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特開2022-155302通信システム、中継装置及び通信方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155302
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】通信システム、中継装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/247 20220101AFI20221005BHJP
【FI】
H04L12/711
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058733
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴 俊広
(72)【発明者】
【氏名】武智 宏人
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 克寛
(72)【発明者】
【氏名】菅野 康隆
(72)【発明者】
【氏名】前田 英樹
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA12
5K030HC01
5K030MA04
5K030MB01
5K030MC03
5K030MD02
(57)【要約】
【課題】MC-LAG方式及びリニアプロテクション方式で接続する冗長方式の通信システムにおいて通信信頼性及び通信効率の向上を図る通信システム等を提供する。
【解決手段】通信システムは、第1の中継装置と第3の中継装置との間、第1の中継装置と第2の中継装置との間、第2の中継装置と第4の中継装置との間及び、第3の中継装置と第4の中継装置との間をリニアプロテクション方式で接続する。第1の中継装置は、リニアプロテクション方式の論理パスの始端点としてMC-LAGで接続する第1の通信装置との接続を確立する。第3の中継装置は、始端点に対する論理パスの第1の終端点として第1の経路における論理パスの接続を確立し、MC-LAGで接続する第2の通信装置と通信する。第4の中継装置は、始端点に対する論理パスの第2の終端点として第2の経路における論理パスの接続を確立し、MC-LAGで接続する第2の通信装置と通信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信装置に対して第1のMC-LAG(Multi-Chassis Link Aggregation)方式で接続する第1の中継装置及び第2の中継装置と、第2の通信装置に対して第2のMC-LAG方式で接続する第3の中継装置及び第4の中継装置とを有し、前記第1の中継装置と前記第3の中継装置との間、前記第1の中継装置と前記第2の中継装置との間、前記第2の中継装置と前記第4の中継装置との間及び、前記第3の中継装置と前記第4の中継装置との間をリニアプロテクション方式で接続する通信システムであって、
前記第1の中継装置は、
前記リニアプロテクション方式の論理パスの始端点として前記第1の通信装置との接続を確立し、
前記第3の中継装置は、
前記始端点に対する前記論理パスの第1の終端点として前記リニアプロテクション方式の第1の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との通信を実行し、
前記第4の中継装置は、
前記始端点に対する前記論理パスの第2の終端点として前記リニアプロテクション方式の第2の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との通信を実行することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記通信システムは、
前記第3の中継装置が正常の場合に、前記第1の経路における前記論理パスの接続を確立し、
前記第3の中継装置が異常の場合に、前記始端点からの前記論理パスを前記第2の中継装置を経由して前記第4の中継装置内の前記第2の終端点に至る前記第2の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2のMC-LAG方式でアクティブ化されている前記第3の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続を非アクティブ化すると共に、前記第4の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化して、前記第2の通信装置との通信を実行することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第4の中継装置は、
前記第2のMC-LAG方式の前記第3の中継装置との間の障害を検出した場合、前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第4の中継装置は、
前記第2の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との主信号の通信を実行すると共に、前記第3の中継装置との保守信号の通信を実行することを特徴とする請求項2又は3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第2の中継装置は、
前記リニアプロテクション方式の論理パスの他の始端点として前記第1の通信装置との接続を確立し、
前記第3の中継装置は、
前記他の始端点に対する前記論理パスの第3の終端点として前記リニアプロテクション方式の第3の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との通信を実行し、
前記第4の中継装置は、
前記他の始端点に対する前記論理パスの第4の終端点として前記リニアプロテクション方式の第4の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との通信を実行することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信システムは、
前記第4の中継装置が正常の場合に、前記第4の経路における前記論理パスの接続を確立し、
前記第4の中継装置が異常の場合に、前記他の始端点からの前記論理パスを前記第1の中継装置を経由して前記第3の中継装置内の前記第3の終端点に至る前記第3の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2のMC-LAG方式でアクティブ化されている前記第4の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続を非アクティブ化すると共に、前記第3の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化して、前記第2の通信装置との通信を実行することを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記第3の中継装置は、
前記第2のMC-LAG方式の前記第4の中継装置との間の障害を検出した場合、前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化することを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
第1の通信装置に対して第1のMC-LAG(Multi-Chassis Link Aggregation)方式でペア側の中継装置と共に接続すると共に、第2の通信装置に対して第2のMC-LAG方式で接続する対向側の一方の中継装置及び他方の中継装置の内、前記一方の中継装置との間及び、前記ペア側の中継装置との間をリニアプロテクション方式で接続する中継装置であって、
前記リニアプロテクション方式の論理パスの始端点として前記第1の通信装置との接続を確立し、
前記始端点に対する前記論理パスの第1の終端点として前記リニアプロテクション方式の第1の経路における前記論理パスの接続を確立する前記一方の中継装置と接続し、前記一方の中継装置を経由して前記第2の通信装置との通信を実行し、
前記始端点に対する前記論理パスの第2の終端点として前記リニアプロテクション方式の第2の経路における前記論理パスの接続を確立する前記他方の中継装置と接続し、前記他方の中継装置を経由して前記第2の通信装置との通信を実行することを特徴とする中継装置。
【請求項9】
前記中継装置は、
前記一方の中継装置が正常の場合に、前記第1の経路における前記論理パスの接続を確立し、
前記一方の中継装置が異常の場合に、前記始端点からの前記論理パスを前記ペア側の中継装置を経由して前記他方の中継装置内の前記第2の終端点に至る前記第2の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2のMC-LAG方式でアクティブ化されている前記一方の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続を非アクティブ化すると共に、前記他方の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化して、前記第2の通信装置との通信を実行することを特徴とする請求項8に記載の中継装置。
【請求項10】
前記他方の中継装置は、
前記第2のMC-LAG方式の前記一方の中継装置との間の障害を検出した場合、前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化することを特徴とする請求項9に記載の中継装置。
【請求項11】
前記他方の中継装置は、
前記第2の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との主信号の通信を実行すると共に、前記一方の中継装置との保守信号の通信を実行することを特徴とする請求項9又は10に記載の中継装置。
【請求項12】
前記ペア側の中継装置は、
前記リニアプロテクション方式の論理パスの他の始端点として前記第1の通信装置との接続を確立し、
前記一方の中継装置は、
前記他の始端点に対する前記論理パスの第3の終端点として前記リニアプロテクション方式の第3の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との通信を実行し、
前記他方の中継装置は、
前記他の始端点に対する前記論理パスの第4の終端点として前記リニアプロテクション方式の第4の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との通信を実行することを特徴とする請求項8に記載の中継装置。
【請求項13】
前記ペア側の中継装置は、
前記他方の中継装置が正常の場合に、前記第4の経路における前記論理パスの接続を確立し、
