(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154446
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】カメラキャリブレーションのキャリブレーションボード
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20221005BHJP
G03B 17/55 20210101ALI20221005BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20221005BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20221005BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221005BHJP
【FI】
H04N5/232
G03B17/55
G03B17/56 Z
G03B17/02
G03B15/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057489
(22)【出願日】2021-03-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「人工知能技術適用によるスマート社会の実現/空間の移動分野/安全・安心の移動ための三次元マップ等の構築」事業、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼畑 智之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 慧
【テーマコード(参考)】
2H100
2H104
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H100CC02
2H104CC12
2H105EE11
5C122DA16
5C122EA01
5C122FH04
5C122GE24
5C122GE26
5C122HA88
5C122HB10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可視カメラに使用されるカメラキャリブレーションを赤外カメラに対しても実行することができるカメラキャリブレーションのためのキャリブレーションボードを提供する。
【解決手段】カメラと、キャリブレーションボードと、制御機器を有するカメラキャリブレーションシステムにおいて、キャリブレーションボード4は、第1の板41と、第2の板42と、温度調整部44と、を備える。第1の板は、正面視において第1の色を有するように視認可能である。第2の板は、正面視において、第1の色とは異なる第2の色を有するように視認可能である。正面視において、第1の板に対して、所定のパターンを形成するように複数配置される。温度調整部は、第1の板及び第2の板の一方を加熱又は冷却することで、その他方に対し温度差を生じさせる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラキャリブレーションのためのキャリブレーションボードであって、
第1の板と、第2の板と、温度調整部とを備え、
前記第1の板は、正面視において第1の色を有するように視認可能に構成され、
前記第2の板は、
前記正面視において、前記第1の色とは異なる第2の色を有するように視認可能に構成され、
前記正面視において、前記第1の板に対して、所定のパターンを形成するように複数配置され、
前記温度調整部は、前記第1の板及び前記第2の板の一方を加熱又は冷却することで、その他方に対し温度差を生じさせるように構成される、もの。
【請求項2】
請求項1に記載のキャリブレーションボードにおいて、
前記温度調整部は、ペルチェ素子であり、
前記ペルチェ素子は、
前記第1の板と前記第2の板との間に設けられ、
前記第1の板及び前記第2の板の一方を加熱し、その他方を冷却するように構成される、もの。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のキャリブレーションボードにおいて、
前記第2の板の形状は、矩形であり、
前記所定のパターンは市松模様である、もの。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1つに記載のキャリブレーションボードにおいて、
前記第2の板の縦の長さ及び横の長さは、100mm以下である、もの。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のキャリブレーションボードおいて、
前記第2の板の形状は、円形であり、
前記第2の板は、縦方向及び横方向に、所定の間隔で配置された、もの。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1つに記載のキャリブレーションボードにおいて、
前記第1の板の色は、白色及び黒色の一方であり、
前記第2の板の色は、前記一方に対する他方である、もの。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか1つに記載のキャリブレーションボードにおいて、
前記第1の板及び前記第2の板の材質は、非鉄金属である、もの。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れか1つに記載のキャリブレーションボードにおいて、
