(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022156632
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】通信用電線及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H01B 11/02 20060101AFI20221006BHJP
H01B 7/18 20060101ALI20221006BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H01B11/02
H01B7/18 H
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060430
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平岩 徹也
(72)【発明者】
【氏名】笠原 甫
【テーマコード(参考)】
5G309
5G313
5G319
【Fターム(参考)】
5G309AA11
5G313AA10
5G313AC07
5G313AE02
5G319DA02
5G319DB04
5G319DC07
(57)【要約】
【課題】耐摩耗性を有し、伝送特性の変化を抑えた通信用電線及びワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】通信用電線1Aは、2本の絶縁電線11A、11Bを対撚りした対撚り線2と、前記対撚り線2の外周を覆う樹脂で形成された中空のシース12Aと、を有し、前記シース12Aの厚さが0.35mm以上0.8mm以下であり、前記シース12Aの一端側から前記シース12A内に200~250kPaの範囲の一定の圧力で空気を注入した状態で、JASO D 625-2に規定されるスクレープ摩耗試験と同様の試験系による試験を行った際、前記シース12Aに対して垂直荷重を加える針を200往復させるまでの間に前記圧力が低下しない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の絶縁電線を対撚りした対撚り線と、
前記対撚り線の外周を覆う樹脂で形成された中空のシースと、
を有し、
前記シースの厚さが0.35mm以上0.8mm以下であり、
前記シースの一端側から前記シース内に200~250kPaの範囲の一定の圧力で空気を注入した状態で、JASO D 625-2に規定されるスクレープ摩耗試験と同様の試験系による試験を行った際、前記シースに対して垂直荷重を加える針を200往復させるまでの間に前記圧力が低下しない
通信用電線。
【請求項2】
前記針を200往復させてから所定時間経過後に測定した前記圧力は、前記針を200往復させたときに測定した圧力からの変動が3%未満である
請求項1に記載の通信用電線。
【請求項3】
前記樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする
請求項1又は請求項2に記載の通信用電線。
【請求項4】
前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレンである
請求項3に記載の通信用電線。
【請求項5】
前記シースの外径が2.3mm以上3.5mm以下である
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の通信用電線。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の通信用電線を含み、自動車に配索される
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信用電線及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車内の通信に用いられる通信用電線の発明として、例えば特許文献1に開示された通信用電線がある。特許文献1に開示された通信用電線は、導体を絶縁被覆した電線を対撚りし、対撚りされた電線の外周を絶縁材料からなるシースで被覆して特性インピーダンスを100Ω±10Ωの範囲としており、イーサネット(登録商標)で規定される特性インピーダンスを満たすものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車用電線は、走行による振動によってシースの外周に摩擦が発生し、この摩擦によりシースが摩耗する。通信用電線の伝送特性は、シースの厚みに影響されるため、シースの摩耗が進むとイーサネットで規定される伝送特性を満たさなくなる虞がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐摩耗性を有し、伝送特性の変化を抑えた通信用電線及びワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る通信用電線は、2本の絶縁電線を対撚りした対撚り線と、前記対撚り線の外周を覆う樹脂で形成された中空のシースと、を有し、前記シースの厚さが0.35mm以上0.8mm以下であり、前記シースの一端側から前記シース内に200~250kPaの範囲の一定の圧力で空気を注入した状態で、JASO D 625-2に規定されるスクレープ摩耗試験と同様の試験系による試験を行った際、前記シースに対して垂直荷重を加える針を200往復させるまでの間に前記圧力が低下しない通信用電線である。
