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特開2022-155333光導波路素子及びそれを用いた光変調デバイス並びに光送信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155333
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】光導波路素子及びそれを用いた光変調デバイス並びに光送信装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/035 20060101AFI20221005BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
G02F1/035
G02B6/12 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058774
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】片岡 利夫
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徳一
【テーマコード(参考)】
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H147AB02
2H147AB06
2H147AB24
2H147AB29
2H147BA01
2H147BA05
2H147BB02
2H147BE01
2H147BE13
2H147CA10
2H147CB10
2H147CD02
2H147DA10
2H147EA05A
2H147EA05C
2H147EA06A
2H147EA06C
2H147EA12A
2H147EA12C
2H147EA16A
2H147EA16C
2H147EA33A
2H147EA37A
2H147FA29
2H147FC01
2H147GA25
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102BD09
2K102CA00
2K102DA05
2K102DB05
2K102DB08
2K102DC04
2K102DC08
2K102DD04
2K102DD05
2K102EA03
2K102EA21
2K102EB16
2K102EB22
2K102EB30
(57)【要約】
【課題】
光導波路の幅や高さが小さい場合でも、効率よく高次モード光が除去でき、製造も容易な光導波路素子を提供すること。
【解決手段】
リブ型の光導波路10を形成した基板1を備えた光導波路素子において、該リブ型光導波路10に近接して配置されるスラブ導波路SWを備え、該スラブ導波路SWの上面の少なくとも一部(SF1)の粗さが、該リブ型光導波路の頂部の面の粗さ(SF0)より粗くなっていることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リブ型の光導波路を形成した基板を備えた光導波路素子において、
該リブ型光導波路に近接して配置されるスラブ導波路を備え、
該スラブ導波路の上面の少なくとも一部の粗さが、該リブ型光導波路の頂部の面の粗さより粗くなっていることを特徴とする光導波路素子。
【請求項2】
請求項1に記載の光導波路素子において、該スラブ導波路は、該リブ型光導波路に近接すると共に、該リブ型光導波路の高さより低い第1スラブ導波路を有し、
該第1スラブ導波路の上面の粗さを粗く設定することを特徴とする光導波路素子。
【請求項3】
請求項1に記載の光導波路素子において、該スラブ導波路は、該リブ型光導波路に近接すると共に、該リブ型光導波路の高さより低い第1スラブ導波路と、
該第1スラブ導波路に近接すると共に、該リブ型光導波路と反対側に配置され、該第1スラブ導波路の高さより高い第2スラブ導波路とを備え、
該第2スラブ導波路の上面の粗さを粗く設定することを特徴とする光導波路素子。
【請求項4】
請求項3に記載の光導波路素子において、該第1スラブ導波路の上面の粗さは、該第2スラブ導波路の上面の粗さと同じに設定されていることを特徴とする光導波路素子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路素子において、前記第1のスラブ導波路は、該リブ型光導波路の両側に配置されていることを特徴とする光導波路素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光導波路素子において、該スラブ導波路は、該リブ型導波路の前記第1及び第2のスラブ導波路は、該リブ型光導波路の両側に配置されていることを特徴とする光導波路素子。