(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154270
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】処理支援装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
G06F3/01 570
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057202
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕太
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA74
5E555BA01
5E555BA21
5E555BB01
5E555BB21
5E555BC01
5E555BC09
5E555CA46
5E555CB66
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】装置利用者が直接手で触れることなく非接触で所望の処理を装置に行わせることを可能にする技術を提供する。
【解決手段】被処理物に所定の処理を行う処理装置1と通信可能に接続する接続部21と、前記処理装置1を用いる者の体の所定部位の動きを前記所定部位と非接触で検出するセンサ部12と、前記所定部位の動きの態様と前記処理装置1が行う処理動作との対応関係情報を記憶する記憶部22と、前記センサ部12で前記所定部位の動きを検出すると、前記記憶部22が記憶する前記対応関係情報に基づいて、前記センサ部12が検出した動きの態様に対応する処理動作を前記処理装置1に行わせる制御部23と、を備えて処理支援装置10を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物に所定の処理を行う処理装置と通信可能に接続する接続部と、
前記処理装置を用いる者の体の所定部位の動きを前記所定部位と非接触で検出するセンサ部と、
前記所定部位の動きの態様と前記処理装置が行う処理動作との対応関係情報を記憶する記憶部と、
前記センサ部で前記所定部位の動きを検出すると、前記記憶部が記憶する前記対応関係情報に基づいて、前記センサ部が検出した動きの態様に対応する処理動作を前記処理装置に行わせる制御部と、
を備える処理支援装置。
【請求項2】
前記制御部が前記処理装置に行わせる処理動作には、前記被処理物に対する前記所定の処理の実行動作が含まれる
請求項1に記載の処理支援装置。
【請求項3】
前記制御部が前記処理装置に行わせる処理動作には、前記所定の処理を行って得られる処理データの管理サーバ装置への送信動作が含まれる
請求項1または2に記載の処理支援装置。
【請求項4】
前記被処理物に付された管理情報を取得する情報取得部を備え、
前記制御部は、前記処理データと前記管理情報とを関連付けて前記管理サーバ装置へ送信させる
請求項3に記載の処理支援装置。
【請求項5】
コンピュータを、
被処理物に所定の処理を行う処理装置と通信可能に接続する接続部と、
前記処理装置を用いる者の体の所定部位の動きを前記所定部位と非接触で検出するセンサ部と、
前記所定部位の動きの態様と前記処理装置が行う処理動作との対応関係情報を記憶する記憶部と、
前記センサ部で前記所定部位の動きを検出すると、前記記憶部が記憶する前記対応関係情報に基づいて、前記センサ部が検出した動きの態様に対応する処理動作を前記処理装置に行わせる制御部と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理支援装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、研究所や工場等では、液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ、質量分析装置、分光光度計、熱分析装置、全有機体炭素計、天びん等といった各種の測定装置が使用されることがある。これらの測定装置については、それぞれをネットワーク接続して、測定データの一元管理を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定装置の装置利用者は、その測定装置で処理する試料等の被処理物について、手で持って取り扱うことがあり得る。その場合に、被処理物の種類によっては、装置利用者の手が被処理物によって汚染された状態となる。その状態で、装置利用者が測定装置における操作パネルやその他の箇所等に手で触れると、測定装置や作業場所等への汚染拡大を招いたり、測定装置の機材故障を招いたりするおそれがある。
