(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155071
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】コンピュータシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/69 20140101AFI20221005BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20221005BHJP
A63F 13/58 20140101ALI20221005BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20221005BHJP
A63F 13/533 20140101ALI20221005BHJP
【FI】
A63F13/69
A63F13/55
A63F13/58
A63F13/79
A63F13/533
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058403
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000134855
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコエンターテインメント
(71)【出願人】
【識別番号】510067625
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコオンライン
(71)【出願人】
【識別番号】514071082
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコスタジオ
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 辰巳
(57)【要約】
【課題】アイテムを運ぶことで報酬を得られるゲームにおける興趣性の向上を図ること。
【解決手段】キャラクタを操作して所与のアイテムを運ぶことで報酬を得ることができるゲームであって、アイテムは、アイテムを運ぶ通行地点又は通行経路に基づいて状態が変化し得るアイテムであり、アイテムの状態と、アイテムの運搬を終了する所与の終了地点に関する情報とに基づいて、プレーヤに付与する報酬が可変に決定される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャラクタを操作して所与のアイテムを運ぶことで報酬を得ることができるゲームの進行を制御するコンピュータシステムであって、
前記アイテムは、状態が変化し得るアイテムであり、
前記アイテムを運ぶ通行地点又は通行経路(以下包括して「通行情報」という)に基づいて、前記アイテムの状態を変化させる制御を行う状態変更制御手段と、
前記アイテムの状態と、前記アイテムの運搬を終了する所与の終了地点に関する情報とに基づいて、プレーヤに付与する報酬を可変に決定する報酬決定手段と、
を備えるコンピュータシステム。
【請求項2】
前記プレーヤの操作に基づいて前記終了地点を仮決定する終了地点仮決定手段、
を更に備え、
前記報酬決定手段は、前記アイテムの状態と、前記終了地点仮決定手段により仮決定された前記終了地点に関する情報とに基づいて、前記報酬を仮決定し、当該仮決定した報酬を前記プレーヤに提示する制御を行う、
請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記アイテムの運搬が終了する前に、前記終了地点と、当該終了地点に到達するまでの前記通行情報とを、前記プレーヤの操作入力に基づいて設定することで、当該終了地点における前記アイテムの状態を予測し、予測した前記アイテムの情報と当該終了地点に関する情報とに基づいて、前記報酬を予測する予測制御手段、
を更に備える請求項1又は2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記状態変更制御手段は、前記アイテムの運搬を所与の開始地点から開始して前記終了地点に到達するまでの運搬時間に基づいて、当該アイテムの状態を変更する、
請求項1~3の何れか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
前記報酬決定手段は、所与の参考運搬時間と前記運搬時間とを比較し、比較結果に基づいて前記報酬を変更する、
請求項4に記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記参考運搬時間を目標運搬時間として、前記プレーヤが設定する目標運搬時間設定手段、
を更に備える請求項5に記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
前記報酬決定手段は、前記終了地点に到達したゲーム内日時と、所与のゲーム内指定到達日時とを比較し、比較結果に基づいて前記報酬を変更する、
請求項1~6の何れか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
前記報酬決定手段は、前記プレーヤのプレーヤ情報に基づいて、前記報酬を変更する、
請求項1~7の何れか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項9】
前記プレーヤ情報には、アイテムの運搬実績情報が含まれ、
前記報酬決定手段は、前記プレーヤの前記運搬実績情報に基づいて、前記報酬を変更する、
請求項8に記載のコンピュータシステム。
【請求項10】
前記状態変更制御手段は、複数種類の前記アイテムを運ぶ場合に、当該アイテムの組み合わせに基づいて、当該アイテムの状態を変化させる、
請求項1~9の何れか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項11】
前記状態変更制御手段は、前記キャラクタの所有アイテム及び/又は装備に基づいて、前記アイテムの状態を変化させる、
請求項1~10の何れか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項12】
運搬可能な前記アイテムには複数種類のアイテムがあり、
前記複数種類のアイテムのうちの運搬対象のアイテムと、当該アイテムの運搬を開始する開始地点とを前記プレーヤの操作入力に基づいて設定し、設定した運搬対象のアイテム及び開始地点に基づいて前記終了地点として推奨する地点を選択する推奨地点選択処理を実行することで選択した推奨地点を前記プレーヤに提示する推奨地点提示制御手段、
を更に備える請求項1~11の何れか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項13】
前記プレーヤの操作対象キャラクタとは異なる他キャラクタが前記アイテムを運搬している途中で、当該他キャラクタから当該アイテムを奪取する奪取行為を、前記プレーヤの操作入力に基づいて前記操作対象キャラクタに行わせる奪取行為制御手段と、
前記奪取行為によって奪取したアイテムを前記終了地点に運搬することで、前記プレーヤに報酬を付与する奪取アイテム運搬報酬付与手段と、
を更に備える請求項1~12の何れか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項14】
複数のプレーヤが各々のキャラクタを操作して前記アイテムを運ぶ制御を行う複数プレーヤ運搬制御手段、
を更に備え、
前記報酬決定手段は、前記複数プレーヤ運搬制御手段によって前記アイテムの運搬が制御された場合に、当該アイテムを運んだ各プレーヤのプレーヤ情報に基づいて、前記報酬を変更する、
請求項1~13の何れか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項15】
キャラクタを操作して所与のアイテムを運ぶことで報酬を得ることができるゲームの進行をコンピュータシステムに制御させるためのプログラムであって、
前記アイテムは、状態が変化し得るアイテムであり、
前記アイテムを運ぶ通行地点又は通行経路に基づいて、前記アイテムの状態を変化させる制御を行う状態変更制御手段、
前記アイテムの状態と、前記アイテムの運搬を終了する所与の終了地点に関する情報とに基づいて、プレーヤに付与する報酬を可変に決定する報酬決定手段、
