(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154401
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】研磨用組成物及び研磨方法
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20221005BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20221005BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20221005BHJP
【FI】
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550D
C09G1/02
B24B37/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057427
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000236702
【氏名又は名称】株式会社フジミインコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】石田 博之
(72)【発明者】
【氏名】森永 均
【テーマコード(参考)】
3C158
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CA07
3C158CB01
3C158ED10
3C158ED12
3C158ED22
3C158ED26
(57)【要約】
【課題】樹脂製の研磨対象物を高い研磨速度で研磨することが可能であるとともに、樹脂製の研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨することが可能な研磨用組成物を提供する。
【解決手段】研磨用組成物は、砥粒と界面活性剤と水とを含有し、界面活性剤は、炭素-炭素三重結合を有する下記化学式(1)のアセチレン化合物を含有する。下記化学式(1)中のR
1、R
2、R
3、及びR
4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上20以下の置換若しくは無置換のアルキル基を示し、R
5及びR
6はそれぞれ独立して炭素数1以上5以下の置換若しくは無置換のアルキレン基を示し、mは1以上の整数であり、nは0以上の整数であり、m+nは50以下である。この研磨用組成物は、樹脂製の研磨対象物の研磨に使用される。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の研磨対象物の研磨に使用される研磨用組成物であって、砥粒と界面活性剤と水とを含有し、前記界面活性剤は、炭素-炭素三重結合を有する下記化学式(1)のアセチレン化合物を含有し、下記化学式(1)中のR
1、R
2、R
3、及びR
4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上20以下の置換若しくは無置換のアルキル基を示し、R
5及びR
6はそれぞれ独立して炭素数1以上5以下の置換若しくは無置換のアルキレン基を示し、mは1以上の整数であり、nは0以上の整数であり、m+nは50以下である研磨用組成物。
【化1】
【請求項2】
前記砥粒がアルミナ及びシリカの少なくとも一方である請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記砥粒がアルミナである請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
前記アセチレン化合物のHLB値が10以上18以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
pHが7以下である請求項1~4のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
【請求項6】
価数が1価の酸のアルミニウム塩と、2-ピロリドン基を有するピロリドン化合物又はカプロラクタム化合物とをさらに含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
【請求項7】
前記樹脂が、接触角が90°以上である高撥水性樹脂である請求項1~6のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
【請求項8】
前記樹脂が、ロックウェル硬さがHRM65以下で且つ引張弾性率が2.8GPa以下である低硬度且つ高弾性の樹脂である請求項1~6のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて樹脂製の研磨対象物を研磨する研磨工程を有する研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨用組成物及び研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製の研磨対象物の表面を研磨する際に使用される研磨用組成物には、研磨対象物を迅速に研磨する能力(すなわち、高い研磨速度)と、研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨する能力が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1には、上記要求を満たす研磨用組成物が開示されている。しかしながら、樹脂製の研磨対象物の表面を研磨する際に使用される研磨用組成物には、研磨対象物を迅速に研磨する能力と研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨する能力のさらなる向上が望まれていた。
本発明は、樹脂製の研磨対象物を高い研磨速度で研磨することが可能であるとともに、樹脂製の研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨することが可能な研磨用組成物及び研磨方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る研磨用組成物は、樹脂製の研磨対象物の研磨に使用される研磨用組成物であって、砥粒と界面活性剤と水とを含有し、界面活性剤は、炭素-炭素三重結合を有する下記化学式(1)のアセチレン化合物を含有し、下記化学式(1)中のR1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上20以下の置換若しくは無置換のアルキル基を示し、R5及びR6はそれぞれ独立して炭素数1以上5以下の置換若しくは無置換のアルキレン基を示し、mは1以上の整数であり、nは0以上の整数であり、m+nは50以下であることを要旨とする。
【0006】
【0007】
また、本発明の他の態様に係る研磨方法は、上記一態様に係る研磨用組成物を用いて樹脂製の研磨対象物を研磨する研磨工程を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、樹脂製の研磨対象物を高い研磨速度で研磨することが可能であるとともに、樹脂製の研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、以下の実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
