IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の特許一覧 ▶ 学校法人電子開発学園の特許一覧

特開2022-157474軽度不調スコア推定値算出システム、軽度不調スコア推定値の算出方法、プログラム、サーバ、被験者情報入力システム又は被験者情報入力票、及び、記録媒体
<>
  • 特開-軽度不調スコア推定値算出システム、軽度不調スコア推定値の算出方法、プログラム、サーバ、被験者情報入力システム又は被験者情報入力票、及び、記録媒体 図1
  • 特開-軽度不調スコア推定値算出システム、軽度不調スコア推定値の算出方法、プログラム、サーバ、被験者情報入力システム又は被験者情報入力票、及び、記録媒体 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157474
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】軽度不調スコア推定値算出システム、軽度不調スコア推定値の算出方法、プログラム、サーバ、被験者情報入力システム又は被験者情報入力票、及び、記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20221006BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061725
(22)【出願日】2021-03-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願」
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】510060844
【氏名又は名称】学校法人電子開発学園
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】河合 崇行
(72)【発明者】
【氏名】山本 万里
(72)【発明者】
【氏名】西平 順
(72)【発明者】
【氏名】勝山 豊代
(72)【発明者】
【氏名】上島 希実
(72)【発明者】
【氏名】服部 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直仁
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】心身不調に関する主観的な回答に基づき、客観的に軽度不調を推定する軽度不調スコア推定値算出システム、軽度不調スコア推定値の算出方法、プログラム、サーバ、被験者情報入力システム又は被験者情報入力票及び記録媒体を提供する。
【解決手段】軽度不調スコア推定値算出システムは、複数人から予め得た食事情報、属性情報及び軽度不調スコアの回帰分析結果を用いて、被験者の食事情報及び属性情報から被験者の軽度不調スコア推定値を算出する軽度不調スコア推定値算出手段を有する。食事情報は、食嗜好に関わる評定値及び食習慣に関わる評定値からなる群より選択される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトが主観的に感ずる軽度な心身不調(以下、軽度不調という。)の程度を示す軽度不調スコアを被験者について推定した軽度不調スコア推定値を算出する軽度不調スコア推定値算出システムであって、
複数人から予め得た食事情報、属性情報、及び軽度不調スコアの回帰分析結果を用いて、前記被験者の食事情報及び属性情報から前記被験者の軽度不調スコア推定値を算出する軽度不調スコア推定値算出手段を有し、
前記食事情報は、食嗜好に関わる評定値、及び食習慣に関わる評定値からなる群より選択される少なくとも1つを含む、軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項2】
前記食嗜好に関わる評定値は、下記(i)~(vi)からなる群より選択される少なくとも1つに関わる評定値を含む、請求項1に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
(i)野菜好き
(ii)果物好き
(iii)酒・生もの好き
(iv)乳製品・お菓子好き
(v)肉好き・油好き
(vi)漬物・塩分好き
【請求項3】
前記食嗜好に関わる評定値は、食物摂取頻度に関する質問に対する回答に対する因子分析により抽出される、「野菜好き」因子、「果物好き」因子、「酒・生もの好き」因子、「乳製品・お菓子好き」因子、「肉好き・油好き」因子、及び「漬物・塩分好き」因子からなる群より選択される少なくとも1つの因子について点数化した値を含む、請求項1又は2に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項4】
前記食習慣に関わる評定値は、お酒を飲む頻度、1日当りの米飯摂取量、1日当りのみそ汁摂取量、朝食を食べる頻度、外食の頻度、インスタント食品を食べる頻度、油をつかった「炒め物」を食べる頻度、油をつかった「揚げ物」を食べる頻度、肉のあぶら身を食べる量、ラーメン・うどん・そばの汁を飲む量、食卓で料理に塩をふる習慣、食卓で料理にしょうゆをかける習慣、便通頻度、便秘がちの有無、食べる速さ、固いものの食べにくさ、お茶や汁物でむせる頻度、口の渇き、左右の奥歯でのかみしめ可否、食べ方や食事の問題の有無、定期的な健康食品の摂取の有無、及び、同居人の有無からなる群より選択される少なくとも1つについての質問に対する回答を点数化した値を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項5】
