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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154371
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/56 20060101AFI20221005BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20221005BHJP
   A61F 13/47 20060101ALI20221005BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A61F13/56 110
A61F13/15 220
A61F13/47 100
A61F13/47 300
A61F13/53 100
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057384
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 青
(72)【発明者】
【氏名】黒田 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】溝口 正輝
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA03
3B200BA15
3B200BB20
3B200CA11
3B200DA14
3B200DA16
3B200DA25
3B200DE05
3B200DE10
3B200DF09
(57)【要約】
【課題】着色された剥離シートの位置ずれを目立ち難くできる吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品(1)は、表面シート(21)、裏面シート(22)、表面シートと裏面シートの間に配置された吸収体(23)、及び裏面シートの非肌面に配置された粘着部(27)を有する本体部(2)と、本体部の非肌面側に配置され、粘着部を覆う剥離シート(40)と、を有する。裏面シートの光線透過率は、45%以上である。吸収性物品は、吸収体の少なくとも非肌面に設けられた吸収着色部(82)と、剥離シート(40)に設けられ、吸収着色部と同色の剥離着色部(81)と、を有する。剥離シートの幅方向の外側縁(40E)は、前後方向に沿って延びている。吸収着色部は、剥離シートの幅方向の外側縁を跨いで配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シート、裏面シート、前記表面シートと前記裏面シートの間に配置された吸収体、及び前記裏面シートの非肌面に配置された粘着部を有する本体部と、
前記本体部の非肌面側に配置され、前記粘着部を覆う剥離シートと、を有する吸収性物品であって、
前記裏面シートの光線透過率は、45%以上であり、
前記吸収性物品は、前記吸収体の少なくとも非肌面に設けられた吸収着色部と、前記剥離シートに設けられ、前記吸収着色部と同色の剥離着色部と、を有し、
前記剥離シートの幅方向の外側縁は、前後方向に沿って延びており、
前記吸収着色部は、前記剥離シートの幅方向の前記外側縁を跨いで配置されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記剥離シートの非肌面は、前記剥離着色部が設けられていない背景部を有し、
前記背景部の光線透過率は、30%以上である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収着色部は、前記剥離シートの前記前後方向の外端縁を跨いで配置されている、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記剥離着色部は、前記剥離シートの前記外側縁に設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記剥離シートよりも非肌面側に配置され、前記本体部を個別に包装する包装シートを有し、
前記包装シートの光線透過率は、45%以上であり、
前記剥離シートの非肌面は、前記剥離着色部が設けられていない背景部を有し、
前記剥離シートの前記前後方向の外端縁のうち、前記吸収性物品が、前記幅方向に延びる折り目を基点に複数折り畳まれ、前記本体部を前記包装シートによって個別に包装した包装状態において外面側に位置する外端縁には、前記背景部が設けられており、
前記剥離シートの前記外端縁における前記背景部の少なくとも一部は、前記吸収着色部と離間している、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記剥離シートよりも非肌面側に配置され、前記本体部を個別に包装する包装シートを有し、
前記包装シートの光線透過率は、45%以上であり、
前記吸収性物品が、前記幅方向に延びる折り目を基点に複数折り畳まれ、前記本体部を前記包装シートによって個別に包装した包装状態において、前記本体部の前記幅方向の外側縁は、曲線状に延びる第1曲線部を有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記裏面シートに設けられた裏面着色部を有し、
前記裏面着色部は、前記剥離着色部と同色である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記剥離シートよりも非肌面側に配置され、前記本体部を個別に包装する包装シートを有し、
前記包装シートの光線透過率は、45%以上であり、
前記包装シートに設けられた包装着色部を有し、
前記包装着色部は、前記剥離着色部と同色である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記剥離着色部の明度は、前記包装着色部の明度よりも低く、
前記包装着色部の明度は、前記吸収着色部の明度よりも低い、請求項8に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記剥離シートは、前記剥離着色部が設けられていない背景部を有し、
前記背景部の明度は、前記吸収着色部の明度よりも高い、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記剥離シートよりも非肌面側に配置され、前記本体部を個別に包装する包装シートを有し、
前記包装シートと前記剥離シートは、シート接合部を介して接合されており、
前記幅方向において、前記粘着部の外側縁と前記剥離シートの外側縁との間隔は、前記シート接合部と前記剥離シートの外側縁との間隔よりも短い、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記剥離シートよりも非肌面側に配置され、前記本体部を個別に包装する包装シートを有し、