前記他方の中継装置が異常の場合に、前記他の始端点からの前記論理パスを前記中継装置を経由して前記一方の中継装置内の前記第3の終端点に至る前記第3の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2のMC-LAG方式でアクティブ化されている前記他方の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続を非アクティブ化すると共に、前記一方の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化して、前記第2の通信装置との通信を実行することを特徴とする請求項12に記載の中継装置。
【請求項14】
前記一方の中継装置は、
前記第2のMC-LAG方式の前記他方の中継装置との間の障害を検出した場合、前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化することを特徴とする請求項13に記載の中継装置。
【請求項15】
第1の通信装置に対して第1のMC-LAG(Multi-Chassis Link Aggregation)方式で接続する第1の中継装置及び第2の中継装置と、第2の通信装置に対して第2のMC-LAG方式で接続する第3の中継装置及び第4の中継装置とを有し、前記第1の中継装置と前記第3の中継装置との間、前記第1の中継装置と前記第2の中継装置との間、前記第2の中継装置と前記第4の中継装置との間及び、前記第3の中継装置と前記第4の中継装置との間をリニアプロテクション方式で接続する通信システムの通信方法であって、
前記第1の中継装置が、
前記リニアプロテクション方式の論理パスの始端点として前記第1の通信装置との接続を確立し、
前記第3の中継装置が、
前記始端点に対する前記論理パスの第1の終端点として前記リニアプロテクション方式の第1の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との通信を実行し、
前記第4の中継装置が、
前記始端点に対する前記論理パスの第2の終端点として前記リニアプロテクション方式の第2の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との通信を実行する
処理を実行することを特徴とする通信方法。
【請求項16】
前記通信システムは、
前記第3の中継装置が正常の場合に、前記第1の経路における前記論理パスの接続を確立し、
前記第3の中継装置が異常の場合に、前記始端点からの前記論理パスを前記第2の中継装置を経由して前記第4の中継装置内の前記第2の終端点に至る前記第2の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2のMC-LAG方式でアクティブ化されている前記第3の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続を非アクティブ化すると共に、前記第4の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化して、前記第2の通信装置との通信を実行することを特徴とする請求項15に記載の通信方法。
【請求項17】
前記第4の中継装置は、
前記第2のMC-LAG方式の前記第3の中継装置との間の障害を検出した場合、前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化することを特徴とする請求項16に記載の通信方法。
【請求項18】
前記第4の中継装置は、
前記第2の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との主信号の通信を実行すると共に、前記第3の中継装置との保守信号の通信を実行することを特徴とする請求項16又は17に記載の通信方法。
【請求項19】
前記第2の中継装置は、
前記リニアプロテクション方式の論理パスの他の始端点として前記第1の通信装置との接続を確立し、
前記第3の中継装置は、
前記他の始端点に対する前記論理パスの第3の終端点として前記リニアプロテクション方式の第3の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との通信を実行し、
前記第4の中継装置は、
前記他の始端点に対する前記論理パスの第4の終端点として前記リニアプロテクション方式の第4の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2の通信装置との通信を実行することを特徴とする請求項15に記載の通信方法。
【請求項20】
前記通信システムは、
前記第4の中継装置が正常の場合に、前記第4の経路における前記論理パスの接続を確立し、
前記第4の中継装置が異常の場合に、前記他の始端点からの前記論理パスを前記第1の中継装置を経由して前記第3の中継装置内の前記第3の終端点に至る前記第3の経路における前記論理パスの接続を確立し、前記第2のMC-LAG方式でアクティブ化されている前記第4の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続を非アクティブ化すると共に、前記第3の中継装置と前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化して、前記第2の通信装置との通信を実行することを特徴とする請求項19に記載の通信方法。
【請求項21】
前記第3の中継装置は、
前記第2のMC-LAG方式の前記第4の中継装置との間の障害を検出した場合、前記第2の通信装置との間の接続をアクティブ化することを特徴とする請求項18に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、中継装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LAG(Link Aggregation)の拡張技術として、MC-LAG(Multi-Chassis Link Aggregation)が知られている。MC-LAGは、LAGを隣接する伝送装置間に拡張し、複数の伝送装置を論理的に1個の伝送装置のように見せかけてLAGを構築する技術である。MC-LAGには、例えば、2本の経路の内、一方の経路を運用とするACT(Active)、他方の経路を予備とするSTBY(Standby)とするACT/STBYの冗長構成がある。
【0003】
また、冗長構成の通信システムとしてリニアプロテクションが知られている。リニアプロテクションとしては、例えば、Ethernet Linier Protection(ELP)のG.8031や、例えば、Linear protection switching for MPLS Transport ProfileのG.8131等のITU-Tで標準化された技術である。リニアプロテクションでは、例えば、伝送装置間の通信をWork経路及びProtection経路の2経路に設定し、各経路をOAM(Operation, Administration, and Maintenance)信号で区間監視する。そして、リニアプロテクションでは、通常時はWork経路で通信し、OAM信号の監視結果で故障等の切替要因が発生した場合に、Work経路からProtection経路に切り替えて通信するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-88735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、近年では、通信装置と対向側の通信装置との間をMC-LAG及びリニアプロテクションで接続する際に、通信信頼性が高く、通信効率の良好な冗長方式の通信システムが求められているのが実情である。
【0006】
一つの側面では、MC-LAG方式及びリニアプロテクション方式で接続する冗長方式の通信システムにおいて通信信頼性及び通信効率の向上を図る通信システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様として通信システムは、第1の通信装置に対して第1のMC-LAG方式で接続する第1の中継装置及び第2の中継装置と、第2の通信装置に対して第2のMC-LAG方式で接続する第3の中継装置及び第4の中継装置とを有する。通信システムは、第1の中継装置と第3の中継装置との間、第1の中継装置と第2の中継装置との間、第2の中継装置と第4の中継装置との間及び、第3の中継装置と第4の中継装置との間をリニアプロテクション方式で接続する。第1の中継装置は、リニアプロテクション方式の論理パスの始端点として前記第1の通信装置との接続を確立する。第3の中継装置は、始端点に対する論理パスの第1の終端点としてリニアプロテクション方式の第1の経路における論理パスの接続を確立し、第2の通信装置との通信を実行する。第4の中継装置は、始端点に対する論理パスの第2の終端点としてリニアプロテクション方式の第2の経路における論理パスの接続を確立し、第2の通信装置との通信を実行する。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面として、MC-LAG方式及びリニアプロテクション方式で接続する冗長方式の通信システムにおいて通信信頼性及び通信効率の向上を図る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1の通信システム(MC-LAG ACT/STBY)の一例を示す説明図である。
図2図2は、第1の中継装置の構成の一例を示す説明図である。
図3図3は、リニアプロテクション区間の論理パスの始端点及び終端点の設定状態の一例を示す説明図である。
図4図4は、リニアプロテクション区間の論理パスの終端点でのOAM信号透過転送の一例を示す説明図である。
図5図5は、リニアプロテクション区間の論理パスのデフォルト経路の一例を示す説明図である。
図6図6は、第1の中継装置の切替判定テーブルの一例を示す説明図である。
図7図7は、通信システムのプロビジョニングモデルの一例を示す説明図である。
図8図8は、第1の中継装置のプロビジョニングモデル及びコンフィグテーブルの一例を示す説明図である。
図9図9は、第2の中継装置のプロビジョニングモデル及びコンフィグテーブルの一例を示す説明図である。
図10図10は、第3の中継装置のプロビジョニングモデル及びコンフィグテーブルの一例を示す説明図である。
図11図11は、第4の中継装置のプロビジョニングモデル及びコンフィグテーブルの一例を示す説明図である。
図12図12は、初期状態の通信システムの一例を示す説明図である。
図13図13は、第3の中継装置障害発生時の通信システムの一例を示す説明図である。
図14図14は、デフォルト経路設定時の通信システムの一例を示す説明図である。
図15図15は、第3の中継装置障害回復時の通信システムの一例を示す説明図である。
図16A図16Aは、第3の中継装置障害回復時の通信システムの一例を示す説明図である。
