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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154277
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】加熱ユニット
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/28 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
A47J36/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057216
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】瀧藤 啓慶
(72)【発明者】
【氏名】正木 竜二
(72)【発明者】
【氏名】林 太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹島 彰吾
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055BA22
4B055CA13
4B055CB03
4B055DA02
4B055DB17
(57)【要約】
【課題】加熱時間を短縮しやすい加熱ユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】加熱ユニット1は、水Wと反応して発熱する発熱材40を有する発熱部4と、水分を含有する流動物である加熱対象物Dを収容し、蒸気を容器外部にリーク可能な加熱容器3と、発熱材40および加熱対象物Dに接触し、発熱材40から加熱対象物Dに熱伝導により熱を伝達する伝熱壁32と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と反応して発熱する発熱材を有する発熱部と、
水分を含有する流動物である加熱対象物を収容し、蒸気を容器外部にリーク可能な加熱容器と、
前記発熱材および前記加熱対象物に接触し、前記発熱材から前記加熱対象物に熱伝導により熱を伝達する伝熱壁と、
を備える加熱ユニット。
【請求項2】
前記発熱部は、前記発熱材の少なくとも一部を覆う発熱材ケースを有し、
前記発熱材ケースは、発熱反応用の前記水が通過可能な透水部を有する請求項1に記載の加熱ユニット。
【請求項3】
前記発熱材ケースは、前記伝熱壁を有する請求項2に記載の加熱ユニット。
【請求項4】
前記加熱容器は、前記伝熱壁を有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の加熱ユニット。
【請求項5】
前記伝熱壁は、前記発熱材に接触する第1接触面と、前記加熱対象物に接触する第2接触面と、を有し、
前記第1接触面および前記第2接触面のうち少なくとも一方は、凹凸形状を呈する凹凸接触面である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の加熱ユニット。
【請求項6】
前記凹凸形状は、波状およびディンプル状のうち少なくとも一方である請求項5に記載の加熱ユニット。
【請求項7】
前記凹凸接触面が平面である場合の表面積を1として、前記凹凸接触面の表面積は1.2倍以上である請求項5または請求項6に記載の加熱ユニット。
【請求項8】
前記凹凸接触面の表面積は1.4倍以上である請求項7に記載の加熱ユニット。
【請求項9】
さらに、発熱反応用の前記水と、前記発熱部と、前記発熱部の上側に配置される前記加熱容器と、を収容する外側容器を備え、
前記外側容器の内部空間は、前記加熱容器により、前記加熱容器の内部空間を含まない蒸気室と、前記加熱容器の前記内部空間を含む加熱室と、に仕切られ、
前記蒸気室は、前記水と、前記水から蒸気を発生させる前記発熱部と、を収容し、
前記加熱室は、前記加熱対象物を収容し、
前記加熱容器は、前記蒸気室から前記加熱室に蒸気を導入する蒸気導入口を有する請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の加熱ユニット。
【請求項10】
前記蒸気導入口は、孔、切欠き、スリットから選ばれる1種以上である請求項9に記載の加熱ユニット。
【請求項11】
前記蒸気導入口は、前記加熱対象物により封止されない位置に開設される請求項9または請求項10に記載の加熱ユニット。
【請求項12】
前記加熱容器は、筒壁と、前記筒壁の軸方向一端に開口する開口部と、前記開口部から径方向外側に張り出すフランジと、を有し、
前記蒸気導入口は、前記筒壁および前記フランジのうち少なくとも一方に配置される請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の加熱ユニット。
【請求項13】
前記外側容器は、前記蒸気導入口が封止されないように、前記加熱容器の位置を決める位置決め部を有する請求項9ないし請求項12のいずれかに記載の加熱ユニット。
【請求項14】
前記加熱対象物は、第1加熱対象物であり、
前記加熱容器は、第1加熱容器であり、
前記蒸気導入口は、第1蒸気導入口であり、
さらに、前記流動物または固形物である第2加熱対象物を収容し、蒸気を容器外部にリーク可能な第2加熱容器を備え、
前記加熱室は、前記第2加熱容器により、前記第2加熱容器の内部空間を含まない第1加熱室と、前記第2加熱容器の前記内部空間を含む第2加熱室と、に仕切られ、
前記第1加熱室は、前記第1加熱対象物を収容し、
前記第2加熱室は、前記第2加熱対象物を収容し、
前記第2加熱容器は、前記第1加熱室から前記第2加熱室に蒸気を導入する第2蒸気導入口を有する請求項9ないし請求項13のいずれかに記載の加熱ユニット。
【請求項15】
前記第2蒸気導入口は、孔、切欠き、スリットから選ばれる1種以上である請求項14に記載の加熱ユニット。
【請求項16】
前記第2加熱容器は、筒壁と、前記筒壁の軸方向一端に開口する開口部と、前記開口部から径方向外側に張り出すフランジと、前記筒壁の軸方向他端を覆う底壁と、を有し、
前記第2加熱対象物が前記流動物の場合、前記第2蒸気導入口は、前記筒壁および前記フランジのうち少なくとも一方に配置され、
前記第2加熱対象物が前記固形物の場合、前記第2蒸気導入口は、前記筒壁、前記フランジ、前記底壁のうち少なくとも一つに配置される請求項14または請求項15に記載の加熱ユニット。
【請求項17】
前記外側容器および前記第1加熱容器のうち少なくとも一方は、前記第2蒸気導入口が封止されないように、前記第2加熱容器の位置を決める位置決め部を有する請求項14ないし請求項16のいずれかに記載の加熱ユニット。
【請求項18】
前記第2加熱容器は、樹脂、紙、金属から選ばれる1種以上の材料を含む請求項14ないし請求項17のいずれかに記載の加熱ユニット。
【請求項19】
前記加熱対象物の水分含有率は、50質量%以上であり、
前記加熱対象物の20℃における粘度は、10mPa・s以下である請求項1ないし請求項18のいずれかに記載の加熱ユニット。
【請求項20】
前記発熱材は、
CaO、MgO、Alから選ばれる1種以上の材料を含み、
粉末状、顆粒状、ペレット状から選ばれる1種以上の形状を呈し、
