(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022154852
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】カメラ制御装置、カメラおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/34 20210101AFI20221005BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20221005BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221005BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G02B7/34
G03B13/36
H04N5/225 300
H04N5/232 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058106
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】宗村 直人
【テーマコード(参考)】
2H011
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H011AA01
2H011BA21
2H011BB04
2H011CA21
2H011DA01
2H151BA02
2H151CE22
2H151DA34
2H151DB01
2H151DC05
2H151EB01
2H151FA38
5C122EA68
5C122FB17
5C122FD06
5C122FD07
5C122FD13
5C122FH24
5C122FK29
5C122FK37
5C122FK41
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB06
(57)【要約】
【課題】デフォーカス量が大きい状態で、焦点調節可能な被写体かどうかを適切に判定する。
【解決手段】カメラ制御装置は、光学系を通過した被写体光を複数の光電変換部で受光して光電変換し、光電変換された複数の信号を出力する撮像部からの前記信号に基づき、前記被写体光の像の中に構造情報が含まれるか否かを判定する判定部と、前記判定部で判定された結果に基づき、前記光学系の移動可否を設定する移動可否設定部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を通過した被写体光を複数の光電変換部で受光して光電変換し、光電変換された複数の信号を出力する撮像部からの前記信号に基づき、前記被写体光の像の中に構造情報が含まれるか否かを判定する判定部と、
前記判定部で判定された結果に基づき、前記光学系の移動可否を設定する移動可否設定部と、
を備えるカメラ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラ制御装置において、
前記判定部は、前記複数の信号に関する度数分布に基づき前記判定を行う、カメラ制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラ制御装置において、
前記判定部は、前記度数分布として前記複数の信号の強度値のヒストグラムを用いる、カメラ制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラ制御装置において、
前記判定部は、前記強度値の階級の異なる幅で複数の前記ヒストグラムを生成し、前記複数のヒストグラムに基づき前記判定を行う、カメラ制御装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載のカメラ制御装置において、
前記判定部は、前記強度値の階級の幅を変えずに階級の境界をずらして複数の前記ヒストグラムを生成し、前記複数のヒストグラムに基づき前記判定を行う、カメラ制御装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載のカメラ制御装置において、
前記撮像部は、第1波長の光を透過させる第1フィルタを透過した光を光電変換して生成された電荷に基づく信号を出力する複数の第1光電変換部と、第2波長の光を透過させる第2フィルタを透過した光を光電変換して生成された電荷に基づく信号を出力する複数の第2光電変換部とを有し、
前記判定部は、前記複数の第1光電変換部からの複数の信号に基づく第1のヒストグラムと、前記複数の第2光電変換部からの信号に基づく第2のヒストグラムとに基づいて前記判定を行う、カメラ制御装置。
【請求項7】
請求項3から6のいずれか一項に記載のカメラ制御装置において、
前記判定部は、前記強度値の階級の中で1番目と2番目に多い度数の比率が第1閾値より大きく、かつ、全体の度数の中で前記2番目以下の階級の度数の和の割合が第2閾値よりも小さいと前記構造情報が含まれないと判定する、カメラ制御装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のカメラ制御装置において、
前記光学系の異なる瞳を通過した光束により形成された1組の像の位相差に基づいて前記光学系の焦点と前記撮像部の位置とのずれ量であるデフォーカス量を検出する検出部を備え、
前記判定部は、前記検出部で前記デフォーカス量が検出できないと、前記判定を行う、カメラ制御装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載のカメラ制御装置において、
前記移動可否設定部は、前記判定部で前記構造情報が含まれると判定されると、前記光学系のフォーカスレンズの移動可を設定し、前記判定部で前記構造情報が含まれないと判定されると、前記光学系のフォーカスレンズの移動否を設定する、カメラ制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載のカメラ制御装置において、
前記移動可否設定部で前記光学系のフォーカスレンズの移動可が設定されると、前記フォーカスレンズをあらかじめ定められた移動量移動させる信号を駆動部へ送信する出力部を備える、カメラ制御装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のカメラ制御装置を備えるカメラ。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載のカメラ制御装置と、
前記撮像部から出力される信号に基づく焦点検出演算を行う演算部と、
前記焦点検出演算ができない場合、前記構造情報が含まれる場合はレンズ移動を行って焦点検出演算を行い、前記構造情報が含まれない場合はレンズ移動を行わないレンズ駆動制御部と、
を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ制御装置、カメラおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デフォーカス量に基づいて、焦点調節を行うカメラが知られている(特許文献1参照)。従来より、焦点調節の精度向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によるカメラ制御装置は、光学系を通過した被写体光を複数の光電変換部で受光して光電変換し、光電変換された複数の信号を出力する撮像部からの前記信号に基づき、前記被写体光の像の中に構造情報が含まれるか否かを判定する判定部と、前記判定部で判定された結果に基づき、前記光学系の移動可否を設定する移動可否設定部とを備える。
本発明の第2の態様によるカメラは、第1の態様によるカメラ制御装置を備える。