として前記コンピュータシステムを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレーヤがキャラクタを操作してアイテムを運ぶゲームの進行を制御するコンピュータシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プレーヤがキャラクタを操作してアイテムを運ぶことで報酬を得ることができるゲームが知られている。このようなゲームの一例として、特許文献1には、ゲーム要素(アイテム)を、サイコロを使ってマス目を進んでいくことで、プレイフィールド上の移動元地点から移動先地点まで所定の許容時間内に運ぶことでゲームポイント(報酬)が得られる内容のボードゲームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゲームにおいてアイテムを運ぶことで得られる報酬は、アイテムの種類や、アイテムを運んだ距離や時間に応じて決まるものが一般的であった。このため、プレーヤにとっては、得られる報酬の予測がつき易いが、できるだけ短時間でアイテムを運ぶだけといった単調な内容となって飽き易く、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて考案されたものであり、アイテムを運ぶことで報酬を得られるゲームにおける興趣性の向上を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の発明は、
キャラクタを操作して所与のアイテムを運ぶことで報酬を得ることができるゲームの進行を制御するコンピュータシステムであって、
前記アイテムは、状態が変化し得るアイテムであり、
前記アイテムを運ぶ通行地点又は通行経路(以下包括して「通行情報」という)に基づいて、前記アイテムの状態を変化させる制御を行う状態変更制御手段(例えば、
図17の状態変更制御部212)と、
前記アイテムの状態と、前記アイテムの運搬を終了する所与の終了地点に関する情報とに基づいて、プレーヤに付与する報酬を可変に決定する報酬決定手段(例えば、
図17の報酬決定部214)と、
を備えるコンピュータシステムである。
【0007】
他の発明として、
キャラクタを操作して所与のアイテムを運ぶことで報酬を得ることができるゲームの進行をコンピュータシステムに制御させるためのプログラムであって、
前記アイテムは、状態が変化し得るアイテムであり、
前記アイテムを運ぶ通行地点又は通行経路に基づいて、前記アイテムの状態を変化させる制御を行う状態変更制御手段、
前記アイテムの状態と、前記アイテムの運搬を終了する所与の終了地点に関する情報とに基づいて、プレーヤに付与する報酬を可変に決定する報酬決定手段、
として前記コンピュータシステムを機能させるためのプログラムを構成してもよい。
【0008】
第1の発明等によれば、アイテムを運ぶことで報酬が得られるゲームにおける興趣性を向上させることができる。つまり、アイテムの状態と運搬の終了地点に関する情報とに基づいて、プレーヤに付与する報酬が可変に決定される。アイテムの状態は、アイテムを運ぶ通行地点や通行経路(通行情報)によって変化される。従って、同じアイテムであっても、運搬の終了地点に関する情報が異なれば得られる報酬も異なり得るし、また、運搬の終了地点に関する情報が同じであっても、終了地点に至る通行地点や通行経路等の通行情報が異なれば、アイテムの状態が変化し得ることから得られる報酬も変化し得る。これにより、プレーヤは、所望の報酬が得られるようにアイテムの状態の変化を考慮しつつ通行地点や通行経路を選んでアイテムを運ぶ必要が生じるので、アイテムの運搬に関する興趣性を高めることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、
前記プレーヤの操作に基づいて前記終了地点を仮決定する終了地点仮決定手段(例えば、
図17の終了地点仮決定部216)、
を更に備え、
前記報酬決定手段は、前記アイテムの状態と、前記終了地点仮決定手段により仮決定された前記終了地点に関する情報とに基づいて、前記報酬を仮決定し、当該仮決定した報酬を前記プレーヤに提示する制御を行う、
コンピュータシステムである。
【0010】
第2の発明によれば、アイテムの状態と、プレーヤの操作に基づいて仮決定された終了地点に関する情報とに基づいて仮決定した報酬が、プレーヤに提示される。これにより、プレーヤは、運搬の終了地点に関する情報を仮決定することで提示される報酬を参考にしてアイテムの運搬を終了するか否かを選ぶことができるので、アイテムの運搬に関する利便性や興趣性を高めることができる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記アイテムの運搬が終了する前に、前記終了地点と、当該終了地点に到達するまでの前記通行情報とを、前記プレーヤの操作入力に基づいて設定することで、当該終了地点における前記アイテムの状態を予測し、予測した前記アイテムの情報と当該終了地点に関する情報とに基づいて、前記報酬を予測する予測制御手段(例えば、
図17の予測制御部218)、
を更に備えるコンピュータシステムである。
【0012】
第3の発明によれば、アイテムの運搬が終了する前に、プレーヤの操作入力に基づいて設定された終了地点と終了地点に到達するまでの通行情報とに基づいてアイテムの状態が予測され、予測されたアイテムの情報と終了地点に関する情報とに基づいて報酬が予測される。従って、例えば、プレーヤは、アイテムの運搬を終了する前に、終了地点や終了地点に到達するまでの通行情報の設定と、予測される報酬とを比較検討しながら、アイテムの運搬の終了地点や終了地点に到達するまでの通行情報を選ぶことができる。そのため、アイテムの運搬に関する利便性や興趣性を高めることができる。
【0013】
第4の発明は、第1~第3の何れかの発明において、
前記状態変更制御手段は、前記アイテムの運搬を所与の開始地点から開始して前記終了地点に到達するまでの運搬時間に基づいて、当該アイテムの状態を変更する(例えば、
図7の変化要素設定テーブル336A)、
コンピュータシステムである。
【0014】
第4の発明によれば、終了地点までの運搬時間に基づいて、アイテムの状態が変更される。これにより、プレーヤは、アイテムの状態の変化を考慮して終了地点に到達するまでの運搬時間を調整するといったことができる。早く運搬する必要が生じる場合や、遅く運搬した方が良い場合等もあるであろう。したがって、アイテムの運搬に係る興趣性を高めることができる。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、
前記報酬決定手段は、所与の参考運搬時間と前記運搬時間とを比較し、比較結果に基づいて前記報酬を変更する(例えば、
図13の評価要素設定テーブル339A)、
コンピュータシステムである。
【0016】
第5の発明によれば、所与の参考運搬時間とアイテムの終了地点までの運搬時間との比較結果に基づいて、付与される報酬が変更される。これにより、プレーヤは、所望の報酬を得るために、参考運搬時間を参考にしながらアイテムを運搬するといったことができるので、アイテムの運搬に関する興趣性を高めることができる。
【0017】
第6の発明は、第5の発明において、
前記参考運搬時間を目標運搬時間として、前記プレーヤが設定する目標運搬時間設定手段(例えば、
図17の目標運搬時間設定部220)、
を更に備えるコンピュータシステムである。
【0018】
第6の発明によれば、プレーヤが設定する目標運搬時間が参考運搬時間とされる。これにより、プレーヤは、所望の報酬を得るために、自身で設定した目標運搬時間を目指してアイテムを運搬するといったことができるのでアイテムの運搬に関する興趣性を高めることができる。
【0019】
第7の発明は、第1~第5の何れかの発明において、
前記報酬決定手段は、前記終了地点に到達したゲーム内日時と、所与のゲーム内指定到達日時とを比較し、比較結果に基づいて前記報酬を変更する(例えば、
図15の評価要素設定テーブル339C)、
コンピュータシステムである。
【0020】
第7の発明によれば、終了地点に到達したゲーム内日時と、所与のゲーム内指定到達日時との比較結果に基づいて、付与される報酬が変更される。これにより、プレーヤは、所望の報酬を得るために、指定されたゲーム内指定到達日時に終了地点に到達するようにアイテムを運搬するといったことができるので、アイテムの運搬に関する興趣性を高めることができる。
【0021】
第8の発明は、第1~第7の何れかの発明において、
前記報酬決定手段は、前記プレーヤのプレーヤ情報に基づいて、前記報酬を変更する、
コンピュータシステムである。
【0022】
第8の発明によれば、プレーヤ情報に基づいて、付与される報酬が変更される。これにより、プレーヤによって得られる報酬が異なり得るとともに、同じプレーヤが同じアイテムを同じ終了地点に運んでも得られる報酬が異なり得る、といったことになるので、アイテムの運搬に関する興趣性を高めることができる。
【0023】
第9の発明は、第8の発明において、
前記プレーヤ情報には、アイテムの運搬実績情報が含まれ、
前記報酬決定手段は、前記プレーヤの前記運搬実績情報に基づいて、前記報酬を変更する(例えば、
図16の評価要素設定テーブル339D)、
コンピュータシステムである。
【0024】
第9の発明によれば、プレーヤ情報に含まれるアイテムの運搬実績情報に基づいて、付与される報酬が変更される。これにより、例えば、これまでの運搬回数が多いほど良い報酬が付与されるとすることで、プレーヤに対して、アイテムの運搬に対するモチベーションを与えることができる。
【0025】
第10の発明は、第1~第9の何れかの発明において、
前記状態変更制御手段は、複数種類の前記アイテムを運ぶ場合に、当該アイテムの組み合わせに基づいて、当該アイテムの状態を変化させる(例えば、
図9の変化要素設定テーブル336C)、
