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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157122
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ベーパーチャンバ
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/04 20060101AFI20221006BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20221006BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20221006BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F28D15/04 A
F28D15/02 101H
F28D15/04 G
F28D15/02 102C
H01L23/46 B
H05K7/20 Q
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061169
(22)【出願日】2021-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】川畑 賢也
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 義勝
(72)【発明者】
【氏名】青木 博史
(72)【発明者】
【氏名】岡田 博
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 陽介
(72)【発明者】
【氏名】川端 秀明
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB02
5E322DB01
5E322FA01
5E322FA04
5F136CC14
5F136CC17
5F136CC18
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA23
5F136GA31
(57)【要約】
【課題】液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗を低減し、また、蒸発部における液相の作動流体のドライアウトを防止することで、優れた熱輸送特性を有するベーパーチャンバを提供する。
【解決手段】空洞部が内部に形成された、第1の面と前記第1の面に対向した第2の面を有するコンテナと、前記空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、空洞部に設けられた蒸気流路と、を備え、前記第1の面の内面に、凸部を有するコンテナ内面表面積増大部が形成され、前記凸部の表面に第1のウィック構造体が設けられているベーパーチャンバ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞部が内部に形成された、第1の面と前記第1の面に対向した第2の面を有するコンテナと、前記空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、空洞部に設けられた蒸気流路と、を備え、
前記第1の面の内面に、凸部を有するコンテナ内面表面積増大部が形成され、前記凸部の表面に第1のウィック構造体が設けられているベーパーチャンバ。
【請求項2】
前記凸部の表面が、前記第1のウィック構造体で被覆されている請求項1に記載のベーパーチャンバ。
【請求項3】
前記第1の面の内面における複数の前記凸部の間へ、前記第1のウィック構造体が延在している請求項1または2に記載のベーパーチャンバ。
【請求項4】
前記凸部の表面に設けられている前記第1のウィック構造体上に、さらに、前記第1のウィック構造体とは異なる第2のウィック構造体が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項5】
前記第2のウィック構造体が、前記第1のウィック構造体よりも毛細管力が小さい請求項4に記載のベーパーチャンバ。
【請求項6】
前記第2のウィック構造体が、前記第2の面の内面に接している請求項4または5に記載のベーパーチャンバ。
【請求項7】
前記第1の面の内面における複数の前記凸部の間の前記第1のウィック構造体上に、さらに前記第2のウィック構造体が設けられている請求項4乃至6のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項8】
前記第1のウィック構造体が粉体の焼結体であり、前記第2のウィック構造体が粉体の焼結体である請求項4乃至7のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項9】
前記第1のウィック構造体の原料である第1の粉体の平均一次粒子径が、前記第2のウィック構造体の原料である第2の粉体の平均一次粒子径よりも小さい請求項8に記載のベーパーチャンバ。
【請求項10】
前記コンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みである請求項1乃至9のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項11】
前記第1の面全体が、平面部位であり、前記平面部位の内面に、前記コンテナ内面表面積増大部が形成されている請求項1乃至10のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項12】
前記第1の面が、平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した突出部位を有することで、前記コンテナが、平面部と前記平面部から外方向へ突出した突出部を有し、前記突出部の内面に、前記コンテナ内面表面積増大部が形成されている請求項1乃至10のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項13】
前記第1の面の、前記コンテナ内面表面積増大部の外側に、第3のウィック構造体が設けられ、前記第3のウィック構造体が前記第1のウィック構造体と連接されている請求項1乃至12のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項14】
前記第1のウィック構造体と前記第2の面の間に、さらに、ブロック状のウィック部材が設けられている請求項1乃至13のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液相の作動流体の蒸発表面積が増大化されていることで、液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗を低減でき、また、蒸発部における液相の作動流体のドライアウトを防止できるベーパーチャンバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器に搭載されている半導体素子等の電子部品は、高機能化に伴う高密度搭載等により、発熱量が増大し、近年、その冷却がますます重要となっている。また、電気・電子機器の小型化に伴う高密度搭載等により、電子部品は狭小空間に設置されることがあり、狭小空間に設置される電子部品の冷却がますます重要となっている。限られた空間に搭載された発熱量の大きい電子部品等の発熱体の冷却方法として、平面型の熱輸送装置であるベーパーチャンバが使用されることがある。
【0003】