発熱反応用の前記水と反応して膨張する請求項1ないし請求項19のいずれかに記載の加熱ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば即席麺、汁物、飲み物等の加熱に用いられる加熱ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、水蒸気で食品を温める食品加熱容器が開示されている。図11に、同文献記載の食品加熱容器の上下方向断面図を示す。図11に示すように、食品加熱容器100は、箱体101と、蓋体102と、発熱具103と、食品トレイ104と、を備えている。箱体101は、上向きに開口する箱状を呈している。蓋体102は、箱体101の開口を上側から封止している。食品トレイ104は、箱体101の内部に配置されている。食品トレイ104には、ご飯105が載置されている。発熱具103は、箱体101の内部において、食品トレイ104の下側に配置されている。発熱具103と食品トレイ104とは、所定の間隔Aだけ、上下方向に離間している。発熱具103は、水袋103aと発熱剤103bと長尺状開封具103cとを備えている。
【0003】
使用者は、長尺状開封具103cを引っ張るだけで、ご飯を温めることができる。具体的には、使用者が長尺状開封具103cを引っ張ると、水袋103aが引き裂かれ、水袋103aから流出した水が、発熱剤103bに接触する。発熱剤103bは、水と反応し発熱する。水は、発熱剤103bにより加熱され、水蒸気になる。矢印Y100に示すように、水蒸気は、食品トレイ104の壁部に開設された透孔104aを介して、下側から上側に流れ込む。当該水蒸気により、ご飯105が加熱される。矢印Y101に示すように、余剰水蒸気は、透孔102aを介して、外部に流出する。このように、特許文献1記載の食品加熱容器100によると、災害時や行楽時などの電気やガスを使用できない環境下で、手軽にご飯105を温めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-89214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同文献記載の食品加熱容器100の場合、矢印Y100に示すように、主に、水蒸気(熱媒体)の移動つまり対流により、ご飯105を加熱している。具体的には、発熱剤103bが水と反応し発熱し、当該熱により水が昇温し水蒸気が発生し、当該水蒸気が透孔104aを介してご飯105に到着することにより、ご飯105を加熱している。また、水蒸気が滞りなくご飯105に到着するためには、その前提として、透孔102aを介して、適量の余剰水蒸気を外部に排出させる必要がある。また、同文献記載の食品加熱容器100の場合、上述の水蒸気の対流に加えて、箱体101内部の水蒸気で加熱された食品トレイ104の壁部からの伝熱により、ご飯105を加熱している。このように、同文献記載の食品加熱容器100の場合、水蒸気のみにより、直接あるいは間接的に、ご飯105を加熱している。
【0006】
仮に、発熱具103と食品トレイ104とを接触させると(間隔Aを0にすると)、発熱剤103bからご飯105への熱伝導を利用して、水蒸気を介さずに、ご飯105を加熱することができる(従来技術ではない)。ところが、この場合、食品トレイ104の耐熱性によっては、食品トレイ104が損傷する。このため、発熱具103と食品トレイ104との間に、間隔Aを確保せざるをえない。
【0007】
このような理由により、従来の食品加熱容器100の場合、加熱時間が長くなりやすかった。そこで、本発明は加熱時間を短縮しやすい加熱ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の加熱ユニットは、水と反応して発熱する発熱材を有する発熱部と、水分を含有する流動物である加熱対象物を収容し、蒸気を容器外部にリーク可能な加熱容器と、前記発熱材および前記加熱対象物に接触し、前記発熱材から前記加熱対象物に熱伝導により熱を伝達する伝熱壁と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、発熱材と加熱対象物とが伝熱壁を介して接触している。このため、熱伝導により加熱対象物を加熱することができる。したがって、加熱時間を短縮することができる。また、加熱対象物を高温まで加熱することができる。このように、本発明の加熱ユニットは、加熱能力が高い。また、加熱対象物は、水分を含有する流動物である。このため、加熱対象物が固形物である場合と比較して、熱伝導により加熱対象物が加熱されるにもかかわらず、加熱容器の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第一実施形態の加熱ユニットの分解斜視図である。
図2図2は、同加熱ユニットの加熱容器と発熱部との分解斜視図である。
図3図3は、同加熱ユニットの上下方向断面図である。
図4図4は、第二実施形態の加熱ユニットの分解斜視図である。
図5図5は、同加熱ユニットの上下方向断面図である。
図6図6は、第三実施形態の加熱ユニットの分解斜視図である。
図7図7は、同加熱ユニットの上下方向断面図である。
図8図8は、その他の実施形態(その1)の加熱ユニットの上下方向部分断面図である。
図9図9(A)~図9(D)は、その他の実施形態(その2~その5)の加熱ユニットの加熱容器の下面図である。
図10図10(A)~図10(C)は、その他の実施形態(その6~その8)の加熱ユニットのフランジ部分の上下方向断面図である。
図11図11は、従来の食品加熱容器の上下方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の加熱ユニットの実施の形態について説明する。以降の図において、上下方向は、本発明の「軸方向」に対応する。また、上端は「軸方向一端」に、下端は「軸方向他端」に、各々対応する。
【0012】
<第一実施形態>
本実施形態の加熱ユニットは、熱伝導、対流を併用して、即席ラーメンを加熱する。
【0013】
[加熱ユニットの構成]
まず、本実施形態の加熱ユニットの構成について説明する。図1に、本実施形態の加熱ユニットの分解斜視図を示す。図2に、同加熱ユニットの加熱容器と発熱部との分解斜視図を示す。図3に、同加熱ユニットの上下方向断面図を示す。図1図3に示すように、本実施形態の加熱ユニット1は、外側容器2と、加熱容器3と、発熱部4と、蓋5と、を備えている。
【0014】
(外側容器2)
外側容器2は、樹脂製であって、上側に開口する有底円筒状(カップ状)を呈している。外側容器2の内部空間2Sには、発熱反応用の水Wと、加熱容器3と、発熱部4と、が配置されている。外側容器2は、筒壁20と、開口部21と、底壁(端壁)22と、フランジ23と、を備えている。筒壁20は、上下方向に延在する円筒状を呈している。開口部21は、筒壁20の上端に開口している。底壁22は、筒壁20の下端開口を封止している。フランジ23は、開口部21から径方向外側に張り出す鍔状を呈している。フランジ23の上面には、段差部230が配置されている。段差部230は、本発明の「位置決め部」の概念に含まれる。段差部230は、外側容器2に対する、後述する加熱容器3の位置決め用である。段差部230は、径方向内側から径方向外側に向かって上昇している。
【0015】
(加熱容器3)
加熱容器3は、金属製であって、上側に開口する有底円筒状を呈している。加熱容器3は、外側容器2の内部空間2Sに配置されている。加熱容器3の内部空間3Sには、即席ラーメンDが貯留されている。即席ラーメンDは、スープD1と、乾麺D2と、を備えている。乾麺D2は固形物であるものの、スープD1は流動物である。このため、即席ラーメンDは、全体として流動性を有している。すなわち、即席ラーメンDは、水分を含有する流動物である。即席ラーメンDは、本発明の「加熱対象物」の概念に含まれる。
【0016】