コンピュータシステムである。
【0026】
第10の発明によれば、複数種類のアイテムを運ぶ場合に、アイテムの組み合わせに基づいてアイテムの状態が変化される。これにより、プレーヤは、アイテムの状態の変化を考慮しながら一緒に運ぶアイテムの種類の組み合わせを選ぶことになるので、アイテムの運搬に関する興趣性を高めることができる。
【0027】
第11の発明は、第1~第10の何れかの発明において、
前記状態変更制御手段は、前記キャラクタの所有アイテム及び/又は装備に基づいて、前記アイテムの状態を変化させる(例えば、
図8の変化要素設定テーブル336B)、
コンピュータシステムである。
【0028】
第11の発明によれば、キャラクタの所有アイテムや装備に基づいて、アイテムの状態が変化される。これにより、プレーヤは、アイテムの状態の変化を考慮しながら所有するアイテムや装備を選ぶことになるので、アイテムの運搬に関する興趣性を高めることができる。
【0029】
第12の発明は、第1~第11の何れかの発明において、
運搬可能な前記アイテムには複数種類のアイテムがあり、
前記複数種類のアイテムのうちの運搬対象のアイテムと、当該アイテムの運搬を開始する開始地点とを前記プレーヤの操作入力に基づいて設定し、設定した運搬対象のアイテム及び開始地点に基づいて前記終了地点として推奨する地点を選択する推奨地点選択処理を実行することで選択した推奨地点を前記プレーヤに提示する推奨地点提示制御手段(例えば、
図17の推奨地点提示制御部222)、
を更に備えるコンピュータシステムである。
【0030】
第12の発明によれば、プレーヤの操作入力に基づいて設定された複数種類のアイテムのうちの運搬対象アイテムと、運搬の開始地点とに基づいて、終了地点として推奨する地点が選択される。従って、例えば、プレーヤは、アイテムの運搬を開始する前に、運搬するアイテムの種類や、運搬の開始地点の設定と、推奨される終了地点とを比較検討しながら、運搬するアイテムの種類や開始地点を選ぶことができる。そのため、アイテムの運搬に関する利便性や興趣性を高めることができる。
【0031】
第13の発明は、第1~第12の何れかの発明において、
前記プレーヤの操作対象キャラクタとは異なる他キャラクタが前記アイテムを運搬している途中で、当該他キャラクタから当該アイテムを奪取する奪取行為を、前記プレーヤの操作入力に基づいて前記操作対象キャラクタに行わせる奪取行為制御手段(例えば、
図28の奪取行為制御部226)と、
前記奪取行為によって奪取したアイテムを前記終了地点に運搬することで、前記プレーヤに報酬を付与する奪取アイテム運搬報酬付与手段(例えば、
図28の奪取アイテム運搬報酬付与部228)と、
を更に備えるコンピュータシステムである。
【0032】
第13の発明によれば、他キャラクタが運搬しているアイテムを奪取して終了地点に運搬したプレーヤキャラクタのプレーヤに、報酬が付与される。プレーヤは、自身のプレーヤキャラクタを操作してアイテムを運ぶことに加えて、他キャラクタが運搬中のアイテムを奪取して運ぶことで報酬を得ることができる。また逆に、他キャラクタから奪取されたために、得られるはずだった報酬が得られなくなるといったことが起こり得る。これにより、アイテムの運搬に関する更なる興趣性の向上を図ることができる。
【0033】
第14の発明は、第1~第13の何れかの発明において、
複数のプレーヤが各々のキャラクタを操作して前記アイテムを運ぶ制御を行う複数プレーヤ運搬制御手段(例えば、
図27の複数プレーヤ運搬制御部224)、
を更に備え、
前記報酬決定手段は、前記複数プレーヤ運搬制御手段によって前記アイテムの運搬が制御された場合に、当該アイテムを運んだ各プレーヤのプレーヤ情報に基づいて、前記報酬を変更する、
コンピュータシステムである。
【0034】
第14の発明によれば、複数のプレーヤの各々が操作するキャラクタがアイテムを運搬した場合、当該アイテムを運んだ各プレーヤのプレーヤ情報に基づいて、報酬が変更される。プレーヤは、自身のプレーヤキャラクタを操作してアイテムを運ぶことに加えて、他のプレーヤが操作するキャラクタと協力してアイテムを運ぶといったことができる。これにより、アイテムの運搬に関する更なる興趣性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図26】ゲーム処理のうち、アイテムの運搬に関する処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態の一例について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。
【0037】
[ゲームシステム]
図1は、本実施形態のゲームシステムの構成の一例を示す図である。
図1によれば、本実施形態のゲームシステム1は、通信ネットワークNに接続可能なサーバシステム1000と、通信ネットワークNを介してサーバシステム1000にアクセスし、サーバシステム1000との間で通信可能な複数のプレーヤ端末1500とを備える。
【0038】
通信ネットワークNは、データ通信が可能な通信路を意味する。すなわち、通信ネットワークNとは、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLAN(Local Area Network)の他、電話通信網やケーブル網、インターネット等の通信網を含む意味であり、また、通信方法については有線/無線を問わない。
【0039】
サーバシステム1000は、本体装置1010と、キーボード1002と、ディスプレイ1004と、ストレージ1030とを有し、本体装置1010に制御基板1020を搭載するコンピュータシステムである。
【0040】
制御基板1020には、CPU(Central Processing Unit)1021やGPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等の各種プロセッサ、VRAMやRAM、ROM等の各種ICメモリ1022、通信装置1023が搭載されている。なお、制御基板1020の一部又は全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)により実現するとしてもよい。これらの演算回路もプロセッサということができる。そして、サーバシステム1000は、制御基板1020が所定のプログラム及びデータに基づいて演算処理することにより、本実施形態のゲームを運営するための各種サービスを実現する。例えば、プレーヤ登録に係るプレーヤ管理機能、プレーヤ端末1500でのゲームの実行制御を管理するゲーム管理機能、を実現する。つまり、本実施形態におけるゲームは、一種のクライアント・サーバ型のオンラインゲームとして実現される。
【0041】
なお、サーバシステム1000は、
図1に示す単体の構成に限らず、各機能を分担する複数のブレードサーバを搭載して相互に内部バスを介してデータ通信可能に接続した構成であってもよい。或いは、離れた場所に設置された独立した複数のサーバを、通信回線を介してデータ通信させることで、全体としてサーバシステム1000として機能させる構成であってもよい。
【0042】
プレーヤ端末1500は、プレーヤ3がゲームプレイのために個別に使用するコンピュータシステムであって、通信ネットワークNを介してサーバシステム1000と通信を行う電子機器である。本実施形態のプレーヤ端末1500は、ハードウェアとしてはいわゆるスマートフォンと呼ばれる装置として説明するが、携帯型ゲーム装置や、家庭用ゲーム装置、家庭用ゲーム装置のゲームコントローラ、パソコン、タブレット型コンピュータ、ウェアラブルコンピュータ等でもよい。また、
図1に示す単体の装置に限らず、複数の装置が連携して一体的に機能する構成であってもよい。プレーヤ端末1500は、プレーヤ3がゲームプレイをするためのマンマシンインターフェースの機能として役割を主に担う。
【0043】
[ゲームの説明]
ゲームシステム1において提供されるオンラインゲームは、プレーヤがキャラクタ(以下、プレーヤの操作対象のキャラクタを「プレーヤキャラクタ」という)を操作して所与のアイテムを運ぶことで報酬を得ることができるゲームである。
【0044】
図2は、本実施形態のゲームの概要を示す図である。
図2に示すように、本実施形態のゲームはロールプレイングゲームであり、ゲーム空間に構築されたゲームフィールド10上に、複数のプレーヤ3それぞれのプレーヤキャラクタ20が配置される。プレーヤ3は、自身のプレーヤキャラクタ20を操作し、ゲームフィールド10上を移動させる等してゲームを進めてゆく。
【0045】
本実施形態のゲームでは、プレーヤ3は、プレーヤキャラクタ20を操作して所与のアイテムを運ぶことで、当該アイテムの運搬を終了した終了地点と、当該終了地点における当該アイテムの状態とに応じた報酬を得ることができる。
【0046】
図3は、アイテムの運搬の概要を説明する図である。