通信用電線。
【0007】
本発明の一態様に係る通信用電線においては、前記針を200往復させてから所定時間経過後に測定した前記圧力は、前記針を200往復させたときに測定した圧力からの変動が3%未満である構成であってもよい。
【0008】
本発明の一態様に係る通信用電線においては、前記樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする構成であってもよい。
【0009】
本発明の一態様に係る通信用電線においては、前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレンである構成であってもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る通信用電線においては、前記シースの外径が2.3mm以上3.5mm以下である構成であってもよい。
【0011】
本発明の一態様に係るワイヤハーネスは、上記のいずれかの通信用電線を含み、自動車に配索されるワイヤハーネスである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐摩耗性を有し、伝送特性の変化を抑えた通信用電線及びワイヤハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る通信用電線の断面図である。
【
図3】
図3は、エアリーク試験の構成の模式図である。
【
図4】
図4は、変形例に係る通信用電線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る通信用電線1Aの断面図である。通信用電線1Aは、100Ω±10Ωの範囲の特性インピーダンスを有している。通信用電線1Aは、例えば自動車に配索され、配索された自動車においてイーサネット(登録商標)の規格に従った通信に用いられる。
【0016】
通信用電線1Aは、絶縁電線11A、絶縁電線11B、及びシース12Aで構成されている。絶縁電線11Aと絶縁電線11Bは、対撚りされて対撚り線2を構成し、対撚り線2は、シース12Aで被覆されている。
【0017】
(シース)
シース12Aは、対撚り線2の保護や対撚り線2の対撚りの安定化、対撚り線2と周囲環境との距離の確保に寄与するものである。シース12Aは、ポリオレフィン系樹脂をベース材とした樹脂で形成されているのが好ましい。本実施例では、シース12Aは、ポリオレフィン系樹脂であるポリプロピレンをベースとし、難燃剤や酸化防止材を添加したハロゲンフリー材で形成されている。シース12Aの形状は、中空のパイプ型であり、径方向の断面の厚みは0.35mm以上且つ0.8mm以下であり、外径は2.3mm以上且つ3.5mm以下である。
【0018】
シース12Aの硬さについては、柔らかすぎると摩耗や変形などの問題が発生する虞があり、硬すぎると温度が上昇したときに対撚り線2が開かなくなるため、望ましい硬度の範囲がある。本実施形態では、シース12Aは、JIS K 6253-3に従ってタイプDのデュロメータで測定したときに硬度がD25~D70の範囲内であるのが好ましく、D40~D60の範囲内であるのがより好ましい。
【0019】
(絶縁電線)
絶縁電線11Aは、導体111と絶縁被覆112で構成されている。本実施形態では、絶縁電線11Aの外径は、0.75mm以上且つ0.95mm以下である。導体111は、S撚りされた7本の素線1111を圧縮して形成された圧縮導体を焼鈍したものである。導体111は、撚線の一例である。この圧縮導体に対して行う焼鈍については、圧縮導体の引張り強さが600MPa~1200MPaの範囲内であり、破断伸びが1%以上、且つ7%未満となるように、加熱の温度、加熱時間、加熱後の温度保持時間、冷却時間を設定して焼鈍を行うのが好ましい。導体111の径方向の断面積は、特性インピーダンスを100Ω±10Ωとするために、0.05mm2(0.05sq)以上、且つ0.35mm2(0.35sq)以下とするのが好ましい。また、自動車に配索したときの軽量化や細径化の観点から、導体111の径方向の断面積を0.22mm2(0.22sq)未満とするのが好ましく、0.13mm2(0.13sq)とするのがより好ましい。なお、撚線である導体111を構成する素線1111の本数は、7本に限定されるものではなく、他の本数であってもよい。また、導体111は、撚られたものではなく単線であってもよい。
【0020】
素線1111は、錫の濃度が0.7質量%の銅合金で形成されている。なお、素線1111における錫の濃度は、0.4質量%以上、且つ0.8%以下が望ましく、より好ましくは、0.6質量%以上、且つ0.8質量%以下であるのが望ましい。また、素線1111は、銀の濃度が1質量%以上、且つ4質量%以下の銅合金であってもよく、他の組成の銅合金であってもよい。
