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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154709
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】新規フェノール化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
C07F7/18 Q CSP
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021057870
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】大城 康太
(72)【発明者】
【氏名】石川 信広
(72)【発明者】
【氏名】関口 翔也
(72)【発明者】
【氏名】三島 翔子
【テーマコード(参考)】
4H049
【Fターム(参考)】
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ19
4H049VQ49
4H049VR21
4H049VR43
4H049VS19
4H049VS49
4H049VU20
4H049VV02
4H049VW02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】新規フェノール化合物を提供する。
【解決手段】例えば、下記構造式の化合物が示される。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1で示される化合物。
(式1)
(式中、
~Rは、相互に独立して、H又は炭素数3以下のアルキル基を示し、
は、-(CH-S-Rを示し、nは、2以上4以下の整数を示し、
は、下記式2の構造、カルボキシル基で置換された炭素数1~3のアルキル基、2個の水酸基で置換された炭素数2~4のアルキル基、又は、炭素数6~10のアルキル基のいずれかを示す。)
(式2)
(式中、
mは1以上4以下の整数を示し、
、R、Rは、相互に独立して、炭素数1~3のアルキル基、又は、炭素数1~3のアルコキシ基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規フェノール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール化合物は、フェノール樹脂やレゾール樹脂又はポリフェニレンエーテル樹脂等を合成する際のモノマーとして広く利用されている。例えば、フェノール樹脂やレゾール樹脂は、フェノール化合物とホルムアルデヒドを酸又は塩基触媒下で重合することで得られ、ポリフェニレンエーテルは2,6-キシレノールを原料とした酸化重合法により得られる。
【0003】
フェノール樹脂は、耐熱性、難燃性に優れた熱硬化性樹脂として古くから利用され、ポリフェニレンエーテルは、低誘電特性を有する材料として、通信機器等の分野で注目されている。
従来、このような樹脂やポリマーでは、使用方法や用途に応じて、分子構造の一部に機能性の官能基を導入する検討が進められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、アリル基を有するフェノール化合物を原料に用いて、側鎖に反応性基を導入したポリフェニレンエーテルが開示されており、特許文献2には、アルコール性水酸基を有するフェノール置換体を製造し、用いることでポリマーアロイの相溶化剤として有用なポリフェニレンエーテルが得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58―27719号公報
【特許文献2】特開平5―85977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フェノール樹脂やポリフェニレンエーテル等の利用方法や要求特性は多岐にわたり、上述した特許文献以外に、より簡易的に所望の官能基を導入する方法が求められている。
【0007】
そこで本発明は、例えばフェノール類をモノマーとして含むポリマーの合成に有用な、新規フェノール化合物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、鋭意研究の結果、特定の構造を有する新規なフェノール化合物を見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下に示す通りである。
【0009】
本発明は、下記式1で示される化合物である。
(式1)
(式中、
~Rは、相互に独立して、H又は炭素数3以下のアルキル基を示し、
は、-(CH-S-Rを示し、nは、2以上4以下の整数を示し、
は、下記式2の構造、カルボキシル基で置換された炭素数1~3のアルキル基、2個の水酸基で置換された炭素数2~4のアルキル基、又は、炭素数6~10のアルキル基のいずれかを示す。)
(式2)
(式中、
mは1以上4以下の整数を示し、
、R、Rは、相互に独立して、炭素数1~3のアルキル基、又は、炭素数1~3のアルコキシ基を示す。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えばフェノール類をモノマーとして含むポリマーの合成に有用な、新規フェノール化合物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るフェノール化合物の、構造、製造方法、用途等について説明するが、これらは本発明の一例であり、本発明はこれらには何ら限定されない。
【0012】
なお、説明した化合物に異性体が存在する場合、特に断らない限り、本発明は存在し得る全ての異性体を包含する。
【0013】
また、本発明において、アルキル基をはじめとする炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