前記軽度不調スコア及び前記軽度不調スコア推定値は、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴からなる群より選択される少なくとも1つについての算出値を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項6】
前記軽度不調スコア推定値は、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴からなる群より選択される少なくとも3つについての算出値がレーダーチャートに表されるものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項7】
前記軽度不調スコアは、ストレスによっておこる心身の反応について点数化したものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項8】
前記軽度不調スコアは、ストレスによっておこる心身の反応に関する複数の質問に対する回答を前記心身の反応の程度に応じて点数で表し、前記複数の質問を活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴からなる群より選択される少なくとも1つの項目に分類し、前記項目について前記点数を集計した値である、請求項1~7のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項9】
前記ストレスによっておこる心身の反応に関する複数の質問は、職業性ストレス簡易調査票における質問の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項10】
前記複数人から得た前記属性情報、及び前記被験者の前記属性情報は、性別、及び年齢を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項11】
前記軽度不調スコア推定値算出手段は、前記複数人から予め得た前記食事情報及び前記属性情報を説明変数とし、前記複数人から予め得た前記軽度不調スコアを目的変数とする回帰式に、前記被験者の食事情報及び属性情報を入力することにより、前記被験者の軽度不調スコア推定値を算出するものである、請求項1~10のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項12】
前記軽度不調スコア推定値に基づき、前記被験者の軽度不調に関する説明、前記被験者の軽度不調を予防又は改善するためのアドバイスからなる群より選択される少なくとも1つを提供する手段をさらに有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項13】
前記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段をさらに有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項14】
前記軽度不調スコア推定値を出力する出力手段をさらに有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項15】
ユーザー端末とサーバとがネットワークを介して接続されデータを送受信するシステムにおいて、
A)前記ユーザー端末は、
前記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
前記被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段と、
前記軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段と、
受信した軽度不調スコア推定値を出力する手段と、
を備え、
B)前記サーバは、
前記被験者の食事情報及び属性情報を前記ユーザー端末から受信する手段と、
前記軽度不調スコア推定値算出手段と、
前記軽度不調スコア推定値を前記ユーザー端末に送信する手段と、
を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項16】
第1ユーザー端末とサーバと第2ユーザー端末とがネットワークを介して接続されデータを送受信するシステムにおいて、
A)前記第1ユーザー端末は、
前記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
前記被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段と、
を備え、
B)前記サーバは、
前記被験者の食事情報及び属性情報を前記第1ユーザー端末から受信する手段と、
前記軽度不調スコア推定値算出手段と、
前記軽度不調スコア推定値を前記第2ユーザー端末に送信する手段と、
を備え、
C)前記第2ユーザー端末は、
前記軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段と、
受信した軽度不調スコア推定値を出力する手段と、
を備え、
前記第1ユーザー端末は、1つ又は複数であり、前記第2ユーザー端末は、1つ又は複数である、請求項1~14のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システムによる、軽度不調スコア推定値の算出方法。
【請求項18】
コンピュータを請求項1~16のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システムにおける前記手段として機能させるためのプログラム。
【請求項19】
