(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155066
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】セメント系固化材及びこれを用いた地盤改良方法
(51)【国際特許分類】
C04B 7/14 20060101AFI20221005BHJP
E02D 3/12 20060101ALI20221005BHJP
C09K 17/02 20060101ALI20221005BHJP
C09K 17/06 20060101ALI20221005BHJP
C09K 17/10 20060101ALI20221005BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20221005BHJP
C04B 22/14 20060101ALI20221005BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
C04B7/14
E02D3/12 102
C09K17/02 P
C09K17/06 P
C09K17/10 P
C04B18/14 A
C04B22/14 B
C04B28/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058397
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】土肥 浩大
(72)【発明者】
【氏名】河野 武
(72)【発明者】
【氏名】清田 正人
【テーマコード(参考)】
2D040
4G112
4H026
【Fターム(参考)】
2D040AA01
2D040CA01
2D040CA03
2D040CA04
4G112MB23
4G112PA29
4G112PB11
4H026CA01
4H026CA04
4H026CA05
4H026CC01
(57)【要約】
【課題】長期間にわたって六価クロムを溶出させにくい固化処理土を作製可能なセメント系固化材を提供する。
【解決手段】セメント系固化材は、セメントクリンカ粉末、半水石膏粉末、二水石膏粉末、無水石膏粉末及び高炉スラグ粉末を含む。セメントクリンカ粉末、半水石膏粉末、二水石膏粉末、無水石膏粉末及び高炉スラグ粉末の質量の合計である第1の合計質量に対する、セメントクリンカ粉末、半水石膏粉末、二水石膏粉末及び無水石膏粉末にそれぞれ由来するSO3の質量の合計である第2の合計質量の割合が4.00%以上11.00%以下である。第1の合計質量に対する、セメントクリンカ粉末に由来するSO3の質量の割合が1.01%以上2.30%以下である。第1の合計質量に対する、半水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合が0.60%以上2.80%以下である。第1の合計質量に対する、二水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合が0.70%以上2.80%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントクリンカ粉末、半水石膏粉末、二水石膏粉末、無水石膏粉末及び高炉スラグ粉末を含むセメント系固化材であって、
前記セメントクリンカ粉末、前記半水石膏粉末、前記二水石膏粉末、前記無水石膏粉末及び前記高炉スラグ粉末の質量の合計である第1の合計質量に対する、前記セメントクリンカ粉末、前記半水石膏粉末、前記二水石膏粉末及び前記無水石膏粉末にそれぞれ由来するSO3の質量の合計である第2の合計質量の割合が4.00%以上11.00%以下であり、
前記第1の合計質量に対する、前記セメントクリンカ粉末に由来するSO3の質量の割合が1.01%以上2.30%以下であり、
前記第1の合計質量に対する、前記半水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合が0.60%以上2.80%以下であり、
前記第1の合計質量に対する、前記二水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合が0.70%以上2.80%以下であり、
前記第1の合計質量に対する、前記無水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合が1.70%以上6.30%以下であり、
前記無水石膏粉末に由来するSO3の質量に対する、前記半水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合が50.00%以下であり、
前記第1の合計質量に対する、前記高炉スラグ粉末の質量の割合が13.0%以上42.0%以下であることを特徴とするセメント系固化材。
【請求項2】
請求項1に記載のセメント系固化材、土壌及び水を混合して固化処理土を作製する方法であって、
前記セメント系固化材の質量に対する前記水の質量の割合を55%以上85%以下にし、
前記土壌の体積に対する前記セメント系固化材の添加質量を260kg/m3以上540kg/m3以下にすることを特徴とする固化処理土の作製方法。
【請求項3】
