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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155012
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】基板の検査装置、基板の検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
G01N21/956 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058322
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】槙 孝一郎
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB07
2G051AB10
2G051BB01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051DA06
2G051DA08
2G051EA05
2G051EA20
2G051ED08
(57)【要約】
【課題】基板表面の凹凸を検出することが可能な基板の検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基板を設置する基板用ステージと、
前記基板用ステージ上に設置した基板の表面に対して光を照射する光源と、
前記基板の表面を撮像する撮像手段と、を有し、
前記光源は、前記基板の表面に対して、前記基板の表面と平行な第1方向に沿って単調に変化する傾斜光を照射する基板の検査装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を設置する基板用ステージと、
前記基板用ステージ上に設置した基板の表面に対して光を照射する光源と、
前記基板の表面を撮像する撮像手段と、を有し、
前記光源は、前記基板の表面に対して、前記基板の表面と平行な第1方向に沿って単調に変化する傾斜光を照射する基板の検査装置。
【請求項2】
前記撮像手段により、前記基板の表面全体を撮像した画像において、前記傾斜光を照射した領域を、前記第1方向に沿って20ピクセル以上含む請求項1に記載の基板の検査装置。
【請求項3】
前記基板の表面の前記傾斜光を照射する位置を変化させる照射位置制御手段を有する請求項1または請求項2に記載の基板の検査装置。
【請求項4】
前記傾斜光は、前記第1方向に沿って明度が変化する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板の検査装置。
【請求項5】
前記光源が蛍光灯、エレクトロルミネッセンス照明、発光ダイオード照明から選択された1種類以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板の検査装置。
【請求項6】
前記基板を水平にする傾き補正手段をさらに有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の基板の検査装置。
【請求項7】
基板用ステージ上に設置された基板の表面に対して、光源から光を照射する光照射工程と、
前記基板の表面を撮像手段により撮像する撮像工程と、を有し、
前記光源は、前記基板の表面に対して、前記基板の表面と平行な第1方向に沿って単調に変化する傾斜光を照射し、
前記撮像工程は、前記基板の表面のうち、前記傾斜光を照射した領域を撮像する基板の検査方法。
【請求項8】
前記撮像工程で前記撮像手段により前記基板の表面全体を撮像した画像において、前記傾斜光を照射した領域を、前記第1方向に沿って20ピクセル以上含む請求項7に記載の基板の検査方法。
【請求項9】
前記基板の表面の前記傾斜光を照射する位置を移動させる照射位置移動工程と、
前記撮像工程と前記照射位置移動工程とを繰り返し実施する繰り返し工程と、を有する請求項7または請求項8に記載の基板の検査方法。
【請求項10】
前記傾斜光は、前記第1方向に沿って明度が変化する請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の基板の検査方法。
【請求項11】
前記光源が蛍光灯、エレクトロルミネッセンス照明、発光ダイオード照明から選択された1種類以上である請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の基板の検査方法。
【請求項12】
