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特開2022-152027ヘッダー付散気装置及び膜分離活性汚泥装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152027
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】ヘッダー付散気装置及び膜分離活性汚泥装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/20 20060101AFI20221004BHJP
   C02F 3/12 20060101ALI20221004BHJP
   B01D 65/08 20060101ALI20221004BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
C02F3/20 D
C02F3/12 S
B01D65/08
C02F1/44 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054640
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】矢ノ根 勝行
(72)【発明者】
【氏名】李 胤制
(72)【発明者】
【氏名】大城 哲也
(72)【発明者】
【氏名】末吉 信也
【テーマコード(参考)】
4D006
4D028
4D029
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA77
4D006HA93
4D006KA01
4D006KA31
4D006KA44
4D006KB22
4D006MA01
4D006MA02
4D006MA03
4D006MA21
4D006MB11
4D006MC03
4D006MC11
4D006MC22
4D006MC29
4D006MC30
4D006MC62
4D006PA01
4D006PB08
4D006PB24
4D006PC62
4D028BC17
4D028BC24
4D028BD17
4D029AA01
4D029AB05
4D029DD01
(57)【要約】
【課題】ヘッダーから散気装置への汚泥の侵入を十分に抑制でき、運転と停止を繰り返しても安定して運転できるヘッダー付散気装置、及び膜分離活性汚泥装置を提供することを目的とする。
【解決手段】被処理水中に浸漬される散気装置及びヘッダー114を備えるヘッダー付散気装置において、ヘッダー114は、空気貯留部140内に空気を送り込む給気部142と、空気貯留部140内の空気を散気装置へと送り出す送気部144と、第一仕切り部146とを備え、送気口145は給気口142aよりも上側に位置し、第一仕切り部146は鉛直方向における給気口142aと送気口145の間に位置し、かつ給気口142a側から送気口145側に水平方向に延在し、第一仕切り部146の送気口145側端部が、少なくとも給気口142aに最も近い第一送気口145a下方に位置している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水中に浸漬される散気装置及びヘッダーを備え、
前記ヘッダーは、空気を貯留する空気貯留部と、前記空気貯留部内に空気を送り込む給気部と、前記空気貯留部内の空気が送り出される少なくとも1つの送気部と、第一仕切り部と、を備え、
前記空気貯留部の下部には被処理水流入口が形成され、
前記送気部と前記散気装置とが接続され、前記ヘッダーから前記送気部を通じて送られた空気が前記散気装置により散気され、
前記送気部の前記空気貯留部内に開口した送気口は、前記給気部の前記空気貯留部内に開口した給気口よりも上側に位置し、
前記第一仕切り部は、鉛直方向における前記給気口と前記送気口の間に位置し、かつ、前記給気口側から前記送気口側へ水平方向に延在し、前記第一仕切り部の送気口側端部が、少なくとも前記給気口に最も近い第一送気口下方に位置する、ヘッダー付散気装置。
【請求項2】
水平方向における前記給気口と前記送気口の間に位置し、かつ、前記第一仕切り部の前記給気口側端部から鉛直方向上方に延在している第二仕切り部をさらに備えている、請求項1に記載のヘッダー付散気装置。
【請求項3】
前記第二仕切り部の上側端部が前記空気貯留部の上側の内面に連結されている、請求項2に記載のヘッダー付散気装置。
【請求項4】
前記第一仕切り部の前記給気口側端部からその反対側端部までの長さが、前記散気装置から散気される空気量1Nm/minあたり250mm以上という条件を満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載のヘッダー付散気装置。
【請求項5】
前記散気装置が、前記送気部と接続され、水平方向に延びる水平管と、前記水平管の長さ方向に間隔をあけて下方に延びるように設けられ、前記水平管から空気が分配される複数の分配部とを備え、
前記分配部の前記水平管と反対側に開口部が形成され、
前記給気部の給気口の高さ方向の位置が、前記分配部の開口部の位置と同じか、それよりも上側である、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘッダー付散気装置。
【請求項6】