【0010】
本実施形態に係る研磨用組成物は、樹脂製の研磨対象物の研磨に使用される研磨用組成物であって、砥粒と界面活性剤と水とを含有する。この界面活性剤は、炭素-炭素三重結合を有するアセチレン化合物を含有する。このアセチレン化合物は、下記化学式(1)で表される化合物であり、下記化学式(1)中のR1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上20以下の置換若しくは無置換のアルキル基を示し、R5及びR6はそれぞれ独立して炭素数1以上5以下の置換若しくは無置換のアルキレン基を示す。また、mは1以上の整数であり、nは0以上の整数であり、m+nは50以下である。
【0011】
【0012】
本実施形態に係る研磨方法は、上記本実施形態に係る研磨用組成物を用いて樹脂製の研磨対象物を研磨する研磨工程を有する研磨方法である。
本実施形態に係る研磨用組成物は、樹脂製の研磨対象物を迅速に研磨する能力が優れているとともに、樹脂製の研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨する能力が優れている。そのため、本実施形態に係る研磨用組成物を用いて樹脂製の研磨対象物を研磨すれば、樹脂製の研磨対象物を高い研磨速度で研磨することが可能であるとともに、樹脂製の研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨することが可能である。よって、表面が平坦、平滑(例えば、表面粗さRaが小さい、スクラッチ等の欠陥が少ない)に仕上げられた樹脂製の製品を効率よく製造することができる。
【0013】
以下に、本実施形態に係る研磨用組成物及び研磨方法について詳細に説明する。
1.研磨対象物について
本実施形態に係る研磨用組成物及び研磨方法が適用される研磨対象物の種類は、樹脂製であれば特に限定されるものではなく、全体が樹脂で形成された部材(樹脂製部材)でもよいし、一部分が樹脂で形成された部材でもよい。一部分が樹脂で形成された部材の例としては、基材の表面に樹脂皮膜が被覆されてなる部材が挙げられる。
【0014】
また、樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の例としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフェニルエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルサルファイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、超高分子量ポリエチレン、ウレタン樹脂が挙げられる。
【0015】
フッ素樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの完全フッ素化樹脂や、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)などの部分フッ素化樹脂や、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などのフッ素化樹脂共重合体が挙げられる。
【0016】
熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタンが挙げられる。
これらの樹脂の中でも、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネートを研磨する用途に対して、本実施形態に係る研磨用組成物及び研磨方法は特に好適である。
【0017】
2.界面活性剤について
本実施形態に係る研磨用組成物は界面活性剤を含有し、この界面活性剤は、上記化学式(1)で表されるアセチレン化合物を含有する。化学式(1)で表されるアセチレン化合物の作用によって樹脂の表面が親水化され、接触角が小さくなる。その結果、樹脂製の研磨対象物の表面及び研磨パッドに対する研磨用組成物の付着量が向上するため、研磨対象物を高い研磨速度で研磨することが可能となることに加えて、樹脂製の研磨対象物の表面に対して研磨用組成物が均一に付着するため、研磨対象物の表面が均一に研磨されやすくなり、研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨することが可能となる。
【0018】
このような作用効果は、アセチレン化合物が、砥粒、樹脂製の研磨対象物、及び研磨パッドに吸着することにより、砥粒、樹脂製の研磨対象物、及び研磨パッドの間のバインダーとして働くために奏されると考えられる。なお、この作用効果の上記発現メカニズムは推測である。また、本発明は上記発現メカニズムに限定されるものではない。
【0019】
よって、本実施形態に係る研磨用組成物を用いて研磨を行えば、接触角が90°以上である高撥水性の樹脂であっても、化学式(1)で表されるアセチレン化合物の作用によって樹脂の表面が親水化され、接触角が90°未満となる。そのため、高撥水性樹脂製の研磨対象物を高い研磨速度で研磨することが可能であるとともに、高撥水性樹脂製の研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨することが可能である。高撥水性の樹脂の例としては、前述したフッ素樹脂が挙げられる。
【0020】
もちろん、接触角が90°未満である低撥水性の樹脂にも、本実施形態に係る研磨用組成物を適用可能であり、低撥水性樹脂製の研磨対象物を高い研磨速度で研磨することが可能であるとともに、低撥水性樹脂製の研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨することが可能である。
【0021】
化学式(1)で表されるアセチレン化合物は、樹脂の接触角を10°以上55°以下小さくするものであることが好ましく、樹脂の接触角を10°以上45°以下小さくするものであることがより好ましい。研磨対象物が高撥水性樹脂である場合、化学式(1)で表されるアセチレン化合物は、樹脂の接触角を20°以上45°以下小さくするものであることがより好ましい。
【0022】
さらに、低硬度且つ高弾性の樹脂、つまり軟らかさと靱性を有する樹脂にも、本実施形態に係る研磨用組成物を適用可能であり、低硬度且つ高弾性の樹脂製の研磨対象物を高い研磨速度で研磨することが可能であるとともに、低硬度且つ高弾性の樹脂製の研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨することが可能である。
【0023】
ここで低硬度の樹脂とは、JIS K7202-2に規定されたロックウェル硬さがHRM65以下である樹脂を意味する。なお、「HRM」の「HR」はロックウェル硬さを示し、「M」は硬さスケールを示す。また、高弾性の樹脂とは、引張弾性率が2.8GPa以下である樹脂を意味する。
低硬度且つ高弾性の樹脂の具体例としては、ポリカーボネート(HRM56、引張弾性率2.1GPa)、エポキシ樹脂(HRM45、引張弾性率2.2GPa)、ポリテトラフルオロエチレン(HRM19、引張弾性率0.6GPa)が挙げられる。
【0024】
