従って、本明細書において「ウェハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウェハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウェハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち積層体としてのウェハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウェハ上に所定の層(または膜)を形成する」と記載した場合は、「ウェハそのものの表面(露出面)上に所定の層(または膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウェハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち積層体としてのウェハの最表面の上に所定の層(または膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0064】
なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も「ウェハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウェハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0065】
以下、基板処理工程について説明する。
STEP:01 先ず、複数枚のウェハ6がボート5に装填(ウェハチャージ)される。
【0066】
STEP:02 次に、ボート5がボートエレベータ19により持上げられ、処理室7に搬入(ボートロード)される。この状態では、シールキャップ18はマニホールド8の下端をシールした状態となる。
【0067】
STEP:03 ボート5の搬入後、処理室7が所望の圧力(真空度)となる様に、真空ポンプ16によって真空排気される。この際、処理室7の圧力は、圧力センサ14で測定され、測定された圧力に基づきAPCバルブ15にフィードバック制御される(圧力調整)。また、処理室7が所望の温度となる様にヒータユニット28によって加熱される。この際、処理室7が所望の温度分布となる様に、温度センサ32が検出した温度情報に基づきヒータユニット28への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。続いて、回転機構29により、ボート5が回転されることで、ウェハ6が回転される。
【0068】
なお、真空ポンプ16の作動、ヒータユニット28による処理室7の加熱、回転機構29によるボート5およびウェハ6の回転は、少なくともウェハ6に対する処理が終了する迄の間は継続して行われる。
【0069】
次に、原料ガスと、反応ガスを処理室7に供給することにより膜を形成する膜形成工程を行う。酸化膜形成工程では、STEP:04~STEP:08の4つのステップを順次実行する。
【0070】
STEP:04 先ず、ガス供給管45のバルブを開放し、ガス供給管45内に原料ガスを流す。例えば、ガス供給管45内を流れる原料ガスは、図示しない気化器により気化された状態で、ノズル36のガス供給孔40から処理室7に供給され、排気管12から排気される。
【0071】
また、原料ガスの供給と並行して、ガス供給管43、ノズル34、ガス供給孔38からN2等の不活性ガスを流すと共に、ガス供給管46、ノズル37、ガス供給孔41からN2等の不活性ガスを流す。
【0072】
この時、APCバルブ15の開度を適正に調整して処理室7の圧力を、所定の圧力とする。本実施の形態においては、ウェハ6を原料ガスに曝す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、適宜設定され、またこの時のヒータユニット28の温度は、ウェハ6の温度が所定温度となる様に設定される。
【0073】
STEP:05 処理室7への原料ガスの供給を停止する。この時、排気管12のAPCバルブ15は開いたままとし、真空ポンプ16により処理室7を真空排気し、処理室7に残留する未反応、もしくは原料含有層形成に寄与した後の原料ガスを処理室7から排気する。
【0074】
この時、不活性ガスとしてのN2ガスの処理室7内への供給を維持する。N2ガスはパージガスとして作用し、処理室7に残留する未反応、もしくは原料含有層形成に寄与した後の原料ガスを処理室7から排気する効果を更に高めることができる。
【0075】
また、処理室7に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室7を完全にパージしなくてもよい。処理室7に残留するガスが微量であれば後述するSTEP:06において悪影響が生じることはない。この時、処理室7に供給するN2ガスの流量は大流量とする必要はなく、例えば、アウタチューブ4(もしくは処理室7)の容積と同程度の量を供給することで、STEP:06において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。この様に、処理室7を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、N2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0076】