【0005】
本発明は、装置利用者が直接手で触れることなく非接触で所望の処理を装置に行わせることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
被処理物に所定の処理を行う処理装置と通信可能に接続する接続部と、
前記処理装置を用いる者の体の所定部位の動きを前記所定部位と非接触で検出するセンサ部と、
前記所定部位の動きの態様と前記処理装置が行う処理動作との対応関係情報を記憶する記憶部と、
前記センサ部で前記所定部位の動きを検出すると、前記記憶部が記憶する前記対応関係情報に基づいて、前記センサ部が検出した動きの態様に対応する処理動作を前記処理装置に行わせる制御部と、
を備える処理支援装置が提供される。
【0007】
また、本開示の他の態様によれば、
コンピュータを、
被処理物に所定の処理を行う処理装置と通信可能に接続する接続部と、
前記処理装置を用いる者の体の所定部位の動きを前記所定部位と非接触で検出するセンサ部と、
前記所定部位の動きの態様と前記処理装置が行う処理動作との対応関係情報を記憶する記憶部と、
前記センサ部で前記所定部位の動きを検出すると、前記記憶部が記憶する前記対応関係情報に基づいて、前記センサ部が検出した動きの態様に対応する処理動作を前記処理装置に行わせる制御部と、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、装置利用者が直接手で触れることなく非接触で所望の処理を装置に行わせることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る処理支援装置を含む情報処理システムの概略構成例を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(1)情報処理システムの構成
まず、本開示の一実施形態に係る処理支援装置を含む情報処理システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る処理支援装置を含む情報処理システムの概略構成例を模式的に示すブロック図である。
【0012】
情報処理システムは、測定装置1で得られる測定データを処理するために構築されたものである。測定データを処理を行うために、情報処理システムは、少なくとも、測定装置1と、データベースサーバ装置2と、処理支援装置10と、を備えて構成されている。
【0013】
(測定装置)
測定装置1は、研究所や工場等で使用されるもので、試料等の被処理物について所定の測定処理を行って、その測定結果を測定データとして出力するように構成されたものである。つまり、測定装置1は、被処理物に所定の処理を行う処理装置の一例に相当するものである。このような測定装置1としては、例えば、液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ、質量分析装置、分光光度計、熱分析装置、全有機体炭素計、天びん等が挙げられる。なお、図中では、一つの測定装置1を示しているが、これに限定されることはなく、複数台または複数種類の測定装置1が存在していてもよい。
【0014】
測定装置1で得られる測定データとしては、測定結果の数値データが代表的なものとして例示できるが、そのデータ内容やデータ形式等が特に限定されるものではない。また、複数の測定装置1が存在する場合、各測定装置1で得られる測定データは、それぞれが異なるデータ内容やデータ形式等によるものであってもよい。
【0015】
(データベースサーバ装置)
データベースサーバ装置2は、主として測定データを処理する機能を担うものである。測定データを処理するとは、測定データに対して情報処理を行うことを意味する。
【0016】
そのために、データベースサーバ装置2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(ReadOnly Memory)等といったハードウエア資源を組み合わせてなるコンピュータ装置によって構成されており、予めインストールされている所定プログラム(ソフトウエア)の実行により、測定装置1からの測定データに対する情報処理を行うようになっている。
【0017】