前記包装シートと前記剥離シートは、シート接合部を介して接合されており、
前記シート接合部の幅方向と重なる範囲内において、前記粘着部の外端縁と前記剥離シートの外端縁との間隔は、前記シート接合部と、前記剥離シートの外側縁との間隔より長い、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記吸収着色部は、吸収材料を積層した吸収コアを覆うコアラップに設けられている、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記吸収着色部は、吸収材料を積層した吸収コアに設けられている、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離シートを有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、着用物品に本体部を止めるための粘着部と、粘着部を使用前に覆う剥離シートと、を有する吸収性物品が開示されている。特許文献1の吸収性物品の剥離シートは、着色されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-322882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吸収性物品は、剥離シートが着色されていることにより、剥離シートが配置された領域と剥離シートが配置されていない領域との認識を使用者が容易に行うことができるように構成されている。しかし、剥離シートが着色されていることで、剥離シートが目立ち、使用者の注意を惹きつける一方で、個々の吸収性物品における剥離シートの位置ずれが目立ちやすくなる。特に、高速化した製造工程にあっては、剥離シートの位置ずれが生じるおそれがあり、当該剥離シートの位置ずれによって、デザインの統一感が図れずにデザイン性が低下したり、使用者が製品不良であると誤認識してしまったりする不具合があった。よって、着色された剥離シートの位置ずれを目立ち難くできる吸収性物品を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様に係る吸収性物品は、表面シート、裏面シート、前記表面シートと前記裏面シートの間に配置された吸収体、及び前記裏面シートの非肌面に配置された粘着部を有する本体部と、前記本体部の非肌面側に配置され、前記粘着部を覆う剥離シートと、を有する。前記裏面シートの光線透過率は、45%以上である。前記吸収性物品は、前記吸収体の少なくとも非肌面に設けられた吸収着色部と、前記剥離シートに設けられ、前記吸収着色部と同色の剥離着色部と、を有する。前記剥離シートの幅方向の外側縁は、前後方向に沿って延びている。前記吸収着色部は、前記剥離シートの幅方向の前記外側縁を跨いで配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る吸収性物品の展開状態の平面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る吸収性物品の展開状態の背面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る吸収性物品の分解斜視図である。
図4図4は、第1実施形態に係る吸収性物品の包装状態を示した図である。
図5図5は、第2実施形態に係る吸収性物品の包装状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、表面シート、裏面シート、前記表面シートと前記裏面シートの間に配置された吸収体、及び前記裏面シートの非肌面に配置された粘着部を有する本体部と、前記本体部の非肌面側に配置され、前記粘着部を覆う剥離シートと、を有する。前記裏面シートの光線透過率は、45%以上である。前記吸収性物品は、前記吸収体の少なくとも非肌面に設けられた吸収着色部と、前記剥離シートに設けられ、前記吸収着色部と同色の剥離着色部と、を有する。前記剥離シートの幅方向の外側縁は、前後方向に沿って延びている。前記吸収着色部は、前記剥離シートの幅方向の前記外側縁を跨いで配置されている。裏面シートの光線透過率が45%以上であるため、使用者が吸収性物品を非肌面側から視認した際に、裏面シートを介して吸収着色部を視認することが可能となる。よって、剥離着色部によって剥離シートを目立たせることができ、使用者が剥離シートの存在や位置を把握でき、操作性を向上できるとともに、剥離着色部及び吸収着色部によってデザイン性を向上できる。また、剥離シートの外側縁を跨いで剥離着色部と同色の吸収着色部が配置されているため、剥離シートの外側縁が吸収着色部によって目立ち難くなり、吸収性物品全体における剥離シートの傾き等のずれが目立ち難くなる。よって、吸収性物品全体のデザインの統一感を図り、デザイン性を向上させたり、剥離シートの位置ずれに起因する製品不良であるとの誤認識を抑制したりできる。
【0008】
好ましい一態様によれば、前記剥離シートの非肌面は、前記剥離着色部が設けられていない背景部を有する。前記背景部の光線透過率は、30%以上である。背景部の光線透過率が30%以上であることにより、使用者が吸収性物品を吸収性物品の非肌面側から見た際に、背景部を介して吸収着色部の存在を把握することができる。よって、使用者が吸収性物品の非肌面側から見た際に、剥離着色部と、背景部を介して視認できる吸収着色部と、が一体化し、剥離シート全体が一体化するとともに、剥離シートと吸収体を一体化することができる。よって、吸収性物品全体における剥離シートの傾き等のずれが目立ち難くなる。
【0009】
好ましい一態様によれば、前記吸収着色部は、前記剥離シートの前記前後方向の外端縁を跨いで配置されている。本態様によれば、剥離シートの前後方向の外端縁も吸収着色部によって目立ち難くなり、吸収性物品全体における剥離シートの傾き等のずれが目立ち難くなる。
【0010】
好ましい一態様によれば、前記剥離着色部は、前記剥離シートの幅方向の外側縁に設けられている。本態様によれば、剥離着色部の存在によって剥離シートの幅方向の外側縁と吸収着色部をより同化させることができ、剥離シートの外側縁をより目立ち難くできる。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記剥離シートよりも非肌面側に配置され、前記本体部を個別に包装する包装シートを有する。前記剥離シートの非肌面は、前記剥離着色部が設けられていない背景部を有する。前記剥離シートの前記前後方向の外端縁のうち、前記吸収性物品が、前記幅方向に延びる折り目を基点に複数折り畳まれ、前記本体部を前記包装シートによって個別に包装した包装状態において外面側に位置する外端縁には、前記背景部が設けられている。前記剥離シートの前記外端縁における前記背景部の少なくとも一部は、前記吸収着色部と離間している。本態様によれば、当該背景部が吸収着色部と離間しており、背景部と、吸収着色部と離間した領域と、が一体化することで、剥離シートの外端縁を目立ち難くすることができる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品が、前記幅方向に延びる折り目を基点に複数折り畳まれ、前記本体部を前記包装シートによって個別に包装した包装状態において、前記本体部の前記幅方向の外側縁は、曲線状に延びる第1曲線部を有する。本態様によれば、本体部の外側縁が第1曲線部を有するため、本体部の外側縁を基準として剥離シートの外側縁の相対位置が目立ち難くなり、吸収性物品全体における剥離シートの傾き等のずれが目立ち難くなる。