前記基板を水平にする傾き補正工程をさらに有する請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の基板の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の検査装置、基板の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の製造のために各種基板が用いられているが、用途によっては基板の表面が平滑であることが求められるため、基板表面の凹凸を検出できる基板の検査装置や検査方法について従来から各種検討がなされていた。
【0003】
例えば特許文献1には、基板の被検査面上に光を照射する光照射部と、前記被検査面上に映る前記光照射部の画像を取得する撮像部と、前記基板又は前記光照射部の位置を制御することで、前記被検査面上に映る前記光照射部の画像を移動させる移動部と、前記光照射部から照射された光が前記被検査面の欠陥部分で散乱することで形成された像であって前記光照射部の画像の輪郭線よりも外側に形成された像を検出することで、前記被検査面の検査を行う検査部と、を備える基板の検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-020824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、光照射部から照射された光が被検査面の欠陥部分で散乱することで形成された像であって光照射部の画像の輪郭線よりも外側に形成された像を検出する必要があるため、広い範囲に渡って画像を取得できる撮像手段が必要とされていた。また、検出した散乱光と、欠陥の位置や、大きさとを結びつける具体的な手段は開示されておらず、基板表面の凹凸を検出する検査装置として使用できるものではなかった。
【0006】
そこで上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では、基板表面の凹凸を検出することが可能な基板の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
基板を設置する基板用ステージと、
前記基板用ステージ上に設置した基板の表面に対して光を照射する光源と、
前記基板の表面を撮像する撮像手段と、を有し、
前記光源は、前記基板の表面に対して、前記基板の表面と平行な第1方向に沿って単調に変化する傾斜光を照射する基板の検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、基板表面の凹凸を検出することが可能な基板の検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る検査装置の模式図。
図2】照射領域の説明図。
図3】基板の表面に傾斜光を照射し、撮像した画像の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いながら説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[基板の検査装置]
本発明の発明者らは、基板表面の凹凸を検出することが可能な基板の検査装置について鋭意検討を行った。検討を行う中で、基板の表面に線状の光を照射した場合に、基板の表面のうち線状の光を反射する明領域と、明領域に隣接し、明領域よりも明度が低い暗領域との境界近傍において、基板表面の凹凸のコントラストが高まることに着目した。そして、基板表面に、明領域と、暗領域とを形成し、上記明領域と暗領域との境界近傍を撮像する操作を、明領域の位置を変化させながら繰り返し実施し、得られた画像をつなぎ合わせることで、基板表面の凹凸を明確にした画像が得られることを見出した。
【0011】
しかしながら、基板表面全体の凹凸を検査する場合、上記明領域の位置を、基板の表面の直径に沿った一方の端部から、他方の端部まで動かしながら、明領域と暗領域との境界を撮像する必要がある。そこでさらに検討を行ったところ、傾斜光を用いることで、基板の検査に要する時間を短縮しつつ、基板表面の凹凸を検査できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
ここで、図1に本実施形態の基板の検査装置10の斜視図を示す。
【0013】
本実施形態の基板の検査装置10は、基板を設置する基板用ステージ11と、基板用ステージ11上に設置した基板の表面に対して光を照射する光源12と、基板の表面を撮像する撮像手段13とを有することができる。
【0014】
光源12は、基板の表面に対して、基板の表面と平行な第1方向に沿って単調に変化する傾斜光を照射できる。
【0015】
各部材について以下に説明する。
(基板用ステージ)
基板用ステージ11は、検査を行う基板を設置できるステージであれば良く、その構成は特に限定されない。
【0016】
