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特開2022-151979レーダ装置、路側位置検出方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151979
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】レーダ装置、路側位置検出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/88 20060101AFI20221004BHJP
   G01S 17/88 20060101ALI20221004BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G01S13/88
G01S17/88
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054563
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】田島 秀一
(72)【発明者】
【氏名】音羽 智司
(72)【発明者】
【氏名】大谷 栄介
【テーマコード(参考)】
5H181
5J070
5J084
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5J070AB24
5J070AC01
5J070AC02
5J070AE20
5J070AF03
5J070AH31
5J070AK22
5J070AK40
5J084AA04
5J084AA05
5J084AB20
5J084AC02
5J084CA31
5J084EA04
5J084EA40
(57)【要約】
【課題】処理負荷を抑えつつ、道幅が局所的に変化する道路の路側位置を正確に検出できるレーダ装置、路側位置検出方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】レーダ装置1は、車両2に搭載されるレーダ装置1であって、電磁波の送受信により車両2の周囲に存在する物体を点群として検出するレーダアンテナ10と、車両2の周囲において車両2の進行方向Dに区画された複数の領域Zを設定する領域設定部23と、領域Zのそれぞれにおいて領域Z内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、領域Z毎の点群集合体を生成する点群集合体生成部24と、領域Z毎の点群集合体Gを用いて路側位置を検出する路側位置検出部25と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるレーダ装置であって、
電磁波の送受信により前記車両の周囲に存在する物体を点群として検出する点群検出部と、
前記車両の周囲において前記車両の進行方向に区画された複数の領域を設定する領域設定部と、
前記領域のそれぞれにおいて前記領域内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、前記領域毎の点群集合体を生成する点群集合体生成部と、
前記領域毎の前記点群集合体を用いて路側位置を検出する路側位置検出部と、を備えるレーダ装置。
【請求項2】
前記点群検出部から見た前記車両の進行方向に対する前記点群集合体の角度に基づいて、前記領域毎に前記点群集合体の位置を補正する点群集合体補正部を更に備える請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記点群検出部から見た前記車両の進行方向に対する前記路側位置の角度に基づいて、前記領域毎に前記路側位置を補正する路側位置補正部を更に備える請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記点群集合体生成部は、少なくとも前記点群間の距離に基づいて前記点群をグループ化する請求項1から3の何れか1項に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記点群集合体生成部は、前記領域を前記車両の車幅方向に分割し、分割した分割領域毎に前記点群をグループ化する請求項1又は3に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記車両の上位装置に前記路側位置の情報を出力する出力部をさらに備える請求項1から5の何れか1項に記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記点群検出部は、前記車両の中心に対して車幅方向右側に設置される右側点群検出部と、前記車両の中心に対して車幅方向左側に設置される左側点群検出部と、を有し、
前記路側位置検出部は、前記右側点群検出部によって検出される前記点群を用いて前記車幅方向右側の路側位置を検出し、
前記左側点群検出部によって検出される前記点群を用いて前記車幅方向左側の路側位置を検出する請求項1から6の何れか1項に記載のレーダ装置。
【請求項8】
電磁波の送受信により車両の周囲に存在する物体を点群として検出する点群検出工程と、
前記車両の周囲において前記車両の進行方向に区画された複数の領域を設定する領域設定工程と、
前記領域のそれぞれにおいて前記領域内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、前記領域毎の点群集合体を生成する点群集合体生成工程と、
前記領域毎の前記点群集合体を用いて路側位置を検出する路側位置検出工程と、を含む路側位置検出方法。
【請求項9】
コンピュータに、
電磁波の送受信により車両の周囲に存在する物体を点群として検出する点群検出工程と、
前記車両の周囲において前記車両の進行方向に区画された複数の領域を設定する領域設定工程と、