前記散気装置が、前記水平管の下方に設けられた複数のサイフォン式散気管をさらに備え、
前記分配部の開口部から前記サイフォン式散気管に空気が供給される、請求項5に記載のヘッダー付散気装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のヘッダー付散気装置と、活性汚泥を含む汚泥含有処理水を膜分離する膜モジュールとを備える膜分離活性汚泥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッダー付散気装置及び膜分離活性汚泥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業廃水や生活廃水は、廃水中に含まれる有機物等を取り除く処理が施されてから、工業用水として再利用されるか、もしくは河川等に放流される。工業廃水等の処理方法としては、例えば活性汚泥法が挙げられる。活性汚泥法は、曝気して好気的な微生物に有機物等を分解させる方法である。
【0003】
活性汚泥法による処理と、分離膜モジュールによる膜ろ過とを組み合わせた膜分離活性汚泥(MBR)法による処理も行われている。MBR法による処理では、膜ろ過を継続するに従って分離膜表面に有機物等が堆積すると、ろ過流量の低下や、膜間差圧の上昇が生じる。そこで、膜モジュールの下方に散気装置を設置して散気管から気泡を放出させ、気泡が膜表面に接触するときの衝撃、もしくは気泡の発生に伴う水流により膜自体を振動させることによって膜表面への有機物の堆積を抑制することが行われている。
【0004】
散気装置の運転停止時に散気管内の空気が逆流して汚泥を含む被処理水が散気管内に浸入すると、運転再開時に散気管内で汚泥が乾燥して硬化することがある。散気装置の運転と停止を繰り返し行うと、散気管内で乾燥汚泥が徐々に大きくなり、散気管が詰まるおそれがある。特許文献1には、散気管の上流側に、下端が解放されたチャンバ(ヘッダー)を被処理水に浸漬した状態で設け、ブロアと繋がった配管と、散気管と繋がった配管をそれぞれチャンバに挿入して接続した装置が開示されている。前記装置では、運転停止時にチャンバの下端開口部から被処理水が流入してチャンバ内の水面が上昇するが、水面上昇は配管の開口部が塞がれる位置で止まる。そのため、運転を停止している状態でも散気管内は空気が残留したままとなり、汚泥を含む被処理水が浸入することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2013/039626号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のような装置でも、散気管とヘッダーを繋ぐ配管を通じて散気管内に汚泥が侵入することがあり、運転と停止を繰り返すと散気管が汚泥で詰まることがある。
【0007】
本発明は、ヘッダーから散気装置への汚泥の侵入を十分に抑制でき、運転と停止を繰り返しても安定して運転できるヘッダー付散気装置、及び膜分離活性汚泥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]被処理水中に浸漬される散気装置及びヘッダーを備え、前記ヘッダーは、空気を貯留する空気貯留部と、前記空気貯留部内に空気を送り込む給気部と、前記空気貯留部内の空気が送り出される少なくとも1つの送気部と、第一仕切り部と、を備え、前記空気貯留部の下部には被処理水流入口が形成され、前記送気部と前記散気装置とが接続され、前記ヘッダーから前記送気部を通じて送られた空気が前記散気装置により散気され、前記送気部の前記空気貯留部内に開口した送気口は、前記給気部の前記空気貯留部内に開口した給気口よりも上側に位置し、前記第一仕切り部は、鉛直方向における前記給気口と前記送気口の間に位置し、かつ前記給気口側から前記送気口側へ水平方向に延在し、前記第一仕切り部の送気口側端部が、少なくとも前記給気口に最も近い第一送気口下方に位置する、ヘッダー付散気装置。
[2]水平方向における前記給気口と前記送気口の間に位置し、かつ、前記第一仕切り部の前記給気口側端部から鉛直方向上方に延在している第二仕切り部をさらに備えている、[1]に記載のヘッダー付散気装置。
[3]前記第二仕切り部の上側端部が前記空気貯留部の上側の内面に連結されている、[2]に記載のヘッダー付散気装置。
[4]前記第一仕切り部の前記給気口側端部からその反対側端部までの長さが、前記散気装置から散気される空気量1Nm/minあたり250mm以上という条件を満たす、[1]~[3]のいずれかに記載のヘッダー付散気装置。
[5]前記散気装置が、前記送気部と接続され、水平方向に延びる水平管と、前記水平管の長さ方向に間隔をあけて下方に延びるように設けられ、前記水平管から空気が分配される複数の分配部とを備え、前記分配部の前記水平管と反対側に開口部が形成され、前記給気部の給気口の高さ方向の位置が、前記分配部の開口部の位置と同じか、それよりも上側である、[1]~[4]のいずれかに記載のヘッダー付散気装置。
[6]前記散気装置が、前記水平管の下方に設けられた複数のサイフォン式散気管をさらに備え、前記分配部の開口部から前記サイフォン式散気管に空気が供給される、[5]に記載のヘッダー付散気装置。