【0013】
好ましい一態様によれば、前記裏面シートに設けられた裏面着色部を有する。前記裏面着色部は、前記剥離着色部と同色である。本態様によれば、裏面着色部は、剥離着色部と同色であり、吸収性物品の非肌面側から見た際に、吸収性物品の非肌面全体を一体化できる。よって、剥離シートの外側縁がより目立ち難くなる。
【0014】
好ましい一態様によれば、前記剥離シートよりも非肌面側に配置され、前記本体部を個別に包装する包装シートを有する。前記包装シートの光線透過率は、45%以上である。前記包装シートに設けられた包装着色部を有する。前記包装着色部は、前記剥離着色部と同色である。本態様によれば、包装シートの光線透過率が45%以上であるため、使用者が吸収性物品を非肌面側から視認した際に、包装シートを介して剥離着色部を視認でき、また、包装シート及び裏面シートを介して吸収着色部を視認することが可能となる。包装着色部は、剥離着色部と同色であり、吸収性物品の非肌面側から見た際に、吸収性物品の非肌面全体を一体化できる。よって、剥離シートの外側縁がより目立ち難くなる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記剥離着色部の明度は、前記包装着色部の明度よりも低い。前記包装着色部の明度は、前記吸収着色部の明度よりも低い。本態様によれば、剥離着色部、包装着色部及び吸収着色部によって、吸収性物品全体の統一感を向上させつつ、包装状態において内側に位置する剥離シートの存在を目立たせることができるとともに、包装シートによって剥離シートの外側縁を目立ち難くできる。また、包装着色部の明度が吸収着色部の明度よりも低く、外側に位置する包装シートの包装着色部によって吸収性物品全体の統一感を図ることができる。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記剥離シートは、前記剥離着色部が設けられていない背景部を有する。前記背景部の明度は、前記吸収着色部の明度よりも高い。本態様によれば、背景部が薄く、吸収着色部が濃いため、使用者が吸収性物品を非肌面側から視認した際に、背景部を介して吸収着色部を視認し易くなり、吸収性物品全体の統一感をより向上できる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記剥離シートよりも非肌面側に配置され、前記本体部を個別に包装する包装シートを有する。前記包装シートと前記剥離シートは、シート接合部を介して接合されている。前記幅方向において、前記粘着部の外側縁と前記剥離シートの外側縁との間隔は、前記シート接合部と、前記剥離シートの外側縁との間隔よりも短い。本態様によれば、包装シートと剥離シートが接合されていない領域内に、粘着部に対して剥離シートが浮き上がる領域が設けられる。すなわち、粘着部に対して剥離シートが浮き上がる領域に重なって、剥離シートに対して包装シートが浮き上がる領域が設けられる。よって、包装シートの外面側から視認した際に、剥離シートの外側縁がより目立ち難くなる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記吸収着色部は、吸収材料を積層した吸収コアを覆うコアラップに設けられている。本態様によれば、コアラップによって、吸収体全体を着色することが可能となる。また、コアラップを部分的に重ねて配置することにより、色の濃淡を形成でき、当該色むらによって剥離シートの位置ずれを目立ち難くできる。また、印刷等によって吸収着色部を設けることにより、簡易に文字や絵柄を付して、よりデザイン性を向上できる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記吸収着色部は、吸収材料を積層した吸収コアに設けられている。本態様によれば、体液を吸収する吸収コア全体を目立たせることができ、使用者は、吸収着色部によって吸収コアの存在や領域を把握できる。使用者は、吸収性能を把握したり、体液の漏れに対する安心感を得たりできる。
【0020】
(2)第1実施形態に係る吸収性物品
以下、図面を参照して、第1実施形態に係る吸収性物品について説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、母乳パッド、大人用失禁パッド、又は糞便パッドのような吸収性物品であってよい。吸収性物品は、使用者の下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0021】
図1及び図2は、実施形態に係る吸収性物品1の展開状態の平面図である。図1は、肌面側から見た図であり、図2は、非肌面側から見た図である。図3は、実施形態に係る吸収性物品の分解斜視図である。図4は、吸収性物品1の包装状態を示した図である。ここで、「肌対向面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌対向面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。また、展開状態は、包装シート70がいずれの折り目によっても折り畳まれていない状態である。
【0022】
吸収性物品1は、前後方向L、幅方向W及び厚み方向Tを有する。前後方向Lは、着用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。厚み方向Tは、肌面側T1と非肌面側T2に延びる方向である。吸収性物品1は、本体部2と、剥離シート40と、包装シート70と、を少なくとも有する。本体部2は、使用時に着用者に装着されて使用される。本体部2は、前側域S1、中央域S2及び後側域S3を有してよい。中央域S2は、着用者の排泄口に対向する領域である。前側域S1は、中央域S2よりも前側に位置する。後側域S3は、中央域S2よりも後側に位置し、着用者の臀部に対向する領域である。前側域S1、中央域S2及び後側域S3は、吸収性物品1の前後方向Lの長さが最も長い位置(本実施の形態では、本体部2の幅方向の中心2CW)において、本体部2を前後方向Lに3等分した領域であってもよいし、後述する第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2によって区画された領域であってもよい。
