(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154135
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】積層フィルムおよび包装袋
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20221005BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20221005BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20221005BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
B32B27/32 C
B32B27/36
B65D30/02
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057028
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘嗣
(72)【発明者】
【氏名】米山 通徳
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA17
3E064BA25
3E064BA54
3E064BB03
3E064EA30
3E064FA04
3E064FA06
3E064HN12
3E086AA23
3E086AB01
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3E086BB63
3E086CA01
3E086CA11
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3E086CA40
4F100AK04B
4F100AK04C
4F100AK42A
4F100AK62B
4F100AK62C
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4F100JL12B
(57)【要約】
【課題】リサイクル性と保香性を両立することが可能な積層フィルムおよび包装袋を提供する。
【解決手段】ポリエステル系樹脂フィルムとポリエチレン系樹脂フィルムからなる積層フィルムであって、ポリエステル系樹脂フィルムの厚さが9μm以下であり、ポリエステル系樹脂フィルム以外のフィルムがポリエチレン系樹脂フィルムであり、積層フィルムのシーラントがポリエチレン系樹脂フィルムであり、ポリエステル系樹脂フィルムが、積層フィルムの全体に対して5重量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル系樹脂フィルムとポリエチレン系樹脂フィルムからなる積層フィルムであって、
前記ポリエステル系樹脂フィルムの厚さが9μm以下であり、
前記ポリエステル系樹脂フィルム以外のフィルムがポリエチレン系樹脂フィルムであり、
前記積層フィルムのシーラントがポリエチレン系樹脂フィルムであり、
前記ポリエステル系樹脂フィルムが、前記積層フィルムの全体に対して5重量%以下であることを特徴とする積層フィルム。
【請求項2】
前記ポリエステル系樹脂フィルムの厚さが2~6μmであることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記積層フィルムが、ポリエチレン系樹脂フィルムからなる基材フィルムを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記シーラントのポリエチレン系樹脂フィルムと前記ポリエステル系樹脂フィルムとの間には、片面に印刷層を有する透明なポリエチレン系樹脂フィルムが積層されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記シーラントのポリエチレン系樹脂フィルムの外側には、前記ポリエステル系樹脂フィルムと、内面に印刷層を有する延伸されたポリエチレン系樹脂フィルムとが、この順に積層されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
【請求項6】