[7][1]~[6]のいずれかに記載のヘッダー付散気装置と、活性汚泥を含む汚泥含有処理水を膜分離する膜モジュールとを備える膜分離活性汚泥装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ヘッダーから散気装置への汚泥の侵入を十分に抑制でき、運転と停止を繰り返しても安定して運転できるヘッダー付散気装置、及び膜分離活性汚泥装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の膜分離活性汚泥装置を備える水処理装置の一例を示した模式図である。
図2】実施形態のヘッダー付散気装置の一例を示した正面図である。
図3図2のヘッダー付散気装置の平面図である。
図4図3のヘッダー付散気装置のヘッダーのA-A断面図である。
図5図2のヘッダー付散気装置における1つの散気装置を示した平面図である。
図6図5のヘッダー付散気装置の散気装置のB-B断面図である。
図7】散気装置の作動機構を説明する断面図である。
図8】ヘッダーの作動機構を説明する断面図である。
図9】他の実施形態のヘッダー付散気装置のヘッダーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0012】
〔水処理装置〕
水処理装置1000は、図1に示すように、活性汚泥処理槽11と、活性汚泥処理槽11の後段に設けられた膜分離槽21と、膜分離槽21の後段に設けられた処理水槽41とを備えている。さらに、水処理装置1000は、図示を省略するが、活性汚泥処理槽11に流入する原水の流量を調整する流量調整槽、膜分離槽21から余剰汚泥を引く抜く引抜ポンプ、膜分離槽21に薬液や希釈水を送液する送液手段、及び処理水槽41から工場や河川等に処理水を放流する放流手段等を備えている。
【0013】
活性汚泥処理槽11は、活性汚泥処理を行うために活性汚泥を充填するものである。
活性汚泥処理槽11には、第一の流路12と第二の流路13とが接続されている。第一の流路12は、工場や家庭等から排出された原水を活性汚泥処理槽11に流入させる流路である。第二の流路13は、活性汚泥処理槽11から排出された汚泥含有処理水(被処理水)を膜分離槽21に流入させる流路である。
【0014】
活性汚泥処理槽11内には槽内を好気条件に維持するために曝気装置14が設置されている。曝気装置14は、活性汚泥処理槽11内で曝気する曝気管14aと、曝気管14aに空気を供給する導入管14bと、空気を送気するブロア14cとを備えている。曝気管14aとしては、ブロア14cから供給される空気を上方へ吐出できるものであれば特に限定されず、例えば、穴あきの単管やメンブレンタイプのものが挙げられる。
【0015】
膜分離槽21は、活性汚泥処理槽11から送られてきた活性汚泥及び生物処理水を含む汚泥含有処理水を溜めるものである。膜分離槽21は、本発明の一態様を適用した膜分離活性汚泥装置100(以下、「MBR装置100」と称することがある。)を備えている。MBR装置100については後述する。
【0016】
膜分離槽21と活性汚泥処理槽11には汚泥返送手段30が接続されている。汚泥返送手段30は、膜分離槽21から活性汚泥処理槽11に汚泥含有処理水の一部を返送するものである。汚泥返送手段30は第四の流路31を備えている。第四の流路31は、汚泥含有処理水の一部を膜分離槽21から排出し、活性汚泥処理槽11に流入させる流路である。第四の流路31にはポンプ31aが設置されている。これにより、膜分離槽21内の汚泥含有処理水の一部を膜分離槽21から活性汚泥処理槽11に返送することができる。
処理水槽41は、汚泥含有処理水を膜分離した後の処理水を貯留するものである。
【0017】
<膜分離活性汚泥装置>
MBR装置100は、複数の膜モジュール22と、それら膜モジュール22の下方に設けられたヘッダー付散気装置110と、を備えている。
【0018】
膜モジュール22は、活性汚泥を含む汚泥含有処理水を膜分離するものである。膜モジュール22は分離膜を備え、この分離膜により汚泥含有処理水が生物処理水と活性汚泥とに固液分離(膜分離)される。分離膜としては、分離能を有するものであれば特に限定されず、例えば、中空糸膜、平膜、チューブラ膜、モノリス型膜等が挙げられる。これらの中でも、容積充填率が高いことから、中空糸膜が好ましい。
【0019】
分離膜として中空糸膜を用いる場合、その材質としては、例えば、セルロース、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデンフロライド(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)を例示できる。これらの中でも、中空糸膜の材質としては、耐薬品性やpH変化に強い点から、PVDF、PTFEが好ましい。分離膜としてモノリス型膜を用いる場合は、セラミック製の膜を用いることが好ましい。
分離膜に形成される微細孔の平均孔径としては、一般に限外分離膜と呼ばれる膜で0.001~0.1μm程度であり、一般に精密分離膜と呼ばれる膜で0.1~1μm程度である。本実施形態においては平均孔径が前記範囲内である分離膜を用いることが好ましい。
【0020】
膜モジュール22には、第三の流路33が接続されている。第三の流路33は、分離膜を透過した処理水を膜分離槽21から排出し、処理水槽41に流入させる流路である。第三の流路33にはポンプ33aが設置されている。これにより、膜モジュール22の分離膜を透過した処理水を膜分離槽21から排出できるようになっている。