【0023】
本体部2は、表面シート21と、裏面シート22と、表面シート21と裏面シート22の間の吸収体23と、裏面シート22の非肌面に配置された粘着部27と、を有する。表面シート21は、使用中に着用者の肌の方に向いて配置される。表面シート21は、液透過性シートから構成されていてよい。表面シート21は、繊維を有する不織布又は織布によって構成されてよいし、開口フィルムによって構成されてもよい。裏面シート22は、使用中に、着用者の肌とは反対側に向けられる。裏面シート22は、液不透過性シートを含んでいてよい。吸収体23は、本体部2の前後方向Lに沿って延びている。吸収体23は、水分を吸収可能な吸収材料を有する。吸収材料は、パルプ、SAP(高吸収性ポリマー)を例示できる。吸収体23は、図示しないコアラップによって覆われていてよい。コアラップは、例えばティッシュにより構成することができる。吸収体23には、吸収着色部82が設けられている。吸収着色部82の構成については、後述にて詳細に説明する。粘着部27は、本体部2を着用物品(下着等)に接合するための粘着剤が設けられた領域である。粘着部27は、吸収体23と重なる領域に配置されてよい。
【0024】
なお、本明細書において、「前後方向Lに沿って」という用語は、前後方向Lに対して45°未満の角度を持った方向を意味し、「幅方向Wに沿って」という用語は、幅方向Wに対して45°未満の角度を持った方向を意味する。ここで、本発明における外端縁とは、前後方向Lの外側に位置する縁であり、内端縁とは、前後方向Lの内側に位置する縁である。ここで、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向における縁である。また、本発明において重なっている状態とは、平面視にて一方の部材と他方の部材が重なっている状態であり、一方の部材の肌面側又は非肌面側に他方の部材が配置されている状態である。重なっている状態では、一方の部材と他方の部材が互いに接している状態のみならず、一方の部材と他方の部材の間に他の部材が介在している構成も含む。
【0025】
剥離シート40は、後述する包装状態において本体部2の非肌面側T2に配置され、粘着部27を覆う。剥離シート40は、吸収性物品1の使用前の状態において粘着部27を覆い、粘着部27の劣化を防ぐように構成されている。剥離シート40は、使用時に吸収性物品1から分離する。本発明における「剥離シート」は、本体部2の非肌面側T2に配置された剥離シートである。ウイング及びヒップフラップを有する本体部は、ウイングを着用物品に接合するウイング接合部及びヒップフラップを着用物品に接合するヒップフラップ接合部を有する。ウイング接合部を覆うウイング剥離シート及びヒップフラップ接合部を覆うヒップフラップ剥離シートは、包装状態において本体部2よりも肌面側に位置し、本発明の「剥離シート」を構成しない。剥離シート40は、本体部2と包装シート70の間に配置されている。剥離シート40は、平面視にて吸収体23が配置された領域内に位置してよい。換言すると、吸収体23の少なくとも一部は、平面視にて、剥離シート40よりも外側に延出してよい。剥離シート40には、剥離着色部81が設けられている。剥離着色部81の構成については、後述にて詳細に説明する。剥離シート40の幅方向Wの外側縁40Eは、前後方向Lに沿って延びてよい。剥離シート40は、4つの側辺によって囲まれた矩形状であってよい。
【0026】
包装シート70は、本体部2を個別に包装する。包装シート70は、剥離シート40よりも非肌面側T2に配置されている。包装シート70は、不織布又はフィルムによって構成されてよい。図3等に示すように、剥離シート40と包装シート70は、シート接合部45を介して接合されている。シート接合部45は、接着剤が付された部分であってよい。
【0027】
吸収性物品1は、図1及び図2に示す展開状態から、幅方向Wに延びる折り目を基点に複数折り畳まれて、包装状態となってよい。包装状態は、幅方向Wに延びる折り目を基点に複数折り畳まれ、本体部2を包装シート70によって個別に包装した状態である。複数の折り目は、幅方向Wに延びる第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2を有してよい。第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2は、前後方向Lに離間してよい。第1幅折り目FW1は、第2幅折り目FW2よりも後側に位置しており、後側域S3と中央域S2の境界を構成してよい。第2幅折り目FW2は、前側域S1と中央域S2の境界を構成してよい。なお、吸収性物品1は、包装シート70及び剥離シート40上に本体部2を配置した状態で共に折り畳まれる。折り畳み態様の一例としては、包装シート70及び剥離シート40上に本体部2を配置した展開状態(図1及び図2に示す状態)で、第1幅折り目FW1を基点に吸収性物品1の後端縁を前後方向Lの内側に折り畳む。次いで、第2幅折り目FW2を基点に吸収性物品1の前端縁側を前後方向Lの内側に折り畳む。次いで、吸収性物品1の外面に配置された包装シート70の外端縁70Fを、包装シート70の外端縁70Fと重なる包装シート70にテープ部材75によって接合する。すなわち、テープ部材75は、包装状態において、吸収性物品1の外面に配置された包装シート70の外端縁70Fを、包装シート70の外端縁70Fと重なる包装シート70に接合する。なお、変形例において、テープ部材75を有していなくてもよい。また、変形例において、吸収性物品1は、前後方向に延びる折り目を基点に折り畳まれていてもよいし、幅方向Wに延びる折り目は、第1幅折り目FW1及び第2幅折り目FW2の他に、第3幅折り目等の他の折り目を有してよい。
【0028】
本実施の形態の吸収性物品1は、剥離シート40が配置された領域と剥離シート40が配置されていない領域との認識を使用者が容易に行うことが可能であり、かつ着色された剥離シート40の位置ずれを目立ち難くできるように構成されている。位置ずれは、剥離シートの幅方向W等の位置のずれのみならず、角度のずれも含む。位置ずれの寸法は、特に限定されないが、例えば、個体差によるずれが10mm以下であってよい。角度のずれの数値は、特に限定されないが、例えば、個体差によるずれが15度以下であってよい。剥離シートのずれは、製造工程において意図せずに形成されるものであってもよいし、意図的に形成されるものであってもよい。剥離シートは、製造過程において、粘着部27が付された状態で、裏面シート22と合流するが多い。当該形態にあっては、剥離シートがずれることにより、粘着部27もずれて配置される。例えば、剥離シートの位置ずれにより粘着部27の角度も前後方向Lに対して傾斜して配置される。これにより、剥離シートが剥がしやすくなり、操作性を向上させることができる。