【0014】
<<<フェノール化合物の構造>>>
本発明に係るフェノール化合物は、下記式(1)に示す構造を有する。
(式1)
【0015】
式1中、
~Rは、相互に独立して、H又は炭素数3以下のアルキル基を示し、
は、-(CH-S-Rを示し、nは、2以上4以下(好ましくは、3以上4以下)の整数を示し、
は、下記式2の構造;カルボキシル基で置換された炭素数1~3(好ましくは、炭素数2)のアルキル基;2個の水酸基で置換された炭素数2~4(好ましくは、炭素数3)のアルキル基;炭素数6~10(好ましくは炭素数7~9、より好ましくは炭素数8)のアルキル基;のいずれかを示す。
【0016】
(式2)
【0017】
式2中、
mは、1以上4以下(好ましくは、3以上4以下)の整数を示し、
、R、Rは、相互に独立して、炭素数1~3(好ましくは炭素数1~2)のアルキル基、又は、炭素数1~3(好ましくは炭素数1~2)のアルコキシ基を示す。
【0018】
式1において、Rは、水素又はメチル基であることが好ましく、R~Rは、水素であることが好ましい。
【0019】
式2において、R、R、Rは、1つ以上が炭素数1~3のアルコキシ基であることが好ましく、2つ以上が炭素数1~3のアルコキシ基であることが好ましい。
【0020】
カルボキシル基で置換されたアルキル基とする場合、アルキル基のいずれの箇所がカルボキシル基で置換されていてもよい。同様に、水酸基で置換されたアルキル基とする場合、アルキル基のいずれの箇所が水酸基で置換されていてもよい。
【0021】
このように、本発明に係るフェノール化合物は、フェノール類(芳香族置換基として少なくともヒドロキシ基を有する化合物)に、スルフィド結合を有する各種有機基が結合した構造を有する。
【0022】
<<フェノール化合物の具体例>>
<フェノール化合物A>
フェノール化合物Aは、式1において、Rが式2の構造で示される化合物である。
【0023】
フェノール化合物Aは、式Aで示される化合物であることが好ましい。
【0024】
(式A)
【0025】
式A中、
は、H又はメチル基であり、
nは、3又は4の整数であり、
mは、3又は4の整数であり、
、R、Rは、相互に独立して、炭素数1~2のアルキル基、又は、炭素数1~2のアルコキシ基を示す。
【0026】
式A中、Rは、Hであることが好ましい。
【0027】
式A中、nは、3であることが好ましい。
【0028】
式A中、mは、3であることが好ましい。
【0029】
式A中、R、R、Rは、1つ以上が炭素数1~2のアルコキシ基であることが好ましく、2つ以上が炭素数1~2のアルコキシ基であることが好ましい。
【0030】
フェノール化合物Aの具体例としては、下記式A1-A3に示す化合物が挙げられる。
【0031】
(式A1)
【0032】
(式A2)
【0033】
(式A3)
【0034】
<フェノール化合物B>
フェノール化合物Bは、上記式1において、Rがカルボキシル基で置換された炭素数1~3のアルキル基である化合物である。
フェノール化合物Bは、式Bで示される化合物であることが好ましい。
【0035】
(式B)
【0036】
式B中、
は、H又はメチル基であり、
nは、3又は4の整数であり、
は、カルボキシル基で置換された炭素数2のアルキル基を示す。
【0037】
式B中、Rは、Hであることが好ましい。
【0038】
式B中、nは、3であることが好ましい。
【0039】
フェノール化合物Bの具体例としては、下記式B1-B2に示す化合物が挙げられる。
【0040】
(式B1)
【0041】
(式B2)
【0042】
<フェノール化合物C>
フェノール化合物Cは、上記式1において、Rが2個の水酸基で置換された炭素数2~4のアルキル基である化合物である。
【0043】
フェノール化合物Cは、式Cで示される化合物であることが好ましい。
【0044】
(式C)
【0045】
式C中、
は、H又はメチル基であり、
nは、3又は4の整数であり、
は、2個の水酸基で置換された炭素数3のアルキル基を示す。
【0046】
式C中、Rは、Hであることが好ましい。
【0047】
式C中、nは、3であることが好ましい。
【0048】
フェノール化合物Cの具体例としては、下記式C1に示す化合物が挙げられる。
【0049】
(式C1)
【0050】
<フェノール化合物D>
フェノール化合物Dは、上記式1において、Rが炭素数6~10のアルキル基である構造である。
【0051】
フェノール化合物Dは、式Dで示される化合物であることが好ましい。
【0052】
(式D)
【0053】
式D中、
は、H又はメチル基であり、
nは、3又は4の整数であり、
は、炭素数7~9のアルキル基を示す。
【0054】
式D中、Rは、Hであることが好ましい。
【0055】
式D中、nは、3であることが好ましい。
【0056】
式D中、Rは、炭素数8のアルキル基であることが好ましい。
【0057】
フェノール化合物Dの具体例としては、下記式D1に示す化合物が挙げられる。
【0058】
(式D1)
【0059】
<<<フェノール化合物の製造方法>>>
本発明に係るフェノール化合物は、通常、アルケニル基を有するフェノール類と、末端チオール基と所望の有機基を有する化合物(チオール化合物)とをエンチオール反応させることにより合成可能である。
【0060】
本発明に係るフェノール化合物は、一例として、以下のように製造することができる。
【0061】
<<合成>>
アルケニル基を有するフェノール類と、チオール化合物とをエンチオール反応させる。
【0062】
エンチオール反応においては、炭素間二重結合とチオール基とを1対1で付加反応させる。より具体的には、エンチオール反応は、チオールに熱ラジカル発生剤を加えて加熱することや、エネルギー線照射を行うことにより、チイルラジカルが発生し、当該ラジカルによりチオール基がエチレン性二重結合に付加する反応が生じる。エンチオール反応においてはチイルラジカルが連鎖的に反応するため、本発明に係るフェノール化合物を高効率で合成することができる。