少なくとも1の部材が、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層フィルムから形成されていることを特徴とする包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルムおよび包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の段落0012や特許文献2の段落0010には、従来から包装袋に使用されるフィルムとして、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリエステル等の基材フィルムに、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をシーラント層として積層した積層フィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-265020号公報
【特許文献2】特開2013-39932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の包装袋の部材に使用される複合フィルムは、内面にポリエチレン(PE)等の熱接着性樹脂(シーラント)層、外面には、シーラントよりも耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート(PET)等の基材が積層されている。包装袋の部材間を熱接着する際には、シーラントを溶融させて複合フィルムの内面が接合される。しかし、異種の樹脂を含む包装袋は、プラスチック製容器包装としてのリサイクルが困難である。
【0005】
近年、リサイクルを容易にするため、単一の樹脂を用いるモノマテリアルの容器包装が提唱されている。しかし、ポリエチレンのみを用いたフィルムから包装袋を形成すると、芳香成分がポリエチレンに吸着されやすいため、保香性が低下する。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リサイクル性と保香性を両立することが可能な積層フィルムおよび包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、ポリエステル系樹脂フィルムとポリエチレン系樹脂フィルムからなる積層フィルムであって、前記ポリエステル系樹脂フィルムの厚さが9μm以下であり、前記ポリエステル系樹脂フィルム以外のフィルムがポリエチレン系樹脂フィルムであり、前記積層フィルムのシーラントがポリエチレン系樹脂フィルムであり、前記ポリエステル系樹脂フィルムが、前記積層フィルムの全体に対して5重量%以下であることを特徴とする積層フィルムを提供する。
【0008】
前記ポリエステル系樹脂フィルムの厚さが2~6μmであってもよい。
前記積層フィルムが、ポリエチレン系樹脂フィルムからなる基材フィルムを含んでもよい。
前記シーラントのポリエチレン系樹脂フィルムと前記ポリエステル系樹脂フィルムとの間には、片面に印刷層を有する透明なポリエチレン系樹脂フィルムが積層されていてもよい。
前記シーラントのポリエチレン系樹脂フィルムの外側には、前記ポリエステル系樹脂フィルムと、内面に印刷層を有する延伸されたポリエチレン系樹脂フィルムとが、この順に積層されていてもよい。
【0009】
また、本発明は、少なくとも1の部材が、前記積層フィルムから形成されていることを特徴とする包装袋を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポリエチレン系樹脂フィルムを主体とする積層フィルムにポリエステル系樹脂フィルムを用いることで、リサイクル性と保香性を両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。実施形態の積層フィルムは、ポリエステル系樹脂フィルムとポリエチレン系樹脂フィルムからなる積層フィルムであって、ポリエステル系樹脂フィルムの厚さが9μm以下であり、ポリエステル系樹脂フィルム以外のフィルムがポリエチレン系樹脂フィルムであり、積層フィルムのシーラントがポリエチレン系樹脂フィルムであり、ポリエステル系樹脂フィルムの重量が、積層フィルムの全体に対して5重量%以下である。このため、実施形態の積層フィルムを用いると、最小限のポリエステル系樹脂フィルムを用いて、モノマテリアルに近い容器包装を実現することができる。
【0012】
ポリエチレン系樹脂フィルムを形成するポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体(ホモポリマー)でもよく、エチレンを主体とする共重合体(コポリマー)でもよい。エチレン以外のモノマー(コモノマー)としては、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン、ノルボルネン等の環状オレフィン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸等のビニル系モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。ポリエチレン系樹脂が、酢酸ビニル等のエステル基を有するモノマーを共重合している場合は、エステル基の一部がケン化されて、ビニルアルコールを含む共重合体となっていてもよい。ポリエチレン系樹脂にコモノマーを用いる場合は、コモノマーが1種でも、2種以上でもよい。