本発明の第3の態様による撮像装置は、第1の態様によるカメラ制御装置と、前記撮像部から出力される信号に基づく焦点検出演算を行う演算部と、前記焦点検出演算ができない場合、前記構造情報が含まれる場合はレンズ移動を行って焦点検出演算を行い、前記構造情報が含まれない場合はレンズ移動を行わないレンズ駆動制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】第1の実施形態によるカメラシステムの要部構成を説明する模式図である。
【
図2】カメラ制御部が実行する処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図4】
図4(a)はフォーカスポイントP1に対応する撮像用画素信号を用いて生成されたヒストグラムを示す模式図、
図4(b)はフォーカスポイントP2に対応する撮像用画素信号を用いて生成されたヒストグラムを示す模式図である。
【
図5】
図5(a)は階級数(階級の幅)による度数分布の違いを例示する模式図、
図5(b)はシフト量による度数分布の違いを例示する模式図である。
【
図6】フォーカスレンズの移動可否を設定する処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図7】ヒストグラムを用いた構造判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態による、フォーカスレンズの移動可否を設定する処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
本発明の一実施の形態によるカメラシステム1は、自動焦点(AF:Autofocus)調節機能を備え、デフォーカス量が大きくて被写体の像が大きくぼけている場合に、焦点調節可能な被写体であるか否かを判定し、判定結果に基づいてフォーカスレンズのスキャン移動の可否を決める。
以下の説明では、先にカメラシステム1の概要を説明し、その後で、焦点調節可能な被写体であるか否かの判定処理について説明する。
【0007】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施形態によるカメラシステム1の要部構成を説明する模式図である。カメラシステム1は、カメラボディ2に着脱可能な撮影レンズ(交換レンズ3と称する)を装着した例を説明するが、カメラボディ2と撮影レンズを一体に構成したカメラとしても構わない。
なお、
図1において交換レンズ3の光軸Oと交差する面内の水平方向をX軸とし、鉛直方向をY軸とする。
【0008】
<カメラボディ>
カメラボディ2は、カメラ制御部230、ボディ通信部240、撮像素子260、信号処理部270、操作部材280、および表示部290を有する。カメラ制御部230は、ボディ通信部240、撮像素子260、信号処理部270、操作部材280および表示部290と接続される。
【0009】
カメラ制御部230は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。カメラ制御部230は、カメラ制御部230が実行する制御プログラム等を記憶する記憶部235、AF信号処理部270bによる焦点検出演算を制御する焦点検出部230a、後述するフォーカスレンズ361のスキャン移動の可否を設定する移動可否設定部230b、後述するヒストグラムの生成条件を設定する条件設定部230c、ヒストグラムを生成する生成部230d、およびヒストグラムに基づいて被写体の像に構造情報が含まれているか否かを判定する構造判定部230eを含む。構造情報については後述する。カメラ制御部230は、記憶部235に記憶されている制御プログラムを実行してカメラボディ2内の各部を制御する。記憶部235は、カメラ制御部230によってデータの記録と読み出しが制御される。
【0010】
ボディ通信部240は、交換レンズ3のレンズ通信部340との間で所定の通信を行う。ボディ通信部240は、カメラ制御部230と接続される。
【0011】
交換レンズ3を透過した被写体からの光は、撮像素子260の撮像面260Sに導かれる。撮像素子260は、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の固体撮像素子である。撮像素子260は、カメラ制御部230からの制御信号により、撮像面260Sに形成される被写体の像を撮像して、被写体の像の輝度分布に対応した信号を出力する。カメラシステム1は、動画撮影と静止画撮影とが可能である。動画撮影には、動画を記録する他、表示部290で連続的にモニタ用の画像を表示させるための、いわゆるスルー画(ライブビュー画像とも称される)の撮影も含むものとする。
【0012】
撮像素子260は、画像生成用の光電変換部と焦点検出用の光電変換部とを有する。画像生成用の光電変換部で生成された電荷に基づく撮像用画素信号は、信号処理部270の画像信号処理部270aによって画像データの生成に用いられる。また、焦点検出用の光電変換部で生成された電荷に基づく焦点検出用画素信号は、信号処理部270のAF信号処理部270bによって、撮影光学系360が形成する被写体の像の合焦状態、換言すると、光軸O方向における被写体の像の位置と撮像素子260の撮像面260Sの位置とのずれを検出する焦点検出演算(AF演算とも称される)に用いられる。
撮像素子260は、信号処理部270、カメラ制御部230と接続される。
【0013】
信号処理部270は、画像信号処理部270aおよびAF信号処理部270bを含む。画像信号処理部270aは、撮像素子260から出力された撮像用画素信号に対して所定の画像処理を行って画像データを生成する。生成された画像データは、不図示の記憶媒体(メモリーカード等)に所定のファイル形式で記録されたり、撮影前のライブビュー画像の表示や撮影後の確認画像の表示に用いられたりする。
【0014】
また、AF信号処理部270bは、撮像素子260から出力された焦点検出用画素信号を用いて位相差検出方式の焦点検出演算を行うことにより、デフォーカス量を算出する。デフォーカス量は、撮影光学系360が形成する被写体の像の位置と撮像面260Sとのずれ量である。
信号処理部270は、カメラ制御部230、撮像素子260、および表示部290と接続される。
【0015】
レリーズボタンや操作スイッチ等を含む操作部材280は、カメラボディ2の外装面に設けられる。操作部材280は、ユーザの操作に応じた操作信号をカメラ制御部230へ送出する。ユーザは、操作部材280を操作することにより、撮影指示や撮影条件の設定指示等を行う。また、ユーザは、操作部材280によって、後述する「AFエリアモード」の切替えを指示することができる。
【0016】
表示部290は、有機EL表示パネルや液晶表示パネルによって構成される。表示部290は、カメラ制御部230からの制御信号により、画像信号処理部270aによって処理された画像データに基づく画像や、操作メニュー画面等を表示する。また、表示部290にタッチパネルを備え、操作部材280の一部としてのタッチ操作部材290Aを構成してもよい。
表示部290は、カメラ制御部230と接続される。
【0017】
<交換レンズ>
交換レンズ3は、レンズ制御部330、レンズ通信部340、撮影光学系360、レンズ駆動部370、および絞り駆動部380を有する。レンズ制御部330は、レンズ通信部340、レンズ駆動部370、絞り駆動部380と接続される。
【0018】
レンズ制御部330は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。レンズ制御部330は、内部に記憶されている制御プログラムを実行し、AF動作時のフォーカスレンズ361の移動制御などの、交換レンズ3の各部を制御する。
【0019】