化学式(1)で表されるアセチレン化合物のHLB値は、4以上19以下であることが好ましく、7以上18以下であることがより好ましく、10以上18以下であることがさらに好ましい。HLB値がこの範囲内であれば、高い研磨速度を得ることができるとともに、研磨後の研磨対象物の表面がより平坦、平滑となる。なお、HLB値が4以上であれば、アセチレン化合物が水に分散しやすく、HLB値が10以上であれば、アセチレン化合物が水に溶解しやすい。
【0025】
また、化学式(1)で表されるアセチレン化合物のHLB値は、10以上15以下であることが特に好ましい。HLB値がこの範囲内であれば、高い研磨速度を得ることができるとともに、研磨後の研磨対象物の表面がより平坦、平滑となることに加えて、研磨用組成物の泡立ちを抑制でき、研磨用組成物の取り扱いも容易となる。
【0026】
化学式(1)で表されるアセチレン化合物は、化学式(1)から分かるように、一分子中に1個のアセチレン基を有し且つアルキレンオキサイドが付加されたアセチレングリコール型の化合物である。化学式(1)で表されるアセチレン化合物としては、研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨する観点から、ノニオン性の化合物がより好ましい。化学式(1)で表されるアセチレン化合物は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
化学式(1)中のR1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1以上20以下の置換若しくは無置換のアルキル基であるが、アルキル基の炭素数は、1以上でもよく、2以上でもよく、3以上でもよく、また20以下でもよく、18以下でもよく、16以下でもよく、15以下でもよく、12以下でもよく、10以下でもよく、8以下でもよい。
【0028】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。R1、R2、R3、及びR4は、全て同一であってもよいし、一部が同一で他部が異なっていてもよいし、全て異なっていてもよい。
【0029】
化学式(1)中のR5及びR6は、それぞれ独立して炭素数1以上5以下の置換若しくは無置換のアルキレン基であるが、アルキレン基の炭素数は、1以上でもよく、2以上でもよく、3以上でもよく、また4以下でもよく、3以下でもよい。アルキレン基の具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられる。R5及びR6は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
化学式(1)中のmは1以上の整数であり、nは0以上の整数であり、m+nは50以下であるが、m+nは、1以上でもよく、3以上でもよく、5以上でもよく、10以上でもよく、15以上でもよく、20以上でもよく、また50以下でもよく、30以下でもよく、22以下でもよく、16以下でもよく、12以下でもよく、8以下でもよく、4以下(例えば3以下)でもよい。mとnは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0031】
化学式(1)で表されるアセチレン化合物は、一分子中にm個のR5を有するが、m個のR5は全て同種のアルキレン基であってもよいし、複数種のアルキレン基を有していてもよい。例えば、R5がエチレン基とプロピレン基であってもよく、その場合は、R5におけるエチレン基の個数とプロピレン基の個数の和がm個となる。
【0032】
R6についても同様である。すなわち、化学式(1)で表されるアセチレン化合物は、一分子中にn個のR6を有するが、n個のR6は全て同種のアルキレン基であってもよいし、複数種のアルキレン基を有していてもよい。例えば、R6がエチレン基とプロピレン基であってもよく、その場合は、R6におけるエチレン基の個数とプロピレン基の個数の和がn個となる。
【0033】
なお、化学式(1)で表されるアセチレン化合物を製造する際においては、m及びnを完全に制御することは難しい。そのため、化学式(1)で表されるアセチレン化合物を製造すると、通常は、m+nの数値が異なる複数種のアセチレン化合物の混合物が得られる。よって、本実施形態に係る研磨用組成物は、化学式(1)で表されるアセチレン化合物のうち複数種を含有していてもよい。
また、本実施形態に係る研磨用組成物は、化学式(1)においてm及びnがいずれも0であるアセチレン化合物を含有していてもよい。
【0034】
さらに、化学式(1)におけるm+nの数値の平均値(平均付加モル数)は、1以上でもよく、3以上でもよく、5以上でもよく、10以上でもよく、15以上でもよく、20以上でもよく、また50以下でもよく、30以下でもよく、22以下でもよく、16以下でもよく、12以下でもよく、8以下でもよく、4以下(例えば3以下)でもよい。
【0035】
化学式(1)で表されるアセチレン化合物の中でも特に好ましい例として、下記化学式(2)で表されるアセチレン化合物が挙げられる。化学式(2)で表されるアセチレン化合物は、化学式(1)中のR1及びR4がイソブチル基で、R2及びR3がメチル基で、R5及びR6がエチレン基である化合物である。化学式(2)中のpは、化学式(1)中のmと同様であり、化学式(2)中のqは、化学式(1)中のnと同様である。
【0036】
【0037】
化学式(1)で表されるアセチレン化合物の分子量は特に限定されるものではないが、研磨用組成物中でその作用を十分に発揮する分子量であることが好ましい。化学式(1)で表されるアセチレン化合物の分子量は、例えば、250以上でもよいし、300以上でもよいし、400以上でもよいし、500以上でもよいし、700以上でもよいし、1200以上でもよいし、1500以上でもよい。また、化学式(1)で表されるアセチレン化合物の分子量は、例えば、3000以下でもよいし、2000以下でもよいし、1400以下でもよいし、1000以下でもよいし、600以下でもよい。化学式(1)で表されるアセチレン化合物の分子量としては、化学式から算出される分子量が採用される。
【0038】
本実施形態に係る研磨用組成物における化学式(1)で表されるアセチレン化合物の含有率は、化学式(1)で表されるアセチレン化合物の添加効果を発現させる観点から、0.001質量%以上とすることが好ましく、0.005質量%以上とすることがより好ましく、0.01質量%以上とすることがさらに好ましい。
【0039】
また、本実施形態に係る研磨用組成物における化学式(1)で表されるアセチレン化合物の含有率は、化学式(1)で表されるアセチレン化合物の洗浄性等の観点から、0.2質量%以下とすることが好ましく、0.15質量%以下とすることがより好ましく、0.1質量%以下とすることがさらに好ましく、0.09質量%以下とすることが特に好ましい。
【0040】
よって、本実施形態に係る研磨用組成物における化学式(1)で表されるアセチレン化合物の含有率は、0.001質量%以上0.2質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上0.15質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0.01質量%以上0.09質量%以下であることが特に好ましい。
本実施形態に係る研磨用組成物における化学式(1)で表されるアセチレン化合物の上記含有率は、例えば、研磨対象物に供給される研磨液(ワーキングスラリー)における含有率に好ましく適用され得る。
【0041】