【0013】
ポリエチレン系樹脂の構成モノマーにおけるエチレンの割合は、50重量%以上が好ましく、例えば、80~100重量%でもよい。ポリエチレン系樹脂に使用されるエチレンまたはコモノマーは、石油等の化石資源に由来する化合物でもよく、植物等のバイオマスに由来する化合物でもよい。ポリエチレン系樹脂層に含まれる樹脂が、ポリエチレン系樹脂のみでもよい。
【0014】
ポリエチレン系樹脂フィルムは、樹脂以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、着色剤、架橋剤等が挙げられる。添加剤は、樹脂に相溶する成分でもよく、樹脂に相溶しない成分でもよい。ポリエチレン系樹脂フィルムを形成する材料が、1種のポリエチレン系樹脂でもよく、2種以上のポリエチレン系樹脂のブレンドでもよい。
【0015】
実施形態の積層フィルムにおいて、シーラントフィルムは、ポリエチレン系樹脂フィルムであり、積層フィルムの内面に配置される。シーラントフィルムは、無延伸のポリエチレン系樹脂から形成されることが好ましい。シーラントフィルムを形成する材料の具体例としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等の相対的に密度が低いポリエチレン系樹脂が挙げられる。
【0016】
シーラントフィルムを形成する材料が、1種のポリエチレン系樹脂でもよく、2種以上のポリエチレン系樹脂のブレンドでもよい。シーラントフィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば、60~180μm程度が挙げられる。シーラントフィルムが、2層以上のフィルムからなる積層体であってもよい。多層のシーラントフィルムは、共押出法、押出ラミネート法、サンドイッチラミネート法、熱ラミネート法等により、フィルム状のシーラント樹脂を2層以上積層して形成することができる。
【0017】
実施形態の積層フィルムは、ポリエチレン系樹脂フィルムからなる基材フィルムを含むことが好ましい。基材フィルムを形成するポリエチレン系樹脂としては、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等、比較的密度が高いポリエチレン系樹脂が好ましい。基材フィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば、10~50μm程度が挙げられる。基材フィルムは、2層以上のフィルムからなる積層体であってもよい。基材フィルムを形成する材料が、1種のポリエチレン系樹脂でもよく、2種以上のポリエチレン系樹脂のブレンドでもよい。
【0018】
積層フィルムの厚さに対してシーラントフィルムの厚さが占める割合は、50%以上が好ましく、60%、70%、80%、90%、95%程度、あるいは、これらの中間値でもよい。積層フィルムの厚さに対してポリエチレン系樹脂フィルム(シーラントフィルム、基材フィルムなど)の厚さの合計が占める割合は、50%以上が好ましく、60%、70%、80%、90%、95%、99%程度、あるいは、これらの中間値でもよい。
【0019】
実施形態の積層フィルムは、保香層として、厚さが9μm以下のポリエステル系樹脂フィルムを有する。これにより、ポリエチレン系樹脂フィルムに準じたリサイクル性を確保した上で、積層フィルムの保香性と両立することができる。ポリエステル系樹脂フィルムの厚さは、リサイクル性、保香性、取扱い性を兼ね備える観点からは、2~6μm程度が好ましい。
【0020】
ポリエステル系樹脂フィルムを形成するポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンイソフタレートとポリエチレンテレフタレートの共重合体、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリエステル等が挙げられる。
【0021】
積層フィルムには、印刷層が積層されてもよい。積層フィルムは、シーラントフィルムおよびポリエステル系樹脂フィルム以外に、印刷層を有するポリエチレン系樹脂フィルムからなる印刷フィルムを積層してもよい。印刷フィルムは、基材フィルムであってもよい。印刷層は、印刷フィルムの内面に形成されてもよく、印刷フィルムの外面に形成されてもよい。印刷フィルムの内面に印刷層を積層すると、印刷フィルムにより印刷層が保護されるので、好ましい。
【0022】