前記領域のそれぞれにおいて前記領域内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、前記領域毎の点群集合体を生成する点群集合体生成工程と、
前記領域毎の前記点群集合体を用いて路側位置を検出する路側位置検出工程と、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ装置、路側位置検出方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、車両の周囲に存在する物体を検出するレーダ装置が知られている。この種の技術が記載されているものとして例えば特許文献1~3がある。特許文献1には、レーダの反射波から得られ、距離が単調増加であるデータ同士をグループ化して形成された路側物群のデータに基づき道路端を認識する装置が記載されている。特許文献2には、レーダの反射電波に基づいて得られた停止物データの点集合を抽出し、点集合長さが一定長さ以上であると判定した点集合に基づいて道路の形状を認識する装置が記載されている。特許文献3には、電磁波が発信された時刻から反射波が受信された時刻までの時間差に基づき算出された距離を、時間差と反射波の受信強度との対応関係を示す受信強度分布の受信強度の極大値と、受信強度が所定閾値以上である時間幅とに基づいて補正する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-256600号公報
【特許文献2】特開2007-161162号公報
【特許文献3】特開2012-237625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、走行中の車両の運転者に何らかのトラブルが発生した場合に、車両の走行を自動制御して非常駐車帯に停止させるシステムがある。このシステムでは、車両が停車可能な非常駐車帯等の位置を正確に検出することが求められている。この点、特許文献1及び2に記載の技術は、通常速度で走行可能な位置を検出するためのものであり、道路が局所的に拡幅することによって形成される非常駐車帯等の位置を検出するには不向きである。特許文献3に記載の技術では、車両から物体までの距離の検出精度を向上させることができるものの、信号波形レベルの処理であり、処理負荷がかかる。
【0005】
本発明は、処理負荷を抑えつつ、道幅が局所的に変化する道路の路側位置を正確に検出できるレーダ装置、路側位置検出方法及びプログラム
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両に搭載されるレーダ装置であって、電磁波の送受信により前記車両の周囲に存在する物体を点群として検出する点群検出部と、前記車両の周囲において前記車両の進行方向に区画された複数の領域を設定する領域設定部と、前記領域のそれぞれにおいて前記領域内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、前記領域毎の点群集合体を生成する点群集合体生成部と、前記領域毎の前記点群集合体を用いて路側位置を検出する路側位置検出部と、を備えるレーダ装置に関する。
【0007】
前記点群検出部から見た前記車両の進行方向に対する前記点群集合体の角度に基づいて、前記領域毎に前記点群集合体の位置を補正する点群集合体補正部を更に備えていてもよい。
【0008】
前記点群検出部から見た前記車両の進行方向に対する前記路側位置の角度に基づいて、前記領域毎に前記路側位置を補正する路側位置補正部を更に備えていてもよい。
【0009】
前記点群集合体生成部は、少なくとも前記点群間の距離に基づいて前記点群をグループ化してもよい。
【0010】
前記点群集合体生成部は、前記領域を前記車両の車幅方向に分割し、分割した分割領域毎に前記点群をグループ化してもよい。
【0011】
前記車両の上位装置に前記路側位置の情報を出力する出力部をさらに備えていてもよい。
【0012】
前記点群検出部は、前記車両の中心に対して車幅方向右側に配置される右側点群検出部と、前記車両の中心に対して車幅方向左側に配置される左側点群検出部と、を有し、前記路側位置検出部は、前記右側点群検出部によって検出される前記点群を用いて前記車幅方向右側の路側位置を検出し、前記左側点群検出部によって検出される前記点群を用いて前記車幅方向左側の路側位置を検出してもよい。
【0013】
また本発明は、電磁波の送受信により車両の周囲に存在する物体を点群として検出する点群検出工程と、前記車両の周囲において前記車両の進行方向に区画された複数の領域を設定する領域設定工程と、前記領域のそれぞれにおいて前記領域内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、前記領域毎の点群集合体を生成する点群集合体生成工程と、前記領域毎の前記点群集合体を用いて路側位置を検出する路側位置検出工程と、を含む路側位置検出方法に関する。
【0014】
また本発明は、コンピュータに、電磁波の送受信により車両の周囲に存在する物体を点群として検出する点群検出工程と、前記車両の周囲において前記車両の進行方向に区画された複数の領域を設定する領域設定工程と、前記領域のそれぞれにおいて前記領域内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、前記領域毎の点群集合体を生成する点群集合体生成工程と、前記領域毎の前記点群集合体を用いて路側位置を検出する路側位置検出工程と、を実行させるためのプログラムに関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、処理負荷を抑えつつ、道幅が局所的に変化する道路の路側位置を正確に検出できるレーダ装置、路側位置検出方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るレーダ装置の機能ブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るレーダ装置による路側位置の検出状況の一例を示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るレーダ装置の点群集合体生成部によって生成された各点群集合体に含まれる点群の個数を示す図である。
