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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152277
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】縫縮デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20221004BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
A61B17/32 528
A61B17/22 528
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054987
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】000153823
【氏名又は名称】株式会社八光
(71)【出願人】
【識別番号】521131627
【氏名又は名称】滝沢 耕平
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 清一
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 耕平
(72)【発明者】
【氏名】吾妻 聖臣
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛史
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE28
4C160FF19
4C160MM43
4C160NN04
4C160NN09
(57)【要約】
【課題】病変部の切離面の周囲にある体内組織を縫縮する際の操作性を改善することができる縫縮デバイスを提供する。
【解決手段】縫縮デバイスは、ループ線と、ケーブルと、シースとを備えている。ループ線は、第1端と、第1端の反対側の端である第2端とを有する。ループ線は、第1端と第2端との間にあるループ線の互いに離れた2つの部分をそれぞれ始点及び終点とする環状のループ部を有する。ケーブルは、少なくとも第1端に取り付けられている。シースは、第3端と、第3端の反対側の端である第4端とを有する。シース内には、第3端側からループ部が突出するとともに第4端側からケーブルが部分的に突出するように、ループ線及びケーブルが配置されている。ループ部は、ケーブルを第4端側から引き出すことにより縮径される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ線と、
ケーブルと、
シースとを備え、
前記ループ線は、第1端と、前記第1端の反対側の端である第2端とを有し、
前記ループ線は、前記第1端と前記第2端との間にある前記ループ線の互いに離れた2つの部分をそれぞれ始点及び終点とする環状のループ部を有し、
前記ケーブルは、少なくとも前記第1端に取り付けられており、
前記シースは、第3端と、前記第3端の反対側の端である第4端とを有し、
前記シース内には、前記第3端側から前記ループ部が突出するとともに前記第4端側から前記ケーブルが部分的に突出するように、前記ループ線及び前記ケーブルが配置されており、
前記ループ部は、前記ケーブルを前記第4端側から引き出すことにより縮径される、縫縮デバイス。
【請求項2】
ストッパをさらに備え、
前記第1端と前記第2端との間にある前記ループ線の互いに離れた2つの部分に前記ストッパが摺動可能に取り付けられることにより、前記ループ線には、前記ループ部が設けられており、
前記ストッパは、前記ループ部と前記第3端との間に配置されており、
前記ストッパは、前記第3端側から前記シース内に挿入不能になっており、
前記ループ部は、前記ストッパが前記第3端に接触した状態で前記ケーブルを前記第4端側から引き出すことにより縮径される、請求項1に記載の縫縮デバイス。
【請求項3】
前記ケーブルは、前記第1端及び前記第2端に取り付けられている、請求項2に記載の縫縮デバイス。
【請求項4】
前記ストッパと前記ケーブルとの間にある前記ループ線の長さは、100mm以上である、請求項2又は請求項3に記載の縫縮デバイス。
【請求項5】
前記ストッパは、前記ループ線の周囲にある樹脂層と、前記樹脂層を覆っている筒部材とを有し、
前記筒部材は、前記樹脂層を介在させて前記ループ線にかしめられている、請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の縫縮デバイス。
【請求項6】
前記ループ線は、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブテステル又はポリエチレンにより形成されている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の縫縮デバイス。
【請求項7】
前記ケーブルは、前記ループ線を構成している材料よりもヤング率の高い材料により形成されている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の縫縮デバイス。
【請求項8】