レンズ通信部340は、ボディ通信部240との間で所定の通信を行う。レンズ通信部340とボディ通信部240との間で行われる通信により、フォーカスレンズ361などを移動させる指示等が、カメラボディ2から交換レンズ3へ送信される。また、レンズ通信部340とボディ通信部240との間で行われる通信により、フォーカスレンズ361の駆動状態などの情報が交換レンズ3からカメラボディ2へ送信される。
【0020】
撮影光学系360は、複数のレンズと絞り部材362とを含み、カメラボディ2の撮像素子260の撮像面260Sに被写体光を導く。上記複数のレンズのうちフォーカスレンズ361は、レンズ駆動部370により、光軸O方向に移動が可能に構成されている。フォーカスレンズ361が移動することにより、撮影光学系360が形成する被写体の像の位置が光軸O方向に移動する。これにより、合焦のためのレンズ駆動(合焦駆動)が行われる。
【0021】
絞り362は、撮像素子260に入射する光量を調節する。絞り362は、絞り駆動部380や手動操作により、絞り羽根が駆動され開口径(絞り値)を変化させることが可能に構成されている。
【0022】
フォーカスレンズ361の移動方向や移動量、移動速度などの駆動指示は、カメラ制御部230から指示される。なお、カメラ制御部230からの情報に基づいて、レンズ制御部330がフォーカスレンズ361の移動方向や移動量、移動速度などの駆動指示を行うこととしてもよい。
【0023】
<カメラ動作の一例>
上述したカメラシステム1によるカメラ動作の一例を説明する。
図2は、カメラ制御部230が実行する処理の流れを例示するフローチャートである。カメラ制御部230は、例えば、メインスイッチのオン操作に伴う起動時に、
図2のフローチャートによる処理を開始させる。
【0024】
ステップS10において、カメラ制御部230は、ライブビュー画像のための露出設定を行い、撮像素子260に対する蓄積制御(露光制御)を行ってステップS15へ進む。起動後1枚目の撮像の露出設定値は予め定めた初期値に制御し、撮像素子260に対する蓄積制御を行う。
【0025】
ステップS15において、カメラ制御部230は、撮像素子260から信号処理部270へ信号を読み出させてステップS20へ進む。カメラ制御部230は、ステップS20において露出演算を行うことにより、各制御値を算出する。すなわち、カメラ制御部230は、信号処理部270に入力された撮像用画素信号に基づいて被写体の明るさ情報(Bv値)を検出し、Bv値と、記憶部235に格納されているプログラム線図の情報とに基づいて、絞り値(Av値)、シャッタ速度(Tv値)、および感度(Sv値)を決定してステップS25へ進む。算出した各制御値は、記憶部235に記憶させておく。
【0026】
ステップS25において、カメラ制御部230は、レンズ制御部330から絞り駆動部380を制御して絞り362を決定した絞り値に設定する。カメラ制御部230は、画像信号処理部270aに対し、撮像素子260から出力された撮像用画素信号を用いてライブビュー画像を生成させ、生成されたライブビュー画像を表示部290に表示させる。
【0027】
ステップS30において、カメラ制御部230の焦点検出部230aは、AF信号処理部270bにAF演算を行わせてステップS40へ進む。AF演算により、撮像素子260から出力された焦点検出用画素信号に基づいてデフォーカス量が算出される。
【0028】
カメラ制御部230の移動可否設定部230bは、AF演算(ステップS30)後のステップS40においてフォーカスレンズ361の移動可否を判定する。この判定処理は、AF演算でデフォーカス量を算出することができなかった場合において、無駄なフォーカスレンズ361のスキャン動作を避けるために行う。
従来から、フォーカスレンズ361のスキャン動作は、AF信号処理部270bがデフォーカス量を算出できない場合に行われ、フォーカスレンズ361を光軸O方向に予め定めた移動量だけ移動させて、デフォーカス量が算出される可能性を高める。つまり、被写体の像が大きくぼけてデフォーカス量を算出できないほどに被写体の像の輪郭や模様等が消失している状態から、被写体の像の輪郭や模様等がデフォーカス量を算出できる程度に現れるように被写体の像のぼけ状態を改善させるために、フォーカスレンズ361がスキャン動作される。なお、スキャン動作としてフォーカスレンズ361を至近から無限遠まで全域にわたり移動させてもよい。
【0029】
フォーカスレンズ361をスキャン動作させてもデフォーカス量が算出できない場合はスキャン動作が無駄となる。そこで、実施の形態では、レンズ移動を行っても被写体の像のぼけ状態が改善されない被写体についてはスキャン動作のレンズ移動を行わないこととしている。例えば、もともと被写体の輪郭や模様等が明瞭でないためにAF演算に必要な被写体の像の輪郭や模様等が現れない、または、もともと被写体の輪郭や模様等が明瞭でないためにAF演算に必要な被写体の像の輪郭や模様等が不足することによってデフォーカス量を算出することができない場合がある。このような場合には、スキャン動作のレンズ移動を行ったとしても、デフォーカス量が算出される可能性が見込めない。そのため、本実施の形態では、移動可否設定部230bがスキャン動作のレンズ移動可を設定しなかった場合には、スキャン動作のレンズ移動を行わないことにする。詳細は後述する。
【0030】
なお、AF演算(S30)でデフォーカス量を算出することができた場合には、移動可否設定部230bは、デフォーカス量に基づいたフォーカスレンズ361のレンズ移動可を設定し、すなわち焦点調節動作のレンズ移動可を設定し、フォーカスレンズ361を光軸O方向に合焦駆動させる(ステップS50)。
ステップS40でレンズ移動可が設定されるのは、デフォーカス量が演算されたとき、および、デフォーカス量が演算されないが被写体の像に構造情報を含むときの2通りである。前者の移動可設定により焦点調節動作としてレンズ移動動作が行われ、後者の移動可設定によりAF再演算のためのスキャン動作が行われる。本明細書では、前者を焦点調節動作のレンズ移動可と呼び、後者をスキャン動作のレンズ移動可と呼ぶ。構造情報については後述する。
ステップS40の設定結果は、焦点調節動作のレンズ移動可、スキャン動作のレンズ移動可、およびスキャン動作のレンズ移動否の3種類のフラグとして記憶され、後述のレンズ駆動制御処理で使用される。
以上のようなフォーカスレンズ361の移動可否を設定する処理(S40)の詳細については、
図4~7を参照して後述する。
【0031】
カメラ制御部230は、ステップS40の設定処理の後、ステップS45に進む。ステップS45において、カメラ制御部230はレリーズボタンが半押し操作されたか否かを判定する。カメラ制御部230は、レリーズボタンが半押し操作されない場合にはステップS45を否定判定してステップS10へ戻る。これに対し、半押し操作された場合にはステップS45を肯定判定してステップS48に進む。ステップS48において、カメラ制御部230は、レンズ移動の可否を判定し、焦点調節動作のレンズ移動可のフラグが設定されていればステップS50に進み、焦点調節動作のレンズ移動可のフラグが設定されていなければステップS52に進む。
【0032】
焦点調節動作のレンズ移動可で進むステップS50において、カメラ制御部230は、ステップS30において算出されたフォーカスレンズ361の駆動量に対応する駆動信号を、ボディ通信部240から交換レンズ3へ送信させる。これにより、レンズ制御部330からレンズ駆動部370へフォーカスレンズ361の駆動指示が行われる、これは、合焦駆動の指示である。
カメラ制御部230はさらに、合焦駆動を行ったことをユーザに知らせる動作を行う。カメラ制御部230は、採用されているフォーカスポイントPを示す表示(AF枠)を、例えば所定時間点灯表示させる。その後、カメラ制御部230はステップS60へ進む。
【0033】