【0021】
[ヘッダー付散気装置]
ヘッダー付散気装置110は、図1図3に示すように、散気装置112と、散気装置112の上流側に設けられたヘッダー114とを備えている。この例では、1個のヘッダー114に対して10個の散気装置112が接続されている。1個のヘッダー114に接続する散気装置112の数は、10個には限定されず、9個以下であってもよく、11個以上であってもよい。1個のヘッダー114に接続する散気装置112の数は、例えば5~20個とすることができる。散気装置112及びヘッダー114は、膜分離槽21内において、いずれも汚泥含有処理水(被処理水)中に浸漬された状態で設けられる。
【0022】
(散気装置)
図5に示すように、各々の散気装置112は、水平方向に延びる水平管116と、水平管116の長さ方向に間隔をあけて設けられ、水平管116から空気が分配される3つの分配部118と、水平方向に一列に並んで配置された6つのサイフォン式散気管120とを備えている。
【0023】
各分配部118は、接続管部119を介して水平管116と接続され、水平管116から下方に延びるように設けられている。6つのサイフォン式散気管120は、水平管116の下側に、それぞれの分配部118の両側に2つのサイフォン式散気管120が位置するように、水平管116の長さ方向に並んで設けられている。
【0024】
サイフォン式散気管120は、複数の板状部材を組み合わせてなる箱状の筐体である。サイフォン式散気管120は、図2図3図5図7に示すように、上板部120Aと、2枚の側板部120Bと、2枚の側板部120Cと、底板部120Dと、第一仕切壁122と、第二仕切壁124と、を備えている。
【0025】
各サイフォン式散気管120を形成する2枚の側板部120Bと2枚の側板部120Cは、それぞれ矩形状であり、側板部120Bが側板部120Cよりも幅が広くなっている。各サイフォン式散気管120を形成する2枚の側板部120Bと2枚の側板部120Cは、側板部120Bの面同士が対向し、側板部120Cの面同士が対向するように、それぞれ上板部120Aの下面から下方に延びるように設けられている。2枚の側板部120Bと2枚の側板部120Cとで、断面長方形状の四角筒が形成されている。各サイフォン式散気管120においては、側板部120Bの面方向が水平管116の長さ方向と平行になっている。
【0026】
散気装置112では、6つのサイフォン式散気管120の上板部120Aが一枚の平板で一体に形成され、6つのサイフォン式散気管120の両側の側板部120Bがそれぞれ一枚の平板で一体に形成されている。6つのサイフォン式散気管120は、隣り合うサイフォン式散気管120の互いの側板部120Cの面が向かい合うように連なっている。
【0027】
平面視で各上板部120Aにおける水平管116から遠い側の側板部120B寄りの部分には、その側板部120Bに沿うように延びる長方形状の散気穴126が形成されている。
底板部120Dは、散気穴126が形成されている側の側板部120Bの下端寄りの部分から内側に延びるように設けられている。側板部120Cからの底板部120Dの面方向の長さは、上板部120Aよりも短くなっている。底板部120Dにより、2枚の側板部120Bと2枚の側板部120Cで形成された四角筒の下方の開口部分のほぼ半分が塞がれ、該開口部分における底板部120Dで塞がれていない部分が処理水流入部127となっている。
【0028】
第一仕切壁122は、正面視形状が矩形状であり、散気穴126を挟んで側板部120Bと互いの面が向かい合うようにして、上板部120Aから下方に延びるように設けられている。第一仕切壁122の下端122aは底板部120Dから離間している。処理水流入部127は、第一仕切壁122の下端122aよりも下方に位置している。
【0029】
第二仕切壁124は、底板部120Dにおける第一仕切壁122の散気穴126とは反対側に位置する端部から上方に延びるように設けられている。第一仕切壁122と第二仕切壁124とは互いの面が対向している。第二仕切壁124の上端124aは上板部120Aから離間している。第二仕切壁124の上端124aは、第一仕切壁122の下端122aよりも上方に位置している。
【0030】
サイフォン式散気管120の内部には、サイフォン室128が形成されている。サイフォン室128は、空気を貯留する部分である。サイフォン室128は、サイフォン式散気管120内の第一仕切壁122よりも処理水流入部127側における、第二仕切壁124の上端124aから第一仕切壁122の下端122aまでの高さを有する空間を指す。サイフォン室128は、第二仕切壁124により第一サイフォン室128Aと第二サイフォン室128Bとに区切られている。
【0031】
第一サイフォン室128Aの上方、及び第二サイフォン室128Bの上方は、連通部125で連通されている。サイフォン式散気管120内の第二サイフォン室128Bから散気穴126までの部分が経路123となっている。サイフォン式散気管120においては、処理水流入部127から散気穴126へ向かう被処理水の流れを想定したときの処理水流入部127側を「上流」とし、散気穴126側を「下流」とする。
【0032】