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の光導波路素子において、該スラブ導波路は、該リブ型光導波路の入力部、分岐部、又は合波部の近傍に配置されていることを特徴とする光導波路素子。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の光導波路素子において、該リブ型光導波路の入力部と出力部が基板の同一端面に配置されており、該リブ型光導波路を伝搬する光波又は該リブ型光導波路から放出される放射光を検出する光検出手段を該基板上に備え、該入力部とが光検出手段との間に、該スラブ導波路を設けることを特徴とする光導波路素子。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の光導波路素子は、該リブ型光導波路を伝搬する光波を変調する電極を備え、該光導波路素子は筐体内に収容され、該リブ型光導波路に光波を入力又は出力する光ファイバを備えることを特徴とする光変調デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の光変調デバイスにおいて、該光導波路素子に入力する変調信号を増幅する電子回路を該筐体の内部に有することを特徴とする光変調デバイス。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の光変調デバイスと、該光変調デバイスに変調動作を行わせる変調信号を出力する電子回路とを有することを特徴とする光送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路素子及びそれを用いた光変調デバイス並びに光送信装置に関し、特に、リブ型の光導波路を形成した基板を備えた光導波路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光計測技術分野や光通信技術分野において、光変調器など、光導波路を形成した基板を用いた光導波路素子が多用されている。光導波路は、ニオブ酸リチウム(LN)などの電気光学効果を有する基板に、Tiなどのを熱拡散して形成できるが、基板表面に凸状のリブ部を形成したリブ型光導波路も提案されている。特に、リブ型光導波路は、リブ部とその周辺の空間(空気)との屈折率差を大きくできるため、光閉じ込めを強くできる。
【0003】
本出願人は、特許文献1において、リブ型光導波路を伝搬する光波について、基本モードの損失を抑制しながら高次モードを減衰させる方法を提案している。具体的には、図1に示すようなリブ型光導波路10の近傍にスラブ導波路SWを設け、該スラブ導波路SWの高さhをリブ型光導波路10の高さHよりも低くすることを提案している。楕円状点線OWは光波のモードフィールド径(MFD)を簡略化して示す。
【0004】
一方、光変調器は、高速化や小型化のニーズが高まり、光導波路素子を収容する筐体内部に、電気信号を増幅するためのドライバ回路(増幅器)まで組み込む、ドライバ集積型光変調デバイスが提案されている。
【0005】
増幅器を筐体内に組み込む場合には、光導波路素子の一端側に増幅器が配置されるため、基板に形成される光導波路は、基板の一端面(増幅器と反対側の端面)に光導波路の入力部と出力部を共に配置することが必要となる。このため、光導波路の全体形状は、少なくとも180度折り曲げる構造を採用することが必要となるため、光導波路の光閉じ込めをより強くすることが必要となる。
【0006】
光導波路の光閉じ込めを強くする方法として、光導波路の幅や高さを1μm以下に設定することが行われている。このような場合、特許文献1のスラブ導波路SWの高さhを1μmよりも小さく設定すると共に、スラブ導波路SWをリブ型光導波路10に精確に近接配置することは、製造が大変難しくなる。しかも特許文献1に開示されている寸法は、光導波路を伝搬する光波のMFDを10μm程度に設定する場合であり、この寸法では、光導波路自体がマルチモードとなり、高次モード光を全く除去できないという不具合を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5359750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、光導波路の幅や高さが小さい場合でも、効率よく高次モード光が除去でき、製造も容易な光導波路素子を提供することである。また、その光導波路素子を利用した光変調デバイス及び光送信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の光導波路素子及びそれを用いた光変調デバイス並びに光送信装置は、以下の技術的特徴を有する。