ただし、例えば照射位置制御手段により傾斜光を照射する位置を移動させるために基板側を移動させる場合、基板用ステージ11に設置した基板を水平方向に移動できるように、基板用ステージ11に移動機構を設けておくことができる。また、例えば基板用ステージ11上に設置した基板の傾きを補正し、水平にする手段、例えば後述する傾き補正手段を設けておくこともできる。
【0017】
なお、本実施形態の基板の検査装置により検査を行う基板の種類は特に限定されず、各種基板を用いることができる。ただし、光源からの光の少なくとも一部を基板の表面で反射できる基板であることが好ましい。また、基板の形状も特に限定されないが、例えば円板形状の基板を用いることができる。
(光源)
光源12は、基板用ステージ11上に設置した基板の表面に対して傾斜光を照射できるように構成されていればよく、光源の種類等の具体的な構成については特に限定されない。
【0018】
傾斜光について、図2を用いて説明する。
【0019】
図2は、基板20の第1主表面20Aを示しており、光源12から、傾斜光が照射されている。基板20の第1主表面20A上の傾斜光を照射した領域を照射領域21とする。照射領域21以外の、光源12からの光が照射されていない領域は非照射領域22となる。
【0020】
傾斜光は、図2に示すように基板20の第1主表面20Aにおいて、第1方向である、図2中のY軸方向に沿って単調に変化する光とすることができる。なお、第1方向は、基板20の第1主表面20Aと平行な予め定めた任意の方向であり、基板が円板形状の場合、基板の第1主表面の直径に沿った方向であることが好ましい。
【0021】
傾斜光は、基板20の表面で、第1方向に沿って、光を特徴づけるパラメータが単調に変化すればよく、例えば明るさ(明度)や、色彩(色度、彩度)等から選択された1種類以上が変化するように構成できる。特に容易に変化させることができることから、傾斜光は、第1方向に沿って明るさ、すなわち明度が変化することが好ましい。
【0022】
傾斜光は第1方向と直交する方向である第2方向、すなわち図2中のX軸方向には、変化しないことが好ましい。
【0023】
傾斜光を照射する照射領域21のサイズは特に限定されないが、特に基板の検査に要する時間を短くし、検査の生産性を高める観点から大きいことが好ましい。例えば撮像手段により、基板20の表面全体を撮像した画像において、傾斜光を照射した照射領域21を、第1方向に沿って20ピクセル以上含むことが好ましく、50ピクセル以上含むことがより好ましい。撮像手段により、基板の表面全体を撮像した画像における、傾斜光を照射した照射領域の第1方向に沿った長さの上限は、基板のサイズや、光源、撮像手段等により選択できるため、特に限定されない。例えば基板20の第1主表面20A全体に傾斜光を照射し、照射領域21としてもよく、撮像手段により、基板の表面全体を撮像した画像における、傾斜光を照射した照射領域の第1方向に沿った長さは、例えば1000ピクセル以下とすることができる。基板表面の凹凸を特に精度よく測定するためには、撮像手段により、基板の表面全体を撮像した画像における、傾斜光を照射した照射領域の第1方向に沿った長さは、100ピクセル以下であることがより好ましい。
【0024】
なお、基板の表面全体を撮像する際、基板の直径は、第1方向に沿って1000ピクセルとなるように撮像した場合に、照射領域21が上記範囲となることが好ましい。
【0025】
照射領域21の第1方向と直交する第2方向、すなわち図2中のX軸方向の長さは特に限定されないが、効率的に検査を行う観点から、例えば検査を行う基板の幅方向全体に渡って光を照射し、照射領域を形成できるようにその長さを選択することが好ましい。
【0026】
既述のように、光源により、基板の表面に線状の光を照射し、明領域と暗領域とを形成した場合に、該明領域と暗領域との間で基板表面の凹凸を明確にすることができる。本実施形態の基板の検査装置では傾斜光を用いることで、基板の表面の傾斜光を照射した照射領域21に第1方向に沿って、例えば明領域と暗領域とを連続的に形成できる。このため、照射領域21において、基板表面の凹凸のコントラストを高めることができ、照射領域21を撮像した画像により、照射領域21全体の凹凸の有無を検査できる。従って、本発明の発明者が見出した、線状の光を用いて、基板の表面に明領域と暗領域とを形成し、検査を行う場合と比較して、より広い範囲を一度に検査することができ、基板の検査に要する時間を特に短くできる。
【0027】
なお、図3に基板表面に傾斜光を照射した例を示す。図3において、Y軸方向が第1方向に当たり、傾斜光を照射する前には確認できなかったくぼみ31を確認できる。
【0028】
光源の発光手段としては傾斜光を照射できればよく、光源としては、例えば蛍光灯や、有機または無機のエレクトロルミネッセンス照明(EL照明)照明、発光ダイオード照明等から選択された1種類以上を用いることができる。