サイフォン式散気管120の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリカーボネート樹脂(PC)、変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ポリフェニレンスルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリスルフォン樹脂(PSf)、ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)を例示できる。サイフォン式散気管120の材質は、1種であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。また、ステンレス(SUS304系、SUS316系)等の金属製であってもよい。
【0033】
水平管116の流路断面積は、接続管部119の流路断面積よりも大きい。水平管116の形状は、特に限定されず、円筒状、多角筒状等が挙げられる。例えば、水平管116の断面形状が円形である場合、水平管116の内径は、10mm以上60mm以下が好ましい。
【0034】
水平管116の流路断面積は、100mm以上が好ましく、300mm以上2000mm以下がより好ましい。水平管116の流路断面積が前記範囲の下限値以上であれば、水平管116内が汚泥で閉塞しにくい。水平管116の流路断面積が前記範囲の上限値以下であれば、散気装置112がコンパクトとなるため好ましい。
なお、水平管116の流路断面積は、水平管116の長さ方向に垂直な方向(鉛直方向)に切断した流路断面の面積である。
【0035】
水平管116としては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、PTFE、PVDF、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂、ナイロン、ポリウレタン等の樹脂製の配管やチューブ、ステンレス(SUS304系、SUS316系)等の金属製配管を例示できる。水平管116の材質は、1種であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0036】
この例の分配部118は、両隣のサイフォン式散気管120における対向する2枚の側板部120Cと、それら側板部120Cの端部同士を繋ぐように設けられた2枚の側板部130と、2枚の側板部120C及び2枚の側板部130からなる四角筒の上側の開口端を塞ぐように設けられた天板部132とで形成された筒状の部分である。この例の分配部118は、両隣のサイフォン式散気管120と側板部120Cを共有している。また、分配部118を形成する一対の側板部130及び天板部132は、隣り合うサイフォン式散気管120と一体になっている。
【0037】
分配部118の水平管116と反対側には開口部118aが形成されている。開口部118aは、分配部118の下端の開口端と、分配部118におけるサイフォン式散気管120と共有している側板部120Cの下端部に形成された切欠部134とからなる。分配部118の開口部118aは、サイフォン式散気管120に空気を供給する空気供給口として機能する。
【0038】
分配部118の材質は、特に限定されず、例えば、サイフォン式散気管120で挙げたものと同じものが挙げられる。分配部118の材質は、1種であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0039】
分配部118の流路断面積は、300mm以上が好ましく、500mm以上3000mm以下がより好ましい。分配部118の流路断面積が前記範囲の下限値以上であれば、分配部118内が汚泥で閉塞しにくい。分配部118の流路断面積が前記範囲の上限値以下であれば、散気装置112がコンパクトとなるため好ましい。なお、分配部118の流路断面積は、分配部118内の流路の長さ方向に垂直な方向(水平方向)に切断した流路断面の面積である。
【0040】
水平管116と分配部118とは、水平管116内の流路と分配部118内の流路が繋がるように、分配部118よりも流路断面積が小さい接続管部119を介して接続されている。接続管部119の形状は、特に限定されず、円筒状、多角筒状等が挙げられる。
【0041】
接続管部119の流路断面積は、20mm以上350mm以下が好ましく、30mm以上150mm以下がより好ましい。接続管部119の流路断面積が前記範囲の下限値以上であれば、接続管部119内が汚泥で閉塞しにくい。接続管部119の流路断面積が前記範囲の上限値以下であれば、各サイフォン式散気管120に空気が均等に分配されやすくなる。なお、接続管部119の流路断面積は、接続管部119内の流路の長さ方向に垂直な方向に切断した流路断面の面積である。
【0042】
接続管部119の材質は、特に限定されず、例えば、水平管116で挙げたものと同じものが挙げられる。接続管部119の材質は、1種であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0043】
散気装置112においては、このように交互に並ぶサイフォン式散気管120と各分配部118が一体になっている。このような態様の散気装置112は、分配部118の開口部118aの上下方向の位置合わせや、各サイフォン式散気管120の上下方向の位置合わせが不要になるため、各サイフォン式散気管120から均等に散気させることが容易になる。また、散気装置112の組み立て作業が容易になるうえ、部品点数が減らせるためコスト的にも有利である。