前記ケーブルは、ステンレス鋼により形成されている、請求項6又は請求項7に記載の縫縮デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫縮デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)では、胃等の内部にある病変部を高周波メス等を用いて切離する治療法である。病変部の切離面からの出血を防止するための技術として、特許文献1(特許第6233147号公報)には、留置スネア及び留置スネア結紮装置が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の留置スネアは、ナイロン線と、締め付けリングとを有している。締め付けリングの一方側にあるナイロン線は、第1ループを構成している。締め付けリングの他方側にあるナイロン線は、第2ループを構成している。第1ループは、第2ループよりも大きい。特許文献1に記載の留置スネアは、第1ループが病変部の切離面を取り囲むように配置される。第1ループは、病変部の切離面の周囲にある体内組織にクリッピングされる。
【0004】
特許文献1に記載の留置スネア結紮装置は、内視鏡用の案内管に挿入される。内視鏡用の案内管への挿入後、特許文献1に記載の留置スネア結紮装置は、締め付けリングを第2ループ側から第1ループ側に向かって移動させることにより、第1ループを縮径する。第1ループの縮径に伴い、病変部の切離面の周囲にある体内組織も縫縮されるため、病変部の切離面からの出血が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6233147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の留置スネア及び留置スネア結紮装置を用いた縫縮では、特許文献1に記載の留置スネアを病変部の切離面の近傍に留置した後に締め付けリングをスライドさせるために第2ループに特許文献1に記載の留置スネア結紮装置のフックを引っ掛ける必要がある等、病変部の切離面の周囲にある体内組織を縫縮する際の操作性に改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、病変部の切離面の周囲にある体内組織を縫縮する際の操作性が改善された縫縮デバイスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の縫縮デバイスは、ループ線と、ケーブルと、シースとを備える。ループ線は、第1端と、第1端の反対側の端である第2端とを有する。ループ線は、第1端と第2端との間にあるループ線の互いに離れた2つの部分をそれぞれ始点及び終点とする環状のループ部を有する。ケーブルは、少なくとも第1端に取り付けられている。シースは、第3端と、第3端の反対側の端である第4端とを有する。シース内には、第3端側からループ部が突出するとともに第4端側からケーブルが部分的に突出するように、ループ線及びケーブルが配置されている。ループ部は、ケーブルを第4端側から引き出すことにより縮径される。
【0009】
上記の縫縮デバイスは、ストッパをさらに備えていてもよい。第1端と第2端との間にあるループ線の互いに離れた2つの部分にストッパが摺動可能に取り付けられることにより、ループ線には、ループ部が設けられていてもよい。ストッパは、ループ部と第3端との間に配置されていてもよい。ストッパは、第3端側からシース内に挿入不能になっていてもよい。ループ部は、ストッパが第3端に接触した状態でケーブルを第4端側から引き出すことにより縮径されてもよい。
【0010】
上記の縫縮デバイスでは、ケーブルが第1端及び第2端に取り付けられていてもよい。上記の縫縮デバイスでは、ストッパとケーブルとの間にあるループ線の長さが、100mm以上であってもよい。
【0011】
上記の縫縮デバイスでは、ストッパが、ループ線の周囲にある樹脂層と、樹脂層を覆っている筒部材とを有していてもよい。筒部材は、樹脂層を介在させてループ線にかしめられていてもよい。
【0012】
上記の縫縮デバイスでは、ループ線が、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブテステル又はポリエチレンにより形成されていてもよい。上記の縫縮デバイスでは、ケーブルが、ループ線を構成している材料よりもヤング率の高い材料により形成されていてもよい。上記の縫縮デバイスでは、ケーブルがステンレス鋼により形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記の縫縮デバイスによると、病変部の切離面の周囲にある体内組織を縫縮する際の操作性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】縫縮デバイス100の平面図である。
図2】シース40の図示を省略した縫縮デバイス100の平面図である。
図3図2中のIII-IIIにおける断面図である。
図4】シース40の図示を省略した縫縮デバイス100Aの平面図である。
図5】シース40の図示を省略した縫縮デバイス100Bの平面図である。
図6】外筒200を用いた縫縮デバイス100の使用方法を示す模式図である。
図7】外筒200の第5端200aの近傍における外筒200の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0016】
(実施形態に係る縫縮デバイスの構成)
