(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155718
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】周囲監視装置、周囲監視方法及び周囲監視プログラム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/24 20060101AFI20221006BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20221006BHJP
B60R 1/00 20220101ALI20221006BHJP
【FI】
E02F9/24 B
E02F9/26 B
B60R1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059083
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】堀 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 禎央
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大谷 栄介
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB06
2D015GB07
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】作業車両の作業効率の低下を抑えつつ、作業車両の周囲の物体をより確実に検出できる周囲監視装置、周囲監視方法及び周囲監視プログラムを提供すること。
【解決手段】周囲監視装置1は、走行体110と、旋回体120と、作業機130を備える作業車両100用の周囲監視装置1であって、送信波を送信して作業車両100の周囲に存在する物体を検出するセンサ10と、作業車両100の状態に応じてセンサ10による物体の検出範囲Z1を設定する検出範囲設定部34と、作業車両100の状態に応じてセンサ10による物体の検出範囲Z1内に警戒領域Z2を設定する警戒領域設定部36と、作業機130の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する許容対象識別部37と、警戒領域Z2内において許容対象識別部37によって許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する判定部38と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、前記走行体に旋回可能に搭載される旋回体と、前記旋回体に取り付けられる作業機を備える作業車両用の周囲監視装置であって、
送信波を送信して前記作業車両の周囲に存在する物体を検出する検出部と、
前記作業車両の状態に応じて前記検出部による物体の検出範囲を設定する検出範囲設定部と、
前記作業車両の状態に応じて前記検出部による物体の検出範囲内に警戒領域を設定する警戒領域設定部と、
前記作業機の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する許容対象識別部と、
前記警戒領域内において前記許容対象識別部によって許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する判定部と、を備える周囲監視装置。
【請求項2】
前記警戒領域内において前記許容対象識別部によって許容対象として識別された物体以外の物体が検出された場合に、警報を発生する警報部を更に備える請求項1に記載の周囲監視装置。
【請求項3】
前記検出範囲設定部は、前記作業車両の状態に応じて前記送信波の送信方向を設定する請求項1又は2に記載の周囲監視装置。
【請求項4】
前記検出範囲設定部は、前記作業車両の状態に応じて前記検出部から物体を検出可能な距離を設定する請求項1又は2に記載の周囲監視装置。
【請求項5】
前記検出部から物体を検出可能な距離に応じて、前記送信波の送信パルス幅を設定するパルス幅設定部を更に備える請求項3に記載の周囲監視装置。
【請求項6】
走行体と、前記走行体に旋回可能に搭載される旋回体と、前記旋回体に取り付けられる作業機を備える作業車両の周囲を監視する周囲監視方法であって、
送信波を送信して前記作業車両の周囲に存在する物体を検出する検出工程と、
前記作業車両の状態に応じて前記検出工程における物体の検出範囲を設定する検出範囲設定工程と、
前記作業車両の状態に応じて前記検出工程における物体の検出範囲内に警戒領域を設定する警戒領域設定工程と、
前記作業機の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する許容対象識別工程と、
前記警戒領域内において前記許容対象識別工程で許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する判定工程と、を含む周囲監視方法。
【請求項7】
走行体と、前記走行体に旋回可能に搭載される旋回体と、前記旋回体に取り付けられる作業機を備える作業車両の周囲を監視する周囲監視プログラムであって、
コンピュータに、
送信波を送信して前記作業車両の周囲に存在する物体を検出する検出工程と、
前記作業車両の状態に応じて前記検出工程における物体の検出範囲を設定する検出範囲設定工程と、
前記作業車両の状態に応じて前記検出工程における物体の検出範囲内に警戒領域を設定する警戒領域設定工程と、
前記作業機の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する許容対象識別工程と、