(1) リブ型の光導波路を形成した基板を備えた光導波路素子において、該リブ型光導波路に近接して配置されるスラブ導波路を備え、該スラブ導波路の上面の少なくとも一部の粗さが、該リブ型光導波路の頂部の面の粗さより粗くなっていることを特徴とする。
【0010】
(2) 上記(1)に記載の光導波路素子において、該スラブ導波路は、該リブ型光導波路に近接すると共に、該リブ型光導波路の高さより低い第1スラブ導波路を有し、該第1スラブ導波路の上面の粗さを粗く設定することを特徴とする。
【0011】
(3) 上記(1)に記載の光導波路素子において、該スラブ導波路は、該リブ型光導波路に近接すると共に、該リブ型光導波路の高さより低い第1スラブ導波路と、該第1スラブ導波路に近接すると共に、該リブ型光導波路と反対側に配置され、該第1スラブ導波路の高さより高い第2スラブ導波路とを備え、該第2スラブ導波路の上面の粗さを粗く設定することを特徴とする。
【0012】
(4) 上記(3)に記載の光導波路素子において、該第1スラブ導波路の上面の粗さは、該第2スラブ導波路の上面の粗さと同じに設定されていることを特徴とする。
【0013】
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の光導波路素子において、前記第1のスラブ導波路は、該リブ型光導波路の両側に配置されていることを特徴とする。
【0014】
(6) 上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の光導波路素子において、該スラブ導波路は、該リブ型導波路の前記第1及び第2のスラブ導波路は、該リブ型光導波路の両側に配置されていることを特徴とする。
【0015】
(7) 上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の光導波路素子において、該スラブ導波路は、該リブ型光導波路の入力部、分岐部、又は合波部の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0016】
(8) 上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の光導波路素子において、該リブ型光導波路の入力部と出力部が基板の同一端面に配置されており、該リブ型光導波路を伝搬する光波又は該リブ型光導波路から放出される放射光を検出する光検出手段を該基板上に備え、該入力部とが光検出手段との間に、該スラブ導波路を設けることを特徴とする。
【0017】
(9) 上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の光導波路素子は、該リブ型光導波路を伝搬する光波を変調する電極を備え、該光導波路素子は筐体内に収容され、該リブ型光導波路に光波を入力又は出力する光ファイバを備えることを特徴とする光変調デバイスである。
【0018】
(10) 上記(9)に記載の光変調デバイスにおいて、該光導波路素子に入力する変調信号を増幅する電子回路を該筐体の内部に有することを特徴とする。
【0019】
(11) 上記(9)又は(10)に記載の光変調デバイスと、該光変調デバイスに変調動作を行わせる変調信号を出力する電子回路とを有することを特徴とする光送信装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、リブ型の光導波路を形成した基板を備えた光導波路素子において、該リブ型光導波路に近接して配置されるスラブ導波路を備え、該スラブ導波路の上面の少なくとも一部の粗さが、該リブ型光導波路の頂部の面の粗さより粗くなっているため、この粗い面の部分により、リブ型光導波路を伝搬する光波の高次モードを散乱させることで、効率よく除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来の光導波路素子の構造を説明する断面図である。
図2】本発明の光導波路素子に係る第1実施例を説明する断面図である。
図3】本発明の光導波路素子に係る第2実施例を説明する断面図である。
図4】本発明の光導波路素子に係る第3実施例を説明する断面図である。
図5】本発明の光導波路素子に係る第4実施例を説明する断面図である。
図6】本発明の光導波路素子における不要光除去手段の配置位置を説明する平面図である。
図7】本発明の光導波路素子における不要光除去手段と受光手段との位置関係を説明する平面図である。
図8】本発明の光変調デバイス及び光送信装置を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の光導波路素子について、好適例を用いて詳細に説明する。
