(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154112
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】合成皮革
(51)【国際特許分類】
D06N 3/00 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
D06N3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021056999
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】森畠 拓真
(72)【発明者】
【氏名】前田 亮
【テーマコード(参考)】
4F055
【Fターム(参考)】
4F055AA01
4F055BA12
4F055BA13
4F055DA08
4F055EA01
4F055EA04
4F055EA21
4F055EA30
4F055FA01
4F055FA15
4F055FA20
4F055GA02
4F055GA11
4F055GA32
4F055HA06
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、熱エンボス加工に優れる合成皮革を提供することである。
【解決手段】少なくとも、基材(i)、接着層(ii)、及び、表皮層(iii)を有する合成皮革であって、前記接着層(ii)及び前記表皮層(iii)の組み合わせが、下記構成(1)、又は、構成(2)であり、前記合成皮革が熱エンボス加工されたものであることを特徴とする合成皮革。<構成(1)>接着層(ii-1)の、流動開始温度が200℃を超えて250℃以下の範囲であり、100℃における損失正接が、0.01以上0.08未満の範囲であり、表皮層(iii-1)の、流動開始温度が140℃以上190℃未満の範囲であり、100℃における損失正接が、0.15以上0.3以下の範囲である。。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、基材(i)、接着層(ii)、及び、表皮層(iii)を有する合成皮革であって、前記接着層(ii)及び前記表皮層(iii)の組み合わせが、下記構成(1)、又は、構成(2)であり、前記合成皮革が熱エンボス加工されたものであることを特徴とする合成皮革。
<構成(1)>
接着層(ii-1)の、流動開始温度が200℃を超えて250℃以下の範囲であり、100℃における損失正接が、0.01以上0.08未満の範囲であり、
表皮層(iii-1)の、流動開始温度が140℃以上190℃未満の範囲であり、100℃における損失正接が、0.15以上0.3以下の範囲である。
<構成(2)>
接着層(ii-2)の、流動開始温度が170℃以上200℃以下の範囲であり、100℃における損失正接が、0.08以上0.15以下の範囲であり、
表皮層(iii-2)の、流動開始温度が190℃以上230℃以下の範囲であり、100℃における損失正接が、0.05以上0.15未満の範囲である。
【請求項2】
前記接着層(ii)、及び、前記表皮層(iii)が、いずれもウレタン樹脂組成物により形成されたものである請求項1記載の合成皮革。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成皮革に関する。
【背景技術】
【0002】
車輛内装材向けに使用される合成皮革を製造する工程において、天然皮革を模するために意匠性(凹凸模様やシボ模様など)を付与する工程が欠かせない。現在は、シボ付き離型紙を使用した手法が主流であるものの(例えば、特許文献1を参照。)、近年は、より深い凹凸が付与された意匠性の高い合成皮革を求めている。
【0003】
これを可能とすべく離型紙よりも深い凹凸加工が可能となる、エンボスロール等による熱エンボス加工が検討され始めている。離型紙では数十μmの凹凸高さが限界である一方、前記熱エンボス加工であれば数百μmのエンボスを付与することができる。
【0004】
しかしながら、目的の凹凸を100%天赦でいる離型紙と異なり、金型を使用した加工では合成皮革の物性に応じて転写度合い(加工後の合成皮革外観)が変化するため、熱エンボス加工性を制御できる合成皮革が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、熱エンボス加工性に優れる合成皮革を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも、基材(i)、接着層(ii)、及び、表皮層(iii)を有する合成皮革であって、前記接着層(ii)及び前記表皮層(iii)の組み合わせが、下記構成(1)、又は、構成(2)であり、前記合成皮革が熱エンボス加工されたものであることを特徴とする合成皮革。
【0008】
<構成(1)>
接着層(ii-1)の、流動開始温度が200℃を超えて250℃以下の範囲であり、100℃における損失正接が、0.01以上0.08未満の範囲であり、表皮層(iii-1)の、流動開始温度が140℃以上190℃未満の範囲であり、100℃における損失正接が、0.15以上0.3以下の範囲である。
【0009】
<構成(2)>
接着層(ii-2)の、流動開始温度が170℃以上200℃以下の範囲であり、100℃における損失正接が、0.08以上0.15以下の範囲であり、表皮層(iii-2)の、流動開始温度が190℃以上230℃以下の範囲であり、100℃における損失正接が、0.05以上0.15未満の範囲である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の合成皮革は、熱エンボス加工性に優れるものである。よって、本発明の合成皮革は、車輛内装材に好適に利用することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の合成皮革は、少なくとも、基材(i)、接着層(ii)、及び、表皮層(iii)を有するものであり、熱エンボスか加工されたものである。