前記第1の板及び前記第2の板の肉厚は、5mm以下である、もの。
【請求項9】
請求項1~請求項8の何れか1つに記載のキャリブレーションボードにおいて、
前記第2の板の上面の少なくとも1つの稜線部は、面取り加工されている、もの。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れか1つに記載のキャリブレーションボードにおいて、
前記温度調整部は、
前記第1の板及び前記第2の板の一方を覆う発熱材であり、
封止材によって封止され、
前記一方を加熱することで、前記一方に対する他方に対し温度差を生じさせるように構成される、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラキャリブレーションのキャリブレーションボードに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラキャリブレーションは、レンズ焦点距離などの内部パラメータ、カメラの位置・姿勢を表す外部パラメータ、およびレンズの歪収差係数を求め、撮像対象となる実空間と、これを2次元に射影した画像平面との対応関係を補正する処理である。
【0003】
特許文献1には、キャリブレーション用の画像としてキャリブレーションボード(市松模様)のパターンを用いた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示されている技術等は、可視カメラを前提としたものであり、これを赤外カメラのキャリブレーションには適用することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、カメラキャリブレーションのためのキャリブレーションボードが提供される。このキャリブレーションボードは、第1の板と、第2の板と、温度調整部とを備える。第1の板は、正面視において第1の色を有するように視認可能に構成される。第2の板は、正面視において、第1の色とは異なる第2の色を有するように視認可能に構成される。正面視において、第1の板に対して、所定のパターンを形成するように複数配置される。温度調整部は、第1の板及び第2の板の一方を加熱又は冷却することで、その他方に対し温度差を生じさせるように構成される。
【0007】
このようなカメラキャリブレーションのキャリブレーションボードによれば、色の違いに加えて温度差によるパターンの違いが実現されるため、可視カメラに使用されるカメラキャリブレーションを赤外カメラに対しても実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】カメラキャリブレーションシステム1を表した模式図である。
【
図2】本実施形態に係るカメラ3を表した概略図である。
【
図3】電源制御モジュール37のハードウェア構成を表したブロック図である。
【
図4】実施形態に係るキャリブレーションボード4の一例を表した図である。
【
図5】実施形態に係る第2の板42が円形のキャリブレーションボード4の一例を表した図である。
【
図6】第2の板42の稜線42aが面取り加工された第2の板42を表した断面図である。
【
図7】制御機器5のハードウェア構成を表したブロック図である。
【
図8】第2実施形態に係るカメラ3を表した概略図である。
【
図9】第2実施形態に係る温度調整部44を表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバーからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、電圧・電流といった信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.全体構成
第1章では、本実施形態に係るカメラキャリブレーションシステムについて説明する。
図1は、カメラキャリブレーションシステム1を表した模式図である。カメラキャリブレーションシステム1は、レンズ焦点距離などの内部パラメータと、カメラ3の位置・姿勢を表す外部パラメータと、レンズの歪収差係数とを求め、画像を補正する処理システムである。以下、可視カメラ31と赤外カメラ32の機能を備えたカメラ3を例に本カメラキャリブレーションシステム1について説明する。
【0014】
カメラキャリブレーションシステム1は、カメラ3と、キャリブレーションボード4と、制御機器5とを備える。各構成要素についてさらに説明する。
【0015】
1.1 カメラ3
図2は、本実施形態に係るカメラ3を表した概略図である。カメラ3は、光等のエネルギーを用いて、被写体を視覚的に識別可能な画像として記録する光学機器である。カメラ3は、可視カメラ31と、赤外カメラ32と、プレートフォルダ33と、ビームスプリッタ34と、レンズホルダ35と、カメラレンズ36とをさらに備える。
【0016】
可視カメラ31は、カメラ3の内部に備え付けられる。
図2に表されたように、可視カメラ31は、可視カメラ31の光軸がカメラレンズ36の光軸に対して略直角になるように配置される。可視カメラ31は、人間の目が感知可能な波長範囲の電磁波を用いて被写体を撮像する。可視カメラ31は、さらに第1撮像素子311を備える。第1撮像素子311は、画像を電気信号に変換する素子である。第1撮像素子311は、例えば、CCD(Charge Couple Devices)イメージセンサー、CMOS(Completely Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサー等の固体撮像素子である。