上記から、ベーパーチャンバには、優れた熱輸送特性が要求される。そこで、例えば、コンテナと、コンテナを内側から支持するようにコンテナの内部空間に配置された柱と、コンテナの内部空間に封入された作動流体と、コンテナの内部空間に配置されたウィック構造体とを有し、コンテナの内面の少なくとも一部分が、コンテナの内部空間に露出し、平均深さが10nm以上の細孔を有しているベーパーチャンバが提案されている(特許文献1)。特許文献1では、細孔に不純物ガスがトラップされることで、ウィック構造体に付着する不純物ガスの量が低減し、作動流体の流通性を向上させるものである。作動流体の流通性が向上することで、ベーパーチャンバの熱輸送特性の向上を図っている。
【0004】
しかし、発熱量の大きい発熱体の冷却手段として、ウィック構造体に付着する不純物ガス量を低減させることで作動流体の流通性を向上させる特許文献1のベーパーチャンバでは、熱輸送特性に改善の必要性があった。そこで、ウィック構造体の肉厚化、ウィック構造体の材質の工夫による熱伝導性向上等により、液相の作動流体の蒸発特性を向上させることで、ベーパーチャンバの熱輸送特性を向上させることも検討されている。
【0005】
しかしながら、ウィック構造体の肉厚化、ウィック構造体の熱伝導性向上等による液相の作動流体の蒸発特性の向上では、依然として、発熱量の大きい発熱体の冷却手段としては、改善の必要性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-189349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗を低減し、また、蒸発部における液相の作動流体のドライアウトを防止することで、優れた熱輸送特性を有するベーパーチャンバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1]空洞部が内部に形成された、第1の面と前記第1の面に対向した第2の面を有するコンテナと、前記空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、空洞部に設けられた蒸気流路と、を備え、
前記第1の面の内面に、凸部を有するコンテナ内面表面積増大部が形成され、前記凸部の表面に第1のウィック構造体が設けられているベーパーチャンバ。
[2]前記凸部の表面が、前記第1のウィック構造体で被覆されている[1]に記載のベーパーチャンバ。
[3]前記第1の面の内面における複数の前記凸部の間へ、前記第1のウィック構造体が延在している[1]または[2]に記載のベーパーチャンバ。
[4]前記凸部の表面に設けられている前記第1のウィック構造体上に、さらに、前記第1のウィック構造体とは異なる第2のウィック構造体が設けられている[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のベーパーチャンバ。
[5]前記第2のウィック構造体が、前記第1のウィック構造体よりも毛細管力が小さい[4]に記載のベーパーチャンバ。
[6]前記第2のウィック構造体が、前記第2の面の内面に接している[4]または[5]に記載のベーパーチャンバ。
[7]前記第1の面の内面における複数の前記凸部の間の前記第1のウィック構造体上に、さらに前記第2のウィック構造体が設けられている[4]乃至[6]のいずれか1つに記載のベーパーチャンバ。
[8]前記第1のウィック構造体が粉体の焼結体であり、前記第2のウィック構造体が粉体の焼結体である[4]乃至[7]のいずれか1つに記載のベーパーチャンバ。
[9]前記第1のウィック構造体の原料である第1の粉体の平均一次粒子径が、前記第2のウィック構造体の原料である第2の粉体の平均一次粒子径よりも小さい[8]に記載のベーパーチャンバ。
[10]前記コンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みである[1]乃至[9]のいずれか1つに記載のベーパーチャンバ。
[11]前記第1の面全体が、平面部位であり、前記平面部位の内面に、前記コンテナ内面表面積増大部が形成されている[1]乃至[10]のいずれか1つに記載のベーパーチャンバ。
[12]前記第1の面が、平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した突出部位を有することで、前記コンテナが、平面部と前記平面部から外方向へ突出した突出部を有し、前記突出部の内面に、前記コンテナ内面表面積増大部が形成されている[1]乃至[10]のいずれか1つに記載のベーパーチャンバ。
[13]前記第1の面の、前記コンテナ内面表面積増大部の外側に、第3のウィック構造体が設けられ、前記第3のウィック構造体が前記第1のウィック構造体と連接されている[1]乃至[12]のいずれか1つに記載のベーパーチャンバ。
[14]前記第1のウィック構造体と前記第2の面の間に、さらに、ブロック状のウィック部材が設けられている[1]乃至[13]のいずれか1つに記載のベーパーチャンバ。
【発明の効果】
【0009】
本発明のベーパーチャンバの態様によれば、コンテナの第1の面の内面に、凸部を有するコンテナ内面表面積増大部が形成され、凸部の表面に第1のウィック構造体が設けられていることにより、液相の作動流体の蒸発表面積が増大化されて液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗を低減し、また、液相の作動流体がコンテナ内面表面積増大部に滞留して蒸発部における液相の作動流体のドライアウトを防止することができるので、優れた熱輸送特性を発揮できる。
【0010】
本発明のベーパーチャンバの態様によれば、凸部の表面が第1のウィック構造体で被覆されていることにより、コンテナ内面表面積増大部の全体にわたって液相の作動流体が滞留できるので、液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗をさらに確実に低減しつつ、液相の作動流体のドライアウトをさらに確実に防止することができる。
【0011】
本発明のベーパーチャンバの態様によれば、凸部の表面に設けられている前記第1のウィック構造体上に、さらに、第1のウィック構造体よりも毛細管力の小さい第2のウィック構造体が設けられていることにより、コンテナ内面表面積増大部における液相の作動流体の保持特性とコンテナ内面表面積増大部への還流特性がバランスよく向上する。
【0012】
本発明のベーパーチャンバの態様によれば、第2のウィック構造体がコンテナの第2の面の内面に接していることにより、液相の作動流体は、第1の面に沿ってコンテナ内面表面積増大部へ還流するだけでなく、第2の面に沿ってもコンテナ内面表面積増大部へ還流できるので、液相の作動流体の流路抵抗が低減して、液相の作動流体のコンテナ内面表面積増大部への還流特性がさらに向上する。
【0013】
本発明のベーパーチャンバの態様によれば、複数の凸部の間へ延在している第1のウィック構造体上に、さらに第2のウィック構造体が設けられていることにより、第1のウィック構造体によるコンテナ内面表面積増大部における液相の作動流体の保持特性と第2のウィック構造体によるコンテナ内面表面積増大部への還流特性が、さらにバランスよく向上する。
【0014】
本発明のベーパーチャンバの態様によれば、粉体の焼結体である第1のウィック構造体の原料である第1の粉体の平均一次粒子径が粉体の焼結体である第2のウィック構造体の原料である第2の粉体の平均一次粒子径よりも小さいことにより、毛細管力の大きい第1のウィック構造体と毛細管力の小さい第2のウィック構造体が容易に形成される。
【0015】