【0012】
また、前記前記接着層(ii)及び前記表皮層(iii)の組み合わせは、下記構成(1)、又は、構成(2)であることが必須である。
【0013】
<構成(1)>
接着層(ii-1)の、流動開始温度が200℃を超えて250℃以下の範囲であり、100℃における損失正接が、0.01以上0.08未満の範囲であり、
表皮層(iii-1)の、流動開始温度が140℃以上190℃未満の範囲であり、100℃における損失正接が、0.15以上0.3以下の範囲である。
【0014】
<構成(2)>
接着層(ii-2)の、流動開始温度が170℃以上200℃以下の範囲であり、100℃における損失正接が、0.08以上0.15以下の範囲であり、
表皮層(iii-2)の、流動開始温度が190℃以上230℃以下の範囲であり、100℃における損失正接が、0.05以上0.15未満の範囲である。
【0015】
従来は、エンボス加工が施される層である、又は、それに近い層である表皮層の特性のみでエンボス加工性を評価してきたが、合成皮革全体での検討を進めた結果、表皮層だけでなく接着層の寄与も大きいことが分かった。そこで鋭意検討を進めた結果、硬い接着層及び軟らかい表皮層、又は、軟らかい接着層及び硬い表皮層の組み合わせが、熱エンボス加工工程で合成皮革全体として、適度な軟らかさ(変形しやすさ)を発現でき、優れたエンボス加工性が得られることが分かり、上記特定の構成(1)及び(2)の範囲を突き止めるに至った。なお、100℃における損失正接(以下「tanδ」と略記する。)は、動的粘弾性の指標であり、大きい値であるほど軟らかいことを示す。
【0016】
前記基材(i)としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維、綿、麻、絹、羊毛、グラスファイバー、炭素繊維、それらの混紡繊維等による不織布、織布、編み物等の繊維基材;前記不織布にポリウレタン樹脂等の樹脂を含浸させたもの;前記不織布に更に多孔質層を設けたもの;熱可塑性ウレタン(TPU)等の樹脂基材などを用いることができる。
【0017】
前記接着層(ii)は、接着層(ii-1)、及び、接着層(ii-2)共に、ウレタン樹脂組成物により形成されたものであることが好ましく、前記ウレタン樹脂組成物としては、ウレタン樹脂(A)、及び、溶剤(B)を含有することが好ましい。
【0018】
前記ウレタン樹脂(A)としては、例えば、ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)との反応物を用いることができる。
【0019】
前記ポリオール(a1)としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記ポリオール(a1)の数平均分子量としては、皮膜の機械的特性、柔軟性、及び、熱エンボス加工性の点から、500~100,000の範囲が好ましく、700~10,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリオール(a1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0021】
前記ポリオール(a1)には、必要に応じて、分子量が500未満の鎖伸長剤(a1-1)を併用することができる。前記鎖伸長剤(a1-1)としては、例えば、水酸基を有する鎖伸長剤、アミノ基を有する鎖伸長剤等を用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、前記鎖伸長剤(a1-1)の分子量は、化学構造式から算出される値を示す。
【0022】
前記水酸基を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の芳香族ポリオール化合物;水などを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記アミノ基を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等を用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記鎖伸長剤(a1-1)を併用する場合の使用量としては、より一層優れた熱エンボス加工性が得られる点から、前記ポリオール(a1)100質量部に対して、0.2~10質量部の範囲が好ましく、0.5~5.0質量部の範囲がより好ましい。
【0025】
前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記ウレタン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)と必要に応じて前記鎖伸長剤(a1-1)とを仕込み、反応させることによって製造する方法が挙げられる。これらの反応は、50~100℃の温度で概ね3~10時間行うことが好ましい。また、前記反応は、後述する溶剤(B)中で行ってもよい。
【0027】
前記ポリオール(a1)が有する水酸基並びに前記鎖伸長剤(a1-1)が有する水酸基及びアミノ基の合計と、前記ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基及びアミノ基)]としては、0.3~1.2の範囲であることが好ましく、0.5~1.1の範囲であることがより好ましい。
【0028】