また、焦点調節動作のレンズ移動可のフラグが設定されていない場合はステップS48が否定判定され、ステップS52に進む。ステップS52では、スキャン動作のレンズ移動可または否のフラグが設定されているかを判定する。カメラ制御部230は、スキャン動作のレンズ移動可のフラグが設定されている場合、ステップS54に進む。ステップS54において、カメラ制御部230は、フォーカスレンズ361を光軸O方向にスキャン動作のために移動させる指示を、ボディ通信部240から交換レンズ3へ送信させる。これは、スキャン駆動の指示である。またカメラ制御部230は、ステップS30へ戻って上述したと同様にAF演算を実行し、その後ステップS40に進む。
一方、ステップS52においてスキャン動作のレンズ移動否のフラグが設定されている場合、ステップS58に進む。カメラ制御部230は、ステップS58において、合焦駆動を行うことができないことをユーザに知らせる動作を含む表示処理を行う。表示処理として、カメラ制御部230は、採用されているフォーカスポイントPを示す表示(AF枠)を、例えば所定時間点滅表示させる。その後、カメラ制御部230はステップS60へ進む。このように、スキャン動作のレンズ移動否のフラグが設定されていると、カメラ制御部230は交換レンズ3へフォーカスレンズ361の駆動指示を送らないので、フォーカスレンズ361の無駄な駆動を避けることができる。
【0034】
ステップS60において、カメラ制御部230はレリーズボタンが全押し操作されたか否かを判定する。カメラ制御部230は、レリーズボタンが全押し操作された場合にステップS60を肯定判定してステップS65へ進み、全押し操作されない場合にはステップS60を否定判定してステップS10へ戻る。
【0035】
ステップS10へ戻ったカメラ制御部230は、再びステップS10以降の処理を行う。ライブビュー画像の2コマ目以降の露出設定は、記憶部235に記憶されている絞り値と、記憶部235に記憶されているシャッタ速度(Tv値)および感度(Sv値)とを用いる。
【0036】
レリーズボタンが全押し操作された場合(ステップS60を肯定判定)に進むステップS65において、カメラ制御部230は、撮像素子260に対して、記録用の画像を撮像するための蓄積動作を行わせる。その際に、絞り362を記憶部235に記憶されている絞り値(Av値)に設定し、記憶部235に記憶されているシャッタ速度(Tv値)で撮像素子260の蓄積制御を行い、記憶部235に記憶されている感度(Sv値)を用いて処理を行う。
【0037】
ステップS70において、カメラ制御部230は、撮像素子260から信号処理部270へ信号を読み出してステップS75へ進む。ステップS75において、カメラ制御部230は、画像信号処理部270aに対し、撮像素子260から出力された撮像用画素信号に所定の画像処理を行わせ、記録用の画像を生成させる。これにより、画像信号処理部270aが所定の画像処理を行って記録用の画像を生成する。
【0038】
ステップS80において、カメラ制御部230は画像表示を行う。すなわち、カメラ制御部230は、ステップS75で画像処理された画像を確認画像として表示部290に表示させる。
ステップS85において、カメラ制御部230は、画像信号処理部270aで処理された画像のファイルを不図示の記録ユニットに記録させる。
【0039】
ステップS90において、カメラ制御部230は一連の処理を終了するか否かを判定する。カメラ制御部230は、例えばメインスイッチがオフ操作された場合に、ステップS90を肯定判定して
図2による処理を終了する。カメラ制御部230は、
図2による処理を終了しないでカメラ動作を継続する場合にはステップS90を否定判定してステップS10へ戻る。
【0040】
なお、表示処理(S80)と記録処理(S85)は、処理の順番を入れ替えてもよいし、並行して行ってもよい。
また、
図2の例では、ライブビュー表示(S25)が行われた後のAF演算(S30)でデフォーカス量の算出を行うが、露出演算(S20)と並行してAF演算(S30)、レンズ移動可否設定(S40)を行い、ステップS45で半押し操作がなされた後に、フォーカスレンズ361の駆動を交換レンズ3へ指示(S50)してもよい。
さらにまた、ライブビュー画像の各コマが取得されるごとに、露出演算(S20)と並行して、AF演算(S30)、レンズ移動可否設定(S40)、およびフォーカスレンズ361の駆動指示(S50)を行う構成にしても良い。
【0041】
<フォーカスポイント>
AF演算(S30)で用いられるフォーカスポイントについて説明する。
図3は、カメラボディ2の撮像素子260によって撮像される撮影範囲50を例示する図である。本実施の形態では、撮影範囲50に予め複数(例えば135点)のフォーカスポイントPが設けられており、
図3では表示部290に表示されたライブビュー画像に重ねて、135点のフォーカスポイントPが表示されている。フォーカスポイントPは、撮影範囲50においてAF演算の対象となる位置を示し、焦点検出エリア、焦点検出位置、測距点とも称される。
なお、図示したフォーカスポイントPの数と撮影範囲50における位置は一例に過ぎず、
図3の態様に限定されるものではない。
【0042】
AF信号処理部270bがデフォーカス量の算出に用いるフォーカスポイントP、換言すると、AF演算の対象となるフォーカスポイントPは、全てのフォーカスポイントPの中から自動で選択することも、ユーザの操作によって指示されたフォーカスポイントPを選択することも可能である。本実施の形態では、全てのフォーカスポイントPの中からデフォーカス量の算出に用いるフォーカスポイントPを選択する選択方法の総称を、「AFエリアモード」と称する。
【0043】
「AFエリアモード」には、ユーザの操作によって選ばれた1つのフォーカスポイントPだけを採用する「シングルポイントAF」、シングルポイントAFよりも広い範囲の複数のフォーカスポイントPを採用する「ワイドエリアAF」、全てのフォーカスポイントPが配置されている範囲から、カメラ制御部230が被写体を検出して、その被写体の範囲に位置するフォーカスポイントPを採用する「オートエリアAF」などが含まれる。「AFエリアモード」の切替えは、例えば、操作メニュー画面の中からユーザ操作によって選ぶことができる。
【0044】
<AF演算>
AF演算(S30)を概説すると以下の通りである。AF信号処理部270bは、焦点検出用の光電変換部からの焦点検出用画素信号に基づいて、交換レンズ3を通過した光束により形成された被写体の像の位置と、カメラボディ2の撮像素子260の撮像面260Sの位置との光軸O方向のずれ量であるデフォーカス量を、AF演算によって算出する。AF信号処理部270bがAF演算に用いる焦点検出用画素信号は、撮像素子260の撮像面260S上において、上記「AFエリアモード」の切替えに従って採用されているフォーカスポイント(例えばP1)に対応する位置に配置された焦点検出用の光電変換部から出力された焦点検出用画素信号である。
【0045】
AF信号処理部270bは、交換レンズ3の異なる領域(瞳)を通過した一組の光束による被写体の像の像ずれ量(位相差)をフォーカスポイントPごとに検出することができ、フォーカスポイントPごとにデフォーカス量を算出することができる。このような瞳分割位相差方式によるデフォーカス量演算は、カメラの分野において公知である。
焦点検出部230aは、AF信号処理部270bで算出されたデフォーカス量に基づき、フォーカスレンズ361の光軸O方向の駆動量を算出する。
【0046】
本実施の形態では、レリーズボタンが半押し操作されたタイミングで交換レンズ3がフォーカスレンズ361を合焦駆動させる。具体的には、レリーズボタンが半押し操作されると、焦点検出部230aで算出された駆動量に対応するフォーカスレンズ361の駆動信号を、カメラ制御部230がボディ通信部240から交換レンズ3へ送信させる。交換レンズ3がボディ通信部240から送信された駆動信号に従ってフォーカスレンズ361を移動させることで、フォーカスポイントP1に対応する領域に存在する被写体の像の位置を撮像素子260の撮像面260Sの位置に合わせるように、合焦駆動が行われる。