前記警戒領域内において前記許容対象識別工程で許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する判定工程と、を実行させるための周囲監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両用の周囲監視装置、周囲監視方法及び周囲監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ショベル等の作業車両の周囲を監視する周囲監視装置が知られている(例えば、特許文献1及び2)。特許文献1には、キャビンにいる操作者の死角を撮像できるように取り付けられた画像センサと物体検出センサを有し、作業車両の周囲における人の存否を判定する装置が記載されている。特許文献2には、作業車両の周囲に位置する物体の3次元位置を検出する測距センサと上部旋回体の旋回角度を検出する角度センサを有し、上部旋回体の旋回角度に応じて、下部走行体が除外されるように監視領域が設定される装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6689669号
【特許文献2】特許第6729146号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、走行体、旋回体、及び作業機がそれぞれ別々に駆動可能な作業車両では、その動作に応じて操作者の死角や周囲の物体との衝突の可能性が高い領域が変化する。特許文献1及び2に記載の装置では、作業車両の状態に応じてより確実に作業車両の周囲の物体を検出するという点で改善の余地がある。また、瓦礫や機材等の多量の物体を運搬する作業車両では、作業車両の周囲の物体の存在に対して必要以上に警報の発生や作業車両の停止動作が行われると作業車両による作業効率が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、作業車両の作業効率の低下を抑えつつ、作業車両の周囲の物体をより確実に検出できる周囲監視装置、周囲監視方法及び周囲監視プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、走行体と、前記走行体に旋回可能に搭載される旋回体と、前記旋回体に取り付けられる作業機を備える作業車両用の周囲監視装置であって、送信波を送信して前記作業車両の周囲に存在する物体を検出する検出部と、前記作業車両の状態に応じて前記検出部による物体の検出範囲を設定する検出範囲設定部と、前記作業車両の状態に応じて前記検出部による物体の検出範囲内に警戒領域を設定する警戒領域設定部と、前記作業機の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する許容対象識別部と、前記警戒領域内において前記許容対象識別部によって許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する判定部と、を備える周囲監視装置に関する。
【0007】
前記警戒領域内において前記許容対象識別部によって許容対象として識別された物体以外の物体が検出された場合に、警報を発生する警報部を更に備えていてもよい。
【0008】
前記検出範囲設定部は、前記作業車両の状態に応じて前記送信波の送信方向を設定してもよい。
【0009】
前記検出範囲設定部は、前記作業車両の状態に応じて前記検出部から物体を検出可能な距離を設定してもよい。
【0010】
前記検出部から物体を検出可能な距離に応じて、前記送信波の送信パルス幅を設定するパルス幅設定部を更に備えていてもよい。
【0011】
また本発明は、走行体と、前記走行体に旋回可能に搭載される旋回体と、前記旋回体に取り付けられる作業機を備える作業車両の周囲を監視する周囲監視方法であって、送信波を送信して前記作業車両の周囲に存在する物体を検出する検出工程と、前記作業車両の状態に応じて前記検出工程における物体の検出範囲を設定する検出範囲設定工程と、前記作業車両の状態に応じて前記検出工程における物体の検出範囲内に警戒領域を設定する警戒領域設定工程と、前記作業機の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する許容対象識別工程と、前記警戒領域内において前記許容対象識別工程で許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する判定工程と、を含む周囲監視方法に関する。
【0012】
また本発明は、走行体と、前記走行体に旋回可能に搭載される旋回体と、前記旋回体に取り付けられる作業機を備える作業車両の周囲を監視する周囲監視プログラムであって、コンピュータに、送信波を送信して前記作業車両の周囲に存在する物体を検出する検出工程と、前記作業車両の状態に応じて前記検出工程における物体の検出範囲を設定する検出範囲設定工程と、前記作業車両の状態に応じて前記検出工程における物体の検出範囲内に警戒領域を設定する警戒領域設定工程と、前記作業機の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する許容対象識別工程と、前記警戒領域内において前記許容対象識別工程で許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する判定工程と、を実行させるための周囲監視プログラムに関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業車両の作業効率の低下を抑えつつ、作業車両の周囲の物体をより確実に検出できる周囲監視装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る周囲監視装置が搭載された作業車両を示す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る周囲監視装置の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る周囲監視装置が搭載された作業車両の停車時の検出範囲を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る周囲監視装置が搭載された作業車両の作業機の先端が