【0017】
赤外カメラ32は、カメラ3の内部に備え付けられる。
図2に表されたように、赤外カメラ32は、赤外カメラ32の光軸がカメラレンズ36の光軸と同軸になるように、配置される。赤外カメラ32は、人間の目が感知不能な赤外波長領域の電磁波を検出し可視化する。赤外カメラ32は、さらに第2撮像素子321を備える。第2撮像素子321は、赤外線検出器であり、赤外波長領域の電磁波を検出し電気信号に変換する素子である。第2撮像素子321は、例えば、マイクロボロメーター、サーモパイル、InGaAsセンサー等の赤外線検出器である。第2撮像素子321は、第1撮像素子311と同様に、CMOSイメージセンサー等の固体撮像素子であってもよい。赤外線Liは、可視光線Lvと比べて光子のエネルギーが低いため、赤外線Liの固体撮像素子の仕様は、可視光線Lvの固体撮像素子の仕様とは異なってもよい。
【0018】
プレートフォルダ33は、カメラ3の本体内部に備え付けられ、後述するカメラレンズ36の後方に配置される。プレートフォルダ33は、その上部にビームスプリッタ34が配置され、ビームスプリッタ34を固定する。プレートフォルダ33の形状、材質、ビームスプリッタ34の取り付け方等は、限定されない。
【0019】
ビームスプリッタ34は、プレートフォルダ33の上部に取り付けられ、後述するカメラレンズ36と、可視カメラ31及び赤外カメラ32との間に配置される。ビームスプリッタ34は、入射光を2つに分割する光学分野の装置である。ビームスプリッタ34に入射した可視光線Lvは反射し、ビームスプリッタ34に入射した赤外線Liは透過する。ビームスプリッタ34の構造は、特に限定されず、例えばプリズム型、平面型、ウェッジ基板型等が適宜採用されうる。
【0020】
レンズホルダ35は、円形状に貫通した穴を有し、穴の内面に後述するカメラレンズ36が嵌合される。レンズホルダ35は、カメラ3の本体に貫通された穴の周囲に接合され、外部から可視光線Lv及び赤外線Liがカメラレンズ36に入射されるように構成される。
【0021】
カメラレンズ36は、レンズホルダ35の内側に配置される。このように配置されることで、外部の可視光線Lv及び赤外線Liは、カメラレンズ36を通じて、カメラ3の内部に入射することができる。
【0022】
本実施形態では、可視カメラ31の光軸と赤外カメラ32の光軸とは、同軸に構成されている。可視カメラ31と赤外カメラ32とを並置させる場合と比べて、視差が生じにくい。このように2つのカメラの光軸を同軸に構成しているため、カメラレンズ36には可視光線Lvと赤外線Liとが同一の光軸で入射される。
【0023】
カメラレンズ36は、可視用レンズ361と、赤外用レンズ362とを備える。
図2に表したように、カメラレンズ36は、中心部を含んで中心部周辺に形成される内側領域に可視用レンズ361が設けられているとともに、内側領域を囲むようにして当該内側領域に隣接して形成された外側領域に赤外用レンズ362が設けられた構成を有する。ここで、可視用レンズ361は、例えばガラスやプラスチック等の素材からなり、可視光線Lvを透過しうる一方で、赤外線Liを吸収することにより、可視光線Lvのみを透過させてビームスプリッタ34に導光しうるように構成される。これに対して、赤外用レンズ362は、例えばシリコンやゲルマニウム等の素材からなり、赤外線Liを透過しうる一方で、可視光線Lvを反射させることにより、赤外線Liのみを透過させてビームスプリッタ34に導光しうるように構成される。
【0024】
図3は、電源制御モジュール37のハードウェア構成を表したブロック図である。電源制御モジュール37は、カメラ3の有する第1撮像素子311、第2撮像素子321等の電子機器に電力を供給する。さらに、電子機器を制御したり、撮像した画像を表示したり、記憶したりすることができる。そのため、電源制御モジュール37は、バッテリー(不図示)と、記憶部371と、制御部372と、表示部373とを備える。これらの構成要素がカメラ3の内部において通信バス370を介して電気的に接続されていてもよい。以下、これらの構成要素のうち主な要素について説明する。
(記憶部371)
【0025】
記憶部371は、例えばソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。また、これらの組合せであってもよい。特に、記憶部371は、可視カメラ31と赤外カメラ32が撮像した画像データを記憶する。また、記憶部371は、後述する制御部372が実行する種々の機能を実行させるプログラムを記憶する。
【0026】
(制御部372)
制御部372は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部372は、記憶部371に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、カメラ3に係る種々の機能(例えば、カメラキャリブレーション及び撮像された画像の表示部373への表示制御)を実現する。すなわち、記憶部371に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部372によって具体的に実現されることで、制御部372に含まれる各機能部として実行されうる。
【0027】
(表示部373)
表示部373は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスである。当該表示デバイスは、制御部372における制御信号に応答し、表示画面を生成する。表示画面には、可視カメラ31又は赤外カメラ32で、撮像された画像が視認可能に表示される。
