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  • 特開-可撓性カバーレンズフィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153371
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】可撓性カバーレンズフィルム
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20221004BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221004BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20221004BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20221004BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221004BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G09F9/00 302
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
G09F9/30 365
G09F9/35
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022103242
(22)【出願日】2022-06-28
(62)【分割の表示】P 2020522838の分割
【原出願日】2018-08-28
(31)【優先権主張番号】62/578,175
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トータドリ, マニヴァンナン
(72)【発明者】
【氏名】フォスター, ダニエル ポール
(72)【発明者】
【氏名】プライノ ジュニア, ロバート エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ハーヴェイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可撓性カバーレンズフィルムといった可撓性ディスプレイデバイスが、提供される。
【解決手段】可撓性カバーレンズフィルムは強度、弾性、光透過性、耐摩耗性、及び耐熱性が良好である。カバーレンズフィルムは、厚さが約5μm~約40μmのハードコート層と、厚さが約20μm~約110μmの衝撃吸収層と、厚さが約10μm~約175μmで、ハードコート層と衝撃吸収層との間に配置された基板層と、を含む。ハードコート層と耐衝撃層とを組み合わせることにより、カバーレンズフィルムは可撓性及び強度を兼ね備え、硬度が6H~9Hである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが約5μm~約40μmのハードコート層と、
厚さが約20μm~約110μmの衝撃吸収層と、
前記ハードコート層と前記衝撃吸収層との間の基板層であって、厚さが約10μm~約175μmの基板層と
を含む、カバーレンズフィルム。
【請求項2】
前記ハードコート層は硬度が6H~9Hである、請求項1に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項3】
前記基板層が、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、透明ポリイミド、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項1に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項4】
前記ハードコート層が、放射線硬化性アクリレート及び脂肪族ウレタンアクリレートから成る群から選択される材料である、請求項1に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項5】
前記衝撃吸収層が、エーテルウレタン、エステルウレタン、脂肪族ウレタン、脂肪族ポリウレタン、脂肪族ポリエステルウレタン、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項1に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項6】
厚さが約5μm~約40μmの第1のハードコート層と、
厚さが約20μm~約110μmの第1の衝撃吸収層と、
前記第1のハードコート層と前記第1の衝撃吸収層との間の第1の基板層であって、厚さが約10μm~約175μmの第1の基板層と、
厚さが約5μm~約40μmの第2のハードコート層と、
厚さが約20μm~約110μmの第2の衝撃吸収層と、
前記第2のハードコート層と前記第2の衝撃吸収層との間の第2の基板層であって、厚さが約10μm~約175μmの第2の基板層と
を含む、カバーレンズフィルム。
【請求項7】
前記第1のハードコート層は硬度が6H~9Hである、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項8】
前記第2のハードコート層は硬度が6H~9Hである、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項9】
前記第1の基板層が、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、透明ポリイミド、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項10】
前記第1のハードコート層が、放射線硬化性アクリレート及び脂肪族ウレタンアクリレートから成る群から選択される材料である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項11】
