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特開2022-154486コンクリートの断熱温度上昇量予測方法
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  • 特開-コンクリートの断熱温度上昇量予測方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154486
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】コンクリートの断熱温度上昇量予測方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/38 20060101AFI20221005BHJP
   G01N 25/48 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G01N33/38
G01N25/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057548
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】金内 尭
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼原 幸之助
(72)【発明者】
【氏名】山田 和希
【テーマコード(参考)】
2G040
【Fターム(参考)】
2G040AA09
2G040AB14
2G040BA02
2G040BA22
2G040BA25
2G040CA02
2G040GA01
2G040GC01
2G040HA16
2G040ZA08
(57)【要約】
【課題】コンクリートの単位セメント量及び練り混ぜ終了直後の温度を用いることにより、コンクリートの断熱温度上昇量の予測精度を改善する。
【解決手段】コンクリートの断熱温度上昇量予測方法は、コンクリートの断熱温度上昇量を次の式により予測するものである。Q(t)=K[1-exp(-αtβ)]、
K=L×C+L×T+L、α=M×C+M×T+M、β=N×C+N×T+N。ただし、Q(t)は材齢t日における前記断熱温度上昇量(℃)、Cは前記コンクリート1m3当たりに含まれるセメントの質量(kg/m)、Tは前記コンクリートの練り混ぜ終了直後の温度(℃)である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの断熱温度上昇量を下記の式1、式2、式3及び式4により予測することを特徴とするコンクリートの断熱温度上昇量予測方法:
Q(t)=K[1-exp(-αtβ)] ・・・(1)
K=L×C+L×T+L ・・・(2)
α=M×C+M×T+M ・・・(3)
β=N×C+N×T+N ・・・(4)
ただし、Q(t)は材齢t日における前記断熱温度上昇量(℃)、Cは前記コンクリート1m3当たりに含まれるセメントの質量(kg/m)、Tは前記コンクリートの練り混ぜ終了直後の温度(℃)、Lは0.0268以上0.0302以下の値、Lは-0.3260以上-0.1837以下の値、Lは39.44以上43.15以下の値、Mは-0.0003以上-0.0002以下の値、Mは0.0225以上0.0344以下の値、Mは0.5079以上0.6155以下の値、Nは0.0018以上0.0020以下の値、Nは0.0296以上0.0427以下の値、Nは-0.4620以上-0.2594以下の値である。
【請求項2】
前記コンクリートは、ポルトランドセメント及びシリカフュームを含んでおり、
ボーグ式により算出される前記ポルトランドセメントの鉱物組成について、前記ポルトランドセメントのC2S含有率が50質量%以上65質量%以下であり、前記ポルトランドセメントのC3S含有率が20質量%以上30質量%以下であり、前記ポルトランドセメントのC3A含有率が5質量%以下であり、
前記ポルトランドセメント及び前記シリカフュームの合計質量に対する、前記シリカフュームの質量の比率が5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの断熱温度上昇量予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの断熱温度上昇量予測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築工事等においては、日本産業規格より高強度のコンクリートを使用する場合には国土交通省の大臣認定の取得が必要となる。一方で、コンクリート部材の断面寸法を大臣認定の条件より大きくする場合には、公的な建築認証機関から温度応力解析を求められる。一般に高強度コンクリートの断熱温度上昇特性のデータは単位セメント量が700kg/m3まではあるものの、これを超えるセメント量のデータが少なく、温度応力解析を実施できないのが現状である。
【0003】
そこで、単位セメント量が700kg/m3を超えた領域で断熱温度上昇特性をより正確に把握し、温度応力解析を実施するためのデータの取得が必要である。最終的には所要のコンクリートの配合により断熱温度上昇特性を把握することが必要であるものの、さまざまな環境温度での断熱温度上昇特性を把握するためには膨大な実験が必要となることから、これをある程度の精度で予測する技術の確立が必要とされている。