図16B図16Bは、第3の中継装置障害回復時のWork経路の切り戻し時の通信システムの一例を示す説明図である。
図17A図17Aは、実施例2の通信システム(MC-LAG ACT/ACT)の一例を示す説明図である。
図17B図17Bは、通信システムのプロビジョニングモデルの一例を示す説明図である。
図18図18は、比較例の通信システムの一例を示す説明図である。
図19図19は、比較例の第11のMC-LAGのリンク切替時の通信システムの動作の一例を示す説明図である。
図20図20は、比較例の第11の中継装置と第13の中継装置との間のWork経路の障害発生時の通信システムの動作の一例を示す説明図である。
図21図21は、比較例の第12のMC-LAGのリンク切替時の通信システムの動作の一例を示す説明図である。
図22図22は、比較例の第13の中継装置と第14の中継装置との間のMC-LAG及びリニアプロテクションの折り返し動作の一例を示す説明図である。
図23図23は、比較例のリニアプロテクション区間における論理パスの始端点:終端点が1:1の場合の課題の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<比較例>
図18は、比較例の通信システム100の一例を示す説明図である。図18に示す通信システム100は、第11の通信装置400Aと対向側の第12の通信装置400Bとの間を、第11のMC-LAG区間200Aと、第12のMC-LAG区間200Bと、リニアプロテクション区間300とで接続した構成である。
【0011】
第11のMC-LAG区間200Aは、第11の通信装置400Aと第11の中継装置500Aとの間及び、第11の通信装置400Aと第12の中継装置500Bとの間のリンクをMC-LAG(Multi-Chassis Link Aggregation)方式で接続する。第11のMC-LAG区間200Aは、第11の中継装置500Aと第12の中継装置500Bとの間をIPL(Intra-Portal Link)で接続する。第11の中継装置500Aと第12の中継装置500Bとの間は、IPLで同期情報を交換する。
【0012】
第12のMC-LAG区間200Bは、第12の通信装置400Bと第13の中継装置500Cとの間及び、第12の通信装置400Bと第14の中継装置500Dとの間のリンクをMC-LAG方式で接続する。第12のMC-LAG区間200Bは、第13の中継装置500Cと第14の中継装置500Dとの間をIPL(Intra-Portal Link)で接続する。第13の中継装置500Cと第14の中継装置500Dとの間は、IPLで同期情報を交換する。
【0013】
リニアプロテクション区間300は、第11のMC-LAG区間200A内のペア構成の第11の中継装置500A及び第12の中継装置500Bと、第12のMC-LAG区間200B内のペア構成の第13の中継装置500C及び第14の中継装置500Dとの間をリニアプロテクション方式で接続する。尚、リニアプロテクション方式としては、例えば、G.8031を採用するものとする。
【0014】
第11のMC-LAG区間200Aは、例えば、第11の通信装置400Aと第11の中継装置500Aとの間のリンクをACT(Active)、第11の通信装置400Aと第12の中継装置500Bとの間のリンクをSTBY(Stanby)に設定する。更に、第12のMC-LAG区間200Bは、例えば、第12の通信装置400Bと第13の中継装置500Cとの間のリンクをACT、第12の通信装置400Bと第14の中継装置500Dとの間のリンクをSTBYに設定する。
【0015】
リニアプロテクション区間300では、論理パス毎の始端点:終端点が1:1の関係である。例えば、第11の中継装置500Aが第1の論理パスの始端点P101、第13の中継装置500Cが始端点P101に対する終端点P111とする。第11の中継装置500Aは、例えば、第13の中継装置500Cとの間の経路を第1の論理パスのWork経路に設定する。更に、第11の中継装置500Aは、例えば、第12の中継装置500B→第14の中継装置500D→第13の中継装置500Cの経路を第1の論理パスのProtection経路に設定する。
【0016】
また、例えば、第12の中継装置500Bが第2の論理パスの始端点P102、第13の中継装置500Cが始端点P102に対する終端点P122とする。第12の中継装置500Bは、例えば、第11の中継装置500A→第13の中継装置500C→第14の中継装置500D経由の経路を第2の論理パスのWork経路に設定する。第12の中継装置500Bは、例えば、第14の中継装置500Dとの間の経路を第2の論理パスのProtection経路に設定する。
【0017】
図19は、比較例の第11のMC-LAG区間200Aのリンク切替時の通信システム100の動作の一例を示す説明図である。図19において第11の通信装置400Aと第11の中継装置500Aとの間のリンクをACTからSTBYへの切替が発生した場合、第11の通信装置400Aと第12の中継装置500Bとの間のリンクをSTBYからACTに切り替える。この際、リニアプロテクション区間300では、第1の論理パスの始端点P101を第2の論理パスの始端点P102に切り替え、第12の中継装置500B→第11の中継装置500A→第13の中継装置500Cの第2の論理パスのWork経路に切り替える。つまり、比較例の第11のMC-LAG区間200Aのリンクを切り替える動作は、リニアプロテクション区間300内の送信端(始端点)を変更する動作を伴う仕組となっている。
【0018】
図20は、比較例の第11の中継装置500Aと第13の中継装置500Cとの間のWork経路の障害発生時の通信システム100の動作の一例を示す説明図である。図20において第11の中継装置500Aと第13の中継装置500Cとの間のWork経路で障害が発生した場合、リニアプロテクション区間300では、第1の論理パスをWork経路からProtection経路に切り替えることで、第11の中継装置500A→第12の中継装置500B→第14の中継装置500D→第13の中継装置500Cの経路に切り替える。しかしながら、第11のMC-LAG区間200Aでは、第11の通信装置400Aと第11の中継装置500Aとの間のリンクはACTのままである。また、第12のMC-LAG区間200Bでは、第12の通信装置400Bと第13の中継装置500Cとの間のリンクもACTのままである。つまり、比較例のリニアプロテクション区間300の切り替え動作では、第11のMC-LAG区間200A及び第12のMC-LAG区間200Bのリンクを切り替える動作と連携しない仕組みとなっている。
【0019】
図21は、比較例の第12のMC-LAG区間200BのLAGのリンク切替時の通信システム100の動作の一例を示す説明図である。図21において第12の通信装置400Bと第13の中継装置500Cとの間のリンクをACTからSTBYへの切替が発生した場合、第12の通信装置400Bと第14の中継装置500Dとの間のリンクをSTBYからACTに切り替える。しかしながら、比較例の第12のMC-LAG区間200Bのリンクを切り替える動作は、リニアプロテクション区間300内の終端点を変更する動作と連携しない仕組みとなっている。
【0020】
図22は、比較例の第13の中継装置500Cと第14の中継装置500Dとの間のMC-LAG及びリニアプロテクションの折り返し動作の一例を示す説明図である。第11のMC-LAG区間200Aでは、第11の通信装置400Aと第12の中継装置500Bとの間のリンクをACT、第12のMC-LAG区間200Bでは、第13の中継装置500Cと第12の通信装置400Bとの間のリンクをACTの場合がある。この場合、リニアプロテクション区間300では、第12の中継装置500B→第11の中継装置500A→第13の中継装置500C→第14の中継装置500Dの第2の論理パスのWork経路に設定する場合がある。更に、第14の中継装置500Dは、リニアプロテクション区間300の論理パスの終端点が設定されているものの、第12のMC-LAG区間200Bの第12の通信装置400Bとの間のリンクがSTBYに設定されている場合がある。つまり、リニアプロテクション区間300の論理パスの終端点と第12のMC-LAG区間200BのACTポートとが同一中継装置に存在しない場合もある。従って、第11の通信装置400Aは、第12の中継装置500B→第11の中継装置500A→第13の中継装置500C→第14の中継装置500Dのリニアプロテクション区間300のWork経路→第12のMC-LAG区間200B内の第14の中継装置500Dと第13の中継装置500Cとの間のIPLを経て主信号を第12の通信装置400Bに送信することになる。
【0021】
しかしながら、リニアプロテクション区間300のペア構成の中継装置間、例えば、第13の中継装置500Cから第14の中継装置500Dへの経路と、第12のMC-LAG区間200Bの第14の中継装置500Dから第13の中継装置500CへのIPL経路とで主信号が往復する折り返し通信が発生する。その結果、第13の中継装置500Cと第14の中継装置500Dとの間の折り返し通信で主信号の流量が増加するため、比較例の通信システム100では、通信効率が低下することになる。
【0022】
図23は、比較例のリニアプロテクション区間300における論理パスの始端点:終端点が1:1の場合の課題の一例を示す説明図である。図23において比較例のリニアプロテクション区間300では、論理パス毎の始端点及び終端点が1:1の仕組みである。例えば、第1の論理パスの始端点P101が第11の中継装置500Aにある場合、第1の論理パスの始端点P101に対する終端点P111が第13の中継装置500Cにある。この際、リニアプロテクション区間300の第1の論理パスの終端点P111がある第13の中継装置500Cが故障した場合には、第1の論理パスが通信断となってしまう。その結果、比較例の通信システム100では、通信信頼性が低下してしまう。
【0023】
そこで、図22に示す通信効率の低下や図23に示す通信信頼性の低下を解決すべく、本実施例の通信システム1を提供する。そこで、以下、図面に基づいて、本願の開示する通信システ1ムの実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0024】
図1は、実施例1の通信システム1(MC-LAG ACT/STBY)の一例を示す説明図である。図1に示す通信システム1は、第1の通信装置4Aと第2の通信装置4Bとの間に、第1のMC-LAG区間2Aと、第2のMC-LAG区間2Bと、リニアプロテクション区間3とを配置した構成である。
【0025】
第1のMC-LAG区間2Aは、第1の通信装置4Aと第1の中継装置5Aとの間及び、第1の通信装置4Aと第2の中継装置5Bとの間をMC-LAG(Multi-Chassis Link Aggregation)方式で接続する、冗長構成のクライアント区間である。第1のMC-LAG区間2Aは、一方のリンクを運用、他方のリンクを予備に使用するACT/STBY構成である。第1のMC-LAG区間2Aは、第1の中継装置5Aと第2の中継装置5Bとの間をIPL(Intra-Portal Link)で接続する。第1の中継装置5Aと第2の中継装置5Bとの間は、IPLで同期情報を交換する。