図3では、運搬の一例として、プレーヤキャラクタ20が、アイテムである“にんじん”を、開始地点である“A町”から、終了地点である“B村”まで運ぶ様子を示している。アイテムの運搬に際して、プレーヤ3は、先ず、運搬の対象として定められたアイテムをプレーヤキャラクタ20に取得させる。運搬の対象として複数種類のアイテムが用意されている。例えば、農産物、種、苗、樹木、海産物、鉱物、油、水、畜産物、薬や機械等の加工品、等がある。アイテムの取得の仕方は、アイテムの種類に応じて様々である。例えば、畑や果樹園、鉱山、海、山等において採集する、店舗で購入する、他キャラクタから譲り受ける、拾う、製作・加工する等により取得することができる。アイテムを取得した地点及び時点が、当該アイテムの運搬の開始地点及び開始時点となる。
【0047】
そして、プレーヤ3は、プレーヤキャラクタ20を、取得したアイテムを所有した状態でゲームフィールド10上を移動させることで、アイテムを運ぶ。アイテムの運搬の終了地点は、予め定められた複数の地点のうちから、プレーヤ3が任意に選択することができる。例えば、町や村等が、終了地点の候補となる。また、開始地点から終了地点に至る通行経路も、プレーヤ3が任意に選択することができる。しかし、プレーヤ3は、終了地点や通行経路を、予め決めておく必要はない。
【0048】
アイテムを運ぶことで得られる報酬は、運搬の終了地点やアイテムの状態に応じて変化する。アイテムの状態は、アイテムを運ぶ通行地点や通行経路(通行情報)等に応じて変化する。従って、プレーヤ3は、自身が所望する報酬が得られるように、変化するアイテムの状態を考慮しつつ、通行地点や通行経路、終了地点等を選んでアイテムを運ぶようにプレーヤキャラクタ20を操作する。
【0049】
[プレーヤへの提示]
アイテムの運搬の終了地点や通行経路、通行地点等を選ぶための参考となるように、プレーヤが運搬の終了地点を仮決定すると、アイテムの状態と仮決定した終了地点とに基づいて、仮決定した終了地点において得られると予測される報酬が提示される。運搬の終了地点の仮決定は、例えば、運搬の終了地点の候補の中からプレーヤ3によって選択されることで行われる。
【0050】
図4は、終了地点を仮決定することでなされる予測報酬の提示の一例を示す図である。
図4では、プレーヤキャラクタ20が、運搬の開始地点である“A町”から“C街”まで移動した時点において、現在位置である“C街”を終了地点として仮決定した例を示している。そして、“C街”でアイテムの運搬を終了した場合に得られると予測される報酬が提示されている。
【0051】
また、アイテムの運搬が終了する前に、運搬の終了地点と、当該終了地点に到達するまでの通行情報とを設定すると、当該終了地点におけるアイテムの状態が予測されて、予測されたアイテムの情報と設定した終了地点とに基づいて、設定した終了地点において得られると予測される報酬が提示される。
【0052】
図5は、終了地点及び通行情報を設定することでなされる予測報酬の提示の一例を示す図である。
図5では、プレーヤキャラクタ20が、運搬の開始地点である“A町”から“C街”まで移動した時点において、“B村”を終了地点として設定するとともに、現在位置である“C街”から“B村”までの通行情報(通行経路)を設定した例を示している。そして、このまま“B村”までアイテムを運搬した場合に得られると予測される報酬が提示されている。なお、終了地点のみを設定し、終了地点に至る通行情報については設定を不要としてもよい。この場合、設定した終了地点に至る通行情報として、例えば、最短経路といった1つの通行情報が予測されるようにすればよい。
【0053】
また、プレーヤ3が、プレーヤキャラクタ20が運搬するアイテム(運搬対象のアイテム)と、当該アイテムの運搬を開始する開始地点とを設定すると、運搬の終了地点として推奨する地点(推奨地点)が提示される。
【0054】
図6は、推奨する終了地点の提示の一例を示す図である。
図6では、プレーヤキャラクタ20が、“A町”を開始地点とし、“にんじん”を運搬するアイテムとして設定した例を示している。そして、推奨する運搬の終了地点として“B村”が提示されるとともに、“A町”から“B村”に至る通行経路が提示されている。推奨する終了地点としては、例えば、アイテムを運ぶことで得られる報酬が最も多くなると予測される地点が選ばれる。
【0055】
[報酬の決定]
本実施形態において、アイテムを運ぶことで得られる報酬は、アイテムの種類ごとに次式(1)のように決定される。
報酬(単位量当たり)=「基準報酬(単位量当たり)」×「アイテムの状態」×「運搬評価値」 ・・・(1)
本実施形態では、複数種類のアイテムを同時に運ぶことできる。報酬はアイテムの種類毎に決定され、それらの合計がプレーヤに付与される。
【0056】
アイテムの種類毎に、単位量当たりの基準報酬が、運搬の開始地点と終了地点との組み合わせに応じて定められている。この基準報酬を、アイテムの状態と運搬評価値とに応じて変更することで、報酬が決定されるといえる。
【0057】
アイテムの状態は、当該アイテムを運ぶ通行地点や通行経路(通行情報)等に応じて変化する。アイテムの状態とは、アイテムの鮮度や品質等を表す。本実施形態では、アイテムの状態を、0.0以上の数値である状態値Jで表す。状態値Jは、大きな値であるほどアイテムが“良い”状態であることを表し、得られる報酬が大きくなる。なお、状態値Jは、0.0以上の範囲において、アイテムの種類に応じて下限値や上限値を定めるようにしてもよい。
【0058】
そして、ある対象時点(t)におけるアイテムの状態値Jtを、直前の時点(t-1)における状態値Jt-1に、対象時点(t)における変化係数Rを乗算した値とすることで、アイテムの状態の変化を表現する。変化係数Rは、0.0以上の数値である。変化係数Rが1.0とは、直前の時点(t-1)における状態Jt-1から変化しないことを表し、変化係数Rが1.0未満とは、直前の時点(t-1)における状態値Jt-1から悪い状態に変化したことを表し、変化係数Rが1.0を超えるとは、直前の時点(t-1)における状態値Jt-1から良い状態に変化したことを表す。なお、変化係数Rは、0.0以上の範囲において、アイテムの種類に応じて下限値や上限値を定めるようにしてもよい。
【0059】
変化係数Rは、アイテムの状態を変化させる要因となる通行地点や通行経路(通行情報)等に関する複数の変化要素rn(n=1,2,・・)を変数とする算出関数F1(r1,r2,・・)によって算出される。算出関数F1は、変化要素rnの値が大きいほど、変化係数Rが大きな値となるような関数である。また、算出関数F1や変化要素rnは、アイテムの種類毎に定められる。
【0060】
図7~
図12は、変化要素rn(r1,r2,・・)を定める変化要素設定テーブル336の一例を説明する図である。変化要素rnはアイテムの種類毎に定められており、
図7~
図12では、ある一種類のアイテムを対象とした変化要素設定テーブル336の一例を示している。また、
図7~
図12では、理解の容易のため、変化要素rnの値として、1.0がアイテムの状態を変化させず、1.0より大きい値であるほどアイテムの状態を“良い”状態に変化させ、1.0より小さい値であるほど、アイテムの状態を“悪い”状態に変化させる要素であるとしている。
【0061】
図7は、運搬時間に関する変化要素r1についての変化要素設定テーブル336Aの一例である。運搬時間は、アイテムの運搬の開始からの経過時間である。
図7の例では、運搬時間が0の時点(運搬の開始時点)における変化要素r1を最大とし、運搬時間が長くなるに従って変化要素r1が小さくなるように定めている。つまり、運搬時間が長くなるに従って、例えば、生鮮食料品等であるアイテムの鮮度が落ちて悪い状態に変化することを表している。対象アイテムの運搬の開始時点から対象時点(t)までの経過時間(運搬時間)に対応する値を、変化要素r1の値として採用する。もしも鉱物等の鮮度という概念の無いアイテムの場合には、変化要素r1を1に固定することができる。
【0062】
図8は、プレーヤキャラクタの所有・装備アイテムに関する変化要素r2についての変化要素設定テーブル336Bの一例である。
図8の例では、複数の所有・装備アイテムを列挙し、それぞれに変化要素r2の値を定めている。ここで列挙される所有・装備アイテムは、プレーヤキャラクタ20が所有又は装備することで、対象アイテムの状態の変化に影響を与える(変化させる)機能を有するアイテムである。対象時点(t)においてプレーヤキャラクタ20が満たす所有・装備アイテムに対応する値を、変化要素r2の値として採用する。なお、プレーヤキャラクタ20が満たす所有・装備アイテムが複数ある場合には、それらの所有・装備アイテムに対応する値のうち、例えば、最大の値を変化要素r2の値として採用するようにすればよい。
【0063】
図9は、同時に運ぶ他のアイテムの種類に関する変化要素r3についての変化要素設定テーブル336Cの一例である
図9の例では、他のアイテムの種類を列挙し、それぞれに変化要素r3を定めている。ここで列挙される他のアイテムの種類は、近傍に置くことで対象アイテムの状態の変化に影響を与える種類のアイテムである。対象時点(t)において対象アイテムと同時に運んでいる他のアイテムの種類に対応する値を、変化要素r3の値として採用する。なお、同時に運んでいる他のアイテムの種類が複数ある場合には、例えば、それらの他の種類のアイテムそれぞれに対応する値の積算値や平均値を、変化要素r2の値として採用するようにすればよい。