軽度不調の程度を示す軽度不調スコアを被験者について推定した軽度不調スコア推定値を算出するためのサーバであって、
ユーザー端末とネットワークを介して接続されるサーバであり、
前記ユーザー端末から送信される被験者の食事情報及び属性情報を前記ユーザー端末から受信する手段と、
前記被験者の食事情報及び属性情報を記憶する記憶手段と、
複数人から予め得た食事情報、属性情報、及び軽度不調スコアの回帰分析結果を用いて、前記被験者の食事情報及び属性情報から前記被験者の軽度不調スコア推定値を算出する軽度不調スコア推定値算出手段と、
前記軽度不調スコア推定値を前記ユーザー端末に送信する手段と、
を備える、サーバ。
【請求項20】
請求項1~16のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システムにおける前記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段を有する、被験者情報入力システム、又は前記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させるための被験者情報入力票。
【請求項21】
ユーザー端末を、
a)請求項1~16のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システムにおける前記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
前記被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段と、
前記軽度不調スコア推定値算出システムにより算出された軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段と、
受信した前記軽度不調スコア推定値を出力する手段と
して機能させるためのプログラム、
b)前記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
前記被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段と、
して機能させるためのプログラム、又は、
c)前記軽度不調スコア推定値算出システムにより算出された軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段と、
受信した前記軽度不調スコア推定値を出力する手段と
して機能させるためのプログラム。
【請求項22】
請求項18又は21に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽度不調スコア推定値算出システム、軽度不調スコア推定値の算出方法、プログラム、サーバ、被験者情報入力システム又は被験者情報入力票、及び、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、睡眠負債、ストレス過多等心身不調を原因とする、就業時の労働生産性の低下(プレゼンティーイズム)や経済損失が起きることが問題視されている。一方、心身不調がなく幸福度が高い労働者は生産性や創造性が高いことが明らかになっており、個々の生産性を向上させて経済損失を減らすために、心身不調を改善し、活力ある健康長寿社会を形成していくことが喫緊の課題となっている。
【0003】
個人が主観的に感ずる軽度な心身不調(以下、「軽度不調」ともいう。)の多くは、血液検査や画像診断などの一般的な客観的指標で測ることは難しく、被験者本人の心身不調に関する主観的な回答に基づく質問紙法により評価されることが多い。現在までに、対象とする心身不調の種類や被験者の種類等に応じ、様々な質問紙が開発されており、例えば、職業性ストレス簡易調査票(非特許文献1)等がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】職業性ストレス簡易調査票(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000050920.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、心身不調に関する主観的な回答に基づく質問紙法においては、回答者本人が意図的に実際よりも心身不調を重く見せる、あるいは意図的に実際よりも心身不調を軽く見せる操作を行う場合があり、しばしば心身不調の正しい評価が困難になるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、心身不調に関する主観的な回答に基づく従来の質問紙法に代わる、客観的に軽度不調を推定することができる簡便なシステム、方法、プログラム、サーバ、被験者情報入力システム又は被験者情報入力票、及び、記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、誰しもが日常的行動として行う食事が軽度不調と相関し得ることを見出し、更に、被験者の食事情報を用いて、ヒトが主観的に感ずる軽度な心身不調(以下、軽度不調ともいう。)の程度を示す軽度不調スコアを被験者について推定した軽度不調スコア推定値を算出できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下を提供する。
【0008】
[1] ヒトが主観的に感ずる軽度不調の程度を示す軽度不調スコアを被験者について推定した軽度不調スコア推定値を算出する軽度不調スコア推定値算出システムであって、
複数人から予め得た食事情報、属性情報、及び軽度不調スコアの回帰分析結果を用いて、上記被験者の食事情報及び属性情報から上記被験者の軽度不調スコア推定値を算出する軽度不調スコア推定値算出手段を有し、