【0028】
カメラ3は、上述した2つの機能を備えることで、人・物や風景等の被写体の色が付されたカラー画像(以下、色画像と呼ぶ)と、赤外光を受光して被写体の温度の分布を示した画像(以下、温度画像と呼ぶ)とを両方取得することが可能である。そのためカメラ3は、平日のみならず夜間においても被写体を撮像することができ、さらにより多くの情報量を取得することで、被写体を精確に識別することができる。
【0029】
1.2 キャリブレーションボード4
キャリブレーションボード4は、カメラキャリブレーションのためのキャリブレーションボードである。
図4は、実施形態に係るキャリブレーションボード4の一例を表した図である。キャリブレーションボード4は、第1の板41と、第2の板42と、スペーサー43と、温度調整部44とを備える。
【0030】
図4に表されるように、第1の板41は、正面視において第1の色を有するように視認可能に構成される。また、第2の板42は、正面視において、第1の色とは異なる第2の色を有するように視認可能に構成される。第1の板41は、一枚の板であってもよいし、複数の板を張り合わせて、第1の板41としてもよい。第2の板42は、正面視において、第1の板41に対して、所定のパターンを形成するように複数配置される。
図4に表す第2の板42は、同図に表した第2の板42-1~第2の板42-nのうちの任意のものである。
【0031】
第2の板42の形状は、矩形であってもよい。例えば、第2の板42の形状は、正方形であってもよい。また、第2の板42が配置される所定のパターンは市松模様(チェッカーボード)であってもよい。規則正しいパターンであれば、キャリブレーションボード4上の各点の位置座標(以下、特徴点と呼ぶ)が検出されやすい。
【0032】
キャリブレーションボード4上に配置される第2の板42の縦方向及び横方向の数は、限定されない。これらの数は、カメラ3の機能、仕様、用途等の条件によって決定されるのが好ましい。
【0033】
また、第2の板42の縦の長さ及び横の長さは、カメラ3の仕様、被写体の種類等の条件によるが、0mmより大きく、かつ200mmより小さいことが好ましい。具体的には例えば、第2の板42の縦の長さ及び横の長さは、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,101,102,103,104,105,106,107,108,109,110,111,112,113,114,115,116,117,118,119,120,121,122,123,124,125,126,127,128,129,130,131,132,133,134,135,136,137,138,139,140,141,142,143,144,145,146,147,148,149,150,151,152,153,154,155,156,157,158,159,160,161,162,163,164,165,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,178,179,180,181,182,183,184,185,186,187,188,189,190,191,192,193,194,195,196,197,198,199,200であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。さらに好ましくは、第2の板42の縦の長さ及び横の長さは、100mm以下である。
【0034】
図5は、実施形態に係る第2の板42が円形のキャリブレーションボード4の一例を表した図である。第2の板42は、楕円であってもよいが、好ましくは、
図5に表されたように第2の板42の形状は、円形であるとよい。また、第2の板42は、縦方向及び横方向に、所定の間隔で配置されてもよい。規則正しいパターンであれば、前述した市松模様と同様、キャリブレーションボード4上の特徴点が検出されやすい。
【0035】
また、第2の板42の形状が円形の場合、その直径は、カメラ3の仕様、被写体の種類等の条件によるが、0mmより大きく、かつ200mmより小さいことが好ましい。具体的には例えば、第2の板42の直径の長さは、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,101,102,103,104,105,106,107,108,109,110,111,112,113,114,115,116,117,118,119,120,121,122,123,124,125,126,127,128,129,130,131,132,133,134,135,136,137,138,139,140,141,142,143,144,145,146,147,148,149,150,151,152,153,154,155,156,157,158,159,160,161,162,163,164,165,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,178,179,180,181,182,183,184,185,186,187,188,189,190,191,192,193,194,195,196,197,198,199,200mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。さらに好ましくは、第2の板42が円形の場合、その直径の長さは、100mm以下である。
【0036】
