(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022153708
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】ノンフライ食品用の衣材
(51)【国際特許分類】
A23L 7/157 20160101AFI20221005BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20221005BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20221005BHJP
【FI】
A23L7/157
A23L35/00
A23L5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056374
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(72)【発明者】
【氏名】平岡 香織
(72)【発明者】
【氏名】源田 結香
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健太
(72)【発明者】
【氏名】野上 竜一郎
【テーマコード(参考)】
4B025
4B035
4B036
【Fターム(参考)】
4B025LB09
4B025LG02
4B025LG07
4B025LG14
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4B035LP26
4B036LF19
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4B036LP12
(57)【要約】
【課題】
フライパン調理などの加熱調理において、外観および食感に優れたノンフライ食品を得るための衣材および当該衣材を用いたノンフライ食品の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
ノンフライ食品用の衣材であって、ジャガイモ、トウモロコシおよび米からなる群から選ばれる1種または2種以上の粒状物を含む澱粉組成物と、油脂組成物と、レシチンと、タンパク質素材とを含み、前記衣材中の前記油脂組成物の含有量が、40質量%以上70質量%以下である、前記衣材および前記衣材をまとわせて油調以外の加熱調理を施すノンフライ食品の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノンフライ食品用の衣材であって、
ジャガイモ、トウモロコシおよび米からなる群から選ばれる1種または2種以上の粒状物を含む澱粉組成物と、
油脂組成物と、
レシチンと、
タンパク質素材と
を含み、
前記衣材中の前記油脂組成物の含有量が、40質量%以上70質量%以下である、前記衣材。
【請求項2】
前記粒状物の粒径が、目開き2.80mmの篩下である、請求項1に記載の前記衣材。
【請求項3】
前記澱粉組成物中に、前記粒状物が20質量%以上50質量%以下含まれる、請求項1または2に記載の前記衣材。
【請求項4】
前記タンパク質素材が、卵白粉である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の前記衣材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の衣材を食材にまとわせる工程、および前記工程後の食材に油調以外の加熱調理を施す工程を有する、ノンフライ食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライパンなどで加熱調理するノンフライ食品の衣剥がれを抑制することが可能な衣材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、調理の簡便性の観点から、油調をせずにフライ食品と同様の外観および食感を有するノンフライ食品が注目されている。特に、家庭調理においてこの要望が強い。
【0003】
家庭では、油調に用いる油を極めて少なくして調理をおこなう「揚げ焼き」などの手法も工夫されているが、衣がフライパンに張り付いてはがれる、好ましいカリッと感やサク感が得られないなどの課題を有していた。
【0004】