図4】従来のレーダ装置により検出された点群と実際の路側位置の一例を示すグラフである。
図5】本発明の第1実施形態に係るレーダ装置による路側位置の検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1実施形態に係るレーダ装置を用いて車両の走行を自動停車させるためのECUによる処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係るレーダ装置の機能ブロック図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るレーダ装置による路側位置の検出状況の一例を示す平面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るレーダ装置による路側位置の検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものでない。また、以下の説明において参照する各図は、本開示の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は、各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものでない。
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るレーダ装置1について図1図3を参照しながら説明する。図1は、レーダ装置1の機能ブロック図である。図2は、道路3を走行する車両2に搭載されたレーダ装置1による路側位置の検出状況の一例を示す平面図である。図3は、レーダ装置1の点群集合体生成部24によって生成された各点群集合体に含まれる点群の個数を示す概略図である。
【0019】
レーダ装置1は、車両2に搭載され、車両2の周囲に存在する物体を検出するための装置である。図1に示すように、レーダ装置1は、点群検出部であるレーダアンテナ10と、制御部20と、記憶部30と、通信部40と、を備える。
【0020】
レーダアンテナ10は、電磁波の送受信により車両2の周囲に存在する物体を点群として検出する。具体的には、レーダアンテナ10は、電磁波を送信し、車両2の周囲の物体によって反射された反射波を受信する。この受信した反射波から物体に関する点群が検出される。レーダアンテナ10が検出する点群は、受信した反射波から得られる受信強度が極大の点だけでなく、例えばCFAR処理などが用いられ、距離方向あるいは周波数(速度)方向に複数の点を含むものである。
【0021】
ここで、受信強度が極大の点のみを用いて物体の位置を検出する方法もある。しかしこの方法では、例えば、レーダアンテナ10から見て同一角度方向において、車両2の近傍に弱反射物が存在し該弱反射物よりも奥側に強反射物が存在する場合、車両2の近傍の弱反射物が検出できないおそれがある。レーダアンテナ10は、受信強度が極大の点だけでなく、距離方向あるいは周波数方向に広がる点群を検出するので、該同一角度方向に複数の物体が存在する場合であっても最も近傍にある物体をより確実に検出できる。
【0022】
本実施形態では、レーダ装置1は、1つのレーダアンテナ10を有する。レーダ装置1は、車両2の前部左側に配置されており、主に、車両2の前部から見て中心Cに対して車幅方向左側Y1の前方から左方向に存在する点群を処理する。なお、車両2には複数のレーダ装置1が配置されていてもよく、例えば図2に示すように車両右前、車両左後、車両右後等に各レーダ装置1が配置されてもよい。この場合、車両2の前部右側に配置されたレーダ装置1は、主に車両2の前部から見て中心Cに対して車幅方向右側Y2の前方から右方向に存在する点群を処理する。車両2の後部左側に配置されたレーダ装置1は、主に車両2の後部から見て中心Cに対して車幅方向左側Y1の後方から左方向に存在する点群を処理する。車両2の後部右側に配置されたレーダ装置1は、主に車両2の後部から見て中心Cに対して車幅方向右側Y2の後方から右方向に存在する点群を処理する。本実施形態では、主に前部左側に配置されているレーダ装置1について説明する。なお、本明細書において車両2の中心Cとは、平面視において車両2の前後方向X及び車幅方向Yの中心を意味する。
【0023】
レーダアンテナ10が送受信する電磁波の周波数帯は、特に限定されないが、24GHz帯や76GHz帯など、許容された帯域幅が比較的狭く、必要十分な分解能が得られない周波数帯であるほど、本発明により高い効果を奏する。
【0024】
制御部20は、例えば、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入出力ポート等を有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。制御部20は、レーダ装置1の全体を制御する部分であり、各種プログラムをメモリ等の記憶領域から適宜読み出して実行することにより、本実施形態における各種機能を実現している。
【0025】
制御部20は、レーダアンテナ10の検出された点群を用いて路側位置を検出するための処理を行う。なお、本明細書において「路側位置」とは、道路3の左右両端に設けられた路側物4の位置を意味する。路側物4としては、例えば、道路3の幅方向の端部に形成されるガードレール等が挙げられる。
【0026】
制御部20は、図1に示すように、点群取得部21と、路側物候補識別部22と、領域設定部23と、点群集合体生成部24と、路側位置検出部25と、路側位置補正部26と、出力部27と、を備える。