キャリブレーションボード4に配置される第2の板42の色が第1の板41の色と異なることで、その境界において特徴点を検出することができる。すなわち、キャリブレーションボード4は、可視カメラ31のキャリブレーションに適用することができる。好ましくは、第1の板41の色は、白色及び黒色の一方であり、第2の板42の色は、当該一方に対する他方であるとよい。白色と黒色とを採用することで、一般的なキャリブレーションボードと外見が近くなり、既存の認識アルゴリズムを適用することができる。色を付ける塗料は、第1の板41及び第2の板42の上面に塗装される。
【0037】
スペーサー43は、円筒又は多角柱形状の部品で、第1の板41と第2の板42との間に配置され、両板の間に空隙を形成する。形成された空隙には、後述する温度調整部44が配置される。
図4に表すスペーサー43は、同図に表したスペーサー43-1~スペーサー43-mのうちの任意のものである。
【0038】
温度調整部44は、第1の板41及び第2の板42の一方を加熱又は冷却することで、その他方に対し温度差を生じさせるように構成される。このような温度調整部44は、赤外カメラ32のカメラキャリブレーションに使用される。赤外カメラ32は、被写体の温度に基づいて温度画像を撮像するため、キャリブレーションボード4上の温度差による濃淡の違いに基づいて、キャリブレーションされる。
【0039】
好ましくは、温度調整部44は、ペルチェ素子441であるとよい。ここで、ペルチェ素子441(温度調整部44)は、電子部品であり、ペルチェ効果を有する熱電素子の一種である。ペルチェ効果は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する効果であり、2種類の異種金属(または半導体)の両端を接続し電流を流すと、両端に温度差が生じる現象である。ペルチェ素子441は、第1の板41と第2の板42との間に設けられるとよい。このように配置されることで、ペルチェ素子441は、第1の板41及び第2の板42の一方を加熱し、その他方を冷却するように構成される。本実施形態では、例えば、第1の板41を冷却し、第2の板42を加熱するものとして説明する。
【0040】
具体的には、
図4に表されたように、第2の板42の下方に少なくとも1つスペーサー43を配設することで、第2の板42と第1の板41との間に、ペルチェ素子441が配置される空隙が形成される。第1の板41と第2の板42との間の熱移動によって、双方の温度差が解消されることを防ぐために、スペーサー43は、断熱性を有する材質であることが好ましい。
【0041】
第1の板41及び第2の板42の材質は、非鉄金属であってもよい。熱伝導性が高い材質であれば、迅速に第1の板41を冷却し、第2の板42を加熱することができるため、キャリブレーションボード4によるカメラキャリブレーションの実施時間を削減することができる。好ましくは、第1の板41及び第2の板42の材質は、アルミニウムである。アルミニウムの材質は、キャリブレーションボード4を軽量化するに資するからである。
【0042】
第1の板41及び第2の板42の加熱又は冷却を迅速に行い、さらにキャリブレーションボード4を軽量化するために、第1の板41及び第2の板42の肉厚は、薄い方が好ましい。そのため第1の板41及び第2の板42の肉厚は、0mmより大きく、かつ10mmより小さいことがより好ましい。具体的には例えば、第1の板41及び第2の板42の肉厚は、0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5,5.1,5.2,5.3,5.4,5.5,5.6,5.7,5.8,5.9,6,6.1,6.2,6.3,6.4,6.5,6.6,6.7,6.8,6.9,7,7.1,7.2,7.3,7.4,7.5,7.6,7.7,7.8,7.9,8,8.1,8.2,8.3,8.4,8.5,8.6,8.7,8.8,8.9,9,9.1,9.2,9.3,9.4,9.5,9.6,9.7,9.8,9.9,10であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。さらに好ましくは、第1の板41及び第2の板42の肉厚は、5mm以下である。
【0043】
キャリブレーションボード4の上面がカメラ3の光軸に対して、斜めに配置された場合、第2の板42の側面が表れる。カメラキャリブレーションでは、キャリブレーションボード4がどのように配置されても、第2の板42が同じ形態で視認されることが好ましい。
図6は、第2の板42の稜線42aが面取り加工された第2の板42を表した断面図である。
図6に表したように、第2の板42の上面の少なくとも1つの稜線42aは、面取り加工されてもよい。このような構造にすることで、キャリブレーションボード4がカメラ3の光軸に対して、垂直に配置されても、斜めに配置されても、面取り加工されている第2の板42の側面が視認される。即ち、キャリブレーションボード4がどのように配置されても、第2の板42は、同じ形態で視認される。カメラキャリブレーションに用いられるキャリブレーションボード4上の第2の板42が精確に認識される。その結果、特徴点が精確に検出される。
【0044】
1.3 制御機器5
制御機器5は、主にペルチェ素子441の温度を制御するように構成される。例えば、制御機器5は、PLC(Programmable Logic Controller)であってもよいし、温度調節器であってもよい。ペルチェ素子441の温度が制御されれば、制御機器5は、限定されない。