データベースサーバ装置2が行う情報処理には、測定データを処理可能なデータ形式に変換するデータ変換処理、測定データに含まれる所定項目についての一部データを抽出するデータ抽出処理、測定データに基づく所定の演算処理または判断処理、データベース化による測定データの管理処理等の少なくとも一つが含まれる。
【0018】
このような情報処理をデータベースサーバ装置2が行うことで、情報処理システム内では、測定装置1で得られる測定データが一元管理されることになる。つまり、データベースサーバ装置2は、測定装置1で得られる測定データを管理する管理サーバ装置の一例に相当するものである。
【0019】
(処理支援装置)
処理支援装置10は、測定装置1に付随して設けられたものであり、測定装置1における処理動作を支援する機能を担うものである。そのために、処理支援装置10は、コンピュータ部11と、ジェスチャセンサ12と、バーコードリーダ13と、を備えて構成されている。なお、複数の測定装置1が存在する場合、処理支援装置10は、各測定装置1に個別に対応して複数設けることが考えられるが、これに限定されることはなく、各測定装置1を識別可能であれば、複数の測定装置1で処理支援装置10を共用するようにしてもよい。
【0020】
(コンピュータ部)
コンピュータ部11は、例えば、測定装置1およびデータベースサーバ装置2とは別のコンピュータ装置で、測定装置1に付随して設けられた小型コンピュータ装置(例えば、ラズベリーパイ(Raspberry Pi)(登録商標)等のシングルボードコンピュータ装置)によって構成されている。そして、コンピュータ部11は、予めインストールされている所定プログラム(ソフトウエア)の実行により、そのソフトウエアによる情報処理が小型コンピュータ装置というハードウエア資源を用いて具体的に実現されることで、少なくとも接続部21、記憶部22および制御部23として機能するようになっている。
【0021】
接続部21は、測定装置1およびデータベースサーバ装置2のそれぞれと通信可能に接続して、それぞれとの間でデータ授受を行うものである。測定装置1およびデータベースサーバ装置2との通信は、無線通信または有線通信のいずれでもよく、またデータ授受が可能であればデータ形式やプロトコル等が特に限定されるものではない。接続部21が授受するデータには、測定装置1から出力される測定データが含まれているものとする。
【0022】
記憶部22は、後述するジェスチャセンサ12が検出する動きの態様と、測定装置1が行う処理動作とについて、これらの対応関係を規定した情報(以下、単に「対応関係情報」という。)を予め記憶しているものである。なお、記憶部22は、必ずしもコンピュータ部11に設けられている必要はなく、コンピュータ部11がアクセス可能であれば、例えばデータベースサーバ装置2等の外部装置に設けられていてもよい。
【0023】
制御部23は、測定装置1における処理動作を制御するものである。具体的には、制御部23は、記憶部22が記憶する対応関係情報に基づいて、後述するジェスチャセンサ12での検出結果に対応する処理動作を測定装置1に行わせるように、測定装置1に対して動作指示を与えるようになっている。制御部23が測定装置1に行わせる処理動作には、例えば、試料等の被処理物について所定の測定処理の実行動作が含まれる。また、制御部23が測定装置1に行わせる処理動作には、例えば、測定装置1で得られる測定データのデータベースサーバ装置2への送信動作が含まれる。さらに、制御部23が測定装置1に行わせる処理動作には、測定装置1での測定処理の対象となる被処理物に付されたコード情報4を読み取る処理動作が含まれていてもよい。
【0024】
(ジェスチャセンサ)
ジェスチャセンサ12は、コンピュータ部11と有線または無線を介して接続するように設けられたものであり、測定装置1の装置利用者の体の一部位である手3の動きを、その手3とは非接触で検出して、その検出結果をコンピュータ部11へ通知するものである。つまり、ジェスチャセンサ12は、測定装置1を用いる者の体の所定部位の動きを非接触で検出するセンサ部の一例に相当するものである。非接触での検出は、例えば、発光素子から光を照射し反射光の変化を受光素子で捉えて対象物である手3の動きを検出する、といった公知技術を利用して行うことが可能である。検出する手3の動きの態様としては、例えば、手3を振る動作のように検出可能範囲内で往復させる、検出可能範囲を一方から他方に向けて移動させる、手3を握ったり開いたりする、手3をジェスチャセンサ12に近づけたり遠ざけたりする、といった動作パターンが挙げられるが、予め想定(設定)された動作パターンであれば、特定の種類の動作パターンに限定されるものではない。また、検出する手3の動きの態様としては、複数種類の動作パターンが想定(設定)されていてもよい。