【0027】
点群取得部21は、レーダアンテナ10によって検出された点群を取得する。
【0028】
路側物候補識別部22は、点群取得部21によって取得された点群から路側物4の点群の候補となる点群を識別する。路側物候補識別部22は、車両2と点群の相対速度や角度に基づいて路側物4の点群の候補を識別する。例えば、路側物候補識別部22は、車両2と点群の相対速度や角度に基づいて動体と静止物を分類し、静止物を路側物4の点群の候補として識別する。
【0029】
領域設定部23は、図2に示すように、車両2の周囲において車両2の進行方向Dに区画された複数の領域Zを設定する。具体的には、領域設定部23は、車両2の進行方向D及び車幅方向Yに所定の長さを有する領域Z1~ZN(Nは任意の整数値)を設定する。領域Zは、隣接する領域Z(例えば、領域Z1とZ2)が進行方向Dで互いに接するように設定される。
【0030】
領域設定部23は、さらに領域Z1~ZNを車両2の中心Cから車幅方向右側Y2の領域Z1~ZNと車幅方向左側Y1の領域Z1~ZNに分割する。例えば、領域設定部23は、中心Cを通り、車両2の進行方向Dに沿って延びる車両進行軸C1を基準として車幅方向Yの両側に分割してもよく、中心Cを通る車両2の予測走行線を基準として車幅方向Yの両側に分割してもよい。なお、予測走行線とは、車両2の予測進路を示す線である。また、図2では、車幅方向右側Y2の領域Zと車幅方向左側Y1の領域Zは互いに間隔を空けて設定されているが、互いに接するように設定してもよい。
【0031】
点群集合体生成部24は、領域設定部23によって設定された領域Z1~ZNのそれぞれにおいて領域Z1~ZN内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、領域Z1~ZN毎の点群集合体を生成する。本実施形態では、図3に示すように、点群集合体生成部24は、領域Zを車両2の車幅方向Yに分割し、分割した分割領域であるセルB毎に点群をグループ化する。図3に示すセルB内の数値は、点群集合体に含まれる点群の個数である。即ち、本実施形態の点群集合体生成部24は、ヒストグラムのような点群の分布密度の情報を生成する。なお、図3は車幅方向左側Y1の領域Z1~ZNにおける点群集合体を示している。
【0032】
路側位置検出部25は、領域Z毎の点群集合体を用いて路側位置を検出する。具体的には、路側位置検出部25は、領域Z毎に車幅方向Yの車両2側からセルBを走査し、点群の個数が所定の閾値を超えた最も車両2側の点群集合体を路側位置として検出する。例えば、図3に示す車幅方向左側Y1の領域Z1では、点群が8個存在する車両2側から5番目のセルBを路側位置として検出する。なお、路側位置検出部25は、セルBを1つずつ走査してもよく、複数をまとめて走査してもよい。また、路側位置検出部25は、現時点の1サイクルで検出された点群のみを用いて路側位置を検出してもよく、該サイクルよりも過去のサイクルで検出された点群も用いて平均化処理等を行うことで路側位置を検出してもよい。または、路側位置検出部25は、現時点の1サイクルで検出された点群のみを用いて点群集合体を生成し、該点群集合体とともに該サイクルよりも過去のサイクルで生成された点群集合体を用いて路側位置を検出してもよい。
【0033】
路側位置補正部26は、路側位置検出部25によって検出された路側位置を領域Z毎に補正する。路側位置補正部26は、補正量算出部261と位置補正部262を有する。
【0034】
補正量算出部261は、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対する路側位置の角度に基づいて、領域Z毎の路側位置を補正するための補正量Wを算出する。補正量算出部261は、例えば、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対する路側位置の角度θと補正係数Lwidthを用いた以下の式(1)により補正量Wを算出する。
【0035】
W=Lwidth×sinθ・・・(1)
【0036】
式(1)に示すように、補正量算出部261は、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対する路側位置の角度θに応じて異なる値を設定する。本実施形態では、補正量Wは、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対する路側位置の角度が90°に近づくほど増加し、0°に近づくほど減少する。即ち、補正量Wは、車両2の近傍の領域Z1の方が遠方の領域ZNよりも大きくなる。
【0037】
また、補正量算出部261は、領域Z毎に異なる補正係数Lwidthを設定してもよい。例えば、補正量算出部261は、進行方向Dにおいて車両2に近づくにつれて補正係数Lwidthを大きくしてもよい。
【0038】
また、補正量算出部261は、補正係数Lwidthを検出された路側位置に該当する点群集合体の持つ情報に基づいて算出してもよい。例えば、補正量算出部261は、検出された路側位置に該当する点群集合体の強度情報に比例して補正係数Lwidthを大きくしてもよい。
【0039】
位置補正部262は、図2に示すように、補正量算出部261によって算出された領域Z毎の補正量Wに基づいて領域Z毎に路側位置を補正する。図2では、路側位置補正部26による補正前の路側位置P1を破線で示し、路側位置補正部26による補正後の路側位置P2を二点鎖線で示している。
【0040】
ここで、従来のレーダ装置により検出された点群と実際の路側位置の一例について図4を参照しながら説明する。図4は、ガードレール等の路側物が連続して存在する場合の該路側物の実際の位置と、レーダ装置によって検出された点群の位置関係を示すグラフである。図4のX軸はレーダ装置のレーダアンテナから車両2の進行方向Dの距離を示し、Y軸はレーダアンテナから車両2の車幅方向Yの距離を示している。図4において、実線は実際の路側物の位置を示し、破線はレーダ装置によって検出された点群の位置を示している。