本実施形態に係る研磨用組成物に含有される界面活性剤は、化学式(1)で表されるアセチレン化合物のみで構成されていてもよいが、化学式(1)で表されるアセチレン化合物と他種の界面活性剤とで構成されていてもよい。他種の界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。
【0042】
陰イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、又はこれらの塩があげられる。
【0043】
また、陽イオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩があげられる。
さらに、両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドがあげられる。
【0044】
さらに、非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドがあげられる。
【0045】
3.砥粒について
本実施形態に係る研磨用組成物に含有される砥粒の種類は特に限定されるものではないが、例えば、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、酸化セリウム(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、酸化鉄(FeO、Fe3O4、Fe2O3)、酸化マンガン(MnO、Mn3O4、Mn2O3、MnO2)等の金属酸化物からなる粒子を使用することができる。これらの砥粒の中では、アルミナ及びシリカが好ましく、アルミナがより好ましい。
【0046】
アルミナの種類は特に限定されるものではなく、例えば、α-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ、κ-アルミナ、及び非晶質アルミナが挙げられる。α-アルミナを用いる場合のα化率は特に限定されるものではないが、30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましい。α-アルミナを用いる場合のα化率は、100%以下であり、99%以下が好ましく、97%以下がより好ましい。この範囲であれば、良好な表面形状を保ちながら高い研磨速度を得ることができる。なお、α化率は、例えばX線回折測定による(113)面回折線の積分強度比から求めることができる。
シリカの種類は特に限定されるものではないが、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、ゾルゲル法シリカ、沈降法シリカ等があげられる。
これらの砥粒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
本実施形態に係る研磨用組成物に含有される砥粒の粒子径は、特に限定されるものではないが、以下のとおりであることが好ましい。
砥粒の体積基準の積算粒子径分布における50%粒子径(小粒径側からの積算度数が50%となる2次粒子径であり、以下「D50」と記すこともある。)は、特に限定されるものではないが、研磨速度の観点からは、砥粒がアルミナである場合は、0.1μm以上であることが好ましく、0.15μm以上であることがより好ましく、0.2μm以上であることがさらに好ましい。また、砥粒がシリカである場合は、D50は0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、0.15μm以上であることがさらに好ましい。
【0048】
さらに、砥粒のD50は、研磨後の研磨対象物の表面性状(すなわち、表面の平坦性、平滑性)の観点からは、砥粒がアルミナである場合は、5μm以下であることが好ましく、4μm以下であってもよく、3μm以下であってもよく、1.5μm以下であってもよく、1μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることがさらに好ましく、0.3μm以下であることが特に好ましい。また、砥粒がシリカである場合は、D50は、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であってもよく、0.3μm以下であることがより好ましく、0.25μm以下であることがさらに好ましく、0.2μm以下であることが特に好ましい。なお、本発明において体積基準の積算粒子径分布は、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置で測定したものである。
【0049】
砥粒の体積基準の積算粒子径分布における10%粒子径(小粒径側からの積算度数が10%となる2次粒子径であり、以下「D10」と記すこともある。)は、特に限定されるものではないが、砥粒がアルミナである場合は、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。また、砥粒がアルミナである場合は、D10は、1μm以下であることが好ましく、0.7μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることがさらに好ましく、0.3μm以下であることがより一層好ましく、0.25μm以下であることが特に好ましく、0.2μm以下であることが最も好ましい。砥粒のD10がこの範囲内であれば、研磨後の研磨対象物の表面がより平坦、平滑となる。
【0050】
砥粒の体積基準の積算粒子径分布における90%粒子径(小粒径側からの積算度数が90%となる2次粒子径であり、以下「D90」と記すこともある。)は、特に限定されるものではないが、砥粒がアルミナである場合は、0.15μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.25以上であることがさらに好ましく、0.3μm以上であることが特に好ましい。砥粒のD90がこの範囲内であれば、高い研磨速度を得ることができる。
【0051】
また、砥粒がアルミナである場合は、D90は、8μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることがさらに好ましく、1μm以下であることが一層好ましく、0.6μm以下であることがより一層好ましく、0.5μm以下であることが特に好ましく、0.4μm以下であることが最も好ましい。砥粒のD90がこの範囲内であれば、研磨後の研磨対象物の表面がより平坦、平滑となる。
【0052】
砥粒のD50に対するD90の比率(D90/D50)は、砥粒がアルミナである場合は、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましい。D90/D50がこの範囲内であれば、高い研磨速度を得ることができる。また、D90/D50は、砥粒がアルミナである場合は、2.5以下であることが好ましく、1.7以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。D90/D50がこの範囲内であれば、研磨後の研磨対象物の表面がより平坦、平滑となる。
【0053】
砥粒のD10に対するD90の比率(D90/D10)は、砥粒がアルミナである場合は、1.2以上であることが好ましく、1.3以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましく、1.7以上であることが特に好ましい。D90/D10がこの範囲内であれば、高い研磨速度を得ることができる。また、D90/D10は、砥粒がアルミナである場合は、6.5以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.5以下であることがさらに好ましく、2.1以下であることが特に好ましい。D90/D10がこの範囲内であれば、研磨後の研磨対象物の表面がより平坦、平滑となる。