上記食事情報は、食嗜好に関わる評定値、及び食習慣に関わる評定値からなる群より選択される少なくとも1つを含む、軽度不調スコア推定値算出システム。
【0009】
[2] 上記食嗜好に関わる評定値は、下記(i)~(vi)からなる群より選択される少なくとも1つに関わる評定値を含む、上記[1]に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
(i)野菜好き
(ii)果物好き
(iii)酒・生もの好き
(iv)乳製品・お菓子好き
(v)肉好き・油好き
(vi)漬物・塩分好き
【0010】
[3] 上記食嗜好に関わる評定値は、食物摂取頻度に関する質問に対する回答に対する因子分析により抽出される、「野菜好き」因子、「果物好き」因子、「酒・生もの好き」因子、「乳製品・お菓子好き」因子、「肉好き・油好き」因子、及び「漬物・塩分好き」因子からなる群より選択される少なくとも1つの因子について点数化した値を含む、上記[1]又は[2]に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【0011】
[4] 上記食習慣に関わる評定値は、お酒を飲む頻度、1日当りの米飯摂取量、1日当りのみそ汁摂取量、朝食を食べる頻度、外食の頻度、インスタント食品を食べる頻度、油をつかった「炒め物」を食べる頻度、油をつかった「揚げ物」を食べる頻度、肉のあぶら身を食べる量、ラーメン・うどん・そばの汁を飲む量、食卓で料理に塩をふる習慣、食卓で料理にしょうゆをかける習慣、便通頻度、便秘がちの有無、食べる速さ、固いものの食べにくさ、お茶や汁物でむせる頻度、口の渇き、左右の奥歯でのかみしめ可否、食べ方や食事の問題の有無、定期的な健康食品の摂取の有無、及び、同居人の有無からなる群より選択される少なくとも1つについての質問に対する回答を点数化した値を含む、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【0012】
[5] 上記軽度不調スコア及び上記軽度不調スコア推定値は、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴からなる群より選択される少なくとも1つについての算出値を含む、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
[6] 上記軽度不調スコア推定値は、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴からなる群より選択される少なくとも3つについての算出値がレーダーチャートに表されるものである、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【0013】
[7] 上記軽度不調スコアは、ストレスによっておこる心身の反応について点数化したものである、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
[8] 上記軽度不調スコアは、ストレスによっておこる心身の反応に関する複数の質問に対する回答を上記心身の反応の程度に応じて点数で表し、上記複数の質問を活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴からなる群より選択される少なくとも1つの項目に分類し、上記項目について上記点数を集計した値である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
[9] 上記ストレスによっておこる心身の反応に関する複数の質問は、職業性ストレス簡易調査票における質問の少なくとも1つを含む、上記[8]に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【0014】
[10] 上記複数人から得た上記属性情報、及び上記被験者の上記属性情報は、性別、及び年齢を含む、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【0015】
[11] 上記軽度不調スコア推定値算出手段は、上記複数人から予め得た上記食事情報及び上記属性情報を説明変数とし、上記複数人から予め得た上記軽度不調スコアを目的変数とする回帰式に、上記被験者の食事情報及び属性情報を入力することにより、上記被験者の軽度不調スコア推定値を算出するものである、上記[1]~[10]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【0016】
[12] 上記軽度不調スコア推定値に基づき、上記被験者の軽度不調に関する説明、上記被験者の軽度不調を予防又は改善するためのアドバイスからなる群より選択される少なくとも1つを提供する手段をさらに有する、上記[1]~[11]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【0017】
[13] 上記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段をさらに有する、上記[1]~[12]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
[14] 上記軽度不調スコア推定値を出力する出力手段をさらに有する、上記[1]~[13]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【0018】
[15] ユーザー端末とサーバとがネットワークを介して接続されデータを送受信するシステムにおいて、