加熱容器3は、筒壁30と、開口部31と、底壁(端壁)32と、フランジ33と、複数の蒸気導入口34と、を備えている。筒壁30は、上側から下側に向かって尖るテーパ筒状を呈している。開口部31は、筒壁30の上端に開口している。
【0017】
底壁32は、筒壁30の下端開口を封止している。底壁32は、本発明の「伝熱壁」の概念に含まれる。底壁32は、下面320と上面321とを備えている。下面320は、本発明の「第1接触面」、「凹凸接触面」の概念に含まれる。上面321は、本発明の「第2接触面」、「凹凸接触面」の概念に含まれる。
【0018】
下面320は、後述する発熱材40の上面に、全面的に面接触している。下面320は、凹凸形状(下側から見て多重円の波状。軸方向断面において矩形波状)を呈している。下面320が平面である場合の表面積を1として、凹凸形状を呈する下面320の表面積は、1.4倍以上に設定されている。上面321は、即席ラーメンDに、全面的に面接触している。上面321は、凹凸形状(上側から見て多重円の波状。軸方向断面において矩形波状)を呈している。上面321が平面である場合の表面積を1として、凹凸形状を呈する上面321の表面積は、1.4倍以上に設定されている。このように、底壁32は、発熱材40および即席ラーメンDに面接触している。底壁32は、発熱材40から即席ラーメンDに、熱伝導により熱を伝達する。
【0019】
フランジ33は、開口部31から径方向外側に張り出す鍔状を呈している。フランジ33は、フランジ23の段差部230の径方向内側に載置されている。フランジ33の外周縁は、径方向内側から、段差部230に当接している。段差部230は、後述する蒸気導入口34が封止されないように、外側容器2に対する加熱容器3の位置を決めている。
【0020】
複数の蒸気導入口34は、孔状であって、筒壁30およびフランジ33に開設されている。蒸気導入口34は、蒸気室SAから加熱室SBに蒸気を導入する。蒸気導入口34は、即席ラーメンDのスープD1の液面よりも上側に配置されている。すなわち、蒸気導入口34は、スープD1により封止されていない。
【0021】
(発熱部4)
発熱部4は、発熱材40と、発熱材ケース41と、を備えている。発熱部4は、加熱容器3の底壁32の下面に固定されている。すなわち、発熱部4と加熱容器3とは一体化されている。発熱材40は、CaO系の材料製であって、ペレット状を呈している。発熱材40は、水Wと反応して発熱する。発熱材ケース41は、上側に開口する有底円筒状を呈している。発熱材ケース41は、発熱材40の外周面、下面を外側から覆っている。発熱材ケース41は、筒壁410と、底壁(端壁)412と、を備えている。筒壁410は、金属製であって円筒状を呈している。筒壁410の上端開口は、加熱容器3の底壁32の下面320に封止されている。このため、発熱材40は、直接、下面320に接触している。底壁412は、金属製不織布製であって、筒壁410の下端開口を封止している。底壁412は、本発明の「透水部」の概念に含まれる。発熱反応用の水Wは、底壁412を通過可能である。他方、発熱材40は、底壁412を通過不可能である。
【0022】
(蓋5)
蓋5は、樹脂製であって、下側に開口する有底円筒状を呈している。蓋5は、外側容器2の開口部21を、上側から封止している。蓋5は、筒壁50と、頂壁(端壁)52と、フランジ53と、複数の蒸気排出口54と、を備えている。筒壁50は、円筒状を呈している。頂壁52は、筒壁50の上端開口を封止している。
【0023】
フランジ53は、筒壁50の下端開口から径方向外側に張り出す鍔状を呈している。フランジ53の外周縁には、係合部530が配置されている。係合部530は、フランジ23の外周縁に、径方向外側から係合している。係合部530は、自身の有する可撓性により、フランジ23に対して、係脱可能である。係合部530は、フランジ23に係合している際、蓋5の内部に蒸気が充満しても外れない程度の、係合力を有している。
【0024】
複数の蒸気排出口54は、孔状を呈している。複数の蒸気排出口54は、筒壁50に開設されている。蒸気排出口54は、加熱室SBから蓋5つまり加熱ユニット1の外部に、余剰蒸気を排出する。
【0025】
[加熱ユニットの使用方法]
次に、本実施形態の加熱ユニットの使用方法について説明する。図1に示すように、まず、使用者は、外側容器2と蓋5とを分離し、外側容器2の内部から、加熱容器3および発熱部4(一体化されている)を取り出す。次に、使用者は、外側容器2の内部に、開口部21から、発熱反応用の水Wを注ぎ込む。並びに、使用者は、加熱容器3の内部に、開口部31から、乾麺D2、スープD1(固体状(粉末状)あるいは液体状。以下同様)を配置し、スープD1希釈用の水を注ぎ込む。次に、使用者は、上側から、外側容器2の内部に、加熱容器3および発熱部4を挿入する。この際、フランジ33は、段差部230により位置決めされる。また、図3に示すように、発熱部4の発熱材ケース41の底壁412は、水Wの中に浸漬される。続いて、使用者は、蓋5を外側容器2に被せる。この際、係合部530がフランジ23の外周縁に係合する。当該係合により、加熱準備が完了する。
【0026】
加熱準備により、加熱ユニット1の内部には、蒸気室SAと、加熱室SBと、が区画される。蒸気室SAは、加熱容器3の内部空間3Sを含んでいない。蒸気室SAには、発熱反応用の水Wと、発熱部4と、が配置される。他方、加熱室SBは、加熱容器3の内部空間3Sを含んでいる。内部空間3Sには、即席ラーメンDが収容される。
【0027】
図3に矢印Y1で示すように、発熱材40には、透水性を有する底壁412を介して、水Wが侵入する。発熱材40が水Wと接触すると、「CaO+HO=Ca(OH)+熱エネルギ」という反応が起こる。このため、発熱材40は、膨張しながら発熱する。ここで、底壁32は、発熱材40および即席ラーメンDに面接触している。このため、図3に矢印Y2で示すように、発熱材40の熱は、底壁32を介して、迅速に即席ラーメンDに伝達される。即席ラーメンDは、当該熱により下側から加熱される。このように、即席ラーメンDは、底壁32だけを経由する熱伝導により、下側から加熱される。
【0028】
また、図3に矢印Y3で示すように、発熱材40の熱は、発熱材ケース41を介して、水Wに伝達される。水Wは、当該熱により上側から加熱される。やがて、水Wは沸騰し、蒸気(水蒸気)が発生する。図3に矢印Y4で示すように、蒸気は、複数の蒸気導入口34を介して、蒸気室SAから加熱室SBに流入する。即席ラーメンDは、流入した蒸気により、上側から加熱される。このように、即席ラーメンDは、複数の蒸気導入口34を経由する蒸気の対流により、上側から加熱される。なお、即席ラーメンDは、筒壁30や頂壁52からの輻射熱、蒸気が即席ラーメンDに接触する際に発生する凝縮熱などによっても、加熱される。図3に矢印Y5で示すように、余剰蒸気は、複数の蒸気排出口54から加熱ユニット1の外部に排出される。即席ラーメンDの加熱が完了したら、使用者は、蓋5を開けて、加熱容器3を取り出す。
【0029】
[作用効果]
次に、本実施形態の加熱ユニットの作用効果について説明する。図3に示すように、加熱容器3は底壁32を備えている。図11に示す従来の食品加熱容器100の発熱剤103bと食品トレイ104とが間隔Aだけ離間しているのに対して、底壁32は、発熱材40および即席ラーメンDに接触している。すなわち、発熱材40と即席ラーメンDとが底壁32を介して接触している。言い換えると、加熱ユニット1は、発熱材40と即席ラーメンDとを最短距離で結ぶ熱伝導経路(底壁32)を有している。このため、熱伝導により、即席ラーメンDを加熱することができる。したがって、蒸気の対流のみで即席ラーメンDを加熱する場合と比較して、加熱時間を短縮することができる。また、即席ラーメンDを高温まで加熱することができる。このように、本実施形態の加熱ユニット1は、加熱能力が高い。