【0054】
砥粒のD10に対するD50の比率(D50/D10)は、砥粒がアルミナである場合は、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましい。D50/D10がこの範囲内であれば、高い研磨速度を得ることができる。また、D50/D10は、砥粒がアルミナである場合は、2.0以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましく、1.6以下であることがさらに好ましい。D50/D10がこの範囲内であれば、研磨後の研磨対象物の表面がより平坦、平滑となる。
【0055】
また、砥粒のBET比表面積については特に限定されるものではないが、砥粒がアルミナである場合は、5m2/g以上であることが好ましく、10m2/g以上であることがより好ましく、15m2/g以上であることがさらに好ましい。また、砥粒のBET比表面積は、250m2/g以下であることが好ましく、90m2/g以下であることがより好ましく、50m2/g以下であることがさらに好ましく、25m2/g以下であることが特に好ましい。砥粒のBET比表面積がこの範囲内であれば、高い研磨速度を得ることができるとともに、研磨後の研磨対象物の表面がより平坦、平滑となる。
なお、砥粒のBET比表面積は、例えば、マイクロメリテックス社製のFlowSorb II 2300を用いて測定することができる。砥粒に吸着させるガスとしては、窒素ガス(N2)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)等を使用することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る研磨用組成物中の砥粒の含有率は特に限定されるものではないが、砥粒がアルミナである場合は、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。また、砥粒がシリカである場合は、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。砥粒の含有率がこの範囲内であれば、高い研磨速度を得ることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る研磨用組成物中の砥粒の含有率は、砥粒がアルミナである場合は、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。また、砥粒がシリカである場合は、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。砥粒の含有率がこの範囲内であれば、研磨後の研磨対象物のスクラッチを低減することができる。また、研磨用組成物のコストを抑制することもできる。
【0058】
4.研磨用組成物のpHについて
本実施形態の研磨用組成物のpHは、特に限定されるものではないが、13以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。また、本実施形態の研磨用組成物のpHは、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。pHが上記の範囲内であれば、高い研磨速度を得ることができる。また、pHが上記範囲内である研磨用組成物は比較的安全性が高いため、より安全に取り扱うことができる。
【0059】
また、本実施形態に係る研磨用組成物のpHは、7以下であることが好ましく、7未満であることがより好ましい(すなわち、酸性であることがより好ましい。)。
砥粒がアルミナである場合に研磨用組成物のpHが7未満であると、砥粒のゼータ電位が正の値となるため、ゼータ電位が負の値である研磨対象物の表面に砥粒が吸着し易くなり、研磨速度が向上する。また、砥粒のゼータ電位が正の値となるため、砥粒同士が反発して凝集し難くなり、砥粒の分散性が良好となる。
本実施形態に係る研磨用組成物のpHの調整は、添加剤であるpH調整剤によって行ってもよい。pH調整剤については後に詳述する。
【0060】
5.水について
本実施形態に係る研磨用組成物は、砥粒、界面活性剤、及び水を含有するスラリーである。水は、研磨用組成物の各成分(砥粒、界面活性剤、添加剤等)を分散又は溶解するための分散媒又は溶媒として機能する。この水には、1種又は2種以上の有機溶剤を混合してもよい。
本実施形態に係る研磨用組成物を構成する各成分の作用を阻害することを防止するという観点から、不純物をできる限り含有しない水を用いることが好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後にフィルタを通して異物を除去した純水や超純水、あるいは蒸留水が好ましい。
【0061】
研磨用組成物中の水の含有率は特に限定されるものではないが、40質量%以上であってもよく、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上(例えば70質量%以上)である。また、分散媒又は溶媒として、水と水以外の溶剤の混合溶剤を用いた場合は、水と水以外の溶剤の割合は、100:0~50:50であってもよく、99:1~60:40であってもよい。
【0062】
6.添加剤について
本実施形態に係る研磨用組成物は、その性能を向上させるために、必要に応じて、界面活性剤以外の添加剤をさらに含有していてもよい。添加剤としては、一般的な研磨用組成物に含有される公知の添加剤を使用することができる。例えば、pH調整剤、酸化剤、研磨促進剤、水溶性高分子、キレート剤、分散助剤、防腐剤、防カビ剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0063】
6-1 pH調整剤について
本実施形態に係る研磨用組成物には、pHを所望の値に調整するために、必要に応じてpH調整剤を添加してもよい。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。pH調整剤としては、公知の酸、塩基、又はそれらの塩を使用することができる。
【0064】
pH調整剤として使用できる酸の具体例としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸、及びリン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2-メチル酪酸、n-ヘキサン酸、3,3-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、4-メチルペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ジグリコール酸、2-フランカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、3-フランカルボン酸、2-テトラヒドロフランカルボン酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、及びフェノキシ酢酸等の有機酸が挙げられる。
