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特開2022-156065緩慢解凍用冷凍調理済み麺類の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156065
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】緩慢解凍用冷凍調理済み麺類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20221006BHJP
【FI】
A23L7/109 C
A23L7/109 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059570
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋草 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】津田 恭征
(72)【発明者】
【氏名】磯野 瑶子
(72)【発明者】
【氏名】長井 孝雄
【テーマコード(参考)】
4B046
【Fターム(参考)】
4B046LA01
4B046LB10
4B046LC01
4B046LC08
4B046LC20
4B046LG09
4B046LG16
4B046LG20
4B046LG29
4B046LG32
4B046LG44
4B046LP01
4B046LP10
4B046LP14
4B046LP41
4B046LP69
4B046LP71
(57)【要約】
【課題】緩慢解凍したときに食感や外観の低下の少ない冷凍調理済み麺類の提供。
【解決手段】緩慢解凍用冷凍調理済み麺類の製造方法であって、小麦粉及びソバ粉からなる群より選択される1種以上の穀粉類と加工タピオカ澱粉とを含有する原料粉を、有機酸及び/又は有機酸塩とともに混捏してpH4.5~5.5の麺生地を調製することを含み、該原料粉における、該小麦粉及びソバ粉からなる群より選択される1種以上の穀粉類と該加工タピオカ澱粉との質量比が20:80~75:25である、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩慢解凍用冷凍調理済み麺類の製造方法であって、
小麦粉及びソバ粉からなる群より選択される1種以上の穀粉類と加工タピオカ澱粉とを含有する原料粉を、有機酸及び/又は有機酸塩とともに混捏してpH4.5~5.5の麺生地を調製することを含み、
該原料粉における、該小麦粉及びソバ粉からなる群より選択される1種以上の穀粉類と該加工タピオカ澱粉との質量比が20:80~75:25である、
方法。
【請求項2】
前記原料粉中における、前記小麦粉及びソバ粉からなる群より選択される1種以上の穀粉類と、前記加工タピオカ澱粉との合計含有量が80質量%以上である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記加工タピオカ澱粉がエーテル化タピオカ澱粉及びアセチル化タピオカ澱粉からなる群より選択される1種以上である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記原料粉がグルテンを含有し、該原料粉中における前記加工タピオカ澱粉及び該グルテンの質量比が10:1~3:1である、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記麺生地の調製に用いる有機酸及び/又は有機酸塩の量が、該有機酸と有機酸塩の合計量として、前記原料粉100質量部あたり0.03~3質量部である、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記原料粉における小麦粉及びソバ粉の質量比が25:75~100:0である、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記麺生地から麺類を製造すること、
該麺類を加熱調理すること、
該加熱調理した麺類を冷凍すること、
をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記緩慢解凍が冷蔵下での解凍である、請求項1~7のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩慢解凍用冷凍調理済み麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調理済み麺類は、そのまま又は電子レンジ加熱等の簡便な調理で喫食できる便利な食品である一方、保存性に劣り、広域に流通させるには不向きであった。調理済み麺類を冷凍保存し、適時に緩慢解凍して販売することによって、保存性の問題を解決できるだけでなく、広域流通が可能になるため大量生産によるコスト低下が可能となる。しかし、従来の冷凍後緩慢解凍された調理済み麺類には、粘弾性の低下、老化感の増加、透明感の低下などの品質低下が生じていた。
【0003】