【0030】
ここで、発熱材40と即席ラーメンDとが底壁32を介して接触していると、即席ラーメンDが加熱されやすくなる。この点、即席ラーメンDは、水分を含有する流動物である。このため、底壁32経由の熱伝導により即席ラーメンDが加熱されても、即席ラーメンDの水分(詳しくはスープD1の水分)が沸騰している間は(勿論、加熱対象物の水分を沸騰させない形態も本発明の権利範囲に含まれる)、即席ラーメンDの温度が上昇しにくい。したがって、即席ラーメンDや加熱容器3の温度が過度に上昇するのを抑制することができる。また、加熱開始時(スープD1を水で希釈した後)における即席ラーメンDの水分含有率は、50質量%以上である。このため、水分含有率が50質量%未満の場合と比較して、水分量が多くなる。したがって、水分の沸騰時間(即席ラーメンDや加熱容器3の温度上昇を抑制可能な時間)を長くすることができる。また、蒸気室SAから加熱室SBに流れ込む蒸気の凝縮により、即席ラーメンDの水分量を補填することができる。この点においても、水分の沸騰時間を長くすることができる。また、即席ラーメンD(詳しくはスープD1)の20℃における粘度は、10mPa・s以下である。このため、粘度が10mPa・s超過の場合と比較して、即席ラーメンDの流動性が高い。したがって、即席ラーメンD全体に、迅速に熱を行き渡らせることができる。
【0031】
図3に示すように、発熱部4は発熱材ケース41を備えている。発熱材ケース41は金属製不織布製の底壁412を備えている。水Wは、底壁412を通過可能である。このため、図3に矢印Y1で示すように、発熱材40に水Wを供給することができる。また、発熱材40は、底壁412を通過不可能である。このため、発熱材40が水Wの中に流出するのを、抑制することができる。また、図3に矢印Y3で示すように、底壁412を介して、発熱材40により、水Wを加熱することができる。
【0032】
図3に示すように、底壁32は、下面320と上面321とを備えている。下面320は、発熱材40に接触している。下面320は、凹凸形状(下側から見て多重円の波状)を呈している。このため、発熱材40に対する伝熱面積を大きくすることができる。したがって、加熱時間を短縮することができる。また、下面320が平面である場合の表面積を1として、凹凸形状を呈する下面320の表面積は、1.4倍以上に設定されている。この点においても、伝熱面積を大きくすることができ、加熱時間を短縮することができる。
【0033】
上面321は、即席ラーメンDに接触している。上面321は、凹凸形状(上側から見て多重円の波状)を呈している。このため、即席ラーメンDに対する伝熱面積を大きくすることができる。したがって、加熱時間を短縮することができる。また、上面321が平面である場合の表面積を1として、凹凸形状を呈する上面321の表面積は、1.4倍以上に設定されている。この点においても、伝熱面積を大きくすることができ、加熱時間を短縮することができる。また、図3に示すように、発熱材40は、底壁32の下面320の全面に亘って、面接触している。この点においても、伝熱面積を大きくすることができ、加熱時間を短縮することができる。
【0034】
図3に示すように、外側容器2の内部空間2Sは、蒸気室SAと、加熱室SBと、に仕切られている。蒸気室SAは、加熱容器3の内部空間3Sを含んでいない。蒸気室SAは、水Wと、発熱部4と、を収容している。他方、加熱室SBは、加熱容器3の内部空間3Sを含んでいる。加熱室SBは、即席ラーメンDを収容している。また、加熱容器3は、蒸気導入口34を備えている。このため、蒸気導入口34を介して、蒸気室SAで発生した蒸気を、加熱室SBの即席ラーメンDに、供給することができる。したがって、底壁32経由の熱伝導に加えて、蒸気の対流により、即席ラーメンDを加熱することができる。よって、蒸気の対流のみで即席ラーメンDを加熱する場合と比較して、加熱時間を短縮することができる。
【0035】
図3に示すように、蒸気導入口34は、即席ラーメンDのスープD1の液面よりも上側に開設されている。すなわち、蒸気導入口34は、即席ラーメンDにより封止されない位置に開設されている。このため、蒸気導入口34を介して、円滑に加熱室SBに蒸気を導入することができる。
【0036】
図3に示すように、蒸気導入口34は、筒壁30に開設されている。このため、即席ラーメンDのスープD1の液面に近い位置に、蒸気を導入することができる。したがって、即席ラーメンDを上側から加熱しやすい。また、蒸気導入口34は、フランジ33に配置されている。このため、スープD1の液面から離れた位置に、蒸気を導入することができる。したがって、例えばスープD1が沸騰する場合であっても、フランジ33の蒸気導入口34を介して、確実に加熱室SBに蒸気を導入することができる。
【0037】
図3に示すように、外側容器2のフランジ23には、段差部230が配置されている。このため、外側容器2に対する加熱容器3の位置決めを行うことができる。また、段差部230にフランジ33の外周縁が当接した状態で、フランジ33の蒸気導入口34は、フランジ23の内周縁よりも径方向内側に配置されている。このため、蒸気導入口34が、フランジ23により封止されるのを、抑制することができる。
【0038】
発熱材40は、発熱反応用の水Wと反応する際に膨張する。当該膨張を利用して、図3に示すように、発熱材40と底壁32(下面320)との密着性を向上させることができる。並びに、発熱材40と底壁412との密着性を向上させることができる。
【0039】
図3に示すように、加熱ユニット1には、下側から上側に向かって、発熱部4、即席ラーメンD、蒸気導入口34がこの順に配置されている。このため、図3に矢印Y2、Y4で示すように、下側から底壁32経由の熱伝導により、上側から蒸気の対流により、即席ラーメンDを加熱することができる。
【0040】
図3に示すように、発熱部4は、外側容器2の径方向内側に、外側容器2から離間して配置されている。すなわち、発熱部4は、外側容器2に接触していない。このため、発熱部4からの熱伝導により外側容器2が加熱されるのを、抑制することができる。
【0041】
<第二実施形態>
本実施形態の加熱ユニットは、熱伝導、対流を併用して、即席ラーメン、惣菜を加熱する。本実施形態の加熱ユニットと、第一実施形態の加熱ユニットとの相違点は、第一実施形態の加熱容器に加えて、もう一つ加熱容器が配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0042】
[加熱ユニットの構成]
図4に、本実施形態の加熱ユニットの分解斜視図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図5に、同加熱ユニットの上下方向断面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0043】
本実施形態の即席ラーメンDは、第一実施形態の即席ラーメンDと同様である。即席ラーメンDは、本発明の「第1加熱対象物」の概念に含まれる。本実施形態の第1加熱容器3は、第一実施形態の加熱容器3と同様である。本実施形態の第1蒸気導入口34は、第一実施形態の蒸気導入口34と同様である。
【0044】
図4図5に示すように、本実施形態の加熱ユニット1は、第1加熱容器3に加えて、第2加熱容器6を備えている。第1加熱容器3のフランジ33の蒸気導入口34は、長孔状を呈している。フランジ33の蒸気導入口34は、加熱容器3の上面の径方向中心を基準に、円弧状に延在している。