図3の作業車両よりも旋回体に近い位置にある場合におけるセンサによる物体の検出範囲の一例を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る周囲監視装置が搭載された作業車両の前進時におけるセンサによる物体の検出範囲及び警戒領域の一例を示す平面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る周囲監視装置のセンサから送信させる送信波のパルス幅を示すグラフである。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る周囲監視装置のセンサから送信させる送信波のパルス幅を示すグラフである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る周囲監視装置による作業車両の周囲を監視する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係る周囲監視方法の流れを示すフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態に係る周囲監視装置が搭載された作業車両の後退時におけるセンサによる物体の検出範囲及び警戒領域の一例を示す平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る周囲監視装置が搭載された作業車両の旋回体が左旋回を開始する状態におけるセンサによる物体の検出範囲及び警戒領域の一例を示す平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る周囲監視装置が搭載された作業車両の旋回体が右旋回を開始する状態におけるセンサによる物体の検出範囲及び警戒領域の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものでない。また、以下の説明において参照する各図は、本開示の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は、各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものでない。
【0016】
本発明の周囲監視装置1について
図1~
図5を参照しながら説明する。
図1は、作業車両100の側面図である。
図2は、周囲監視装置1の機能ブロック図である。
図3は、作業車両100の周囲における周囲監視装置1のセンサ10による検出範囲Z1の一例を示す平面図である。
図4は、作業車両100の作業機130の先端が
図3の作業車両100よりも旋回体120に近い位置にある場合におけるセンサ10による検出範囲Z1の一例を示す平面図である。
図5は、作業車両100の前進時におけるセンサ10による検出範囲Z1及び警戒領域Z2の一例を示す平面図である。なお、
図3~
図5において破線はセンサ10の検出範囲Z1を示し、
図5において二点鎖線はセンサ10の警戒領域Z2を示しており、白抜き矢印は作業車両100の進行方向を示している。
【0017】
まず、周囲監視装置1が搭載される作業車両100について
図1を参照しながら説明する。作業車両100は、油圧ショベルである。作業車両100としては、油圧ショベルの他に例えば、移動式クレーン等の建設機械や土木機械、運搬車両、農業機械等が挙げられる。作業車両100は、走行体110と、旋回体120と、作業機130を備える。
【0018】
走行体110は、旋回体120及び作業機130を搭載した状態で自走可能に構成される。
【0019】
旋回体120は、走行体110の上部に旋回可能に搭載される。旋回体120の前部左側には、作業車両100の操作者が乗車する部分であるキャビン121が設けられる。キャビン121の右側には、作業機130が配置される。
【0020】
作業機130は、旋回体120の前方に延出するように旋回体120の前部右側に取り付けられる。作業機130は、ブーム131と、アーム132と、バケット133を有する。ブーム131は、細長棒状であり、旋回体120に対して上下方向に回転可能に旋回体120に取り付けられる。アーム132は、細長棒状であり、一端側がブーム131の旋回体120とは反対側の端部に回転可能に取り付けられ、他端側にバケット133が取り付けられる。バケット133は、アーム132の先端に回転可能に取り付けられる。
【0021】
次に、周囲監視装置1について説明する。周囲監視装置1は、作業車両100の周囲の状況を監視するための装置である。
図2に示すように、周囲監視装置1は、検出部であるセンサ10と、カメラ20と、制御部30と、記憶部40と、通信部50を備える。
【0022】
センサ10は、送信波を送信して作業車両100の周囲に存在する物体を検出する。具体的には、センサ10は、送信波である電磁波を送信し、作業車両100の周囲の物体によって反射された反射波を受信する。センサ10は、この受信した信号に基づいて物体に関する距離、角度、速度等の情報を生成する。センサ10が送信する送信波としては、電磁波以外に、例えば、超音波等が挙げられる。センサ10は、検出した物体に関する情報を制御部30に送信する。
【0023】
センサ10は、送信波の送信方向を変更可能に構成される。例えば、センサ10は、その送信波の送信方向をビームフォーミングによって変更可能に構成してもよい。また例えば、センサ10は、旋回体120に対するセンサ10の角度を機械的に変えることで送信波の送信方向を変更可能に構成してもよい。また例えば、センサ10は、視野中心の方向Cが異なる複数のアンテナ素子を含み、使用するアンテナ素子を選択することで送信波の送信方向を変更可能に構成してもよい。