A)上記ユーザー端末は、
上記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
上記被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段と、
上記軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段と、
受信した軽度不調スコア推定値を出力する手段と、
を備え、
B)上記サーバは、
上記被験者の食事情報及び属性情報を上記ユーザー端末から受信する手段と、
上記軽度不調スコア推定値算出手段と、
上記軽度不調スコア推定値を上記ユーザー端末に送信する手段と、
を備える、上記[1]~[14]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【0019】
[16] 第1ユーザー端末とサーバと第2ユーザー端末とがネットワークを介して接続されデータを送受信するシステムにおいて、
A)上記第1ユーザー端末は、
上記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
上記被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段と、
を備え、
B)上記サーバは、
上記被験者の食事情報及び属性情報を上記第1ユーザー端末から受信する手段と、
上記軽度不調スコア推定値算出手段と、
上記軽度不調スコア推定値を上記第2ユーザー端末に送信する手段と、
を備え、
C)上記第2ユーザー端末は、
上記軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段と、
受信した軽度不調スコア推定値を出力する手段と、
を備え、
上記第1ユーザー端末は、1つ又は複数であり、上記第2ユーザー端末は、1つ又は複数である、上記[1]~[14]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システム。
【0020】
[17] 上記[1]~[16]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システムによる、軽度不調スコア推定値の算出方法。
[18] コンピュータを上記[1]~[16]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システムにおける上記手段として機能させるためのプログラム。
【0021】
[19] 軽度不調の程度を示す軽度不調スコアを被験者について推定した軽度不調スコア推定値を算出するためのサーバであって、
ユーザー端末とネットワークを介して接続されるサーバであり、
上記ユーザー端末から送信される被験者の食事情報及び属性情報を上記ユーザー端末から受信する手段と、
上記被験者の食事情報及び属性情報を記憶する記憶手段と、
複数人から予め得た食事情報、属性情報、及び軽度不調スコアの回帰分析結果を用いて、上記被験者の食事情報及び属性情報から上記被験者の軽度不調スコア推定値を算出する軽度不調スコア推定値算出手段と、
上記軽度不調スコア推定値を上記ユーザー端末に送信する手段と、
を備える、サーバ。
【0022】
[20] 上記[1]~[16]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システムにおける上記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段を有する、被験者情報入力システム、又は上記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させるための被験者情報入力票。
【0023】
[21] ユーザー端末を、
a)上記[1]~[16]のいずれか一項に記載の軽度不調スコア推定値算出システムにおける上記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
上記被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段と、
上記軽度不調スコア推定値算出システムにより算出された軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段と、
受信した上記軽度不調スコア推定値を出力する手段と
して機能させるためのプログラム、
b)上記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
上記被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段と、
して機能させるためのプログラム、又は、
c)上記軽度不調スコア推定値算出システムにより算出された軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段と、
受信した上記軽度不調スコア推定値を出力する手段と
して機能させるためのプログラム。
【0024】
[22] 上記[18]又は[21]に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、心身不調に関する主観的な回答に基づく従来の質問紙法に代わる、客観的に軽度不調を推定することができる簡便なシステム、方法、プログラム、サーバ、被験者情報入力システム又は被験者情報入力票、及び、記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施例1におけるレーダーチャートの例を含む実施態様の例を示す模式図である。