印刷フィルムは、シーラントフィルムとポリエステル系樹脂フィルムとの間に積層されてもよい。シーラントのポリエチレン系樹脂フィルムとポリエステル系樹脂フィルムとの間において、片面に印刷層を有する透明なポリエチレン系樹脂フィルムが積層されていてもよい。この場合は、印刷フィルムの印刷層と同じ側または反対側の面にポリエステル系樹脂フィルムが積層される。
【0023】
ポリエチレン系樹脂フィルムに印刷層を形成した後で、内面または外面に印刷層を有するポリエチレン系樹脂フィルムの外面にポリエステル系樹脂フィルムをラミネートしてもよい。印刷フィルムの印刷層と反対側の面にポリエステル系樹脂フィルムが積層されている場合は、ポリエチレン系樹脂フィルムにポリエステル系樹脂フィルムをラミネートした後で、ポリエチレン系樹脂フィルムの側に印刷層を形成することも可能である。
【0024】
印刷フィルムは、シーラントフィルムを内側、ポリエステル系樹脂フィルムを外側に積層したとき、ポリエステル系樹脂フィルムのさらに外側に積層されてもよい。この場合は、シーラントフィルムの外側において、ポリエステル系樹脂フィルムと、内面に印刷層を有する延伸されたポリエチレン系樹脂フィルムとが、この順に積層されていてもよい。
【0025】
印刷層は、グラビア印刷、凸版印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット等の印刷方式でインキをベタ状またはパターン状に印刷することにより、形成することができる。印刷層の厚さは、特に限定されないが、0.5~10μm程度が挙げられる。印刷層は、積層フィルムの全面に形成してもよく、積層フィルムの面内の一部に形成してもよい。2層以上の印刷層を重ね合わせてもよい。印刷層を省略してもよい。
【0026】
印刷層を形成するためのインキは、顔料、染料等の着色材と、バインダーを含んでもよい。バインダーとしては、特に限定されないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アクリル系重合体、ポリブタジエン、環化ゴム等が挙げられる。インキは、水、有機溶剤、植物油などの溶剤を含有してもよい。印刷後は、溶剤の揮発やインキの硬化等によりインキを乾燥させることができる。インキの乾燥を促進するため、加熱、紫外線照射等を実施してもよい。印刷層が樹脂を含んでもよく、樹脂を含まない印刷層でもよい。
【0027】
シーラントフィルム、基材フィルム、印刷フィルム、または、ポリエステル系樹脂フィルムの間は、接着層を介在させて接合することが好ましい。接着層は、接着剤から形成されてもよく、アンカーコート剤から形成されてもよい。接着層を形成する材料としては、特に限定されないが、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、ポリエチレンイミン、チタンアルコキシド等の有機チタン化合物等が挙げられる。接着層の厚さは、例えば、0.1~10μm程度、1~6μm程度、3~4μm程度が挙げられる。接着層が樹脂を含んでもよく、樹脂を含まない接着層でもよい。
【0028】
積層フィルムには、樹脂フィルム以外の異種材料層として、接着層、印刷層、蒸着層、塗布層などが積層されていてもよい。異種材料としては、アルミニウム等の金属、シリカ、アルミナ等の無機化合物等が挙げられる。印刷層、接着層等には、インキ、塗料、接着剤等の材料として、ポリエチレン以外の樹脂が含まれてもよい。
【0029】
異種材料層は、シーラントフィルムと基材フィルムとの間に配置されてもよい。異種材料層が、積層フィルムの厚さ方向で、基材フィルムより外側に配置されてもよい。積層フィルムを形成する方法は、特に限定されないが、ドライラミネート、押出ラミネート、熱ラミネート、共押出、コーティング等が挙げられる。各層を積層するために、それぞれ異なる方法を用いてもよい。
【0030】
実施形態の積層フィルムにおいて、接着層、印刷層、蒸着層、塗布層のように厚さが薄い層が、樹脂を含む層であってもよい。これら以外の、厚さが比較的厚い層がポリエチレン系樹脂層のみであることが好ましい。厚さが薄い層の厚さは、各層の1層ごとの厚さ、または各層の合計の厚さとして、例えば、10μm以下、あるいは5μm以下が挙げられる。
【0031】
実施形態の積層フィルムは、シーラントフィルム、基材フィルム、印刷フィルム等の樹脂フィルムとして、保香用のポリエステル系樹脂フィルム以外は全て、ポリエチレン系樹脂フィルムが積層される。実施形態の積層フィルムは、例えば、ポリプロピレン系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム等を含まないで構成することができる。
【0032】