【0064】
図10は、通行地点に関する変化要素r4についての変化要素設定テーブル336Dの一例である。
図10では、複数の通行地点を列挙し、それぞれに変化要素r4の値を定めている。ここで列挙される通行地点とは、ゲームフィールド上の町や村、城、関所等の施設が設けられた地理的な地点や、山岳や砂漠、海、川等の地形的な地点であり、通行することで、アイテムの状態の変化に影響を与える地点である。直前の時点(t-1)から対象時点(t)までの間に通行した地点(通行地点)に対応する値を、変化要素r4の値として採用する。なお、通行地点が複数ある場合には、例えば、それらの通行地点それぞれに対応する値の平均値や積算値を、変化要素r4の値として採用するようにすればよい。
【0065】
図11は、通行経路上の環境属性に関する変化要素r5についての変化要素設定テーブル336Eの一例である。環境属性とは、ゲームフィールド上の気温や湿度、気圧、風速等の環境に関する属性である。例えば、砂漠や草原、山岳、海、山等の地形、熱帯や寒帯等の気候といった場所に固定の属性のほか、豪雨や晴天、雪、台風等の天気といった、時間に応じて変動する属性がある。
図11の例では、複数の環境属性を列挙し、それぞれに変化要素r5の値を定めている直前の時点(t-1)から対象時点(t)までの間に通行した経路上の環境要素に対応する値を、変化要素r5の値として採用するなお、環境属性が複数ある場合には、例えば、それらの環境属性それぞれに対応する値の平均値や積算値を、変化要素r5の値として採用するようにすればよい。
【0066】
図12は、プレーヤキャラクタ20の移動手段に関する変化要素r6についての変化要素設定テーブル336Fの一例である。
図12では、複数の移動手段を列挙し、それぞれに変化要素r6の値を定めている。対象時点(t)におけるプレーヤキャラクタ20の移動手段に対応する値を、変化要素r6の値として採用する。
【0067】
運搬評価値は、アイテムの運搬に対する評価を表す値であり、0.0以上の数値である。運搬評価値は、大きな値であるほど評価が“高い”ことを表し、得られる報酬が大きくなる。なお、評価値は、0.0以上の範囲において、アイテムの種類に応じて、下限値や上限値を定めるようにしてもよい。運搬評価値は、運搬そのものやプレーヤに関する複数の評価要素pn(n=1,2,・・)を変数とする算出関数F2(p1,p2,・・)によって算出される。算出関数F2は、評価要素pnが大きいほど、運搬評価値が大きくなるような関数に定められている。また、算出関数F2や評価要素pは、アイテムの種類毎に定められる。
【0068】
図13~
図16は、評価要素pn(n=1,2,・・)を定める評価要素設定テーブル339の一例を示す図である。評価要素pnはアイテムの種類毎に定められており、
図13~
図16では、ある一種類のアイテムを対象とした評価要素設定テーブル339の一例を示している。また、
図13~
図16では、理解の容易のため、評価要素pnの値として、1.0が基準報酬から変化させず、1.0より大きい値であるほど基準報酬から大きくなるように変化させ、1.0より小さい値であるほど基準報酬から小さくなるように変化させる要素であるとしている。
【0069】
図13は、実際の運搬時間と参考運搬時間との比較に関する評価要素p1についての評価要素設定テーブル339Aの一例である。参考運搬時間は、開始地点と終了地点との組み合わせ毎に予め定められる。例えば、開始地点から終了地点までの距離(道のり)に比例するように定めてもよいし、他プレーヤの実績の運搬時間の平均値としてもよい。
図13では、参考運搬時間からプレーヤの実際の運搬時間を差し引いた時間差が大きいほど、つまり、参考運搬時間よりも早くアイテムを運ぶことができるほど、評価要素p1の値が大きくなるように定めている。
【0070】
図14は、実際の運搬時間と目標運搬時間との比較に関する評価要素p2についての評価要素設定テーブル339Bの一例である。目標運搬時間は、プレーヤが自身で設定した運搬時間である。
図14では、目標運搬時間からプレーヤの実際の運搬時間を差し引いた時間差の大きさ(絶対値)が小さいほど、つまり、目標運搬時間に近い時間でアイテムを運ぶことができるほど、評価要素p2の値が大きくなるように定めている。
【0071】
図15は、終了地点への実際の到達日時と指定到達日時との比較に関する評価要素p3についての評価要素設定テーブル339Cの一例である。指定到達日時とは、終了地点への到達日時として指定されたゲーム内日時である。
図15の例では、指定日時と実際の到達日時との時間差の大きさ(絶対値)が小さいほど、つまり、指定日時に近い日時にアイテムを運ぶことができるほど、評価要素p3が大きくなるように定めている。
【0072】
図16は、プレーヤの運搬ランクに関する評価要素p4についての評価要素設定テーブル339の一例である。プレーヤの運搬ランクとは、プレーヤのアイテムの運搬実績に応じて定められる値である。例えば、アイテムの運搬回数や、得られた報酬の合計によって、それらが大きいほど運搬ランクが高くなるように定められる。
図16の例では、運搬ランクが高いほど、評価要素p4が大きくなるように定められている。
【0073】
[機能構成]
図17は、サーバシステム1000の機能構成を示すブロック図である。
図17によれば、サーバシステム1000は、操作入力部102と、画像表示部104と、音出力部106と、通信部108と、サーバ処理部200と、サーバ記憶部300とを備える。
【0074】
操作入力部102は、サーバシステム1000の管理のための各種の操作入力に応じて操作入力信号をサーバ処理部200に出力する。
図1のキーボード1002がこれに該当する。
【0075】
サーバ処理部200は、例えば、CPUやGPU等のプロセッサや、ASIC、ICメモリ等の電子部品によって実現され、操作入力部102やサーバ記憶部300を含む各機能部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部102からの操作入力信号、プレーヤ端末1500からの受信データ等に基づいて各種の演算処理を実行して、サーバシステム1000の動作を統合的に制御する。
図1の制御基板1020がこれに該当する。また、サーバ処理部200は、プレーヤ管理部202と、ゲーム管理部210と、計時部230と、画像生成部234と、音生成部236と、通信制御部238とを有する。勿論、これら以外の機能も適宜含めることができる。
【0076】
プレーヤ管理部202は、プレーヤ3の登録管理に係る各種処理を行う。本実施形態では、登録プレーヤへの固有のプレーヤアカウントの付与、プレーヤアカウント別に個人情報を登録管理する登録情報管理、ゲームデータの管理等の各機能を有する。勿論、これら以外のアカウントに紐付けられるデータの管理機能も適宜含めることができる。プレーヤ管理部202は、プレーヤ登録手続きを経たプレーヤ3に固有のアカウント(プレーヤID)を割り当ててプレーヤ管理データ350を生成することで、各プレーヤ3に関するデータの管理を行う。
【0077】
図18は、プレーヤ管理データ350の一例を示す図である。
図18によれば、プレーヤ管理データ350は、登録プレーヤ3毎に生成され、プレーヤアカウント351と、当該プレーヤ3のプレーヤ端末1500に関するプレーヤ端末情報352と、セーブデータ360とを含む。プレーヤアカウント351は、当該プレーヤ3に割り当てた固有のプレーヤIDのほか、当該プレーヤ3によって任意に設定されるプレーヤ名やログイン認証のためのパスワード等を含む。セーブデータ360は、当該プレーヤ3のこれまでのゲームの進行状況に関するデータであり、プレーヤレベル361と、プレイ履歴データ362と、プレーヤキャラクタ情報363と、保有アイテム情報364と、保有運搬ポイント365と、運搬ランク366と、運搬実績情報367とを含む。
【0078】
保有運搬ポイント365は、当該プレーヤ3が保有している運搬ポイントである。運搬ポイントは、アイテムを運搬することで獲得することができる。獲得できる運搬ポイントは、運搬ポイント設定テーブル342(
図19参照)として定められている。運搬ランク366は、当該プレーヤ3のアイテムの運搬に関するランクであり、保有運搬ポイント365に応じて設定される。
【0079】
運搬実績情報367は、当該プレーヤが行ったアイテムの運搬の実績情報であり、1回の運搬毎に生成される。1つの運搬実績情報367は、運搬IDに対応付けて、運搬したアイテムの種類及び単位量数と、運搬の開始地点及び開始日時と、運搬の終了地点及び終了日時と、通行情報と、当該プレーヤ3により設定された目標運搬時間と、指定到達日時と、当該プレーヤ3に付与された付与報酬とを格納している。通行情報は、開始地点から終了地点に至る通行経路や通行地点を含む。
【0080】