前記ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量としては、皮膜の機械的強度、柔軟性、及び、エンボス加工性の点から、2,000~500,000の範囲であることが好ましく、3,000~300,000の範囲がより好ましく、5,000~150,000の範囲が更に好ましい。また、前記接着層(ii-1)に用いるウレタン樹脂(A)の重量平均分子量としては、5,000~50,000の範囲がより好ましく、前記接着層(ii-2)に用いるウレタン樹脂(A)の重量平均分子量としては、20,000~150,000の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0029】
前記溶剤(B)としては、例えば、水、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-エチルピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、sec-ブタノール、ターシャリーブタノール等を用いることができる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記ウレタン樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂(A)、及び、前記溶剤(B)を必須成分として含有するが、必要に応じて、その他の添加剤を含有しもよい。
【0031】
前記その他の添加剤としては、例えば、架橋剤、顔料、難燃剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、消泡剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤、フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、蛍光増白剤、老化防止剤、増粘剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート架橋剤、メラミン架橋剤、アミン架橋剤等を用いることができる。これらの架橋剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記架橋剤の使用量としては、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対し、3~15質量部の範囲が好ましく、5~12質量部の範囲がより好ましい。
【0033】
前記接着層(ii-1)は、流動開始温度が200℃を超えて250℃以下の範囲であり、tanδが、0.01以上0.08未満の範囲であり、接着層(ii-2)は、流動開始温度が170℃以上200℃以下の範囲であり、100℃における損失正接が、0.08以上0.15以下の範囲であるが、これらを製造し分ける技術的思想としては、下記の通りである。
【0034】
前記接着層(ii-1)としては、接着性を維持しつつ硬い設計とするため、例えば、ポリオール(a1)として、ラクトンを原料とするポリカーボネートポリオールを用いること、及び/又は、架橋剤を用いること、好ましくはポリイソシアネート架橋剤を用いること、などが挙げられる。
【0035】
前記接着層(ii-2)としては、接着性を維持しつつ軟らかい設計とするため、例えば、ポリオール(a1)として、ポリカーボネートポリオールとポリエーテルポリオールとを併用すること、などが挙げられる。
【0036】
前記表皮層(iii)は、表皮層(iii-1)、及び、表皮層(iii-2)共に、ウレタン樹脂組成物により形成されたものであることが好ましく、前記ウレタン樹脂組成物としては、ウレタン樹脂(X)、及び、溶剤(Y)を含有することが好ましい。前記ウレタン樹脂(X)としては、例えば、ポリオール(x1)とポリイソシアネート(x2)との反応物を用いることができる。
【0037】
前記ウレタン樹脂(X)としては、例えば、ポリオール(x1)とポリイソシアネート(x2)との反応物を用いることができる。
【0038】
前記ポリオール(x1)としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記ポリオール(x1)の数平均分子量としては、皮膜の機械的特性、柔軟性、及び、熱エンボス加工性の点から、500~100,000の範囲が好ましく、700~10,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリオール(x1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0040】
前記ポリオール(x1)には、必要に応じて、分子量が500未満の鎖伸長剤(x1-1)を併用することができる。前記鎖伸長剤(x1-1)としては、例えば、水酸基を有する鎖伸長剤、アミノ基を有する鎖伸長剤等を用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、前記鎖伸長剤(x1-1)の分子量は、化学構造式から算出される値を示す。
【0041】
前記水酸基を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等の芳香族ポリオール化合物;水などを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記アミノ基を有する鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等を用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記鎖伸長剤(x1-1)を併用する場合の使用量としては、より一層優れた熱エンボス加工性が得られる点から、前記ポリオール(x1)100質量部に対して、1~50質量部の範囲が好ましく、3~20質量部の範囲がより好ましい。