【0025】
(バーコードリーダ)
バーコードリーダ13は、コンピュータ部11と有線または無線を介して接続するように設けられたものであり、測定装置1で処理される被処理物に当該被処理物を管理するための一次元または二次元のコード情報4が付されている場合に、そのコード情報4を光学的な読み取りによって取得し、その取得結果をコンピュータ部11へ通知するものである。つまり、バーコードリーダ13は、測定装置1で処理される被処理物に付された管理情報を取得する情報取得部の一例に相当するものである。管理情報としてのコード情報4、および、そのコード情報4の光学的な読み取りについては、公知技術を利用したものであればよく、ここではその詳細な説明を省略する。なお、バーコードリーダ13は、例えば被処理物に添付された作業シートにコード情報4が付されている場合に、その作業シートが載置される読み取り台に固定されており、装置利用者が手で触れることなく、作業シートからコード情報4を読み取るように構成されていることが好ましい。
【0026】
(プログラム)
上述したコンピュータ部11における各部21~23の機能、および、ジェスチャセンサ12によるセンサ部としての機能、バーコードリーダ13による情報取得部としての機能は、コンピュータ部11、ジェスチャセンサ12、バーコードリーダ13等のハードウエア資源を用いて所定プログラム(ソフトウエア)による情報処理が具体的に行われることで実現される。つまり、これらの機能を実現する所定プログラムは、本開示における「プログラム」の一実施形態に相当するものである。その場合に、当該プログラムは、通信線または記憶媒体を介して外部から提供されて、コンピュータ部11等にインストールされるものとする。
【0027】
(2)処理動作手順
次に、上述した構成の情報処理システムにおいて、測定装置1を用いて被処理物の測定処理を行い、これにより得られる測定データを処理する場合の処理手順について説明する。
【0028】
測定装置1を用いる場合には、まず、装置利用者が試料等の被処理物を測定装置1にセットする。このとき、装置利用者は被処理物を手で持って取り扱うことがあり得るが、その場合、既述のように、被処理物の種類によっては、装置利用者の手が被処理物によって汚染された状態となる。その状態で、装置利用者が測定装置1における操作パネルやその他の箇所等に手で触れると、測定装置1や作業場所等への汚染拡大を招いたり、測定装置1の機材故障を招いたりするおそれがある。
【0029】
そこで、本実施形態においては、被処理物のセット後、装置利用者が測定装置1の操作パネル等を操作するのではなく、装置利用者が自身の手3をジェスチャセンサ12にかざした状態(ジェスチャセンサ12の検出可能範囲に手3を位置させた状態)で、その手3を所定の動作パターンで動作させる(
図1中の矢印S1参照)。このときの動作パターンは、装置利用者が所望する測定装置1での処理動作に対応するものとして、予め想定(設定)された動作パターンである。例えば、測定装置1での測定処理の開始を所望する場合、これに対応する動作パターンの一例として、手3を左右に振る態様の動作を行う。
【0030】
装置利用者が手3を動作させると、ジェスチャセンサ12は、装置利用者の手3の動きを、その手3とは非接触で検出する。そして、ジェスチャセンサ12は、その検出結果、すなわちどのような動きの態様を検出したかを、コンピュータ部11へ通知する(
図1中の矢印S2参照)。
【0031】
また、手3の動作とは別に、装置利用者は、測定装置1にセットした被処理物に付されているコード情報4をバーコードリーダ13にかざして、そのコード情報4をバーコードリーダ13に読み取らせる。コード情報4を読み取らせるタイミングは、後述するデータベースサーバ装置2とのデータ通信を行う前であれば、ジェスチャセンサ12による手3の動きの検出前であってもよいし、手3の動きの検出後であってもよい。
バーコードリーダ13によるコード情報4の読み取りは、ジェスチャセンサ12を利用して実行開始させるようにしてもよい。具体的には、例えば、バーコードリーダ13が読み取り台に固定されている場合であれば、その読み取り台にコード情報4が付された作業シートをセットし、これによりバーコードリーダ13がコード情報4を読み取り可能な状態にする。そして、バーコードリーダ13による読み取り動作に対応するものとして、予め想定(設定)された動作パターンで手3を動作させ、その動きをジェスチャセンサ12に検出させる。これにより、コード情報4の読み取りを、装置利用者がバーコードリーダ13や測定装置1の操作パネル等に触れることなく、行うことができるようになる。