【0065】
pH調整剤として無機酸を使用する場合は、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸等が研磨速度向上の観点から好ましく、pH調整剤として有機酸を使用する場合は、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、及びイタコン酸等が好ましい。
【0066】
pH調整剤として使用できる塩基としては、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン、水酸化第四アンモニウム等の有機塩基、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、及びアンモニア等が挙げられる。これらの塩基の中でも、入手容易性から水酸化カリウム、アンモニアが好ましい。
【0067】
また、前記の酸の代わりに、又は前記の酸と組み合わせて、前記酸のアンモニウム塩やアルカリ金属塩等の塩をpH調整剤として用いてもよい。特に、弱酸と強塩基の塩、強酸と弱塩基の塩、又は弱酸と弱塩基の塩の場合には、pHの緩衝作用を期待することができ、さらに強酸と強塩基の塩の場合には、少量で、pHだけでなく電気伝導率の調整が可能である。
pH調整剤の添加量は特に限定されるものではなく、研磨用組成物が所望のpHとなるように適宜調整すればよい。
【0068】
6-2 酸化剤について
本実施形態に係る研磨用組成物には、研磨対象物の表面を酸化するために、必要に応じて酸化剤を添加してもよい。酸化剤は研磨対象物の表面を酸化する作用を有し、研磨用組成物中に酸化剤を加えた場合は、研磨用組成物による研磨速度の向上効果がある。
使用可能な酸化剤としては、例えば、過酸化物、硝酸、過マンガン酸カリウムが挙げられる。過酸化物の具体例としては、過酸化水素、過酢酸、過炭酸塩、過酸化尿素、過塩素酸塩、過硫酸塩(例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム)が挙げられる。
【0069】
6-3 研磨促進剤について
研磨用組成物には研磨促進剤を添加してもよい。研磨促進剤は研磨対象物を化学的に研磨する役割を担い、研磨対象物の表面に作用することで著しく加工効率を高めることができる。研磨促進剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
研磨促進剤の中では、価数が1価の酸のアルミニウム塩が好ましく、研磨促進剤としての機能、及び、研磨対象物の被研磨面の面品質を向上する機能を有する。価数が1価の酸のアルミニウム塩の好ましい例としては、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3)、塩化アルミニウム(AlCl3)が挙げられる。
【0070】
研磨用組成物中の価数が1価の酸のアルミニウム塩の含有率は、研磨用組成物の研磨能力をより確実に向上させるという観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましく、4質量%超であることが特に好ましく、5質量%以上であることが最も好ましい。
【0071】
一方、価数が1価の酸のアルミニウム塩を大量に含有しても性能の大幅な向上は得られずコストの面で不利となるため、研磨用組成物中の価数が1価の酸のアルミニウム塩の含有率は、15質量%以下であることが好ましい。これらの含有率は、価数が1価の酸のアルミニウム塩が水和水を有する場合は、水和水を除いた含有率である。
【0072】
本実施形態に係る研磨用組成物は、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム以外の研磨促進剤を含有していてもよい。硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム以外の研磨促進剤としては、無機酸、有機酸、及びこれらの酸の塩が挙げられる。
無機酸の具体例としては、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、スルファミン酸等が挙げられる。
【0073】
有機酸の具体例としては、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、イタコン酸、マロン酸、イミノ二酢酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、クロトン酸、ニコチン酸、酢酸、アジピン酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、クロトン酸、メタクリル酸、グルタル酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、イソクエン酸、メチレンコハク酸、没食子酸、アスコルビン酸、ニトロ酢酸、オキサロ酢酸、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、プロリン、シスチン、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン、ニコチン酸、ピコリン酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、エチルグリコールアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、フィチン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタンヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸、α-メチルホスホノコハク酸、アミノポリ(メチレンホスホン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アミノエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0074】
これらの酸の塩の例としては、上記した無機酸や有機酸の、金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)、アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩)、アルカノールアミン塩(例えば、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩)等が挙げられる。
【0075】
塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩及びアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。また、塩の具体例としては、上記で例示した有機酸のアルカリ金属塩や、グルタミン酸二酢酸のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミン五酢酸のアルカリ金属塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸のアルカリ金属塩、トリエチレンテトラミン六酢酸のアルカリ金属塩が挙げられる。これらのアルカリ金属塩におけるアルカリ金属は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等である。