【0024】
本実施形態では、周囲監視装置1は、4つのセンサ10である前側センサ11と、後側センサ12と、右側センサ13と、左側センサ14と、を備える。
【0025】
前側センサ11は、作業車両100の旋回体120の前面122に配置される。前側センサ11は、少なくとも旋回体120の前方に電磁波を送信可能に配置される。
【0026】
後側センサ12は、作業車両100の旋回体120の後面123に配置される。後側センサ12は、少なくとも旋回体120の後方に電磁波を送信可能に配置される。
【0027】
右側センサ13は、作業車両100の旋回体120の右側面124に配置される。右側センサ13は、少なくとも旋回体120の右方向に電磁波を送信可能に配置される。
【0028】
左側センサ14は、作業車両100の旋回体120の左側面125に配置される。左側センサ14は、少なくとも旋回体120の左方向に電磁波を送信可能に配置される。
【0029】
カメラ20は、任意の場所に配置され、例えば、前面122の面上や、前面122における前側センサ11と作業機130の間などに配置される。カメラ20は、少なくともアーム132及びバケット133の周囲を撮像可能に配置される。カメラ20は、撮像した画像の情報を制御部30に送信する。
【0030】
制御部30は、例えば、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入出力ポート等を有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。制御部30は、周囲監視装置1の全体を制御する部分であり、各種プログラムをメモリ等の記憶領域から適宜読み出して実行することにより、本実施形態における各種機能を実現している。
【0031】
制御部30は、センサ10、カメラ20、記憶部40及び通信部50と電気的に接続される。制御部30は、センサ10やカメラ20によって検出された物体についての情報を用いて作業車両100の周囲の状況を判定するための処理を行う。
【0032】
制御部30は、
図2に示すように、センサ情報取得部31と、カメラ情報取得部32と、車両情報取得部33と、検出範囲設定部34と、パルス幅設定部35と、警戒領域設定部36と、許容対象識別部37と、判定部38と、警報部39と、を備える。
【0033】
センサ情報取得部31は、センサ10によって生成された物体の情報を取得する。物体の情報がどのセンサ10によって生成されたものであるか識別する方法としては、例えば、センサ情報取得部31は物体の情報とともに各センサ10の固有のIDを取得することで識別してもよく、また、各センサ10が接続される各ポートに付与されている固有の識別番号により識別してもよい。
【0034】
カメラ情報取得部32は、カメラ20によって撮像された画像の情報を取得する。
【0035】
車両情報取得部33は、作業車両100の上位装置であるECU60から通信部50を介して作業車両100の状態に関する情報を取得する。車両情報取得部33が取得する作業車両100の状態に関する情報としては、例えば、作業車両100の走行体110の動作情報、旋回体120の動作情報や位置情報、作業機130の位置情報等が挙げられる。走行体110の動作情報としては、例えば、走行体110の前進や後退等の走行方向、走行速度等を示す情報が挙げられる。旋回体120の位置情報としては、例えば、走行体110に対する旋回体120の角度等を示す情報が挙げられる。旋回体120の動作情報としては、例えば、旋回体120の旋回方向、旋回速度等が挙げられる。作業機130の位置情報としては、例えば、旋回体120に対するブーム131の角度情報、ブーム131に対するアーム132の角度情報、アーム132に対するバケット133の角度情報、バケット133の位置情報、平面視における旋回体120の前面122から作業機130の先端までの距離L等が挙げられる。なお、作業機130の位置情報は、カメラ20によって撮像された画像の情報を解析することで特定してもよい。
【0036】
検出範囲設定部34は、作業車両100の状態に応じてセンサ10による物体の検出範囲Z1を設定する。具体的には、検出範囲設定部34は、車両情報取得部33によって取得された作業車両100の情報を用いて、各センサ10の検出範囲Z1を決定し、決定したそれぞれの検出範囲Z1に基づいて各センサ10の動作を制御する。これにより、例えば、
図3に示すように作業車両100の前後左右に配置されたセンサ10による検出範囲Z1が形成される。
【0037】
本実施形態では、検出範囲設定部34は送信方向設定部341と検出距離設定部342を有する。
【0038】
送信方向設定部341は、作業車両100の状態に応じてセンサ10による送信波の送信方向を設定する。具体的には、検出範囲設定部34は、車両情報取得部33によって取得された作業車両100の情報を用いて、各センサ10の送信方向を決定し、決定したそれぞれの送信方向に基づいて各センサ10の視野中心の方向Cを調整する。
【0039】
例えば、作業車両100が
図3に示す停車状態から
図5に示す旋回体120の前方に前進する前進状態に移行すると、送信方向設定部341によって右側センサ13及び左側センサ14による送信波の送信方向が変更される。具体的には、送信方向設定部341は、右側センサ13の視野中心の方向Cが旋回体120の右斜め前方に向かうように右側センサ13を制御する。この結果、右側センサ13による物体の検出範囲Z1は、右側面124における旋回体120の前側近傍を含むように設定される。また、送信方向設定部341は、左側センサ14の視野中心の方向Cが旋回体120の左斜め前方に向かうように左側センサ14を制御する。この結果、左側センサ14による物体の検出範囲Z1は、左側面125における旋回体120の前側近傍を含むように設定される。これにより、作業車両100の前進時にキャビン111に乗車する操作者の死角になり易い旋回体120の右側面124の前側近傍及び左側面125の前側近傍に存在する物体を検出できる。