【0063】
アルケニル基を有するフェノール類とチオール化合物との配合量比(モル比)は、等量としてもよいし、いずれかを過剰に配合してもよい。
【0064】
エネルギー線照射の条件、配合する開始剤の種類及び量、使用する溶媒、溶媒中の各化合物の濃度、反応条件(反応温度、反応時間、攪拌条件、雰囲気)等は、使用する原料等に応じて適宜設定すればよく、限定されない。
【0065】
<<原料>>
<アルケニル基を有するフェノール類>
アルケニル基を有するフェノール類としては、下記式iで示される化合物を使用できる。
【0066】
(式i)
【0067】
式i中、
~Rは、相互に独立して、H又は炭素数3以下のアルキル基を示し、
pは0以上2以下の整数を示す。
【0068】
<チオール化合物>
チオール化合物としては、下記式iiで示される化合物を使用できる。
【0069】
(式ii)
【0070】
式ii中、
は、下記式2の構造、2個の水酸基で置換された炭素数2~4のアルキル基、カルボキシル基で置換された炭素数1~3のアルキル基、又は、炭素数6~10のアルキル基のいずれかを示す。
【0071】
(式2)
【0072】
式2中、
mは1以上4以下の整数を示し、
、R、Rは、相互に独立して、炭素数1~3のアルキル基、又は、炭素数1~3のアルコキシ基を示す。
【0073】
ここで、本発明に係るフェノール化合物は、末端チオール基を有するフェノール類と、アルケニル基及び所望の有機基を有する化合物とをエンチオール反応させることによっても合成可能である。
【0074】
<<<フェノール化合物の用途>>>
本発明に係るフェノール化合物は、通常のフェノール類の一部又は全部の代替として使用することができ、例えば、フェノール樹脂、レゾール樹脂又はポリフェニレンエーテル樹脂を合成する際のモノマーとして含有させることができる。
このような使用方法によれば、得られる樹脂の流動性(粘度)の調製や、当該樹脂成分とシリカ等の無機充填材との親和性を向上させることや、当該樹脂を絶縁材料等に用いて金属めっき等の導体材料との密着性を向上させるといった効果が期待できる。
また、本発明に係るフェノール化合物は、エポキシ基やイソシアネート基等と反応性を有することから、これらの官能基を有する化合物を含む組成物の改質や機能付与するための添加剤としても用いることができる。
【実施例0075】
<<実施例1>>
アルケニル基フェノール類として2-アリルフェノールを使用し、チオール化合物として(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシランを使用し、これらをエンチオール反応させた。具体的には、以下の通りである。
【0076】
2-アリルフェノール2.0g(1.5×10-2mol)、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン3.9g(2.0×10-2mol)を、モノマー合計濃度が40wt%となるようにトルエン8.9gに添加し、窒素雰囲気下にて攪拌、60℃に昇温後、モノマー合計モル量に対して1mol%となるようにAIBN(アゾ重合開始剤)0.057gを添加し、60℃、窒素雰囲気下にて10時間撹拌し、反応生成物Iを得た。得られた反応組成物Iについて、カラムクロマトグラフィーにて酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒で単離、エバポレーターで溶媒を留去し、下記式Iで示される化合物を収率90%、薄褐色液体で得た。
【0077】
1H-NMR (400MHZ, Acetone-d6)、0.771 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-Si-)、1.70 (quin, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-CH2-Si-)、1.90 (quin, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-CH2-CH2-Ar)、2.52 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-)、2.53 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-)、2.72 (t, 2H, J = 6.0 Hz, Ar-CH2-)、3.50 (s, 9H, -CH3)、6.77 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、6.83 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.06 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.07 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、8.05 (s, 1H, Ar-OH)
【0078】
(式I)
【0079】
<<実施例2>>
アルケニル基フェノール類として2-アリルフェノールを使用し、チオール化合物として(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシランを使用し、これらをエンチオール反応させた。具体的には、以下の通りである。
【0080】
チオール化合物を変更した以外は実施例1と同様にして、反応生成物IIを得た。得られた反応組成物IIについてカラムクロマトグラフィーにて酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒で単離、エバポレーターで溶媒を留去し、下記式IIで示される化合物を収率90%、薄褐色液体で得た。
【0081】