【0004】
下記特許文献1には、コンクリートの単位セメント量を用いて、このコンクリートの断熱温度上昇量を予測する方法が記載されている。この文献には、単位セメント量が400kg/m3以上700kg/m3以下のコンクリートに上記方法を好適に適用できると記載されている。一方で、この文献では、単位セメント量が700kg/m3を超えるコンクリートに上記方法を適用した場合の予測精度については明らかでない。つまり、この点において従来の技術には改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-20810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、この点について種々の研究を重ねた結果、コンクリートの練り混ぜ終了直後の温度と断熱温度上昇量との間に一定の相関性があるとの知見を得た。また、この知見を用いると、コンクリートの単位セメント量が700kg/m3を超える場合においても、コンクリートの断熱温度上昇量を精度よく予測できることが分かった。
【0007】
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、コンクリートの単位セメント量及び練り混ぜ終了直後の温度を用いることにより、コンクリートの断熱温度上昇量の予測精度を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコンクリートの断熱温度上昇量予測方法は、コンクリートの断熱温度上昇量を下記の式1、式2、式3及び式4により予測するものである。
Q(t)=K[1-exp(-αtβ)] ・・・(1)
K=L×C+L×T+L ・・・(2)
α=M×C+M×T+M ・・・(3)
β=N×C+N×T+N ・・・(4)
ただし、Q(t)は材齢t日における前記断熱温度上昇量(℃)、Cは前記コンクリート1m3当たりに含まれるセメントの質量(kg/m)、Tは前記コンクリートの練り混ぜ終了直後の温度(℃)、Lは0.0268以上0.0302以下の値、Lは-0.3260以上-0.1837以下の値、Lは39.44以上43.15以下の値、Mは-0.0003以上-0.0002以下の値、Mは0.0225以上0.0344以下の値、Mは0.5079以上0.6155以下の値、Nは0.0018以上0.0020以下の値、Nは0.0296以上0.0427以下の値、Nは-0.4620以上-0.2594以下の値とされている。なお、上記のCは、いわゆるコンクリートの単位セメント量に相当する。
【0009】
この方法によれば、コンクリートの単位セメント量及び練り混ぜ終了直後の温度を用いて、このコンクリートの断熱温度上昇量を精度よく予測することができる。なお、後述する試験例の説明において、コンクリートの練り混ぜ終了直後の温度と断熱温度上昇量との相関性について詳細に記載している。
【0010】
この方法は、前記コンクリートがポルトランドセメント及びシリカフュームを含んでおり、ボーグ式により算出される前記ポルトランドセメントの鉱物組成について、前記ポルトランドセメントのC2S含有率が50質量%以上65質量%以下、前記ポルトランドセメントのC3S含有率が20質量%以上30質量%以下、前記ポルトランドセメントのC3A含有率が5質量%以下とされており、前記ポルトランドセメント及び前記シリカフュームの合計質量に対する前記シリカフュームの質量の比率が5質量%以上15質量%以下とされている場合に好適である。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、コンクリートの単位セメント量及び練り混ぜ終了直後の温度を用いることにより、コンクリートの断熱温度上昇量の予測精度を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るコンクリートの断熱温度上昇量予測方法に係る試験例の結果を示すグラフであって、コンクリートの単位セメント量と係数Kとの関係をコンクリートの練り混ぜ環境の温度ごとに示している。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るコンクリートの断熱温度上昇量予測方法に係る試験例の結果を示すグラフであって、コンクリートの単位セメント量と係数αとの関係をコンクリートの練り混ぜ環境の温度ごとに示している。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るコンクリートの断熱温度上昇量予測方法に係る試験例の結果を示すグラフであって、コンクリートの単位セメント量と係数βとの関係をコンクリートの練り混ぜ環境の温度ごとに示している。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るコンクリートの断熱温度上昇量予測方法に係る試験例の結果を示すグラフであって、コンクリートの練り混ぜ環境の温度が35℃である場合におけるコンクリートの材齢と断熱温度上昇量との関係を示している。
図5図5は、本発明の一実施形態に係るコンクリートの断熱温度上昇量予測方法に係る試験例の結果を示すグラフであって、コンクリートの練り混ぜ環境の温度が20℃である場合におけるコンクリートの材齢と断熱温度上昇量との関係を示している。