【0040】
送信方向設定部341は、例えば、ビームフォーミングによってセンサ10の送信波の送信方向を制御してもよく、旋回体120に配置されるセンサ10の角度を機械的に調整することで送信波の送信方向を制御してもよい。または、センサ10を視野中心の方向Cが異なる複数のアンテナを含むように構成し、使用するアンテナを選択することで送信波の送信方向を制御してもよい。
【0041】
検出距離設定部342は、作業車両100の状態に応じてセンサ10から物体を検出可能な距離dを設定する。具体的には、検出距離設定部342は、車両情報取得部33によって取得された作業車両100の情報を用いて、各センサ10から物体を検出可能な距離dを決定する。そして、検出距離設定部342は、決定した各センサ10に対する距離dの情報に基づいて各センサ10に使用されるRFICの送信アンプの利得を調整して各センサ10に供給する電力を調整する。
【0042】
検出距離設定部342は、例えば、平面視における前面122から作業機130の先端までの距離Lに応じて前側センサ11によって物体を検出可能な距離dを設定する。例えば、
図3及び
図4に示すように、検出距離設定部342は、前面122から作業機130の先端までの距離Lが短くなると、それに応じて前側センサ11によって物体を検出可能な距離dを縮めることができる。
【0043】
パルス幅設定部35は、検出距離設定部342によって設定された各センサ10の距離dに応じて各センサ10の送信波のパルス幅を設定する。具体的には、パルス幅設定部35は、各センサ10による物体を検出可能な距離dが短くなると各センサ10の送信波のパルス幅を縮め、距離dが長くなるとパルス幅を拡げることができる。
【0044】
ここで、センサ10の距離分解能について
図6A及び
図6Bを参照しながら説明する。
図6A及び
図6Bはセンサ10から送信させる送信波のパルス幅P1、P2を示すグラフである。
【0045】
センサ10の距離分解能は、センサ10による物体を検出可能な距離dを拡げると小さくなり、距離dを縮めると大きくなる。またセンサ10の距離分解能は、距離dの他にパルス波の最大振幅の半値の時間幅であるパルス幅によっても変化する。具体的には、距離分解能は、パルス幅を電波速度で乗じた値を2で割ると求められる。即ち、センサ10の送信波の距離分解能は、
図6Aに示すようなパルス幅P1から
図6Bに示すようなパルス幅P2に拡げることによって向上する。これにより、例えば、センサ10による送信波のパルス幅P2を拡げることで、物体の検出可能な距離dが拡がることによって生じる距離分解能の劣化を防ぐことができる。
【0046】
警戒領域設定部36は、作業車両100の状態に応じてセンサ10による物体の検出範囲Z1内に警戒領域Z2を設定する。例えば、作業車両100の前進状態では、
図5に示すように、警戒領域設定部36によって右側センサ13による検出範囲Z1内と左側センサ14による検出範囲Z1内に警戒領域Z2が設定される。具体的には、
図5に示すように、右側センサ13の警戒領域Z2は旋回体120の右側面124の前側近傍に設定され、左側センサ14の警戒領域Z2は旋回体120の左側面125の前側近傍に設定される。
【0047】
許容対象識別部37は、作業機130の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する。具体的には、許容対象識別部37は、記憶部40に記憶された許容対象である物体を示す情報を参照し、カメラ情報取得部32によって取得された画像に映る被写体が許容対象である物体か否か判定する。記憶部40に記憶された許容対象である物体としては、例えば、バケット133で運搬される土砂や瓦礫等が挙げられる。
【0048】
判定部38は、警戒領域Z2内において許容対象識別部37によって許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する。
【0049】
警報部39は、警戒領域Z2内において許容対象識別部37によって許容対象として識別された物体以外の物体が検出された場合に警報を発生する。警報の種類は、特に限定されない。例えば、ブザーやスピーカーを用いて警報音を鳴らしてもよい。
【0050】
次に、周囲監視装置1による作業車両100の周囲の状況を監視する処理の一例について説明する。
図7は、制御部30による作業車両100の周囲監視の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0051】
ステップS11において、車両情報取得部33は、ECU60から通信部50を介して作業車両100の状態に関する情報を取得する。
【0052】
ステップS12において、検出範囲設定部34は、ステップS11で取得された作業車両100の状態に関する情報に基づいてセンサ10による物体の検出範囲Z1を設定する。例えば、ステップS11で作業車両100が前進状態であるという情報が取得されると、送信方向設定部341は、
図5に示すように、右側センサ13の視野中心の方向Cが旋回体120の右側面124から右斜め前方に向かうように右側センサ13を制御する。そして、送信方向設定部341は、左側センサ14の視野中心の方向Cが旋回体120の左側面125から左斜め前方に向かうように左側センサ14を制御する。また、例えば、ステップS11で旋回体120の前面122から作業機130の先端までの距離Lが短くなるという情報が取得されると、検出距離設定部342は、
図4に示すように、距離Lに応じて前側センサ11から物体を検出可能な距離dを短くする。
【0053】
ステップS13において、パルス幅設定部35は、ステップS12で設定された各センサ10の距離dに応じて各センサ10の送信波のパルス幅を設定する。