STEP:06 処理室7の残留ガスを除去した後、ガス供給管44のバルブを開くことで、原料ガスが、MFCにより流量調整され、ノズル35のガス供給孔39から処理室7に供給され、排気管12から排気される。また、反応ガスの供給と並行して、ガス供給管43、ノズル34、ガス供給孔38からN2等の不活性ガスを流すと共に、ガス供給管46、ノズル37、ガス供給孔41からN2等の不活性ガスを流す。
【0077】
反応ガスを流す時は、APCバルブ15の開度を適正に調整し、処理室7の圧力を、所定の圧力とする。また、反応ガスをウェハ6に曝す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、適宜設定され、また、ヒータユニット28の温度は、所定の温度に設定されている。反応ガスの供給により、STEP:04でウェハ6上に形成された原料含有層から所望の膜が形成される。
【0078】
STEP:07 所望の膜の形成後、処理室7への反応ガスの供給を停止する。この時、排気管12のAPCバルブ15は開いたままとし、真空ポンプ16により処理室7を真空排気し、処理室7内に残留する未反応、もしくは成膜に寄与した後の反応ガスを処理室7から排気する。
【0079】
この時、不活性ガスとしてのN2ガスの処理室7内への供給を維持する。N2ガスはパージガスとして作用し、処理室7に残留する未反応もしくは所望の膜形成に寄与した後の反応ガスを処理室7内から排気する効果を更に高めることができる。
【0080】
また、処理室7に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室7を完全にパージしなくてもよい。処理室7に残留するガスが微量であれば再度STEP:04を行う場合に悪影響が生じることはない。この時、処理室7に供給するN2ガスの流量は大流量とする必要はなく、例えば、アウタチューブ4(もしくは処理室7)の容積と同程度の量を供給することで、STEP:04において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。この様に、処理室7を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、N2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0081】
STEP:08 上述したSTEP:04~STEP:07を1サイクルとし、このサイクルが所定数だけ行われたかどうかが判断される。このサイクルが少なくとも1サイクル行われることで、ウェハ6上に所定膜厚の膜を形成することができる。なお、上記したサイクルは複数回繰返すのが好ましく、サイクルが複数回行われることで、ウェハ6上に所定膜厚の膜を形成することができる。
【0082】
STEP:09 所望の膜の形成後、処理室7にN2ガスを流す。N2ガスはパージガスとして作用し、これにより処理室7が不活性ガスでパージされ、処理室7に残留するガスが処理室7から除去される。
【0083】
STEP:10 処理室7の雰囲気が不活性ガスに置換された後、処理室7の圧力が大気圧(常圧)に復帰される(大気圧復帰)。
【0084】
STEP:11 その後、ボートエレベータ19によりシールキャップ18が下降され、マニホールド8の下端が開口されると共に、処理済みのウェハ6がボート5に保持された状態でマニホールド8の下端からプロセスチューブ2の外部に搬出される(ボートアンロード)。
【0085】
STEP:12 最後に、処理済みのウェハ6がボート5より取出され(ウェハディスチャージ)、基板処理を終了する。
【0086】
<変形例>
本実施形態において、排気孔13の構成は、上下方向に延びる1つの四角形の開口に限らず、種々の態様とすることができる。
【0087】
例えば、図10の排気孔13aに示すように、横長の小さい四角形の開口を上下方向に複数配列してもよい。
【0088】
また、図11の排気孔13bに示すように、上下方向に延びる1つの楕円形の開口としてもよい。
【0089】
また、図12の排気孔13cに示すように、横長の小さい楕円形の開口を上下方向に複数配列してもよい。
【0090】
また、図13の排気孔13dに示すように、小さい円形の開口を上下方向に複数配列してもよい。
【0091】
また、図14の排気孔13eに示すように、上下方向に延びる1つの三角形の開口としてもよい。なお、三角形の底辺が上側になるように形成してもよいし、三角形の底辺が下側になるように形成してもよいが、排気孔13eから排出されるガスの流れを上下方向において均一にさせる点から、排気管12から遠い方を底辺とすることが好ましい。
【0092】