特許文献1には、蛋白質および/またはオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムと油脂とを含む乾燥品であって、乾燥品の形状が、1.0mm以上が50%以上であるノンフライ用衣材むけの高油脂含有乾燥品について記載されている。そして、当該高油脂含有乾燥品を鶏もも肉に満遍なくまぶし、クッキングペーパーを敷いたお皿に載せて電子レンジ調理することにより、油脂感のあるジューシーさと表面のサクサク感を備えたノンフライ食品が得られることが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、具材に衣液および/または粉粒状衣材を付着させる工程、衣液および/または粉粒状衣材を付着させた具材を茹でる工程、および茹でた具材を焼成する工程を含むノンフライ揚げ物様食品の製造方法について記載されている。当該製造方法を用いることにより、衣のサクサク感とジューシー感を保持し、薄衣でもはがれにくいノンフライ食品が得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-174583号公報
【特許文献2】特開2008-011856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1には、フライパン調理などを選択した際に衣材がフライパンなどに張り付いて、ノンフライ食品の表面から衣材が剥がれて外観が損なわれるという問題については一切記載されていない。
【0008】
また、特許文献2に記載の製造方法においては、食材に対して衣材を付着させた後に茹でる工程が必要であった。
【0009】
そこで、本発明においては、フライパン調理などの加熱調理において、外観および食感に優れたノンフライ食品を得るための衣材および当該衣材を用いたノンフライ食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、鋭意検討の結果、衣材中に所定量の、油脂組成物、ジャガイモ、トウモロコシおよび米からなる群から選ばれる1種または2種以上の粒状物を含む澱粉組成物、レシチンおよびタンパク質素材を含有させることで、当該衣材をまとわせた食材をフライパン調理に供しても衣剥がれが生じず、フライ様の食感を備えたノンフライ食品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
本発明は、ノンフライ食品用の衣材であって、ジャガイモ、トウモロコシおよび米からなる群から選ばれる1種または2種以上の粒状物を含む澱粉組成物と、油脂組成物と、レシチンと、タンパク質素材とを含み、前記衣材中の前記油脂組成物の含有量が、40質量%以上70質量%以下であることを特徴とする。
【0012】
前記粒状物の粒径は、目開き2.80mmの篩下であることが好ましい。
【0013】
前記澱粉組成物中に、前記粒状物が20質量%以上50質量%以下含まれてることが好ましい。
【0014】
前記タンパク質素材は、卵白粉であることが好ましい。
【0015】
本発明のノンフライ食品の製造方法は、上述の本発明の衣材を食材にまとわせる工程、および前記工程後の食材に油調以外の加熱調理を施す工程を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の衣材を食材にまとわせることにより、フライパン調理に供した場合においても、衣剥がれがなく、フライ食品様の食感に優れたノンフライ食品を得ることを可能とする。
【0017】
本発明のノンフライ食品の製造方法によれば、衣剥がれがなく、フライ食品様の食感を備えたノンフライ食品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本明細書における以下の用語を定義する。
「フライ食品」
食材もしくは食材に衣材をまとわせたものを油調して得られる食品を意味する。
「ノンフライ食品」
食材もしくは食材に衣材をまとわせたものを油調以外の加熱調理にて調理して得られるフライ食品様の食品を意味する。当該加熱調理方法として、フライパン調理、グリル調理、オーブン調理、電子レンジ調理、過加熱調理、加熱蒸気調理などが挙げられる。
「フライ食品様の食感」
表面の適度な硬さおよび崩壊感に起因する噛み始めのカリッと感やサクサク感を意味する。
【0019】
以下に、本発明の具体的な態様について説明する。
【0020】
本発明の衣材は、ノンフライ食品用の衣材であって、ジャガイモ、トウモロコシおよび米からなる群から選ばれる1種または2種以上の粒状物を含む澱粉組成物と、油脂組成物と、レシチンと、タンパク質素材とを含み、前記衣材中の前記油脂組成物の含有量が、40質量%以上70質量%以下とされているものである。前記油脂組成物の含有量は、40質量%以上65質量%以下であることが好ましく、45質量%以上65質量%以下であることがより好ましく、45質量%以上60質量%以下であることが特に好ましい。
【0021】
前記衣材中の前記澱粉組成物の含有量は、30質量%以上60質量%以下含まれていることが好ましく、35質量%以上60質量%以下含まれていることがより好ましく、35質量%以上55質量%以下含まれていることがさらに好ましく、40質量%以上55質量%以下含まれていることが特に好ましい。
【0022】