【0054】
ステップS14において、警戒領域設定部36は、ステップS11で取得された作業車両100の状態に関する情報に基づいて、ステップS12で設定されたセンサ10の検出範囲Z1内に警戒領域Z2を設定する。例えば、
図5に示すように、ステップS11で作業車両100が前進状態であるという情報が取得された場合、警戒領域設定部36は、右側センサ13の検出範囲Z1内と左側センサ14の検出範囲Z1内に警戒領域Z2を設定する。具体的には、警戒領域設定部36は、右側センサ13の警戒領域Z2を右側面124の前側近傍に設定し、左側センサ14の警戒領域Z2を左側面125の前側近傍に設定する。
【0055】
ステップS15において、センサ情報取得部31は、センサ10によって検出された物体の情報を取得する。
【0056】
ステップS16において、カメラ情報取得部32は、カメラ20によって撮像された画像を取得する。
【0057】
ステップS17において、許容対象識別部37は、記憶部40に記憶された許容対象である物体を示す情報を参照し、ステップS16で取得された画像の被写体から許容対象である物体と許容対象でない物体を識別する。
【0058】
ステップS18において、判定部38は、センサ10によって検出された物体が警戒領域Z2内に存在するか否かを判定する。判定部38は、ステップS15で取得された情報を用いて物体が警戒領域Z2内に存在しないと判定した場合(ステップS18ではNO)、処理をステップS11に戻す。一方、判定部38は、ステップS15で取得された情報を用いて物体が警戒領域Z2内に存在すると判定した場合(ステップS18ではYES)、処理をステップS19に進める。
【0059】
ステップS19において、判定部38は、ステップS18で警戒領域Z2内に存在すると判定された物体が、ステップS17で許容対象として識別された物体のみであるか否か判定する。判定部38は、ステップS18で警戒領域Z2内に存在すると判定された物体がステップS17で許容対象として識別された物体のみである場合(ステップS19ではYES)、処理をステップS11に戻す。一方、判定部38は、ステップS18で警戒領域Z2内に存在すると判定された物体にステップS17で許容対象として識別された物体以外の物体が含まれる場合(ステップS19ではYES)、処理をステップS20に進める。
【0060】
ステップS20において、警報部39は、作業車両100の周囲に向かって警報を発生する。警報を発生させた後に、制御部30は、再びステップS11からの処理を繰り返す。
【0061】
即ち、本実施形態では、検出範囲設定工程であるステップS1と、警戒領域設定工程であるステップS2と、検出工程であるステップS3と、許容対象識別工程であるステップS4と、判定工程であるステップS5と、を含む周囲監視方法が周囲監視装置1によって実行される。
図8は、本実施形態に係る周囲監視方法を示すフローチャートである。
【0062】
図8に示すように、まずステップS1において、ECU60から取得される作業車両100の状態に応じてセンサ10による物体の検出範囲Z1を設定する。
【0063】
ステップS2において、ECU60から取得される作業車両100の状態に応じてセンサ10による物体の検出範囲Z1内に警戒領域Z2を設定する。
【0064】
ステップS3において、センサ10により送信波を送信して作業車両100の周囲に存在する物体を検出する。このときセンサ10は、ステップS1で設定された検出範囲Z1及びステップS2で設定された警戒領域Z2で作業車両100の周囲の物体を検出する。
【0065】
ステップS4において、カメラ20によって撮像された画像から作業機130の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する。
【0066】
ステップS5において、警戒領域Z2内においてステップS4で許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する。本実施形態では、ステップS1~S5の工程が周囲監視装置1により繰り返し行われる。
【0067】
次に、作業車両100の状態に応じて設定される検出範囲Z1及び警戒領域Z2の例について
図9~
図11を参照しながら説明する。
図9は、作業車両100の後退時におけるセンサ10による物体の検出範囲Z1及び警戒領域Z2の一例を示す平面図である。
図10は、旋回体120が左旋回を開始する状態におけるセンサ10による物体の検出範囲Z1及び警戒領域Z2を示す平面図である。
図11は、旋回体120が右旋回を開始する状態におけるセンサ10による物体の検出範囲Z1及び警戒領域Z2の一例を示す平面図である。なお、
図9~
図11において破線はセンサ10の検出範囲Z1を示し、二点鎖線はセンサ10の警戒領域Z2を示している。また、
図9において、白抜き矢印は作業車両100の進行方向を示している。
【0068】
図9に示すような作業車両100が旋回体120の後方に後退する後退状態では、作業車両100の後方に存在する物体と衝突する可能性が高くなる。このため、作業車両100が後退状態である場合、検出範囲設定部34は、後方に存在する物体をより確実に検出できるように検出範囲Z1を設定する。
【0069】
例えば、
図9に示すように、後側センサ12の距離dは、より後方に拡がるように設定される。後側センサ12の距離dは、作業車両100の後退速度が上がるに従って大きくなるように設定される。これにより、作業車両100の後方の広い範囲を確認しながら後退できるので、作業車両100の後退時の安全性が向上する。
【0070】
例えば、
図9に示すように、右側センサ13の視野中心の方向Cは右側面124から右斜め後方に向かうように設定され、左側センサ14の視野中心の方向Cは左側面125から左斜め前方に向かうように設定される。そして、右側センサ13の警戒領域Z2は右側面124の後側近傍に設定され、左側センサ14の警戒領域Z2は左側面125の後側近傍に設定される。これにより、作業車両100の後退時における操作者の死角内に歩行者や障害物が存在した場合の衝突をより確実に避けることができる。