【0041】
図4に示すように、進行方向Dにおけるレーダ装置から路側物までの距離が近くなるにつれて、実際の路側物の位置と点群の位置のズレが大きくなる。具体的には、実際の路側物の位置よりも車両2側に点群が検出される。進行方向Dにおける車両2と路側物の距離が近い場合は、車幅方向Yにおけるレーダ装置からの距離が2m、6m、又は10mであっても、実際の路側物の位置と点群の位置のズレが大きくなる。
【0042】
本実施形態では、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対する路側位置の角度が大きくなるにつれて路側位置の補正量Wが大きくなるので、図2に示すように検出精度が低下する進行方向Dにおける車両2の近傍の路側位置をより確実に補正できる。
【0043】
出力部27は、車両2の上位装置であるECU(Electric Control Unit)50に路側位置の情報を出力する。本実施形態では、出力部27は、路側位置補正部26によって補正された路側位置の情報を出力する。
【0044】
記憶部30は、レーダアンテナ10によって検出された点群や、点群集合体生成部24によって生成された各セルB内の点群の個数、路側位置検出部25によって検出された路側位置、路側位置補正部26によって補正された路側位置等の情報を記憶する。
【0045】
通信部40は、ECU50等の車両2内の他の装置や外部装置との間で情報の送受信を行う。例えば、出力部27によって出力された路側位置の情報は、通信部40を介してECU50に送信される。そして、ECU50は、車両2の運転者の異常が検出された場合に、通信部40からの路側位置の情報を利用して車両2の走行を自動制御して非常駐車帯Eに車両2を停車させる。
【0046】
次に、レーダ装置1による路側位置の検出処理について図5を参照しながら説明する。図5は、レーダ装置1の制御部20による路側位置検出の処理の一例を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS11において、点群取得部21は、レーダアンテナ10による電磁波の送受信によって検出された点群を取得する。
【0048】
ステップS12において、路側物候補識別部22は、ステップS11で取得された点群と車両2の相対速度に基づいて点群の候補を識別する。具体的には、路側物候補識別部22は、通信部40を介して取得された車両2の速度と点群の速度を比較して動体と静止物を分類し、静止物を路側物4の点群の候補と識別する。路側物候補識別部22は、ステップS11で取得された点群が路側物4の点群の候補ではないと識別された場合(ステップS12ではNo)、処理をステップS11に戻す。一方、路側物候補識別部22は、ステップS11で取得された点群が路側物4の点群の候補として識別された場合(ステップS12ではYes)、処理をステップS13に進める。
【0049】
ステップS13において、領域設定部23は、車両2の周囲において車両2の進行方向Dに区画された複数の領域Zを設定する。具体的には、図2に示すように、領域設定部23は、車両2の進行方向Dに所定の長さを有する領域Z1~領域ZNが設定し、さらに領域Z1~領域ZNを車幅方向左側Y1と車幅方向右側Y2で区画する。なお、図2に示す例では、各領域の間隔(車両2の進行方向の長さ)は等しくなっているが、これに限定されない。例えば、車両2から近い領域ほど広い間隔であり、車両2から離れるほど狭い間隔になってもよいし、車両2から近い領域ほど狭い間隔であり、車両2から離れるほど広い間隔になってもよい。
【0050】
ステップS14において、点群集合体生成部24は、ステップS13で設定された領域Z1~ZNのそれぞれを車幅方向Yに分割し、分割したセルB毎に点群をグループ化する。即ち、点群集合体生成部24は、領域Z1~ZN毎に点群の分布密度の情報であるヒストグラムを生成する。
【0051】
ステップS15において、路側位置検出部25は、ステップS14で生成されたヒストグラムを用いて領域Z1~ZN毎の路側位置を検出する。具体的には、路側位置検出部25は、領域Z1~ZN毎に車幅方向Yの車両2側からセルBを走査し、点群の個数が所定の閾値を超えた最も車両2側の点群集合体を路側位置として検出する。
【0052】
ステップS16において、補正量算出部261は、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対するステップS15で検出された路側位置の角度に基づいて、領域Z1~ZN毎の路側位置を補正するための補正量Wを算出する。
【0053】
ステップS17において、位置補正部262は、ステップS16で算出された領域Z1~ZN毎の補正量Wに基づいて領域Z1~ZN毎に路側位置を補正する。
【0054】
ステップS18において、出力部27は、ステップS17で補正された路側位置の情報をECU50に出力する。出力部27が路側位置の情報を出力すると、制御部20は路側位置の検出の処理を完了する。
【0055】
次に、ECU50による車両2の自動停車の処理の一例について図6を参照しながら説明する。図6は、レーダ装置1を用いたECU50による車両2を自動停車させる処理の一例を示すフローチャートである。
【0056】
ステップS21において、ECU50は、車両2の運転者に何らかのトラブルが発生したか否かを判定する。ECU50は、車両2の運転者に何らかのトラブルが発生したと判定した場合(ステップS21ではYes)、処理をステップS22に進める。一方、ECU50は、ステップS21で車両2の運転者に何らかのトラブルが発生していないと判定した場合(ステップS21ではNo)、処理をステップS21に戻す。なお、何らかのトラブルとは、運転者が体調不良などにより運転の続行が困難になる状態をいう。
【0057】