【0044】
散気装置112では、各サイフォン式散気管120が水平管116の下側に設けられている。水平管116が各サイフォン式散気管120よりも上方に位置することで、各分配部118の開口部118aから各サイフォン式散気管120に均等に空気を供給できるため、各サイフォン式散気管120から均等に散気させることができる。また、水平管の上側に部材が存在する散気装置を用いる場合に比べて、MBR装置100の高さをより低くできるため、MBR装置100がコンパクトになる。
【0045】
散気装置112は、膜分離槽21を平面視したときに、膜モジュール22における隣り合う分離膜の間と各サイフォン式散気管120の散気穴126とが重なり合う位置に設けられていることが好ましい。なお、散気装置112は、膜分離槽21を平面視したときに、各サイフォン式散気管120の散気穴126が膜モジュール22と交差するように設けられていてもよい。
【0046】
(ヘッダー)
ヘッダー114は、図2図4に示すように、空気貯留部140と、給気部142と、送気部144と、第一仕切り部146と、第二仕切り部148と、を備えている。
空気貯留部140は、空気を貯留する部分であり、筒状の胴部141Aと、胴部141Aの上側の開口端を閉じるように設けられた上板部141Bとを備えている。空気貯留部140における胴部141Aの下端側は開口している。すなわち、空気貯留部140は、下部に被処理水流入口140aが形成されている。
【0047】
空気貯留部140を水平方向に切断したときの空気の貯留部分の断面積は、接続する散気装置112の数に応じて適宜設定でき、例えば、10,000mm以上、600,000mm以下とすることができる。
【0048】
この例の空気貯留部140の平面視形状は長方形状である。胴部141Aは、互いの面同士が向かい合うように長手方向に平行して延びる第一側壁141a及び第二側壁141bと、互いの面同士が向かい合うように短手方向に平行に延在する第三側壁141c及び第四側壁141dと、を有している。
【0049】
給気部142は筒状であり、上板部141Bにおける長手方向の第三側壁141c側の端部を貫通するように設けられている。給気部142の空気貯留部140内の先端部分は第四側壁141d側に向かって屈曲しており、給気口142aは第四側壁141d側を向いている。給気部142は、配管113を介してブロア115と接続されている。これにより、ブロア115から配管113を通じて送られてきた空気が給気部142から空気貯留部140内に送り込まれるようになっている。
【0050】
給気部142の形状は、特に限定されず、円筒状、多角筒状等が挙げられる。給気部142の流路断面積は、2000mm以上が好ましく、3000mm以上8000mm以下がより好ましい。給気部142の流路断面積が前記範囲の下限値以上であれば、給気部142が汚泥で閉塞しにくい。給気部142の流路断面積が前記範囲の上限値以下であれば、散気装置112がコンパクトとなるため好ましい。なお、給気部142の流路断面積は、給気部142内の流路の長さ方向に垂直な方向に切断した流路断面の面積である。
【0051】
給気部142の給気口142aの高さ方向の位置は、散気装置112の分配部118の開口部118aの位置と同じか、それよりも上側であることが好ましい。これにより、運転を停止した際に空気貯留部140内における水面の上昇が給気部142の給気口142aが被処理水で塞がったところで止まるため、ヘッダー114から散気装置112への汚泥の侵入を抑制する効果が十分に得られやすくなる。なお、本発明における給気部142の給気口142aと分配部118の開口部118aの高さ方向の位置関係は、給気部142の給気口142aが下向きに開口していない場合、給気口142aの上端を基準とする。
【0052】
給気部142の給気口142aと分配部118の開口部118aとの高さの差は、5mm以上200mm以下が好ましく、10mm以上180mm以下がより好ましい。前記差が前記範囲の下限値以上であれば、ヘッダー114から散気装置112に汚泥が侵入することを抑制しやすい。前記差が前記範囲の上限値以下であれば、散気装置112がコンパクトとなるため好ましい。
【0053】
送気部144は、空気貯留部140内の空気が送り出される部分である。この例では10個の送気部144が、第一側壁141aの上部における給気部142よりも第四側壁141d側に水平方向に等間隔に設けられている。なお、送気部144を複数設ける場合、それら送気部144を水平方向に等間隔に設ける態様には限定されない。送気部144の数はヘッダー114に接続する散気装置112の数に応じて適宜設定すればよく、例えば5~20個とすることができる。
【0054】
送気部144の空気貯留部内140に開口した各々の送気口145は、給気部142の空気貯留部140内に開口した給気口142aよりも上側に位置している。送気部144には散気装置112の水平管116が接続されている。これにより、空気貯留部140に貯留されていた空気は送気部144から散気装置112の水平管116へと送られるようになっている。送気部144に散気装置112の水平管116が直接接続される態様はヘッダー付散気装置110をコンパクト化しやすい点で有利である。
【0055】