以下に、実施形態に係る縫縮デバイス(「縫縮デバイス100」とする)の構成を説明する。
【0017】
図1は、縫縮デバイス100の平面図である。図2は、シース40の図示を省略した縫縮デバイス100の平面図である。図3は、図2中のIII-IIIにおける断面図である。図1及び図2に示されるように、縫縮デバイス100は、ループ線10と、ケーブル20と、ストッパ30と、シース40とを有している。
【0018】
ループ線10は、線状の部材である。ループ線10は、柔軟性のある材料により形成された糸である。ループ線10を構成している材料の具体例としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブテステル及びポリエチレンが挙げられる。ループ線10の外径は、例えば、0.4mmである。ループ線10は、第1端10aと、第2端10bとを有している。第2端10bは、第1端10aの反対側の端である。
【0019】
ケーブル20は、線状の部材である。ケーブル20は、ループ線10を構成している材料よりもヤング率の高い材料により形成されている。ケーブル20は、例えば、金属材料により形成された撚線である。ケーブル20を構成している材料の具体例としては、ステンレス鋼が挙げられる。
【0020】
ケーブル20の一方端は、ループ線10の第1端10aに取り付けられている。より具体的には、ケーブル20の一方端側及びループ線10の第1端10a側が筒部材21の内部に配置されるとともに筒部材21をかしめられることにより、ケーブル20の一方端がループ線10の第1端10aに取り付けられる。筒部材21は、例えば、金属材料により形成されている。筒部材21を構成している金属材料の具体例としては、ステンレス鋼が挙げられる。
【0021】
ストッパ30は、第1端10aと第2端10bとの間にあるループ線10の互いに離れている2つの部分に摺動可能に取り付けられている。この2つの部分を、それぞれ第1部分11及び第2部分12とする。第2部分12は、第1部分11よりも第2端10bの近くにある。第2部分12は、第2端10bから離れている。第2部分12と第2端10bとの間にあるループ線10の部分には、結び目が設けられている。この結び目により、ループ線10がストッパ30から抜けてしまうことが防止されている。
【0022】
ループ線10は、ループ部13を有している。ループ部13は、第1部分11及び第2部分12をそれぞれ始点及び終点とする環状になっている。
【0023】
ストッパ30は、樹脂層31と、筒部材32とを有している。樹脂層31は、ループ線10(第1部分11、第2部分12)の周囲にある。樹脂層31は、樹脂材料により形成されている層である。樹脂層31を構成している樹脂材料の具体例としては、シリコーンゴムが挙げられる。筒部材32は、樹脂層31を覆っている。このことを別の観点から言えば、ループ線10(第1部分11、第2部分12)及び樹脂層31は、筒部材32の内部にある。筒部材32は、例えば金属材料により形成されている。筒部材32を構成している金属材料の具体例としては、ステンレス鋼が挙げられる。筒部材32は、樹脂層31を介在させてループ線10(第1部分11、第2部分12)にかしめられている。
【0024】
ストッパ30とケーブル20との間にあるループ線10の長さを、長さLとする。長さLは、例えば、100mm以上である。長さLは、150mm以上であってもよい。長さLは、ループ部13の径(ループ部13の長手方向における幅)が35mmとなる状態で測定される。
【0025】
シース40は、管状の部材である。シース40は、例えば、樹脂材料により形成されている。シース40を構成している樹脂材料の具体例としては、フッ素樹脂が挙げられる。シース40は、第3端40aと、第4端40bとを有している。第4端40bは、第3端40aの反対側の端である。
【0026】
ループ線10及びケーブル20は、シース40内に配置されている。但し、シース40の第3端40a側からはループ部13が突出しており、シース40の第4端40b側からはケーブル20の一部が突出している。
【0027】
ストッパ30は、シース40の第3端40aとループ部13との間に配置されている。ストッパ30は、第3端40a側からシース40の内部に挿入不能になっている。より具体的には、シース40の第3端40a側におけるストッパ30の外径は、シース40の内径よりも大きくなっている。シース40の外径は、例えば、内視鏡の鉗子チャネルの内径よりも小さい。シース40は、内視鏡の鉗子チャネルに挿入可能な長さを有している。
【0028】
シース40の第4端40b側からケーブル20が引き出されることにより、ストッパ30は、シース40の第3端40aに向かって移動し、シース40の第3端40aに接触する。ストッパ30は第3端40a側からシース40の内部に挿入不能となっているため、ストッパ30がシース40の第3端40aに接触した状態でケーブル20をさらに引き出すと、ループ線10がシース40の内部に引き込まれ、ループ部13が縮径される。
【0029】
(実施形態に係る縫縮デバイスの使用方法)
以下に、縫縮デバイス100の使用方法を説明する。
【0030】
縫縮デバイス100の使用に際しては、第1に、ガイドシースが準備される。ガイドシース内には、ループ部13が挿入されている。なお、縫縮デバイス100のその他の部分は、ガイドシース内に配置されている必要はない。
【0031】