ゲーム管理部210は、ゲームの実行管理に係る各種処理を行う。本実施形態のゲームは、クライアント・サーバ型のオンラインゲームなので、ゲーム管理部210は、プレーヤ端末1500と通信を行いながらゲームプレイに必要なデータを提供する制御を行う。本実施形態では、ゲームサーバプログラム302に従って、プレーヤがキャラクタを操作してアイテムを運ぶことで報酬を得ることができるゲームを進行制御する。当該ゲームの進行制御は、アイテムの運搬に関する初期設定データである運搬初期設定データ320を用いて行う。
【0081】
図19は、運搬初期設定データ320の一例を示す図である。
図19によれば、運搬初期設定データ320は、ランク設定テーブル322と、運搬アイテム設定データ330とを含む。
【0082】
ランク設定テーブル322は、プレーヤの運搬ランクの設定テーブルである。ランク設定テーブル322は、例えば、保有運搬ポイントが多いほどランクが高くなるように、プレーヤの保有運搬ポイントと運搬ランクとを対応付けて設定している。
【0083】
運搬アイテム設定データ330は、運搬の対象となるアイテムについて定めたデータであり、アイテムの種類毎に用意される。1つの運搬アイテム設定データ330は、該当するアイテムの種類331と、開始・終了地点候補リスト332と、単位量当たりの基準運搬コスト333と、最大運搬コスト設定テーブル334と、単位量当たりの初期状態値335と、変化要素設定テーブル336(
図7~
図12参照)と、状態変化係数算出関数337と、基準報酬設定テーブル338と、評価要素設定テーブル339(
図13~
図16参照)と、運搬評価値算出関数340と、参考運搬時間テーブル341と、運搬ポイント設定テーブル342とを格納している。
【0084】
開始・終了地点候補リスト332は、運搬の開始地点及び/又は終了地点の候補となる地点の一覧である。アイテムの取得地点が、当該アイテムの運搬の開始地点となる。
【0085】
基準運搬コスト333は、当該アイテムを単位量だけ運ぶのに要するコストである。プレーヤ3は、最大運搬コスト設定テーブル334で定められる最大運搬コストを超えない単位量数のアイテムを、同時に運ぶことができる。複数種類のアイテムを同時に運ぶ場合には、アイテムの種類毎に、当該種類の単位量当たりの基準運搬コストに当該種類のアイテムの単位量数を乗算した種類別コストを求め、この種類別コストの合計が最大運搬コストを超えないように、複数種類のアイテムを組み合わせることになる。
図20は、最大運搬コスト設定テーブル334の一例を示す図である。
図20によれば、最大運搬コスト設定テーブル334は、プレーヤの装備アイテムそれぞれについて、最大運搬コストを対応付けて設定している。
【0086】
初期状態値335は、当該アイテムの運搬の開始時点(つまり、取得時点)における状態値J0である。当該アイテムの状態値Jは、この初期状態値J0から、状態変更制御部212の変更制御によって変化されてゆく。
【0087】
状態変化係数算出関数337は、変化要素rn(n=1,2,・・)を変数として変化係数Rを算出するための算出関数F1(r1,r2,・・)である。
【0088】
基準報酬設定テーブル338は、当該種類のアイテムを運ぶことで得られる基準報酬を定める。
図21は、基準報酬設定テーブル338の一例を示す図である。
図21によれば、基準報酬設定テーブル338は、開始地点及び終了地点の組み合わせそれぞれについて、当該種類のアイテムを単位量当たり運んだときの基準報酬を対応付けて定めている。
【0089】
参考運搬時間テーブル341は、当該種類のアイテムを運ぶ際の参考運搬時間を定める。
図22は、参考運搬時間テーブル341の一例を示す図である。
図22によれば、参考運搬時間テーブル341は、開始地点及び終了地点の組み合わせそれぞれについて、参考運搬時間を対応付けて格納している。参考運搬時間は、例えば、開始地点から終了地点までを所定の移動速度で移動したときに要する時間や、各プレーヤの実績の運搬時間の平均時間、として定められる。
【0090】
運搬ポイント設定テーブル342は、当該種類のアイテムを運ぶことで獲得できる運搬ポイントの設定テーブルである。運搬ポイント設定テーブル342は、例えば、開始地点及び終了地点の組み合わせそれぞれについて、単位量当たりのアイテムを運ぶことで獲得できる運搬ポイントを対応付けて格納している。例えば、開始地点から終了地点に至る距離が長いほど運搬ポイントが多くなるように定められる。
【0091】
図17に戻り、ゲーム管理部210は、状態変更制御部212と、報酬決定部214と、終了地点仮決定部216と、予測制御部218と、目標運搬時間設定部220と、推奨地点提示制御部222とを有する。
【0092】
状態変更制御部212は、アイテムを運ぶ通行地点又は通行経路(以下包括して「通行情報」という)に基づいて、アイテムの状態を変化させる制御を行う。アイテムの状態は、1)アイテムの運搬を所与の開始地点から開始して所与の終了地点に到達するまでの運搬時間、2)複数種類のアイテムを運ぶ場合の当該アイテムの組み合わせ、3)キャラクタの所有アイテム及び/又は装備、のうちの少なくとも1つに基づいて変化させる。
【0093】
具体的には、プレーヤキャラクタ20が運搬しているアイテムに対して、アイテムの状態を表す状態値Jの算出・更新を繰り返すことで、当該アイテムの状態を変更する状態変更制御処理を行う。すなわち、運搬の開始時点におけるアイテムの状態値を、当該アイテムの種類に該当する初期状態値335に設定する。そして、所定時間の経過毎に、当該アイテムの種類に該当する変化要素設定テーブル336に従って現時点(t)における変化要素rnを求め、これらの変化要素rnを用いて、状態変化係数算出関数337に従って、現時点(t)における変化係数Rtを算出し、直前の時点(t-1)における状態値Jt-1にこの変化係数Rtを乗算して現時点(t)状態値Jtを求めることで、当該アイテムの状態を変化させる。
【0094】
報酬決定部214は、アイテムの状態と、アイテムの運搬を終了する所与の終了地点に関する情報とに基づいて、プレーヤに付与する報酬を可変に決定する。報酬は、1)所与の参考運搬時間と運搬時間とを比較した比較結果、2)終了地点に到達したゲーム内日時と所与のゲーム内指定到達日時とを比較した比較結果、3)プレーヤのプレーヤ情報、4)プレーヤ情報に含まれるアイテムの運搬実績情報、のうちの少なくとも1つに基づいて変更する。
【0095】
具体的には、プレーヤキャラクタ20によるアイテムの運搬が終了すると、当該アイテムの種類に該当する基準報酬設定テーブル338に従って、当該運搬の開始地点と終了地点との組み合わせに対応する基準報酬を求める。また、当該アイテムの種類に該当する評価要素設定テーブル339に従って、評価要素pnを求める。次いで、運搬評価値算出関数340に従って、求めた評価要素pnを用いて、運搬評価値を算出する。そして、求めた基準報酬及び運搬評価値と、状態変更制御部212によって求められた当該アイテムの運搬の終了時点における状態値Jとを用いて、式(1)に従って、プレーヤ3に付与する報酬を算出する。
【0096】
また、報酬決定部214は、アイテムの状態と、終了地点仮決定部216により仮決定された終了地点に関する情報とに基づいて、報酬を仮決定し、当該仮決定した報酬をプレーヤに提示する制御を行う。具体的には、終了地点が仮決定された時点におけるアイテムの状態と、仮決定された終了地点とに基づいて、仮決定された終了地点において運搬を終了したときにプレーヤ3に付与する報酬を算出し、仮決定した報酬としてプレーヤに提示する(
図4参照)。
【0097】
終了地点仮決定部216は、プレーヤの操作に基づいて、アイテムの運搬の終了地点を仮決定する。
【0098】
予測制御部218は、アイテムの運搬が終了する前に、終了地点と、当該終了地点に到達するまでの通行情報とを、プレーヤの操作入力に基づいて設定することで、当該終了地点におけるアイテムの状態を予測し、予測した前記アイテムの情報と当該終了地点とに基づいて、報酬を予測する。
【0099】
具体的には、プレーヤキャラクタ20によるアイテムの運搬が終了する前に、例えばプレーヤの設定操作に従って、運搬の終了地点と、当該プレーヤキャラクタ20の現在位置から当該終了地点までの通行経路や通行地点等の通行情報とを設定する。
【0100】
次いで、プレーヤキャラクタ20が、設定した通行情報に従って所定の基準速度で移動したときに設定した終了地点に到達する時点を運搬の終了時点として、当該終了時点におけるアイテムの状態を予測する。アイテムの状態の予測は、例えば、状態変更制御部212が行う状態変更制御処理と同様に行うことができる。そして、予測したアイテムの状態と、設定した終了地点とに基づいて、設定した終了地点においてアイテムの運搬を終了したときにプレーヤ3に付与する報酬を算出し、仮決定した報酬としてプレーヤ3に提示する(
図5参照)。
【0101】
目標運搬時間設定部220は、参考運搬時間を、目標運搬時間としてプレーヤが設定する。具体的には、例えばプレーヤの設定操作に従って設定した目標運搬時間を、参考運搬時間とする。
【0102】
推奨地点提示制御部222は、運搬可能な複数種類のアイテムのうちの運搬対象のアイテムと、当該アイテムの運搬を開始する開始地点とをプレーヤの操作入力に基づいて設定し、設定した運搬対象のアイテム及び開始地点に基づいて終了地点として推奨する地点を選択する推奨地点選択処理を実行することで選択した推奨地点をプレーヤに提示する。