【0029】
また、光源としては各種ディスプレイを用いることもできる。光源にディスプレイを用いる場合、該ディスプレイの表示面に一方向に沿って光を特徴づけるパラメータを単調に変化させた画像を表示して用いることが好ましい。
【0030】
また、光源が照射する光の波長も特に限定されず、評価を行う基板の表面で少なくとも一部の光を反射し、撮像手段13により反射像を撮像できるものであれば良い。このため、光源が発する光は、例えば赤外線光、可視光、紫外線光のいずれでも良いが、光の波長によっては撮像手段が高価になる場合や、サイズが大きくなる場合があるため、光源が発する光は、可視光を含むことが好ましい。
【0031】
光源12は例えば図1に示したように基板の検査装置10に設置されたアーム16に固定しておくこともできる。ただし、係る形態に限定されず、光源12は、他の部材とは別に三脚等を用いて固定しておくこともできる。
(撮像手段)
撮像手段13は、基板の表面を撮像することができる。撮像手段13は、より具体的には基板の表面のうち、光源12から照射された照射領域を撮像することができる。
【0032】
撮像手段13は、基板の主表面のうち、少なくとも例えば照射領域21を含む領域を撮像すればよい。このため、例えば照射領域21を含むように、一点鎖線で囲まれた撮像領域23を撮像できる。なお、撮像領域23の様に、照射領域21の周辺も含むように撮像した場合には、後述する画像処理手段により目的とする照射領域の画像を、撮像した画像から切り出すことができる。
【0033】
撮像手段は、上述のように基板に形成された照射領域を撮像できればよく、その構成は特に限定されない。撮像手段13としては、各種撮像素子を備えるカメラモジュールを用いることができる。撮像素子としては、例えばCMOS(complementary metal oxide semiconductor)センサや、CCD(Charge Coupled Device)センサなどの半導体撮像素子や光電管、撮像管等から選択された1種類以上を用いることができる。
【0034】
撮像手段13が撮像する画像は、動画であっても静止画であっても良い。動画の場合、例えば後述する画像処理手段により、撮影した画像のうち任意のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出してつなぎ合わせることができる。
【0035】
また、撮像手段13は、照射領域の形状等によっては、線状(帯状)の撮像領域を撮像できる手段であれば足りるため、撮像手段は、例えばラインスキャンカメラとすることもできる。ラインスキャンカメラとは、撮像素子が直線状に配列され、線状(帯状)の撮像領域を撮像できるカメラモジュールを意味する。
【0036】
撮像手段13は例えば図1に示したように基板の検査装置10に設置されたアーム16に固定しておくこともでき、アーム16には既述の様に光源12も併せて固定しておくこともできる。ただし、係る形態に限定されず、撮像手段13は、他の部材とは別に三脚等を用いて固定しておくこともできる。
【0037】
本実施形態の基板の検査装置は、ここまで説明した基板用ステージ、光源、撮像手段以外の任意の部材をさらに有することもできる。
(照射位置制御手段)
既述の様に、本実施形態の基板の検査装置では、基板表面のうち、照射領域を含む撮像領域を撮像手段13により撮像できる。
【0038】
ただし、基板の表面全体を検査する場合であって、照射領域を基板の表面全体に形成できない場合には、照射領域の位置を変化させ、撮像領域を撮像することを繰り返し実施することが好ましい。上記照射位置の変化と、撮像領域の撮像は、得られた撮像領域の画像をつなぎ合わせた場合に検査を行う部分の画像、例えば基板表面全体の画像が得られるまで繰り返し実施することが好ましい。
【0039】
そこで、本実施形態の基板の検査装置は、基板の表面の傾斜光を照射する位置である照射領域の位置を変化させる照射位置制御手段14を有することもできる。
【0040】
照射位置制御手段14は、例えば照射領域を第1方向、すなわち図2中のY軸方向に移動させることができる。この場合、例えば照射位置制御手段14は、基板用ステージ11と光源12とのうち、少なくとも一方の移動を制御することができる。
【0041】
例えば光源12が照射する照射領域の第1方向が、図1中の矢印11Aと平行な場合、基板用ステージ11を、図1中の矢印11Aの方向に、もしくは矢印11Aと反対の方向に移動させることで、基板用ステージ11上に設置した基板を移動させることができる。これにより、基板上に形成した照射領域の位置を、第1方向に移動することができる。
【0042】