【0045】
第2加熱容器6は、第1加熱容器3と蓋5との間に配置されている。第2加熱容器6は、金属製であって、上側に開口する有底円筒状を呈している。ただし、第2加熱容器6は、第1加熱容器3よりも浅底である。第2加熱容器6は、第1加熱容器3の内部空間3Sに配置されている。第2加熱容器6の内部空間6Sには、惣菜Fが配置されている。惣菜Fは固形物である。惣菜Fは、本発明の「第2加熱対象物」の概念に含まれる。
【0046】
第2加熱容器6は、筒壁60と、開口部61と、底壁(端壁)62と、フランジ63と、複数の第2蒸気導入口64と、を備えている。筒壁60は、上側から下側に向かって尖るテーパ筒状を呈している。ただし、筒壁60の傾斜角度(水平方向(軸直方向)に対する傾斜角度)は、筒壁30の傾斜角度よりも、小さい。開口部61は、筒壁60の上端に開口している。底壁62は、筒壁60の下端開口を封止している。底壁62の下面は、即席ラーメンDよりも上側に配置されている。
【0047】
フランジ63は、開口部61から径方向外側に張り出す鍔状を呈している。フランジ63は、フランジ33と共に、フランジ23の段差部230の径方向内側に載置されている。フランジ63の外周縁は、径方向内側から、段差部230に当接している。段差部230は、後述する第1蒸気導入口34、第2蒸気導入口64が封止されないように、外側容器2に対する第1加熱容器3、第2加熱容器6の位置を決めている。
【0048】
複数の第2蒸気導入口64は、筒壁60、底壁62およびフランジ63に開設されている。筒壁60、底壁62の第2蒸気導入口64は、円孔状を呈している。フランジ63の第2蒸気導入口64は、長孔状を呈している。フランジ63の第2蒸気導入口64は、第2加熱容器6の上面の径方向中心を基準に、円弧状に延在している。筒壁60、底壁62の第2蒸気導入口64は、後述する第1加熱室SB1から第2加熱室SB2に蒸気を導入する。また、フランジ63の第2蒸気導入口64は、フランジ33の第1蒸気導入口34と連なることにより、蒸気室SAから第2加熱室SB2に蒸気を導入する。
【0049】
[加熱ユニットの使用方法]
図4に示すように、まず、使用者は、外側容器2と蓋5とを分離し、外側容器2の内部から、第1加熱容器3および発熱部4(一体化されている)、第2加熱容器6を取り出す。次に、使用者は、外側容器2の内部に、開口部21から、発熱反応用の水Wを注ぎ込む。また、使用者は、第1加熱容器3の内部に、開口部31から、乾麺D2、スープD1を配置し、スープD1希釈用の水を注ぎ込む。また、使用者は、第2加熱容器6の内部に、開口部61から、惣菜Fを載置する。次に、使用者は、上側から、外側容器2の内部に、第1加熱容器3および発熱部4、第2加熱容器6を挿入する。この際、フランジ33、63は、段差部230により位置決めされる。続いて、使用者は、蓋5を外側容器2に被せる。この際、係合部530がフランジ23の外周縁に係合する。当該係合により、加熱準備が完了する。
【0050】
加熱準備により、加熱ユニット1の内部には、蒸気室SAと、加熱室SBと、が区画される。蒸気室SAは、加熱容器3の内部空間3Sを含んでいない。蒸気室SAには、発熱反応用の水Wと、発熱部4と、が配置される。他方、加熱室SBは、加熱容器3の内部空間3Sを含んでいる。加熱室SBには、第1加熱室SB1と、第2加熱室SB2と、が区画される。第1加熱室SB1は、第2加熱容器6の内部空間6Sを含んでいない。第1加熱室SB1は、即席ラーメンDを収容している。第2加熱室SB2は、第2加熱容器6の内部空間6Sを含んでいる。第2加熱室SB2は、惣菜Fを収容している。
【0051】
第一実施形態と同様に、図5に矢印Y1~Y4で示すように、第1加熱室SB1の即席ラーメンDは、下側から底壁32経由の熱伝導により、上側から蒸気の対流により、加熱される。図5に矢印Y6で示すように、水Wから発生した蒸気、および即席ラーメンDから発生した蒸気は、複数の第2蒸気導入口64を介して、第1加熱室SB1から第2加熱室SB2に流入する。第2加熱室SB2の惣菜Fは、流入した蒸気により、全面的に加熱される。図5に矢印Y5で示すように、余剰蒸気は、複数の蒸気排出口54から加熱ユニット1の外部に排出される。即席ラーメンD、惣菜Fの加熱が完了したら、使用者は、蓋5を開けて、第1加熱容器3、第2加熱容器6を取り出す。
【0052】
[作用効果]
本実施形態の加熱ユニットと、第一実施形態の加熱ユニットとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。図5に示すように、加熱室SBは、第2加熱容器6により、第1加熱室SB1と、第2加熱室SB2と、に仕切られている。第1加熱室SB1は、第2加熱容器6の内部空間6Sを含んでいない。第1加熱室SB1は、即席ラーメンDを収容している。第2加熱室SB2は、第2加熱容器6の内部空間6Sを含んでいる。第2加熱室SB2は、惣菜Fを収容している。また、第2加熱容器6は、第2蒸気導入口64を備えている。このため、第2蒸気導入口64を介して、第1加熱室SB1から第2加熱室SB2に、蒸気を導入することができる。よって、即席ラーメンD、惣菜Fを並行して加熱することができる。
【0053】
図5に示すように、フランジ33、63の積層部分において、第1蒸気導入口34と第2蒸気導入口64とは上下方向に連結されている。当該連結を利用して、蒸気室SAから第2加熱室SB2に、第1加熱室SB1を介さずに、蒸気を導入することができる。このため、高温の蒸気を、直接、第2加熱室SB2に導入することができる。したがって、惣菜Fを確実に加熱することができる。
【0054】
図4に示すように、第1蒸気導入口34と第2蒸気導入口64とは、共に円弧状(詳しくは、径方向中心が一致し、半径が同一の円弧状)に延在する長孔状を呈している。このため、使用時に第1加熱容器3に第2加熱容器6を被せる際、第1加熱容器3に対する第2加熱容器6の周方向位置が多少ずれていても、第2蒸気導入口64を第1蒸気導入口34に連結させることができる。
【0055】
図5に示すように、即席ラーメンDは、底壁32経由の熱伝導に加えて、蒸気の対流により加熱される。これに対して、惣菜Fは、蒸気の対流により加熱される。このため、惣菜Fよりも即席ラーメンDを優先的に加熱することができる。図5に示すように、複数の第2蒸気導入口64は、筒壁60、フランジ63、底壁62に配置されている。このため、惣菜Fを全面的に加熱することができる。また、惣菜Fは、通気性を有する固形物である。このため、惣菜Fが流動物である場合と比較して、蒸気透過性を確保しやすい。
【0056】
図5に示すように、外側容器2のフランジ23には、段差部230が配置されている。このため、外側容器2に対する第1加熱容器3、第2加熱容器6の位置決めを行うことができる。また、段差部230にフランジ33、63の外周縁が当接した状態で、フランジ33の第1蒸気導入口34、フランジ63の第2蒸気導入口64は、フランジ23よりも径方向内側に配置されている。このため、第1蒸気導入口34、第2蒸気導入口64が、フランジ23により封止されるのを、抑制することができる。
【0057】
<第三実施形態>
本実施形態の加熱ユニットは、熱伝導を利用して即席ラーメンを加熱する。本実施形態の加熱ユニットと、第一実施形態の加熱ユニットとの相違点は、加熱容器に蒸気導入口が配置されていない点である。また、蓋に蒸気排出口が配置されていない点である。また、外側容器に蒸気排出口が配置されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0058】
[加熱ユニットの構成]