前記第1の衝撃吸収層が、エーテルウレタン、エステルウレタン、脂肪族ウレタン、脂肪族ポリウレタン、脂肪族ポリエステルウレタン、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項12】
前記第2のハードコート層が、放射線硬化性アクリレート及び脂肪族ウレタンアクリレートから成る群から選択される材料である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項13】
前記第2の衝撃吸収層が、エーテルウレタン、エステルウレタン、脂肪族ウレタン、脂肪族ポリウレタン、脂肪族ポリエステルウレタン、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項14】
ディスプレイデバイスであって、
ディスプレイ構造体と、
カバーレンズフィルムと
を含み、
前記カバーレンズフィルムは、
厚さが約5μm~約40μmのハードコート層と、
厚さが約20μm~約110μmの衝撃吸収層と、
前記ハードコート層と前記衝撃吸収層との間の基板層であって、厚さが約10μm~約175μmの基板層と
を含む、ディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記ディスプレイ構造体は、OLEDディスプレイ又はLCDディスプレイを含む、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書で説明される実施形態は、概して、可撓性ディスプレイデバイスに関し、特に可撓性カバーレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]電子デバイスは、液晶ディスプレイや有機発光ダイオードディスプレイといったディスプレイを有することが多い。このようなディスプレイは壊れやすく、湿気、圧力、又は粒子汚染に敏感でありうる。一般に、ディスプレイデバイスでは、照明源からの光を着色し、当該光を偏光させ、及び当該光を遮断するために数層の光学素子が使用される。下層のフィルムの損傷を防止するために、硬質のディスプレイカバーレンズ層が他の層の上に装着され、下層への損傷を防止する。硬質のディスプレイカバーレンズを備えることによって、望まれぬ重量が電子デバイスに付加されうる。カバーレンズを無くしてデバイスの小型軽量化を図ることが可能であるが、カバーレンズを無くすことにより、ディスプレイは引っ掻きによる損傷を受け易くなりうる。
【0003】
[0003]現在では、製品の新規な機能性への要求が高まり、新規で幅広い適用が開拓されることによって、可撓性といった新規な特性を備えたレンズ基板の薄型化及び軽量化が求められている。大まかには、上記新規の可撓性又は折り畳み可能なディスプレイのためのカバーレンズには、3つの主要な特徴、即ち、1)光学性能、2)高硬度、及び3)可撓性が望まれる。良好な光学性能によって、ヘーズ(曇り)が非常に少ない光の良好な透過が保証される。高硬度は、耐引っ掻き性及び耐摩耗性に関係している。カバーレンズにおける可撓性により、臨界ひずみが十分に高いという観点から、繰り返し曲げられ及び折り曲げたりられたときに、ひび割れ又は層剥離による破損が回避される。
【0004】
[0004]従来、レンズは最初の2つの特徴(例えば、光学性能及び硬度)に対処するのに優れていたが、その脆性的性質に因り第3の特徴、例えば可撓性が乏しかった。このことを改善するために、これまで大きな努力によって、主にガラスの厚さを低減すること又は上記材料の化学的改良により、ガラスの破損時の臨界歪みが上げられてきた。それにもかかわらず、カバーレンズのための材料としてのガラスは、求められる曲率半径のフレキシビリティに対処するためには不十分と考えられている。他の材料、例えば様々な金属が、硬度が高く非常に良好な可撓性を備えるが、光を通過させるという観点から求められる光学性能が欠けている。あるいは、ポリマー系フィルムといった、光学的特性及び可撓性は非常に良好であるが耐摩耗性又は耐引っ掻き性が劣る材料が存在する。
【0005】
[0005]従って、硬度、衝撃耐久性、光透過性、耐摩耗性、耐熱性及び化学安定性が良好な可撓性カバーレンズに対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本明細書で説明される実施形態は、概して、可撓性ディスプレイデバイスに関する。一実施形態において、複数層のフィルムを含むカバーレンズフィルムが開示される。カバーレンズフィルムは、厚さが約5μm~約40μmのハードコート層と、厚さが約5μm~約150μmの衝撃吸収層と、ハードコート層と衝撃吸収層との間の基板層と、を含む。基板層は、厚さが約10μm~約175μmである。
【0007】
[0007]他の実施形態において、カバーレンズフィルムが開示される。カバーレンズフィルムは、厚さが約5μm~約40μmの第1のハードコート層と、厚さが約20μm~約110μmの第1の衝撃吸収層と、第1のハードコート層と第1の衝撃吸収層との間の第1の基板層と、を含む。第1の基板層は、厚さが約10μm~約175μmである。カバーレンズフィルムはまた、厚さが約5μm~約40μmの第2のハードコート層と、厚さが約20μm~約110μmの第2の衝撃吸収層と、第2のハードコート層と第2の衝撃吸収層との間の第2の基板層と、を含む。第2の基板層は、厚さが約10μm~約175μmである。
【0008】
[0008]他の実施形態において、ディスプレイデバイスが開示される。ディスプレイデバイスは、ディスプレイ構造体及びカバーレンズフィルムを含む。カバーレンズフィルムは、ハードコート層と、衝撃吸収層と、ハードコート層と衝撃吸収層との間の基板層と、を含む。ハードコート層は、厚さが約5mmから約40mmである。衝撃吸収層は、厚さが約20μm~約110μmである。基板層は、厚さが約10μm~約175μmである。
【0009】