図7は、制御機器5のハードウェア構成を表したブロック図である。制御機器5は、入力部51と、記憶部52と、制御部53と、電圧出力部54とを有し、これらの構成要素が制御機器5の内部において通信バス50を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0045】
(入力部51)
入力部51は、ユーザーからのペルチェ素子441の温度の設定値を受け付ける。また、入力部51は、カメラキャリブレーションの開始及び終了を受け付ける。例えば、入力部51は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等の入力デバイスでもよい。入力部51は、グラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)を用いることにしてもよい。これらの入力部51は、制御機器5に内蔵されてもよいし、外付けされてもよい。また、ユーザーは、音声を発して、ペルチェ素子441の温度を設定してもよい。そのため、入力部51は、マイクロフォンであってもよい。ユーザーは、スイッチを用いて、カメラキャリブレーションの開始及び終了をさせてもよい。スイッチは、プッシュスイッチ、トグルスイッチ、ロッカスイッチ、スライドスイッチ等の種類に分けられるが、どの種類のスイッチでもよい。
【0046】
(記憶部52)
記憶部52は、例えばソリッドステートドライブ(SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等のメモリとして実施されうる。また、これらの組合せであってもよい。特に、記憶部52は、ペルチェ素子441の温度制御を実行するプログラムを記憶する。
【0047】
(制御部53)
制御部53は、主にペルチェ素子441の温度制御を実行する。制御部53は、例えば不図示の中央処理装置(CPU)である。制御部53は、記憶部52に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、主にペルチェ素子441の温度制御の機能を実現する。制御部53は、ペルチェ素子441の温度制御に限らず、タイマー機能を備える等のカメラキャリブレーションに有用な機能を実現する。
図7においては、単一の制御部53として表記されているが、実際はこれに限るものではなく、機能ごとに複数の制御部53を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0048】
(電圧出力部54)
電圧出力部54は、電子機器であり、ペルチェ素子441に印加する電圧を出力する。電圧出力部54から出力される印加電圧の値は、制御部53によって制御される。このような構成により、ペルチェ素子441で変換される熱エネルギーが制御され、第1の板41又は第2の板42は、所定の温度を保つことができる。
【0049】
2.第2実施形態
本章では、第2実施形態について説明する。第2実施形態において、カメラ3の備える可視カメラ31の光軸と、赤外カメラ32の光軸とは、同軸ではない。また、温度調整部44は、第2の板42を加熱する材料である。前記の実施形態と重複する部分の説明は、適宜省略する。
【0050】
2.1 カメラ3
図8は、第2実施形態に係るカメラ3を表した概略図である。カメラ3は、可視カメラ31と、赤外カメラ32と、レンズホルダ35と、カメラレンズ36とをさらに備える。前記の実施形態と異なり、可視カメラ31の光軸と赤外カメラ32の光軸とは、同軸に構成されておらず、レンズホルダ35は、可視用レンズホルダ351と赤外用レンズホルダ352とを備えている。
【0051】
可視用レンズホルダ351及び赤外用レンズホルダ352は、それぞれ円形状に貫通した穴を有し、穴の内面に可視用レンズ361と赤外用レンズ362とが嵌合される。可視用レンズホルダ351と赤外用レンズホルダ352とは、カメラ3の本体に貫通された穴の周囲に接合され、外部から可視光線Lvが可視用レンズ361に入射され、赤外線Liが赤外用レンズ362に入射されるように構成される。このようにカメラ3は、可視カメラ31と赤外カメラ32とを独立して備えることにより、簡便な構造となる。
【0052】
2.1 温度調整部44
温度調整部44は、第1の板41及び第2の板42の一方を覆う発熱材442である。
図9は、第2実施形態に係る温度調整部44を表した断面図である。第2実施形態では、発熱材442は、第2の板42の上面を覆っている例を挙げて説明する。ここで発熱材442(温度調整部44)は、火を使うこと無く化学反応(発熱反応)を用いて第2の板42を加熱するための物体である。具体的には、化学反応は、鉄の酸化反応である。鉄が空気中の酸素と反応して酸化鉄(水酸化第二鉄)になる化学反応が起こるときに出る熱を用いて、第2の板42を加熱する。また、生石灰(酸化カルシウム)が、水分と反応して、消石灰になる化学反応が起こるときに発生する熱を用いて、第2の板42を加熱してもよい。そのため、発熱材442は、カイロに用いられる鉄粉、水、バーミキュライト、活性炭等の物質であってもよい。また、発熱材442は、生石灰でもよい。発熱材442は、発熱効果のある物質であれば限定されない。
【0053】
発熱材442は、封止材45によって封止される。