また、図15の排気孔13fに示すように、上下方向に延びる1つの台形の開口としてもよい。なお、上辺が下辺より長くなるように形成してもよいし、下辺が上辺より長くなるように形成してもよいが、排気孔13fから排出されるガスの流れを上下方向において均一にさせる点から、排気管12から遠い方の辺を長くすることが好ましい。
【0093】
また、図16の排気孔13gに示すように、上下方向に延びる1つの菱形の開口としてもよい。
【0094】
また、図17の排気孔13hに示すように、上下方向に延びる1つの多角形の開口としてもよい。なお、開口部の面積について上側が下側よりも広くなるように形成してもよいし、下側が上側よりも広くなるように形成してもよいが、排気孔13hから排出されるガスの流れを上下方向において均一にさせる点から、排気管12から遠い方の面積を広くすることが好ましい。
【0095】
本実施形態において、フィン100の構成は、厚さが一様の階段形状のフィン100をインナチューブ3に取り付ける構成に限らず、種々の態様とすることができる。
【0096】
例えば、図18のフィン100aに示すように、三角形状としてもよい。
【0097】
また、図19のフィン100bに示すように、曲線形状としてもよい。
【0098】
また、図20のフィン100cに示すように、上下方向において分離された複数の小片を組み合わせて、全体として階段形状、三角形状、または曲線形状となるように構成してもよい。
【0099】
また、図21のフィン100dに示すように、アウタチューブ4に取り付けてもよい。
【0100】
また、図22のフィン100eに示すように、上下方向で厚さが異なるように構成してもよい。なお、フィン100eの厚さは、上側が下側よりも厚くなるように形成してもよいし、下側が上側よりも厚くなるように形成してもよいが、排気孔13から排出されるガスの流れを上下方向において均一にさせる点から、排気管12から遠い方の厚さを厚くすることが好ましい。
【0101】
本実施形態において、プロセスチューブ2の構成は、排気孔13の下方に近い場所に位置する排気管12を介してガスを排気する構成に限らず、図23に示すように、排気孔13の上方に近い場所に位置する排気管12を介してガスを排気する構成としてもよい。この場合には、排気孔13の上方のガスの圧力が高くなるように、フィン100が構成される。すなわち、排気孔13と排気管12の位置関係に応じて、フィン100の配置が決定されるよう構成されている。
【0102】
<作用効果>
上述の様に、本実施の形態によれば、以下(a)から(n)のいずれか一つの効果を奏する。
【0103】
(a)本実施の形態によれば、一端にガス供給部として予備室33内に配置されたノズル34,35,36,37が設けられ、他端にガスの排出部としての排気孔13が設けられる処理室7が内部に形成され、排気孔13から排出されるガスの流れを抑制するように構成されている調整部としてのフィン100を設け、このフィン100によって処理室7におけるガス供給孔38,39,40,41から排気孔13までのガスの流れを調整している。このように、排気孔13の圧力が低くガスが流れやすい箇所ほど圧力を高めるフィン100を設け、排気孔13付近の圧力を高めてガスを流れにくくすることにより、排気孔13の全体にわたってガスの流れが均一化され、処理室7のウェハ6の設置領域における圧力差を低減することができる。そのため、各ウェハ6に対して均一にガスを供給でき、各ウェハ6に形成される薄膜の膜厚を均一にすることができる。
【0104】
(b)本実施の形態によれば、フィン100は、排気孔13の両側に設けられている。これにより、効果的に排気孔13付近の圧力を高めてガスを流れにくくすることができるため、排気孔13の全体にわたってガスの流れが均一化され、処理室7のウェハ6の設置領域における圧力差を低減することができる。
【0105】
(c)本実施の形態によれば、フィン100は、排気孔13の下側に設けられている。排気管12の位置が排気孔13の下方に近い位置にある場合、排気孔13の下側にフィン100を設けることにより、ガスが流れやすい箇所に対して圧力を高めることができるため、排気孔13の上部と下部のガスの流れが均一化され、処理室7のウェハ6の設置領域の上部と下部での圧力差を低減することができる。
【0106】
(d)本実施の形態によれば、フィン100eは、排気孔13の上下方向で厚さが異なる。このような構成とすることにより、ガスが流れやすい箇所に対して圧力を高めることができるため、排気孔13の上部と下部のガスの流れが均一化され、処理室7のウェハ6の設置領域の上部と下部での圧力差を低減することができる。
【0107】
(e)本実施の形態によれば、フィンは、階段形状(フィン100)または三角形状(フィン100a)に設けられる。このような構成とすることにより、ガスが流れやすい箇所に対して圧力を高めることができるため、排気孔13の上部と下部のガスの流れが均一化され、処理室7のウェハ6の設置領域の上部と下部での圧力差を低減することができる。
【0108】
(f)本実施の形態によれば、フィン100は、排気孔13の少なくとも一部に対して設けられないよう構成される。このような構成とすることにより、ガスが流れやすい箇所に対して圧力を高めることができるため、排気孔13の上部と下部のガスの流れが均一化され、処理室7のウェハ6の設置領域の上部と下部での圧力差を低減することができる。