本発明のベーパーチャンバの態様によれば、第1の面のコンテナ内面表面積増大部の外側に第3のウィック構造体が設けられ、第3のウィック構造体が第1のウィック構造体と連接されていることにより、液相の作動流体の、コンテナ内面表面積増大部の外側からコンテナ内面表面積増大部への還流特性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する正面断面図である。
図2】本発明の第1実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する側面断面図である。
図4】本発明の第2実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する正面断面図である。
図5】本発明の第2実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する側面断面図である。
図7】本発明の第3実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する斜視図である。
図8】本発明の第4実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する正面断面図である。
図9】本発明の第5実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する正面断面図である。
図10】本発明の第6実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する正面断面図である。
図11】本発明の第6実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の第1実施形態例に係るベーパーチャンバについて詳細を説明する。図1は、本発明の第1実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する正面断面図である。図2は、本発明の第1実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する側面断面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の第1実施形態例に係るベーパーチャンバ1は、対向する2枚の板状体、すなわち、一方の板状体11と一方の板状体11と対向する他方の板状体12とを重ねることにより空洞部13が内部に形成されたコンテナ10と、空洞部13に封入された作動流体(図示せず)と、気相の作動流体が流通する、空洞部13に設けられた蒸気流路15と、を備えている。
【0019】
コンテナ10は、薄型の板状コンテナであり、一方の板状体11が第1の主表面である第1の面21を有し、他方の板状体12が第2の主表面である第2の面22を有している。従って、コンテナ10は、第1の主表面である第1の面21と、第1の面21に対向した、第2の主表面である第2の面22と、を有している。
【0020】
また、一方の板状体11には、第1の面21の周縁に沿って側壁23が立設され、他方の板状体12には、第2の面22の周縁に沿って側壁24が立設されている。一方の板状体11の側壁23の先端と他方の板状体12の側壁24の先端とを対向配置させて当接させることにより、コンテナ10の内部空間である空洞部13が形成される。従って、側壁23と側壁24にて、コンテナ10の側面が形成されている。空洞部13は、密閉空間であり、脱気処理により減圧されている。コンテナ10の内部空間は、全体が連通しており、作動流体は、コンテナ10の内部空間全体で流通可能となっている。
【0021】
コンテナ10の形状は、特に限定されないが、ベーパーチャンバ1では、例えば、平面視(コンテナ10の主表面に対して鉛直方向から視認した状態)にて、四角形状等の多角形状、円形状、楕円形状、直線部と湾曲部を有する形状等が挙げられる。
【0022】
図1に示すように、第1の面21の内面31には、コンテナ10の内面31の表面積を増大させる部位であるコンテナ内面表面積増大部40が形成されている。コンテナ内面表面積増大部40は、第1の面21の内面31の一部領域に設けられている。コンテナ内面表面積増大部40の設けられる位置は、特に限定されず、ベーパーチャンバ1の使用条件等により適宜選択可能である。ベーパーチャンバ1では、コンテナ内面表面積増大部40は第1の面21の中央部に配置されている。ベーパーチャンバ1では、第1の面21全体が、平坦な平面部位であり、平面部位の内面に、コンテナ内面表面積増大部40が形成されている。
【0023】
コンテナ内面表面積増大部40は、第1の面21の内面31から第2の面22方向へ突出した複数の凸部41、41、41・・・を有する部位である。複数の凸部41、41、41・・・は、所定の間隔にて配置されている。複数の凸部41、41、41・・・によって、第1の面21の内面31の表面積が増大した態様となっている。なお、ベーパーチャンバ1では、第2の面22の内面32には、コンテナ内面表面積増大部は形成されていない。
【0024】
第1の面21の外面33に、冷却対象である発熱体100が熱的に接続される。具体的には、第1の面21の外面33のうち、コンテナ内面表面積増大部40の位置に対応する部位に発熱体100が熱的に接続される。従って、第1の面21の外面33のうち、コンテナ内面表面積増大部40の位置に対応する部位が、ベーパーチャンバ1の蒸発部(受熱部)として機能する。上記から、コンテナ内面表面積増大部40によって、蒸発部へ還流した液相の作動流体と第1の面21の内面31との接触面積が増大する。すなわち、コンテナ内面表面積増大部40により、液相の作動流体の蒸発表面積が増大化され、コンテナ10を介した発熱体100から液相の作動流体への熱伝達が円滑化される。その結果、液相の作動流体の気相への相変化が促進される。
【0025】
図1に示すように、凸部41の表面には、毛細管力を有する第1のウィック構造体51が設けられている。ベーパーチャンバ1では、凸部41の表面に、第1のウィック構造体51の層が形成されている。具体的には、凸部41の先端43と凸部41の側部を含めた凸部41の表面全体が、第1のウィック構造体51で被覆されている。また、複数の凸部41、41、41・・・は、いずれも、先端43と側部を含めた表面全体が、第1のウィック構造体51で被覆されている。液相の作動流体は、第1のウィック構造体51の毛細管力により凸部41に保持されて、結果、コンテナ内面表面積増大部40に滞留することができる。
【0026】
なお、第1のウィック構造体51は、第2の面22の内面32には接触していない。すなわち、第1のウィック構造体51は、蒸気流路15に対して露出している。従って、第1のウィック構造体51と第2の面22の内面32との間は空間部であり、気相の作動流体が流通する蒸気流路15となっている。上記から、ベーパーチャンバ1では、確実に蒸気流路15が確保されている。
【0027】
第1のウィック構造体51は、凸部41の表面から複数の凸部41、41、41・・・間における第1の面21の内面31まで延在している。従って、第1の面21の内面31のうち、複数の凸部41、41、41・・・の間の部位は、第1のウィック構造体51によって被覆されている。複数の凸部41、41、41・・・の間における第1のウィック構造体51は層状であり、凸部41の基部と凸部41の基部との間に第1のウィック構造体51の層が形成されている。上記から、コンテナ内面表面積増大部40は、第1のウィック構造体51によって被覆されている。
【0028】