図6に、本実施形態の加熱ユニットの分解斜視図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。図7に、同加熱ユニットの上下方向断面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。図6図7に示すように、本実施形態の加熱ユニット1は、外側容器2と、加熱容器3と、発熱部4と、蓋5と、を備えている。
【0059】
外側容器2は、筒壁20と、開口部21と、底壁(端壁)22と、フランジ23と、複数の蒸気排出口24と、を備えている。複数の蒸気排出口24は、孔状であって、筒壁20に開設されている。蒸気排出口24は、蒸気室SAから外部に蒸気を排出する。蒸気排出口24は、発熱反応用の水Wの液面よりも上側に配置されている。すなわち、蒸気排出口24は、水Wにより封止されていない。
【0060】
加熱容器3は、筒壁30と、開口部31と、底壁(端壁)32と、フランジ33と、を備えている。加熱容器3には、蒸気導入口34(図2参照)が開設されていない。このため、蒸気室SAと加熱室SBとは隔離されている。
【0061】
蓋5は、加熱容器3の開口部31を、上側から封止している。蓋5は、筒壁50と、頂壁(端壁)52と、フランジ53と、を備えている。筒壁50は、内側テーパ部50aと、外側テーパ部50bと、を備えている。内側テーパ部50aは、下側から上側に向かって尖るテーパ筒状を呈している。内側テーパ部50aの内周縁(上縁)は、頂壁52の外周縁に連なっている。外側テーパ部50bは、上側から下側に向かって尖るテーパ筒状を呈している。外側テーパ部50bは、内側テーパ部50aの径方向外側に配置されている。外側テーパ部50bの内周縁(下縁)は、内側テーパ部50aの外周縁(下縁)に連なっている。外側テーパ部50bの外周縁(上縁)は、フランジ33の内周縁に連なっている。外側テーパ部50bの外周面は筒壁30の内周面に面接触している。
【0062】
[加熱ユニットの使用方法]
図7に示すように、まず、使用者は、外側容器2から、加熱容器3および発熱部4(一体化されている)、蓋5を分離させる。次に、使用者は、外側容器2の内部に、開口部21から、発熱反応用の水Wを注ぎ込む。また、使用者は、加熱容器3の内部に、開口部31から、乾麺D2、スープD1を配置し、スープD1希釈用の水を注ぎ込む。続いて、使用者は、上側から、外側容器2の内部に、加熱容器3および発熱部4を挿入する。それから、使用者は、蓋5を加熱容器3に被せる。このようにして、加熱準備が完了する。
【0063】
第一実施形態と同様に、図7に矢印Y2で示すように、加熱室SBの即席ラーメンDは、下側から、底壁32経由の熱伝導により、加熱される。ただし、蒸気室SAと加熱室SBとは隔離されているため、蒸気室SAの蒸気は加熱室SBに流入しない。図7に矢印Y7で示すように、当該蒸気は、複数の蒸気排出口24から加熱ユニット1の外部に排出される。即席ラーメンDの加熱が完了したら、使用者は、外側容器2から、蓋5ごと加熱容器3を取り出す。
【0064】
[作用効果]
本実施形態の加熱ユニットと、第一実施形態の加熱ユニットとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。図7に示すように、蒸気室SAと加熱室SBとは隔離されている。このため、即席ラーメンDは、蒸気の対流により加熱されない。即席ラーメンDは、主に底壁32経由の熱伝導により加熱される。したがって、蒸気室SAから加熱室SBに流れ込む蒸気の凝縮により即席ラーメンDのスープD1が希釈されるのを(スープD1の味が薄くなるのを)、抑制することができる。
【0065】
図7に示すように、蓋5は、加熱室SBの圧力に応じて、加熱容器3(詳しくは、筒壁30およびフランジ33)に対して、着座、離座可能である。このため、加熱室SBの圧力が上昇した場合は、蓋5が加熱容器3から瞬間的に離座することにより、開口部31を介して、加熱室SBの圧力を外部にリークすることができる。このように、蓋5は、調圧機能を有している。また、外側テーパ部50bおよび筒壁30は、共に上側から下側に向かって尖るテーパ筒状を呈している。すなわち、筒壁30は、外側テーパ部50bの調芯機能(径方向中心を一致させる機能)を有している。このため、蓋5が加熱容器3に対して、着座、離座しても、加熱容器3に対して蓋5がずれにくい。
【0066】
<その他>
以上、本発明の加熱ユニットの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0067】
図8に、その他の実施形態(その1)の加熱ユニットの上下方向部分断面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。本実施形態の加熱ユニットは、熱伝導、対流を併用して、汁物を加熱する。図8に示すように、本実施形態の加熱ユニット1は、外側容器(図3参照)と、加熱容器3と、発熱部4と、蓋5と、を備えている。また、汁物Dは、汁D1と、具材D2と、を備えている。汁物Dは、水分を含有する流動物である。汁物Dは、本発明の「加熱対象物」の概念に含まれる。
【0068】
発熱部4は、筒壁30の下端開口を封止している。発熱部4の発熱材ケース41は、底壁(端壁)412と、頂壁(端壁)413と、を備えている。底壁412は、金属製不織布製であって、発熱材ケース41を下側から覆っている。底壁412は、本発明の「透水部」の概念に含まれる。発熱反応用の水Wは、底壁412を通過可能である。他方、発熱材40は、底壁412を通過不可能である。頂壁413は、金属板製であって、発熱材ケース41を上側から覆っている。頂壁413は、本発明の「伝熱壁」の概念に含まれる。頂壁413は、下面413aと上面413bとを備えている。下面413aは、本発明の「第1接触面」、「凹凸接触面」の概念に含まれる。上面413bは、本発明の「第2接触面」、「凹凸接触面」の概念に含まれる。
【0069】
下面413aは、発熱材40の上面に、全面的に面接触している。下面413aは、凹凸形状(下側から見て多重円の波状。軸方向断面においてサイン波状)を呈している。下面413aが平面である場合の表面積を1として、凹凸形状を呈する下面413aの表面積は、1.4倍以上に設定されている。上面413bは、汁物Dに、全面的に面接触している。上面413bは、凹凸形状(上側から見て多重円の波状。軸方向断面においてサイン波状)を呈している。上面413bが平面である場合の表面積を1として、凹凸形状を呈する上面413bの表面積は、1.4倍以上に設定されている。このように、頂壁413は、発熱材40および汁物Dに面接触している。頂壁413は、発熱材40から汁物Dに、熱伝導により熱を伝達する。
【0070】
蓋5は、アルミ蒸着紙製であって、フランジ33の上面に接着されている。矢印Y8で示すように、蓋5はフランジ33から剥離可能である。蓋5には、複数の蒸気排出口54が開設されている。汁物Dは、予め、冷凍状態で、加熱容器3および蓋5の内部に収容されている。
【0071】
本実施形態の加熱ユニットと、第一実施形態の加熱ユニットとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。図8に示すように、発熱材ケース41の頂壁413が伝熱壁であってもよい。また、加熱対象物(汁物D)の汁D1(流動物)は、加熱前に冷凍状態であってもよい。また、蓋5は、フランジ33に接着されていてもよい。また、加熱対象物が、使用前から、加熱容器3および蓋5の内部に収容(あるいは封入)されていてもよい。
【0072】