実施形態の積層フィルムは、包装袋の作製に用いることができる。実施形態の包装袋は、少なくとも1の部材が、実施形態の積層フィルムから形成されていればよい。包装袋が胴部材と底部材とを有してもよい。例えば、包装袋の下部で、折り線により二つ折りにした底部材が、一対の胴部材の間に接合されてもよい。包装袋の開封を容易にするため、開封部の周縁にノッチ等の切れ目を形成してもよい。積層フィルムの内面を接合したシール部に切れ目を形成すると、包装袋の密封性を確保することができる。
【0033】
包装袋の寸法は、特に限定されるものではないが、例えば詰め替え容器の用途では、上下方向の高さが100~500mm程度、左右方向の幅が70~300mm程度、充填量としては100cm3~5000cm3程度が挙げられる。内容物の状態としては、液体、粉体、粒体等の流体が挙げられる。内容物の種類としては、特に限定されないが、洗剤、薬剤、化粧品、医薬品、飲料、調味料、インキ、塗料、燃料等が挙げられる。
【0034】
包装袋は、充填口、注出口等を有してもよい。例えば、包装袋の上部で前後の胴部材の間が開口されて、内容物の充填または注出に用いることができる。内容物の充填後に胴部材の間を接合して、包装袋を密封してもよい。包装袋を開封する際には、積層フィルムの手切れ性が良好であるため、胴部材の間が接合されていた箇所を容易に引き裂くことができる。注出口が包装袋の上部または隅部で細く突出する形状に形成されてもよい。
【0035】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【0036】
実施形態の積層フィルムは、ポリエチレン系樹脂を主体としており、パウチ、バッグ、コンテナ等の包装袋、包装フィルム等の包装用積層フィルムに限られず、種々の用途に用いることができる。積層フィルムが柔軟な場合は、軟包装の包装袋を形成することができる。包装袋は、積層フィルムのみから形成してもよく、ラベル、タグ、ストロー、外箱等の付属部材と組み合わせてもよい。リサイクルの観点では、付属部材を包装袋から分離できることが好ましい。
【実施例0037】
以下、実施例として、より具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
(実施例1の積層フィルム)
実施例1の積層フィルムは、厚さ25μmのPEシーラントフィルムと、厚さが5μmのPETフィルムと、厚さが120μmの延伸PEフィルムとの間が、それぞれドライラミネート法で積層されている。実施例1の積層フィルムは、内面側から、PEシーラント/接着層/薄膜PET/接着層/延伸PEの各層を有する。
【0039】
(比較例1の積層フィルム)
比較例1の積層フィルムは、厚さ25μmのPEシーラントフィルムと、厚さが120μmの延伸PEフィルムとの間がドライラミネート法で積層されている。比較例1の積層フィルムは、内面側から、PEシーラント/接着層/延伸PEの各層を有する。
【0040】
(包装袋の作製)
実施例1または比較例1の積層フィルムを原反フィルムとして包装袋を作製した。原反フィルムは、縦横が100mm×100mmの寸法で2枚用意した。シーラントフィルムを内面として積層フィルムの周囲の四辺をシール幅5mmでヒートシールし、四方シールの包装袋を作製した。包装袋の三辺をヒートシールした段階で、内容物として香気成分を含有する頭髪用コンディショナー(P&G社製、商品名「ハーバルエッセンス うるおいモイスチャー コンディショナー」)を50g充填し、できるだけ空気を抜いてから残りの一辺をヒートシールし、包装袋を密封した。
【0041】
(保香性の試験方法)
上記の頭髪用コンディショナーを充填した包装袋を、チャック付き袋(生産日本社製、商品名「ラミジップ(登録商標)ALタイプ」、アルミニウム箔ラミネートフィルム)に収容して温度30℃、相対湿度50%の恒温恒湿室に保管した。一定の期間が経過するごとにチャック付き袋を開いて、次の評価基準に従って、チャック付き袋中の空気の匂いを官能検査した。
【0042】
(保香性の評価基準)
評価A:PE臭のみで、香料臭は全くしない。
評価B:PE臭の方が強いが、わずかに香料臭がする。
評価C:PE臭と香料臭が同程度に感じられる。
評価D:PE臭もするが、香料臭の方が強い。
評価E:PE臭を感じないほど、香料臭が強烈である。
【0043】
(保香性の評価結果)
比較例1の積層フィルムを用いて作製した包装袋では、1日後に評価C、4日後に評価E、4週間後も評価Eであり、包装袋の内容物の香気成分が積層フィルムを徐々に透過することが分かった。
実施例1の積層フィルムを用いて作製した包装袋では、1日後、4日後、4週間後のいずれも評価Aであり、包装袋の内容物の香気成分が積層フィルムを透過することなく、保持された。
以上の結果から、比較例1の積層フィルムは保香性が低いが、実施例1の積層フィルムは、PEフィルムを主体としながらも、薄膜PETフィルムを積層することにより、リサイクル性と保香性を両立することができた。