【0044】
前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記ウレタン樹脂(X)の製造方法としては、例えば、前記ポリオール(x1)と前記ポリイソシアネート(x2)と必要に応じて前記鎖伸長剤(x1-1)とを仕込み、反応させることによって製造する方法が挙げられる。これらの反応は、50~100℃の温度で概ね3~10時間行うことが好ましい。また、前記反応は、後述する溶剤(B)中で行ってもよい。
【0046】
前記ポリオール(x1)が有する水酸基並びに前記鎖伸長剤(x1-1)が有する水酸基及びアミノ基の合計と、前記ポリイソシアネート(x2)が有するイソシアネート基とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基及びアミノ基)]としては、0.3~1.2の範囲であることが好ましく、0.5~1.1の範囲であることがより好ましい。
【0047】
前記ウレタン樹脂(X)の重量平均分子量としては、皮膜の機械的強度、柔軟性、及び、エンボス加工性の点から、5,000~500、000の範囲であることが好ましく、10,000~300,000の範囲がより好ましく、30,000~150,000の範囲が更に好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(X)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0048】
前記溶剤(Y)としては、例えば、水、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N,N,2-トリメチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-エチルピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、sec-ブタノール、ターシャリーブタノール等を用いることができる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記ウレタン樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂(X)、及び、前記溶剤(Y)を必須成分として含有するが、必要に応じて、その他の添加剤を含有しもよい。
【0050】
前記その他の添加剤としては、例えば、架橋剤、顔料、難燃剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、消泡剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤、フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、蛍光増白剤、老化防止剤、増粘剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0051】
前記表皮層(iii-1)は、流動開始温度が140℃以上190℃未満の範囲であり、tanδが、0.15以上0.3以下の範囲であり、表皮層(iii-2)は、流動開始温度が190℃以上230℃以下の範囲であり、tanδが、0.05以上0.15未満の範囲であるが、これらを製造し分ける技術的思想としては、下記の通りである。
【0052】
前記表皮層(iii-1)としては、耐久性を維持しつつ軟らかい設計とするため、例えば、
・ポリイソシアネート(x2)として、脂肪族ポリイソシアネートと脂環式ポリイソシアネートとを併用し、鎖伸長剤(x1-1)として、アミノ基を有する鎖伸長剤を用いること、
・ポリイソシアネート(x2)として、脂環式ポリイソシアネートを単独で用いる場合には、脂環構造を1つ有する脂環式ポリイソシアネートを用い、鎖伸長剤(x1-1)として、アミノ基を有する鎖伸長剤を用いること、
・ポリイソシアネート(x2)として、芳香族ポリイソシアネートを用いる場合には、炭素原子数が6~10の範囲である、水酸基を有する鎖伸長剤を用いること、
などが挙げられる。
【0053】
前記表皮層(iii-2)としては、耐久性を維持しつつ硬い設計とするため、例えば、
・ポリイソシアネート(x2)として、脂環構造を2つ有する鎖伸長剤を用い、鎖伸長剤(x1-1)として、アミノ基を有する鎖伸長剤を用いること、
・ポリイソシアネート(x2)として、芳香族ポリイソシアネートを用いる場合には、炭素原子数が1~5の範囲である、水酸基を有する鎖伸長剤を用いること、
などが挙げられる。
【0054】
次に、本発明の合成皮革について説明する。
【0055】
本発明の合成皮革は、少なくとも、基材(i)、接着層(ii)、及び、表皮層(iii)を有するものであり、具体的には、例えば、以下の構成が挙げられる。
(1)基材(i)、接着層(ii)、表皮層(iii)
(2)基材(i)、接着層(ii)、中間層、表皮層(iii)
(3)基材(i)、多孔層、接着層(ii)、表皮層(iii)
(4)基材(i)、多孔層、接着層(ii)、中間層、表皮層(iii)
【0056】
前記多孔層としては、溶剤系ウレタン樹脂組成物を公知の湿式製膜法により形成されたもの;水系ウレタン樹脂組成物を公知の方法により多孔化した等を用いることができる。
【0057】
前記中間層を形成する材料としては、例えば、公知の水系ウレタン樹脂、溶剤系ウレタン樹脂、無溶剤ウレタン樹脂、水系アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0058】