第一仕切り部146は平板状の部材であり、空気貯留部140内の鉛直方向における給気口142aと送気口145の間に位置している。また、第一仕切り部146は給気口142a側から送気口145側に水平方向に延在し、第一仕切り部146の送気口145側端部が、少なくとも給気口142aに最も近い第一送気口145a下方に位置している。 ここで、「第一仕切り部の送気口側端部が、少なくとも給気口に最も近い第一送気口下方に位置している」とは、第一仕切り部が、底面視で第一送気口が遮られるように延在していることを意味する。
この例の第一仕切り部146は、第一送気口145aの水平方向の給気口142a側から、第三送気口145cと第四送気口145dの間まで延在している。すなわち、第一仕切り部146は、底面視で第一送気口145a、第二送気口145b及び第三送気口145cが遮られるように延在している。給気口142aと送気口145の間に第一仕切り部146が設けられていることで、給気部142の給気口142aから供給される空気によって飛び散った汚泥が送気口145から散気装置112の水平管116に侵入することが抑制される。
第一仕切り部146の厚みは、適宜設定でき、例えば、2mm以上10mm以下とすることができる。
【0056】
第一仕切り部146が延在する方向と鉛直方向とがなす角度θ(図4)は、90°以上180°未満が好ましい。角度θが前記下限値以上であれば、第一仕切り部146上に汚泥が蓄積することを抑制しやすい。給気部142の給気口142aから供給される空気が第一仕切り部146によって遮られにくく、すべての送気口145まで均等に空気が到達しやすい点では、角度θは130°以下がより好ましく、120°以下がより好ましい。
【0057】
第一仕切り部146の給気口142a側端部からその反対側端部までの長さL1(図4)は、散気装置112から散気される空気量1Nm/minあたり250mm以上という条件を満たす。ただし、「散気装置112から散気される空気量」とは、ヘッダー114に複数の散気装置112が接続される場合、すべての散気装置112から散気される合計の空気量を意味するものとする。第一仕切り部146の長さL1が前記条件を満たせば、給気部142の給気口142aから供給される空気によって飛び散った汚泥が送気口145から散気装置112の水平管116へと侵入することが抑制されやすい。各々の散気装置112からの散気の均一性に優れる点では、第一仕切り部146の長さL1は、散気装置112から散気される空気量1Nm/minあたり400mm以下という条件を満たすことが好ましい。
【0058】
第二仕切り部148は、平板状の部材であり、水平方向における給気口142aと送気口145の間に位置している。また、第二仕切り部148は第一仕切り部146の給気口142a側端部から鉛直方向上方に延在している。第二仕切り部148が設けられていることで、汚泥が送気口145から散気装置112の水平管116へと侵入することがさらに抑制されやすくなる。
【0059】
この例の第二仕切り部148は上板部141Bから垂下するように設けられている。すなわち第二仕切り部148の上側端部は空気貯留部140の上側の内面に連結されている。これにより、給気部142の給気口142aから供給される空気によって飛び散った汚泥が送気口145から散気装置112の水平管116へと侵入することがさらに抑制されやすくなる。なお、本発明の効果を損なわない範囲であれば、第二仕切り部148の上側端部は空気貯留部140の上側の内面に連結されていなくてもよい。
【0060】
第二仕切り部148の厚みは、適宜設定でき、例えば、2mm以上10mm以下とすることができる。
第二仕切り部148の鉛直方向に対する角度φは、30°以下が好ましく、15°以下がより好ましい。角度φが前記上限値以下であれば、ヘッダー114から散気装置112に汚泥が侵入することを抑制する効果が得られやすい。
【0061】
以下、ヘッダー付散気装置110の作用機構について説明する。
運転開始前においては、図7(a)に示すように、サイフォン式散気管120内におけるサイフォン室128、連通部125及び経路123は汚泥含有処理水B(被処理水)で満たされている。ブロア115から配管113を通じて送気し、図8(a)に示すように、給気部142から空気貯留部140内に空気Aを送り込む。ヘッダー114では空気貯留部140内で空気Aが一時的に貯留され、水面S1を給気部142の給気口142aよりも下方まで押し下げつつ、空気Aの一部が各々の送気口145から各々の散気装置112の水平管116へと送られる。運転開始時には給気部142の給気口142aから供給される空気Aによって汚泥が飛び散るが、第一仕切り部146及び第二仕切り部148が設けられていることで、飛び散った汚泥が送気口145から散気装置112の水平管116へと侵入することが抑制される。そのため、散気装置112内で乾燥汚泥が大きくなって詰まることが抑制される。
【0062】
各散気装置112では、水平管116に送られた空気は各分配部118に分配され、分配部118の開口部118aを通じて処理水流入部127から各サイフォン式散気管120に送られる。このようにサイフォン式散気管120に空気Aが連続的に供給されると、図7(b)に示すように、サイフォン室128内の汚泥含有処理水Bが散気穴126や処理水流入部127から押し出されて、サイフォン室128の液面S2が次第に降下する。
【0063】