本発明の光導波路素子は、図2乃至5に示すように、リブ型の光導波路10を形成した基板1を備えた光導波路素子において、該リブ型光導波路10に近接して配置されるスラブ導波路SWを備え、該スラブ導波路SWの上面の少なくとも一部(SF1,SF2)の粗さが、該リブ型光導波路の頂部の面の粗さ(SF0)より粗くなっていることを特徴とする。
【0023】
本発明の光導波路素子に使用される基板1の材料としては、電気光学効果を有する強誘電体材料、具体的には、ニオブ酸リチウム(LN)やタンタル酸リチウム(LT)、PLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)などの基板や、これらの材料による気相成長膜などが利用可能である。また、半導体材料や有機材料など種々の材料も光導波路素子の基板として利用可能である。
【0024】
光導波路を形成した基板1の厚さは、変調信号のマイクロ波と光波との速度整合を図るため、10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下に設定される場合がある。このような場合には、基板1の機械的強度を補強するため、0.2~1mm厚の保持基板11を、直接接合又は接着剤を介して貼り合わせることが行われる。
本発明の光導波路素子において、「光導波路を形成した基板」とは、単に1枚の基板のみを意味するのではなく、光導波路を形成した薄板(例えば、10μm以下の厚み)と、該薄板を支持する保持基板11との接合体をも含む概念である。
また、「光導波路を形成した基板」には、保持基板上に気相成長膜を形成し、当該膜(薄膜)を光導波路の形状に加工するような基板も含む。
【0025】
基板1に光導波路を形成する方法としては、光導波路以外の基板部分をエッチングする方法や、光導波路の両側に溝を形成する方法などで、基板の光導波路に対応する部分を凸状としたリブ型光導波路を形成することができる。また、リブ型光導波路に併せて、Tiなどの高屈折率材料を基板に熱拡散する方法や、プロトン交換法により高屈折率部分を形成する方法を使用することも可能である。
【0026】
リブ型光導波路の高さは1μm以下、幅は3um以下に設定されており、光導波路の入力部や出力部では、光波MFDを1μmから3μm程度に変化するスポットサイズ変換部(SSC)を設けられている。これにより、光導波路素子の外部に設置された光ファイバーのMFDが10μmである場合でも、光結合損を抑制することが可能となる。
【0027】
本発明の光導波路素子は、図2乃至5に示すように、リブ型光導波路10に近接してスラブ導波路SWを設け、該スラブ導波路SWの上面(SF1,SF2)の少なくとも一部に、リブ型光導波路の頂部の面の粗さよりも粗くすることを特徴としている。この構成により、リブ型光導波路を伝搬する光波について、基本モード光は維持しながら高次モード光などの不要光を効果的に除去する手段(以下、「不要光除去手段」という。)を形成することが可能となる。
【0028】
スラブ導波路の上面を粗くする方法としては、電子ビームで局所的に凹凸を形成する方法や、エッチングにより上面を粗くする方法がある。粗面のエッチング条件は、リブ頂部の加工条件より、凹凸が発生する条件にて加工する。特に、エッチングにより簡単に表面を局所的に粗面化することができるため、特許文献1の不要光除去手段よりも格段に簡便に形成することができる。粗面の粗さは、算術平均粗さRaで10nm以上、であることが好ましい。リブ部光導波路の上面の粗さは、通常、1nm以下に設定される。
【0029】
図2は、リブ型光導波路10に近接して配置するスラブ導波路SW(SW1)は、リブ型光導波路の高さより低い形状となっている。当該スラブ導波路SWの上面の一部(SF1)、特に、リブ型光導波路10に近接している部分に、粗面が形成されている。この面(SF1)の粗さは、リブ型光導波路10の頂部の上面(SF0)の粗さより粗くなるように設定される。
【0030】
図3は、リブ型光導波路10に近接して、リブ型光導波路よりも高さの低い第1スラブ導波路(SW1)を設けている。さらに、第1スラブ導波路(SW1)に近接し、リブ型光導波路10と反対側に配置され、該第1スラブ導波路(SW1)の高さより高い第2スラブ導波路(SW2)とを設ける。第2スラブ導波路の高さは、リブ型光導波路の高さと同じにする方が、製造工程も簡略化することが可能となる。ここでは、第2スラブ導波路(SW2)の上面(SF2)の粗さを、リブ型光導波路の頂部の上面(SF0)よりも粗く設定している。なお、図3では、第1スラブ導波路(SW1)の上面は粗面にしていない。
【0031】
リブ型光導波路10と第2スラブ導波路(SW2)との間隔Gは、1μm以下、より好ましくは0.5μm以下に設定する。間隔Gが広くなると、リブ型光導波路10を伝搬する光波から高次モード光を効率的に引寄せ、除去することが難しくなるため、間隔Gを所定の距離以下に近接させる。