【0032】
コード情報4を読み取ると、バーコードリーダ13は、その読み取り結果をコンピュータ部11へ通知する(
図1中の矢印S3参照)。
【0033】
コンピュータ部11では、ジェスチャセンサ12から検出結果についての通知があると、制御部23が記憶部22にアクセスし、その記憶部22が記憶している対応関係情報を検索して、通知された検出結果(すなわち、ジェスチャセンサ12が検出した手3の動きの態様)に関する対応関係情報を抽出する。そして、制御部23は、抽出した対応関係情報に基づいて、ジェスチャセンサ12が検出した手3の動きの態様に対応する処理動作を測定装置1に行わせるべく、その処理動作を行わせるための動作指示の内容(具体的には、測定装置1が解釈可能な制御コマンド)を特定する。
【0034】
例えば、手3を左右に振る態様の動作が、測定装置1での測定処理の実行開始を意味するものとして、予め想定(設定)されている場合を考える。その場合に、かかる態様の動作をジェスチャセンサ12が検出すると、制御部23は、その態様に関する対応関係情報に基づいて、測定装置1での測定処理の実行開始を指示する制御コマンドを特定する。
【0035】
制御部23が制御コマンドを特定すると、コンピュータ部11では、制御部23からの指示に従いつつ、その制御コマンドを接続部21が測定装置1へ送信する(
図1中の矢印S4参照)。
【0036】
コンピュータ部11からの制御コマンドを受信すると、測定装置1は、その制御コマンドによって指示される内容の処理動作を行う。例えば、測定処理の実行開始を指示する制御コマンドを受信した場合であれば、測定装置1は、セットされた状態の被処理物についての測定処理を開始する。これにより、装置利用者は、測定装置1の操作パネル等に手で触れることなく、その測定装置1に被処理物の測定処理を開始させることができる。
【0037】
その後、測定装置1での被処理物の測定処理が完了すると、その測定処理によって測定装置1で測定データが得られることになる。なお、測定装置1で得られた測定データは、その測定装置1の操作パネル等にて表示出力される。
【0038】
ここで、装置利用者は、必要に応じて、既に行った動作とは異なる動作パターンで、ジェスチャセンサ12にかざした手3を動作させる。例えば、測定装置1で得られた測定データのデータベースサーバ装置2への送信を所望する場合、これに対応する動作パターンの一例として、手3を測定装置1の設置方向からデータベースサーバ装置2の設置方向に向けて移動させる態様の動作を行う。
【0039】
かかる態様の手3の動きについても、ジェスチャセンサ12で検出されて、その検出結果がコンピュータ部11に通知される(
図1中の矢印S2参照)。ジェスチャセンサ12から検出結果についての通知があると、コンピュータ部11では、記憶部22が記憶している対応関係情報に基づいて、ジェスチャセンサ12が検出した手3の動きの態様に対応する処理動作を測定装置1に行わせるべく、その処理動作を行わせるための制御コマンドを制御部23が特定する。
【0040】
例えば、手3を測定装置1の側からデータベースサーバ装置2の側に向けて移動させる態様の動作が、測定装置1からデータベースサーバ装置2への測定データの送信を意味するものとして、予め想定(設定)されている場合を考える。その場合に、かかる態様の動作をジェスチャセンサ12が検出すると、制御部23は、その態様に関する対応関係情報に基づいて、測定データの送信を指示する制御コマンドを特定する。
【0041】
制御部23が制御コマンドを特定すると、コンピュータ部11では、制御部23からの指示に従いつつ、その制御コマンドを接続部21が測定装置1へ送信する(
図1中の矢印S4参照)。
【0042】
コンピュータ部11からの制御コマンドを受信すると、測定装置1は、その制御コマンドによって指示される内容の処理動作を行う。例えば、測定データの送信を指示する制御コマンドを受信した場合であれば、測定装置1は、測定データをコンピュータ部11の接続部21に対して送信する(
図1中の矢印S5参照)。
【0043】
接続部21が測定装置1からの測定データを受け取ると、コンピュータ部11では、制御部23からの指示に従いつつ、接続部21がデータベースサーバ装置2とのデータ通信を確立する(
図1中の矢印S6参照)。
【0044】