前記水に溶出する六価クロム量が0.05mg/L未満であることを特徴とする請求項2に記載の固化処理土の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント系固化材及びこれを用いた地盤改良方法すなわち固化処理土の作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、セメントクリンカ粉末、二水石膏粉末、無水石膏粉末及び高炉スラグ粉末からなり、SO3含有率が8.0質量%程度であるセメント系固化材が記載されている。さらに、同文献では、このセメント系固化材を土壌と混合して作製される固化処理土からの六価クロム溶出量を低減できるとされている。
【0003】
しかし、この文献に記載の技術では、環境省告示18号法によって、材齢7日後の固化処理土からの六価クロム溶出量の測定を行っているが、固化処理土からの長期間の連続的な六価クロム溶出量(例えば固化処理土からの連続182日間の六価クロム溶出量)については考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、この点について種々の研究を重ねた結果、セメント系固化材におけるSO3含有率が8.0質量%程度であり、環境省告示18号における六価クロム溶出量が少ない固化処理土であっても、その他の組成によってはセメント系固化材を使用した固化処理土から長期間にわたって六価クロムが溶出し、積算溶出量が多量となるおそれがあるとの知見を得た。そこで、本発明の目的は、長期間にわたって六価クロムを溶出させにくい固化処理土を作製可能なセメント系固化材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一項目に係るセメント系固化材は、セメントクリンカ粉末、半水石膏粉末、二水石膏粉末、無水石膏粉末及び高炉スラグ粉末を含むものである。前記セメントクリンカ粉末、前記半水石膏粉末、前記二水石膏粉末、前記無水石膏粉末及び前記高炉スラグ粉末の質量の合計である第1の合計質量に対する、前記セメントクリンカ粉末、前記半水石膏粉末、前記二水石膏粉末及び前記無水石膏粉末のそれぞれに由来するSO3の質量の合計である第2の合計質量の割合が4.00%以上11.00%以下である。前記第1の合計質量に対する、前記セメントクリンカ粉末に由来するSO3の質量の割合が1.01%以上2.30%以下である。前記第1の合計質量に対する、前記半水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合が0.60%以上2.80%以下である。前記第1の合計質量に対する、前記二水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合が0.70%以上2.80%以下である。前記第1の合計質量に対する、前記無水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合が1.70%以上6.30%以下である。前記無水石膏粉末に由来するSO3の質量に対する、前記半水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合が50.00%以下である。前記第1の合計質量に対する、前記高炉スラグ粉末の質量の割合が13.0%以上42.0%以下である。
【0007】
上記第一項目によれば、長期間にわたって六価クロムを溶出させにくく、積算の六価クロム溶出量が少ない固化処理土を作製することができる。なお、上記第一項目に係る構成と固化処理土からの六価クロム溶出量との関係については、後述の試験例で詳細に説明する。
【0008】
本発明の第二項目に係る固化処理土の作製方法は、上記第一項目に記載のセメント系固化材、土壌及び水を混合して固化処理土を作製する方法である。この方法は、前記セメント系固化材の質量に対する前記水の質量の割合を55%以上85%以下にし、前記土壌の体積に対する前記セメント系固化材の添加質量を260kg/m3以上540kg/m3以下にするものである。これにより、溶媒である水(純水を塩酸又は水酸化ナトリウムでpH5.8~6.3に調整したもの。使用質量は試料質量の10倍。)への六価クロムの溶出量を0.05mg/L未満にすることが好ましい。
【0009】
上記第二項目によれば、長期間にわたって六価クロムをさらに溶出させにくい固化処理土を作製することができる。なお、上記第二項目に係る構成と固化処理土からの六価クロム溶出量との関係については、後述の試験例で詳細に説明する。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、長期間にわたって六価クロムを溶出させにくく、積算の六価クロム溶出量が少ない固化処理土を作製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係るセメント系固化材について説明する。本実施形態に係るセメント系固化材は、セメントクリンカ粉末、半水石膏粉末、二水石膏粉末、無水石膏粉末及び高炉スラグ粉末を含んでいる。
【0012】
本実施形態において、セメントクリンカ粉末、半水石膏粉末、二水石膏粉末、無水石膏粉末及び高炉スラグ粉末の質量の合計である第1の合計質量に対する、セメントクリンカ粉末、半水石膏粉末、二水石膏粉末及び無水石膏粉末のそれぞれに由来するSO3の質量の合計である第2の合計質量の割合は4.00%以上11.00%以下とされている。この割合が4.62%以上10.09%以下であるとより好ましい。
【0013】