【0109】
(g)本実施の形態によれば、フィン100は、排気孔13から排出されるガスのうち、一部のガスの流れを抑制するように構成されている。このような構成とすることにより、ガスが流れやすい箇所に対して圧力を高めることができるため、排気孔13の上部と下部のガスの流れが均一化され、処理室7のウェハ6の設置領域の上部と下部での圧力差を低減することができる。
【0110】
(h)本実施の形態によれば、フィン100は、排気孔13から排出されるガスの流速を均一にするよう構成されている。このような構成とすることにより、排気孔13から排出されるガスの流れを上下方向において均一にすることができるため、各ウェハ6に対して均一にガスを供給でき、各ウェハ6に形成される薄膜の膜厚を均一にすることができる。
【0111】
(i)本実施の形態によれば、フィン100は、排気孔13におけるガスの圧力を均一にするよう構成されている。このような構成とすることにより、排気孔13から排出されるガスの流れを上下方向において均一にすることができるため、各ウェハ6に対して均一にガスを供給でき、各ウェハ6に形成される薄膜の膜厚を均一にすることができる。
【0112】
(j)本実施の形態によれば、排気孔は、四角形(排気孔13)、三角形(排気孔13e)、台形(排気孔13f)、ひし形(排気孔13g)、多角形(排気孔13h)、楕円(排気孔13b)よりなる群から選択される。このような構成とし、フィン100を適宜組み合わせることにより、ガスが流れやすい箇所に対して圧力を高めることができるため、排気孔13の上部と下部のガスの流れが均一化され、処理室7のウェハ6の設置領域の上部と下部での圧力差を低減することができる。
【0113】
(k)本実施の形態によれば、排気孔13から排出されるガスをプロセスチューブ2の外部に排気する排気管12をさらに備え、排気孔13と排気管12の位置関係に応じて、フィン100の配置が決定されるよう構成されている。このような構成とすることにより、排気孔13から排出されるガスの流れを上下方向において均一にすることができるため、各ウェハ6に対して均一にガスを供給でき、各ウェハ6に形成される薄膜の膜厚を均一にすることができる。
【0114】
(l)本実施の形態によれば、フィン100eは、上方向にいくに従い厚さが小さい。排気管12の位置が排気孔13の下方に近い位置にある場合、上方向にいくに従い厚さが小さいフィン100e、すなわち、下方向にいくに従い厚さが大きいフィン100eを設けることにより、ガスが流れやすい箇所に対して圧力を高めることができるため、排気孔13の上部と下部のガスの流れが均一化され、処理室7のウェハ6の設置領域の上部と下部での圧力差を低減することができる。
【0115】
(m)本実施の形態によれば、プロセスチューブ2は、処理室7が内部に形成されるインナチューブ3と、インナチューブ3の外側に同心円状に設けられるアウタチューブ4とを備え、インナチューブ3とアウタチューブ4との間に形成される空間フィン100が配置され、インナチューブ3とアウタチューブ4との間に形成される空間の幅Wsに対するフィン100の幅Wfの空間比率(wf/ws)は、0.2以上0.9以下となるように構成されている。空間比率が0.2を下回ると排気孔13から排出されるガスの圧力を効果的に高めることができず、空間比率が0.9を上回ると排気孔13から排出されるガスの圧力が高まりすぎてしまい、いずれにしても排気孔13の上部と下部のガスの流れを均一化するのが困難となってしまう。そのため、空間比率を0.2以上0.9以下とすることにより、排気孔13の上部と下部のガスの流れが均一化し易くなり、処理室7のウェハ6の設置領域の上部と下部での圧力差を低減することができる。
【0116】
(n)本実施の形態によれば、プロセスチューブ2は、処理室7が内部に形成されるインナチューブ3と、インナチューブ3の外側に同心円状に設けられるアウタチューブ4とを備え、フィン100をインナチューブ3に設けられる排気孔13の近傍に配置する台座110を有する。このように、フィン100と台座110とを組み合わせて排気孔13から排出されるガスの圧力を調整することにより、排気孔13の上部と下部のガスの流れが均一化し易くなり、処理室7のウェハ6の設置領域の上部と下部での圧力差を低減することができる。
【0117】
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0118】
(付記1)本開示の一態様によれば、一端にガス供給部、他端に排出部が設けられる処理室が内部に形成され、前記排出部から排出されるガスの流れを抑制するように構成されている調整部を備え、前記調整部によって、前記処理室における、前記ガス供給部から前記排出部までの前記ガスの流れが調整されることにより、前記排出部から排出されるガスの流れを均一にするよう構成されている反応管が提供される。
【0119】
(付記2)好ましくは、付記1の反応管であって、前記調整部は、前記排出部の両側に設けられる。
【0120】