【0026】
第2のMC-LAG区間2Bは、第2の通信装置4Bと第3の中継装置5Cとの間及び、第2の通信装置4Bと第4の中継装置5Dとの間をMC-LAG方式で接続する、冗長構成のクライアント区間である。第2のMC-LAG区間2Bは、一方のリンクを運用、他方のリンクを予備に使用するACT/STBY構成である。第2のMC-LAG区間2Bは、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間をIPLで接続する。第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間は、IPLで同期情報を交換する。
【0027】
リニアプロテクション区間3は、第1のMC-LAG区間2A内のペア構成の第1の中継装置5A及び第2の中継装置5Bと、第2のMC-LAG区間2B内のペア構成の第3の中継装置5C及び第4の中継装置5Dとの間をリニアプロテクション方式で接続する。尚、リニアプロテクション方式としては、例えば、G.8031を採用するものとする。リニアプロテクション区間3の論理パス毎のWork経路及びProtection経路等の経路切替時間は、例えば、50m秒以内である。
【0028】
第1のMC-LAG区間2Aは、例えば、第1の通信装置4Aと第1の中継装置5Aとの間のリンクをACT、第1の通信装置4Aと第2の中継装置5Bとの間のリンクをSTBYに設定する。ACTは、装置間のリンク(接続)をアクティブ化した状態、STBYは、装置間のリンク(接続)を非アクティブ化した状態である。尚、第1のMC-LAG区間2Aのリンク切替時間は、例えば、1秒以内である。更に、第2のMC-LAG区間2Bは、例えば、第2の通信装置4Bと第3の中継装置5Cとの間のリンクをACT、第2の通信装置4Bと第4の中継装置5Dとの間のリンクをSTBYに設定する。尚、第2のMC-LAG区間2Bのリンク切替時間は、例えば、1秒以内である。
【0029】
通信システム1では、第1のMC-LAG区間2A、リニアプロテクション区間3及び第2のMC-LAG区間2Bの各区間の冗長化方式が独立で行われることが望ましい。
【0030】
図2は、第1の中継装置5Aの構成の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、第1の中継装置5Aを例示して説明するが、第2の中継装置5B、第3の中継装置5C及び第4の中継装置5Dも実質同一の構成であるため、同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0031】
第1の中継装置5Aは、経路SW11と、主信号通信部12と、OAM通信部13と、MEP監視部14と、記憶部15と、プロセッサ16とを有する。経路SW11は、リニアプロテクション区間3内の論理パスの経路を切り替える。主信号通信部12は、論理パスを通じて主信号を送受信する通信IFである。OAM通信部13は、論理パスを通じてOAM信号を送受信するMEP(Maintenance End Point)である。MEP監視部14は、OAM信号に基づき、論理パスの経路の状態を検出するMEPを監視する。プロセッサ16は、第1の中継装置5A全体を制御する。
【0032】
記憶部15は、コンフィグテーブル15Aと、MC-LAGテーブル15Bとを有する。コンフィグテーブル15Aは、リニアプロテクション区間3でのコンフィグを管理するテーブルである。コンフィグテーブル15Aは、リニアプロテクションテーブル21と、FPテーブル22と、MEPテーブル23と、切替判定テーブル24とを有する。リニアプロテクションテーブル21は、例えば、VLAN等の論理パス毎にWork経路の論理ポートであるFP(Flow Point)、Protection経路のFP及びデフォルト経路のFPを記憶するテーブルである。
【0033】
FPテーブル22は、FP毎に、FP宛のVLANを識別するdomain IDと、VLANを識別するVLAN 1st Tag IDと、VLANを識別するVLAN 2nd Tag IDとを対応付けて記憶するテーブルである。VLAN 1st Tag IDは、MC-LAG区間側のDropFPのVLANの場合、クライアント側のCVIDであるのに対して、リニアプロテクション区間3側のFPのVLANの場合、リニアプロテクション方式の論理パスを識別するVIDである。VLAN 2nd Tag IDは、VLAN 1st Tag IDがリニアプロテクション方式のVIDの場合に使用し、クライアント側のCVIDを引き継いだIDである。MEPテーブル23は、MEPの配置箇所を示すFPを記憶するテーブルである。切替判定テーブル24は、Work経路の監視結果及びProtection経路の監視結果に対応する論理パスに使用する経路を記憶するテーブルである。MC-LAGテーブル15Bは、例えば、第1のMC-LAG区間2AのリンクのSTBY/ACTの設定を記憶するテーブルである。
【0034】
プロセッサ16は、設定部16Aと、検出部16Bと、切替設定部16Cとを有する。設定部16Aは、設定操作に応じて、例えば、始端点、終端点やFPを管理するコンフィグテーブル15A内のコンフィグを設定する。検出部16Bは、MEP監視部14の監視結果に基づき、リニアプロテクション区間3上の経路上の状態を検出すると共に、第1のMC-LAG区間2A上の状態を検出する。切替設定部16Cは、リニアプロテクション区間3上の経路を切り替える経路SW11を制御する。更に、切替設定部16Cは、例えば、第1のMC-LAG区間2A内の第1の通信装置4Aとのリンクや、第1のMC-LAG区間2A内の第2の中継装置5BとのIPLを切り替え制御する。
【0035】
図3は、リニアプロテクション区間3の論理パスの始端点及び終端点の設定状態の一例を示す説明図である。リニアプロテクション区間3では、論理パスの始端点を第1のMC-LAG区間2A内のペア構成の第1の中継装置5A及び第2の中継装置5Bに設定する。論理パスの第1の始端点P1は、第1のMC-LAG区間2A内の第1の中継装置5Aに設定する。第1の中継装置5Aは、第1の始端点P1として第1のMC-LAG区間2A内の第1の通信装置4Aとの接続を確立する。また、論理パスの第2の始端点P2も、第1のMC-LAG区間2A内の第2の中継装置5Bに設定する。第2の中継装置5Bは、第2の始端点P2として第1のMC-LAG区間2A内の第1の通信装置4Aとの接続を確立する。尚、説明の便宜上、第1の始端点P1からの論理パスは第1の論理パス、第2の始端点P2からの論理パスは第2の論理パスに分けて説明する。リニアプロテクション区間3の始端点は、第1のMC-LAG区間2Aのペア構成の第1の中継装置5A及び第2の中継装置5Bに設定した。その結果、第1のMC-LAG区間2Aのリンク切替時に応じて始端点を切り替えることができる。
【0036】
リニアプロテクション区間3では、論理パスの始端点に対する終端点を第2のMC-LAG区間2B内のペア構成の第3の中継装置5C及び第4の中継装置5Dに設定する。例えば、第1の論理パスの第1の始端点P1に対する終端点は、第2のMC-LAG区間2B内の第3の中継装置5C内の終端点P11及び第4の中継装置5D内の終端点P12に設定する。第3の中継装置5Cは、第1の始端点P1に対する第1の論理パスの終端点P11としてリニアプロテクション方式の経路の接続を確立する。更に、第4の中継装置5Dは、第1の始端点P1に対する第1の論理パスの終端点P12としてリニアプロテクション方式の経路の接続を確立する。
【0037】
また、第2の論理パスの第2の始端点P2に対する終端点は、第2のMC-LAG区間2B内の第3の中継装置5C内の終端点P21及び第4の中継装置5D内の終端点P22に設定する。第3の中継装置5Cは、第2の始端点P2に対する第2の論理パスの終端点P21としてリニアプロテクション方式の経路の接続を確立する。更に、第4の中継装置5Dは、第2の始端点P2に対する第2の論理パスの終端点P22としてリニアプロテクション方式の経路の接続を確立する。リニアプロテクション区間3の始端点に対する終端点をペア構成の第3の中継装置5C及び第4の中継装置5Dに設定したので、装置障害時の救済を可能とし、ペア構成の第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の主信号の往復を防止できる。
【0038】
図4は、リニアプロテクション区間3の論理パスの終端点でのOAM信号透過転送の一例を示す説明図である。リニアプロテクション区間3の第1の論理パスは、第1の中継装置5Aと第3の中継装置5Cとの間の第1の論理パスのWork経路と、第1の中継装置5A→第2の中継装置5B→第4の中継装置5D経由の第1の論理パスのProtection経路とを有する。第1の中継装置5A内のMEP1及び、第3の中継装置5C内のMEP1は、第1の論理パスのWork経路を通過するOAM信号を監視し、その監視結果に基づき、第1の論理パスのWork経路の区間の経路状態を監視する。第1の中継装置5A内のMEP2及び、第3の中継装置5C内のMEP2は、第1の論理パスのProtection経路を通過するOAM信号を監視し、その監視結果に基づき、第1の論理パスのProtection経路の区間の経路状態を監視する。第1の論理パスのProtection経路の第4の中継装置5D内の終端点P12は、第1の論理パスの主信号を終端すると共に、第1の論理パスのOAM信号を第3の中継装置5C内のMEP2に転送する。すなわち、第4の中継装置5Dは、例えば、Protection経路における第1の論理パスの接続を確立し、第2の通信装置4Bとの主信号の通信を実行すると共に、第3の中継装置5CとのOAM信号の通信を実行する。その結果、第1の中継装置5A内のMEP2及び第3の中継装置5C内のMEP2は、第2の中継装置5B→第4の中継装置5Dの終端点P12→第3の中継装置5Cの経路を流れるOAM信号を監視する。そして、第1の中継装置5A内のMEP2及び第3の中継装置5C内のMEP2は、後述する第1の中継装置5A→第2の中継装置5B→第4の中継装置5Dの終端点P12までの主信号のデフォルト経路の経路状態を監視できる。
【0039】