【0103】
具体的には、例えばプレーヤの設定操作に従って、運搬するアイテムの種類と運搬の開始地点とを設定する。次いで、当該アイテムの種類に該当する開始・終了地点候補リスト332にて定められる終了地点の候補それぞれについて、当該終了地点までアイテムを運んだときに得られると予測される報酬を算出する。報酬の算出は、報酬決定部214が行う報酬の決定と同様に行ことができる。そして、例えば、予測される報酬が最も“良い”終了地点を、推奨する終了地点(推奨地点)として、プレーヤに提示する(
図6参照)。
【0104】
計時部230は、システムクロックを利用して現在日時等の計時を行う。
【0105】
画像生成部234は、サーバシステム1000のシステム管理に関する画像や、プレーヤ端末1500で表示させるための画像等を生成する。そして、システム管理に関する画像信号を画像表示部104へ出力する。画像表示部104は、画像生成部234から入力される画像信号に基づいてシステム管理のための各種画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、プロジェクタといった画像表示装置によって実現できる。
図1のディスプレイ1004がこれに該当する。
【0106】
音生成部236は、音声データの生成やデコードをするICやソフトウェアの実行により実現され、サーバシステム1000のシステム管理やゲームプレイに係る操作音やBGM等の音声データを生成或いはデコードする。そして、システム管理に関する音声信号を音出力部106へ出力する。音出力部106は、音声信号に基づく音声を放音する。
図1の本体装置1010やディスプレイ1004が備えるスピーカ(不図示)がこれに該当する。
【0107】
通信制御部238は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部108を介して外部装置とのデータのやり取りを実現する。通信部108は、通信ネットワークNと接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現される。
図1の通信装置1023がこれに該当する。
【0108】
サーバ記憶部300は、サーバ処理部200にサーバシステム1000を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのプログラムや各種データ等を記憶する。また、サーバ処理部200の作業領域として用いられ、サーバ処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。例えば、RAMやROM等のICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVD等の光学ディスク、オンラインストレージ等によって実現される。サーバ記憶部300には、ゲームサーバプログラム302と、配信用クライアントプログラム304と、ゲームの実行制御に必要なゲーム初期設定データ310と、プレーヤ管理データ350と、プレイデータ370とが記憶される。
【0109】
ゲームサーバプログラム302は、本実施形態のオンラインゲームのゲームサーバとしての機能を実現させるためのプログラムである。配信用クライアントプログラム304は、プレーヤ端末1500にダウンロードされるクライアントプログラム702(
図25参照)のオリジナルである。
【0110】
図23は、ゲーム初期設定データ310の一例を示す図である。
図23に示すように、ゲーム初期設定データ310は、ゲーム空間初期設定データ312と、キャラクタ初期設定データ314と、環境属性設定データ316と、運搬初期設定データ320(
図19参照)とを含む。
【0111】
ゲーム空間初期設定データ312は、ゲーム空間に構築されるゲームフィールド10に関する初期設定データであり、ゲームフィールド10を構成する地形や構造物等の定義データを格納する。
【0112】
キャラクタ初期設定データ314は、ゲームに登場するキャラクタ(プレーヤキャラクタ20や敵キャラクタを含む)に関する初期設定データであり、キャラクタ毎に、種類、レベル、レアリティ値、属性、戦闘能力値、攻撃力、防御力等の初期値のほか、モデルデータ等の当該キャラクタの定義データを格納する。
【0113】
環境属性設定データ316は、ゲーム空間に構築されるゲームフィールド上の気温や湿度、気圧、風速等の環境属性の設定データである。例えば、砂漠や草原、山岳、海、山等の地形、熱帯や寒帯等の気候といった場所に固定的に設定される属性のほか、豪雨や晴天、雪、台風等の天気といった、時間に応じて変動する属性の変動条件を含む。
【0114】
図24は、プレイデータ370の一例を示す図である。
図24によれば、プレイデータ370は、ゲームプレイに関する各種データとして、ゲーム空間制御データ372と、プレーヤキャラクタ制御データ380とを含む。
【0115】
プレーヤキャラクタ制御データ380は、ゲームに登場するプレーヤキャラクタ20に関するデータであり、プレーヤキャラクタ20毎に用意される。1つのプレーヤキャラクタ制御データ380は、該当するプレーヤキャラクタ20を操作するプレーヤのプレーヤID381と、当該プレーヤキャラクタ20の種類382と、保有・装備アイテム383と、運搬制御データ390とを含む。運搬制御データ390は、当該プレーヤキャラクタ20が運んでいるアイテムに関するデータであり、最大運搬コスト391と、運搬中アイテムデータ392とを含む。運搬中アイテムデータ392は、アイテムの種類毎に生成される。1つの運搬中アイテムデータ392は、該当するアイテムの種類と、運搬している単位量数と、運搬の開始地点と、運搬の開始日時と、開始地点から現在位置までの通行情報と、目標運搬時間と、指定到達日時とを含む。
【0116】
[プレーヤ端末]
図25は、プレーヤ端末1500の機能構成の一例を示すブロック図である。
図25によれば、プレーヤ端末1500は、操作入力部502と、画像表示部504と、音出力部506と、通信部508と、端末処理部600と、端末記憶部700とを備える。
【0117】
操作入力部502は、プレーヤ3による各種の操作や設定の入力に応じた操作入力信号を端末処理部600に出力する。例えば、タッチパネル、プッシュスイッチやジョイスティック、タッチパッド、トラックボール、加速度センサ、ジャイロ、CCDモジュール等によって実現できる。
【0118】
端末処理部600は、例えば、CPUやGPU等のマイクロプロセッサや、ICメモリ等の電子部品によって実現され、操作入力部502や端末記憶部700を含む各機能部との間でデータの入出力制御を行う。そして、所定のプログラムやデータ、操作入力部502からの操作信号、サーバシステム1000からの受信データ等に基づいて各種の演算処理を実行して、プレーヤ端末1500の動作を制御する。また、端末処理部600は、端末演算部610と、計時部620と、音生成部626と、通信制御部628とを有する。
【0119】
端末演算部610は、操作信号送信制御部612と、画像表示制御部614とを有し、プレーヤ端末1500をサーバシステム1000と通信するクライアント装置としての機能を実現させるための制御を行う。
【0120】
操作信号送信制御部612は、操作入力部502になされた操作に応じて、各種データやリクエストをサーバシステム1000へ送信するための処理を実行する。
【0121】
画像表示制御部614は、サーバシステム1000から受信した各種画像データに基づいてゲーム画面や各種の操作画面等を表示するための制御を行う。そして、それらの画像を表示させるための画像信号を生成し、画像表示部504に出力する。画像表示部504は、画像表示制御部614から入力される画像信号に基づいて各種画像を表示する。例えば、タッチパネル、フラットパネルディスプレイ、プロジェクタ、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。
【0122】
計時部620は、システムクロックを利用して現在日時等の計時を行う。
【0123】
音生成部626は、例えば、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)や、音声合成IC等のプロセッサ、音声ファイルを再生するためのオーディオコーディック等によって実現され、ゲームに係る効果音やBGM、各種操作音等の音信号を生成し、音出力部506に出力する。音出力部506は、音生成部626から入力される音信号に基づいて効果音やBGM等を出力する。
【0124】
通信制御部628は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部508を介して外部装置(主にサーバシステム1000)とのデータのやり取りを実現する。通信部508は、通信ネットワークNと接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現される。
【0125】