特許文献1には、加工タピオカ澱粉5~80質量%を含む原料粉から製造された麺類を、α化し、コラーゲンペプチドを含有する組成物を付着させて凍結することを含む冷凍調理済み麺類の製造方法、及び、製造された麺類が解凍後に良好な食感を有することが記載されている。特許文献2には、麺生地の調製用の水及び得られた麺の茹で水に、1質量%水溶液のpHが4.0~5.5である有機酸及び/又は有機酸塩を添加することで、酸味や酸臭がなく、コシがありほぐれやすく、かつ保存性に優れた茹で麺が得られることが記載されている。特許文献3には、小麦粉を50質量%以上含む原料粉に少量の有機酸及び有機酸塩を含むpH5.6~6.0の水溶液を添加、混合して麺生地を製造することにより、粘弾性のある良好な食感を有する麺類又は麺皮類が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開公報第2015/115366号
【特許文献2】特開2002-027930号公報
【特許文献3】特許第6523541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、緩慢解凍したときに食感や外観の低下の少ない、冷凍調理済み麺類を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、小麦粉又はソバ粉と、加工タピオカ澱粉とを所定量で含む原料粉を、有機酸及び/又は有機酸塩とともに混捏して調製した所定のpHの麺生地から製造した冷凍調理済み麺類が、緩慢解凍後に良好な食感や外観を有することを見出した。
【0007】
したがって、本発明は、緩慢解凍用冷凍調理済み麺類の製造方法であって、
小麦粉及びソバ粉からなる群より選択される1種以上の穀粉類と加工タピオカ澱粉とを含有する原料粉を、有機酸及び/又は有機酸塩とともに混捏してpH4.5~5.5の麺生地を調製することを含み、
該原料粉における、該小麦粉及びソバ粉からなる群より選択される1種以上の穀粉類と該加工タピオカ澱粉との質量比が20:80~75:25である、
方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、緩慢解凍後にも、粘弾性に優れ、老化による食感のぼそつきが少なく、かつ透明感のある外観を有する、食感や外観が良好な冷凍調理済み麺類を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、麺類の種類や形状は特に限定されず、例えば麺線であっても麺皮類であってもよい。麺類の例としては、うどん、冷麦、きしめん、素麺、そば、冷麺、パスタなどが挙げられ、このうち、うどん及びそばが好ましい。該麺類は、中華麺であってもよいが、但し、原材料にアルカリ塩等のかんすいを含む中華麺は、本発明により提供される麺類としては不向きである。
【0010】
本発明の冷凍調理済み麺類の原料粉は、小麦粉及びソバ粉からなる群より選択される1種以上の穀粉類(A)、ならびに加工タピオカ澱粉(B)を含有する。該原料粉に用いる小麦粉は、麺類の製造に一般に使用されるものであればよく、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などが挙げられる。これらの小麦粉は、いずれか単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。好ましくは、中力粉が主体として使用される。該原料粉に用いるソバ粉もまた、麺類の製造に一般に使用されるものであればよい。
【0011】
該原料粉に用いる加工タピオカ澱粉は、好ましくはエーテル化タピオカ澱粉及びアセチル化タピオカ澱粉からなる群より選択される1種以上である。エーテル化澱粉の例としては、ヒドロキシプロピル化澱粉、カルボキシメチル化澱粉などが挙げられる。アセチル化澱粉の例としては、酢酸澱粉などが挙げられる。該エーテル化澱粉及びアセチル化澱粉は、架橋処理されていてもよく、例えばヒドロキシプロピル化リン架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプンなどを含み得る。
【0012】
好ましくは、該原料粉は全量中に、該小麦粉及びソバ粉からなる群より選択される1種以上の穀粉類(A)と、該加工タピオカ澱粉(B)とを合計で80質量%以上含有する。該原料粉における該(A)と該(B)との質量比は、(A):(B)=20:80~75:25であればよく、好ましくは30:70~70:30である。該(B)の含有量が少なすぎると、緩慢解凍後の麺類の食感や外観が低下する。一方で、該(A)の含有量が少なすぎると、製麺時の作業性や麺類の食感に悪影響が出ることがあり、又は穀粉らしい風味に劣る麺となることがある。
【0013】
該原料粉における小麦粉及びソバ粉の質量比は、(小麦粉):(ソバ粉)=100:0~0:100の範囲で適宜調整すればよく、好ましくは25:75~100:0である。好ましくは、該原料粉は全量中に、小麦粉を15質量%以上含有する。
【0014】