【0047】
カメラ制御部230は、合焦駆動を行ったことをユーザに視覚的に知らせることができる。具体的には、カメラ制御部230は、フォーカスレンズ361の駆動信号を交換レンズ3へ送信させた場合に、採用されているフォーカスポイントP1を示す表示(AF枠と称する)を、表示部290に表示されているライブビュー画像に重ねて所定時間点灯表示させる。
図3の例は、フォーカスポイントP1を示すAF枠が、表示部290に表示されている状態を示す。
【0048】
<レンズ移動可否設定>
上述した一連のカメラ動作の中で行われる、レンズ移動可否設定(S40)について、
図4~
図7を参照して説明する。
図4(a)、
図4(b)は、レンズ移動可否設定(S40)で使用されるヒストグラムを例示する模式図であり、
図4(a)は、
図3のフォーカスポイントP1に対応する撮像用画素信号を用いて生成されたヒストグラム、
図4(b)は、
図3のフォーカスポイントP2に対応する撮像用画素信号を用いて生成されたヒストグラムである。
生成部230dは、撮像素子260から出力された撮像用画素信号のうち、採用されているフォーカスポイントPに対応する撮像用画素信号を用いて、以下の手順でヒストグラムを生成する。
【0049】
手順(1)
生成部230dは、採用されているフォーカスポイントPに対応する撮像用画素信号を取得する。信号値が8ビットで表されている場合、撮像用画素信号の信号値は0から255で表される。フォーカスポイントPに対応する撮像用画素信号の数は、フォーカスポイントPの範囲が大きいほど多くなり、フォーカスポイントPの範囲が小さいほど少なくなる。
【0050】
手順(2)
生成部230dは、条件設定部230cで設定されるヒストグラムの生成条件に基づき、取得した撮像用画素信号を複数の階級に分ける。例えば、撮像用画素信号の信号値が0から255であり、条件設定部230cによって階級の幅が18に設定される場合の階級数は14である。条件設定部230cは、階級数(階級の幅)を適宜変更することができる。
【0051】
手順(3)
生成部230dは、各階級に含まれる撮像用画素信号の数を度数として、度数分布を示す柱状図(ヒストグラム)を生成する。なお、
図4(a)、
図4(b)は説明のために例示したものであり、
図4(a)、
図4(b)のような柱状図を実際に生成しなくても、柱状図の生成に必要なデータが生成されていればよい。
【0052】
<ヒストグラムの形状と被写体の像の構造情報の有無>
本実施の形態では、被写体の像に被写体の構造物(単に構造ともいう)を示す輪郭や模様等で示される所定の構造情報を含んでおり、AF演算に必要な情報が得られる場合、実施形態ではデフォーカス量が演算される場合を、上記被写体の像に構造情報が有るという。反対に、被写体の輪郭や模様等が現れておらず、AF演算に必要な情報が得られない、または不足している場合、実施形態ではデフォーカス量が演算されない場合を、上記被写体の像に構造情報が無いという。
【0053】
一般に、デフォーカス量が大きい(焦点が大きく外れている)、すなわち、被写体の像が大きくぼけていると、被写体の像に構造情報があるか否かの判定が難しくなる。本実施の形態では、このように被写体の像に構造情報があるか否かの判定が難しい場合において、撮像用画素信号から生成したヒストグラムに基づいて被写体の像の構造情報の有無を判定する。
上記ヒストグラムに基づいて行う被写体の像の構造情報の有無の判定は、以下の2つの考え方に基づく。
(i)被写体の像に構造情報がない場合は、
図4(b)に例示するように、ヒストグラムのほぼ1つの階級に信号値が集中する(ヒストグラムの形状のピークがほぼ1つ)。
(ii)デフォーカス量が大きく、かつ、被写体の像に構造情報がある場合は、
図4(a)に例示するように、ヒストグラムの複数の階級に信号値が分かれてヒストグラムの形状がブロード状(複数の階級に広がる)になる。
【0054】
<被写体の像の構造情報の有無を判定する>
構造判定部230eは、生成部230dで生成されたヒストグラムに基づき、以下の2つの判定条件を満たすか否かによって被写体の像の構造情報の有無を判定する。
判定条件(1)
判定条件(1)は、ヒストグラムにおける第1のピークと、第2のピークとの比率が第1閾値(例えば10倍)より大きく、第1のピークが格段に大きいか否か、換言するといわゆるダントツであるか否かを判定するものである。第1のピークとは、度数が1番目に多い階級の度数のことであり、第2のピークとは、度数が2番目に多い階級の度数のことをいう。
【0055】
判定条件(2)
判定条件(2)は、ヒストグラムにおいて、第1のピークの階級を除く第2のピーク以下の階級の度数の和の割合が、全体の度数の中で第2閾値(例えば10%)よりも小さい。換言すると、第1のピークの階級の度数が全体の90%を超えるか否かを判定するものである。
構造判定部230eは、判定条件(1)および判定条件(2)を同時に満たす場合に被写体の像に構造情報が無いと判定し、判定条件(1)および判定条件(2)のいずれか1つを満たさない場合には被写体の像に構造情報が有ると判定する。
【0056】
<判定を複数回行う>
本実施の形態では、被写体の像の構造情報の有無の誤判定を避けるために、異なる設定条件の下で生成した複数のヒストグラムに基づき、構造判定部230eで被写体の像の構造情報の有無の判定を複数回行う。構造判定部230eで複数回の判定を行った結果、いずれの判定結果も被写体の像の構造情報無しであると、移動可否設定部230bは構造判定部230eで「被写体の像の構造情報無し」が判定されていると判断する。
一方、構造判定部230eで被写体の像の構造情報の有無の判定を複数回行った結果、少なくとも1回、被写体の像の構造情報有りが判定されると、移動可否設定部230bは構造判定部230eで「被写体の像の構造情報有り」が判定されていると判断する。
【0057】
<ヒストグラムを生成する設定条件>
条件設定部230cは、ヒストグラムを生成する条件として、次の3つの条件を設定することができる。
設定条件(1)
条件設定部230cは、ヒストグラムの生成に使用する色を設定する。一般に、撮像素子260の光電変換部には、カラーフィルタが設けられている。カラーフィルタは、入射した光のうち第1の波長域(赤(R))の光を分光する分光特性を有するカラーフィルタと、入射した光のうち第2の波長域(緑(G))の光を分光する分光特性を有するカラーフィルタと、入射した光のうち第3の波長域(青(B))の光を分光する分光特性を有するカラーフィルタとのいずれかが設けられる。
生成部230dは、採用されているフォーカスポイントPに対応する撮像用画素信号のうち、条件設定部230cで設定された色、例えば緑(G)のカラーフィルタが設けられた光電変換部で生成された電荷に基づく撮像用画素信号を用いて、ヒストグラムを生成する。
【0058】
設定条件(2)
条件設定部230cは、ヒストグラムを生成する階級数(階級の幅)を設定する。
図5(a)は、階級数(階級の幅)による度数分布の違いを例示する模式図である。
図5(a)によると、下段に比べて上段の階級の幅が狭い。一般に、階級数が多過ぎる(階級の幅が狭過ぎる)と、ヒストグラムのピークがばらけてヒストグラムの特徴が現れにくい。反対に、階級数が少な過ぎてもヒストグラムのピークが現れにくい。
条件設定部230cは、例えば、階級数が概ね10から15になるように階級の幅を設定する。
【0059】
設定条件(3)
条件設定部230cは、階級の境界のシフト量を設定する。シフトとは、階級の幅を変えずに階級の境界をずらすことをいう。
図5(b)は、シフト量による度数分布の違いを例示する模式図である。
図5(b)によると、下段に比べて上段の階級の境界が、階級の幅の半分だけシフトしている。換言すると、シフト量は階級の幅の1/2である。階級の境界のシフト量は、階級の境界の位相とも称する。