[0009]本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、先に簡単に要約した本開示のより具体的な説明が、その幾つかが添付の図面に示された実施形態を参照することにより行われうる。しかしながら、本開示が他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示すものであり、従って、本発明の範囲を限定すると見なされないことに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]本明細書に記載の一実施形態に係るディスプレイデバイスの概略的な断面図を示す。
図2】[0011]本明細書に記載の一実施形態に係るカバーレンズフィルムの概略的な断面図を示す。
図3】[0012]本明細書に記載の他の実施形態に係るカバーレンズフィルムの概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0013]理解しやすくするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照符号が使用されている。一実施形態の要素及び特徴が、さらなる記載がなくとも他の実施形態に有益に組み込まれうると想定されている。
【0012】
[0014]本明細書に記載される実施形態は概して、可撓性ディスプレイデバイスに関し、特に、多層フィルム積層体による可撓性カバーレンズフィルムの置き換えに関する。
【0013】
[0015]図1は、本明細書で説明される一実施形態に係るディスプレイデバイス100の概略的な断面図を示している。ディスプレイデバイス100は、プラズマ強化化学蒸着、化学蒸着、物理蒸着、原子層堆積、物理蒸着、フォトリソグラフィ、エッチング、又は他のこのような適切な製造プロセスを用いて製造されうる。適切な製造装置を、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社(Applied Materials,Inc.)から購入可能である。
【0014】
[0016]ディスプレイデバイス100は、カバーレンズフィルム102と、フィルム層104と、タッチパネル106と、ディスプレイ構造体108と、基板110と、遮蔽層112と、を含む。図1の実施形態において、フィルム層104が、カバーレンズフィルム102とタッチパネル106との間に存在する。一実施形態において、フィルム層104が、偏光フィルムを含む多機能フィルム層である。偏光フィルムといったフィルム層104は、ディスプレイデバイス100の内部の電極線又は金属構造体を構成する反射金属に因る望まれぬ反射を低減するために使用されている。フィルム層は、1/4波長リターダ、又は、厚さが0.2mm未満の可撓性レンズフィルムから形成される直線偏光子を含みうる。カバーレンズフィルム102は、光学的な透明な接着剤(OCA:optically clear adhesive)でフィルム層104及びタッチパネル106に接着されうる。一実施形態において、OCAは、カバーレンズフィルム102をタッチパネル106に接着させるために利用される液体接着剤である。他の実施形態において、OCAは、カバーレンズフィルム102をタッチパネル106に接着させるための光学的な透明な接着テープである。タッチパネル106は、タッチセンサIC基板114と、タッチセンサ116と、を含む。一実施形態において、タッチセンサIC基板114は、金属ベースのプリント回路基板である。
【0015】
[0017]図1の実施形態では、ディスプレイ構造体108が、タッチパネル106と基板110との間に存在する。一実施形態において、ディスプレイ構造体108は、有機発光ダイオードディスプレイである。しかしながら本明細書では、発光ダイオードディスプレイ又は液晶ディスプレイといった、カバーレンズフィルムを利用する他の適切なディスプレイデバイスが想定されている。ディスプレイ構造体108は、薄膜カプセル化構造、有機発光層、ドライバICボード、及び薄膜トランジスタを含みうる。
【0016】
[0018]一実施形態において、基板110は、ポリイミド材料で作製される。しかしながら、任意の可撓性プラスチック基板が利用されうる。例えば、基板は、ポリエーテルエーテルケトン層、透明導電性ポリエステル層、ポリカーボネート、若しくは、ポリアリールエーテルケトンであるか若しくはポリアリールエーテルケトンを含む1つ以上のポリマーであってよく、又は、これらを含んでよい。図1の実施形態では、基板110はシールド112に隣接している。一実施形態において、基板110はポリエステルテレフタレートである。幾つかの例において、シールド112は銅箔であり又は銅箔を含む。接着促進層といった追加の層が、シールド112といった任意の追加の層よりも前に、基板110に隣接して堆積されてよい。
【0017】
[0019]図2は、本明細書に記載の一実施形態に係るカバーレンズフィルム202の概略的な断面図を示している。カバーレンズフィルム202は、図1のカバーレンズフィルム102でありうる。カバーレンズフィルム202は、6H~9Hの鉛筆硬度と、1mmの内側曲率半径まで又は4mmの外側曲率半径まで曲げる繰返しサイクルに亘る可撓性と、1mより低い高さから落下した1kgまでの鋼球に耐える能力を示す、標準的なボール落下試験による限度としての耐衝撃性と、1kgまで負荷された標準的なスチールウール試験によって測定された、複数サイクル、例えば約20サイクル~約3,000サイクルまで耐えうる耐引っ掻き性と、85%~95%の総透過率と、1%未満の曇り度と、B<1の黄色度指数と、高い破壊靭性とを有する。図2の実施形態では、カバーレンズフィルム202は、耐衝撃層204、基板層206、及びハードコート層208を含む。
【0018】