リニアプロテクション区間3の第2の論理パスは、第2の中継装置5B→第1の中継装置5A→第3の中継装置5C経由のWork経路と、第2の中継装置5B→第4の中継装置5D経由のProtection経路とを有する。第1の中継装置5A内のMEP4及び、第3の中継装置5C内のMEP4は、第2の論理パスのWork経路を通過するOAM信号を監視し、その監視結果に基づき、第2の論理パスのWork経路の区間の経路状態を監視する。第2の中継装置5B内のMEP3及び第4の中継装置5D内のMEP3は、第2の論理パスのProtection経路を通過するOAM信号を監視し、その監視結果に基づき、第2の論理パスのProtection経路の経路状態を監視する。第2の論理パスのWork経路の第3の中継装置5C内の終端点P21は、第2の論理パスの主信号を終端すると共に、第2の論理パスのOAM信号を第4の中継装置5D内のMEP4に転送する。すなわち、第3の中継装置5Cは、例えば、Work経路における第2の論理パスの接続を確立し、第2の通信装置4Bとの主信号の通信を実行すると共に、第4の中継装置5DとのOAM信号の通信を実行する。その結果、第2の中継装置5B内のMEP4及び第4の中継装置5D内のMEP4は、第2の中継装置5B→第1の中継装置5A→第3の中継装置5Cの終端点P21→第4の中継装置5Dの経路を流れるOAM信号を監視する。そして、第2の中継装置5B内のMEP4及び第4の中継装置5D内のMEP4は、後述する第2の中継装置5B→第1の中継装置5A→第3の中継装置5Cの終端点P21までの主信号のデフォルト経路の経路状態を監視できる。
【0040】
図5は、リニアプロテクション区間3の論理パスのデフォルト経路の一例を示す説明図である。図5においてリニアプロテクション区間3の論理パスの始端点から2個の終端点までの経路の内、ペア構成の第1の中継装置5Aと第2の中継装置5Bとの間を通過する経路を使用する経路をデフォルト経路に設定する。例えば、第1の論理パスのデフォルト経路としては、第1のMC-LAG区間2A内の第1の中継装置5Aの第1の始端点P1から第2の中継装置5Bを通過して第1の論理パスの終端点P12にある第4の中継装置5Dに至る経路である。例えば、第2の論理パスのデフォルト経路としては、第1のMC-LAG区間2A内の第2の中継装置5Bの第2の始端点P2から第1の中継装置5Aを通過して第2の論理パスの終端点P21にある第3の中継装置5Cに至る経路である。第1の中継装置5A及び第2の中継装置5Bでは、切替事象として、例えば、Work経路及びProtection経路の両系障害を検出した場合にデフォルト経路を設定する。
【0041】
図6は、第1の中継装置5Aの切替判定テーブル24の一例を示す説明図である。切替判定テーブル24は、Work経路の監視結果と、Protection経路の監視結果と、論理パスに使用する経路とを対応付けて記憶するテーブルである。Work経路の監視結果は、MEP1で監視するOAM信号の監視結果である。Protection経路の監視結果も、MEP2で監視するOAM信号の監視結果である。第1の中継装置5A内のプロセッサ16内の切替設定部16Cは、切替判定テーブル24を参照し、Work経路の監視結果が正常の場合、第1の論理パスに使用する経路としてWork経路を使用する。切替設定部16Cは、切替判定テーブル24を参照し、Work経路の監視結果が異常、Protection経路の監視結果が正常の場合、第1の論理パスに使用する経路としてProtection経路を使用する。切替設定部16Cは、切替判定テーブル24を参照し、Work経路の監視結果が異常、Protection経路の監視結果が異常の場合、すなわち両系障害の場合に、第1の論理パスに使用する経路としてデフォルト経路を使用する。
【0042】
図7は、通信システム1のプロビジョニングモデルの一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、MC-LAG区間側のDropFP1のVLANは、クライアント側のCVIDとして“1”とする。リニアプロテクション区間3側のFPの第1の論理パスのVLANのVIDは“11”とする。更に、リニアプロテクション区間3側のFPの第2の論理パスのVLANのVIDは“12”とする。VLAN 1st Tag IDは、MC-LAG区間側のDropFPのVLANの場合、クライアント側のCVIDとする。また、VLAN 1st Tag IDは、リニアプロテクション区間3側のFPのVLANの場合、リニアプロテクション方式の論理パスを識別するVIDとする。また、VLAN 2nd Tag IDは、VLAN 1st Tag IDがリニアプロテクション方式のVIDの場合に使用し、クライアント側のCVIDを引き継いだIDとする。
【0043】
第1の中継装置5Aは、DropFP1と、FP111と、FP112と、FP121と、FP122とを有する。第1の中継装置5AのDropFP1は、第1のMC-LAG区間2Aの第1の通信装置4AのLAGと接続するFPである。第1の中継装置5AのFP111は、第2の中継装置5BのFP111と接続する、第1の論理パスのVLAN11のWork経路と接続するFPである。第1の中継装置5AのFP112は、第2の中継装置5BのFP112と接続する、第1の論理パスのVLAN11のProtection経路と接続するFPである。第1の中継装置5AのFP122は、第2の中継装置5B内のFP122と接続する、第2の論理パスであるVLAN12のWork経路と接続するFPである。第1の中継装置5AのFP121は、第3の中継装置5CのFP121と接続する、第2の論理パスであるVLAN12のWork経路と接続するFPである。
【0044】
第2の中継装置5Bは、DropFP1と、FP111と、FP112と、FP121と、FP122とを有する。第2の中継装置5BのDropFP1は、第1のMC-LAG区間2Aの第1の通信装置4AのLAGと接続するFPである。第2の中継装置5BのFP111は、第4の中継装置5DのFP111と接続する、第1の論理パスのVLAN11のProtection経路と接続するFPである。第2の中継装置5BのFP112は、第1の中継装置5AのFP112と接続する、第1の論理パスのVLAN11のProtection経路と接続するFPである。第2の中継装置5BのFP122は、第1の中継装置5A内のFP122と接続する、第2の論理パスであるVLAN12のWork経路と接続するFPである。第2の中継装置5BのFP121は、第4の中継装置5DのFP121と接続する、第2の論理パスであるVLAN12のProtection経路と接続するFPである。
【0045】
第3の中継装置5Cは、DropFP1と、FP111と、FP121と、仮想LAGとを有する。第3の中継装置5CのDropFP1は、第2のMC-LAG区間2Bの第2の通信装置4BのLAGと接続するFPである。第3の中継装置5CのFP111は、第1の中継装置5AのFP111と接続する、第1の論理パスのVLAN11のWork経路と接続するFPである。第3の中継装置5CのFP121は、第1の中継装置5AのFP121と接続する、第2の論理パスであるVLAN12のWork経路と接続するFPである。仮想LAGは、第2のMC-LAG区間2Bの第4の中継装置5DとVLAN1のIPLと接続すると共に、DropFP1と接続するFPである。
【0046】
第4の中継装置5Dは、DropFP1と、FP111と、FP121と、仮想LAGとを有する。第4の中継装置5DのDropFP1は、第2のMC-LAG区間2Bの第2の通信装置4BのLAGと接続するFPである。第4の中継装置5DのFP111は、第2の中継装置5BのFP111と接続する、第1の論理パスのVLAN11のProtection経路と接続するFPである。第4の中継装置5DのFP121は、第2の中継装置5BのFP121と接続する、第2の論理パスであるVLAN12のProtection経路と接続するFPである。仮想LAGは、第2のMC-LAG区間2Bの第3の中継装置5CとVLAN1のIPLと接続すると共に、DropFP1と接続するFPである。
【0047】
図8は、第1の中継装置5Aのプロビジョニングモデル及びコンフィグテーブル15Aの一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、第1の論理パス(VID“11”)に関係するFPの情報のみを説明し、第2の論理パス(VID“12”)に関係するFPの情報の説明は省略するものとする。第1の中継装置5Aは、DropFP1と、FP111と、FP112とを有する。第1の中継装置5Aは、リニアプロテクション区間3の第1の論理パスの第1の始端点P1を有する。第1の中継装置5AのDropFP1は、第1のMC-LAG区間2A内の第1の通信装置4AのLAGと接続するFPである。第1の中継装置5AのFP111は、第3の中継装置5Cとの間の第1の論理パスのWork経路と接続するFPである。FP111に配置したMEP1は、第1の論理パスのWork経路のOAM信号を監視する。第1の中継装置5AのFP112は、第2の中継装置5Bとの間の第1の論理パスのProtection経路と接続するFPである。FP112に配置したMEP2は、第1の論理パスのProtection経路のOAM信号を監視する。
【0048】
第1の中継装置5A内のリニアプロテクションテーブル21では、論理パス(domain-id)毎に、Work経路のFP(Work-fp)、Protection経路のFP(protection-fp)、デフォルト経路のFP(default-fp)を記憶する。リニアプロテクションテーブル21は、第1の論理パスを識別するdomain-id“1”、第1の論理パスのWork経路のFP(Work-fp)としてFP111の“111”、第1の論理パスのProtection経路のFP(protection-fp)としてFP112の“112”、第1の論理パスのデフォルト経路のFP(default-fp)としてFP112の“112”を記憶している。FPテーブル22は、論理パス毎に使用するFPを識別する番号を記憶する。FPテーブル22は、例えば、domain IDが“1”の第1の論理パスが使用するFPとして、DropFP1の“1”と、FP111の“111”と、FP112の“112”とを記憶する。FPテーブル22は、DropFP1のVLAN 1st Tag IDとしてCVIDの“1”、FP111及びFP112のVLAN 1st Tag IDとしてVIDの“11”を記憶する。更に、FPテーブル22は、FP111及びFP112のVLAN 2nd Tag IDとしてCVIDの“1”を記憶する。
【0049】
MEPテーブル23は、MEPを識別する番号(MEP-ID)毎にMEPを配置したFPを識別する番号(Interface)及び対向側MEPを識別するMEPを識別する番号(peer MEP-ID)を記憶する。MEPテーブル23は、MEP-IDとしてMEP1の“1”、InterfaceとしてFP111の“111”、peer MEP-IDとして対向側のMEP1の“1”を記憶している。MEPテーブル23は、MEP-IDとしてMEP2の“2”、InterfaceとしてFP112の“112”、peer MEP-IDとして対向側のMEP2の“2”を記憶している。
【0050】