ステップS22において、ECU50は、レーダ装置1に対して路側位置の情報の出力指令を送信する。なお、路側位置の情報を常時受信するシステムの場合は、本ステップは省略できる。
【0058】
ステップS23において、ECU50は、レーダ装置1から路側位置の情報を受信する。このとき、ECU50は、レーダ装置1から路側位置の情報以外に他車両等の他の物体の位置情報も受信する。
【0059】
ステップS24において、ECU50は、レーダ装置1から受信した路側位置や他車両等の位置の情報に基づいて車両2の走行を制御する。具体的には、ECU50は、路側位置の情報から非常駐車帯Eの位置を特定し、他車両との間隔を調整しながら必要に応じて車線変更を行い、減速しながら車両2の進行方向Dにおける近傍の非常駐車帯Eに向けて走行する。なお、路側位置や他車両等の位置をより正確に特定するため、レーダ装置1以外のセンサから取得した路側位置や他車両等の位置の情報を統合して用いても良い。
【0060】
ステップS25において、ECU50は、ステップS24で特定した非常駐車帯Eに車両2を停車させる。車両2の停車が完了すると、ECU50は車両2の自動停車の処理を完了する。
【0061】
(第2実施形態)
次に、上記第1実施形態の説明を援用しつつ、本発明の第2実施形態に係るレーダ装置1Aについて説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、主に相違点について説明する。
【0062】
図7は、レーダ装置1Aの機能ブロック図である。図8は、道路3を走行する車両2に搭載されたレーダ装置1Aによる路側位置の検出状況を示す平面図である。
【0063】
レーダ装置1Aは、車両2に搭載され、点群検出部であるレーダアンテナ10と、制御部20Aと、記憶部30と、通信部40と、を備える。図7に示すように、制御部20Aは、点群取得部21と、路側物候補識別部22と、領域設定部23と、点群集合体生成部24Aと、点群集合体補正部26Aと、路側位置検出部25Aと、出力部27Aと、を備える。
【0064】
本実施形態に係るレーダ装置1Aは、制御部20Aの構成がレーダ装置1とは異なる。具体的には、レーダ装置1Aは、点群集合体生成部24A、路側位置検出部25A、及び出力部27Aの構成や路側位置補正部26の代わりに点群集合体補正部26Aを備える点がレーダ装置1とは主に異なる。
【0065】
点群集合体生成部24Aは、領域設定部23によって設定された領域Z1~ZNのそれぞれにおいて領域Z1~ZN内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、領域Z1~ZN毎の点群集合体を生成する。本実施形態では、点群集合体生成部24Aは、少なくとも点群間の距離に基づいて点群をグループ化する。具体的には、点群集合体生成部24Aは、点群間の距離が所定の長さ以下の近接する点群をグループ化することで点群集合体を生成する。この結果、領域Z1~ZN毎に、図8において破線で示すような点群集合体が生成される。なお、各領域Z1~ZN内に存在する点群集合体の数は1つであっても複数であってもよい。
【0066】
点群集合体補正部26Aは、点群集合体生成部24Aによって生成された点群集合体の位置を領域Z毎に補正する。点群集合体補正部26Aは、補正量算出部261Aと位置補正部262Aを有する。
【0067】
補正量算出部261Aは、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対する点群集合体の角度に基づいて、領域Z毎に点群集合体の位置を補正するための補正量WAを算出する。
【0068】
補正量算出部261Aは、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対する路側位置の角度に応じて異なる値を設定する。本実施形態では、補正量WAは、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対する点群集合体の角度が90°に近づくほど増加し、0°に近づくほど減少する。即ち、補正量WAは、車両2の近傍の領域Z1の方が遠方の領域ZNよりも大きくなる。
【0069】
位置補正部262Aは、補正量算出部261Aによって算出された領域Z毎の補正量WAに基づいて領域Z毎に点群集合体の位置を補正する。図8では、点群集合体補正部26Aによる補正前の点群集合体の位置G1を破線で示し、点群集合体補正部26Aによる補正後の点群集合体の位置G2を実線で示している。点群集合体補正部26Aによる処理の結果、例えば、図8に示すように、特に車両2の近傍における点群集合体の位置と路側物4の位置のズレが補正される。
【0070】
路側位置検出部25Aは、領域Z毎の点群集合体を用いて路側位置を検出する。本実施形態では、路側位置検出部25Aは、点群集合体補正部26Aによって補正された点群集合体の位置情報を用いて領域Z毎の路側位置を検出する。路側位置検出部25Aは、1つの領域Zに複数の点群集合体が存在する場合、例えば、車両2に最も近い点群集合体を路側物4として路側位置を検出する。
【0071】
出力部27Aは、車両2のECU50に路側位置の情報を出力する。本実施形態では、出力部27Aは路側位置検出部25Aによって検出された路側位置の情報を出力する。
【0072】
次に、レーダ装置1Aによる路側位置の検出処理について図9を参照しながら説明する。図9は、レーダ装置1Aの制御部20Aによる路側位置検出の処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
ステップS31において、点群取得部21は、レーダアンテナ10による電磁波の送受信によって検出された点群を取得する。
【0074】