【0060】
<フローチャートの説明>
図6は、上述したフォーカスレンズ361の移動可否を設定する処理(S40)の流れを説明するフローチャートである。
カメラ制御部230は、
図2のステップS40として、
図6のフローチャートによる処理を開始させる。
【0061】
カメラ制御部230の移動可否設定部230bは、ステップS410において、採用されているフォーカスポイントPにおけるデフォーカス量を算出したか否かを判定する。一般に、被写体の像の輪郭や模様等が現れていると、AF信号処理部270bで上記被写体の像の像ずれ量(位相差)を検出することができ、検出した位相差に基づいてデフォーカス量を算出することができる。そのため、移動可否設定部230bは、AF信号処理部270bでデフォーカス量が算出された場合にはステップS410を肯定判定し、ステップS540へ進む。ステップS540へ進む場合は、デフォーカス量を算出できているので被写体の像の構造情報の有無を判定する必要がない。移動可否設定部230bは、ステップS540において、デフォーカス量に基づいたフォーカスレンズ361の移動可を示すフラグをセットして
図6による処理を終了する。このフラグは、上述したとおり、焦点調節動作のレンズ移動可を表す。
【0062】
一方で、移動可否設定部230bは、AF信号処理部270bでデフォーカス量が算出されなかった場合はステップS410を否定判定し、ステップS420へ進む。ステップS420へ進む場合は、被写体に構造情報があるにもかかわらずデフォーカス量を算出できないほどに被写体の像が大きくぼけているのか、被写体に構造情報がないのかのいずれかであるため、両者を切り分けるためにステップS420以降の処理を行う。
【0063】
カメラ制御部230の条件設定部230cは、ステップS420において、上述した設定条件(1)として、ヒストグラムの生成に使用する色を設定する。条件設定部230cは、例えば1回目に設定する色を緑、2回目に設定する色を青、3回目に設定する色を赤に、予め決めておく。本実施の形態では、色を変えて生成した複数のヒストグラムに基づき、被写体の像の構造情報の有無の判定を複数回行うことを「色スキャン」と称する。
【0064】
カメラ制御部230の条件設定部230cは、ステップS430において、上述した設定条件(2)として、ヒストグラムの生成に使用する階級を設定する。条件設定部230cは、例えば1回目に設定する階級、2回目に設定する階級、3回目に設定する階級を予め決めておく。本実施の形態では、階級を変えて生成した複数のヒストグラムに基づき、被写体の像の構造情報の有無の判定を複数回行うことを「階級スキャン」と称する。
【0065】
カメラ制御部230の条件設定部230cは、ステップS440において、上述した設定条件(3)として、ヒストグラムの生成に使用する階級の境界の位相を設定する。条件設定部230cは、例えば1回目に設定する位相(上記シフト量)をゼロとし、2回目に設定する位相(上記シフト量)を階級の幅の1/2に予め決めておく。これにより、1回目の設定では階級の境界ずらしを行わず、2回目の設定では1回目に比べて階級の幅の1/2だけ階級の境界ずらしを行う。
本実施の形態では、位相を変えて生成した複数のヒストグラムに基づき、被写体の像の構造情報の有無の判定を複数回行うことを「位相スキャン」と称する。
なお、「色スキャン」、「階級スキャン」、「位相スキャン」における構造情報の有無を検出する画像は、ステップS410のAF演算で使用した画像と同じ画像である。
【0066】
カメラ制御部230の構造判定部230eは、ステップS450において、生成部230dで生成されるヒストグラムに基づいて、判定処理を行う。ステップS450の構造判定処理は、上述したように、異なる設定条件の下で生成される複数のヒストグラムに対して複数回行われる。ステップS450の判定結果は、被写体の像に構造情報が有る、構造情報が無いの2通りであり、前者の場合は構造有無フラグに1が設定され、後者の場合は構造有無フラグにゼロ(0)が設定される。
ステップS450の詳細は
図7を参照して後で詳細に説明する。
【0067】
カメラ制御部230の移動可否設定部230bは、ステップS460において、構造判定部230eで被写体の像の構造情報有り判定がなされたか否か、すなわち構造有無フラグが1か否かを判定する。移動可否設定部230bは、直近のヒストグラムを用いた構造判定処理(S450)で被写体の像の構造情報有りが判定されてフラグに1が設定されている場合、ステップS460を肯定判定してステップS470へ進む。そして、移動可否設定部230bは、スキャン動作のレンズ移動可のフラグを設定して
図6による処理を終了する。
【0068】
一方、移動可否設定部230bは、直近のヒストグラムを用いた構造判定処理(S450)で被写体の像の構造情報無しが判定された場合、すなわち、構造有無フラグにゼロが設定されている場合、異なる設定条件の下でヒストグラムを生成させるため、ステップS460を否定判定してステップS480へ進む。条件設定部230cは、ステップS480において、ヒストグラムの生成に使用する階級の境界の位相をずらして設定する。上述したように、条件設定部230cは、ステップS440で設定した位相(シフト量)に比べて、階級の幅の1/2だけ階級の境界をずらす。
【0069】
カメラ制御部230の構造判定部230eは、ステップS490において、位相ずらし後に生成部230dで生成されるヒストグラムに基づいて、被写体の像の構造判定処理を行う。構造判定の処理は、ステップS450と同様なので説明を省略する。構造有無判定結果はステップS450と同様に、フラグに1を設定するか、ゼロを設定するかで表される。
【0070】
カメラ制御部230の移動可否設定部230bは、ステップS500において、構造判定部230eで被写体の像の構造情報有り判定がなされたか否かを判定する。移動可否設定部230bは、直近のヒストグラムを用いた構造判定処理(S490)で被写体の像の構造情報有りが判定された場合、換言すると構造有無フラグに1が設定されている場合、ステップS500を肯定判定してステップS470へ進む。そして、移動可否設定部230bは、スキャン動作のレンズ移動可フラグを設定して
図6による処理を終了する。
【0071】
一方、移動可否設定部230bは、直近のヒストグラムを用いた構造判定処理(S490)で被写体の像の構造無しが判定された場合、すなわち構造有無フラグにゼロが設定されている場合、異なる設定条件の下でヒストグラムを生成させるため、ステップS500を否定判定してステップS510へ進む。条件設定部230cは、ステップS510において、「階級スキャン」が済んでいるか否かを判定する。条件設定部230cは、予め定められた階級を設定済みの場合にステップS510を肯定判定してステップS520へ進み、予め定められた階級を設定していない場合、前回に設定した階級と異なる階級を設定するためにステップS510を否定判定してステップS430へ戻る。ステップS430へ戻った場合、上述した処理を繰り返す。
【0072】
条件設定部230cは、ステップS520において、「色スキャン」が済んでいるか否かを判定する。条件設定部230cは、予め定められた色を設定済みの場合にステップS520を肯定判定してステップS530へ進み、予め定められた色を設定していない場合、前回に設定した色と異なる色を設定するためにステップS520を否定判定してステップS420へ戻る。ステップS420へ戻った場合、上述した処理を繰り返す。
【0073】
ステップS530へ進む場合は、構造判定部230eで複数回の判定が行われた結果、全ての回の判定で被写体の像の構造情報無しが判定されている。そのため、移動可否設定部230bは、ステップS530においてスキャン動作のレンズ移動否のフラグを設定して
図6による処理を終了する。
【0074】
図7は、ヒストグラムを用いた構造判定処理(S450)の流れを説明するフローチャートである。カメラ制御部230は、