【0021】
絶縁被覆112は、誘電率が低い樹脂であるのが好ましく、例えば、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニル)又はPP(ポリプロピレン)等のポリオレフィン系樹脂をベース材とした樹脂で形成されている。本実施例では、絶縁被覆112は、PPをベースとし、難燃剤や酸化防止材を添加したハロゲンフリー材で形成されている。絶縁被覆112の厚さは、通信用電線1Aの特性インピーダンスが100Ω±10Ωとなるように、導体111の直径や後述するシース12Aの厚さと合わせて調整される。絶縁被覆112の硬さについては、通信用電線1Aが自動車に配索されて温度が上昇したときに塑性変形を起こさない程度の硬さであるのが好ましく、例えば、絶縁被覆112の硬さは、シース12Aと同等であるのが好ましい。なお、絶縁電線11Bは、絶縁電線11Aと同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0022】
(対撚り線)
図2は、対撚り線2の撚り方を示す図である。対撚り線2は、絶縁電線11Aと絶縁電線11Bをダブルツイストバンチャー型の撚線機で対撚りした撚線である。本実施例では、対撚り線2は、ピッチが20mmであり、Z撚りで撚られている。
【0023】
ところで、絶縁電線11Aと絶縁電線11Bとを撚り合わせる場合、単に撚り合わせると絶縁電線11Aと絶縁電線11Bのそれぞれが捻じれた状態で撚り合わされてしまい、この捻じれが撚りを解く力が働くため、対撚り線2がばらけやすくなる。
【0024】
したがって本実施例では、絶縁電線11Aと絶縁電線11Bとを撚り合わせながら、その撚り合わせの回転方向とは逆の回転方向(すなわち、撚り合わせによる絶縁電線11Aの捻じれと絶縁電線11Bの捻じれを緩和する回転方向)に、絶縁電線11Aと絶縁電線11Bのそれぞれをひねって回転させるという、いわゆる撚り返しを施して、捻じれを防止している。
【0025】
ここで、撚り合わせの回転角Xと撚り返しの回転角Yとの比Y/Xを、撚り返し率と称する。すなわち絶縁電線11Aと絶縁電線11Bに撚り返しが全く施されておらず、絶縁電線11Aと絶縁電線11Bが捩じれたままの状態では、撚り返し率の値は0%であり、撚り返しが施され、絶縁電線11A自体の捻じれと絶縁電線11B自体の捩じれが全くない状態では撚り返し率の値は100%である。本実施例では、対撚り線2の撚り返し率は、100%としている。撚り返し率を100%とすることにより、絶縁電線11Aと絶縁電線11Bがばらけにくくなっている。
【0026】
(評価)
前述した通信用電線1Aについてシース12Aの摩耗と、シース12Aが摩耗した後の伝送特性を評価した。この評価に際し、通信用電線1Aの構成を備えるサンプル1~7を作成した。サンプル1~4は、外径を2.3mmとし、サンプル5、6は、外径を2.5mmとし、サンプル7は、外径を3.2mmとしている。また、サンプル1は、シース12Aの厚さを0.2mmとし、サンプル2は、シース12Aの厚さを0.3mmとし、サンプル3は、シース12Aの厚さを0.35mmとし、サンプル4、5は、シース12Aの厚さを0.4mmとし、サンプル6は、シース12Aの厚さを0.35mmとし、サンプル7は、シース12Aの厚さを0.7mmとしている。
【0027】
サンプル1~7のシース12Aの摩耗の評価については、JASO D 625-2にて規定されているスクレープ摩耗試験と同様の試験系で試験を行い、シース12A上の針に7Nの力を加え、23℃の環境下で針を200往復させるまでに針がシース12Aを破って対撚り線2に接触するか確認し、針が対撚り線2に接触した場合には接触したときの針の往復回数を記録した。
【0028】
また、シース12Aの摩耗の評価については、針を往復させているときにエアリーク試験を行い、シース12Aからの空気の漏れを評価した。ここで、シース12Aからの空気の漏れが検知された場合、スクレープ摩耗試験において針が対撚り線2に接触したと判定した。
図3は、エアリーク試験の構成の模式図である。スクレープ摩耗試験機M2で針NEを往復させているときに圧縮空気供給装置M1から図示しない調整弁及びチューブTU1を経由して供給される空気の圧力を、デジタル圧力計DPG1及びチューブTU2を介して接続されたモニタ用のデジタル圧力計DPG2で測定し、シース12Aの一端側から200~250kPaの範囲の一定の圧力(本例では230kPa)でシース12Aの内部に空気を注入し、シース12Aに注入する空気の圧力を、デジタル圧力計DPG1及びデジタル圧力計DPG2で測定することにより、摩耗による空気の漏れを評価した。なお、シース12Aの他端側は、空気が漏れないように栓PGで密閉し、通信用電線1AとチューブTU2との接続は、空気が漏れないように、通信用電線1Aの一端側にキャップを被せてチューブ接続継手Jで接続した。
【0029】