コンテナ内面表面積増大部40を形成する凸部41としては、例えば、第1の面21の内面31に立設された板状フィン、ピンフィン(柱状フィン)が挙げられる。また、凸部41としては、第1の面21の内面31に窪みを形成することで得られる凸部が挙げられる。コンテナ内面表面積増大部40は、例えば、型を用いてコンテナ10を成形すること、コンテナ10とは別部材を第1の面21の内面31に取り付けることで設けることができる。板状フィン、ピンフィンの形成方法としては、例えば、別途作製した板状フィン、ピンフィンを第1の面21の内面31に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法、第1の面21の内面31を切削する方法、押し出す方法、エッチングする方法等が挙げられる。また、窪みの形成方法としては、例えば、第1の面21の内面31を切削する方法、押し出す方法、エッチングする方法等が挙げられる。
【0029】
図2、3に示すように、ベーパーチャンバ1では、コンテナ内面表面積増大部40を形成する複数の凸部41、41、41・・・として、複数の板状フィンが、所定間隔にて、第1の面21の内面31に並列配置されている。ベーパーチャンバ1では、それぞれの板状フィンの形状は、正面視四角形状であり、側面視四角形状となっている。
【0030】
また、複数の凸部41、41、41・・・のうち、一部の凸部41には、凸部41の先端43から第2の面22の内面32へ突起した突起部42が設けられている。突起部42は、例えば、凸部41と一体成型されている。突起部42は、凸部41の長手方向の一部領域に設けられている。突起部42の先端は、第2の面22の内面32に当接している。突起部42は、第2の面22に当接していることで、減圧処理されている空洞部13を維持する支持部材として機能する。
【0031】
図1、2に示すように、ベーパーチャンバ1では、第1の面21のコンテナ内面表面積増大部40の外側には、毛細管力を有する第3のウィック構造体53が設けられている。すなわち、第1の面21の内面31のうち、コンテナ内面表面積増大部40の形成された部位には、第1のウィック構造体51が設けられ、コンテナ内面表面積増大部40の形成されていない部位には、第3のウィック構造体53が設けられている。第3のウィック構造体53は、第1のウィック構造体51よりも小さい毛細管力を有しており、流路抵抗が小さく、液相の作動流体の流通性に優れたウィック構造体として機能する。第3のウィック構造体53は、第1の面21の内面31上に、層状に形成されている。ベーパーチャンバ1では、コンテナ内面表面積増大部40の形成されていない第1の面21の内面31の領域は、第3のウィック構造体53で被覆されている。第3のウィック構造体53は、第1のウィック構造体51と連接されている。
【0032】
ベーパーチャンバ1の凝縮部(放熱部)で気相から液相へ相変化した作動流体は、第3のウィック構造体53の毛細管力により、第3のウィック構造体53内部を凝縮部方向から蒸発部に位置する第1のウィック構造体51の方向へ還流し、さらに、第3のウィック構造体53から第3のウィック構造体53と連接されている第1のウィック構造体51へ還流する。従って、第1の面21のコンテナ内面表面積増大部40の外側に第3のウィック構造体53が設けられていることにより、コンテナ10の内部を拡散した作動流体が、円滑に蒸発部に位置する第1のウィック構造体51へ還流することができる。
【0033】
図1~3に示すように、蒸気流路15は、コンテナ10の内部空間であり、コンテナ10全体にわたって延在している。従って、気相の作動流体は、蒸気流路15によって、コンテナ10全体にわたって流通することができる。
【0034】
コンテナ内面表面積増大部40及び突起部42の材料は、特に限定されず、例えば、熱伝導性部材を挙げることができる。コンテナ内面表面積増大部40の材料の具体例としては、金属部材(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等)、炭素部材(例えば、グラファイト等)を挙げることができる。
【0035】
第1のウィック構造体51としては、金属粉等の粉体の焼結体、金属繊維、金属メッシュ、金属編組体等を挙げることができる。これらの材料は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、凸部41表面への被覆の容易性、すなわち、凸部41表面に所望の厚さを有する第1のウィック構造体51の層を容易に形成できる点から、金属粉等の粉体の焼結体が好ましい。粉体の焼結体としては、銅粉、ステンレス粉等の金属粉の焼結体、銅粉等の金属粉とカーボン粉との混合粉の焼結体等を挙げることができる。粉体の焼結体の原料である第1の粉体の平均一次粒子径は、第1のウィック構造体51に要求される毛細管力及び液相の作動流体の還流特性等により、適宜選択可能であり、例えば、コンテナ内面表面積増大部40における液相の作動流体の保持特性を向上させる点から、30μm以上150μm以下が好ましく、50μm以上100μm以下が特に好ましい。
【0036】
第3のウィック構造体53としては、金属粉等の粉体の焼結体、金属繊維、金属メッシュ、金属編組体等を挙げることができる。これらの材料は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、所望の厚さを有する第3のウィック構造体53の層を容易に形成できる点から、金属粉等の粉体の焼結体が好ましい。粉体の焼結体としては、銅粉、ステンレス粉等の金属粉の焼結体、銅粉等の金属粉とカーボン粉との混合粉の焼結体等を挙げることができる。粉体の焼結体の原料である第3の粉体の平均一次粒子径は、第3のウィック構造体53に要求される毛細管力及び液相の作動流体の還流特性等により、適宜選択可能であり、例えば、所定の毛細管力を有しつつ液相の作動流体の流路抵抗を確実に低減する点から、160μm以上400μm以下が好ましく、200μm以上350μm以下が特に好ましい。
【0037】
コンテナ10の材質は、特に限定されず、例えば、熱伝導率に優れた点から銅、銅合金、軽量性の点からアルミニウム、アルミニウム合金、機械的強度の改善の点からステンレス等の金属を挙げることができる。コンテナ10の材質は、コンテナ内面表面積増大部40と同じ材質でもよく、異なる材質でもよい。また、ベーパーチャンバ1の使用状況に応じて、コンテナ10の材質として、スズ、スズ合金、チタン、チタン合金、ニッケル及びニッケル合金等を用いてもよい。
【0038】
また、コンテナ10に封入される作動流体としては、コンテナ10の材質に応じて、適宜選択可能であり、例えば、水、代替フロン、パーフルオロカーボン、シクロペンタン等を挙げることができる。
【0039】
次に、図1~3を用いて、ベーパーチャンバ1の冷却機能のメカニズムについて説明する。まず、コンテナ10の第1の面21の外面33のうち、コンテナ内面表面積増大部40に対応する部位に被冷却体である発熱体100を熱的に接続する。コンテナ10がコンテナ内面表面積増大部40に対応する部位にて発熱体100から受熱すると、コンテナ10のコンテナ内面表面積増大部40に対応する部位において、発熱体100から第1のウィック構造体51に滞留している液相の作動流体へ熱が伝達されて、液相の作動流体が気相の作動流体へと相変化する。気相の作動流体は、蒸気流路15をコンテナ内面表面積増大部40からコンテナ内面表面積増大部40の外方向へ流通していき、コンテナ10全体にわたって拡散していく。気相の作動流体がコンテナ内面表面積増大部40からコンテナ10全体にわたって拡散していくことで、コンテナ10が発熱体100からの熱をコンテナ内面表面積増大部40からコンテナ10全体に輸送して、発熱体100からの熱がコンテナ10全体に拡散する。コンテナ10全体にわたって流通可能な気相の作動流体は、コンテナ10の外面に熱的に接続された放熱フィン等の熱交換手段(図示せず)によって潜熱を放出して、気相から液相へ相変化する。放出された潜熱は、コンテナ10に熱的に接続されている熱交換手段を介してベーパーチャンバ1の外部環境へ放出される。潜熱を放出して気相から液相に相変化した作動流体Lは、第1の面21に設けられた第3のウィック構造体53の毛細管力により、第3のウィック構造体53内部を第1のウィック構造体51の方向へ還流し、さらに、第3のウィック構造体53から第3のウィック構造体53と連接されている第1のウィック構造体51へ還流する。すなわち、液相の作動流体Lは、第1のウィック構造体51と第3のウィック構造体53の毛細管力により、ベーパーチャンバ1の放熱部からコンテナ内面表面積増大部40が設けられている受熱部へ還流する。