該原料粉は、前述した(A)及び(B)に加えて、麺類の製造に従来用いられる他の材料をさらに含有していてもよい。当該他の材料としては、例えば、小麦粉以外の穀粉類;加工タピオカ澱粉以外の未加工澱粉及び加工澱粉を含む澱粉類;グルテン、大豆蛋白質、乳蛋白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳等の蛋白質;動植物油脂、乳化油脂、ショートニング等の油脂類;食塩;かんすい;糖類;甘味料;焼成カルシウム;食物繊維;香辛料;調味料;ビタミン、ミネラル、栄養強化剤;色素;香料;デキストリン(難消化性含む);膨張剤;乳化剤;増粘剤;保水剤;保存剤;酵素剤;pH調整剤;酸化還元剤などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの他の材料は、いずれか単独又は2種以上の組み合わせで用いることができる。本発明で用いる原料粉中における該他の材料の合計含有量は、好ましくは20質量%以下である。該原料粉中における他の材料の各々の配合量は、目的とする麺類の種類に応じて適宜決定することができる。
【0015】
好ましくは、該原料粉はグルテンを含有する。該原料粉中におけるグルテンの含有量は、全量中、好ましくは3~15質量%、より好ましくは5~15質量%である。また、該原料粉中における該加工タピオカ澱粉(A)と該グルテン(C)の質量比が、(A):(C)=10:1~3:1であると好ましい。
【0016】
本発明では、前述の原料粉からpH4.5~5.5の麺生地を調製する。好ましくは、本発明で製造される麺生地のpHはpH4.5~5.25である。麺生地のpHが高すぎると、緩慢解凍後の麺の食感と外観の改善効果が不充分になる。一方、麺生地のpHが低すぎると、麺生地の製麺作業性が低下し、また緩慢解凍後の麺の粘弾性が低下する。本明細書において、麺生地のpHとは、麺生地(調製後、加熱調理又は乾燥していないもの)10gを水90mLに懸濁させた懸濁液のpH(25℃)をいう。また本明細書において、茹で麺のpHとは、茹でた麺そのまま、もしくは酸浸漬後の茹で麺10gを水90mLに懸濁させた懸濁液のpH(25℃)をいう。
【0017】
該麺生地は、常法に従って該原料粉を練水と混捏することにより調製することができるが、ただしその際に、本発明では、原料粉を、有機酸及び/又は有機酸塩とともに混捏する。これによって、上記のpH範囲の麺生地が調製される。例えば、本発明の方法においては、該原料粉に有機酸及び/又は有機酸塩を予め配合し、これに練水(例えば水、塩水等)を加えて混捏してもよく、又は、該原料粉に、有機酸及び/又は有機酸塩、及び練水をそれぞれ添加して混捏してもよく、又は、有機酸及び/又は有機酸塩を含有する弱酸性水溶液を、練水として該原料粉に添加して混捏してもよい。好ましくは、該麺生地は、有機酸及び/又は有機酸塩を含有する弱酸性水溶液を、練水として用いて調製される。該麺生地の調製に用いられる練水の量は、練水の水分量として、原料粉100質量部あたり、好ましくは25~65質量部、より好ましくは35~50質量部である。
【0018】
該麺生地の調製に用いられる有機酸の例としては、一価~三価の有機酸、例えばクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、グルコン酸、コハク酸、アジピン酸、乳酸、酢酸、イタコン酸、フィチン酸及び酒石酸からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、好ましくはクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸及び酢酸からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、より好ましくは乳酸が挙げられる。有機酸の塩の例としては、クエン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、乳酸塩、酢酸塩、イタコン酸塩、フィチン酸塩及び酒石酸塩からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、好ましくはクエン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩及び酢酸塩からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、より好ましくは乳酸塩が挙げられる。該塩の種類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられるが、ナトリウム塩及びカリウム塩が好ましい。好ましくは、該麺生地の調製には有機酸及び有機酸塩が使用される。例えば、該麺生地の調製に用いる弱酸性水溶液は、好ましくは有機酸及び有機酸塩の水溶液である。その際、使用される有機酸と有機酸塩の質量比は、それらの種類により異なり得るが、通常は有機酸:有機酸塩=1:0.5~20であればよく、好ましくは1:0.5~5、より好ましくは1:1~4である。また、該有機酸塩の有機酸は、併用される有機酸と同じ種類のものであっても異なる種類のものであってもよいが、好ましくは同じ種類のものである。
【0019】
該麺生地の調製に用いる有機酸及び/又は有機酸塩の量は、原料粉や練水の量、所望される麺生地のpHなどに応じて適宜調整され得る。好ましくは、該有機酸及び/又は有機酸塩の使用量は、有機酸と有機酸塩の合計量として、原料粉100質量部あたり0.03~3質量部、好ましくは0.1~1.0質量部である。
【0020】
得られた該麺生地から本発明の冷凍調理済み麺類が製造される。詳細には、該麺生地から麺類を製造し、製造した麺類を加熱調理し、該加熱調理した麺類を冷凍する。麺生地からの麺類の製造には、通常の手段を用いることができる。例えば、製麺ロールにより麺生地を圧延して麺帯を得、この麺帯を切刃等で切り出して麺線を得る方法、麺生地を押し出し成型して麺線を得る方法、などが挙げられる。