次いで、当該作用効果を奏する吸収性物品1の構成について詳細に説明する。図3等に示すように、吸収性物品1は、吸収体23の少なくとも非肌面に設けられた吸収着色部82と、剥離シート40に設けられ、吸収着色部82と同色の剥離着色部81と、を有する。剥離着色部81は、剥離シート40に印刷された部分であってもよいし、剥離シート40自体が顔料等によって着色された部分であってよい。剥離着色部81は、少なくとも剥離シート40の非肌面から視認可能に構成されている。吸収着色部82は、吸収体23の少なくとも非肌面に設けられていればよく、吸収体23の肌面にも設けられていてもよい。吸収着色部82は、吸収コア及びコアラップの少なくとも一方に印刷された部分であってもよいし、吸収コア等が顔料等によって着色された部分であってよい。ここで、同色とは、色差ΔEが20.0以下の色であってよく、より好ましくは、色差ΔEが12.0以下であってよい。色差ΔEは、測定対象となる2点(2つの領域)について市販の測色器を用いて測色を行い、JIS Z 8729に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値を比較することによって求めることができる。具体的に、測定対象たる2点間のL*値の差がΔL*、a*の差がΔa*、b*値の差がΔb*であるときに、色差ΔE=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2によって求められる。本実施の形態では、吸収性物品の状態で、吸収性物品の非肌面側から測定した色差である。異なる色が同色であるか否かの評価については、後述にて説明する。また、剥離着色部81及び吸収着色部82は、白基調以外の色であってよい。ここで、白基調の色とは、白色基準板(L96.76 a+0.44 b+2.17)に対する(L*a*b*)色空間のΔLが4.0以下の色であってよい。また、剥離着色部81及び吸収着色部82が複数の色を有する形態にあっては、いずれかの色同士が同色であればよい。すなわち、剥離着色部81の任意の一色と、吸収着色部82の任意の一色と、が同色であればよい。
【0029】
裏面シート22の光線透過率は、45%以上である。裏面シート22の光線透過率が45%以上であるため、使用者が吸収性物品1を非肌面側T2から視認した際に、裏面シート22を介して吸収着色部82を視認することが可能となる。よって、剥離着色部81によって剥離シート40を目立たせることができ、使用者が剥離シート40の存在や位置を把握でき、操作性を向上できるとともに、剥離着色部81及び吸収着色部82によって剥離シート40のずれを目立ち難くできる。なお、光線透過率30%のシートは、当該シートを介して、僅かでも背面側の物体を視認可能な状態となり、光線透過率45%のシートは、当該シートを介して、背面側の物体の外形も明確に視認可能な状態となる。なお、本発明における「視認可能」とは、昼白色(色温度目安 4600~5400 K(ケルビン))で明るく照明された室内(目安:500~750 lx(ルクス))で約30~50cmの距離で、良好な視力(1.0以上)を両眼に有する被験者が対象物を見たときに視認できる事を意味している。光線透過率の違いによる視認性の評価については、後述にて説明する。また、好ましくは、包装シート70及び裏面シート22を重ねた状態で、包装シート70及び裏面シート22の光線透過率が45%以上であってよい。本態様によれば、使用者が吸収性物品1を非肌面側T2から視認した際に、包装シート70及び裏面シート22を介して吸収着色部82を視認することが可能となる。好ましくは、剥離シート40及び包装シート70を重ねた状態で、剥離シート40及び裏面シート22の光線透過率が45%以上であってよい。本態様によれば、使用者が吸収性物品1を非肌面側T2から視認した際に、剥離シート40及び裏面シート22を介して吸収着色部82を視認することが可能となる。より好ましくは、包装シート70、剥離シート40及び裏面シート22を重ねた状態で、包装シート70、剥離シート40及び裏面シート22の光線透過率が45%以上であってよい。本態様によれば、使用者が吸収性物品1を非肌面側T2から視認した際に、包装シート70、剥離シート40及び裏面シート22を介して吸収着色部82を視認することが可能となる。
【0030】
ここで、「光線透過率」は、JIS K7105-7136に従って測定される。光線透過率は、例えば、日本電色工業株式会社製のヘーズメーター(型式NDH700P2)を用いて測定することができる。測定センサーは、直径20mmの円となっている。測定したい領域が測定センサーよりも大きい場合は、そのまま測定する。測定したい領域がセンサーよりも小さい場合は、例えば、透過率0%のサンプルに直径20mm以下の穴をあけてその穴をセンサー内の任意の場所に固定する。そして、穴の中に測定したい領域を設置し、透過率を測定する。サンプル無しの透過率との比較で、サンプル無しの透過率を100として領域の透過率を換算する。
【0031】
吸収着色部82は、剥離シート40の外側縁40Eを跨いで配置されている。よって、吸収着色部82は、剥離シート40の外側縁40Eの肌面側T1に配置されているとともに、剥離シート40の外側縁40Eから幅方向Wの外側及び内側の両方に延びている。吸収着色部82は、剥離シート40の外側縁40Eの少なくとも一部を跨いでいればよく、剥離シート40の外側縁40Eの前後方向Lの全域を跨いでいてもよい。吸収着色部82は、平面視における吸収体23の全域に設けられていてもよいし、剥離シート40の外側縁40Eを跨ぐ領域のみに配置されていてもよい。好適には、包装状態において吸収性物品1の外側に配置された面、より詳細には、第1幅折り目FW1と第2幅折り目FW2の間の領域において、吸収着色部82は、剥離シート40の外側縁40Eの全域を跨ってよい。
【0032】
剥離シート40の幅方向の外側縁40Eは、前後方向Lに沿って延びている。例えば、剥離シート40が本体部2に対して傾いて配置された形態にあっては、剥離シート40の前後方向Lに延びる外側縁を基準として、吸収性物品1全体における剥離シート40の傾き等のずれが目立ちやすくなる。しかし、剥離シート40の外側縁40Eを跨いで剥離着色部81と同色の吸収着色部82が配置されているため、剥離シート40の外側縁40Eが吸収着色部82によって目立ち難くなり、吸収性物品1全体における剥離シート40の傾き等のずれが目立ち難くなる。よって、吸収性物品1全体のデザインの統一感を図り、デザイン性を向上させたり、剥離シート40の位置ずれに起因する製品不良であるとの誤認識を抑制したりできる。また、使用者は、吸収性物品1を非肌面側T2から見た際に、吸収着色部82によって吸収体23の存在及び領域を把握できる。使用者は、吸収体23の存在及び領域を把握することで、吸収性能を把握でしたり、体液の漏れに対する安心感を得たりできる。
【0033】