上記第1の合計質量に対する、セメントクリンカ粉末に由来するSO3の質量の割合は1.01%以上2.30%以下とされている。この割合が1.03%以上2.05%以下であるとより好ましい。
【0014】
上記第1の合計質量に対する、半水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合は0.60%以上2.80%以下とされている。この割合が0.79%以上2.24%以下であるとより好ましい。
【0015】
上記第1の合計質量に対する、二水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合が0.70%以上2.80%以下とされている。この割合が0.79%以上2.24%以下であるとより好ましい。
【0016】
上記第1の合計質量に対する、無水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合は1.70%以上6.30%以下とされている。この割合が2.01%以上6.03%以下であるとより好ましい。
【0017】
無水石膏粉末に由来するSO3の質量に対する、半水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合は50.00%以下とされている。この割合が13.10%以上39.30%以下であるとより好ましい。
【0018】
上記第1の合計質量に対する、高炉スラグ粉末の質量の割合は13.0%以上42.0%以下とされている。この割合が15.0%以上40.0%以下であるとより好ましい。
【0019】
本発明の一実施形態に係る固化処理土の作製方法について説明する。この方法は、上述したセメント系固化材、土壌及び水を混合して固化処理土を作製するものである。
【0020】
この混合について、具体的には、セメント系固化材の質量に対する水の質量の割合を55%以上85%以下にする。この割合が60%以上80%以下であるとより好ましい。
【0021】
また、この混合について、土壌の体積に対するセメント系固化材の添加質量を260kg/m3以上540kg/m3以下にする。この添加質量が280kg/m3以上500kg/m3以下であるとより好ましい。
【0022】
溶媒の水(純水を塩酸又は水酸化ナトリウムでpH5.8~6.3に調整したもの。使用質量は試料質量の10倍。)に溶出する六価クロムの量が0.05mg/L未満であると好ましく、0.02mg/L以下であるとさらに好ましい。
【0023】
次に、本発明の一実施形態に係るセメント系固化材及び固化処理土の作製方法を示す実施例及びその比較例について説明する。全ての実施例及び比較例における六価クロム短期間溶出量は、温度20℃湿度95%以上の環境で7日間封緘養生した固化処理土を用いて、環境庁告示46号溶出試験により溶媒の水(純水を塩酸又は水酸化ナトリウムでpH5.8~6.3に調整したもの。使用質量は試料質量の10倍。)に溶出した六価クロム溶出量である。六価クロム長期間溶出量は、温度20℃湿度95%以上の環境で7日間封緘養生した固化処理土をJIS K 0058-1にて、通常6時間である攪拌時間を182日として、溶媒の水(純水を塩酸又は水酸化ナトリウムでpH5.8~6.3に調整したもの。使用質量は試料質量の10倍。)に溶出した六価クロム溶出量を測定したものである。下記の表1は、実施例1-39及び比較例1-23の結果を示している。
【0024】
具体的には、各実施例及び各比較例において、セメントクリンカ粉末、β型半水石膏粉末、二水石膏粉末、II型無水石膏粉末、高炉スラグ粉末を混合してセメント系固化材を得た。そして、セメント系固化材の質量に対する、セメントクリンカ粉末、半水石膏粉末、二水石膏粉末、無水石膏粉末それぞれに由来するSO3の質量の割合を算出した。
【0025】
具体的に、セメント系固化材の質量に対するセメントクリンカ粉末に由来するSO3の質量の割合については、セメントクリンカ粉末に含まれるSO3の量を「JIS R 5202:2015 セメントの化学分析方法」に基づいて測定してからセメント系固化材の組成に基づいて算出した。セメント系固化材の質量に対する半水石膏粉末、二水石膏粉末及び無水石膏粉末に由来するSO3の質量の割合については、それぞれ半水石膏粉末、二水石膏粉末及び無水石膏粉末に含まれるSO3の量を「JIS R 9101:2018 せっこうの化学分析方法」に基づいて測定してからセメント系固化材の組成に基づいて算出した。
【0026】
これらの割合は、それぞれ表1に示すクリンカSO3、半水SO3、二水SO3及び無水SO3に相当する。さらに、これらの割合の合計値を算出した。この合計値は、表1に示す合計SO3に相当する。また、無水SO3の質量に対する半水SO3の質量の百分率を算出した。この百分率は、表1に示す半水SO3比に相当する。さらに、セメント系固化材の質量に対する高炉スラグ粉末の質量の割合を算出した。この割合は、表1に示す高炉スラグに相当する。
【0027】
そして、セメント系固化材、土壌及び水を練り混ぜてから成形し、温度20℃、湿度95%の環境で7日間養生することにより供試体(固化処理土)を作製した。ここで、土壌1m3当たりに対するセメント系固化材の練り混ぜ量は、表1に示す固化材添加量に相当する。練り混ぜたセメント系固化材の質量に対する水の質量の割合は、表1に示すW/Cに相当する。この供試体を用いて環境庁告示46号法により測定した六価クロム溶出量が表1に示す六価クロム短期間溶出量に相当する。同様の供試体を用いてJIS K 0058-1にて、通常6時間である攪拌時間を182日とした際に溶媒の水(純水を塩酸又は水酸化ナトリウムでpH5.8~6.3に調整したもの。使用質量は試料質量の10倍。)に溶出した六価クロム溶出量が表1に示す六価クロム長期間溶出量に相当する。