図9に表す封止材45は、同図に表した封止材45-1~封止材45-nのうちの任意のものである。このような構造であるため、封止材45による封止が解除されると、発熱材442が空気中の水分に触れ、例えば、酸化反応が起こり、第2の板42の上面で熱が発生する。その結果、発熱材442は、第2の板42を加熱することで、第1の板41に対し温度差を生じさせるように構成される。封止材45は、液体や気体などの物質が部品の内部に入り込まないようにする材料で、シール材である。封止材45は、例えばエポキシ系樹脂であるが、これに限定されない。ユーザーは、封止材45を剥がして封止を解除して、発熱材442を空気中の酸素と触れさせて発熱させうる。また、発熱材442が生石灰の場合、ユーザーは、封止材45を剥がして封止を解除し、さらに水分を生石灰に供給して発熱効果を高めてもよい。
【0054】
発熱材442は、第1の板41の上面又は下面に設けられてもよい。発熱材442は、第1の板41を加熱することで、第2の板42に対し温度差を生じさせるように構成されてもよい。
【0055】
このように、温度調整部44が発熱材442である場合、温度調整部44がペルチェ素子441の場合と比べて、温度調整部44を簡便な構造とすることができる。また、第1の板41又は第2の板42を加熱する上で、制御機器5が必要ないため、温度調整部44は、低コストで製造されうる。
【0056】
ユーザーは、前記実施形態の構成要素と、第2実施形態の構成要素とを適宜選択して、新たな実施形態として、カメラキャリブレーションを実行してもよい。構成要素を適宜選択することで、ユーザーは、カメラ3の機能及び用途に、最も適したカメラキャリブレーションを実行することができる。
【0057】
3.カメラキャリブレーション
本章では、キャリブレーションボード4を用いたカメラキャリブレーションの一例を説明する。カメラキャリブレーションは、カメラ3固有の内部パラメータと、ワールド座標系における位置姿勢を意味する外部パラメータとを求める処理である。具体的には、カメラキャリブレーションを行うために形状が既知のキャリブレーションボード4を、姿勢を変えながらカメラ3により撮像及び観測することで、キャリブレーションボード4上の各点(特徴点)と、画像上の各点(特徴点)とを対応付けし、内部パラメータ(姿勢によらない)及び外部パラメータ(姿勢による)に関する未知数からなる連立方程式を解くこととなる。次に実行手順を述べる。
【0058】
ユーザーは、カメラ3を使用する前に、カメラキャリブレーションを実行する。実行にあたり、ユーザーは、カメラ3の前方の所定位置に、キャリブレーションボード4を配置する。
【0059】
ユーザーは、可視カメラ31及び赤外カメラ32に対して、カメラキャリブレーションを実行する。赤外カメラ32に対して、カメラキャリブレーションが実行される前に、ユーザーは、制御機器5の電源をオンにし、第1の板41又は第2の板42の設定温度を、入力部51を介して入力する。次に、ユーザーは、第1の板41及び第2の板42の一方を加熱又は冷却するために、入力部51を介して電圧出力部54のスイッチを入れる。
【0060】
ユーザーは、カメラキャリブレーションの実行にあたり、カメラ3の前面に配置されたキャリブレーションボード4を撮像する。ユーザーは、キャリブレーションボード4を、その正面、左斜め、右斜め、上斜め及び下斜めから撮像する。
【0061】
ユーザーは、キャリブレーションボード4を撮像することで、キャリブレーションボード4の特徴点を検出する。特徴点は、第2の板42が矩形の場合、第2の板42の頂点であってもよい。特徴点は、第2の板42が円形の場合、円の重心であってもよい。特徴点は、カメラ3の制御部372によって、画像処理に係るプログラムが実行されて、自動的に検出されてもよい。以下の数1(幾何変換パラメータ推定式)より、内部パラメータkが求められる。ここで、kは、色画像及び温度画像のピクセル座標軸(X軸及びY軸)の距離である。fは、焦点距離である。(U,V)は、画像平面に投影された点の座標である。また、(X,Y,Z)はワールド座標系の3次元座標である。
【数1】
【0062】
ユーザーは、同様に以下の数2(幾何変換パラメータ推定式)より、外部パラメータを求める。ここで、t(t
x,t
y,t
z)は、レンズの中心座標である。rは、レンズ光軸の方向を表す回転行列である。(X
c,Y
c,Z
c)は、カメラ座標系の値であり、(X
w,Y
w,Z
w)は、ワールド座標系の値である。ワールド座標系の値は、キャリブレーションボード4の特徴点の値である。
【数2】
上述した内部パラメータ及び外部パラメータを算出するプログラムは、カメラ3の記憶部371に記憶され、制御部372によって実行されてもよい。
【0063】
上述した式を用いて、カメラ3は、キャリブレーションボード4を撮像して特徴点を検出し、カメラレンズ36による半径方向の歪及び円周方向の歪を補正する。その結果、可視用レンズ361及び赤外用レンズ362の双方で半径方向の歪及び円周方向の歪が補正される。カメラキャリブレーションの補正後、カメラレンズ36による歪が解消し、現実世界と同一の形態が認識可能な色画像及び温度画像が撮像される。
【0064】
従来から、カメラキャリブレーションに用いられるキャリブレーションボード4の所定のパターンは、市松模様が用いられている。そのため、このようなキャリブレーションボード4を用いて、ユーザーが内部パラメータ及び外部パラメータを算出するアルゴリズムを使用することができる。また、当該アルゴリズムを実行するプログラムも市場に流通されている。可視カメラ31と赤外カメラ32のカメラキャリブレーションに、市松模様のキャリブレーションボード4を用いることで、ユーザーは、容易にカメラキャリブレーションを行うことができる。同様に、従来から、第2の板42の形状が円形であるキャリブレーションボード4もカメラキャリブレーションに用いられている。可視カメラ31と赤外カメラ32のカメラキャリブレーションに、第2の板42の形状がキャリブレーションボード4を用いることで、ユーザーは、容易にカメラキャリブレーションを行うことができる。