図9は、第2の中継装置5Bのプロビジョニングモデル及びコンフィグテーブル15Aの一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、第1の論理パスに関係するFPの情報のみを説明し、第2の論理パスに関係するFPの情報の説明は省略するものとする。第2の中継装置5Bは、FP111及びFP112を有する。第2の中継装置5Bは、リニアプロテクション区間3の第1の論理パスのProtection経路を有する。第2の中継装置5BのFP112は、第1の中継装置5Aとの間の第1の論理パスのProtection経路と接続するFPである。第2の中継装置5BのFP111は、第4の中継装置5Dとの間の第1の論理パスのProtection経路と接続するFPである。第2の中継装置5BのFPテーブル22は、第1の論理パスが使用するFP“111”及び“112”を記憶する。FPテーブル22は、FP111及びFP112のVLAN 1st Tag IDとしてVIDの“11”を記憶する。更に、FPテーブル22は、FP111及びFP112のVLAN 2nd Tag IDとしてCVIDの“1”を記憶する。
【0051】
図10は、第3の中継装置5Cのプロビジョニングモデル及びコンフィグテーブル15Aの一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、第1の論理パスに関係するFPの情報のみを説明し、第2の論理パスに関係するFPの情報の説明は省略するものとする。第3の中継装置5Cは、FP111、FP112及びDropFP1及び仮想LAGを有する。第3の中継装置5Cは、リニアプロテクション区間3の第1の論理パスのWork経路を有する。第3の中継装置5CのFP111は、第1の中継装置5Aとの間の第1の論理パスのWork経路と接続するFPである。FP111に配置したMEP1は、第1の論理パスのWork経路のOAM信号を監視する。第3の中継装置5CのFP112は、第4の中継装置5Dとの間の第1の論理パスのProtection経路と接続するFPである。FP112に配置したMEP2は、第1の論理パスのProtection経路のOAM信号を監視する。第3の中継装置5CのDropFP1は、第2のMC-LAG区間2Bの第2の通信装置4BのLAGと接続するFPである。第3の中継装置5Cの仮想LAGは、第2のMC-LAG区間2Bの第4の通信装置4DのIPLと接続するFPである。
【0052】
第3の中継装置5CのFPテーブル22は、例えば、第1の論理パスが使用するFPとして、FP111の“111”と、FP112の“112”とを記憶する。FPテーブル22は、DropFP1のVLAN 1st Tag IDとしてCVIDの“1”、FP111及びFP112のVLAN 1st Tag IDとしてVIDの“11”を記憶する。更に、FPテーブル22は、FP111及びFP112のVLAN 2nd Tag IDとしてCVIDの“1”を記憶する。
【0053】
MEPテーブル23は、MEP-IDとしてMEP1の“1”、InterfaceとしてFP111の“111”、peer MEP-IDとして対向側のMEP1の“1”を記憶している。MEPテーブル23は、MEP-IDとしてMEP2の“2”、InterfaceとしてFP112の“112”、peer MEP-IDとして対向側のMEP2の“2”を記憶している。
【0054】
図11は、第4の中継装置5Dのプロビジョニングモデル及びコンフィグテーブル15Aの一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、第1の論理パスに関係するFPの情報のみを説明し、第2の論理パスに関係するFPの情報の説明は省略するものとする。第4の中継装置5Dは、FP111と、FP112と、DropFP1と、仮想LAGと、OAMフィルタとを有する。第4の中継装置5Dは、リニアプロテクション区間3の第1の論理パスのProtection経路を有する。第4の中継装置5DのFP111は、第2の中継装置5Bとの間の第1の論理パスのProtection経路と接続するFPである。第4の中継装置5DのFP112は、第3の中継装置5Cとの間の第1の論理パスのProtection経路のOAM信号が流れるFPである。第4の中継装置5DのDropFP1は、第2のMC-LAG区間2Bの第2の通信装置4BのLAGと接続するFPである。第4の中継装置5Dの仮想LAGは、第2のMC-LAG区間2Bの第3の中継装置5Cと接続するIPLである。OAMフィルタは、FP111から第1の論理パスのProtection経路を流れるOAM信号を透過してFP112に転送すると共に、第1の論理パスのProtection経路を流れる主信号を終端点P12で終端するフィルタである。
【0055】
第4の中継装置5DのFPテーブル22は、例えば、第1の論理パスが使用するFPとして、FP111の“111”と、FP112の“112”とを記憶する。FPテーブル22は、DropFP1のVLAN 1st Tag IDとしてCVIDの“1”、FP111及びFP112のVLAN 1st Tag IDとしてVIDの“11”を記憶する。更に、FPテーブル22は、FP111及びFP112のVLAN 2nd Tag IDとしてCVIDの“1”を記憶する。
【0056】
次に本実施例の通信システム1の動作について説明する。図12は、初期状態の通信システム1の一例を示す説明図である。初期状態の通信システム1の第1のMC-LAG区間2Aでは、第1の通信装置4Aと第1の中継装置5Aとの間のリンクをACT、第1の通信装置4Aと第2の中継装置5Bとの間のリンクをSTBYに設定しているものとする。初期状態の通信システム1の第2のMC-LAG区間2Bでは、第2の通信装置4Bと第3の中継装置5Cとの間のリンクをACT、第2の通信装置4Bと第4の中継装置5Dとの間のリンクをSTBYに設定しているものとする。
【0057】
初期状態の通信システム1のリニアプロテクション区間3では、第1の論理パスの第1の始端点P1を第1の中継装置5Aに設定し、第2の論理パスの第2の始端点P2を第2の中継装置5Bに設定しているものとする。第1の中継装置5Aは、第1の始端点P1として第1のMC-LAG区間2A内の第1の通信装置4Aとの接続を確立すると共に、第2の始端点P2として第1のMC-LAG区間2A内の第1の通信装置4Aとの接続を確立可能にする。更に、リニアプロテクション区間3では、第1の論理パスの第1の始端点P1に対する第1の論理パスのWork経路の終端点P11を第3の中継装置5Cに設定しているものとする。第3の中継装置5Cは、第1の始端点P1に対する第1の論理パスの終端点P11としてリニアプロテクション方式のWork経路の接続を確立する。更に、リニアプロテクション区間3では、第1の論理パスの第1の始端点P1に対する第1の論理パスのProtection経路の終端点P12を第4の中継装置5Dに設定しているものとする。第4の中継装置5Dは、第1の始端点P1に対する第1の論理パスの終端点P12としてリニアプロテクション方式のProtection経路の接続を確立する。
【0058】
更に、リニアプロテクション区間3では、第2の論理パスの第2の始端点P2に対する第2の論理パスのWork経路の終端点P21を第3の中継装置5Cに設定しているものとする。第3の中継装置5Cは、第2の始端点P2に対する第2の論理パスの終端点P21としてリニアプロテクション方式のWork経路の接続を確立する。更に、リニアプロテクション区間3では、第2の論理パスの第2の始端点P2に対する第2の論理パスのProtection経路の終端点P22を第4の中継装置5Dに設定しているものとする。更に、第4の中継装置5Dは、第2の始端点P2に対する第2の論理パスの終端点P22としてリニアプロテクション方式のProtection経路の接続を確立する。
【0059】
そして、第1の通信装置4Aは、第1の中継装置5Aから第3の中継装置5Cまでの第1の論理パスのWork経路を使用し、第3の中継装置5C経由で第2の通信装置4Bと接続している。
【0060】
図13は、第3の中継装置5Cの障害発生時の通信システム1の一例を示す説明図である。初期状態から第3の中継装置5Cでの障害が発生した場合を想定する。第3の中継装置5Cは、自装置の障害を検出した場合、シャットダウンする。第1の中継装置5AのMEP1及びMEP2は、第3の中継装置5Cのシャットダウンに応じたOAM信号の断によって、リニアプロテクション区間3での第1の論理パスのWork経路及びProtection経路の両系障害を検出する。更に、第2の中継装置5BのMEP4も、第3の中継装置5Cのシャットダウンに応じたOAM信号の断によって、リニアプロテクション区間3での第2の論理パスのWork経路の障害を検出する。更に、第4の中継装置5DのMEP4も、第3の中継装置5Cのシャットダウンに応じたOAM信号の断によって、リニアプロテクション区間3での第2の論理パスのWork経路の障害を検出する。
【0061】
更に、第2の中継装置5Bは、第3の中継装置5Cのシャットダウンに応じて、第2のMC-LAG区間2Bでの第3の中継装置5Cとの間のLACP(Link Aggreation Control Protocol)の断によってLAG障害を検出する。更に、第4の中継装置5Dも、第3の中継装置5Cのシャットダウンに応じて、第2のMC-LAG区間2Bでの第3の中継装置5Cとの間のIPL断によってIPL障害を検出する。
【0062】
図14は、デフォルト経路設定時の通信システム1の一例を示す説明図である。第1の中継装置5Aは、MEP1及びMEP2によるリニアプロテクション区間3での第1の論理パスのWork経路及びProtection経路の両系障害を検出した場合、第1の論理パスのWork経路をデフォルト経路に自律的に切り替える。尚、デフォルト経路は、第1の中継装置5Aの第1の論理パスの第1の始端点P1→第2の中継装置5B→第4の中継装置5Dの第1の論理パスの終端点P21への経路である。
【0063】
第2の中継装置5Bは、MEP4によるリニアプロテクション区間3でのOAM信号の断による第2の論理パスのWork経路の障害を検出した場合、第1の論理パスのWork経路をデフォルト経路として、第4の中継装置5Dの第1の論理パスの終端点P21と接続する。更に、第4の中継装置5Dは、MEP4によるリニアプロテクション区間3でのOAM信号の断による第2の論理パスのWork経路の障害を検出した場合、第1の論理パスのWork経路をデフォルト経路に切り替えて、第2の中継装置5Bと接続し、第1の論理パスのWork経路の終端点P21に設定する。その結果、リニアプロテクション区間3では、第1の論理パスを、第1の中継装置5Aの第1の始端点P1→第2の中継装置5B→第4の中継装置5Dの終端点P21のデフォルト経路に切り替えたことになる。そして、第1の論理パスの主信号は、第1の始端点P1から第2の中継装置5Bを経由して第4の中継装置5Dの終端点P21で終端することになる。尚、リニアプロテクション区間3では、第4の中継装置5Dの終端点P21で主信号を終端するものの、OAM信号は終端することなく、第3の中継装置5C内のMEP2に透過転送することになる。その結果、第1の中継装置5AのMEP2及び第3の中継装置のMEP2は、デフォルト経路に切替後も、OAM信号でデフォルト経路の経路状態を監視できる。