剥離シート40は、剥離着色部81が設けられていない背景部42を有してよい。すなわち、剥離着色部81は、剥離シート40の非肌面の一部に設けられてよい。背景部42の光線透過率は、30%以上であってよい。背景部42の光線透過率が30%以上であるため、使用者は、吸収性物品1の非肌面側T2から吸収性物品1を見た際に、背景部42を介して吸収着色部82の存在を把握することができる。よって、使用者が吸収性物品1の非肌面側T2から吸収性物品1を見た際に、剥離着色部81と、背景部42を介して視認できる吸収着色部82と、が一体化し、剥離シート40全体が一体化するとともに、剥離シート40と吸収体23を一体化し易い。よって、吸収性物品1全体における剥離シート40の傾き等のずれが目立ち難くなる。背景部42の光線透過率は、剥離着色部81の光線透過率よりも高くてよく、当該形態にあっては、背景部42の面積は、剥離着色部81の面積よりも大きくてよい。また、剥離着色部81の光線透過率は、背景部42の光線透過率よりも高くてよく、当該形態にあっては、剥離着色部81の面積は、背景部42の面積よりも大きくてよい。光線透過率が高い部分が占める割合が増えることにより、剥離シート40を介した吸収着色部82の視認性をより確保できる。また、剥離着色部81の少なくとも一部は、背景部42の着色部分に重なってよい。当該構成によれば、背景部42と剥離着色部81が同じような色彩効果を発揮し、剥離シート40全体のデザイン性がより一体化し易い。
【0034】
吸収着色部82は、剥離シート40の前後方向Lの外端縁40Fを跨いで配置されてよい。当該構成によれば、剥離シート40の外端縁40Fも吸収着色部82によって目立ち難くなり、吸収性物品1全体における剥離シート40の傾き等のずれが目立ち難くなる。なお、剥離シート40の外端縁40Fは、幅方向Wに沿って延びてよい。吸収着色部82は、剥離シート40の外端縁40Fの少なくとも一部を跨いでいればよく、剥離シート40の外端縁40Fの幅方向Wの全域を跨いでいてもよい。好適には、テープ部材75を有する面、すなわち、包装状態において外側に位置し、使用時にテープ部材75を視認する面において、剥離シート40の外端縁40Fが配置され、当該吸収着色部82が外端縁40Fを跨いでよい。
【0035】
剥離着色部81は、剥離シート40の幅方向Wの外側縁40Eに設けられてよい。剥離着色部81の存在によって剥離シート40の外側縁40Eと吸収着色部82をより同化させることができ、剥離シート40の外側縁40Eをより目立ち難くできる。剥離シート40の外側縁40Eの少なくとも一部に、剥離着色部81が設けられてよい。すなわち、剥離シート40の外側縁40Eには、剥離着色部81のみが設けられてもよいし、剥離着色部81と背景部42の両方が設けられてよい。他の形態において、剥離シート40の外側縁40Eに背景部42のみが設けられてもよい。剥離着色部81は、剥離シート40の前後方向Lの外端縁40Fに設けられてよい。剥離シート40の前後方向Lの外端縁40Fを吸収着色部82が跨いだ形態において、剥離着色部81の存在によって剥離シート40の外端縁40Fと吸収着色部82をより同化させることができ、剥離シート40の外端縁40Fを目立ち難くできる。剥離シート40の外端縁40Fには、剥離着色部81のみが設けられてもよいし、背景部42のみが設けられてもよいし、剥離着色部81と背景部42の両方が設けられてよい。
【0036】
剥離シート40の前後方向Lの外端縁40Fのうち包装状態において外面側に位置する外端縁40F1には、背景部42が設けられてよい。外端縁40F1には、剥離着色部81と背景部42が設けられてよい。剥離シート40の外側に位置する外端縁40F1における背景部42の少なくとも一部は、吸収着色部82と離間してよい。図4(A)に示すように、剥離シート40の角40Pが吸収体23の外側に配置されており、本実施の形態の外端縁40F1における背景部42の一部は、吸収着色部82と離間している。背景部42が吸収着色部と離間し、かつ剥離着色部81と吸収着色部82が隣接しているため、剥離シートが部分的に吸収体23と同化し、剥離シートの外端縁が直線状として目立ち難くすることができる。また、本実施の形態の剥離シート40の背景部42と裏面シート22は、いずれも白色であり、剥離シート40の角40Pの背景部42と裏面シート22が一体化している。よって、背景部42と裏面シート22によって剥離シート40の位置ずれを目立ち難くできる。
【0037】
包装状態において、本体部2の幅方向Wの外側縁2Eは、曲線状に延びる第1曲線部2Rを有する。本体部2の幅方向Wの外側縁2Eは、吸収体23と離間しており、表面シート21及び裏面シート22の幅方向Wにおける縁である。図4(A)に示すように、第1曲線部2Rは、幅方向Wの外側に膨らむ凸状である。本体部2の外側縁が前後方向Lに延びる直線状の形態にあっては、本体部2の外側縁2Eと剥離シート40の外側縁40Eがいずれも直線状であり、剥離シート40の傾き等のずれが目立ちやすくなる。しかし、本体部2の外側縁2Eが第1曲線部2Rを有するため、本体部2の外側縁2Eを基準として剥離シート40の外側縁40Eの相対位置が目立ち難くなり、吸収性物品1全体における剥離シート40の傾き等のずれが目立ち難くなる。
【0038】
本体部2の外端縁2Fのうち包装状態において外面側に位置する外端縁2F1は、曲線状に延びる第2曲線部2Qを有してよい。本体部2の外端縁2Fは、吸収体23と離間しており、表面シート21及び裏面シート22の前後方向Lにおける縁である。図4(A)に示すように、第2曲線部2Qは、前後方向Lの外側に膨らむ凸状である。本体部2の外端縁2Fが幅方向Wに延びる直線状の形態にあっては、本体部2の外端縁2Fと剥離シート40の外端縁40Fがいずれも直線状であり、剥離シート40の傾き等のずれが目立ちやすくなる。しかし、本体部2の外端縁2Fが第2曲線部を有するため、本体部2の外端縁2Fを基準として剥離シート40の外端縁2Fの相対位置が目立ち難くなり、吸収性物品1全体における剥離シート40の傾き等のずれが目立ち難くなる。
【0039】
包装シート70の光線透過率は、45%以上であってよい。包装シート70の光線透過率が45%以上であるため、使用者が吸収性物品1を非肌面側から視認した際に、包装シート70を介して剥離着色部81を視認でき、包装シート70及び裏面シート22を介して吸収着色部82を視認することが可能となる。よって、剥離着色部81によって剥離シート40を目立たせることができ、使用者が剥離シート40の存在や位置を把握でき、操作性を向上できるとともに、剥離着色部81及び吸収着色部82によって剥離シート40のずれを目立ち難くできる。
【0040】