【0076】
6-4 水溶性高分子について
本実施形態に係る研磨用組成物には、水溶性高分子を添加してもよい。水溶性高分子の種類は特に限定されるものではなく、例えば、ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類や、2-ピロリドン基を有するピロリドン化合物(例えばポリ-N-ビニルピロリドン)や、カプロラクタム化合物が挙げられる。また、水溶性高分子としては、セルロース誘導体、デンプン誘導体、ポリアクリル酸(又はその塩)、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンオキサイド等も挙げられる。これらの水溶性高分子の中では2-ピロリドン基を有するピロリドン化合物とカプロラクタム化合物がより好ましい。
【0077】
水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは3000以上であり、より好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは10000以上であり、特に好ましくは30000以上である。このような重量平均分子量を有する水溶性高分子は、スラリーの分散性を向上させる技術的効果を有する。また、水溶性高分子の重量平均分子量は、好ましくは50万以下、より好ましくは30万以下、さらに好ましくは10万以下である。このような重量平均分子量を有する水溶性高分子は、安定性が向上する技術的効果を有する。
【0078】
2-ピロリドン基を有するピロリドン化合物は、価数が1価の酸のアルミニウム塩と共に研磨用組成物に含有されることにより、樹脂の研磨促進に有効に働く。2-ピロリドン基を有するピロリドン化合物の種類は特に限定されるものではないが、例えば、N-オクチル-2-ピロリドン、N-ドデシル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、N-ブチル-2-ピロリドン、N-ヘキシル-2-ピロリドン、N-デシル-2-ピロリドン、N-オクタデシル-2-ピロリドン、N-ヘキサデシル-2-ピロリドン、ポリ-N-ビニルピロリドン、ポリ-N-ビニルピロリドンのコポリマーが挙げられる。これらの2-ピロリドン基を有するピロリドン化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
2-ピロリドン基を有するピロリドン化合物としては、ポリ-N-ビニルピロリドン(以下、「PVP」と記すこともある。)が好ましい。PVPの重量平均分子量は3000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。また、PVPの重量平均分子量は60000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましい。これらの範囲内の重量平均分子量を有するPVPは、様々な化学製品供給業者から容易に入手できる。
【0080】
本実施形態に係る研磨用組成物中の上記ピロリドン化合物の含有率は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。また、本実施形態に係る研磨用組成物中の上記ピロリドン化合物の含有率は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
【0081】
カプロラクタム化合物は、ε-カプロラクタムと呼ばれる含窒素有機化合物であり、上記ピロリドン化合物の代替として使用することができる。本実施形態に係る研磨用組成物中のカプロラクタム化合物の含有率は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。また、本実施形態に係る研磨用組成物中のカプロラクタム化合物の含有率は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
【0082】
6-5 キレート剤について
本実施形態に係る研磨用組成物には、研磨系中の金属不純物成分を捕捉して錯体を形成することによって研磨対象物の金属汚染を抑制するために、必要に応じてキレート剤を添加してもよい。キレート剤の具体例としては、カルボン酸、アミン、有機ホスホン酸、アミノ酸等があげられる。
6-6 分散助剤について
本実施形態に係る研磨用組成物には、砥粒の凝集体の再分散を容易にするために、必要に応じて分散助剤を添加してもよい。分散助剤の具体例としては、ピロリン酸塩やヘキサメタリン酸塩等の縮合リン酸塩等があげられる。
【0083】
6-7 防腐剤、防カビ剤について
本実施形態に係る研磨用組成物には、必要に応じて防腐剤や防カビ剤を添加してもよい。防腐剤、防カビ剤としては、例えば、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤や、パラオキシ安息香酸エステル類や、フェノキシエタノールがあげられる。
【0084】
7.研磨用組成物の製造方法について
本実施形態に係る研磨用組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、砥粒と、上記アセチレン化合物と、所望により各種添加剤とを、水中で撹拌、混合することによって製造することができる。各成分を混合する際の温度は特に限定されるものではないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を向上させるために加熱してもよい。また、混合時間も特に限定されない。
【0085】
本実施形態に係る研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、研磨用組成物の成分の一部又は全部を任意の比率で混合した二剤型以上の多剤型であってもよい。また、本実施形態に係る研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水で例えば10倍以上に希釈することにより調製されてもよい。研磨用組成物が二剤型である場合には、研磨用組成物の原料となる二つの原料組成物の混合と希釈の順序は任意である。例えば、一方の原料組成物を水で希釈した後、他方の原料組成物と混合してもよいし、両方の原料組成物の混合と水での希釈を同時に行ってもよいし、あるいは、両方の原料組成物を混合した後に水で希釈してもよい。
【0086】
8.研磨装置及び研磨方法について
本実施形態に係る研磨用組成物を用いて樹脂製の研磨対象物を研磨する方法や条件は特に限定されるものではなく、一般的な研磨の方法、条件の範囲内において研磨対象物の研磨に好適な方法、条件を適宜選択して研磨を行えばよい。また、研磨装置としては、一般的な片面研磨装置や両面研磨装置が使用可能である。
片面研磨装置を用いて研磨する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いて研磨対象物を保持し、研磨対象物と研磨パッドとの間に研磨用組成物を介在させて、研磨パッドが貼付された定盤を研磨対象物の片面に押しつけ、定盤を回転させることにより研磨対象物の片面を研磨する。
【0087】
両面研磨装置を用いて研磨する場合には、キャリアを用いて研磨対象物を保持し、研磨対象物と研磨パッドとの間に研磨用組成物を介在させて、研磨パッドが貼付された定盤を研磨対象物の両面に押しつけ、研磨パッドと研磨対象物を相反する方向に回転させることにより研磨対象物の両面を研磨する。