[0020]図2の実施形態では、基板206が、耐衝撃層204とハードコート層208との間にある。他の実施形態において、カバーレンズフィルム202は、3個より多い層を含む。幾つかの例において、耐衝撃層204は厚さが約20μm~約110μmである。耐衝撃層204は、厚さが100μm未満のエラストマー層を含む。一実施形態において、エラストマー層は、厚さが75μm未満である。一実施形態において、エラストマー層は、スロットダイコーティング又はスロットダイカスティングにより施される。耐衝撃層204は、透過率がASTM D1003において約90%~約99.99%であり、曇り度がASTM D10003において1%未満であり、サンドペーパー摩耗が、ASTM D1044において0.5%未満であり、エリクセン(Erichsen)ペン引掻き試験の値が、ボッシュ(Bosch)の18Nによる試験の値よりも高い。耐衝撃層204は、エーテルウレタン、エステルウレタン、脂肪族ウレタン、脂肪族ポリウレタン、脂肪族ポリエステルウレタン、又はこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の材料を含む。
【0019】
[0021]一実施形態において、基板層206は、厚さが約10μm~約175μmである。基板層206は、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、透明ポリイミド、又はこれらの任意の組合せから選択される1つ以上の材料を含む。
【0020】
[0022]一実施形態において、ハードコート層208は、厚さが約5μm~約40μmである。ハードコート層208は、様々なマイヤー(Mayer)ロッドを用いて設けられ、約100秒~約140秒の間、約75℃~約85℃の温度範囲にわたって非活性対流中で加熱され、約300 mJ/cm~約500 mJ/cmの電力設定で、約100秒~約140秒の期間の間UVランプで照射される。ハードコート層208は、スロットダイコーティング又はスロットダイカスティングにより施される。ハードコート層208は、鉛筆硬度が6H~9Hであり、内側曲げ半径が約2mm~約3mmであり、外側曲げ半径が約18mm~約20mmであり、透過率が約90%~約92%であり、熱抵抗が約20℃~約65℃である。ハードコート層208は、放射線硬化性アクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、又はこれらの組み合わせから選択される1つ以上の材料を含む。一実施形態において、ハードコート層208は、紫外線放射を用いて硬化される。他の実施形態において、ハードコート層208は、電子ビーム処理を用いて硬化される。
【0021】
[0023]カバーレンズフィルム202について3層構造を示してきたが、追加の層が存在しうることが想定されていると理解されたい。例えば、カバーレンズフィルム202の三層は、カバーレンズフィルム202の層の総数が3の倍数となる複数の層を含む積層体を形成するために、1回以上繰り返されてよい。他の実施形態において、耐衝撃層204が、基板206とハードコート層208との間にある。更に別の実施形態において、ハードコート層208が、基板206と耐衝撃層204との間にある。追加の層が存在しうると想定されている。例えば、他の実施形態には、第1のハードコート層、衝撃層、第2のハードコート層、及び基板が含まれうる。このような実施形態においては、耐衝撃層が基板と第1ハードコート層との間にあり、かつ基板が耐衝撃層と第2ハードコート層との間にある。上記の4個の層の他の配向も想定される。例えば、他の実施形態において、第1のハード耐衝撃層が、第1のハードコート層と第2のハードコート層との間にある。基板は、第1のハードコート層又は第2のハードコート層のいずれかに隣接していてよい。他の例では、ハードコート層、第1の耐衝撃層、基板、及び第2の耐衝撃層が含まれる。このような実施形態では、基板は、第1の耐衝撃層と第2の耐衝撃層との間にあり、ハードコート層は、第1の耐衝撃層に隣接している。
【0022】
[0024]図3は、本明細書に記載の他の実施形態に係るカバーレンズフィルム302の概略的な断面図を示している。カバーレンズフィルム302は、図1のカバーレンズフィルム102でありうる。カバーレンズフィルム302は、ハードコート層308と、基バン306と、耐衝撃層304とが繰り返された積層体を含む。図3の実施形態では、上記繰り返された層による2つの積層体が存在し、即ち、第1のハードコート層308a、第1の基板層306a、第1の耐衝撃層304a、第2のハードコート層308b、第2の基板層306b、及び第2の耐衝撃層304bが存在する。ハードコート層308a、308b、基板層306a、306b、及び耐衝撃層304a、304bは、図2のハードコート層208、基板208、及び耐衝撃層204と実質的に同様である。図3の実施形態において、基板層306aは、ハードコート層308aと耐衝撃層304aとの間にある。図3の実施形態において、基板層306bは、ハードコート層308bと耐衝撃層304bとの間にある。一実施形態において、耐衝撃層304aが、ハードコート層308aに隣接している。他の実施形態において、耐衝撃層304aが、耐衝撃層304bに隣接している。他の実施形態において、カバーレンズフィルムが、接着層といった追加の層を含む。
【0023】
[0025]本明細書に記載のカバーレンズフィルムは、任意のディスプレイデバイスに利用されうる。可撓性カバーレンズフィルムは強度、弾性、光透過性、耐摩耗性、耐熱性が良好である。ハードコート層と耐衝撃層とを組み合わせることにより、カバーレンズフィルムが可撓性と強度とを兼ね備え、硬度が6H~9Hである。
【0024】
[0026]上記の記載は本開示の実施形態を対象とするが、他の実施形態及び更なる実施形態が、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲により定められる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが約5μm~約40μm、硬度が6H~9H、内側曲げ半径が約2mm~約3mmのハードコート層と、
厚さが約20μm~約110μm、透過率がASTM D1003において約90%~約99.99%、曇り度がASTM D1003において1%未満の衝撃吸収層と、
前記ハードコート層と前記衝撃吸収層との間の基板層であって、厚さが約10μm~約175μmの基板層と、