ステップS32において、路側物候補識別部22は、ステップS31で取得された点群と車両2の相対速度に基づいて点群の候補を識別する。具体的には、路側物候補識別部22は、通信部40を介して取得された車両2の速度と点群の速度を比較して動体と静止物を分類し、静止物を路側物4の点群の候補と識別する。路側物候補識別部22は、ステップS31で取得された点群が路側物4の点群の候補ではないと識別された場合(ステップS32ではNo)、処理をステップS31に戻す。一方、路側物候補識別部22は、ステップS31で取得された点群が路側物4の点群の候補として識別された場合(ステップS32ではYes)、処理をステップS33に進める。
【0075】
ステップS33において、領域設定部23は、車両2の周囲において車両2の進行方向Dに区画された複数の領域Zを設定する。具体的には、図2に示すように、領域設定部23は、車両2の進行方向Dに所定の長さを有する領域Z1~領域ZNが設定し、さらに領域Z1~領域ZNを車幅方向左側Y1と車幅方向右側Y2の領域Zに分割する。
【0076】
ステップS34において、点群集合体生成部24Aは、ステップS33で設定された領域Z1~ZN毎の点群集合体を生成する。具体的には、点群集合体生成部24Aは、点群間の距離が所定の長さ以下の近接する複数の点群を1つの点群集合体として生成する。
【0077】
ステップS35において、補正量算出部261Aは、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対するステップS34で生成された点群集合体の角度に基づいて、領域Z1~ZN毎の点群集合体の位置情報を補正するための補正量WAを算出する。
【0078】
ステップS36において、位置補正部262Aは、ステップS35で算出された領域Z1~ZN毎の補正量WAに基づいて領域Z1~ZN毎に点群集合体の位置を補正する。
【0079】
ステップS37において、路側位置検出部25Aは、ステップS36で補正された点群集合体の位置の情報を用いて領域Z毎の路側位置を検出する。具体的には、路側位置検出部25Aは、領域Z毎に補正された点群集合体のうち車両2に最も近い点群集合体を路側位置として検出する。
【0080】
ステップS38において、出力部27Aは、ステップS37で検出された路側位置の情報をECU50に出力する。出力部27Aが路側位置の情報を出力すると、制御部20は路側位置の検出の処理を完了する。
【0081】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0082】
本実施形態に係るレーダ装置1、1Aは、車両2に搭載されるレーダ装置1、1Aであって、電磁波の送受信により車両2の周囲に存在する物体を点群として検出するレーダアンテナ10と、車両2の周囲において車両2の進行方向Dに区画された複数の領域Zを設定する領域設定部23と、領域Zのそれぞれにおいて領域Z内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、領域Z毎の点群集合体を生成する点群集合体生成部24、24Aと、領域Z毎の点群集合体を用いて路側位置を検出する路側位置検出部25、25Aと、を備える。
【0083】
これにより、複数の点群をグループ化した点群集合体を用いて路側位置を検出するので、路側位置の検出にかかる処理負荷を抑制できる。また、路側位置検出部25、25Aは、車両2の進行方向Dに区画された複数の領域Z毎の点群集合体を用いて路側位置を検出する。このため、例えば、道路3が局所的に拡幅することで形成される非常駐車帯E等の位置を正確に検出できる。よって、路側位置の検出にかかる処理負荷を抑えつつ、道路3の道幅が局所的に変化する路側位置を正確に検出できる。このように、レーダ装置1、1Aは、例えば、運転者が失神等により運転不能な状態に陥った場合に、走行中の車両2を自動制御によって停車させるシステム等に対して好適に利用できる。
【0084】
また、本実施形態に係るレーダ装置1Aは、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対する点群集合体の角度に基づいて、領域Z毎に点群集合体の位置を補正する点群集合体補正部26Aを更に備える。
【0085】
これにより、車両2の進行方向Dに対する物体の角度によって該物体の検出精度が変化するレーダの特性を考慮して点群集合体の位置を補正できるので、車両2の近傍等の検出精度が低い路側位置をより正確に検出できる。
【0086】
また、本実施形態に係るレーダ装置1は、レーダアンテナ10から見た車両2の進行方向Dに対する路側位置の角度に基づいて、領域Z毎に路側位置を補正する路側位置補正部26を更に備える。
【0087】
これにより、車両2の進行方向Dに対する物体の角度によって該物体の検出精度が変化するレーダの特性を考慮して路側位置を補正できるので、車両2の近傍等の検出精度が低い路側位置をより正確な位置に補正できる。
【0088】
また、本実施形態に係るレーダ装置1Aにおいて、点群集合体生成部24Aは、少なくとも点群間の距離に基づいて点群をグループ化する。
【0089】
これにより、近接する複数の点群をまとめて処理できるので処理負荷を抑えつつ、点群として検出される路側物の位置をより正確に検出できる。
【0090】
また、本実施形態に係るレーダ装置1において、点群集合体生成部24は、領域Zを車両2の車幅方向Yに分割し、分割したセルB毎に点群をグループ化する。
【0091】
これにより、複数の点群をセルB毎にまとめて処理できるので処理負荷を抑えつつ、点群が示す路側位置をより正確に検出できる。
【0092】
また、本実施形態に係るレーダ装置1、1Aは、車両2のECU50に路側位置の情報を出力する出力部27、27Aをさらに備える。
【0093】
これにより、レーダ装置1、1Aによって道路3が局所的に拡幅することによって形成される路側位置のより正確な情報をECU50に出力するので、例えば、ECU50が該路側位置を用いて車両2を自動制御することによって、より確実に車両2を非常駐車帯E等に停車させることができる。