【0064】
第4の中継装置5Dは、第2のMC-LAG区間2Bでの第3の中継装置5CとのIPLの断を検出した場合、第2のMC-LAG区間2Bの第2の通信装置4BとのリンクをSTBYからACTに自律的に切り替える。更に、第2の通信装置4Bは、第2のMC-LAG区間2Bでの第3の中継装置5Cのシャットダウンに応じて第3の中継装置5CとのリンクをACTからSTBY、第4の中継装置5DとのリンクをSTBYからACTに自律的に切り替える。尚、第2の通信装置4Bは、障害検出から、例えば、1秒以内にリンクを自律的に切り替える。
【0065】
その結果、第1の中継装置5Aは、MEP1及びMEP2による両系障害を検出した場合、リニアプロテクション区間3で第1の論理パスのWork経路をデフォルト経路に自律的に切り替えることで、第1の中継装置5A→第2の中継装置5B→第4の中継装置5D→第2の通信装置4Bの経路で通信を復旧できる。通信システム1では、第2のMC-LAG区間2BのACT/STBYの切替が発生したとしても、リニアプロテクション区間3の終端点を変更しない。そして、第4の中継装置5Dは、第3の中継装置5CとのIPLの断を検出した場合、第2のMC-LAG区間2Bの第2の通信装置4BとのリンクをSTBYからACTに自律的に切り替わる。つまり、第1の中継装置5Aは、MEP1及びMEP2による両系障害を検出した場合にデフォルト経路に切り替え、更に、第4の中継装置5Dは、第2のMC-LAG区間2Bの第2の通信装置4BとのリンクをACTに強制的に切り替わることになる。その結果、第1の通信装置4A→第1の中継装置5A→第2の中継装置5B→第4の中継装置5D→第2の通信装置4Bを経路で通信を確立するため、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制できる。従って、通信効率の低下を抑制できる。また、通信システム1では、第1のMC-LAG区間2A、第2のMC-LAG区間2B及びリニアプロテクション区間3は自律的に切り替わる。
【0066】
次に図14に示す通信システム1の状態から第3の中継装置5Cの障害が回復した場合の動作について説明する。図15は、第3の中継装置5Cの障害回復時の通信システム1の一例を示す説明図である。第3の中継装置5Cは、障害から回復した場合、シャットダウンを解除することになる。第1の中継装置5AのMEP1は、OAM信号に応じて第3の中継装置5Cの障害回復を検出する。第2の中継装置5BのMEP4も、OAM信号に応じて第3の中継装置5Cの障害回復を検出する。更に、第4の中継装置5DのMEP4も、OAM信号に応じて第3の中継装置5Cの障害回復を検出する。
【0067】
図16Aは、第3の中継装置5Cの障害回復時の通信システム1の一例を示す説明図である。図16Aにおいて第1の中継装置5Aは、第3の中継装置5Cのシャットダウン解除に応じて第1の論理パスのWork経路及びProtection経路の両系障害からの回復を検出した場合、タイマを起動する。更に、第2の中継装置5B及び第4の中継装置5Dも、OAM信号に応じて第3の中継装置5Cの障害回復を検出する。第2の中継装置5B及び第4の中継装置5Dも、第3の中継装置5Cの障害回復を検出した場合、タイマを起動する。
【0068】
図16Bは、第3の中継装置5Cの障害回復時のWork経路の切り戻し時の通信システム1の一例を示す説明図である。図16Bにおいてリニアプロテクション区間3の第1の中継装置5Aは、タイムのタイムアップを検出した場合、第1の論理パスのデフォルト経路からWork経路に切り戻す。更に、リニアプロテクション区間3の第2の中継装置5Bも、タイマのタイムアップを検出した場合、第2の論理パスのProtection経路からWork経路に切り戻す。尚、第2のMC-LAG区間2Bのリンク切替動作はない。
【0069】
その結果、第1の通信装置4Aは、第1の中継装置5Aの第1の始端点P1から第3の中継装置5Cまでの第1の論理パスの切り戻しのWork経路を使用し、第3の中継装置5Cから第4の中継装置5Dの経路を経て主信号を第2の通信装置4Bに送信することになる。
【0070】
実施例1の第1の中継装置5Aは、リニアプロテクション方式の第1の論理パスの第1の始端点P1として第1の通信装置4Aとの接続を確立する。第3の中継装置5Cは、第1の始端点P1に対する第1の論理パスの終端点P11としてリニアプロテクション方式の第1の経路における第1の論理パスの接続を確立し、第2の通信装置4Bとの通信を実行する。第4の中継装置5Dは、第1の始端点P1に対する第1の論理パスの終端点P12としてリニアプロテクション方式の第2の経路における第1の論理パスの接続を確立し、第2の通信装置4Bとの通信を実行する。第1の論理パスの第1の始端点P1に対する終端点を2個にしたので、一方の終端点の経路で障害が発生した場合でも他方の終端点を使用することで主信号を終端して第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することが可能になる。その結果、通信効率及び通信信頼性の向上を図ることができる。
【0071】
リニアプロテクション区間3は、第3の中継装置5Cが異常の場合に、第1の始端点P1からの第1の論理パスを第2の中継装置5Bを経由して第4の中継装置5D内の第2の終端点P12に至るデフォルト経路における第1の論理パスの接続を確立する。そして、第2のMC-LAG方式でアクティブ化されている第3の中継装置5Cと第2の通信装置4Bとの間の接続を非アクティブ化(STBY)する。更に、第4の中継装置5Dと第2の通信装置4Bとの間の接続をアクティブ化(ACT)して、第2の通信装置4Bとの通信を実行する。つまり、第1の中継装置5Aは、例えば、第1の論理パスの両系障害を検出した場合、デフォルト経路に設定し、第4の中継装置5Dと第2の通信装置4BとのリンクをACTに強制的に切り替える。その結果、デフォルト経路を使用して通信信頼性を確保すると共に、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することで、通信効率の向上を図る。
【0072】
第4の中継装置5D内の終端点P12は、第1の中継装置5A内の第1の始端点P1からデフォルト経路で受信した第1の論理パスの主信号を終端する。その結果、第1の論理パスの第1の始端点P1に対する終端点を2個にしたので、一方の終端点の経路で障害が発生した場合でも他方の終端点を使用することで主信号を終端し、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制できる。その結果、通信効率及び通信信頼性の向上を図ることができる。
【0073】
更に、終端点P12は、第1の始端点P1からデフォルト経路で受信した第1の論理パスのOAM信号を第3の中継装置5Cに転送する。その結果、第1の中継装置5AのMEP2及び第3の中継装置5CのMEP2は、第4の中継装置5Dで主信号を終端したとしても、デフォルト経路上の経路状態を監視できる。
【0074】
第1の中継装置5Aは、第1の論理パスの両系障害を検出した場合に、第1の論理パスのデフォルト経路を設定する。更に、第4の中継装置5Dは、第2のMC-LAG方式の第3の中継装置5Cとの間のIPL障害を検出した場合、第2の通信装置4Bとの間の接続をACTに設定する。その結果、デフォルト経路を使用して通信信頼性を確保すると共に、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することで、通信効率の向上を図る。
【0075】
第2の中継装置5Bは、リニアプロテクション方式の第2の論理パスの第2の始端点P2として第1の通信装置4Aとの接続を確立する。第3の中継装置5Cは、第2の始端点P2に対する第2の論理パスの終端点P21としてリニアプロテクション方式の第3の経路における第2の論理パスの接続を確立し、第2の通信装置4Bとの通信を実行する。第4の中継装置5Dは、第2の始端点P2に対する第2の論理パスの終端点P22としてリニアプロテクション方式の第4の経路における第2の論理パスの接続を確立し、第2の通信装置4Bとの通信を実行する。その結果、第2の論理パスの第2の始端点P2に対する終端点を2個にしたので、一方の終端点の経路で障害が発生した場合でも他方の終端点を使用することで主信号を終端して第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することが可能になる。その結果、通信効率及び通信信頼性の向上を図ることができる。
【0076】
リニアプロテクション区間3は、第4の中継装置5Dが異常の場合に、第2の始端点P2からの第2の論理パスを第1の中継装置5Aを経由して第3の中継装置5C内の第1の終端点P21に至るデフォルト経路における第2の論理パスの接続を確立する。そして、第2のMC-LAG方式でアクティブ化されている第4の中継装置5Dと第2の通信装置4Bとの間の接続を非アクティブ化(STBY)する。更に、第3の中継装置5Cと第2の通信装置4Bとの間の接続をアクティブ化(ACT)して、第2の通信装置4Bとの通信を実行する。つまり、第2の中継装置5Bは、例えば、第2の論理パスの両系障害を検出した場合、デフォルト経路に設定し、第3の中継装置5Cと第2の通信装置4BとのリンクをACTに強制的に切り替える。その結果、デフォルト経路を使用して通信信頼性を確保すると共に、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することで、通信効率の向上を図る。
【0077】
第3の中継装置5C内の終端点P21は、第2の中継装置5B内の第2の始端点P2からデフォルト経路で受信した第2の論理パスの主信号を終端する。その結果、第2の論理パスの第2の始端点P2に対する終端点を2個にしたので、一方の終端点の経路で障害が発生した場合でも他方の終端点を使用することで主信号を終端し、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制できる。その結果、通信効率及び通信信頼性の向上を図ることができる。
【0078】
更に、終端点P21は、第2の始端点P2からデフォルト経路で受信した第2の論理パスのOAM信号を第4の中継装置5Dに転送する。その結果、第2の中継装置5BのMEP4及び第4の中継装置5DのMEP4は、第3の中継装置5Cで主信号を終端したとしても、デフォルト経路上の経路状態を監視できる。
【0079】
第2の中継装置5Bは、第2の論理パスの両系障害を検出した場合に、第2の論理パスのデフォルト経路を設定する。更に、第3の中継装置5Cは、第2のMC-LAG方式の第4の中継装置5Dとの間のIPL障害を検出した場合、第2の通信装置4Bとの間の接続をACTに設定する。その結果、デフォルト経路を使用して通信信頼性を確保すると共に、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することで、通信効率の向上を図る。