【0040】
本発明の第1実施形態例に係るベーパーチャンバ1では、コンテナ10の第1の面21の内面31に、凸部41を有するコンテナ内面表面積増大部40が形成されていることにより、液相の作動流体の蒸発表面積が増大化されて液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗を低減する。また、凸部41の表面に第1のウィック構造体51が設けられていることにより、液相の作動流体がコンテナ内面表面積増大部に滞留して蒸発部における液相の作動流体のドライアウトを防止することができる。従って、ベーパーチャンバ1では、作動流体の相変化が円滑化されるので、高発熱量の発熱体100が熱的に接続されても、優れた熱輸送特性を発揮できる。
【0041】
また、ベーパーチャンバ1では、コンテナ内面表面積増大部40の表面が第1のウィック構造体51で被覆されていることにより、コンテナ内面表面積増大部40の全体にわたって液相の作動流体が滞留できるので、液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗をさらに確実に低減しつつ、液相の作動流体のドライアウトをさらに確実に防止することができる。
【0042】
また、ベーパーチャンバ1では、コンテナ内面表面積増大部40の周囲に第3のウィック構造体53が設けられ、第3のウィック構造体53が第1のウィック構造体51と連接されていることにより、液相の作動流体の、コンテナ内面表面積増大部40の外側からコンテナ内面表面積増大部40への還流特性がさらに向上する。従って、ベーパーチャンバ1では、コンテナ内面表面積増大部40における液相の作動流体のドライアウトをさらに確実に防止することができる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態例に係るベーパーチャンバについて詳細を説明する。図4は、本発明の第2実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する正面断面図である。図5は、本発明の第2実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する斜視図である。図6は、本発明の第2実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する側面断面図である。なお、第2実施形態例に係るベーパーチャンバは、第1実施形態例に係るベーパーチャンバと主要な構成要素が共通しているので、第1実施形態例に係るベーパーチャンバと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0044】
第1実施形態例に係るベーパーチャンバ1では、凸部41の表面全体に第1のウィック構造体51が被覆されていたが、図4~6に示すように、第2実施形態例に係るベーパーチャンバ2では、さらに、凸部41の先端43に、第1のウィック構造体51とは異なる第2のウィック構造体52が設けられている。ベーパーチャンバ2では、第2のウィック構造体52は、第1のウィック構造体51よりも小さい毛細管力を有している。第2のウィック構造体52は、凸部41の表面に設けられている第1のウィック構造体51上に形成されている。第2のウィック構造体52は、複数の凸部41、41、41・・・のそれぞれに設けられている。従って、ベーパーチャンバ2のコンテナ内面表面積増大部40では、凸部41の先端43は、第1のウィック構造体51と第2のウィック構造体52を有するウィック構造体の積層構造となっている。なお、ベーパーチャンバ2でも、第1の面21全体が、平坦な平面部位であり、平面部位の内面に、コンテナ内面表面積増大部40が形成されている。
【0045】
凸部41の先端43と凸部41の側部を含めた凸部41の表面全体が、第2のウィック構造体52で被覆されていてもよく、凸部41の側部は、第2のウィック構造体52で被覆されていなくてもよい。ベーパーチャンバ2では、凸部41の先端43は第2のウィック構造体52で被覆され、凸部41の側部は第2のウィック構造体52で被覆されていない態様となっている。
【0046】
第2のウィック構造体52は、凸部41の先端43から第2の面22の内面32方向へ伸び、第2の面22の内面32に接している。上記から、コンテナ内面表面積増大部40は、第2のウィック構造体52を介して第2の面22の内面32と連接している。従って、図6に示すように、液相の作動流体Lは、第1の面21に沿ってコンテナ内面表面積増大部40へ還流するだけでなく、第2の面22に沿ってもコンテナ内面表面積増大部40へ還流できる。
【0047】
また、図4に示すように、第1の面21の内面31における複数の凸部41、41、41・・・の間に設けられた第1のウィック構造体51上にも、第2のウィック構造体52が設けられている。複数の凸部41、41、41・・・の間に設けられた第2のウィック構造体52は、層状となっており、凸部41の基部と凸部41の基部との間に、第2のウィック構造体52の層が形成されている。従って、凸部41の基部と凸部41の基部との間には、第1のウィック構造体51の層と第2のウィック構造体52の層を有するウィック構造体の積層構造が形成されている。
【0048】
第2のウィック構造体52は、第1のウィック構造体51よりも小さい毛細管力を有するので、流路抵抗が小さく、液相の作動流体の流通性に優れたウィック構造体として機能する。従って、複数の凸部41、41、41・・・の間へ延在している第1のウィック構造体51上に、さらに第2のウィック構造体52が設けられていることにより、第1のウィック構造体51によるコンテナ内面表面積増大部40における液相の作動流体の保持特性と第2のウィック構造体52によるコンテナ内面表面積増大部40への還流特性が、さらにバランスよく向上する。
【0049】
また、図4に示すように、第1の面21のコンテナ内面表面積増大部40の外側に設けられている第3のウィック構造体53上にも、第2のウィック構造体52が設けられている。第2のウィック構造体52は、第3のウィック構造体53上に、層状に形成されている。従って、第1の面21のコンテナ内面表面積増大部40の外側は、第3のウィック構造体53の層と第2のウィック構造体52の層を有するウィック構造体の積層構造が形成されている。第2のウィック構造体52は、第3のウィック構造体53と同じく、第1のウィック構造体51よりも小さい毛細管力を有するので、流路抵抗が小さく、液相の作動流体の流通性に優れたウィック構造体として機能する。
【0050】