図2】実施例2において作成した重回帰式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0028】
本実施形態に係る軽度不調スコア推定値算出システムは、その一態様として、ユーザー端末とサーバとがネットワークを介して接続されデータを送受信するシステムにおいて、複数人から予め得た食事情報、属性情報、及び軽度不調スコアの回帰分析結果を用いて、被験者の食事情報及び属性情報から該被験者の軽度不調スコア推定値の算出を行うサーバ(サーバ装置)と、被験者の食事情報及び属性情報(本明細書において、これらの被験者の情報を「被験者情報」ともいう。)の入力ないし受け付けや、該被験者情報のサーバへの送信等を行う第1ユーザー端末と、サーバで算出された軽度不調スコア推定値のサーバからの受信や、受信した軽度不調スコア推定値の画面表示や音声等による出力などを行う第2ユーザー端末とを含む構成を有する。
【0029】
かかる態様としては、具体的には、第1ユーザー端末とサーバと第2ユーザー端末とがネットワークを介して接続されデータを送受信するシステムにおいて、
A)第1ユーザー端末は、
被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段(「被験者情報送信手段」ともいう。)と、
を少なくとも備え、
B)サーバは、
被験者の食事情報及び属性情報を第1ユーザー端末から受信する手段(「被験者情報受信手段」ともいう。)と、
軽度不調スコア推定値算出手段と、
軽度不調スコア推定値を第2ユーザー端末に送信する手段(「軽度不調スコア推定値送信手段」ともいう。)と、
を少なくとも備え、
C)第2ユーザー端末は、
軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段(「軽度不調スコア推定値受信手段」ともいう。)と、
受信した軽度不調スコア推定値を出力する手段(「軽度不調スコア推定値出力手段」ともいう。)と、
を少なくとも備え、
第1ユーザー端末は、1つ又は複数であり、第2ユーザー端末は、1つ又は複数であることが好ましい。
【0030】
複数人から予め得た食事情報、属性情報、及び軽度不調スコア、並びにこれらの回帰分析結果は、サーバの記憶部に記憶されていてもよいし、サーバからアクセス可能な外部のデータベースに記憶されていてもよい。また、被験者情報及び/又は軽度不調スコア推定値をサーバの記憶部及び/又はサーバからアクセス可能な外部のデータベースに記憶させる態様であってもよい。
【0031】
サーバとしては、CPUなどの演算装置、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの補助記憶装置、ネットワークへの接続手段を含む種々の入出力装置等を備えた、サーバ機器などの一般的なコンピュータ装置を利用することができる。より詳細には、補助記憶装置に予め、あるいは記録媒体からの複製などによって、軽度不調スコア推定値算出システムにおける各手段としてサーバを機能ないし動作させるためのプログラムを格納しておき、それらのプログラムを主記憶装置上に展開して演算装置による演算を行い、入出力手段の制御などを行うことで、コンピュータを本発明の軽度不調スコア推定値算出システムにおけるサーバとして利用することができる。単一のコンピュータによってサーバを実現する態様であってもよいし、サーバの備える各手段と、記憶部を別個のコンピュータによって実現する、といったように、複数のコンピュータによってサーバを実現するような構成としてもよい。
【0032】
ユーザー端末としては、演算装置、主記憶装置、補助記憶装置、ネットワークへの接続手段や、入力手段及び/又は出力手段を含む種々の入出力装置等を備えた、一般的なコンピュータを利用することができ、例えば、スマートフォン、コンピュータ(パソコン)、インターネット端末、ウェアラブルデバイスなどの通信可能な端末を用いてもよい。入力手段は、文字及び/又は音声による入力や他の入力を受け付けることができるような構成としてもよいし、出力手段についても、音声による出力やディスプレイ表示による出力、それらを複合しての出力など、任意の方法で出力が可能な構成であればよい。
【0033】
第1ユーザー端末は被験者1人あたり1つ(単一)であってもよいし、複数あってもよい。前者の1つである場合は、被験者本人又は代理の者等が被験者情報を入力する場合が想定される。後者の複数ある場合は、例えば、被験者本人がその属性情報を入力し、他の者が食事情報を入力する場合、また、被験者本人が食事情報を入力し、他の者が被験者情報を入力する場合等が想定される。被験者が複数存在する場合は、各被験者ごとに、上記のように1つ又は複数の第1ユーザー端末が存在してよい。
【0034】
第2ユーザー端末も、被験者1人あたり1つ(単一)であってもよいし、複数あってもよい。前者の1つである場合は、被験者本人又は代理の者等の他者が画面表示や音声等による出力により軽度不調スコア推定値を知る場合が想定される。後者の複数ある場合は、例えば、被験者本人及び/又は他者が画面表示や音声等による出力により軽度不調スコア推定値を知る場合が想定される。他者としては、特に限定されず、例えば、被験者の家族(親、保護者、子等)、被験者の職場関係者、健康診断関連機関等が考えられる。
【0035】
入力するユーザー端末とは異なるユーザー端末で出力を行う態様としては、例えば、被験者本人が入力し、被験者本人及び/又は他者が軽度不調スコア推定値を知る場合があり、例えば、被験者として親(又は子)が入力し、他者として遠隔地や非同居の子(又は親)が推定値を知る場合(後述の見守りサービス等)、また、被験者として社員が入力し、他者として健康診断機関や会社側等の職場関係者が軽度不調スコア推定値を知る場合等が想定される。