背景部42の明度は、吸収着色部82の明度よりも高くてよい。すなわち、背景部42は、吸収着色部82よりも薄くてよい。背景部42が薄く、吸収着色部82が濃いため、使用者が吸収性物品1を非肌面側T2から視認した際に、背景部42を介して吸収着色部82を視認し易くなり、吸収性物品1全体の統一感をより向上できる。また、剥離着色部81の明度は、背景部42の明度よりも低くてよく、また、吸収着色部82の明度よりも低くてよい。すなわち、剥離着色部81は、背景部42よりも濃く、吸収着色部82よりも濃くてよい。吸収着色部82及び剥離着色部81によって吸収性物品1全体の統一感を図りつつ、剥離着色部81を目立たせることで剥離シート40の存在を使用者に気づかせ易くなる。また、背景部42の明度は、吸収着色部82のよりも高く、剥離着色部の明度よりも高い。よって、背景部42を介して吸収着色部82が視認され易くなり、吸収着色部82と剥離着色部81が同化して、剥離シートの位置ずれが目立ち難くなる。
【0041】
図2に示すように、幅方向Wにおいて、粘着部27の外側縁27Eと剥離シート40の外側縁40Eとの間隔G11は、シート接合部45と剥離シート40の外側縁40Eとの間隔G12よりも短くてよい。包装シート70と剥離シート40が接合された領域(シート接合部と重なる領域)よりも、包装シート70と剥離シート40が接合されていない領域は、包装シート70が剥離シート40に対して浮き上がり、剥離シート40の外側縁40Eが目立ち難くなる。粘着部27の外側縁27Eと剥離シート40の外側縁40Eとの間隔は、シート接合部45の外側縁と剥離シート40の外側縁40Eとの間隔よりも短いため、当該包装シート70と剥離シート40が接合されていない領域内に、粘着部27に対して剥離シート40が浮き上がる領域が設けられる。すなわち、粘着部に対して剥離シートが浮き上がる領域に重なって、剥離シート40に対して包装シート70が浮き上がる領域が設けられる。よって、包装シート70の外面側から視認した際に、剥離シート40の外側縁40Eがより目立ち難くなる。
【0042】
吸収着色部82は、吸収材料を積層した吸収コアを覆うコアラップに設けられてよい。コアラップに印刷が施されていてもよいし、コアラップ全体が着色されていてもよい。当該構成によれば、コアラップによって、吸収体全体を着色することが可能となる。また、コアラップを部分的に重ねて配置することにより、色の濃淡を形成でき、当該色むらによって剥離シート40の位置ずれを目立ち難くできる。また、印刷等によって吸収着色部を設けることにより、簡易に文字や絵柄を付して、よりデザイン性を向上できる。剥離シート40の位置ずれを目立ち難くするコアラップの他の構成としては、コアラップに圧搾部を形成し、圧搾部による陰影によって剥離シート40の位置ずれを目立ち難くできる。また、他の構成としては、コアラップに拡幅部を間隔を空けて形成したり、コアラップに破断部を間隔を空けて形成し、コアラップに色むらを形成することで剥離シート40の位置ずれを目立ち難くできる。なお、拡幅部、破断部及び圧搾部は、複数合わせて形成してもよいし、単独で形成してもよい。また、拡幅部、破断部及び圧搾部は、規則的に形成してもよいが、より色むらを形成する観点において不均一に形成してもよい。
【0043】
他の形態において、吸収着色部は、吸収材料を積層した吸収コアに設けられてよい。当該構成によれば、体液を吸収する吸収コア全体を目立たせることができ、使用者は、吸収着色部によって吸収コアの存在や領域を把握できる。使用者は、吸収性能を把握したり、体液の漏れに対する安心感を得たりできる。吸収コアに吸収着色部を設ける構成としては、吸収材料の漂白工程を部分的に行わないことによって構成してよい。吸収着色部は、漂白工程を経ずに存在するリグニンのカルボニル基又は、キノイド型構造の発色によるものであってよい。吸収コアに吸収着色部を設ける他の構成としては、漂白工程を経た吸収材料に、着色を施してもよいし、カテキンやタンニンなどの天然抽出部や茶葉などの天然物を施してもよい。天然抽出部及び天然物を用いて着色することにより、色に合った機能を付与することができる。また、清涼剤や抗菌剤等の機能性材料を有する吸収性物品にあっては、当該機能を色によって強調してもよい。例えば、カテキンが付与された吸収性物品にあっては、緑色に着色し、色によって茶(カテキン)を想起させてもよいし、天然由来の成分が付与された吸収性物品にあっては、茶色に着色し、色によって天然(木材)を想起させてもよい。また、吸収コアに吸収着色部が設けられた形態にあっては、表面シート又は裏面シートの少なくとも一方において、光線透過率が30%以上95%の範囲のものを用いることが好ましい。当該数値範囲の表面シート又は裏面シートを用いることにより、吸収前の安心感も得られるとともに、吸収後、吸収コアがどこまで吸収しているかが判別しやすくなるため、使用後も漏れていない安心感を得易い。
【0044】
(3)第2実施形態に係る吸収性物品
次いで、第2実施形態に係る吸収性物品1Xについて説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。図5は、第2実施形態に係る吸収性物品1Xの分解図である。第2実施形態に係る吸収性物品1Xは、剥離着色部81、吸収着色部82、裏面着色部83及び包装着色部84を有している。裏面着色部83は、剥離着色部81と同色であり、包装着色部84は、剥離着色部81と同色である。裏面着色部83及び包装着色部84が複数の色を有する形態にあっては、いずれかの色が剥離着色部81と同色であればよい。すなわち、剥離着色部81の任意の一色と裏面着色部83の任意の一色と、が同色であればよく、剥離着色部81の任意の一色と包装着色部84の任意の一色と、が同色であればよい。吸収性物品1Xが剥離着色部81と同色の裏面着色部83を有するため、吸収性物品1Xの非肌面側T2から見た際に、吸収性物品1の非肌面全体を一体化できる。よって、剥離シート40の外側縁40Eがより目立ち難くなる。また、吸収性物品1Xが剥離着色部81と同色の包装着色部84を有するため、吸収性物品の非肌面側から見た際に、吸収性物品の非肌面全体を一体化できる。よって、剥離シート40の外側縁40Eがより目立ち難くなる。
【0045】
剥離着色部81の明度は、包装着色部84の明度よりも低くてよい。また、包装着色部84の明度は、吸収着色部82の明度よりも低くてよい。剥離着色部81、包装着色部84及び吸収着色部82によって、吸収性物品1全体の統一感を向上させつつ、包装状態において内側に位置する剥離シート40の存在を目立たせることができるとともに、包装シート70によって剥離シート40の外側縁40Eを目立ち難くできる。また、包装着色部84の明度が吸収着色部82の明度よりも低く、外側に位置する包装シート70の包装着色部84によって吸収性物品1全体の統一感を図ることができる。吸収性物品1の非肌面全体を一体化できる。よって、剥離シート40の外側縁40Eがより目立ち難くなる。
【0046】
(4)官能評価