さらに空気Aを供給し続け、液面S2の高さが第一仕切壁122の下端122aよりも低くなると、図7(c)に示すように、経路123内と第一サイフォン室128Aとの2つの気液界面高さの差によって空気Aが経路123に移動し、散気穴126から一挙に放出されて気泡200が形成される。散気穴126から散気されると、図7(d)に示すように、処理水流入部127から汚泥含有処理水Bが流入することで、液面S2の高さは第二仕切壁124の上端124a付近まで上昇する。そして、図7(b)から図7(d)までの状態が繰り返し行われることで、間欠的に曝気される。
【0064】
運転を停止すると、通常はブロア115近傍の気密性が高くないことから、被処理水流入口140aから汚泥含有処理水Bが流入して空気貯留部140内の空気Aが給気部142から逆流する。そして、図8(b)に示すように、空気貯留部140内の水面S1が給気部142の給気口142aが塞がれる位置まで上昇する。ヘッダー114においては、運転停止時でも水面S1の上昇は給気部142の給気口142aが塞がれる位置で停止し、送気部144の送気口145が水面S1から離れた状態となる。このため、運転の停止時汚泥が送気口145から散気装置112に侵入することが抑制される。
【0065】
〔水処理方法〕
以下、前記した水処理装置1000を用いた水処理方法について説明する。本実施形態の水処理方法は、活性汚泥を用いて原水を活性汚泥処理する活性汚泥処理工程と、活性汚泥処理工程で得られた汚泥含有処理水を膜分離する膜分離工程と、を有している。
【0066】
(活性汚泥処理工程)
水処理装置1000による水処理方法では、工場や家庭等から排出された工業廃水や生活廃水等の廃水(原水)を第一の流路12を通じて活性汚泥処理槽11に流入させ、活性汚泥処理槽11で活性汚泥処理し、生物処理水とする。処理後の汚泥含有処理水(被処理水)は、第二の流路13を通じて膜分離槽21に流入させる。
【0067】
(膜分離工程)
膜分離槽21では、MBR装置100の膜モジュール22により、活性汚泥及び生物処理水を含む汚泥含有処理水(被処理水)を膜分離処理する。膜分離処理中においては、ヘッダー付散気装置110により曝気を行う。汚泥含有処理水Bの一部は、汚泥返送手段30によって膜分離槽21から活性汚泥処理槽11に返送する。膜モジュール22により汚泥含有処理水Bを膜分離した後の処理水は、第三の流路33を通じて処理水槽41に送って貯留する。処理水槽41で貯留する処理水は、工業用水として再利用したり、河川等に放流したりすることができる。
【0068】
なお、水処理方法は、活性汚泥処理槽11の中にMBR装置100が設けられた水処理装置を用いて、活性汚泥処理工程と膜分離工程とを同時に行ってもよい。
【0069】
以上説明したように、本発明では、空気貯留部内に第一仕切り部が設けられたヘッダーを備えるヘッダー付散気装置を用いる。これにより、運転と停止を繰り返してもヘッダーから散気装置に汚泥が侵入することが抑制されるため、より安定して運転を行うことができる。また、本発明のヘッダー付散気装置は、ヘッダーを備えているため、運転停止時において散気装置内に空気が溜まったままの状態となるため、散気孔から散気装置内に汚泥が侵入して詰まることも抑制される。
【0070】
なお、本発明のヘッダー付散気装置は、前記したヘッダー付散気装置110には限定されない。例えば、図9に示すように、第二仕切り部148を備えずに第一仕切り部146だけを備える以外はヘッダー114と同様の態様のヘッダー114Aを備えるヘッダー付散気装置であってもよい。
【0071】
ヘッダー付散気装置が備える散気装置は、前記した散気装置112には限定されない。散気装置におけるサイフォン式散気管の数は、6つには限定されず、膜モジュールの大きさ、枚数に応じて適宜設定でき、5つ以下であってもよく、7つ以上であってもよい。
散気装置112は、1つの分配部118から2つのサイフォン式散気管120に空気が供給されるものであったが、1つの分配部から1つのサイフォン式散気管に空気が供給されるものであってもよく、1つの分配部から周囲の3つ以上のサイフォン式散気管に空気が供給されるものであってもよい。分配部118の端部に切欠部134が形成されていないものであってもよい。
【0072】
散気装置は、サイフォン式散気管を備えるものには限定されない。例えば、散気装置112において、サイフォン式散気管120を有さず、分配部118の開口部118aから散気する散気装置であってもよい。水平管に複数の散気孔が形成された散気装置であってもよい。平面視で水平管と直交する方向に延びる分配管が接続管部を介して水平管と接続され、前記分配管に複数の散気孔が形成された散気装置であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
100…膜分離活性汚泥装置、110…ヘッダー付散気装置、112…散気装置、114,114A…ヘッダー、115…ブロア、116…水平管、118…分配部、118a…開口部、119…接続管部、120…サイフォン式散気管、140…空気貯留部、140a…被処理水流入口、142…給気部、142a…給気口、144…送気部、145…送気口、145a…第一送気口、146…第一仕切り部、148…第二仕切り部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9