端末記憶部700は、端末処理部600に所与の機能を実現させるためのシステムプログラムや、各種データ等を記憶する。また、端末処理部600の作業領域として用いられ、端末処理部600が各種プログラムに従って実行した演算結果や、操作入力部502からの入力データ等を一時的に記憶する。例えば、RAMやROM等のICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVD等の光学ディスク等によって実現される。本実施形態では、端末記憶部700は、クライアントプログラム702を記憶する。
【0126】
[処理の流れ]
図26は、ゲーム処理のうち、アイテムの運搬に関する処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、1回のアイテムの運搬に関する処理であり、ゲーム管理部210が実行する。
【0127】
先ず、プレーヤ3の操作入力に従って、プレーヤキャラクタ20に運搬するアイテムを取得させる(ステップS1)。そして、アイテムの取得地点及び取得時点を、アイテムの運搬の開始地点及び開始時点とする(ステップS3)。次いで、状態変更制御部212が、アイテムを対象とした状態変更制御処理を開始する(ステップS5)。
【0128】
プレーヤ3の操作入力により、運搬の終了地点が設定(仮設定)されたならば(ステップS7:YES)、予測制御部218が、設定された終了地点における当該アイテムの状態を予測する(ステップS9)。そして、設定された終了地点と予測したアイテムの状態とに基づいて、設定された終了地点における報酬を予測し(ステップS11)、予測した報酬をプレーヤ3に対して提示する(ステップS13)。
【0129】
また、プレーヤ3の操作入力により、運搬の終了地点(運搬終了)が仮決定されたならば(ステップS15:YES)、報酬決定部214が、仮決定された終了地点とアイテムの状態とに基づいて、仮決定された終了地点における報酬を仮決定し(ステップS17)、仮決定した報酬とプレーヤ3に対して提示する(ステップS19)。
【0130】
また、プレーヤ3の操作入力により、運搬の終了地点(運搬終了)が決定されたならば(ステップS21:YES)、プレーヤキャラクタ20の現在位置を運搬の終了地点としてプレーヤ3に付与する報酬を決定し(ステップS23)、決定した報酬をプレーヤ3に付与する(ステップS25)。以上の処理を行うと、本処理は終了となる。
【0131】
[作用効果]
このように、本実施形態によれば、アイテムを運ぶことで報酬が得られるゲームにおける興趣性を向上させることができる。つまり、アイテムの状態と運搬の終了地点に関する情報とに基づいて、プレーヤ3に付与する報酬が可変に決定される。アイテムの状態は、アイテムを運ぶ通行地点や通行経路(通行情報)によって変化される。従って、同じアイテムであっても、運搬の終了地点に関する情報が異なれば得られる報酬も異なり得るし、また、運搬の終了地点に関する情報が同じであっても、終了地点に至る通行地点や通行経路等の通行情報が異なれば、アイテムの状態が変化し得ることから得られる報酬も変化し得る。これにより、プレーヤ3は、所望の報酬が得られるようにアイテムの状態の変化を考慮しつつ通行地点や通行経路を選んでアイテムを運ぶ必要が生じるので、アイテムの運搬に関する興趣性を高めることができる。
【0132】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0133】
(A)複数のプレーヤキャラクタでアイテムを運ぶ
上述の実施形態では、一人のプレーヤキャラクタ20が単独でアイテムを運ぶとしたが、複数のプレーヤキャラクタ20で協力してアイテムを運ぶようにしてもよい。なお、アイテムを協力して運ぶプレーヤキャラクタ20の一部を、ノンプレーヤキャラクタ(NPC)としてもよい。
【0134】
図27は、この場合のサーバシステム1000Aの機能構成例である。
図27に示すように、サーバシステム1000Aは、ゲーム管理部210Aにおいて、更に、複数プレーヤ運搬制御部224を有する。
【0135】
複数プレーヤ運搬制御部224は、複数のプレーヤが各々のキャラクタを操作してアイテムを運ぶ制御を行う。この場合、運搬の対象となるアイテムについて、種類毎に当該種類のアイテムを運搬するのに必要なプレーヤキャラクタの最少人数を定めることで、プレーヤキャラクタ20の人数によって運ぶことができるアイテムの種類が異なるようにしてもよい。
【0136】
報酬決定部214は、更に、複数プレーヤ運搬制御部224によってアイテムの運搬が制御された場合に、当該アイテムを運んだ各プレーヤのプレーヤ情報に基づいて、報酬を変更する、具体的には、一緒に運んだ各プレーヤ3に付与する報酬として、1人のプレーヤキャラクタ20で運んだときに付与する報酬に加えて、例えば、プレーヤキャラクタの人数や、各プレーヤの運搬実績情報367に基づく運搬ランクに応じた特別報酬を追加して付与するようにすることができる。運搬実績情報367はプレーヤ情報の1つである。また、特別報酬は、プレーヤ3毎に異なるようにしてもよい。
【0137】
(B)アイテムの奪取
他キャラクタが運搬しているアイテムを途中で奪取して、当該他キャラクタとは別のプレーヤキャラクタ20がアイテムの運搬を継続するようにしてもよい。この場合、他キャラクタによる運搬の開始地点からプレーヤキャラクタ20が運搬を開始したとみなして、当該終了地点にアイテムを運んだ(運搬を終了した)プレーヤキャラクタ20のプレーヤに、報酬を付与する。他キャラクタは、他プレーヤのプレーヤキャラクタであってもよいし、ノンプレーヤキャラクタであってもよい。
【0138】
図28は、この場合のサーバシステム1000Bの機能構成例である。
図28に示すように、サーバシステム1000Aは、ゲーム管理部210Bにおいて、更に、奪取行為制御部226と、奪取アイテム運搬報酬付与部228を有する。
【0139】
奪取行為制御部226は、プレーヤ3の操作対象キャラクタとは異なる他キャラクタがアイテムを運搬している途中で、当該他キャラクタから当該アイテムを奪取する奪取行為を、プレーヤの操作入力に基づいて操作対象キャラクタに行わせる。
【0140】
奪取アイテム運搬報酬付与部228は、奪取行為制御部226によって制御される奪取行為によって奪取したアイテムを終了地点に運搬することで、プレーヤ3に報酬を付与する。プレーヤ3に付与する報酬は、他キャラクタによる運搬の開始地点からプレーヤキャラクタ20が運搬を開始したとみなした報酬とする。この報酬に加えて、更に、奪取行為を行った地点や、他キャラクタ及びプレーヤキャラクタ20それぞれの通行情報やプレーヤ情報等に基づいて、特別報酬を追加するようにしてもよい。更には、特別報酬の追加ではなく、ペナルティとして報酬を減少するようにしてもよい。
【0141】
(C)コンピュータシステム
また、上述の実施形態では、クライアント・サーバ型のコンピュータシステムであるゲームシステム1においてオンラインゲームを実現する例を挙げたが、複数のプレーヤ端末1500をピアツーピア接続したコンピュータシステムにおいて実現するとしてもよい。この場合、何れかのプレーヤ端末1500に、上述の実施形態のサーバシステム1000の機能を担わせる。或いは、複数のプレーヤ端末1500でゲーム管理部210の機能を分担して担う構成としてもよい。
【0142】
また、シングルプレイのゲームを実現するとしてもよい。その場合、上述したサーバシステム1000のゲーム管理部210の機能を、プレーヤ端末1500が有するように構成し、サーバ記憶部300に記憶される各種データを端末記憶部700に記憶させる。そして、ゲームサーバプログラム302の代わりに、プレーヤ端末1500が実行するゲームプログラムを端末記憶部700に記載させ、このゲームプログラムを読み出して実行することで、上述したサーバシステム1000と同様の機能を実現する。アイテムを運搬する処理は、
図26を参照して説明した主体をプレーヤ端末1500に読み替える処理となる。
【0143】
(D)ゲームの種類
また、上述の実施形態では、ゲームシステム1が提供するゲームをロールプレイングゲームとしたが、プレーヤがプレーヤキャラクタを操作して楽しむゲームであれば、アクションゲームやシミュレーションゲームなど、他のタイプのゲームにも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0144】
1…ゲームシステム
1000(1000A,1000B)…サーバシステム
200…サーバ処理部
202…プレーヤ管理部
210…ゲーム管理部
212…状態変更制御部
214…報酬決定部
216…終了地点仮決定部
218…予測制御部
220…目標運搬時間設定部
222…推奨地点提示制御部
224…複数プレーヤ運搬制御部
226…奪取行為制御部
228…奪取アイテム運搬報酬付与部
300…サーバ記憶部
302…ゲームサーバプログラム
304…配信用クライアントプログラム
310…ゲーム初期設定データ
320…運搬初期設定データ
330…運搬アイテム設定データ
342…変化要素設定テーブル
348…評価要素設定テーブル
350…プレーヤ管理データ
370…プレイデータ
1500…プレーヤ端末
3…プレーヤ
10…ゲームフィールド
20…プレーヤキャラクタ