【0094】
また、本実施形態に係る路側位置検出方法は、電磁波の送受信により車両2の周囲に存在する物体を点群として検出する点群検出工程と、車両2の周囲において車両2の進行方向Dに区画された複数の領域Zを設定する領域設定工程と、領域Zのそれぞれにおいて領域Z内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、領域Z毎の点群集合体を生成する点群集合体生成工程と、領域Z毎の点群集合体を用いて路側位置を検出する路側位置検出工程と、を含む。
【0095】
これにより、複数の点群をグループ化した点群集合体を用いて路側位置を検出するので、路側位置の検出にかかる処理負荷を抑制できる。また、路側位置検出工程において、車両2の進行方向Dに区画された複数の領域Z毎の点群集合体を用いて路側位置を検出する。このため、例えば、道路3が局所的に拡幅することで形成される非常駐車帯E等の位置を正確に検出できる。よって、路側位置の検出にかかる処理負荷を抑えつつ、道路3の道幅が局所的に変化する路側位置を正確に検出できる。
【0096】
また、本実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、電磁波の送受信により車両の周囲に存在する物体を点群として検出する点群検出工程と、前記車両の周囲において前記車両の進行方向に区画された複数の領域を設定する領域設定工程と、前記領域のそれぞれにおいて前記領域内の点群を所定の基準に基づいてグループ化することで、前記領域毎の点群集合体を生成する点群集合体生成工程と、前記領域毎の前記点群集合体を用いて路側位置を検出する路側位置検出工程と、を実行させる。
【0097】
これにより、複数の点群をグループ化した点群集合体を用いて路側位置を検出するので、路側位置の検出にかかる処理負荷を抑制できる。また、路側位置検出工程において、車両2の進行方向Dに区画された複数の領域Z毎の点群集合体を用いて路側位置を検出する。このため、例えば、道路3が局所的に拡幅することで形成される非常駐車帯E等の位置を正確に検出できる。よって、路側位置の検出にかかる処理負荷を抑えつつ、道路3の道幅が局所的に変化する路側位置を正確に検出できる。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0099】
上記実施形態では、中心Cに対して車幅方向左側Y1と車幅方向右側Y2のそれぞれに存在する点群を異なるレーダ装置1、1Aによって処理していたが、必要に応じて同じレーダ装置1、1Aにより、中心Cに対して車幅方向左側Y1と車幅方向右側Y2に存在する点群をまとめて処理してもよく、中心Cに対して前後方向前側と前後方向後側に存在する点群をまとめて処理してもよい。例えば、レーダ装置1、1Aを車両2の前部の車幅方向Yの略中心や車両2の後部の車幅方向Yの略中心に配置して、左右両側に存在する点群の検出及び制御部20による路側位置の検出の処理をまとめて行ってもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、レーダ装置1、1Aは、1つのレーダアンテナ10を有していたが、その個数は特に限定されず、複数有していてもよい。例えば、レーダ装置1、1Aは、車両2の中心Cに対して車幅方向右側Y2に配置される右側レーダアンテナ(右側点群検出部)と、車両2の中心Cに対して車幅方向左側Y1に配置される左側レーダアンテナ(左側点群検出部)と、を有し、路側位置検出部25、25Aは、右側レーダアンテナによって検出される点群を用いて車幅方向右側Y2の路側位置を検出し、左側レーダアンテナによって検出される点群を用いて車幅方向左側Y1の路側位置を検出する構成であってもよい。
【0101】
この構成により、1つのレーダ装置1、1Aを用いた場合であっても、車両2が走行する道路3の左右に位置する路側物4の点群を左右別々のレーダアンテナによって検出し、道路3の左右に存在する点群から左右別々に路側位置を検出するので、より正確に車両2の道路3の左右両端の路側位置を検出できる。なお、複数のレーダアンテナ10によって検出される点群をまとめて処理することで左右両側の路側位置を検出してもよい。
【0102】
上記実施形態では、領域設定部23は、進行方向Dに区画された複数の領域Zを設定し、さらに領域Zを中心Cから車幅方向左側Y1と車幅方向右側Y2の領域Zに分割していたが、領域Zを中心Cから車幅方向左側Y1と車幅方向右側Y2の領域Zに分割しなくてもよい。そして、制御部20は、進行方向Dにのみ区画されたそれぞれの領域Zから道路3の左右両端の路側位置をまとめて検出してもよい。
【0103】
また、上記第1実施形態では点群集合体生成部24は領域設定部23によって設定された領域Zを車幅方向Yに分割したセルB毎に点群をグループ化したが、領域Zを車幅方向Yだけでなく、進行方向Dにさらに分割したセル毎に点群をグループ化してもよい。
【0104】
また、第2実施形態のレーダ装置1Aを、点群集合体生成部24Aによって点群集合体を生成した後に、点群集合体補正部26Aによる補正を行わずに補正していない点群集合体を用いて路側位置を検出し、検出された路側位置を路側位置補正部26によって補正する構成としてもよい。
【0105】
また上記実施形態ではレーダ装置1は路側位置補正部26を備え、レーダ装置1Aは点群集合体補正部26Aを備える構成であったが、路側位置補正部26や点群集合体補正部26Aを備えない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1、1A レーダ装置
2 車両
10 レーダアンテナ(点群検出部)
23 領域設定部
24、24A 点群集合体生成部
25、25A 路側位置検出部
G 点群集合体
X 進行方向
Z、Z1、Z2、Z3、Z4、ZN-1、ZN 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9