前記表皮層(iii)の上には、傷つき防止等のため、更に表面処理層を設けてもよい。前記表面処理層を形成する材料としては、例えば、公知の水系ウレタン樹脂、溶剤系ウレタン樹脂、無溶剤ウレタン樹脂、水系アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0059】
次に、前記(1)の構成を有する合成皮革の製造方法について説明する。
【0060】
前記合成皮革の製造方法としては、例えば、離型処理された基材上に、表皮層形成用のウレタン樹脂組成物を塗工し、乾燥・工程することにより、表皮層(iii)を得、次いで、この表皮層(iii)上に、接着層形成用のウレタン樹脂組成物を塗工し、乾燥させ、接着層(ii)を形成し、これを基材(i)と貼り合わせる方法が挙げられる。また、表皮層(iii)上に、接着層形成用のウレタン樹脂組成物を塗工し、これを基材(i)と貼り合わせた後に乾燥させ、接着層(ii)を形成する方法でも良い。
【0061】
前記表皮層形成用および接着層形成用のウレタン樹脂組成物を塗工する方法としては、例えば、アプリケーター、ロールコーター、スプレーコーター、T-ダイコーター、ナイフコーター、コンマコーター等を使用する方法が挙げられる。
【0062】
前記ウレタン樹脂組成物の乾燥方法としては、例えば、40~130℃で1~10分行う方法が挙げられる。得られる接着層(ii)および表皮層(iii)の厚さとしては、合成皮革が使用される用途に応じて適宜決定されるが、例えば0.5~100μmの範囲である。
【0063】
前記合成皮革を製造した後は、必要に応じて、例えば、30~100℃で1~10日エージングしてもよい。
【0064】
以上、本発明の合成皮革は、耐エンボス加工性に優れるものである。
【実施例0065】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0066】
[合成例1]表皮層形成用ウレタン樹脂(X-1-1)組成物の調製
温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた窒素置換された容器内に、1,6-ヘキサンジオールを原料とするポリカーボネートポリオール(数平均分子量;2,000、以下「PC(1)」と略記する。)180質量部、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオール(モル比50/50)を原料とするポリカーボネートポリオール(数平均分子量;2,000、以下「PC(2)」と略記する。)180質量部、を加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、N、N-ジメチルホルムアミド255質量部を加え、十分に攪拌した。攪拌後、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」と略記する。)60質量部、ヘキサンジイソシアネート(以下「HDI」と略記する。)19質量部とオクチル酸第一錫0.2質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、N,N-ジメチルホルムアミド839質量部を加え、35℃に冷却し、ジシクロヘキシルメタンジアミン(以下「HDMA」と略記する。)25質量部を加え、攪拌することでウレタン樹脂を鎖伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン4質量部を加え、混合することで、表皮層形成用ウレタン樹脂(X-1-1)組成物を得た。
【0067】
[合成例2]表皮層形成用ウレタン樹脂(X-1-2)組成物の調製
温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた窒素置換された容器内に、PC(1)180質量部、PC(2)180質量部を加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、N、N-ジメチルホルムアミド268質量部を加え、十分に攪拌した。攪拌後、IPDI85質量部、オクチル酸第一錫0.2質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、N,N-ジメチルホルムアミド826質量部を加え、35℃に冷却し、イソホロンジアミン(以下「IPDA」と略記する。)21質量部を加え、攪拌することでウレタン樹脂を鎖伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン3質量部を加え、混合することで、表皮層形成用ウレタン樹脂(X-1-2)組成物を得た。
【0068】
[合成例3]表皮層形成用ウレタン樹脂(X-1-3)組成物の調製
温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた窒素置換された容器内に、PC(1)400質量部、を加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、N、N-ジメチルホルムアミド677質量部、1,6-ヘキサンジオール(以下「HG」と略記する。)32質量部を加え、十分に攪拌した。攪拌後、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略記する。)119質量部を加え、75℃で反応させた。次いで、N,N-ジメチルホルムアミド500質量部を加えて40℃に冷却し、表皮層形成用ウレタン樹脂(X-1-3)組成物を得た。
【0069】
[比較合成例1]表皮層形成用ウレタン樹脂(XR-1-1)組成物の調製
HGの使用量を18質量部に変更した以外は、表皮層形成用ウレタン樹脂(XR-1-1)組成物を得た。
【0070】
[合成例4]表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-1)組成物の調製