また、光源12は、既述の様に例えば図1に示すようにアーム16に固定しておくことができ、アーム16を図中の矢印16Aの方向に、もしくは矢印16Aと反対の方向に回転させることで、光源12からの線状の光の照射位置を変化させることができる。このため、照射領域の位置も移動させることができる。
【0043】
そこで、例えば基板用ステージ11、および光源12を固定したアーム16から選択された少なくとも1つの部材に、各部材を移動、もしくは回転させるための駆動手段、例えばモーター等を設けておくことができる。そして、照射位置制御手段14は、係る駆動手段と接続しておき、その変位量や変位の方向を制御することができる。
【0044】
なお、光源12を移動させる場合、撮像手段13も、照射領域の位置の変化にあわせて移動できるように構成することもできる。
【0045】
照射領域の移動方向は第1方向に限定されるものではなく、例えば照射領域が、基板の周方向に沿って回転するように構成することもできる。この場合、基板用ステージ11を、水平面内で回転するように、モーター等の駆動手段を配置し、該駆動手段に照射位置制御手段14を接続しておくことができる。
【0046】
照射位置制御手段14が基板の表面に形成した照射領域を移動させることで、撮像手段13により撮像する撮像領域を移動させ、撮像領域を撮像した画像をつなぎ合わせた場合に、検査を行う部分の画像、例えば基板表面全体の画像が形成できることが好ましい。このため、例えば基板の表面の任意の端部である第1の端部を含むように照射領域を形成後、該照射領域を、第1方向に沿って、第1の端部の反対側、すなわち第1の端部と基板の中心とを通る直線が基板の端部と直交する第2の端部を含むようになるまで移動させることが、効率的かつ基板表面を隙間なく撮像できるため好ましい。
【0047】
照射位置制御手段14により照射領域を移動させる際、移動後の照射領域は、移動前の照射領域と隣接するように移動させることが好ましい。なお、移動前の照射領域と、移動後の照射領域とが一部重複するように移動させることもできる。
(画像処理手段)
画像処理手段15は、撮像手段13で撮像した画像を処理することができる。
【0048】
画像処理手段15は、ASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)などであって、撮像手段13で撮像した画像の処理を担当する。
【0049】
画像処理手段15では、撮像手段13が撮像した画像から、必要に応じて照射領域の画像を切り出し、照射領域の移動方向に沿って並べ、つなぎ合わせることで、基板表面全体の画像を形成することができる。この際、必要に応じて画像中のコントラスト等を補正することもできる。
【0050】
撮像手段13で動画を撮像した場合には、画像処理手段15は所定のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出することもできる。
【0051】
そして、画像処理手段15で作成した画像は出力手段17に出力することができ、得られた画像中のコントラストの違いにより、得られた画像から目視で凹凸を検出できる。なお、出力手段17の構成は特に限定されず、例えば各種ディスプレイ等の表示手段や、プリンター等の印刷手段とすることができる。
【0052】
また、画像処理手段15は、例えばAI(artificial intelligence)を備えておくことができ、上述のようにして得られた基板表面の画像から、基板表面の凹部や、凸部を検出し、通知するように構成することもできる。
【0053】
なお、画像処理手段15は、1つのASIC内で、ソフトウェア的に実現することもできるが、例えば複数のASICを設ける等して、一部または全部をハードウェアで実現してもよい。
(傾き補正手段)
本実施形態の基板の検査装置は、例えば基板を水平にする傾き補正手段をさらに有することもできる。傾き補正手段は例えば既述の基板用ステージや、本実施形態の基板の検査装置の躯体に設けておき、光源に対して、検査を行う基板の表面が水平になるように、傾きを補正するように構成することができる。
【0054】
以上に説明した本実施形態の基板の検査装置によれば、光源、撮像手段、基板用ステージを備えたシンプルな装置構成により、容易に基板表面の凹凸を検出することが可能になる。
[基板の検査方法]
次に、本実施形態の基板の検査方法について説明する。なお、本実施形態の基板の検査方法は、既述の基板の検査装置を用いて好適に実施することができる。このため、既に説明した事項については一部説明を省略する。
【0055】
本実施形態の基板の検査方法は、以下の光照射工程と、撮像工程を有することができる。
【0056】
光照射工程では、基板用ステージ上に設置された基板の表面に対して、光源から光を照射できる。
【0057】
撮像工程では、基板の表面を撮像手段により撮像できる。