【0065】
4.その他
下記のような態様によって前述の実施形態を実施してもよい。
(1)カメラキャリブレーションシステム1では、可視カメラ31と赤外カメラ32とを別々に用意してもよい。換言すると、ユーザーは、可視カメラ31と赤外カメラ32に対して、それぞれキャリブレーションボード4を用いて、カメラキャリブレーションを実行してもよい。
(2)制御機器5は、クローズドループ制御を用いて、ペルチェ素子441を温度制御するために、温度センサー(不図示)を備えてもよい。温度センサーは、熱電対、測温抵抗体、サーミスタ等のように温度差によって、電位差又は抵抗値が変化する原理に基づいて、温度を検出する。温度センサーは、第1の板41又は第2の板42に備え付けられ、制御機器5は、温度センサーから電流値、電圧値等のアナログデータを取り込む。当該アナログデータは、アナログ-デジタル変換器(不図示)によってデジタルデータに変換され、ペルチェ素子441を温度制御する入力値となる。制御部53は、当該入力値に基づいて後述する電圧出力部54の出力値を制御する。温度制御は、ON・OFF動作、比例動作、積分動作、微分動作、PID動作等の動作であり、プログラム化されて制御部53で実行される。
(3)温度調整部44は、電熱線(不図示)であってもよい。電熱線は、電流を流すと熱を発生する電気抵抗の大きな金属線である。電熱線は、ニクロム線、鉄クロム線等の電熱合金であってもよい。ユーザーは、電熱線から発生する熱を第1の板41又は第2の板42に与えて、その他方に対し温度差を生じさせるように構成されてもよい。
(4)温度調整部44は、ヒートパイプ(不図示)であってもよい。ヒートパイプは、蒸発と凝縮の潜熱を利用した熱輸送素子で、小さな温度差で大きな熱を輸送することができる。ユーザーは、第1の板41又は第2の板42にヒートパイプの一端を配置し、ヒートパイプの他端に熱源を配置し、第1の板41又は第2の板42の一方を加熱又は冷却することで、その他方に対し温度差を生じさせるように構成されてもよい。
(5)キャリブレーションボード4の第1の板41又は第2の板42の下面は、放熱フィン(不図示)を備えてもよい。放熱フィンを備えることで、ユーザーは、第1の板41又は第2の板42の加熱を防止することができる。
【0066】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記キャリブレーションボードにおいて、前記温度調整部は、ペルチェ素子であり、前記ペルチェ素子は、前記第1の板と前記第2の板との間に設けられ、前記第1の板及び前記第2の板の一方を加熱し、その他方を冷却するように構成される、もの。
前記キャリブレーションボードにおいて、前記第2の板の形状は、矩形であり、前記所定のパターンは市松模様である、もの。
前記キャリブレーションボードにおいて、前記第2の板の縦の長さ及び横の長さは、100mm以下である、もの。
前記キャリブレーションボードおいて、前記第2の板の形状は、円形であり、前記第2の板は、縦方向及び横方向に、所定の間隔で配置された、もの。
前記キャリブレーションボードにおいて、前記第1の板の色は、白色及び黒色の一方であり、前記第2の板の色は、前記一方に対する他方である、もの。
前記キャリブレーションボードにおいて、前記第1の板及び前記第2の板の材質は、非鉄金属である、もの。
前記キャリブレーションボードにおいて、前記第1の板及び前記第2の板の肉厚は、5mm以下である、もの。
前記キャリブレーションボードにおいて、前記第2の板の上面の少なくとも1つの稜線部は、面取り加工されている、もの。
前記キャリブレーションボードにおいて、前記温度調整部は、前記第1の板及び前記第2の板の一方を覆う発熱材であり、封止材によって封止され、前記一方を加熱することで、前記一方に対する他方に対し温度差を生じさせるように構成される、もの。
もちろん、この限りではない。
【0067】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 :カメラキャリブレーションシステム
3 :カメラ
31 :可視カメラ
311 :第1撮像素子
32 :赤外カメラ
321 :第2撮像素子
33 :プレートフォルダ
34 :ビームスプリッタ
35 :レンズホルダ
351 :可視用レンズホルダ
352 :赤外用レンズホルダ
36 :カメラレンズ
361 :可視用レンズ
362 :赤外用レンズ
37 :電源制御モジュール
370 :通信バス
371 :記憶部
372 :制御部
373 :表示部
4 :キャリブレーションボード
41 :第1の板
42 :第2の板
42-1 :第2の板
42-2 :第2の板
42-3 :第2の板
42-n :第2の板
42a :稜線
43 :スペーサー
43-1 :スペーサー
43-2 :スペーサー
43-3 :スペーサー
43-m :スペーサー
44 :温度調整部
44-1 :温度調整部
44-2 :温度調整部
44-3 :温度調整部
44-n :温度調整部
441 :ペルチェ素子
441-1:ペルチェ素子
441-2:ペルチェ素子
441-3:ペルチェ素子
441-n:ペルチェ素子
442 :発熱材
442-1:発熱材
442-2:発熱材
442-3:発熱材
45 :封止材
45-1 :封止材
45-2 :封止材
45-3 :封止材
45-n :封止材
5 :制御機器
50 :通信バス
51 :入力部
52 :記憶部
53 :制御部
54 :電圧出力部
Li :赤外線
Lv :可視光線