縫縮デバイス100の使用に際しては、第2に、ループ部13が挿入されているガイドシースが、内視鏡の鉗子チャネルの入口に配置される。この状態で縫縮デバイス100を押し込むことにより、縫縮デバイス100が内視鏡の鉗子チャネルに挿入される。なお、ループ線10は柔軟性が高いため、そのままではループ部13を内視鏡の鉗子チャネルの入口から挿入することが難しいが、ガイドシースを用いることにより、ループ部13を容易に内視鏡の鉗子チャネルに挿入することができる。縫縮デバイス100は、内視鏡の鉗子チャネル内において、ループ部13が病変部の切離面の周囲にある体内組織(例えば、胃の粘膜)に配置されるまで移動される。
【0032】
縫縮デバイス100の使用に際しては、第3に、ループ部13が、内視鏡用クリップを用いることにより、病変部の切離面の周囲にある体内組織に固定される。この固定は、例えば、複数個所において行われる。
【0033】
縫縮デバイス100の使用に際しては、第4に、シース40を把持した状態で、シース40の第4端40b側からケーブル20を引き出す。これにより、ループ部13が縮径される。ループ部13の縮径に伴い、病変部の切離面の周囲にある体内組織が、ループ部13により閉め込まれて縫縮される。
【0034】
ループ部13により病変部の切離面の周囲にある体内組織が縫縮された後、ループ部13よりも第1端10a側にあるループ線10の部分がハサミ鉗子により切断され、ループ部13及びストッパ30は、体内に留置される。縫縮デバイス100のその他の部分は、その後に体外に抜去される。なお、ループ部13を病変部の切離面の周囲にある体内組織に固定していた内視鏡用クリップは時間経過に伴って自然に外れ、体内に留置されたループ部13及びストッパ30とともに体外に排出される。
【0035】
(実施形態に係る縫縮デバイスの効果)
以下に、縫縮デバイス100の効果を説明する。
【0036】
縫縮デバイス100では、ループ部13が病変部の切離面の周囲にある体内組織にクリッピングされた後、そのままケーブル20をシース40の第4端40b側から引き出すという手元操作を行うことでループ部13が縮径され、病変部の切離面の周囲にある体内組織が縫縮されるため、病変部の切離面の周囲にある体内組織を縫縮する際の操作性を改善される。
【0037】
縫縮デバイス100では、ループ部13を縮径するために他の装置(例えば、ループ部を縮径させるためのフックを有する装置)が不要であり、病変部の切離面の周囲にある体内組織を縫縮するための装置構成を簡略化することができる。
【0038】
縫縮デバイス100では、ループ線10がケーブル20を介して使用者の手元までつながっているものの、ループ線10が柔軟性のある材料により形成されているとともに、例えば100mm以上の長さLを有しているため、ループ部13が、内視鏡の動きから独立している。そのため、内視鏡をループ部13の位置を変えることなく動かすことができ、内視鏡を視野の良い位置に動かして手技を進めることができる。
【0039】
縫縮デバイス100では、ループ線10が樹脂層31を介して筒部材32によりかしめられているため、ストッパ30とループ線10との間には、適度な摩擦力が作用する。そのため、ストッパ30がシース40の第3端40aに接触した状態でケーブル20をシース40の第4端40b側から引き出す際にはループ線10がストッパ30に対して摺動するが、それ以外の場合はループ線10がストッパ30に対して移動しがたい。そのため、縫縮デバイス100によると、縫縮の際の操作性及びループ部13の緩み防止(ループ部13の形状保持力)を両立することができる。
【0040】
縫縮デバイス100では、ケーブル20がループ線10を構成している材料よりもヤング率の高い材料により形成されている。その結果、ループ部13により病変部の切離面の周囲にある体内組織を縫縮する際のループ線10及びケーブル20の伸びの合計が抑制されることになるため、ループ部13による締め込み荷重を低減できる。
【0041】
(変形例1)
以下に、変形例1に係る縫縮デバイス100(「縫縮デバイス100A」とする)を説明する。ここでは、縫縮デバイス100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0042】
図4は、シース40の図示を省略した縫縮デバイス100Aの平面図である。図4に示されるように、縫縮デバイス100Aは、ループ線10と、ケーブル20と、ストッパ30と、シース40(図示せず)とを有している。ストッパ30が第1端10aと第2端10bとの間にあるループ線10の互いに離れている2つの部分に取り付けられていることにより、当該2つの部分の間にあるループ線10の部分がループ部13になっている。
【0043】
シース40内には、シース40の第3端40a側からループ部13が突出するとともにシース40の第4端40b側からケーブル20が突出するように、ループ線10及びケーブル20が配置されている。これらの点に関して、縫縮デバイス100Aの構成は、縫縮デバイス100の構成と共通している。
【0044】
しかしながら、縫縮デバイス100Aでは、ループ線10の第1端10a及び第2端10bの双方が、ケーブル20の一方端に取り付けられている。すなわち、ストッパ30とケーブル20の一方端との間において、ループ線10は、2線が並列に配置されている。この点に関して、縫縮デバイス100Aの構成は、縫縮デバイス100の構成と異なっている。なお、この場合も、ループ線10の第1端10a側及び第2端10b側は、筒部材21を用いたかしめにより、ケーブル20の一方端側に取り付けられている。