図6のステップS450として、
図7のフローチャートによる処理を開始させる。
カメラ制御部230の生成部230dは、ステップS451において、条件設定部230cで設定されている上記設定条件(1)-(3)に従い、採用されているフォーカスポイントPに対応する撮像用画素信号を用いてヒストグラムを生成する。
【0075】
カメラ制御部230の構造判定部230eは、ステップS452において、ヒストグラムから第1のピークと第2のピークとを検出する。
構造判定部230eは、ステップS453において、ヒストグラムにおける第1のピークと、第2のピークとの比率が第1閾値(例えば10倍)以上、すなわち上述した判定条件(1)を満たすか否かを判定する。構造判定部230eは、判定条件(1)を満たす場合にステップS453を肯定判定してステップS454へ進み、判定条件(1)を満たさない場合にはステップS453を否定判定してステップS457へ進む。
【0076】
ステップS457へ進む場合は、デフォーカス量が大きいことによって被写体の輪郭や模様等が消失している状態に相当する。構造判定部230eは、ステップS457において、被写体の像の構造情報有りと認識して構造有無フラグに1を設定して
図7による処理を終了する。
【0077】
カメラ制御部230の構造判定部230eは、ステップS454において、ヒストグラムの中で第1のピークの階級を除く他の階級の度数の和を算出してステップS455へ進む。
構造判定部230eは、ステップS455において、全体の度数における算出した和の割合が第2閾値(例えば10%)よりも小さい、すなわち上述した判定条件(2)を満たすか否かを判定する。構造判定部230eは、判定条件(2)を満たす場合にステップS455を肯定判定してステップS456へ進み、判定条件(2)を満たさない場合にはステップS455を否定判定して上記ステップS457へ進む。
【0078】
ステップS456へ進む場合は、AF演算に必要な被写体の像の輪郭や模様等が現れていない、または不足する状態に相当する。カメラ制御部230の構造判定部230eは、ステップS456において、被写体の像の構造情報無しと認識して構造有無フラグにゼロを設定して
図7による処理を終了する。
【0079】
以上説明したように実施の形態においては、デフォーカス量が算出できない場合に行われていたスキャン動作のレンズ移動について、被写体によってはスキャン動作のレンズ移動を行ってもデフォーカス量が算出できないことがある、と言う知見に基づくものである。すなわち、被写体の像に構造情報があればスキャン動作のレンズ移動でデフォーカス量が算出される可能性があり、構造情報がなければスキャン動作のレンズ移動を行ってもデフォーカス量が算出される可能性がない。そこで、撮像した被写体の像の中の構造情報の有無でスキャン動作のレンズ移動の可否を判定するようにした。構造情報のない場合はスキャン動作のレンズ移動を行わないので、無駄なレンズ移動制御が不要となる。
【0080】
以上説明した第1の実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
(1)カメラシステム1に搭載されるカメラ制御部230は、撮影光学系360を通過した被写体光を複数の光電変換部で受光して光電変換し、光電変換された複数の撮像用画素信号を出力する撮像素子260からの撮像用画素信号に基づき、被写体光の像の中に構造情報が含まれるか否かを判定する構造判定部230eと、構造判定部230eで判定された結果に基づき、撮影光学系360の移動可否を設定する移動可否設定部230bとを備える。
このように構成したので、デフォーカス量が算出される可能性が見込めない場合を適切に判定することができる。また、この判定結果に基づいて撮影光学系360の移動可否を設定したので、フォーカスレンズ361の無駄なスキャン動作を避けることが可能になる。
【0081】
(2)構造判定部230eは、複数の撮像用画素信号に関する度数分布に基づき被写体光の像の中に構造情報が含まれるか否かを判定するので、例えば、撮像用画素信号の信号値の分布から、被写体の像の構造情報の有無を適切に判定することができる。
【0082】
(3)構造判定部230eは、度数分布として複数の撮像用画素信号の強度値のヒストグラムを用いるので、ヒストグラムの度数分布に基づいて被写体の像の構造情報を示す輪郭または模様等の有無を適切に判定することができる。
【0083】
(4)カメラ制御部230は、生成部230dで強度値の階級の異なる幅でヒストグラムを複数生成し、構造判定部230eで複数のヒストグラムに基づき判定を行う。階級が異なる複数のヒストグラムに基づく判定を複数回行うようにしたことで、1つのヒストグラムに基づいた判定を1回だけ行う場合に比べて、判定確度を上げることができる。
【0084】
(5)カメラ制御部230は、生成部230dで強度値の階級の幅を変えずに階級の境界をずらしてヒストグラムを複数生成し、構造判定部230eで複数のヒストグラムに基づき判定を行う。階級の境界をずらした複数のヒストグラムに基づく判定を複数回行うようにしたことで、1つのヒストグラムに基づいた判断を1回だけ行う場合に比べて、判定確度を上げることができる。
【0085】
(6)撮像素子260は、第1波長の光を透過させる第1フィルタを透過した光を光電変換して生成された電荷に基づく撮像用画素信号を出力する複数の第1光電変換部と、第2波長の光を透過させる第2フィルタを透過した光を光電変換して生成された電荷に基づく撮像用画素信号を出力する複数の第2光電変換部とを有する。そして、カメラ制御部230は、生成部230dで、複数の第1光電変換部からの信号に基づいて信号値の度数分布を示す第1のヒストグラムと、複数の第2光電変換部からの信号に基づいて信号値の度数分布を示す第2のヒストグラムとを生成し、構造判定部230eで、被写体の像の構造情報を示す輪郭または模様等の有無を、複数のヒストグラムに基づいて複数回判定する。異なる条件に基づく判定を複数回行うようにしたことで、1つのヒストグラムに基づいた判定を1回だけ行う場合に比べて、判定確度を上げることができる。
【0086】
(7)構造判定部230eは、ヒストグラムの階級の中で1番目と2番目に多い度数の比率が第1閾値より大きく、かつ、全体の度数の中で2番目以下の階級の度数の和の割合が第2閾値よりも小さいと、被写体の像の構造情報を示す輪郭または模様等が無いと判断する。このように構成したので、デフォーカス量が算出可能か、デフォーカス量が算出される可能性が見込めないかを、適切に判定することができる。
【0087】
(8)カメラシステム1に搭載されるカメラ制御装置としてのカメラ制御部230は、撮影光学系360の異なる瞳を通過した光束により形成された、被写体の1組の像の位相差に基づいてデフォーカス量を検出する焦点検出部230a、AF信号処理部270bを備え、カメラ制御部230(生成部230d)は、焦点検出部230aでデフォーカス量が検出できないと、ヒストグラムを生成する。
このように構成したので、ヒストグラムの生成を、被写体の像に構造があるにもかかわらずデフォーカス量を算出できないほどに被写体の像が大きくぼけている場合に限ることができる。
【0088】
(9)移動可否設定部230bは、構造判定部230eで被写体の像の構造を示す輪郭または模様等の有りが判定されると、撮影光学系360のフォーカスレンズ361のスキャン移動可を設定し、構造判定部230eで被写体の像の構造を示す輪郭または模様等の無しが判定されると、撮影光学系360のフォーカスレンズ361の移動否を設定する。
このように構成したので、デフォーカス量が算出される可能性が見込める場合にはフォーカスレンズ361のスキャン動作のレンズ移動を行い、デフォーカス量が算出される可能性が見込めない場合にはフォーカスレンズ361の無駄なスキャン動作のレンズ移動を避けることができる。