前記ジャガイモ、トウモロコシおよび米からなる群から選ばれる1種または2種以上の粒状物(以下、単に「前記粒状物」と称することがある。)は、ジャガイモ素材、トウモロコシ素材または米素材を粒状としたものであれば特に限定しない。例えば、ジャガイモ粉末、トウモロコシ粉末および米粉末から選ばれる1種または2種以上をエクストルーダー処理して造粒したものが挙げられる。
【0023】
前記澱粉組成物中の前記粒状物の含有量は、20質量%以上50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、25質量%以上45質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以上40質量%以下であることが特に好ましい。
【0024】
前記粒状物は、必要に応じて解砕して任意の粒径としていてもよい。本発明においては、粒径がJIS-Z8801-1規格における目開き2.80mmの篩下であることが好ましく、目開き2.00mm以下であることがより好ましく、目開き1.70mm以下であることがさらに好ましい。
また、前記粒状物は、上記粒径のものを90質量%以上含有することが好ましく、95質量%以上含有することがより好ましく、98質量%以上含むことがさらに好ましい。上限値は特に限定しないが、100質量%であることが好ましい。
【0025】
前記粒状物を含む澱粉組成物は、ジャガイモ、トウモロコシおよび米からなる群から選ばれる1種または2種以上の粒状物の他に、トウモロコシ、小麦、エンドウ豆、キャッサバおよび馬鈴薯などから調製された生でん粉、および前記生でん粉に対して物理的加工、化学的加工などを施した加工でん粉および油脂加工でん粉からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有してもよい。具体的には、α化澱粉、生でん粉、酸化澱粉、リン酸架橋澱粉およびアセチル化澱粉であることが好ましく、生馬鈴薯澱粉、α化ハイアミロースコーンスターチ、α化アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉であることがより好ましい。
【0026】
前記澱粉組成物中の前記粒状物以外の含有量は、特に限定するものではないが、前記粒状物と合わせて100質量%以下である。
【0027】
前記油脂組成物は、食用油脂を含むものである。食用油脂としては、菜種油、コーン油、大豆油、パームオレイン、ゴマ油、落花生油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ぶどう種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、胡桃油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、オリーブ油、米ぬか油、小麦胚芽油、あまに油、えごま油、パーム油、パーム核油、ヤシ油およびカカオ脂等の植物油脂;牛脂、豚脂、鶏脂および乳脂等の動物油脂;植物油脂および動物油脂のエステル交換油、水素添加油、分別油等が挙げられる。なかでも、本発明においては、菜種油、コーン油、大豆油、ひまわり油、米油、オリーブ油を用いることが好ましく、菜種油、コーン油、オリーブ油を用いることがより好ましく、菜種油を用いることが特に好ましい。
【0028】
前記食用油脂は、油糧原料から搾油、抽出等して得られた原油から、さらに、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理、脱臭処理のうち1種または2種以上の精製処理がなされてなるものであることが好ましく、脱ガム処理、脱酸処理、脱色処理および脱臭処理のすべての精製処理を施されてなるものであることがより好ましい。
【0029】
前記レシチンは、製造方法またはリン脂質の純度に応じて、クルードレシチン(粗製レシチンやペーストレシチンともいう)、脱油レシチン(粉末レシチンともいう)、分別レシチン(精製レシチンともいう)、および酵素処理レシチンに分別される。
【0030】
クルードレシチンは、油糧油脂から精製油を製造する工程中の脱ガム工程で分離されるガム質を、通常、水分1%以下に乾燥することにより得られる。そのようなクルードレシチンは、通常、リン脂質を30~70質量%含む。
【0031】
脱油レシチンは、クルードレシチンを溶液分別にかけて、脂質およびその他の微量成分を除去することにより得られる高純度レシチンである。この脱油レシチンのアセトン可溶物含有量は、通常、10質量%以下でよく、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。そのような脱油レシチンは、通常、リン脂質を50~99質量%含む。
【0032】
分別レシチンは、クルードレシチンまたは脱油レシチンを、溶剤分別およびその他の分別技術により、個々のリン脂質濃度を一定以上まで高めたものである。
【0033】