図6図6は、本発明の一実施形態に係るコンクリートの断熱温度上昇量予測方法に係る試験例の結果を示すグラフであって、コンクリートの練り混ぜ環境の温度が5℃である場合におけるコンクリートの材齢と断熱温度上昇量との関係を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係るコンクリートの断熱温度上昇量予測方法について説明する。この方法は、コンクリートの断熱温度上昇量を下記の式1、式2、式3及び式4により予測するものである。
Q(t)=K[1-exp(-αtβ)] ・・・(1)
K=L×C+L×T+L ・・・(2)
α=M×C+M×T+M ・・・(3)
β=N×C+N×T+N ・・・(4)
【0014】
ただし、Q(t)は材齢t日における上記断熱温度上昇量(℃)、Cは上記コンクリート1m3当たりに含まれるセメントの質量(kg/m)、Tは上記コンクリートの練り混ぜ終了直後の温度(℃)、Lは0.0268以上0.0302以下の値、Lは-0.3260以上-0.1837以下の値、Lは39.44以上43.15以下の値、Mは-0.0003以上-0.0002以下の値、Mは0.0225以上0.0344以下の値、Mは0.5079以上0.6155以下の値、Nは0.0018以上0.0020以下の値、Nは0.0296以上0.0427以下の値、Nは-0.4620以上-0.2594以下の値とされている。
【0015】
また、上記の式1及び式2において係数Kは終局断熱温度上昇量(℃)を示しており、上記の式1及び式3において係数αは温度上昇速度に関する定数を示しており、上記の式1及び式4において係数βは温度上昇速度に関する定数を示している。
【0016】
この方法は、上記コンクリートがポルトランドセメント及びシリカフュームを含んでおり、ボーグ式により算出される上記ポルトランドセメントの鉱物組成について、上記ポルトランドセメントのC2S含有率が50質量%以上65質量%以下、上記ポルトランドセメントのC3S含有率が20質量%以上30質量%以下、上記ポルトランドセメントのC3A含有率が5質量%以下とされており、上記ポルトランドセメント及び上記シリカフュームの合計質量に対する上記シリカフュームの質量の比率が5質量%以上15質量%以下とされている場合に好適である。
【0017】
また、この方法は、上記のCが800kg/m以上とされている場合、特に上記のCが875kg/m以上1167kg/m以下とされている場合に好適である。ただし、上記のCが800kg/m未満とされている場合であっても、上記のCが800kg/m以上である場合ほどではないが好適であると考えられる。
【0018】
上記一実施形態に係る方法の試験例1-15について説明する。各試験例においては、水とセメントと細骨材と粗骨材とを練り混ぜてコンクリートを作製した。次に、練り混ぜ終了直後のコンクリートを断熱温度上昇試験装置の内部に配置した。そして、この断熱温度上昇試験装置に取り付けた温度センサにより、このコンクリ-トの断熱温度上昇量を14日にわたって測定し続けた。そして、測定された断熱温度上昇量の推移から回帰分析により各係数を導出した。なお、ここで、各係数とは、上述した式1に示される係数Kと係数αと係数βとを意味している。
【0019】
表1は、単位量とW/Bと練り上がり温度と環境温度と式1の係数とを試験例ごとに示している。表1に示す単位量は、上記のコンクリート1m3当たりに含まれる水とセメントと細骨材と粗骨材との質量をそれぞれ示している。なお、水の単位量は単位水量、セメントの単位量は単位セメント量とされている。表1に示すW/Bは、単位セメント量に対する単位水量の百分率を示している。表1に示すセメントとしては、低熱ポルトランドセメント90質量%とシリカフューム10質量%との組成からなるシリカフューム含有セメントを用いた。表1に示す細骨材としては、山砂と石灰石砕砂とを質量比9:11で混合したもの使用し、表1に示す粗骨材としては石灰石砕石を使用した。表1に示す練り上がり温度は、上記の練り混ぜ終了直後のコンクリートの温度を示している。表1に示す環境温度は、上述した断熱温度上昇試験装置の内部温度を示している。表1に示す式1の係数は、上述した係数Kと係数αと係数βとを意味している。
【0020】
【表1】
【0021】
図1は、表1に示す試験例1-15における単位セメント量と係数Kとの関係を環境温度ごとに示すグラフである。図1に示すように、係数Kは、単位セメント量584kg/m以上1167kg/m以下の範囲においては、単位セメント量が同一である場合には環境温度の増加に伴って減少する。
【0022】
図2は、表1に示す試験例1-15における単位セメント量と係数αとの関係を環境温度ごとに示すグラフである。図2に示すように、係数αは、単位セメント量584kg/m以上1167kg/m以下の範囲においては、単位セメント量が同一である場合には環境温度の増加に伴って増加する。
【0023】
図3は、表1に示す試験例1-15における単位セメント量と係数βとの関係を環境温度ごとに示すグラフである。図3に示すように、係数βは、単位セメント量584kg/mである場合においては環境温度の増加に伴って減少し、単位セメント量700kg/mである場合においては環境温度が増加してもほぼ変化しない。しかし、係数βは、単位セメント量875kg/m以上1167kg/m以下の範囲においては、単位セメント量が同一である場合には環境温度の増加に伴って増加する。
【0024】