【0071】
図10に示すような旋回体120が左旋回を開始する状態では、旋回体120及び作業機130の左旋回の軌跡内に存在する物体と衝突する可能性が高くなる。このため、左旋回を開始する状態の作業車両100では、検出範囲設定部34は、旋回体120及び作業機130の予測された軌跡内に存在する物体を検出できるように検出範囲Z1を設定する。
【0072】
例えば、
図10に示すように、前側センサ11の距離dは、作業機130が左回りに回転するので、前面122からの作業機130の先端までの距離Lに応じた大きさに設定される。一方で前側センサ11の警戒領域Z2は、前面122の近傍とバケット133の軌跡内のみに形成され、前面122の近傍とバケット133の間には形成されない。
【0073】
作業車両100は、
図1に示すようにブーム131が旋回体120から斜め上方に延びるように形成され、前面122とバケット133の間に空間が形成されている。このため、旋回体120が左旋回してもブーム131やアーム132が物体と接触する可能性が低い。このような作業車両100の特徴に応じて警戒領域Z2を設定することで、不要な警報の発生等に起因する作業車両100の作業効率の低下を防止できる。
【0074】
また例えば、後側センサ12の視野中心の方向Cは後面123から左斜め後方に向かうように設定され、右側センサ13の視野中心の方向Cは右側面124から右斜め後方に向かうように設定され、左側センサ14の視野中心の方向Cは左側面125から左斜め前方に向かうように設定される。また、後側センサ12、右側センサ13、及び左側センサ14の距離dは、旋回体120の左旋回の軌跡内に存在する物体が検出可能な必要最低限の距離dに設定される。これにより、旋回体120の左旋回時において衝突の可能性のある歩行者や障害物等をセンサ10の距離分解能がより高い状態で検出できる。
【0075】
図11に示すような旋回体120が右旋回を開始する状態では、旋回体120及び作業機130の右旋回の軌跡内に存在する物体と衝突する可能性が高くなる。このため、右旋回を開始する状態の作業車両100では、検出範囲設定部34は、旋回体120及び作業機130の予測された軌跡内に存在する物体を検出できるように検出範囲Z1を設定する。
【0076】
旋回体120の右旋回時には、作業機130が右回りに回転するので作業機130の右側に存在する物体と衝突する可能性が高くなる。このため、作業機130に衝突する可能性がある物体は主に右側センサ13によって検出されることになる。作業機130の右側に衝突する物体を検出するために、右側センサ13の視野中心の方向Cは右側面124から右斜め前方に向かうように設定される。そして、右側センサ13の距離dは、前面122からの作業機130の先端までの距離Lに応じた大きさに設定される。
【0077】
また、右側センサ13の検出範囲Z1内に設定される警戒領域Z2は、
図10に示す前側センサ11と同様に、不要な警報の発生等に起因する作業車両100の作業効率の低下を防止するために、右側面124の前側近傍とバケット133の軌跡内のみに形成される。
【0078】
また例えば、後側センサ12の視野中心の方向Cは後面123から右斜め後方に向かうように設定され、左側センサ14の視野中心の方向Cは左側面125から左斜め後方に向かうように設定され、前側センサ11の視野中心の方向Cは前面122から左斜め前方に向かうように設定される。また、後側センサ12、左側センサ14、及び前側センサ11の距離dは、旋回体120の右旋回の軌跡内に存在する物体が検出可能な必要最低限の距離dに設定される。これにより、旋回体120の右旋回時において衝突の可能性のある歩行者や障害物等をセンサ10の距離分解能がより高い状態で検出できる。
【0079】
このように周囲監視装置1は、作業車両100の状態に応じて異なる検出範囲Z1や検出範囲Z1内の警戒領域Z2を設定している。
【0080】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0081】
本実施形態に係る周囲監視装置1は、走行体110と、走行体110に旋回可能に支持される旋回体120と、旋回体120に取り付けられる作業機130を備える作業車両100用の周囲監視装置1であって、送信波を送信して作業車両100の周囲に存在する物体を検出するセンサ10と、作業車両100の状態に応じてセンサ10による物体の検出範囲Z1を設定する検出範囲設定部34と、作業車両100の状態に応じてセンサ10による物体の検出範囲Z1内に警戒領域Z2を設定する警戒領域設定部36と、作業機130の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する許容対象識別部37と、警戒領域Z2内において許容対象識別部37によって許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する判定部38と、を備える。
【0082】
これにより、作業車両100の状態に応じて周辺に存在する物体を検出する検出範囲Z1を設定するので、旋回体120を備える作業車両100特有の動作に対応し、より確実に物体を検出できる。また作業車両100の動作を考慮して設定された警戒領域Z2内に検出された物体であり、かつ、バケット133が運ぶ瓦礫等の所定の許容対象を除く物体が検出されたことを判定するので、過剰な警報や作業車両100の動作停止に起因する不必要な作業の中断を低減する。
【0083】
また、本実施形態に係る周囲監視装置1は、警戒領域Z2内において許容対象識別部37によって許容対象として識別された物体以外の物体が検出された場合に、警報を発生する警報部39を更に備える。