【0045】
縫縮デバイス100Aでは、縫縮デバイス100と同様に、ケーブル20をシース40の第4端40b側から引き出すことによりループ部13が縮径されて病変部の切離面の周辺にある体内組織を縫縮することができるため、病変部の切離面の周囲にある体内組織を縫縮する際の操作性が改善される。
【0046】
また、縫縮デバイス100Aでは、ループ線10の第1端10a及び第2端10bの双方がケーブル20の一方端に接続されているため、縫縮デバイス100と比較して、ケーブル20をシース40の第4端40b側から引き出す長さが同一でも、ループ部13をより大きく縮径させることできる。
【0047】
(変形例2)
以下に、変形例2に係る縫縮デバイス100(「縫縮デバイス100B」とする)を説明する。ここでは、縫縮デバイス100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0048】
図5は、シース40の図示を省略した縫縮デバイス100Bの平面図である。図5に示されるように、縫縮デバイス100Aは、ループ線10と、ケーブル20と、シース40(図示せず)とを有している。ループ線10は、第1端10aと第2端10bとの間にあるループ線10の互いに離れている2つの部分をそれぞれ始点及び終点とするループ部13を有している。シース40内には、シース40の第3端40a側からループ部13が突出するとともにシース40の第4端40b側からケーブル20が突出するように、ループ線10及びケーブル20が配置されている。これらの点に関して、縫縮デバイス100Bの構成は、縫縮デバイス100の構成と共通している。
【0049】
しかしながら、縫縮デバイス100Aでは、ループ線10の第2端10b側がループ線10のその他の部分に結び付けられることにより、ループ部13が構成されている。縫縮デバイス100Bでは、ケーブル20をシース40の第4端40b側から引き出すことによりループ部13が縮径されるように、ループ線10の第2端10b側がループ線10のその他の部分に結び付けられている。この結び目は、シース40の内径よりも大きくなっている。また、この結び目は、ループ線10がスライド可能であるとともに、所定の固定位置において固定可能になっている。このような結び目の具体例としては、レイダーノット(Roeder Knot)が挙げられる。縫縮デバイス100Bは、ストッパ30を有していない。これらの点に関して、縫縮デバイス100Bの構成は、縫縮デバイス100の構成と異なっている。
【0050】
縫縮デバイス100Bでは、縫縮デバイス100と同様に、ケーブル20をシース40の第4端40b側から引き出すことによりループ部13が縮径されて病変部の切離面の周辺にある体内組織を縫縮することができるため、病変部の切離面の周囲にある体内組織を縫縮する際の操作性を改善される。
【0051】
(実施形態に係る縫縮デバイスの使用方法の変形例)
上記の例では、縫縮デバイス100を使用する際に縫縮デバイス100が内視鏡の鉗子チャネルに挿入されたが、縫縮デバイス100は、内視鏡の鉗子チャネルに挿入する以外の方法で用いることが可能である。
【0052】
図6は、外筒200を用いた縫縮デバイス100の使用方法を示す模式図である。図6に示されるように、縫縮デバイス100は、外筒200に挿入されることにより用いられてもよい。外筒200は、例えば、柔軟性のある材料により形成されている。外筒200を構成している材料の具体例としては、塩化ビニルが挙げられる。
【0053】
外筒200は、縫縮デバイス100を内部に挿入可能な内径を有している。外筒200は、第5端200aと、第6端200bとを有している。第6端200bは、第5端200aの反対側の端である。縫縮デバイス100は、例えば、第6端200b側から外筒200の内部に挿入される。外筒200は、例えばテープで内視鏡に取り付けられることにより、内視鏡とともに体内に挿入される。そのため、縫縮デバイス100は、内視鏡の鉗子チャネルに挿入される以外の方法で使用することができる。なお、この際、外筒200は、第5端200a側から体内に挿入される。
【0054】
図7は、外筒200の第5端200aの近傍における外筒200の断面図である。図7に示されるように、外筒200の第5端200aにおける端面は、曲面により構成されている。そのため、外筒200を体内に挿入する際、外筒200の端面が外筒200の挿入経路にある体内組織を傷付けにくくすることができる。
【0055】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
上記の実施形態は、病変部の切離面の周囲にある体内組織を縫縮するための縫縮デバイスに特に有利に適用される。
【符号の説明】
【0057】
100,100A,100B 縫縮デバイス、10 ループ線、10a 第1端、10b 第2端、11 第1部分、12 第2部分、13 ループ部、20 ケーブル、21 筒部材、30 ストッパ、31 樹脂層、32 筒部材、40 シース、40a 第3端、40b 第4端、200 外筒、200a 第5端、200b 第6端、L 長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7