【0080】
尚、説明の便宜上、第1の通信装置4Aから第2の通信装置4Bに主信号が流れる通信システム1を例示して説明したが、第2の通信装置4Bから第1の通信装置4Aに主信号が流れる通信システムにも適用可能である。
【0081】
また、リニアプロテクション区間3はG.8031で説明したが、G.8131でも良く、適宜変更可能である。G.8131では、VLANのタグを示すVLAN 1st Tag ID及びVLAN 2nd Tag IDの代わりに、ラベルのIDを示すLabel 1st ID及びLabel 2nd IDを使用するものとする。
【0082】
第1の論理パスの第1の中継装置5Aから第3の中継装置5Cまでの経路をWork経路に設定し、第1の中継装置5Aから第2の中継装置5B経由の第4の中継装置5Dまでの経路をProtection経路に設定する場合を説明した。しかしながら、第1の論理パスのWork経路及びProtection経路を逆に設定しても良く、適宜変更可能である。尚、第2の論理パスについても同様である。尚、実施例1の通信システム1では、MC-LAG区間をACT/STBY構成で説明したが、ACT/ACT構成にも適用可能であるための、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
【実施例0083】
図17Aは、実施例2の通信システム1(MC-LAG ACT/ACT)の一例を示す説明図、図17Bは、通信システム1のプロビジョニングモデルの一例を示す説明図である。尚、実施例1の通信システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図17Aに示す通信システム1は、第1の通信装置4Aと第2の通信装置4Bとの間に、ACT/ACT構成の第1のMC-LAG区間2Aと、ACT/ACT構成の第2のMC-LAG区間2Bと、リニアプロテクション区間3とを配置した構成である。
【0084】
第1のMC-LAG区間2Aは、例えば、第1の通信装置4Aと第1の中継装置5Aとの間のリンクをACT、第1の通信装置4Aと第2の中継装置5Bとの間のリンクをACTに設定する。ACTは、装置間のリンク(接続)をアクティブ化した状態である。尚、第1のMC-LAG区間2Aのリンク切替時間は、例えば、1秒以内である。更に、第2のMC-LAG区間2Bは、例えば、第2の通信装置4Bと第3の中継装置5Cとの間のリンクをACT、第2の通信装置4Bと第4の中継装置5Dとの間のリンクをACTに設定する。尚、第2のMC-LAG区間2Bのリンク切替時間は、例えば、1秒以内である。
【0085】
実施例2の第1の中継装置5Aは、リニアプロテクション方式の第1の論理パスの第1の始端点P1として第1の通信装置4Aとの接続を確立する。第3の中継装置5Cは、第1の始端点P1に対する第1の論理パスの終端点P11としてリニアプロテクション方式の第1の経路における第1の論理パスの接続を確立し、第2の通信装置4Bとの通信を実行する。第4の中継装置5Dは、第1の始端点P1に対する第1の論理パスの終端点P12としてリニアプロテクション方式の第2の経路における第1の論理パスの接続を確立し、第2の通信装置4Bとの通信を実行する。第1の論理パスの第1の始端点P1に対する終端点を2個にしたので、一方の終端点の経路で障害が発生した場合でも他方の終端点を使用することで主信号を終端して第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することが可能になる。その結果、第1のMC-LAG区間2A及び第2のMC-LAG区間2BがACT/ACT構成であっても、通信効率及び通信信頼性の向上を図ることができる。
【0086】
リニアプロテクション区間3は、第3の中継装置5Cが異常の場合に、第1の始端点P1からの第1の論理パスを第2の中継装置5Bを経由して第4の中継装置5D内の第2の終端点P12に至るデフォルト経路における第1の論理パスの接続を確立する。第1の中継装置5Aは、例えば、第1の論理パスの両系障害を検出した場合、デフォルト経路に設定する。その結果、第1のMC-LAG区間2A及び第2のMC-LAG区間2BがACT/ACT構成であっても、デフォルト経路を使用して通信信頼性を確保すると共に、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することで、通信効率の向上を図る。
【0087】
第4の中継装置5D内の終端点P12は、第1の中継装置5A内の第1の始端点P1からデフォルト経路で受信した第1の論理パスの主信号を終端する。その結果、第1の論理パスの第1の始端点P1に対する終端点を2個にしたので、一方の終端点の経路で障害が発生した場合でも他方の終端点を使用することで主信号を終端し、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制できる。その結果、第1のMC-LAG区間2A及び第2のMC-LAG区間2BがACT/ACT構成であっても、通信効率及び通信信頼性の向上を図ることができる。
【0088】
更に、終端点P12は、第1の始端点P1からデフォルト経路で受信した第1の論理パスのOAM信号を第3の中継装置5Cに転送する。その結果、第1のMC-LAG区間2A及び第2のMC-LAG区間2BがACT/ACT構成であっても、第1の中継装置5AのMEP2及び第3の中継装置5CのMEP2は、第4の中継装置5Dで主信号を終端したとしても、デフォルト経路上の経路状態を監視できる。
【0089】
第1の中継装置5Aは、第1の論理パスの両系障害を検出した場合に、第1の論理パスのデフォルト経路を設定する。更に、第4の中継装置5Dは、第2のMC-LAG方式の第3の中継装置5Cとの間のIPL障害を検出した場合、第2の通信装置4Bとの間の接続をACTに設定する。その結果、第1のMC-LAG区間2A及び第2のMC-LAG区間2BがACT/ACT構成であっても、デフォルト経路を使用して通信信頼性を確保すると共に、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することで、通信効率の向上を図る。
【0090】
第2の中継装置5Bは、リニアプロテクション方式の第2の論理パスの第2の始端点P2として第1の通信装置4Aとの接続を確立する。第3の中継装置5Cは、第2の始端点P2に対する第2の論理パスの終端点P21としてリニアプロテクション方式の第3の経路における第2の論理パスの接続を確立し、第2の通信装置4Bとの通信を実行する。第4の中継装置5Dは、第2の始端点P2に対する第2の論理パスの終端点P22としてリニアプロテクション方式の第4の経路における第2の論理パスの接続を確立し、第2の通信装置4Bとの通信を実行する。その結果、第2の論理パスの第2の始端点P2に対する終端点を2個にしたので、一方の終端点の経路で障害が発生した場合でも他方の終端点を使用することで主信号を終端して第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することが可能になる。その結果、第1のMC-LAG区間2A及び第2のMC-LAG区間2BがACT/ACT構成であっても、通信効率及び通信信頼性の向上を図ることができる。
【0091】
リニアプロテクション区間3は、第4の中継装置5Dが異常の場合に、第2の始端点P2からの第2の論理パスを第1の中継装置5Aを経由して第3の中継装置5C内の第1の終端点P21に至るデフォルト経路における第2の論理パスの接続を確立する。第2の中継装置5Bは、例えば、第2の論理パスの両系障害を検出した場合、デフォルト経路に設定する。その結果、第1のMC-LAG区間2A及び第2のMC-LAG区間2BがACT/ACT構成であっても、デフォルト経路を使用して通信信頼性を確保すると共に、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することで、通信効率の向上を図る。
【0092】
第3の中継装置5C内の終端点P21は、第2の中継装置5B内の第2の始端点P2からデフォルト経路で受信した第2の論理パスの主信号を終端する。その結果、第2の論理パスの第2の始端点P2に対する終端点を2個にしたので、一方の終端点の経路で障害が発生した場合でも他方の終端点を使用することで主信号を終端し、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制できる。その結果、第1のMC-LAG区間2A及び第2のMC-LAG区間2BがACT/ACT構成であっても、通信効率及び通信信頼性の向上を図ることができる。
【0093】
更に、終端点P21は、第2の始端点P2からデフォルト経路で受信した第2の論理パスのOAM信号を第4の中継装置5Dに転送する。その結果、第2の中継装置5BのMEP4及び第4の中継装置5DのMEP4は、第1のMC-LAG区間2A及び第2のMC-LAG区間2BがACT/ACT構成であっても、第3の中継装置5Cで主信号を終端したとしても、デフォルト経路上の経路状態を監視できる。
【0094】
第2の中継装置5Bは、第2の論理パスの両系障害を検出した場合に、第2の論理パスのデフォルト経路を設定する。更に、第3の中継装置5Cは、第2のMC-LAG方式の第4の中継装置5Dとの間のIPL障害を検出した場合、第2の通信装置4Bとの間の接続をACTに設定する。その結果、第1のMC-LAG区間2A及び第2のMC-LAG区間2BがACT/ACT構成であっても、デフォルト経路を使用して通信信頼性を確保すると共に、第3の中継装置5Cと第4の中継装置5Dとの間の折り返し通信を抑制することで、通信効率の向上を図る。
【0095】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0096】
また、リニアプロテクション区間3、第1のMC-LAG区間2A、第2のMC-LAG区間2Bは、地理的な制限はうけず、その距離は短距離であっても長距離であってもよい。
【0097】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0098】
1 通信システム
2A 第1のMC-LAG区間
2B 第2のMC-LAG区間
3 リニアプロテクション区間
4A 第1の通信装置
4B 第2の通信装置
5A 第1の中継装置
5B 第2の中継装置
5C 第3の中継装置
5D 第4の中継装置
P1 第1の始端点
P2 第2の始端点
P11、P12,P21,P22 終端点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
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図16A
図16B
図17A
図17B
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