温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた窒素置換された容器内に、PC(1)360質量部を加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、N、N-ジメチルホルムアミド230質量部を加え、十分に攪拌した。攪拌後、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下「H12DMI」と略記する。)98質量部、オクチル酸第一錫0.2質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、N,N-ジメチルホルムアミド915質量部を加え、35℃に冷却し、IPDA29質量部を加え、攪拌することでウレタン樹脂を鎖伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン4質量部を加え、混合することで、表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-1)組成物を得た。
【0071】
[合成例5]表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-2)組成物の調製
PC(1)の種類をPC(2)に変更した以外は合成例4と同様にして、表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-2)組成物を得た。
【0072】
[合成例6]表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-3)組成物の調製
PC(1)360質量部を、PC(1)180質量部、及びPC(2)180質量部に変更した以外は合成例4と同様にして、表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-3)組成物を得た。
【0073】
[合成例7]表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-4)組成物の調製
温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた窒素置換された容器内に、PC(1)200質量部、PC(2)200質量部を加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、N、N-ジメチルホルムアミド250質量部を加え、十分に攪拌した。攪拌後、H12DMI125質量部、オクチル酸第一錫0.2質量部を加え、75℃で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。次いで、N,N-ジメチルホルムアミド1050質量部を加え、35℃に冷却し、HMDA33質量部を加え、攪拌することでウレタン樹脂を鎖伸長させた。次いで、N,N-ジブチルアミン6質量部を加え、混合することで、表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-4)組成物を得た。
【0074】
[合成例8]表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-5)組成物の調製
温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた窒素置換された容器内に、PC(1)400質量部、を加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、N、N-ジメチルホルムアミド704質量部、エチレングリコール(以下「EG」と略記する。)32質量部を加え、十分に攪拌した。攪拌後、MDI200質量部を加え、75℃で反応させた。次いで、N,N-ジメチルホルムアミド500質量部を加えて40℃に冷却し、表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-5)組成物を得た。
【0075】
[合成例9]表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-6)組成物の調製
温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた窒素置換された容器内に、PC(1)400質量部、を加え、減圧度0.095MPaにて120~130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、N、N-ジメチルホルムアミド584質量部、1,4-ブタンジオール(以下「BG」と略記する。)32質量部を加え、十分に攪拌した。攪拌後、MDI145質量部を加え、75℃で反応させた。次いで、N,N-ジメチルホルムアミド500質量部を加えて40℃に冷却し、表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-6)組成物を得た。
【0076】
[合成例10]表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-7)組成物の調製
PC(1)の種類を、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;2,000)に変更した以外は、合成例8と同様にして、表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-7)組成物を得た。
【0077】
[合成例11]表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-8)組成物の調製