第2のウィック構造体52としては、金属粉等の粉体の焼結体、金属繊維、金属メッシュ、金属編組体等を挙げることができる。これらの材料は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、所望の厚さを有する第2のウィック構造体52の層を容易に形成できる点から、金属粉等の粉体の焼結体が好ましい。粉体の焼結体としては、銅粉、ステンレス粉等の金属粉の焼結体、銅粉等の金属粉とカーボン粉との混合粉の焼結体等を挙げることができる。粉体の焼結体の原料である第2の粉体の平均一次粒子径は、第2のウィック構造体52に要求される毛細管力及び液相の作動流体の還流特性等により、適宜選択可能であり、例えば、所定の毛細管力を有しつつ液相の作動流体の流路抵抗を確実に低減する点から、160μm以上400μm以下が好ましく、200μm以上350μm以下が特に好ましい。上記から、毛細管力の大きい第1のウィック構造体51と毛細管力の小さい第2のウィック構造体52が容易に形成できる点から、第1のウィック構造体51の原料である第1の粉体の平均一次粒子径が、第2のウィック構造体52の原料である第2の粉体の平均一次粒子径よりも小さいことが好ましい。
【0051】
ベーパーチャンバ2でも、コンテナ10の第1の面21の内面31に、凸部41を有するコンテナ内面表面積増大部40が形成されていることにより、液相の作動流体の蒸発表面積が増大化されて液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗を低減する。また、凸部41の表面に第1のウィック構造体51が設けられていることにより、液相の作動流体がコンテナ内面表面積増大部に滞留して蒸発部における液相の作動流体のドライアウトを防止することができる。さらに、ベーパーチャンバ2では、凸部41の表面に設けられている第1のウィック構造体51上に、さらに、第1のウィック構造体51よりも毛細管力の小さい第2のウィック構造体52が設けられていることにより、コンテナ内面表面積増大部40における液相の作動流体の保持特性とコンテナ内面表面積増大部40への還流特性がバランスよく向上する。
【0052】
特に、ベーパーチャンバ2では、図6に示すように、第2のウィック構造体52が第2の面22の内面32に接していることにより、液相の作動流体Lは、第1の面21に沿ってコンテナ内面表面積増大部40へ還流するだけでなく、第2の面22に沿ってもコンテナ内面表面積増大部40へ還流できるので、液相の作動流体Lの流路抵抗が低減して、液相の作動流体Lのコンテナ内面表面積増大部40への還流特性がさらに向上する。
【0053】
上記から、液相の作動流体Lが第2の面22に沿って円滑に還流するために、必要に応じて、第2の面22の内面32にも、第2の面22の延在方向に沿ってウィック構造体(図示せず)を設けてもよい。
【0054】
次に、本発明の第3実施形態例に係るベーパーチャンバについて詳細を説明する。図7は、本発明の第3実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する正面断面図である。なお、第3実施形態例に係るベーパーチャンバは、第1、第2実施形態例に係るベーパーチャンバと主要な構成要素が共通しているので、第1、第2実施形態例に係るベーパーチャンバと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0055】
第1実施形態例に係るベーパーチャンバ1では、コンテナ内面表面積増大部40を形成する複数の凸部41、41、41・・・として、複数の板状フィンが、所定間隔にて、第1の面21の内面31に並列配置されていたが、図7に示すように、第3実施形態例に係るベーパーチャンバ3では、コンテナ内面表面積増大部40を形成する複数の凸部41、41、41・・・として、複数のピンフィンが、所定間隔にて、第1の面21の内面31に並列配置されている。ベーパーチャンバ3では、それぞれのピンフィンの形状は、正面視四角形状であり、側面視四角形状となっている。ピンフィンは、柱状部材である。
【0056】
ベーパーチャンバ3でも、複数のピンフィンで形成されたコンテナ内面表面積増大部40は、第1のウィック構造体51によって被覆されている。また、必要に応じて、ピンフィンである凸部41の先端43に、第1のウィック構造体51とは異なる第2のウィック構造体52が設けられていてもよい。この場合、第2のウィック構造体52は、凸部41の表面に設けられている第1のウィック構造体51上に形成されている。
【0057】
ベーパーチャンバ3でも、コンテナ10の第1の面21の内面31に、凸部41を有するコンテナ内面表面積増大部40が形成されていることにより、液相の作動流体の蒸発表面積が増大化されて液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗を低減する。また、凸部41の表面に第1のウィック構造体51が設けられていることにより、液相の作動流体がコンテナ内面表面積増大部40に滞留して蒸発部における液相の作動流体のドライアウトを防止することができる。
【0058】
次に、本発明の第4実施形態例に係るベーパーチャンバについて詳細を説明する。図8は、本発明の第4実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する正面断面図である。なお、第4実施形態例に係るベーパーチャンバは、第1~第3実施形態例に係るベーパーチャンバと主要な構成要素が共通しているので、第1~第3実施形態例に係るベーパーチャンバと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0059】
第1実施形態例に係るベーパーチャンバ1では、第1の面21全体が、平坦な平面部位であり、平面部位の内面にコンテナ内面表面積増大部40が形成されていたが、図8に示すように、第4実施形態例に係るベーパーチャンバ4では、コンテナ10が、平面部17と平面部17から外方向へ突出した突出部16を有し、突出部16の内面にコンテナ内面表面積増大部40が設けられている。ベーパーチャンバ4でも、コンテナ内面表面積増大部40は、第1のウィック構造体51によって被覆されている。
【0060】
ベーパーチャンバ4では、第1の面21は、平坦な平面部位62と平面部位62から外方向へ突出した突出部位61を有している。第1の面21が平面部位62と平面部位62から外方向へ突出した突出部位61を有していることで、コンテナ10が、平面部17と平面部17から外方向へ突出した突出部16を有している。コンテナ10の突出部16の内部空間は、平面部17の内部空間と連通しており、突出部16の内部空間と平面部17の内部空間とから、コンテナ10の空洞部13が形成されている。従って、作動流体は、突出部16の内部空間と平面部17の内部空間との間で流通可能となっている。
【0061】
コンテナ10の突出部16の外面には、被冷却体である発熱体100が熱的に接続され、コンテナ10の突出部16は、ベーパーチャンバ4の蒸発部として機能する。また、ベーパーチャンバ4でも、複数の凸部41、41、41・・・のうち、一部の凸部41には、第2の面22の内面32へ突起した突起部42が設けられている。突起部42は、例えば、凸部41と一体成型されている。突起部42は、凸部41の長手方向の一部領域に設けられている。突起部42の先端は、第2の面22の内面32に当接している。突起部42は、第2の面22に当接していることで、減圧処理されている空洞部13を維持する支持部材として機能する。
【0062】
ベーパーチャンバ4でも、コンテナ10の第1の面21の内面31に、凸部41を有するコンテナ内面表面積増大部40が形成されていることにより、液相の作動流体の蒸発表面積が増大化されて液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗を低減する。また、凸部41の表面に第1のウィック構造体51が設けられていることにより、液相の作動流体がコンテナ内面表面積増大部40に滞留して蒸発部における液相の作動流体のドライアウトを防止することができる。また、ベーパーチャンバ4では、蒸発部に突出部16が設けられているので、コンテナ内面表面積増大部40の設置空間を容易に確保でき、また、コンテナ10内面の蒸発部の表面積をさらに増大化することができる。