【0058】
光源は、基板の表面に対して、基板の表面と平行な第1方向に沿って単調に変化する傾斜光を照射できる。また、撮像工程は、基板の表面のうち、傾斜光を照射した領域を撮像できる。
【0059】
以下、各工程について説明する。
(光照射工程)
光照射工程では、基板用ステージ上に設置された基板の表面に対して、光源から光を照射できる。
【0060】
光源や、傾斜光等については既述のため詳細な説明は省略するが、傾斜光は、基板20の表面で、第1方向に沿って、光を特徴づけるパラメータが単調に変化すればよく、例えば明るさ(明度)や、色彩(色度、彩度)等から選択された1種類以上が変化するように構成できる。特に容易に変化させることができることから、傾斜光は、第1方向に沿って明るさ、すなわち明度が変化することが好ましい。
【0061】
傾斜光は第1方向と直交する方向である第2方向、すなわち図2中のX軸方向には、変化しないことが好ましい。
【0062】
傾斜光を照射する照射領域21のサイズは特に限定されないが、特に基板の検査に要する時間を短くし、検査の生産性を高める観点から大きいことが好ましい。例えば撮像手段により、図2における基板20の表面全体を撮像した画像において、傾斜光を照射した照射領域21を、第1方向に沿って20ピクセル以上含むことが好ましく、50ピクセル以上含むことがより好ましい。
【0063】
なお、光源12や、基板20のサイズによっては、基板20の第1主表面20A全体に傾斜光を照射し、照射領域21としてもよい。撮像手段により、基板の表面全体を撮像した画像における、傾斜光を照射した照射領域の第1方向に沿った長さは、1000ピクセル以下とすることができ、100ピクセル以下がより好ましい。
【0064】
照射領域21の第2方向、すなわち図2中のX軸方向の長さは特に限定されないが、効率的に検査を行う観点から、例えば検査を行う基板の幅方向全体に渡って光を照射し、照射領域を形成できるようにその長さを選択することが好ましい。
【0065】
光源の発光手段としては傾斜光を照射できればよく、光源として、例えば蛍光灯や、有機または無機のエレクトロルミネッセンス照明(EL照明)、発光ダイオード照明等から選択された1種類以上を用いることができる。
【0066】
また、光源としては各種ディスプレイを用いることもできる。光源にディスプレイを用いる場合、該ディスプレイの表示面に一方向に沿って光を特徴づけるパラメータを単調に変化させた画像を表示して用いることが好ましい。
【0067】
後述する照射位置移動工程において、基板の表面に形成した照射領域を移動させることで、撮像手段により撮像する撮像領域を移動させ、撮像領域を撮像した画像をつなぎ合わせた場合に検査を行う部分の画像、例えば基板表面全体の画像が形成できることが好ましい。このため、例えば光照射工程では、まず基板の表面の任意の端部である第1の端部を含むように照射領域を形成できるように光源から光を照射することが好ましい。そして、後述する照射位置移動工程では、該照射領域を、第1方向に沿って、第1の端部の反対側、すなわち第1の端部と基板の中心とを通る直線が基板の端部と直交する第2の端部を含むようになるまで移動させることが、効率的かつ基板表面を隙間なく撮像できるため好ましい。
(撮像工程)
撮像工程では、基板用ステージ上に設置した基板の表面を撮像することができる。撮像工程では、より具体的には基板の表面のうち、光源12から照射された照射領域を撮像することができる。撮像工程では、基板の主表面のうち、少なくとも例えば照射領域21を含む領域を撮像すればよい。このため、例えば照射領域21を含むように、図2中一点鎖線で囲まれた撮像領域23を撮像できる。なお、撮像領域23の様に、照射領域21の周辺も含むように撮像した場合には、後述する画像処理手段により目的とする照射領域の画像を、撮像した画像から切り出すことができる。
【0068】
なお、撮像工程では、例えば照射領域を撮像すればよく、照射領域の形状等によっては、必要な画像は線状(帯状)の画像となる。このため、撮像手段としてラインスキャンカメラを用いることもできる。
【0069】
本実施形態の基板の検査方法は、必要に応じてさらに任意の工程を有することもできる。
(照射位置移動工程)
照射位置移動工程では、基板表面の傾斜光を照射する位置、すなわち照射領域の位置を移動させることができる。例えば既述の様に照射位置制御手段により照射領域の位置を移動させることができる。
【0070】
例えば既述の様に、基板を設置した基板用ステージ11と、光源12とのうち少なくとも一方を移動させることができる。
【0071】
照射位置移動工程において照射領域は連続的に移動させてもよく、間欠的に移動させることもできる。例えば撮像手段の性能等に応じて照射領域の移動条件を選択することができる。