前記レシチンは、植物由来であることが好ましく、例えば、大豆レシチン、菜種レシチン、ひまわりレシチン、綿実レシチン、トウモロコシレシチン、落花生レシチン、パームレシチン、ゴマレシチン、米レシチン、えごまレシチンおよびあまにレシチン等が挙げられる。好ましくは、大豆レシチン、菜種レシチンおよびひまわりレシチンからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、より好ましくは大豆レシチンおよび菜種レシチンからなる群から得らればれる少なくとも一種であり、さらに好ましくは大豆レシチンである。
【0034】
前記レシチンは、市販のものを特に制限なく使用可能である。市販のレシチンの例には、大豆クルードレシチンとして製品名:レシチンCL(株式会社J-オイルミルズ製)等が挙げられる。
【0035】
前記レシチンは、一種単独でも、二種以上の併用でもよい。好ましくは、クルードレシチンである。
【0036】
前記衣材中のレシチンの含有量は、0.05質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0037】
前記タンパク質素材としては、食用のタンパク質素材であれば限定しないが、例えば、卵タンパク、大豆タンパク、乳たんぱく、および小麦タンパク等が挙げられる。本発明においては、卵タンパク、大豆タンパク、乳タンパクおよび小麦タンパクからなる群からえばられる一種または二種以上を用いることが好ましく、卵タンパク、大豆タンパクおよび乳タンパクからなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることがより好ましく、卵タンパクを用いることがさらに好ましい。
【0038】
前記衣材中のタンパク質素材の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上3質量%以下であることがさらに好ましい。
【0039】
また、本発明の衣材は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、調味料、レシチン以外の乳化剤、抗酸化剤、香料などを含んでもよい。
【0040】
本発明の衣材は、上述の素材を混合することで得ることができる。その混合方法や混合条件については、特に限定しないが、例えば以下の手順にて調製することができる。
(1)油脂組成物を50℃以上80℃以下に加熱する。
(2)(1)にレシチンおよびその他の油溶性の素材を投入して溶解させる。
(3)(2)に澱粉素材およびタンパク質素材などを投入し攪拌する。
(4)(3)を冷却し、必要に応じて香料などを添加して衣材を得る。
【0041】
上述の本発明の衣材によれば、当該衣材を食材にまとわせることにより、フライパン調理に供した場合においても、衣剥がれがなく、フライ食品様の食感に優れたノンフライ食品を得ることを可能とする。
【0042】
また、本発明のノンフライ食品の製造方法は、上述の衣材を食材にまとわせる工程、および前記工程後の食材に油調以外の加熱調理を施す工程を有するものである。
【0043】
また、本発明の製造方法においては、発明の効果を損ねない範囲において、例えば、本発明の衣材を食材にまとわせる工程の後に、パン粉などをさらにまとわせる工程を設けてもよい。
【0044】
前記ノンフライ食品は特に限定するものではないが、例えば、から揚げ、トンカツおよびコロッケ等が挙げられる。
【0045】
食材としては、鶏肉、豚肉、牛肉、魚肉、野菜、およびこれらの加工品が挙げられる。
【0046】
前記油調以外の加熱調理としては、特に限定するものではないが、例えば、フライパン調理、グリル調理、オーブン調理、電子レンジ調理、過加熱調理、加熱蒸気調理などが挙げられる。好ましくは、フライパン調理、グリル調理およびオーブン調理から選ばれる1種であり、より好ましくは、フライパン調理またはグリル調理であり、特に好ましくはフライパン調理である。
【0047】
本発明のノンフライ食品の製造方法によれば、衣剥がれがなく、フライ食品様の食感を備えたノンフライ食品を得ることができる。
【0048】
以下に、本発明の実施例を説明する。
【実施例0049】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例に用いた素材は以下のとおりである。
【0050】
<澱粉素材>
・ジャガイモの粒状物:ソフトコートEP-2、株式会社J-オイルミルズ製、馬鈴薯をエクストルーダーにて加熱造粒した後、摩砕機にて摩砕後、篩分けしたもの。目開き2.80mm以下を100質量%含有する。
・馬鈴薯澱粉:ジェルコールBP-200、株式会社J-オイルミルズ製、未加工の生でん粉
・アセチル化酸化タピオカ澱粉:ジェルコールSP-2、株式会社J-オイルミルズ製