【0063】
次に、本発明の第5実施形態例に係るベーパーチャンバについて詳細を説明する。図9は、本発明の第5実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する正面断面図である。なお、第5実施形態例に係るベーパーチャンバは、第1~第4実施形態例に係るベーパーチャンバと主要な構成要素が共通しているので、第1~第4実施形態例に係るベーパーチャンバと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0064】
第2実施形態例に係るベーパーチャンバ2では、第1の面21全体が、平坦な平面部位であり、平面部位の内面にコンテナ内面表面積増大部40が形成されていたが、図9に示すように、第5実施形態例に係るベーパーチャンバ5では、コンテナ10が、平面部17と平面部17から外方向へ突出した突出部16を有し、突出部16の内面にコンテナ内面表面積増大部40が設けられている。ベーパーチャンバ5でも、コンテナ内面表面積増大部40は、第1のウィック構造体51によって被覆され、第1のウィック構造体51上に第2のウィック構造体52が設けられている。また、第2のウィック構造体52は、凸部41から第2の面22の内面32方向へ伸び、第2の面22の内面32に接している。
【0065】
ベーパーチャンバ5では、第1の面21は、平坦な平面部位62と平面部位62から外方向へ突出した突出部位61を有している。第1の面21が平面部位62と平面部位62から外方向へ突出した突出部位61を有していることで、コンテナ10が、平面部17と平面部17から外方向へ突出した突出部16を有している。コンテナ10の突出部16の内部空間は、平面部17の内部空間と連通しており、突出部16の内部空間と平面部17の内部空間とから、コンテナ10の空洞部13が形成されている。従って、作動流体は、突出部16の内部空間と平面部17の内部空間との間で流通可能となっている。
【0066】
コンテナ10の突出部16の外面には、被冷却体である発熱体100が熱的に接続され、コンテナ10の突出部16は、ベーパーチャンバ5の蒸発部として機能する。
【0067】
ベーパーチャンバ5でも、コンテナ10の第1の面21の内面31に、凸部41を有するコンテナ内面表面積増大部40が形成されていることにより、液相の作動流体の蒸発表面積が増大化されて液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗を低減する。また、凸部41の表面に第1のウィック構造体51が設けられていることにより、液相の作動流体がコンテナ内面表面積増大部40に滞留して蒸発部における液相の作動流体のドライアウトを防止することができる。特に、ベーパーチャンバ5でも、第2のウィック構造体52が第2の面22の内面32に接していることにより、液相の作動流体は、第1の面21に沿ってコンテナ内面表面積増大部40へ還流するだけでなく、第2の面22に沿ってもコンテナ内面表面積増大部40へ還流できるので、液相の作動流体の流路抵抗が低減して、液相の作動流体のコンテナ内面表面積増大部40への還流特性がさらに向上する。また、ベーパーチャンバ5では、蒸発部に突出部16が設けられているので、コンテナ内面表面積増大部40の設置空間を容易に確保でき、また、コンテナ10内面の蒸発部の表面積をさらに増大化することができる。
【0068】
次に、本発明の第6実施形態例に係るベーパーチャンバについて詳細を説明する。図10は、本発明の第6実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する正面断面図である。図11は、本発明の第6実施形態例に係るベーパーチャンバの内部構造の概要を説明する斜視図である。なお、第6実施形態例に係るベーパーチャンバは、第1~第5実施形態例に係るベーパーチャンバと主要な構成要素が共通しているので、第1~第5実施形態例に係るベーパーチャンバと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0069】
第5実施形態例に係るベーパーチャンバ5では、コンテナ内面表面積増大部40は、第1のウィック構造体51によって被覆され、第1のウィック構造体51上に第2のウィック構造体52が設けられ、第2のウィック構造体52は、凸部41から第2の面22の内面32方向へ伸び、第2の面22の内面32に接していた。これに代えて、図10に示すように、第6実施形態例に係るベーパーチャンバ6では、凸部41から第2の面22の内面32方向へ伸びる第2のウィック構造体52は、第2の面22の内面32に接しておらず、第2のウィック構造体52と第2の面22の内面32との間に、金属粉等の粉体の焼結体で形成された焼結体ブロック54が設けられている。ベーパーチャンバ6では、焼結体ブロック54は、第2のウィック構造体52上に載置された態様となっている。焼結体ブロック54は、第2のウィック構造体52の先端と接しており、また、第2の面22の内面32に接している。焼結体ブロック54は、第2のウィック構造体52及び第2の面22とは別体の、ブロック状の部材である。
【0070】
なお、ベーパーチャンバ6でも、コンテナ10が、平面部17と平面部17から外方向へ突出した突出部16を有し、突出部16の内面にコンテナ内面表面積増大部40が設けられている。
【0071】
第2のウィック構造体52の先端は第2の面22の内面32と対向しており、第2のウィック構造体52と第2の面22の内面32との間に焼結体ブロック54が設けられているので、第2のウィック構造体52は、焼結体ブロック54を介して第2の面22の内面32と接続されている。焼結体ブロック54は、多孔質構造を有するウィック部材であり、毛細管力を有している。従って、ベーパーチャンバ6では、第1のウィック構造体51と第2のウィック構造体52と焼結体ブロック54からなるウィック部材の積層構造を有している。
【0072】
焼結体ブロック54は、第1のウィック構造体51、第2のウィック構造体52及び/または第3のウィック構造体53と同じ構造を有するウィック部材でもよく、異なる構造を有するウィック部材でもよい。焼結体の原料である粉体として、焼結体ブロック54が第1のウィック構造体51、第2のウィック構造体52及び/または第3のウィック構造体53と同じ粉体である場合、焼結体ブロック54は、第1のウィック構造体51、第2のウィック構造体52及び/または第3のウィック構造体53と同じ構造を有する。
【0073】
また、突起部42が第2の面22に当接していることで減圧処理されている空洞部13を維持する支持部材として機能していることに代えて、図10に示すように、ベーパーチャンバ6では、焼結体ブロック54が厚さ方向に沿った支柱部55を有しており、支柱部55が、減圧処理されている空洞部13を維持する支持部材として機能している。
【0074】
図10、11に示すように、突出部16の内面に設けられたコンテナ内面表面積増大部40上には、複数の焼結体ブロック54、54、54・・・が並列配置されている。複数の焼結体ブロック54、54、54・・・は、それぞれ、所定の間隔をあけて配置されている。焼結体ブロック54が複数に分割されていることで、突出部16全体にわたって気相の作動流体が流通する蒸気流路15を確保することができる。また、それぞれの焼結体ブロック54は、複数の凸部41、41、41にわたって延在している。
【0075】