【0089】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
上述した実施の形態では、採用されているフォーカスポイントPを対象にヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムに基づいて被写体の像の構造情報の有無を判断した。この代わりに、採用されているフォーカスポイントPと、採用されているフォーカスポイントPの周囲に配置されているフォーカスポイントPとを対象にヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムに基づいて被写体の像の構造情報の有無を判断してもよい。採用されているフォーカスポイントPよりも広い範囲に対応する撮像用画素信号を用いてヒストグラムを生成することで、被写体のより広い部分に基づいて、被写体の像の構造情報の有無を判定することができる。
【0090】
(変形例2)
上述した実施の形態では、撮像素子260に、画像生成用の光電変換部と焦点検出用の光電変換部とが設けられる例を説明した。この代わりに、焦点検出用の光電変換部を有する焦点検出モジュールを、撮像素子260とは別に設ける構成にしてもよい。例えば、交換レンズ3から画像生成用の光電変換部を備えた撮像素子へ至る光路上にクイックリターンミラーを設け、クイックリターンミラーで折り曲げられた光を焦点検出モジュールで受光するカメラシステムを構成することができる。
【0091】
焦点検出モジュールは、クイックリターンミラーで折り曲げられた光束であって、交換レンズ3の異なる領域(瞳)を通過した一組の光束による被写体の像を受光する。焦点検出モジュールは、一組の被写体の像を光電変換して、被写体の像の輝度分布に対応した焦点検出用画素信号を出力する。
【0092】
変形例2において、AF信号処理部270bは、焦点検出モジュールから出力される焦点検出用画素信号を用いて、上記一組の被写体の像の像ずれ量(位相差)を、焦点検出モジュールに配置された光電変換部に対応するフォーカスポイントPごとに検出し、フォーカスポイントPごとにデフォーカス量を算出することができる。
【0093】
移動可否設定部230bは、AF信号処理部270bでデフォーカス量が算出されなかった場合において
図6のステップS420へ進み、被写体の像に構造情報があるにもかかわらず、デフォーカス量を算出できないほどに被写体の像が大きくぼけているのか、被写体の像に構造情報がないのかを切り分けるために、ステップS420以降の処理を行う。
【0094】
変形例2によれば、焦点検出用の光電変換部を有する焦点検出モジュールを撮像素子260とは別に設ける場合にも、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0095】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、第1の実施の形態で行った「位相スキャン」、「階級スキャン」、「色スキャン」に加えて、フォーカスレンズ361の光軸O方向の位置を僅かに異ならせて生成した複数のヒストグラムに基づき、被写体の像の構造情報の有無の判定を複数回行う。
【0096】
図8は、第2の実施の形態による、フォーカスレンズ361の移動可否を判定する処理(S40)の流れを説明するフローチャートである。第1の実施形態による判定処理(
図6)と比べると、ステップS520とステップS530との間にステップS525およびステップS550が追加される点が相違するので、これらの相違点を中心に説明する。
【0097】
図8のS520を肯定判定して進むステップS525において、カメラ制御部230は、フォーカスレンズ361の微小駆動が済んでいるか否かを判定する。カメラ制御部230は、予め定められた微小移動量を駆動済みの場合にS525を肯定判定してステップS530へ進み、予め定められた微小移動量を駆動していない場合、ステップS525を否定判定してステップS550へ進む。微小移動量は、スキャン移動時の移動量よりも短い移動量のことである。
【0098】
ステップS550において、カメラ制御部230は、フォーカスレンズ361を光軸O方向に微小駆動させる指示を、ボディ通信部240から交換レンズ3へ送信させてステップS420へ戻る。ステップS420へ戻った場合、カメラ制御部230は、微小駆動後のフォーカスレンズ361の位置でステップS420以降の処理を繰り返す。
【0099】
以上説明した第2の実施形態によれば、第1の実施の形態で得られる作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。すなわち、カメラ制御部230の構造判定部230eは、フォーカスレンズ361を微小駆動することによって増加した条件の下で生成される、複数のヒストグラムに基づいて被写体の像の構造情報判定を複数回行うようにしたので、フォーカスレンズ361を微小駆動しない場合と比べて被写体の像の構造情報判定を行う回数が増える。そのため、より多くの判定回数に基づいて、被写体の像の構造情報の有無の判定を正確に行うことができる。
【0100】
(変形例3)
また、上述した実施の形態では、採用されたフォーカスポイントPを対象にヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムに基づいてフォーカスレンズ361の移動可否を判断した。すなわち、ヒストグラムを生成するよりも前にフォーカスポイントPが採用される例を説明した。
変形例3では、全てのフォーカスポイントPを対象にヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムに基づいて各フォーカスポイントPにおける被写体の像の構造情報の有無を判定しておく。そして、被写体の像の構造情報有りが判定されたフォーカスポイントPの中から、「AFエリアモード」に基づいてフォーカスポイントPを採用する。つまり、フォーカスポイントPを採用するよりも前にヒストグラムが生成される。
このように構成することにより、フォーカスレンズ361の移動可が判定され得るフォーカスポイントPの中から、採用するフォーカスポイントを選ぶことが可能になる。
【0101】
変形例3における焦点検出演算は、位相差検出方式に代えてコントラスト検出方式(いわゆる山登り方式)を採用してもよい。山登り方式では、被写体の像のコントラストが高くなる位置へフォーカスレンズ361を移動させる。しかしながら、もともと被写体の像の輪郭や模様等が明瞭でない場合は、山登り方式で合焦させることは困難である。そこで、フォーカスレンズ361の移動可が判定され得るフォーカスポイントを選ぶことで、山登り方式での合焦動作を行いやすくすることができる。
【0102】
(変形例4)
ステップS460で構造情報無しと判定されたとき、ステップS420,ステップS430、ステップS440などで設定した色、階級、位相を変更して複数のヒストグラムを生成して構造情報の有無を判定した。しかし、予め設定した色と階級で得た1つのヒストグラムだけで被写体の像の構造情報の有無を判定してもよい。ステップS460が否定されるとステップS530のスキャン動作のレンズ移動否と認識して処理を終了してもよい。
(変形例5)
ステップS500が否定判定された場合に階級を変更し、あるいは、色を変更して異なるヒストグラムを生成して構造情報の有無を判定した。しかし、ステップS500が否定されるとステップS530のスキャン動作のレンズ移動否と認識して処理を終了してもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…カメラシステム、2…カメラボディ、3…交換レンズ、230…カメラ制御部、235…記憶部、260…撮像素子、270…信号処理部、280…操作部材、290…表示部、360…撮影光学系、361…フォーカスレンズ、370…レンズ駆動部