・α化アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉:ジェルコールGT-α、株式会社J-オイルミルズ製
・α化ハイアミロースコーンスターチ:ジェルコールAH-F、株式会社J-オイルミルズ製
<油脂組成物>
・菜種油:さらさらキャノーラ油、株式会社J-オイルミルズ製
<レシチン>
・大豆レシチン:レシチンCL、株式会社J-オイルミルズ製、クルードレシチン
<タンパク質素材>
・卵タンパク:乾燥卵白Wタイプ、キユーピータマゴ株式会社製
【0051】
[試験例1] ノンフライ食品の検討
表1に記載の配合にて調製した比較例および実施例の衣材を調製し、当該衣材を鶏もも肉にまとわせてフライパン調理して得たノンフライ食品について、衣剥がれおよび食感について評価した。
【0052】
比較例および実施例の衣材の調製手順は以下のとおりである。
<衣材の調製手順>
(1)澱粉素材を混合して澱粉組成物とした。
(2)食用油脂を60℃に加熱し、達温したらレシチンを投入し溶解させた。
(3)(2)に澱粉組成物およびタンパク質素材を投入し、攪拌した。
(4)(3)を攪拌しながら65℃まで加熱した。
(5)(4)を冷却して衣材を得た。
【0053】
ノンフライ食品の調製手順は以下のとおりである。
<ノンフライ食品の調製手順>
(1)1個あたり約25gに鶏もも肉をカットした。
(2)ポリ袋に(1)の鶏もも肉4個および衣材20gを投入して揉みこんだ。
(3)180℃に加熱したフライパンに(2)の鶏もも肉が互いに接触しないように並べた。
(4)1分間加熱後、菜箸にて鶏もも肉を裏返した。
(5)さらに数回肉を裏返しながら焼成し、全体で5分間加熱し、ノンフライ食品を得た。
【0054】
ノンフライ食品の評価方法を以下に説明する。
<衣剥がれの評価方法>
得られたノンフライ食品の衣剥がれについて、以下に説明する(1)衣残存効果および(2)衣率%の少なくとも1種の方法にて評価を行った。評価結果は、衣残存効果が高く、衣率%の値が大きい程好ましいノンフライ食品が得られたことを意味する。
(1)衣残存効果
上述の方法にて得たノンフライ食品の表面全体を目視で観察し、下記の評価基準に従って評価した。得られた評価結果を表1に示した。
◎:衣剥がれが認められず衣残存効果が極めて高い
〇:衣剥がれがほとんど認められず衣残存効果がやや高い
△:衣剥がれがわずかに認められるが衣残存効果あり
×:顕著な衣剥がれが認められ、衣残存効果がない
(2)衣率%
上述の方法にて得たノンフライ食品を平らな机に載置した後、直上から目視しで観察して、衣の残存率を0~100%の範囲で数値付けした。次いで、ノンフライ食品を裏返し、反対側の表面に関しても、同じ方法にて衣の残存率を0~100%の範囲で数値付けした。得られた数値の平均値を「衣率%」として表1に示した。
<食感の評価方法>
訓練を受けた2名の専門パネラーが、調製後10分後のノンフライ食品を喫食し、衣のカリッと感およびサクサク感についてコメント付けを行った。各食感の説明は以下のとおりである。得られた評価結果を表1に示した。
(カリッと感)
ノンフライ食品の衣の硬さに起因し、食品を齧り始めた際の歯ざわりの感触を意味する。「カリッとしていた」ものはフライ食品の食感に近く好ましい。「ガリっとしていた」ものは硬すぎてフライ食品の食感と乖離している。
(サクサク感)
ノンフライ食品の衣のかみ砕きやすさに起因し、食品を噛みこんで咀嚼した際の歯ざわりの感触を意味する。「サクサク感あり」のものはフライ食品の食感に近く好ましい。
【0055】
【0056】
表1に示したように、実施例1-1乃至1-3の衣材を用いて調製したノンフライ食品は、衣残存効果が〇~◎、もしくは衣率%が高かった。また、実施例1-1乃至1-3の衣材を用いて調製したノンフライ食品は、カリッと軽い歯ざわりおよびサクサクとした咀嚼感を備えたフライ食品に近い好ましい食感を有していた。これに対して、比較例1-1および1-2の衣材を用いて調製したノンフライ食品は、衣残存効果が×または△であり、衣率%が低く、外観に優れなかった。
【0057】
また、ジャガイモの粒状物、馬鈴薯澱粉、α化アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉およびα化ハイアミロースコーンスターチを含む澱粉組成物、油脂組成物、レシチンおよび卵タンパクを含有する衣材を用いることにより、フライパン調理を行った場合においても、衣剥がれが少なく、カリッと感およびサクサク感に優れたノンフライ食品が得られることが明らかとなった。
【0058】
なお、本明細書において数値範囲の上限値及び下限値を示したときは、上限値及び下限値を適宜組み合わせることができ、それにより得られた数値範囲も開示しているものとする。
【0059】
本発明の衣材およびノンフライ食品の製造方法は、上述の実施形態及び実施例に限定するものではなく、発明の特徴及び効果を損なわない範囲において、種々の変更が可能である。