【0084】
これにより、作業車両100と人や障害物等の物体が衝突する可能性がある場合、作業車両100の操作者や作業車両100の周囲の人に迅速に警告できる。
【0085】
また、本実施形態に係る周囲監視装置1において、検出範囲設定部34は、作業車両100の状態に応じて送信波の送信方向を設定する。
【0086】
これにより、作業車両100の状態に応じて検出範囲Z1の方向を変更できるので、センサ10の個数を最小限に抑えつつ、作業車両100の周囲の物体をより確実に検出できる。例えば、旋回体120の右旋回時に、操作者の死角となる作業車両100右側及び右側前方を中心に検出範囲Z1を設定できる。
【0087】
また、本実施形態に係る周囲監視装置1において、検出範囲設定部34は、作業車両100の状態に応じてセンサ10から物体を検出可能な距離dを設定する。
【0088】
これにより、作業車両100の状態に応じて、適切な検出可能な距離dに設定できる。例えば、旋回体120の前面122から作業機130の先端までの距離Lに応じて物体を検出可能な距離dを設定できる。検出可能な距離dを必要最低限なものに設定することで、距離分解能の低下や送信電力を抑えることができる。
【0089】
また、本実施形態に係る周囲監視装置1は、センサ10から物体を検出可能な距離dに応じて、送信波の送信パルス幅を設定するパルス幅設定部35を更に備える。
【0090】
これにより、センサ10の検出可能な距離dを拡げた場合であっても、距離分解能の劣化を抑制できる。
【0091】
また、本実施形態に係る周囲監視方法は、走行体110と、走行体110に旋回可能に搭載される旋回体120と、旋回体120に取り付けられる作業機130を備える作業車両100の周囲を監視する周囲監視方法であって、送信波を送信して作業車両100の周囲に存在する物体を検出する検出工程と、作業車両100の状態に応じて検出工程における物体の検出範囲Z1を設定する検出範囲設定工程と、作業車両100の状態に応じて検出工程における物体の検出範囲Z1内に警戒領域Z2を設定する警戒領域設定工程と、作業機130の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する許容対象識別工程と、警戒領域Z2内において許容対象識別工程で許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する判定工程と、を含む。
【0092】
これにより、作業車両100の状態に応じて周辺に存在する物体を検出する検出範囲Z1を設定するので、旋回体120を備える作業車両100特有の動作に対応し、より確実に物体を検出できる。また作業車両100の動作を考慮して設定された警戒領域Z2内に検出された物体であり、かつ、バケット133が運ぶ瓦礫等の所定の許容対象を除く物体が検出されたことを判定するので、過剰な警報や作業車両100の動作停止に起因する不必要な作業の中断を低減する。
【0093】
本実施形態に係る周囲監視プログラムは、走行体110と、走行体110に旋回可能に搭載される旋回体120と、旋回体120に取り付けられる作業機130を備える作業車両100の周囲を監視する周囲監視プログラムであって、コンピュータに、送信波を送信して作業車両100の周囲に存在する物体を検出する検出工程と、作業車両100の状態に応じて検出工程における物体の検出範囲Z1を設定する検出範囲設定工程と、作業車両100の状態に応じて検出工程における物体の検出範囲Z1内に警戒領域Z2を設定する警戒領域設定工程と、作業機130の周囲の物体のうち所定の物体を許容対象として識別する許容対象識別工程と、警戒領域Z2内において許容対象識別工程で許容対象として識別された物体以外の物体が検出されたか否か判定する判定工程と、を実行させる。
【0094】
これにより、作業車両100の状態に応じて周辺に存在する物体を検出する検出範囲Z1を設定するので、旋回体120を備える作業車両100特有の動作に対応し、より確実に物体を検出できる。また作業車両100の動作を考慮して設定された警戒領域Z2内に検出された物体であり、かつ、バケット133が運ぶ瓦礫等の所定の許容対象を除く物体が検出されたことを判定するので、過剰な警報や作業車両100の動作停止に起因する不必要な作業の中断を低減する。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0096】
上記実施形態では、周囲監視装置1のセンサ10は4つであったが、5つ以上であってもよい。また、旋回体120の前面122、後面123、右側面124、及び左側面125のそれぞれに複数のセンサ10を配置してもよい。
【0097】
上記実施形態では、カメラ20は旋回体120の前面122のみに配置されていたが、前面122だけでなく後面123、右側面124、及び左側面125に配置してもよい。
【0098】
また上記実施形態では、制御部30は警報部39を備えていたが、警報部39を備えない構成であってもよい。また制御部30は、警戒領域Z2内において許容対象識別部37によって許容対象として識別された物体以外の物体が検出された場合に、ECU60に作業車両100を停車させるように停止指令信号を送信してもよい。
【0099】
また、例えば、作業車両100の状態によっては検出範囲Z1内の全領域に警戒領域Z2を設定してもよい。
【0100】
また、例えば、旋回体120の近傍に警戒領域Z2を設定した場合、走行体110に対する旋回体120の旋回角度に応じて走行体110が除外されるように警戒領域Z2を設定してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 周囲監視装置
10 センサ(検出部)
34 検出範囲設定部
36 警戒領域設定部
37 許容対象識別部
38 判定部
100 作業車両
110 走行体
120 旋回体
130 作業機
Z1 検出範囲
Z2 警戒領域