サンプル1~7の伝送特性については、特性インピーダンス及び反射損失を評価した。特性インピーダンスについては、サンプル1~7のそれぞれを10m採取し、キーサイト・テクノロジー株式会社のE5071C ENAベクトル・ネットワーク・アナライザを用いてTDR法(Time Domain Reflectometry)により測定した。また、TDR法による測定に際しては、周囲の温度を室温(23℃)として特性インピーダンスを測定した。特性インピーダンスの評価は、サンプル1~7のそれぞれについて、特性インピーダンスの測定結果が100Ω±10Ωの範囲に入っていれば「〇」と評価し、100Ω±10Ωの範囲外の場合は「×」と評価した。
【0030】
反射損失については、サンプル1~7のそれぞれを10m採取し、キーサイト・テクノロジー株式会社のE5071C ENAベクトル・ネットワーク・アナライザを用いてSパラメータを評価した。SパラメータのSdd11が反射損失となり、反射損失の評価は、サンプル1~7のそれぞれについて、Sdd11が66MHzで-14.8dBより大きい値であれば「NG」と評価し、Sdd11が66MHzで-14.8dB以下の値であれば「OK」と評価した。
【0031】
サンプル1~7の外径、シースの厚さ、スクレープ摩耗試験機M2における針NEの往復回数、エアリーク試験で測定した空気圧、特性インピーダンス及び反射損失の評価結果を表1に示す。なお、表1においては、針NEの往復回数は、200回往復したときはOKとし、200回往復せずに針NEが対撚り線2に接触した場合は、針NEが対撚り線2に接触したときの針NEの往復回数を示している。また、表1においては、初期空気圧は、針NEの往復を開始する前にデジタル圧力計DPG2で測定された空気圧を示している。終了時空気圧は、針NEが対撚り線2に接触した場合には、針NEが対撚り線2に接触したときにデジタル圧力計DPG2で測定された空気圧を示し、針NEが対撚り線2に接触せずに200回往復した場合には、針NEが200回往復した後にデジタル圧力計DPG2で測定された空気圧を示している。
【0032】
【0033】
表1に示すように、針NEによるシース12Aの摩耗については、シース12Aの厚さを0.35mm未満としたサンプル1、2の場合、針NEの往復回数が200回に達する前にシース12Aが破れ、針NEが対撚り線2に接触している。一方、シース12Aの厚さを0.35mm以上としたサンプル3~7は、対撚り線2に接触することなく針NEを200回往復させることができており、高い耐摩耗性を有している。
【0034】
また、エアリーク試験については、シース12Aの厚さを0.35mm未満としたサンプル1、2の場合、空気が送り込まれた側で空気圧が低下している。一方、シース12Aの厚さを0.35mm以上としたサンプル3~7は、空気が送り込まれた側で空気圧が低下していないことから、シース12Aが破れておらず、高い耐摩耗性を有している。
【0035】
伝送特性については、シース12Aの厚さを0.35mm未満としたサンプル1、2の場合、特性インピーダンス及び反射損失がNGとなっており、摩耗により伝送特性が悪化している。一方、シース12Aの厚さを0.35mm以上としたサンプル3~7は、特性インピーダンス及び反射損失がOKとなっており、摩耗による伝送特性の変化が抑えられている。
【0036】
このように、スクレープ摩耗試験中に流出する空気の空気圧が低下していないシース12Aの場合、高い耐摩耗性を有し、且つ、伝送特性の低下を抑えることができる。
【0037】
(ワイヤハーネス)
圧着端子を絶縁電線11Aの導体111と、絶縁電線11Bの導体111のそれぞれに接合させることにより端子付き電線が形成される。また、端子付き電線の圧着端子が図示しないコネクタハウジングに挿入されてコネクタ付き電線が形成されることもある。また、圧着端子と、通信用電線1Aとを備える端子付き電線を他の電線と束ねてコネクタに挿入することにより、ワイヤハーネスが形成される。このワイヤハーネスは、例えば自動車に配索される。
【0038】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0039】
図4は通信用電線の変形例を示す図である。
図4に示す通信用電線1Bは、通信用電線1Aと比較すると、絶縁被覆112に替えて絶縁被覆112Aを備えている点で相違している。絶縁被覆112Aは、ポリオレフィン系樹脂をベース材とした樹脂で形成されている。絶縁被覆112Aは、絶縁被覆112がパイプ型であるのに対して充実型である点で相違している。
【0040】
シース12Aの摩耗の評価については、例えば、スクレープ摩耗試験機M2で針NEを200回往復させた時点の圧力と、針NEを200回往復させた時点から空気の注入を継続して10分経過後の圧力とを比較し、10分経過後の圧力の変化量が200回往復させた時点の圧力の3%以上の変化量であるか評価してもよい。この場合、変化量が3%未満である場合には、シース12Aが破れていないと評価し、変化量が3%以上である場合には、シース12Aが破れていると評価する。
【符号の説明】
【0041】
1A、1B 通信用電線
2 対撚り線
11A、11B 絶縁電線
12A シース
111 導体
112、112A 絶縁被覆
1111 素線
DPG1、DPG2 デジタル圧力計
J チューブ接続継手
M1 圧縮空気供給装置
M2 スクレープ摩耗試験機
NE 針
PG 栓
TU1、TU2 チューブ