図9(A)~図9(D)に、その他の実施形態(その2~その5)の加熱ユニットの加熱容器の下面図を示す。なお、図3と対応する部位については、同じ符号で示す。本実施形態の加熱ユニットは、熱伝導、対流を併用して、即席ラーメンを加熱する。
【0073】
底壁(伝熱壁)32の下面320は、凹面部320aと、凸面部(ハッチングを施す)320bと、を備えている。凸面部320bは、凹面部320aよりも、上側に配置されている。凹面部320aは、凸面部320bよりも、発熱材に近接している。反対に、凸面部320bは、凹面部320aよりも、加熱対象物に近接している。図9(A)に示すように、多重円状(同心円状)に複数の凸面部320bを配置してもよい。図9(B)に示すように、縞状に複数の凸面部320bを配置してもよい。図9(C)に示すように、ディンプル状に複数の凸面部320bを配置してもよい。図9(D)に示すように、放射線状に複数の凸面部320bを配置してもよい。勿論、図9(A)~図9(D)の凸面部320bの配置パターンを、適宜組合せて用いてもよい。
【0074】
図10(A)~図10(C)に、その他の実施形態(その6~その8)の加熱ユニットのフランジ部分(図7の枠Xに対応する部分)の上下方向断面図を示す。なお、図7と対応する部位については、同じ符号で示す。本実施形態の加熱ユニットは、熱伝導を利用して、即席ラーメンを加熱する。
【0075】
図10(A)に示すように、加熱容器3のフランジ33の下面に凸部330を配置することにより、加熱容器3のフランジ33と外側容器2のフランジ23との間に、蒸気排出口70を確保してもよい。こうすると、外側容器2に蒸気排出口24(図7参照)を開設しなくてもよい。このため、市販の丼やボウルなどを外側容器2として用いることができる。
【0076】
図10(B)に示すように、加熱容器3のフランジ33に蒸気排出口35を、蓋5のフランジ53に蒸気排出口54を、各々開設し、二つの蒸気排出口35、54を連通させてもよい。こうすると、外側容器2に蒸気排出口24(図7参照)を開設しなくてもよい。このため、市販の丼やボウルなどを外側容器2として用いることができる。
【0077】
図10(C)に示すように、蓋5のフランジ53に封止されないように、加熱容器3のフランジ33に蒸気排出口35を開設してもよい。こうすると、外側容器2に蒸気排出口24(図7参照)を開設しなくてもよい。このため、市販の丼やボウルなどを外側容器2として用いることができる。
【0078】
以下、図1図5図8図9(A)~図9(D)に示す熱伝導、対流を併用する加熱ユニット1を「併用加熱ユニット」と総称する。また、図6図7図10(A)~図10(C)に示す熱伝導を利用する加熱ユニット1を「専用加熱ユニット」と総称する。
【0079】
併用加熱ユニットと専用加熱ユニットとは、所定の変更を加えることにより、互換性を確保することができる。例えば、図1に示す加熱ユニット1を専用加熱ユニットに転用する場合は、図1に示す外側容器2に図6に示す蒸気排出口24を開設し、図1に示す加熱容器3の蒸気導入口34を封止すればよい。同様に、図4に示す加熱ユニット1を専用加熱ユニットに転用する場合は、図4に示す外側容器2に図6に示す蒸気排出口24を開設し、図4に示す第1加熱容器3の蒸気導入口34を封止すればよい。この際、図4に示す第1加熱容器3のフランジ33の蒸気導入口34と、第2加熱容器6のフランジ63の蒸気導入口64と、を連通させ、図5に示す即席ラーメンDを熱伝導により、惣菜Fを蒸気により、各々加熱してもよい。
【0080】
反対に、図6に示す加熱ユニット1を併用加熱ユニットに転用する場合は、図6に示す外側容器2の蒸気排出口24を封止し、図6に示す加熱容器3に図1に示す蒸気導入口34を開設すればよい。なお、余剰蒸気の排出は、図6に示す蓋5が加熱容器3から離座することにより、行うことができる。また、図8に示す蓋5、図9(A)~図9(D)に示す凹凸形状を、専用加熱ユニットに採用してもよい。
【0081】
以下、図3に示す即席ラーメンD(加熱対象物)、図5に示す即席ラーメンD(第1加熱対象物)、図7に示す即席ラーメンD(加熱対象物)、図8に示す汁物D(加熱対象物)を、第1加熱対象物Dと総称する。また、図3に示す加熱容器3、図5に示す第1加熱容器3、図7に示す加熱容器3、図8に示す加熱容器3を、第1加熱容器3と総称する。また、図3に示す蒸気導入口34、図5に示す第1蒸気導入口34、図8に示す蒸気導入口34を、第1蒸気導入口34と総称する。
【0082】
第1加熱対象物Dの種類は特に限定しない。水分を含有する流動物であればよい。固形物D2を含んでいても、いなくてもよい。例えば、固形物D2を含まない飲み物(水、コーヒー、ジュース、ミルク、お茶など)や出汁、固形物D2を含む即席麺(即席うどん、即席ラーメン、即席蕎麦など)、味噌汁、おでん、スープ、カレー、シチュー、リゾットなどが挙げられる。また、第1加熱対象物Dは、加熱前に流動性を有しなくても、加熱中(遅くとも加熱が完了するまで)に流動性が発現すればよい。このような第1加熱対象物Dとしては、例えば、氷、冷凍食品(冷凍スープ、冷凍カレー、冷凍麺(冷凍うどん、冷凍ラーメン、冷凍蕎麦など)、冷凍鍋具材など)が挙げられる。例えば、冷凍食品を、食べるのに適した温度まで加熱する際に、加熱ユニット1を用いてもよい。また、冷凍食品を、単に解凍する際に、加熱ユニット1を用いてもよい。
【0083】
第1加熱対象物Dが、流動物D1と固形物D2とを含む場合、加熱前の流動物(スープD1、汁D1)D1は、粉末状(固体状)であっても液体状であってもよい。また、加熱前の流動物D1が液体状の場合は、濃縮タイプ(希釈必要)であっても、ストレートタイプ(希釈不要)であってもよい。第1加熱対象物Dに含まれる固形物D2は特に限定しない。例えば、肉、魚、野菜、乾麺、乾燥具材、レトルトパウチ食品などが挙げられる。第1加熱対象物Dは食品に限定されない。例えば、第1加熱対象物Dの固形物D2には、哺乳瓶、おしぼり、ふきん、マスク、タオルなどが含まれる。
【0084】
第2加熱対象物(図5に示す惣菜F)Fの種類は特に限定しない。第1加熱対象物Dと同じであってもよい。また、水分を含有しない流動物(オイル(サラダオイル、オリーブオイル、ごま油など))であってもよい。また、第2加熱対象物Fは固形物であってもよい。例えば、食べ物(ご飯、餅、パン、肉、魚、缶詰など)が挙げられる。第2加熱対象物Fは食品に限定されない。例えば、第2加熱対象物Fには、哺乳瓶、おしぼり、ふきん、マスク、タオルなどが含まれる。
【0085】
第1加熱容器3の形状は特に限定しない。第1加熱容器3は、第1加熱対象物Dを貯留する凹部を備えていればよい。凹部の配置数は、単一でも複数でもよい。第1加熱容器3の材質は特に限定しない。所定の耐熱性を有していればよい。例えば、樹脂、紙、木、金属、セラミックなどが挙げられる。第1加熱容器3に収容される第1加熱対象物Dは、熱伝導により加熱される。このため、第1加熱容器3は、第2加熱容器6よりも耐熱性が高い方がよい。
【0086】
第2加熱容器6の形状は特に限定しない。凹部はあってもなくてもよい。また、第2加熱容器6は、平板状や上側に膨らむ凸板状であってもよい。第2加熱容器6の材質は特に限定しない。所定の耐熱性を有していればよい。例えば、樹脂、紙、木、金属、セラミックなどが挙げられる。
【0087】
外側容器2の形状、材質は特に限定しない。材質としては、所定の耐熱性を有していればよい。例えば、樹脂、紙、木、金属、セラミックなどが挙げられる。外側容器2が樹脂製の場合、熱伝導率が低い発泡樹脂製であってもよい。外側容器2が紙製の場合、熱伝導率が低い段ボール製であってもよい。また、外側容器2として、市販の丼やボウルなどを使用してもよい。
【0088】