つまり、図1図3に示すように、単位セメント量700kg/mを超える範囲(特に、単位セメント量875kg/m以上1167kg/m以下の範囲)においては、表1に示す環境温度は、係数K、係数α及び係数βの全てに対して一定の相関性を有している。
【0025】
そこで、本発明者は、この一定の相関性を利用することにより、コンクリートの単位セメント量だけでなく練り混ぜ終了直後の温度を用いて断熱温度上昇量を算出する上記の式2から式4を得た。
【0026】
次に、本発明者は、上記式2におけるL、L及びLの範囲について算出した。この範囲は、単位セメント量875kg/m以上1167kg/m以下の範囲にある試験例それぞれにおいて、材齢14日におけるコンクリートの断熱温度上昇量についての実測値と上記式1を用いて算出される理論値との差が係数Kの値の5%を超えないように算出した。
【0027】
さらに、上記式3におけるM、M及びMの範囲、上記式4におけるN、N及びNの範囲について算出した。これらの範囲は、単位セメント量875kg/m以上1167kg/m以下の範囲にある試験例それぞれにおいて、係数Kの値の93%に相当する断熱温度上昇量における、コンクリートの材齢の実測値と上記式1から算出される理論値との差が1日を超えないように算出したものである。
【0028】
なお、上記L、L及びLの範囲の算出においては、M=-0.0003、M=0.0313、M=0.5199、N=0.0018、N=0.0336、N=-0.4418と固定して上記理論値を算出した。上記M、M及びMの範囲の算出においては、L=0.0291、L=-0.2539、L=41.85、N=0.0018、N=0.0336、N=-0.4418と固定して上記理論値を算出した。また、上記N、N及びNの範囲の算出においては、L=0.0291、L=-0.2539、L=41.85、M=-0.0003、M=0.0313、M=0.5199と固定して上記理論値を算出した。なお、これらの固定した値は、重回帰分析により得られたものである。
【0029】
そして、上記式2において、Lは0.0268以上0.0302以下の値、Lは-0.3260以上-0.1837以下の値、Lは39.44以上43.15以下の値、上記式3において、Mは-0.0003以上-0.0002以下の値、Mは0.0225以上0.0344以下の値、Mは0.5079以上0.6155以下の値、上記式4において、Nは0.0018以上0.0020以下の値、Nは0.0296以上0.0427以下の値、Nは-0.4620以上-0.2594以下の値であると算出された。
【0030】
また、本発明者は、上述した式1から式4の予測精度について検証した。具体的には、試験例4、9及び14について、測定された実際上の断熱温度上昇曲線と上記式1、式2、式3及び式4から導出した理論上の断熱温度上昇曲線とを比較した。この理論上の断熱温度上昇曲線の導出には、Lとして0.0291、Lとして-0.2539、Lとして41.85、Mとして-0.0003、Mとして0.0313、Mとして0.5199、Nとして0.0018、Nとして0.0336、Nとして-0.4418の値を使用した。
【0031】
図4は、試験例14における実際上の断熱温度上昇曲線と理論上の断熱温度上昇曲線とを示すグラフである。図5は、試験例9における実際上の断熱温度上昇曲線と理論上の断熱温度上昇曲線とを示すグラフである。図6は、試験例4における実際上の断熱温度上昇曲線と理論上の断熱温度上昇曲線とを示すグラフである。図4図6において、実線が実際上の断熱温度上昇曲線を示しており、鎖線が理論上の断熱温度上昇曲線を示している。図4図6に示すように、両者はほぼ一致している。
【0032】
したがって、上述した試験例から分かるように、上述した式1から式4を用いることにより、コンクリートの単位セメント量と練り混ぜ終了直後の温度とを用いて断熱温度上昇量を精度よく予測することができる。
【0033】
なお、上述した式2から式4は、上述した式2から式4を得るために用いた試験例(すなわち、単位セメント量875kg/m以上1167kg/m以下の試験例)における条件と同様の条件により作製されたコンクリートに好適である。すなわち、このコンクリートがポルトランドセメント及びシリカフュームを含んでおり、ボーグ式により算出される上記ポルトランドセメントの鉱物組成について、上記ポルトランドセメントのC2S含有率が50質量%以上65質量%以下であり、上記ポルトランドセメントのC3S含有率が20質量%以上30質量%以下であり、上記ポルトランドセメントのC3A含有率が5質量%以下であり、上記ポルトランドセメント及び上記シリカフュームの合計質量に対する上記シリカフュームの質量の比率が5質量%以上15質量%以下であると好ましい。
【0034】
また、同様の理由により、上述した式2から式4は、単位セメント量が875kg/m以上1167kg/m以下のコンクリートに好適である。なお、上述した式2から式4は、単位セメント量が800kg/m以上875kg/m未満のコンクリートに対しても、単位セメント量が875kg/m以上1167kg/m以下のコンクリートに対してほどではないが好適であると考えられる。また、上述した式2から式4は、単位セメント量が800kg/m未満のコンクリートに対しても、単位セメント量が800kg/m以上のコンクリートに対してほどではないが好適であると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6