いずれの研磨装置を用いた場合でも、研磨パッド及び研磨用組成物と研磨対象物との間の摩擦による物理的作用と、研磨用組成物が研磨対象物にもたらす化学的作用によって、研磨対象物は研磨される。
【0088】
研磨パッドの種類は特に限定されるものではなく、材質、厚さ、硬度等の物性が種々異なるものを用いることができる。研磨パッドの材質としては、例えば、ポリウレタン、エポキシ樹脂、不織布、スウェード等が挙げられる。また、研磨パッドには、研磨用組成物が溜まるような溝が形成されていてもよい。
【0089】
〔実施例〕
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
砥粒、非イオン性界面活性剤、及び水を混合した後に、pH調整剤(硝酸又は水酸化カリウム水溶液)を添加することによりpHを3.2に調整して、実施例1の研磨用組成物を製造した。
砥粒としては、D50が0.7μmであるアルミナを使用した。研磨用組成物中の砥粒の含有率は、15質量%である。界面活性剤としては、化学式(2)で表されるアセチレン化合物を使用した。このアセチレン化合物のHLB値は8である。HLB値は、化学式(2)中のp及びqの数値により調整することができる。研磨用組成物中の界面活性剤の含有率は、0.05質量%である。
【0090】
次に、上記の研磨用組成物を使用して、樹脂製の研磨対象物の表面の研磨を行った。研磨対象物は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の板状部材である。研磨条件は以下の通りである。
研磨装置:Engis社製片面研磨装置EJ-380IN(定盤径380mm)
研磨パッド:スウェード製研磨パッド(フジボウ愛媛株式会社製のN17(HD)NX_202U)
研磨荷重:9.8kPa(100gf/cm2)
定盤の回転速度:80min-1
研磨速度(線速度):95.5m/min
研磨時間:5min
研磨用組成物の供給速度:15mL/min
【0091】
研磨が終了したら、研磨した研磨対象物の被研磨面の表面粗さRa及び静的接触角を測定した。研磨後の研磨対象物の被研磨面の表面粗さRaは、株式会社キーエンス製の測定装置LaserMicroscopeVK-X200を使用して視野角284×213μmの条件で測定した。また、研磨後の研磨対象物の被研磨面の静的接触角は、株式会社マツボー製の携帯式接触角計PG-X+(水の滴下量40μL)を使用して測定した。さらに、研磨前後の研磨対象物の厚さを測定し、厚さの差を研磨時間で除することにより、研磨速度を算出した。結果を表1に示す。
【0092】
【0093】
(実施例2、3)
使用した非イオン性界面活性剤の種類が異なる点以外は実施例1と同様にして研磨用組成物を製造し、実施例1と同様にして研磨対象物の研磨を行った。使用した界面活性剤は、化学式(2)で表されるアセチレン化合物であるが、実施例1で使用したものとは化学式(2)中のp及びqの数値が異なる。そのため、HLB値が異なっている。結果を表1に示す。
【0094】
(比較例1)
界面活性剤を使用しない点以外は実施例1と同様にして研磨用組成物を製造し、実施例1と同様にして研磨対象物の研磨を行った。結果を表1に示す。
(比較例2-4)
使用した非イオン性界面活性剤の種類が異なる点以外は実施例1と同様にして研磨用組成物を製造し、実施例1と同様にして研磨対象物の研磨を行った。使用した界面活性剤は、比較例2の場合はポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、比較例3、4の場合はポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。比較例3と比較例4とでは、界面活性剤のHLB値が異なる。結果を表1に示す。
【0095】
(実施例4)
砥粒、非イオン性界面活性剤、硝酸アルミニウム・9水和物(Al(NO3)3・9H2O)、PVP、及び水を混合した後に、pH調整剤(硝酸又は水酸化カリウム水溶液)を添加することによりpHを3.2に調整して、実施例4の研磨用組成物を製造した。
砥粒としては、実施例1の場合と同一のアルミナを使用した。研磨用組成物中の砥粒の含有率は、15質量%である。界面活性剤としては、実施例1の場合と同一のアセチレン化合物を使用した。研磨用組成物中の界面活性剤の含有率は、0.05質量%である。研磨用組成物中の硝酸アルミニウム・9水和物の含有率は、10質量%である。研磨用組成物中のPVPの含有率は、0.05質量%である。
【0096】
次に、実施例4の研磨用組成物を使用して、樹脂製の研磨対象物の表面の研磨を行った。研磨対象物は、ポリテトラフルオロエチレン製の板状部材である。研磨条件は実施例1の場合と同一である。研磨が終了したら、実施例1の場合と同様にして、研磨した研磨対象物の被研磨面の表面粗さRa及び静的接触角を測定するとともに、研磨速度を算出した。結果を表1に示す。
【0097】
(実施例5)
使用した非イオン性界面活性剤の種類が異なる点以外は実施例4と同様にして研磨用組成物を製造し、実施例4と同様にして研磨対象物の研磨を行った。使用した界面活性剤は、実施例3の場合と同一のアセチレン化合物である。結果を表1に示す。
(比較例5)
界面活性剤を使用しない点以外は実施例4と同様にして研磨用組成物を製造し、実施例4と同様にして研磨対象物の研磨を行った。結果を表1に示す。
(比較例6、7)
使用した非イオン性界面活性剤の種類が異なる点以外は実施例4と同様にして研磨用組成物を製造し、実施例4と同様にして研磨対象物の研磨を行った。使用した界面活性剤は、比較例6は比較例2の場合と同一であり、比較例7は比較例4の場合と同一である。結果を表1に示す。
【0098】
(実施例6)
実施例4と同様にして研磨用組成物を製造し、研磨対象物がポリメタクリル酸メチル(PMMA)製の板状部材である点以外は実施例4と同様にして研磨対象物の研磨を行った。結果を表1に示す。
(比較例8)
比較例5と同様にして研磨用組成物を製造し、研磨対象物がPMMA製の板状部材である点以外は実施例4と同様にして研磨対象物の研磨を行った。結果を表1に示す。
(比較例9)
比較例6と同様にして研磨用組成物を製造し、研磨対象物がPMMA製の板状部材である点以外は実施例4と同様にして研磨対象物の研磨を行った。結果を表1に示す。
【0099】
(実施例7)
実施例4と同様にして研磨用組成物を製造し、研磨対象物がポリカーボネート(PC)製の板状部材である点以外は実施例4と同様にして研磨対象物の研磨を行った。結果を表1に示す。
(比較例10)
比較例5と同様にして研磨用組成物を製造し、研磨対象物がPC製の板状部材である点以外は実施例4と同様にして研磨対象物の研磨を行った。結果を表1に示す。
(比較例11)
比較例6と同様にして研磨用組成物を製造し、研磨対象物がPC製の板状部材である点以外は実施例4と同様にして研磨対象物の研磨を行った。結果を表1に示す。
(実施例8、9)
界面活性剤の含有率が異なる点以外は実施例4と同様にして研磨用組成物を製造し、実施例4と同様にして研磨対象物の研磨を行った。結果を表1に示す。
【0100】
表1に示す結果から分かるように、実施例1-9は、研磨速度が高かった。また、研磨後の研磨対象物の被研磨面の表面粗さRaも小さく、樹脂製の研磨対象物の表面を平坦、平滑に研磨することができた。
これに対して、比較例1-11は、対応する実施例と比べて、研磨速度が低く且つ被研磨面の表面粗さRaが小さかった。