PC(1)の種類を、ポリエステルポリオール(1,6-ヘキサンジオール及びアジピン酸の反応物、数平均分子量;2,000)に変更した以外は、合成例8と同様にして、表皮層形成用ウレタン樹脂(X-2-8)組成物を得た。
【0078】
[数平均分子量および重量平均分子量の測定方法]
ポリオールの数平均分子量、及び、ウレタン樹脂の重要平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
【0079】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0080】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0081】
[接着層用配合液(A-1-1)の調整]
DIC株式会社製水酸基末端ウレタン樹脂組成物「クリスボンTA-205FT」(1,6-ヘキサンジオール及びラクトンを原料とするポリカーボネートポリオールとトルエンジイソシアネートとの反応物)60質量部、DIC株式会社製ポリイソシアネート架橋剤「バーノックDN-950」6質量部、DIC株式会社製触媒「アクセルT-81E」1質量部をホモミキサーで混合し、接着層用配合液(A-1-1)を得た。
【0082】
[接着層用配合液(A-1-2)の調整]
ポリイソシアネート架橋剤の使用量を12質量部に変更した以外は、同様にして接着層用配合液(A-1-2)を得た。
【0083】
[接着層用配合液(A-2-1)の調整]
DIC株式会社製ウレタン樹脂組成物「クリスボンOA-21」(1,6-ヘキサンジオールを原料とするポリカーボネートポリオール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール、及び、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートの反応物、固形分;35質量%)100質量部、N,N-ジメチルホルムアミド10質量部をホモミキサーで混合し、接着層用配合液(A-2-1)を得た。
【0084】
[表皮層用配合液の調整]
合成例で得られた表皮層形成用ウレタン樹脂組成物100質量部、N,N-ジメチルホルムアミド20質量部、メチルエチルケトン20質量部、DIC株式会社製着色剤「ダイラックL-1770S」20質量部をメカニカルミキサーにて2,000rpm、2分間攪拌し、次いで真空脱泡気を使用して脱泡させ、表皮層用配合液を得た。
【0085】
[流動開始温度の測定方法]
接着装用配合液、及び、表皮層用配合液をそれぞれ離型紙上に乾燥後の厚さが100μmとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させて、離型紙を剥離し、試験片を得た。得られた試験片を下記の装置・条件で測定した際に、試験片が変形し始めた時の温度を流動開始温度(℃)とした。
測定装置;株式会社島津製作所製「島津フローテスターCFT500D-1」
ダイ穴径;1mm
ダイ長さ;1mm
条件;昇温法、昇温速度;3.0℃/分、余熱時間600秒、荷重98N
【0086】
[tanδの測定方法]
接着装用配合液、及び、表皮層用配合液をそれぞれ離型紙上に乾燥後の厚さが100μmとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させて、離型紙を剥離し、試験片を得た。得られた試験片をJISK7244-1999に準拠した下記条件での動的粘弾性分析により、100℃における損失正接を測定した。
測定装置;ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製粘弾性測定装置「RSA-G2」
温度範囲;-100~200℃
昇温速度;5℃/分
条件;周波数;1Hz、歪0.05%、引張モード
【0087】
[実施例1]
離型紙上に、前記(X-1-1)を用いた表皮層用配合液をナイフコーターにて150μmの厚さで塗布した後、70℃で2分間、120℃で2分間乾燥させることで表皮層を得た。次いで、前記接着層用配合液(A-1-1)を乾燥後の厚さが60μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥させた。次いで、ポリエステル基布を載置し、130℃のラミネーターで圧着させた後、40℃で3日間熟成し、離型紙を剥離して合成皮革を得た。
【0088】
[実施例2~12、比較例1~10]
用いる表皮層用配合液、及び接着層用配合液の種類を表1~4の示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
【0089】
[熱エンボス加工性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた合成皮革の表皮層側に5円玉を載置し、加熱プレス機を使用して熱エンボス加工(5円玉側温度;140℃、基布側温度;130℃、プレス圧1MPa、プレス時間;30秒)を実施し、合成皮革を目視観察し、以下の様に評価した。
「A」;プレス後に5円玉の外縁、内縁、内側の模様の形状がはっきりと転写されている。
「B」;外縁、内縁の形状がはっきりと転写されているが、内側の模様をはっきりと確認できない。
「C」;5円玉の形状がほとんど転写されていない。
「D」;表面側から基布の模様がはっきりと確認され、一部溶融したと思われる。
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
本発明の合成皮革である実施例1~12は、熱エンボス加工性に優れることが分かった。
【0095】
一方、比較例1~2、及び、4~20は、本発明で規定する以外の接着層を用いた態様であるが、熱エンボス加工性が不良であった。
【0096】
一方、比較例3は、本発明で規定する以外の表皮層を用いた態様であるが、熱エンボス加工性が不良であった。