【0021】
麺類の加熱調理の手段としては、茹で、蒸しなどが挙げられる。好ましくは、該加熱調理により、麺類を喫食可能にα化する。該茹でや蒸しに用いる水としては、水、食塩水、酸性水などが使用できる。該加熱調理した麺類は、必要に応じて湯切り、水冷、風冷等された後、冷凍処理される。該冷凍処理は、急速冷凍、緩慢冷凍のいずれでもよいが、急速冷凍が好ましい。冷凍の際には、麺類を小分けして、例えば1食ごとに分けて、冷凍することが好ましい。例えば、該加熱調理した麺類を水冷、水切りした後、1食分取り分けて麺塊とし、必要に応じて包装した後、急速冷凍させればよい。凍結した麺は、通常の冷凍保存条件下で保存すればよい。
【0022】
以上の手順により、本発明の冷凍調理済み麺類を製造することができる。本発明の方法に従って製造された冷凍調理済み麺類は、緩慢解凍された後に喫食される。本発明の冷凍調理済み麺類を緩慢解凍する場合、冷凍状態の麺類を、常温解凍、流水解凍、又は冷蔵下で解凍すればよい。好ましくは、本発明の冷凍調理済み麺類は冷蔵下(好ましくは0~10℃)で解凍される。麺の食感と外観、及び保存性の観点から、加熱調理後から冷凍保存を経て、後述のように解凍して喫食されるまでの間、麺のpHは4.5~5.75であることが好ましい。
【0023】
本発明の冷凍調理済み麺類は、冷凍状態で流通又は販売されてもよいが、緩慢解凍されて流通又は販売されてもよい。好ましくは、本発明の冷凍調理済み麺類は、緩慢解凍された後に販売され、喫食される。例えば、本発明の冷凍調理済み麺類は、流通から販売までの間に冷蔵下で緩慢解凍され、チルド麺として販売される。喫食の際には、解凍された麺類を冷たい状態で食してもよく、又は再加熱して食してもよい。
【0024】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0025】
〔試験1.うどんの製造〕
(材料)
小麦粉:中力粉;宝雲(日清製粉)
エーテル化タピオカ澱粉:ゆり8(松谷化学)
アセチル化タピオカ澱粉:あじさい(松谷化学)
グルテン:AグルGB(グリコ栄養食品)
【0026】
表1~4記載の配合で、原料粉に対して、食塩と有機酸及び/又はその塩を含有する練水を加え、減圧(-0.093MPa)下で混捏して生地を調製した。調製した生地の一部を取り、pHを測定した。得られた生地を、製麺ロールを用いて圧延・複合して麺帯を作製し、切り刃(♯10角)で切り出してうどん麺線を製造した(麺厚3.0mm)。製麺に用いた生地重量に対する製造された麺線の重量(製麺歩留)を測定し、製麺時の作業性を下記評価基準で評価した。
【0027】
得られた麺線を13分間茹で調理した。比較例1-5~1-8では、茹でた麺を、さらに乳酸を含む水溶液に30秒間浸漬させた。得られた茹で麺を器に200gずつ充填し、ショックフリーザー(-30℃)で急速冷凍した。7日間-18℃で冷凍保存後、4℃の冷蔵庫で24時間冷蔵解凍した。解凍後の麺の一部を取り、pHを測定した。また、解凍後の麺の食感(粘弾性、老化感)と外観(透明感)を、訓練したパネラー10人により、下記評価基準で官能評価し、平均点を求めた。結果を表1~4に示す。
【0028】
<評価基準>
(作業性)
〇:問題なく製麺できる(製麺歩留95%以上)
△:やや問題あるが製麺できる(製麺歩留70%以上)
×:問題あり製麺困難(製麺歩留70%未満)
(粘弾性)
5点:対照よりも粘弾性に非常に優れる
4点:対照よりも粘弾性に優れる
3点:対照よりも粘弾性にやや優れる
2点:対照と同等の粘弾性である
1点:対照よりも粘弾性に劣る
(老化感)
5点:対照よりもぼそつき感が非常に少ない
4点:対照よりもぼそつき感が少ない
3点:対照よりもぼそつき感がやや少ない
2点:対照と同等のぼそつきである
1点:対照よりもぼそつきを感じる
(透明感)
5点:対照よりも非常に透明感が高い
4点:対照よりも透明感が高い
3点:対照よりも透明感がやや高い
2点:対照と同等の透明感である
1点:対照よりも透明感が低い
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
〔試験2.そばの製造〕
(材料)
ソバ粉:亀寿(日穀製粉)
小麦粉:強力粉;オーション(日清製粉)
エーテル化タピオカ澱粉:ゆり8(松谷化学)
グルテン:AグルGB(グリコ栄養食品)
乾燥卵白:サンキララRS(太陽化学)
【0034】
表5記載の配合で、原料粉に対して、食塩と有機酸及び/又はその塩を含有する練水を加え、減圧(-0.093MPa)下で混捏して生地を調製した。調製した生地の一部を取り、pHを測定した。得られた生地を、製麺ロールを用いて圧延・複合して麺帯を作製し、切り刃(♯20角)で切り出してそば麺線を製造した(麺厚1.5mm)。
【0035】
得られた麺線を1分50秒間茹で調理した。得られた茹で麺を器に200gずつ充填し、ショックフリーザー(-30℃)で急速冷凍した。7日間-18℃で冷凍保存後、4℃の冷蔵庫で24時間冷蔵解凍した。解凍後の麺の一部を取り、pHを測定した。また、解凍後の麺の食感と外観を試験1と同様の手順で評価した。結果を表5に示す。
【0036】
【表5】