【0072】
照射領域を連続的に移動させるとは、後述する繰り返し工程を含めて、例えば照射領域を止めることなく連続的に移動させることを意味する。この場合、後述する繰り返し工程での撮像工程は、任意のタイミング、間隔で撮像領域の撮像を行うことができる。
【0073】
また、照射領域を間欠的に移動させる場合、後述する繰り返し工程においては照射位置移動工程と、撮像工程とを交互に実施できる。すなわち、照射位置移動工程において照射領域を一定距離移動させ、停止させた後に撮像工程を実施し、再び照射位置移動工程を実施した後、撮像工程を実施できる。
【0074】
照射位置移動工程における照射領域の移動速度、もしくは1回の移動距離は特に限定されず、検出すべき基板表面の凹凸のサイズや、検査の効率等に基いて任意に選択することができる。
【0075】
照射位置移動工程において、照射領域を移動させる際、移動後の照射領域は、移動前の照射領域と隣接するように移動させることが好ましい。なお、移動前の照射領域と、移動後の照射領域とが一部重複するように移動させることもできる。
(繰り返し工程)
繰り返し工程では撮像工程および照射位置移動工程を繰り返し実施することができる。これにより、照射領域の移動方向に沿って、複数の撮像領域の画像を取得することができる。
【0076】
本実施形態の基板の検査方法では、基板の表面に形成した照射領域を移動させることで、撮像手段により撮像する撮像領域を移動させ、撮像領域を撮像した画像をつなぎ合わせた場合に検査を行う部分の画像、例えば基板表面全体の画像が形成できることが好ましい。このため、繰り返し工程では得られた複数の撮像領域の画像をつなぎ合わせた場合に、検査を行う部分の画像、例えば基板表面全体の画像となるように実施することが好ましい。
【0077】
繰り返し工程においても、既述の手順に従い、撮像工程および照射位置移動工程を実施できるため、ここでは説明を省略する。
(画像処理工程)
画像処理工程では、撮像工程で得られた画像を処理することができる。
【0078】
具体的には例えば撮像工程および繰り返し工程での撮像工程で撮像した画像から、必要に応じて照射領域を切り出し、照射領域の移動方向に沿って並べ、つなぎ合わせることで、基板表面の全体の画像とすることができる。この際、必要に応じて画像中のコントラスト等を補正することもできる。
【0079】
また、撮像工程で動画を撮像した場合には、画像処理工程においては所定のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出することもできる。
【0080】
画像処理工程により、基板表面の凹凸が他の部分とのコントラストから目視で確認できるようになる。
【0081】
このため、画像処理工程で得られた画像を出力装置に出力し、目視、または画像処理を行うことで、基板表面の凹凸を検出することができる。
【0082】
また、画像処理工程では、例えばAI(artificial intelligence)を用い、上述のようにして得られた基板表面の画像から、基板表面の凹部や、凸部を検出し、通知するように構成することもできる。
(傾き補正工程)
本実施形態の基板の検査方法は、基板用ステージ上に配置された基板を水平にする傾き補正工程をさらに有することもできる。
【0083】
基板水平に調整する具体的な方法は特に限定されないが、例えば基板用ステージ11や、基板の検査装置10の躯体に水平度を調整する傾き補正手段を設けておき、自動または手動により水平度を調整することができる。
【0084】
また、基板表面に形成された凹凸が、照射領域の第1方向と同じ場合、係る凹凸を検出できない場合がある。
【0085】
そこで、本実施形態の基板の検査方法は、光照射工程や、撮像工程を実施した後、基板を周方向に沿って180度未満の角度だけ回転させ、再度検査を行うこともできる(再検査工程)。
【0086】
このように基板を回転させて、複数回検査を行うことで、基板表面の凹凸をより確実に検出することができ、好ましい。
【0087】
なお、基板を回転させる角度は0度より大きく180度未満であれば良いが、1回目の検査と、基板表面に対する照射領域の第1方向を十分に変化させるため、例えば30度以上150度以下であることが好ましい。
【0088】
また、2回目の検査を行う際には、検査前に基板を回転させた点以外は1回目と同じ条件で検査を行うことが好ましい。
【0089】
以上に説明した本実施形態の基板の検査方法によれば、光源、撮像手段、基板用ステージを備えたシンプルな装置構成により、容易に基板表面の凹凸を検出することが可能になる。
【符号の説明】
【0090】
10 基板の検査装置
11 基板用ステージ
12 光源
13 撮像手段
14 照射位置制御手段
15 画像処理手段
20 基板
図1
図2
図3