を含む、カバーレンズフィルム。
【請求項2】
前記基板層が、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、透明ポリイミド、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項1に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項3】
前記ハードコート層が、放射線硬化性アクリレート及び脂肪族ウレタンアクリレートから成る群から選択される材料である、請求項1に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項4】
前記衝撃吸収層が、エーテルウレタン、エステルウレタン、脂肪族ウレタン、脂肪族ポリウレタン、脂肪族ポリエステルウレタン、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項1に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項5】
前記ハードコート層は、熱抵抗が約-20℃~約65℃である、請求項1に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項6】
厚さが約5μm~約40μm、硬度が6H~9H、内側曲げ半径が約2mm~約3mmの第1のハードコート層と、
厚さが約20μm~約110μm、透過率がASTM D1003において約90%~約99.99%、曇り度がASTM D1003において1%未満の第1の衝撃吸収層と、
前記第1のハードコート層と前記第1の衝撃吸収層との間の第1の基板層であって、厚さが約10μm~約175μmの第1の基板層と、
厚さが約5μm~約40μm、硬度が6H~9H、内側曲げ半径が約2mm~約3mmの第2のハードコート層と、
厚さが約20μm~約110μmの第2の衝撃吸収層と、
前記第2のハードコート層と前記第2の衝撃吸収層との間の第2の基板層であって、厚さが約10μm~約175μmの第2の基板層と、
を含む、カバーレンズフィルム。
【請求項7】
前記第1の基板層が、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、透明ポリイミド、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項8】
前記第1のハードコート層が、放射線硬化性アクリレート及び脂肪族ウレタンアクリレートから成る群から選択される材料である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項9】
前記第1の衝撃吸収層が、エーテルウレタン、エステルウレタン、脂肪族ウレタン、脂肪族ポリウレタン、脂肪族ポリエステルウレタン、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項10】
前記第2のハードコート層が、放射線硬化性アクリレート及び脂肪族ウレタンアクリレートから成る群から選択される材料である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項11】
前記第2の衝撃吸収層が、エーテルウレタン、エステルウレタン、脂肪族ウレタン、脂肪族ポリウレタン、脂肪族ポリエステルウレタン、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項12】
前記第1のハードコート層は、熱抵抗が約-20℃~約65℃である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項13】
前記第1の衝撃吸収層又は前記第2の衝撃吸収層は、耐摩耗性がASTM D1044において0.5未満である、請求項6に記載のカバーレンズフィルム。
【請求項14】
ディスプレイデバイスであって、
ディスプレイ構造体と、
カバーレンズフィルムと
を含み、
前記カバーレンズフィルムは、
厚さが約5μm~約40μm、硬度が6H~9H、内側曲げ半径が約2mm~約3mmのハードコート層と、
厚さが約20μm~約110μm、透過率がASTM D1003において約90%~約99.99%、曇り度がASTM D1003において1%未満の衝撃吸収層と、
前記ハードコート層と前記衝撃吸収層との間の基板層であって、厚さが約10μm~約175μmの基板層と、
を含む、ディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記ディスプレイ構造体は、OLEDディスプレイを含む、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項16】
前記ディスプレイ構造体は、LCDディスプレイを含む、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項17】
前記ハードコート層が、放射線硬化性アクリレート及び脂肪族ウレタンアクリレートから成る群から選択される材料である、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項18】
前記衝撃吸収層が、エーテルウレタン、エステルウレタン、脂肪族ウレタン、脂肪族ポリウレタン、脂肪族ポリエステルウレタン、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項19】
前記基板層が、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、透明ポリイミド、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される材料である、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【請求項20】
前記ハードコート層は、熱抵抗が約-20℃~約65℃である、請求項14に記載のディスプレイデバイス。
【外国語明細書】