【0028】
なお、使用した土壌は神奈川県川崎市産の関東ロームであり、含水比は102.1%であり、湿潤密度は1.391g/cm2である。また、この土壌の組成としては、礫分含有率が0.6質量%であり、砂分含有率が9.0質量%であり、細粒分含有率が90.4質量%である。
【0029】
また、表1に示す流動性は、水と固化材を練り混ぜた際のスラリーにおける流動性を示している。この流動性の項目における○は、スラリーの流動性が良好で、施工現場においてポンプ輸送が容易であったことを示し、この流動性の項目における×は、スラリーの流動性が低くてポンプ輸送が困難であったことを示している。
【0030】
ここで、実施例1-33においては、クリンカSO3が1.03%以上2.05%以下であり、半水SO3が0.79%以上2.24%以下であり、二水SO3が0.79%以上2.24%以下であり、無水SO3が2.01%以上6.03%以下であり、合計SO3が4.62%以上10.09%以下であり、半水SO3比が13.10%以上39.30%以下であり、高炉スラグが15.0%以上40.0%以下になっている。また、固化材添加量が280kg/m3以上500kg/m3以下であり、W/Cが60%以上80%以下になっている。そして、六価クロム短期間溶出量及び六価クロム長期間溶出量がそれぞれ0.02mg/L以下になっている。
【0031】
一方、比較例1-23においては、クリンカSO3、半水SO3、二水SO3、無水SO3、合計SO3、半水SO3比及び高炉スラグの少なくとも1つが実施例1-33における範囲外になっている。具体的には、表1において影を付している箇所のパラメータが、実施例1-33におけるパラメータの範囲外になっている。そして、比較例1-23においては、六価クロム長期間溶出量が0.05mg/L以上になっている。
【0032】
また、実施例34-39においては、固化材添加量又はW/Cが実施例1-33における範囲外になっている。具体的には、表1において影を付している箇所のパラメータが、実施例1-33におけるパラメータの範囲外になっている。そして、実施例34、35、37及び39においては、六価クロム短期間溶出量は0.02mg/L以下であるが六価クロム長期間溶出量が0.05mg/L以上になっている。実施例36、38及び39においては、実施例1-33よりもスラリーの流動性が低くなった。
【0033】
以上により、表1に示す実施例1-33及び比較例1-23から次の結論を導出することができる。すなわち、セメント系固化材の組成に係るパラメータが実施例1-33における範囲内にあると、六価クロム短期間溶出量及び六価クロム長期間溶出量をそれぞれ低く抑えることができる。つまり、クリンカSO3が1.03%以上2.05%以下であり、半水SO3が0.79%以上2.24%以下であり、二水SO3が0.79%以上2.24%以下であり、無水SO3が2.01%以上6.03%以下であり、合計SO3が4.62%以上10.09%以下であり、半水SO3比が13.10%以上39.30%以下であり、高炉スラグが15.0%以上40.0%以下であると、長期間にわたって六価クロムを溶出させにくい固化処理土を作製することができる。
【0034】
なお、セメント系固化材の組成に係るパラメータを実施例1-33における範囲から多少広げても、実施例1-33ほどではないにしろ六価クロム短期間溶出量及び六価クロム長期間溶出量をそれぞれ低く抑えることができると考えられる。すなわち、クリンカSO3が1.01%以上2.30%以下であり、半水SO3が0.60%以上2.80%以下であり、二水SO3が0.70%以上2.80%以下であり、無水SO3が1.70%以上6.30%以下であり、合計SO3が4.00%以上11.00%以下であり、半水SO3比が50.00%以下であり、高炉スラグが13.0%以上42.0%以下であってもよい。
【0035】
また、表1に示す実施例1-39から次の結論を導出することができる。すなわち、セメント系固化材の混合割合に係るパラメータが実施例1-33における範囲内にあると、六価クロム短期間溶出量及び六価クロム長期間溶出量をそれぞれ低く抑えることができ、かつ、スラリーの流動性を良好にすることができる。つまり、固化材添加量が280kg/m3以上500kg/m3以下であり、W/Cが60%以上80%以下であると、長期間にわたって六価クロムを溶出させにくい固化処理土を形成することができ、かつ、施工時におけるスラリーの流動性を良好にすることができる。なお、固化処理土の現場施工におけるスラリー流動性を良好にすることができると、地盤改良工事においてポンプ詰まりの防止や施工時間の短縮が可能となる。
【0036】
なお、セメント系固化材の混合割合に係るパラメータを実施例1-33における範囲から多少広げても、実施例1-33ほどではないにしろ六価クロム短期間溶出量及び六価クロム長期間溶出量をそれぞれ低く抑えることができ、かつ、スラリーの流動性を高くすることができると考えられる。つまり、固化材添加量が260kg/m3以上540kg/m3以下であり、W/Cが55%以上85%以下であってもよい。
【0037】