このとき、コンピュータ部11には、測定装置1からの測定データを得る元になった被処理物に付されたコード情報4の読み取り結果がバーコードリーダ13から通知されている(
図1中の矢印S3参照)。つまり、コンピュータ部11は、測定装置1からの測定データついての管理情報として、コード情報4の読み取り結果を得ている。
【0045】
そこで、コンピュータ部11では、測定装置1からの測定データを受け取ると、制御部23が以下のような処理動作を行う。すなわち、制御部23は、測定装置1から受け取った測定データと、これに対応する管理情報であるコード情報4の読み取り結果とを、互いに関連付ける。そして、制御部23は、これらを互いに関連付けた状態で、それぞれを接続部21からデータ通信が確立されたデータベースサーバ装置2へ送信する(
図1中の矢印S6参照)。
【0046】
つまり、測定装置1で得られた測定データは、コンピュータ部11を介して、その測定データを一元管理するデータベースサーバ装置2へ送信されることになる。これにより、装置利用者は、測定装置1の操作パネル等に手で触れることなく、その測定装置1で得られた測定データをデータベースサーバ装置2に送信して、そのデータベースサーバ装置2での一元管理に供することができる。
【0047】
しかも、その際に、コンピュータ部11を介することで、測定データとその管理情報であるコード情報4とが互いに関連付けられる。そのため、データベースサーバ装置2へ送信される測定データについて、どの被処理物から得られたものであるかを容易かつ的確に判別できるようになり、測定データの一元管理を行う上で非常に好ましいものとなる。
【0048】
なお、ここでは、測定装置1での測定処理の開始と、その測定装置1で得られた測定データの送信とを、それぞれ異なる態様の手3の動作に対応付けられた場合を例に挙げたが、これらは単なる一具体例に過ぎず、必ずしもこれらに限定されるものではない。例えば、一つの態様の手3の動作に応じて、測定装置1での測定処理の開始と、その測定装置1で得られた測定データの送信とを、それぞれ連続的に行うようにしても構わない。
【0049】
また、ここでは、測定装置1に行わせる処理動作として、測定装置1での測定処理の開始と、その測定装置1で得られた測定データの送信とを例に挙げたが、これら以外の処理動作に適用するようにしても構わない。
【0050】
(3)本実施形態により得られる効果
本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果が得られる。
【0051】
(a)本実施形態において、ジェスチャセンサ12が装置利用者の手3の動きを検出すると、記憶部22が記憶する対応関係情報に基づいて、検出した動きの態様に対応する処理動作を制御部23が測定装置1に行わせる。したがって、装置利用者は、測定装置1の操作パネル等に手で触れることなく、その測定装置1に手3の動きに対応する処理動作を行わせることができる。つまり、測定装置1で処理する被処理物によっては、装置利用者の手が被処理物によって汚染された状態となり得るが、その場合であっても、装置利用者が直接手で触れることなく非接触で所望の処理を測定装置1に行わせることが可能になるので、測定装置1や作業場所等への汚染拡大を招いたり、測定装置1の機材故障を招いたりすることがない。
【0052】
(b)本実施形態において、測定装置1に行わせる処理動作には、被処理物に対する測定処理の実行開始の動作が含まれる。したがって、装置利用者は、測定装置1に被処理物をセットすれば、その後は測定装置1に直接触れることなく、被処理物に対する測定処理を非接触で測定装置1に開始させることが可能になる。このことは、装置利用者にとっての利便性を向上させる上でも非常に好適である。
【0053】
(c)本実施形態において、測定装置1に行わせる処理動作には、測定装置1で得られる測定データのデータベースサーバ装置2への送信動作が含まれる。したがって、装置利用者は、測定装置1での測定処置の終了後に、その測定装置1に直接触れることなく、測定データのデータベースサーバ装置2への送信処理を非接触で測定装置1に行わせることが可能になる。これにより、測定装置1で得られた測定データについて、データベースサーバ装置2での一元管理に供することができる。
【0054】
(d)本実施形態において、測定装置1で得られた測定データをデータベースサーバ装置2へ送信する際には、測定データとその管理情報であるコード情報4とが互いに関連付けられる。したがって、データベースサーバ装置2へ送信される測定データについて、どの被処理物から得られたものであるかを容易かつ的確に判別できるようになり、測定データの一元管理を行う上で非常に好ましいものとなる。