次いで、異なる色が同色であるか否かの評価について説明する。実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2に係るサンプルを用いて、同色であるか否かの評価を行った。各サンプルの色差は、サンプルの非肌面から測定機器を当てて測定した。評価は、吸収着色部と剥離着色部を有する吸収性物品を非肌面側から視認し、6人の試験者が吸収着色部と剥離着色部を同色に見ええるか否かを評価した。試験者1から3は、男性であり、試験者4から6は女性である。評価は、昼白色(色温度目安 4600~5400 K(ケルビン))で明るく照明された室内(目安:500~750 lx(ルクス))で約30~50cmの距離で、良好な視力(1.0以上)を両眼に有する6人の被験者が3段階で評価した。同色と認識した場合は、評価「〇」として、かろうじて同色と判断した場合は、評価「△」とし、同色でないと判断した場合は、評価「×」とした。評価結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1、及び実施例2及び実施例3において、同色と判断できるため、色差ΔEは、20.0以下であってよいことがわかった。また、異なる色の色差ΔEが12.0以下であると明確に同色として認定されることがわかり、より好適には、色差ΔEが12.0以下であってよい。
【表1】
【0047】
次いで、光線透過率に基づく見え方の評価について詳細に説明する。実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2に係るサンプルを用いて、裏面シートを介して吸収着色部が視認可能であるか否かの評価を行った。吸収着色部を有する吸収性物品(剥離シートを除いた状態)を非肌面側から視認し、6人の試験者が裏面シートを介して吸収着色部を視認できるか否かの評価を行った。試験者1から3は、男性であり、試験者4から6は女性である。評価は、昼白色(色温度目安 4600~5400 K(ケルビン))で明るく照明された室内(目安:500~750lx(ルクス))で約30~50cmの距離で、良好な視力(1.0以上)を両眼に有する6人の被験者が行った。評価は、2段階で行った。裏面シートを介して背面側に位置する吸収着色部を明確に視認できる場合には、評価「〇」として、かろうじてだが視認可能と判断した場合は、評価「△」とした。実施例1から実施例4のいずれにもおいても、吸収着色部を視認可能であると評価され、裏面シートの光線透過率は30%以上であっってよいことがわかった。加えて、実施例1及び3においてより好適な結果を得ており、裏面シートの光線透過率は45%以上がより好ましいことがわかった。
【表2】
【0048】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0049】
吸収性物品は、デザインの視覚効果によって剥離シートのずれを目立たせ難くする構成を更に備えてもよい。例えば、剥離シート、裏面シート、包装シート及び吸収コアの少なくともいずれかに、前後方向に対して傾斜してデザインを付し、当該デザインの視覚効果によって剥離シートの外側縁を目立ち難くしてもよい。当該デザインは、前後方向に対して傾斜する構成のみならず、曲線状に延びる形状等、前後方向に対して平行に延びるデザイン以外であればよい。また、複数のデザインのうち、一部のデザインを前後方向に対して傾斜して配置し、前後方向Lを認識させ難くし、剥離シートの位置ずれを目立たなくしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1、1X :吸収性物品
2 :本体部
21 :表面シート
22 :裏面シート
23 :吸収体
27 :粘着部
40 :剥離シート
42 :背景部
45 :シート接合部
70 :包装シート
75 :テープ部材
81 :剥離着色部
82 :吸収着色部
83 :裏面着色部
84 :包装着色部
FW1 :第1幅折り目(折り目)
FW2 :第2幅折り目(折り目)
L :前後方向
S1 :前側域
S2 :中央域
S3 :後側域
T :厚み方向
T1 :肌面側
T2 :非肌面側
W :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
剥離シート40の前後方向Lの外端縁40Fのうち包装状態において外面側に位置する外端縁40F1には、背景部42が設けられてよい。外端縁40F1には、剥離着色部81と背景部42が設けられてよい。剥離シート40の外側に位置する外端縁40F1における背景部42の少なくとも一部は、吸収着色部82と離間してよい。図4(a)に示すように、剥離シート40の角40Pが吸収体23の外側に配置されており、本実施の形態の外端縁40F1における背景部42の一部は、吸収着色部82と離間している。背景部42が吸収着色部と離間し、かつ剥離着色部81と吸収着色部82が隣接しているため、剥離シートが部分的に吸収体23と同化し、剥離シートの外端縁が直線状として目立ち難くすることができる。また、本実施の形態の剥離シート40の背景部42と裏面シート22は、いずれも白色であり、剥離シート40の角40Pの背景部42と裏面シート22が一体化している。よって、背景部42と裏面シート22によって剥離シート40の位置ずれを目立ち難くできる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
包装状態において、本体部2の幅方向Wの外側縁2Eは、曲線状に延びる第1曲線部2Rを有する。本体部2の幅方向Wの外側縁2Eは、吸収体23と離間しており、表面シート21及び裏面シート22の幅方向Wにおける縁である。図4(a)に示すように、第1曲線部2Rは、幅方向Wの外側に膨らむ凸状である。本体部2の外側縁が前後方向Lに延びる直線状の形態にあっては、本体部2の外側縁2Eと剥離シート40の外側縁40Eがいずれも直線状であり、剥離シート40の傾き等のずれが目立ちやすくなる。しかし、本体部2の外側縁2Eが第1曲線部2Rを有するため、本体部2の外側縁2Eを基準として剥離シート40の外側縁40Eの相対位置が目立ち難くなり、吸収性物品1全体における剥離シート40の傾き等のずれが目立ち難くなる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
本体部2の外端縁2Fのうち包装状態において外面側に位置する外端縁2F1は、曲線状に延びる第2曲線部2Qを有してよい。本体部2の外端縁2Fは、吸収体23と離間しており、表面シート21及び裏面シート22の前後方向Lにおける縁である。図4(a)に示すように、第2曲線部2Qは、前後方向Lの外側に膨らむ凸状である。本体部2の外端縁2Fが幅方向Wに延びる直線状の形態にあっては、本体部2の外端縁2Fと剥離シート40の外端縁40Fがいずれも直線状であり、剥離シート40の傾き等のずれが目立ちやすくなる。しかし、本体部2の外端縁2Fが第2曲線部を有するため、本体部2の外端縁2Fを基準として剥離シート40の外端縁2Fの相対位置が目立ち難くなり、吸収性物品1全体における剥離シート40の傾き等のずれが目立ち難くなる。