蓋5の形状、材質は特に限定しない。材質としては、所定の耐熱性を有していればよい。例えば、樹脂、紙(金属蒸着紙を含む)、木、金属、セラミックなどが挙げられる。蓋5が樹脂製の場合、熱伝導率が低い発泡樹脂製であってもよい。蓋5が紙製の場合、熱伝導率が低い段ボール製であってもよい。また、蓋5として、市販の食品用ラップなどを使用してもよい。図5に示す段差部230は、第1加熱容器3のフランジ33に配置されていてもよい。この場合、第1加熱容器3に対して第2加熱容器6を位置決めすることができる。
【0089】
第1蒸気導入口34、第2蒸気導入口64、蒸気排出口24、35、54、70の形状は特に限定しない。孔、切欠き、スリットから選ばれる1種以上の形状であればよい。第1蒸気導入口34、第2蒸気導入口64、蒸気排出口24、35、54、70の配置数も特に限定しない。
【0090】
第1蒸気導入口34は、筒壁30(第1加熱対象物Dの液面よりも上)およびフランジ33のうち、少なくとも一方に配置されていればよい。こうすると、第1加熱対象物Dが第1蒸気導入口34から流出するのを抑制することができる。また、第1蒸気導入口34は、第1加熱対象物Dが沸騰しても第1加熱対象物Dが流出しない位置に配置されていてもよい。第2加熱対象物Fが流動物の場合、第2蒸気導入口64は、第1蒸気導入口34と同様に配置されていればよい。第2加熱対象物Fが固形物の場合、第2蒸気導入口64は、筒壁60、フランジ63、底壁62のうち、少なくとも一つに配置されていればよい。蒸気排出口54は、筒壁50、頂壁52のうち、少なくとも一方に配置されていればよい。
【0091】
伝熱壁(図3図5図7に示す底壁32、図8に示す頂壁413)の構成は特に限定しない。底壁32および頂壁413のうち少なくとも一方が、伝熱壁を備えていてもよい。例えば、伝熱壁が、底壁32と頂壁413との積層壁により構成されていてもよい。伝熱壁は、第1加熱対象物Dを加熱する時点で、発熱材40に当接していればよい。すなわち、非加熱時において、伝熱壁と発熱材40とは離間していてもよい。例えば、伝熱壁と発熱材40とを離間して配置しておき、水Wと反応する際の発熱材40の膨張を利用して、発熱材40を伝熱壁に当接させてもよい。この場合であっても、熱伝導により第1加熱対象物Dを加熱することができる。
【0092】
伝熱壁の第1接触面(図3図5図7に示す下面320、図8に示す下面413a)は、発熱材40の表面のうち、少なくとも一部に接触していればよい。同様に、伝熱壁の第2接触面(図3図5図7に示す上面321、図8に示す上面413b)は、第1加熱対象物Dの表面のうち、少なくとも一部に接触していればよい。
【0093】
第1接触面、第2接触面の形状は特に限定しない。平面状であってもよい。また、少なくとも一部に凹凸形状を有していてもよい。凹凸接触面(図3図5図7に示す下面320、上面321、図8に示す下面413a、上面413b)の凹凸形状(図9(A)~図9(D)参照)は特に限定しない。例えば、波状(サイン波状、矩形波状)、ディンプル状、縞状、放射線状などが挙げられる。
【0094】
凹凸接触面の表面積は特に限定しない。凹凸接触面が平面である場合の表面積を1として、凹凸接触面の表面積は1.2倍以上である方がよい。こうすると、加熱時間を短縮するができる。好ましくは、凹凸接触面が平面である場合の表面積を1として、凹凸接触面の表面積は1.4倍以上である方がよい。こうすると、さらに加熱時間を短縮するができる。
【0095】
伝熱壁の材質は特に限定しない。例えば、樹脂、紙、木、セラミック、金属などであってもよい。樹脂、紙、木、セラミックと比較して、金属は熱伝導率が高い。このため、伝熱壁を金属(例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄など)製にすると、加熱時間を短縮することができる。
【0096】
発熱材ケース41における透水部の位置、配置数は特に限定しない。発熱材ケース41の全部が透水部であってもよい。発熱材ケース41の一部(筒壁410、底壁412など)だけが透水部であってもよい。発熱材ケース41の材質は特に限定しない。例えば、紙、金属(例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄など)などが挙げられる。透水部の材質は特に限定しない。網、不織布、多孔質材などが挙げられる。透水部は、発熱反応用の水Wの通過を許容し、発熱材40の通過を禁止できればよい。水Wの配置方法は特に限定しない。水袋に封入して外側容器2の蒸気室SAに配置してもよい。この場合、トリガー部材(紐、針など)により水袋を破り、水Wと発熱材40との反応を開始してもよい。
【0097】
第1加熱対象物Dの水分含有率は、50質量%以上とする方がよい。水が加熱され蒸気に相転移する際、沸騰により温度は一定に保たれる。このため、水分含有率を50質量%以上とすると、第1加熱対象物Dに接触する伝熱壁の温度が過度に上昇するのを、抑制することができる。第1加熱対象物Dの粘度は、10mPa・s以下とする方がよい。こうすると、第1加熱対象物Dの流動性が向上するため、第1加熱対象物D全体を迅速に加熱することができる。第1加熱対象物Dを加熱する際に、第1加熱対象物D中の水分を沸騰させてもよい。また、沸騰させなくてもよい。第1加熱対象物Dの加熱温度、加熱時間は、発熱材40の種類、量、伝熱壁の材質、厚さなどにより調整することができる。
【0098】
発熱材40の材質は特に限定しない。CaO、MgO、Alから選ばれる1種以上の材料を含む方がよい。例えば、発熱材40がCaOとAlとを含む混合物である場合、発熱材40が水Wと接触すると、第1段階で「CaO+HO=Ca(OH)+熱エネルギ」という反応が、第2段階で「Al+Ca(OH)+熱エネルギ」=Ca(AlO+H+熱エネルギ」という反応が起こる。このため、第1加熱対象物Dに伝達可能な熱エネルギを多くすることができる。発熱材40の形状は特に限定しない。粉末状、顆粒状、ペレット状から選ばれる1種以上の形状を呈していればよい。
【0099】
併用加熱ユニット、専用加熱ユニットの配置方向(発熱部4と第1加熱容器とが並ぶ方向)は特に限定しない。例えば、垂直方向、水平方向、傾斜方向(垂直方向および水平方向に対して傾斜する方向)であってもよい。
【符号の説明】
【0100】
1:加熱ユニット、2:外側容器、2S:内部空間、20:筒壁、21:開口部、22:底壁、23:フランジ、230:段差部(位置決め部)、24:蒸気排出口、3:加熱容器(第1加熱容器)、3S:内部空間、30:筒壁、31:開口部、32:底壁(伝熱壁)、320:下面(第1接触面、凹凸接触面)、320a:凹面部、320b:凸面部、321:上面(第2接触面、凹凸接触面)、33:フランジ、330:凸部、34:蒸気導入口(第1蒸気導入口)、35:蒸気排出口、4:発熱部、40:発熱材、41:発熱材ケース、410:筒壁、412:底壁(透水部)、413:頂壁(伝熱壁)、413a:下面(第1接触面、凹凸接触面)、413b:上面(第2接触面、凹凸接触面)、5:蓋、50:筒壁、50a:内側テーパ部、50b:外側テーパ部、52:頂壁、53:フランジ、530:係合部、54:蒸気排出口、6:第2加熱容器、6S:内部空間、60:筒壁、61:開口部、62:底壁、63:フランジ、64:第2蒸気導入口、70:蒸気排出口
D:即席ラーメン、汁物、加熱対象物、第1加熱対象物、D1:スープ、汁、D2:乾麺、具材、F:惣菜、第2加熱対象物、SA:蒸気室、SB:加熱室、SB1:第1加熱室、SB2:第2加熱室、W:水
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