【0055】
(4)変形例等
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0056】
例えば、上述の実施形態では、被処理物に所定の処理を行う処理装置の一例として、被処理物に対する測定処理を行う測定装置1を例に挙げたが、必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、測定処理以外の処理を行う処理装置についても、本開示に係る処理支援装置を適用することで、装置利用者が直接手で触れることなく非接触で処理装置を動作させることが可能になる。
【0057】
また、例えば、上述の実施形態では、装置利用者の体の所定部位の動きとして、手3の動きをジェスチャセンサ12が検出する場合を例に挙げたが、必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、ジェスチャセンサ12は、手以外の体の部位の動きを検出するものであってもよい。ただし、上述の実施形態のように、手3の動きを検出するようにすれば、装置利用者が様々な種類の動きに容易に対応し得るようになり、その結果として、装置利用者にとっての利便性向上を図りつつ、処理支援装置10としての信頼性向上も図れるようになる。
【0058】
また、例えば、上述の実施形態では、処理支援装置10とデータベースサーバ装置2とが別体で設けられている場合を例に挙げたが、上述の各機能が実現されていれば、これに限定されるものではない。すなわち、上述の各機能は、一つのコンピュータ装置によって実現されるものであってもよいし、三つ以上のコンピュータ装置に分散されて実現されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…測定装置、2…データベースサーバ装置、3…手、4…コード情報、10…処理支援装置、11…コンピュータ部、12…ジェスチャセンサ、13…バーコードリーダ、21…接続部、22…記憶部、23…制御部
【手続補正書】
【提出日】2022-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物に所定の処理を行う処理装置と通信可能に接続する接続部と、
前記被処理物に付された管理情報としてのコード情報を光学的な読み取りによって取得する情報取得部と、
前記処理装置を用いる者の体の所定部位の動きを前記所定部位と非接触で検出するセンサ部と、
前記所定部位の動きの態様と前記処理装置が行う処理動作との対応関係情報を複数種類の動作パターンについて記憶する記憶部と、
前記センサ部で前記所定部位の動きを検出すると、前記記憶部が記憶する前記対応関係情報に基づいて、前記センサ部が検出した動きの態様に対応する処理動作を前記処理装置に行わせ、または前記センサ部が検出した動きの態様に対応して前記コード情報の読み取りの実行開始を前記情報取得部に行わせる制御部と、
を備える処理支援装置。
【請求項2】
前記制御部が前記処理装置に行わせる処理動作には、前記被処理物に対する前記所定の処理の実行動作が含まれる
請求項1に記載の処理支援装置。
【請求項3】
前記制御部が前記処理装置に行わせる処理動作には、前記所定の処理を行って得られる処理データの管理サーバ装置への送信動作が含まれる
請求項1または2に記載の処理支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記処理データと前記管理情報とを関連付けて前記管理サーバ装置へ送信させる
請求項3に記載の処理支援装置。
【請求項5】
コンピュータを、
被処理物に所定の処理を行う処理装置と通信可能に接続する接続部と、
前記被処理物に付された管理情報としてのコード情報を光学的な読み取りによって取得する情報取得部と、
前記処理装置を用いる者の体の所定部位の動きを前記所定部位と非接触で検出するセンサ部と、
前記所定部位の動きの態様と前記処理装置が行う処理動作との対応関係情報を複数種類の動作パターンについて記憶する記憶部と、
前記センサ部で前記所定部位の動きを検出すると、前記記憶部が記憶する前記対応関係情報に基づいて、前記センサ部が検出した動きの態様に対応する処理動作を前記処理装置に行わせ、または前記センサ部が検出した動きの態様に対応して前記コード情報の読み取りの実行開始を前記情報取得部に行わせる制御部と、
として機能させるプログラム。