(付記3)好ましくは、付記1の反応管であって、前記調整部は、前記排出部の下側に設けられる。
【0121】
(付記4)好ましくは、付記1の反応管であって、前記調整部は、前記排出部の上下方向で厚さが異なる。
【0122】
(付記5)好ましくは、付記4の反応管であって、前記調整部は、階段形状または三角形状に設けられる。
【0123】
(付記6)好ましくは、付記1から5のいずれか1つの反応管であって、前記調整部は、前記排出部の少なくとも一部に対して設けられないよう構成される。
【0124】
(付記7)好ましくは、付記1の反応管であって、前記調整部は、前記排出部から排出されるガスのうち、一部のガスの流れを抑制するように構成されている。
【0125】
(付記8)好ましくは、付記7の反応管であって、前記調整部は、前記排出部から排出されるガスの流れを均一にするよう構成されている。
【0126】
(付記9)好ましくは、付記7の反応管であって、前記調整部は、前記排出部におけるガスの圧力を均一にするよう構成されている。
【0127】
(付記10)好ましくは、付記1の反応管であって、前記排出部は、四角形、三角形、台形、ひし形、多角形、楕円よりなる群から選択される。
【0128】
(付記11)本開示の一態様によれば、一端にガス供給部、他端に排出部が設けられる処理室が内部に形成され、前記排出部から排出されるガスの流れを抑制するように構成されている調整部を備え、前記調整部によって、前記処理室における、前記ガス供給部から前記排出部までの前記ガスの流れが調整されることにより、前記排出部から排出されるガスの流れを均一にするよう構成されている反応管を備えた処理装置が提供される。
【0129】
(付記12)好ましくは、付記11の処理装置であって、前記排出部から排出されるガスを前記反応管の外部に排気する排気管をさらに備え、前記排出部と前記排気管の位置関係に応じて、前記調整部の配置が決定されるよう構成されている。
【0130】
(付記13)好ましくは、付記11の処理装置であって、前記調整部は、前記排出部の上下方向で厚さが異なる。
【0131】
(付記14)好ましくは、付記11の処理装置であって、前記調整部は、前記排出部の両側に設けられる。
【0132】
(付記15)好ましくは、付記11の処理装置であって、前記調整部は、上方向にいくに従い厚さが小さい。
【0133】
(付記16)好ましくは、付記11の処理装置であって、前記調整部は、階段形状または三角形状に設けられる。
【0134】
(付記17)好ましくは、付記11の処理装置であって、前記反応管は、前記処理室が内部に形成される内管と、該内管の外側に同心円状に設けられる外管とを備え、前記内管と前記外管との間に形成される空間に前記調整部が配置され、前記空間の幅に対する前記調整部の幅の比率は、0.2以上0.9以下である。
【0135】
(付記18)好ましくは、付記11の処理装置であって、前記調整部は、前記排出部の少なくとも一部に対して設けられないよう構成される。
【0136】
(付記19)好ましくは、付記11の処理装置であって、前記反応管は、前記処理室が内部に形成される内管と、該内管の外側に同心円状に設けられる外管とを備え、前記調整部を前記内管に設けられる前記排出部の近傍に配置する台座を有する。
【0137】
(付記20)本開示の一態様によれば、一端にガス供給部、他端に排出部が設けられる処理室が内部に形成され、前記排出部から排出されるガスの流れを抑制するように構成されている調整部を備え、前記調整部によって、前記処理室における、前記ガス供給部から前記排出部までの前記ガスの流れが調整されることにより、前記排出部から排出されるガスの流れを均一にするよう構成されている反応管に基板を搬入する工程と、前記基板を処理する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0138】
以上、本開示の種々の典型的な実施形態を説明してきたが、本開示はそれらの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【0139】
例えば、本開示の実施形態における基板処理装置は、半導体を製造する半導体製造装置だけではなく、LCD装置の様なガラス基板を処理する装置でも適用可能である。また、基板に対する処理は、例えば、CVD、PVD、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理等を含む。また、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置等の各種基板処理装置にも適用可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0140】
1 処理炉
2 プロセスチューブ
6 ウェハ
7 処理室
13、13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g、13h 排気孔
47 排気路
100、100a、100b、100c、100d、100e フィン
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