1H-NMR (400MHZ, Acetone-d6)、0.717 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-Si-)、1.19 (t, 9H, J = 6.0 Hz, -CH2-CH3)、1.67 (quin, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-CH2-Si-)、1.89 (quin, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-CH2-CH2-Ar)、2.53 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-)、2.54 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-)、2.79 (t, 2H, J = 6.0 Hz, Ar-CH2-)
3.80 (q, 1H, J = 6.0 Hz, -O-CH2-)、7.10 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.17 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.23 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.24 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、8.12 (s, 1H, Ar-OH)
【0082】
(式II)
【0083】
<<実施例3>>
アルケニル基フェノール類として2-アリルフェノールを使用し、チオール化合物として3-メルカプトプロピル(ジメトキシ)メチルシランを使用し、これらをエンチオール反応させた。具体的には、以下の通りである。
【0084】
チオール化合物を変更した以外は実施例1と同様にして、反応生成物IIIを得た。得られた反応組成物IIIについて、カラムクロマトグラフィーにて酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒で単離、エバポレーターで溶媒を留去し、下記式IIIで示される化合物を収率90%、薄褐色液体で得た。
【0085】
1H-NMR (400MHZ, Acetone-d6)、0.0622 (s, 6H, J = 6.0 Hz, -CH3)、0.715 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-Si-)、1.62 (quin, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-CH2-Si-)、1.89 (quin, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-CH2-CH2-Ar)、2.50 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-)、2.53 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-)、2.71 (t, 2H, J = 6.0 Hz, Ar-CH2-)、3.45 (s, 6H, -O-CH3)、7.09 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.15 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.21 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.25 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、8.12 (s, 1H, Ar-OH)
【0086】
(式III)
【0087】
<<実施例4>>
アルケニル基フェノール類として2-アリルフェノールを使用し、チオール化合物としてチオ酢酸を使用し、これらをエンチオール反応させた。具体的には、以下の通りである。
【0088】
チオール化合物を変更した以外は実施例1と同様にして、反応生成物IVを得た。得られた反応組成物IVについて、カラムクロマトグラフィーにて酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒で単離、エバポレーターで溶媒を留去し、下記式IVで示される化合物を収率90%、薄褐色液体で得た。
【0089】
1H-NMR (400MHZ, Acetone-d6)、1.39 (d, 3H, J = 6.0 Hz, -CH3)、1.90 (quin, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-CH2-CH2-)、2.71 (t, 2H, J = 6.0 Hz, Ar-CH2-)、2.73 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-)、3.44 (q, 1H, J = 6.0 Hz, -CH-)、6.75 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、6.81 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.01 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.09 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、8.13 (s, 1H, Ar-OH)、10.2 (s, 1H, -COOH)
【0090】
(式IV)
【0091】
<<実施例5>>