ベーパーチャンバ6では、第2のウィック構造体52と第2の面22の内面32との間に焼結体ブロック54が設けられていることで、蒸発部における液相の作動流体の貯留量が増大し、蒸発部への液相の作動流体の還流特性がさらに向上する。また、ベーパーチャンバ6では、蒸発部における液相の作動流体の貯留量が増大するので、蒸発部における液相の作動流体のドライアウトをより確実に防止することができる。また、ベーパーチャンバ6でも、コンテナ10の第1の面21の内面31に、凸部41を有するコンテナ内面表面積増大部40が形成されていることにより、液相の作動流体の蒸発表面積が増大化されて液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗を低減する。
【0076】
次に、本発明のベーパーチャンバの他の実施形態例について説明する。上記各実施形態例では、第2のウィック構造体は、第1のウィック構造体よりも毛細管力の小さいウィック構造体であったが、これに代えて、第1のウィック構造体と同等の毛細管力を有するウィック構造体でもよく、第1のウィック構造体よりも毛細管力の大きいウィック構造体でもよい。また、本発明のベーパーチャンバの他の実施形態例として、第2のウィック構造体に代えて、第1のウィック構造体が、凸部の先端から第2の面の内面方向へ伸び、第2の面の内面に接していてもよい。すなわち、第2のウィック構造体は、第1のウィック構造体と同じ構造を有するウィック構造体でもよい。第2のウィック構造体と第1のウィック構造体がいずれも粉体の焼結体である場合、原料である粉体として、第2のウィック構造体と第1のウィック構造体で同じ粉体、すなわち、第1の粉体と第2の粉体として同じ粉体が用いられる。上記態様では、コンテナ内面表面積増大部は、第1のウィック構造体を介して第2の面の内面と連接している。
【0077】
また、上記各実施形態例では、第3のウィック構造体は、第1のウィック構造体よりも毛細管力の小さいウィック構造体であったが、これに代えて、第1のウィック構造体と同等の毛細管力を有するウィック構造体でもよく、第1のウィック構造体よりも毛細管力の大きいウィック構造体でもよい。また、本発明のベーパーチャンバの他の実施形態例として、第3のウィック構造体に代えて、第1のウィック構造体が、第1の面の内面のコンテナ内面表面積増大部の形成されていない部位に設けられていてもよい。すなわち、第3のウィック構造体は、第1のウィック構造体と同じ構造を有するウィック構造体でもよい。第3のウィック構造体と第1のウィック構造体がいずれも粉体の焼結体である場合、原料である粉体として、第3のウィック構造体と第1のウィック構造体で同じ粉体、すなわち、第1の粉体と第3の粉体として同じ粉体が用いられる。
【0078】
また、本発明のベーパーチャンバの他の実施形態例として、第2のウィック構造体に代えて、第1のウィック構造体が、凸部の先端から第2の面の内面方向へ伸び、第2の面の内面に接し、第3のウィック構造体に代えて、第1のウィック構造体が、第1の面の内面のコンテナ内面表面積増大部の形成されていない部位に設けられていてもよい。すなわち、第2のウィック構造体と第3のウィック構造体は、第1のウィック構造体と同じ構造を有するウィック構造体でもよい。第1のウィック構造体と第2のウィック構造体と第3のウィック構造体がいずれも粉体の焼結体である場合、原料である粉体として、第1のウィック構造体と第2のウィック構造体と第3のウィック構造体で同じ粉体、すなわち、第1の粉体と第2の粉体と第3の粉体として同じ粉体が用いられる。
【0079】
また、上記各実施形態例では、コンテナの2つの主表面のうち、第1の主表面である第1の面にコンテナ内面表面積増大部が設けられていたが、コンテナの2つの主表面ともに、すなわち、第1の面だけではなく第2の主表面である第2の面にも、コンテナ内面表面積増大部が設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のベーパーチャンバは、液相の作動流体が気相へ相変化する際の熱抵抗を低減し、また、蒸発部における液相の作動流体のドライアウトを防止することで、優れた熱輸送特性を有するので、広汎な熱輸送分野で利用可能であり、例えば、狭小空間に搭載された高発熱体を冷却する分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0081】
1、2、3、4、5、6 ベーパーチャンバ
10 コンテナ
13 空洞部
15 蒸気流路
21 第1の面
22 第2の面
40 コンテナ内面表面積増大部
41 凸部
51 第1のウィック構造体
52 第2のウィック構造体
53 第3のウィック構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞部が内部に形成された、第1の面と前記第1の面に対向した第2の面を有するコンテナと、前記空洞部に封入された作動流体と、気相の前記作動流体が流通する、空洞部に設けられた蒸気流路と、を備え、
前記第1の面の内面に、凸部を有するコンテナ内面表面積増大部が形成され、前記凸部の表面に第1のウィック構造体が設けられ
前記第1の面の、前記コンテナ内面表面積増大部の外側に、第3のウィック構造体が設けられ、前記第3のウィック構造体が前記第1のウィック構造体と連接されているベーパーチャンバ。
【請求項2】
前記凸部の表面が、前記第1のウィック構造体で被覆されている請求項1に記載のベーパーチャンバ。
【請求項3】
前記第1の面の内面における複数の前記凸部の間へ、前記第1のウィック構造体が延在している請求項1または2に記載のベーパーチャンバ。
【請求項4】
前記凸部の表面に設けられている前記第1のウィック構造体上に、さらに、前記第1のウィック構造体とは異なる第2のウィック構造体が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項5】
前記第2のウィック構造体が、前記第1のウィック構造体よりも毛細管力が小さい請求項4に記載のベーパーチャンバ。
【請求項6】
前記第2のウィック構造体が、前記第2の面の内面に接している請求項4または5に記載のベーパーチャンバ。
【請求項7】
前記第1の面の内面における複数の前記凸部の間の前記第1のウィック構造体上に、さらに前記第2のウィック構造体が設けられている請求項4乃至6のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項8】
前記第1のウィック構造体が粉体の焼結体であり、前記第2のウィック構造体が粉体の焼結体である請求項4乃至7のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項9】
前記第1のウィック構造体の原料である第1の粉体の平均一次粒子径が、前記第2のウィック構造体の原料である第2の粉体の平均一次粒子径よりも小さい請求項8に記載のベーパーチャンバ。
【請求項10】
前記コンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みである請求項1乃至9のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項11】
前記第1の面全体が、平面部位であり、前記平面部位の内面に、前記コンテナ内面表面積増大部が形成されている請求項1乃至10のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項12】
前記第1の面が、平面部位と前記平面部位から外方向へ突出した突出部位を有することで、前記コンテナが、平面部と前記平面部から外方向へ突出した突出部を有し、前記突出部の内面に、前記コンテナ内面表面積増大部が形成されている請求項1乃至10のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。
【請求項13】
前記第1のウィック構造体と前記第2の面の間に、さらに、ブロック状のウィック部材が設けられている請求項1乃至12のいずれか1項に記載のベーパーチャンバ。