【0032】
図4は、リブ型光導波路10の両側に、高次モード光等の不要光を除去するためのスラブ導波路(SW1、SW1’)を形成している。図4では第2スラブ導波路の上面には粗面を形成していないが、図5に示すように、第1及び第2スラブ導波路の両方に粗面を形成することも可能である。また、図2又は図3のような粗面を形成したスラブ導波路を、リブ型光導波路10の両側に設置できることは、言うまでもない。さらに、第1スラブ導波路(SW1)の上面(SF1)の粗さは、第2スラブ導波路(SW2)の上面(SF2)の粗さは、同じに設定することで、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0033】
図6は、不要光除去手段(RM1~4)の配置場所を説明する平面図である。光導波路の入力部では、入力光Linが光導波路に入る際の結合損が発生し易い。このため、光導波路の入力部では高次モード光が多く発生するため、不要光除去手段RM1で効率的に除去することが好ましい。符号Lout1及びLout2は出力光である。
【0034】
また、光導波路の分岐部や合波部では、分岐した光の強度を適正に制御したり、合波を円滑に行うため、分岐部や光波部に入る前の段階で高次モード光を効果的に除去することが好ましい。また、分岐した光や合波した光にも高次モード光が付帯している場合もあり、分岐部や合波部の後段に不要光除去手段を設けることも可能である。図6では、分岐部又は合波部の前段又は後段、あるいは前段から後段に掛けて不要光除去手段(RM2~4)を形成することが可能である。
【0035】
図7に示すように、リブ型光導波路10の入力部と出力部が基板の同一端面(図7の基板1の右側端面)に配置されている。また、リブ型光導波路10を伝搬する光波又はリブ型光導波路10(合波部)から放出される放射光を検出する光検出手段(受光素子)PDを基板1上に配置している。図7のような構成では、光導波路の入力部で結合損となった不要光が、受光素子PDに入り易く、ノイズになる。このため、入力部に不要光除去手段RM1を設けることは、特に重要である。図7において、RM1の配置は、入力光Linからリブ型光導波路10の端面に配置されているが、入力光LinとPDの間に配置されていてもよい。
また、基板から放出された不要光が、受光素子PDに到達しないように、遮蔽するように設けられていても良い。
【0036】
さらに、不要光除去手段で除去された高次モード光は、基板上の粗い部分より一部が基板外に放出される。このような除去された不要光が、受光素子PDに入射しないように構成することも、また重要である。図7では、リブ型光導波路10の分岐部及び合波部にて発生する、不要除去手段RM2~RM4を示している。特に受光素子PDの前段に配置されている不要光除去手段RM4は、変調器の動作を安定させるために電極等で不要光を吸収することが好ましい。
【0037】
本発明の光導波路素子は、基板1に光導波路を伝搬する光波を変調する変調電極を設け、図8のように、筐体CA内に収容される。さらに、光導波路に光波を入出力する光ファイバFを設けることで、光変調デバイスMDを構成することができる。光ファイバは、図8のように筐体CAの外側に配置するだけでなく、筐体の側壁を貫通する貫通孔を介して筐体内に導入して配置固定することも可能である。
【0038】
光変調デバイスMDに変調動作を行わせる変調信号Sを出力する電子回路(デジタル信号プロセッサーDSP)を、光変調デバイスMDに接続することにより、光送信装置OTAを構成することが可能である。光導波路素子に印加する変調信号Sは増幅する必要があるため、ドライバ回路DRVが使用される。ドライバ回路DRVやデジタル信号プロセッサーDSPは、筐体CAの外部に配置することも可能であるが、筐体CA内に配置することも可能である。特に、ドライバ回路DRVを筐体内に配置することで、ドライバ回路からの変調信号の伝搬損失をより低減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、光導波路の幅や高さが小さい場合でも、効率よく高次モード光が除去でき、製造も容易な光導波路素子を提供することが可能となる。また、その光導波路素子を利用した光変調デバイス及び光送信装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 基板
10 リブ型光導波路
SW スラブ導波路
SW1 第1スラブ導波路
SW2 第2スラブ導波路
SF0 リブ型光導波路の頂部の上面
SF1~2 スラブ導波路の上面
RM1~4 不要光除去手段
MD 光変調デバイス
OTA 光送信装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8