アルケニル基フェノール類として2-アリルフェノールを使用し、チオール化合物として3-メルカプトプロピオン酸を使用し、これらをエンチオール反応させた。具体的には、以下の通りである。
【0092】
チオール化合物を変更した以外は実施例1と同様にして、反応生成物Vを得た。得られた反応組成物Vについて、カラムクロマトグラフィーにて酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒で単離、エバポレーターで溶媒を留去し、下記式Vで示される化合物を収率90%、薄褐色液体で得た。
【0093】
1H-NMR (400MHZ, Acetone-d6)、1.90 (quin, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-CH2-CH2-)、2.58 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-)、2.60 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-) 、2.73 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-)、2.75 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-)、6.71 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、6.86 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.14 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.28 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、8.13 (s, 1H, Ar-OH)、10.2 (s, 1H, -COOH)
【0094】
(式V)
【0095】
<<実施例6>>
アルケニル基フェノール類として2-アリルフェノールを使用し、チオール化合物としてα-チオグリセロールを使用し、これらをエンチオール反応させた。具体的には、以下の通りである。
【0096】
チオール化合物を変更した以外は実施例1と同様にして、反応生成物VIを得た。得られた反応組成物VIについて、カラムクロマトグラフィーにて酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒で単離、エバポレーターで溶媒を留去し、下記式VIで示される化合物を収率90%、薄褐色液体で得た。
【0097】
1H-NMR (400MHZ, Acetone-d6)、1.85 (quin, 2H, J = 6.0 Hz, -CH2-CH2-CH2-)、2.5-2.6 (m, 6H, Ar-CH2-, -S-CH2-CH2-, -CH2-OH)、3.51 (sext, 1H, J = 6.0 Hz, -CH-)、3.55 (d, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-CH2-)、3.70 (t, 1H, J = 6.0 Hz, -CH2-OH)、3.79 (s, 1H, J = 6.0 Hz, -CH-OH)、6.72 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、6.80 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、6.98 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.06 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、8.13 (s, 1H, Ar-OH)
【0098】
(式VI)
【0099】
<<実施例7>>
アルケニル基フェノール類として2-アリルフェノールを使用し、チオール化合物として2-エチル-1-ヘキサンチオールを使用し、これらをエンチオール反応させた。具体的には、以下の通りである。
【0100】
チオール化合物を変更した以外は実施例1と同様にして、反応生成物VIIを得た。得られた反応組成物VIIについて、カラムクロマトグラフィーにて酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒で単離、エバポレーターで溶媒を留去し、下記式VIIで示される化合物を収率90%、薄褐色液体で得た。
【0101】
1H-NMR (400MHZ, Acetone-d6)、0.864 (t, 3H, J = 6.0 Hz, -CH3)、0.892 (t, 3H, J = 6.0 Hz, -CH3)、1.3-1.4 (m, 9H, -CH-CH2-CH2-CH2-CH3, -CH2-CH3)、1.88 (quin, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-CH2-)、2.50 (d, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-CH-)、2.53 (t, 2H, J = 6.0 Hz, -S-CH2-)、2.71, (t, 2H, J = 6.0 Hz, Ar-CH2-)、6.71 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、6.84 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.00 (t, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、7.07 (d, 1H, J = 6.0 Hz, Ar-H)、8.15 (s, 1H, Ar-OH)
【0102】
(式VII)