【0036】
第1ユーザー端末とサーバと第2ユーザー端末とが同一の端末である態様であってもよく、かかる態様としては、例えば、被験者情報を入力する者と、算出された軽度不調スコア推定値を知る者とが同一人である場合等が想定される。 かかる態様としては、具体的には、
A)ユーザー端末は、
被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段と、
軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段と、
受信した軽度不調スコア推定値を出力する手段と、
を少なくとも備え、
B)サーバは、
被験者の食事情報及び属性情報をユーザー端末から受信する手段と、
軽度不調スコア推定値算出手段と、
軽度不調スコア推定値を上記ユーザー端末に送信する手段と、
を少なくとも備えることが好ましい。
【0037】
また、ネットワークを介することなく、単一のコンピュータとその端末(ユーザー端末)とを用いて本発明の軽度不調スコア推定値算出システムを機能させる態様であってもよい。この態様としては、例えば、コンピュータの補助記憶装置に予め、あるいは記録媒体からの複製などによって、軽度不調スコア推定値算出システムにおける各手段として該コンピュータを機能ないし動作させるためのプログラムを格納しておき、それらのプログラムを主記憶装置上に展開して演算装置による演算を行い、入出力手段の制御などを行うことで、単一のコンピュータを本発明の軽度不調スコア推定値算出システムにおけるサーバとして利用することができる。
【0038】
本発明の第一の態様は、軽度不調の程度を示す軽度不調スコアを被験者について推定した軽度不調スコア推定値を算出する軽度不調スコア推定値算出システムであって、
複数人から予め得た食事情報、属性情報、及び軽度不調スコアの回帰分析結果を用いて、上記被験者の食事情報及び属性情報から上記被験者の軽度不調スコア推定値を算出する軽度不調スコア推定値算出手段を有し、
上記食事情報は、食嗜好に関わる評定値、及び食習慣に関わる評定値からなる群より選択される少なくとも1つを含むものである。
【0039】
軽度不調スコア推定値算出手段は、好ましくは、下記の手順により構築し、機能させることができる。
(1)予め複数人より、各人の属性情報、食事情報及び軽度不調スコアを収集する。
(2)収集したこれらの情報と軽度不調スコアとの回帰分析結果を得る。具体的には、回帰式を作成する。
(3)被験者より、属性情報及び食事情報を収集する。
(4)上記回帰分析結果ないし回帰式を用いて、被験者より収集した情報から軽度不調スコア推定値を算出する。
軽度不調スコア推定値算出手段について、以下に詳述する。
【0040】
予め複数人より得る属性情報、及び食事情報と、被験者から得る属性情報、及び食事情報とは、前者の複数人の情報の回帰分析結果を用いて後者の被験者の情報から被験者の軽度不調スコア算出値を得る点で、予め複数人から得る情報と被験者の情報とが同じ項目の情報であることが好ましい。
【0041】
複数人から得た属性情報、及び被験者の属性情報としては、上記のとおり、予め複数人から得る情報と被験者の情報とが同じ項目の情報であることが好ましく、両者とも少なくとも性別、及び年齢を含むことが好ましい。
【0042】
食嗜好に関わる評定値を用いる場合、食嗜好に関わる評定値は、下記(i)~(vi)からなる群より選択される少なくとも1つに関わる評定値を含むことが好ましく、軽度不調スコア推定値の精度を高める点で、下記(i)~(vi)の全ての評定値を含むことがより好ましい。
(i)野菜好き
(ii)果物好き
(iii)酒・生もの好き
(iv)乳製品・お菓子好き
(v)肉好き・油好き
(vi)漬物・塩分好き
【0043】
食嗜好に関わる評定値は、例えば、食物摂取頻度に関する質問に対する回答に対する因子分析により抽出されるものであってよい。この質問としては、特に限定されず、例えば、質問紙「食物摂取頻度調査」(https://www.kyoikusw.co.jp/food-frequency-method/#FFQ-3)や、他の公知の質問紙を用いることができる。質問紙ないし質問票を用いた軽度不調の評価は、特殊な装置を必要としない、比較的短時間で取り組める、簡便である等の利点を有する。また、公知の技術(例えば、特許第6745962号参照)を用い、食事写真から推定される値を用いることもできる。
【0044】
食嗜好に関わる評定値は、上記(i)~(vi)の何れを選択するかに応じて、対応する各因子、具体的には、「野菜好き」因子、「果物好き」因子、「酒・生もの好き」因子、「乳製品・お菓子好き」因子、「肉好き・油好き」因子、及び「漬物・塩分好き」因子からなる群より選択される少なくとも1つの因子について点数化した値を含むものであってよい。これらの各因子は、例えば、上記質問紙「食物摂取頻度調査」を用いる場合、例えば、後述の実施例1のように、該質問紙に対する回答に基づいて各因子に分類し、点数化することができる。
【0045】
食習慣に関わる評定値を用いる場合、食習慣に関わる評定値は、例えば、お酒を飲む頻度、1日当りの米飯摂取量、1日当りのみそ汁摂取量、朝食を食べる頻度、外食の頻度、インスタント食品を食べる頻度、油をつかった「炒め物」を食べる頻度、油をつかった「揚げ物」を食べる頻度、肉のあぶら身を食べる量、ラーメン・うどん・そばの汁を飲む量、食卓で料理に塩をふる習慣、食卓で料理にしょうゆをかける習慣、便通頻度、便秘がちの有無、食べる速さ、固いものの食べにくさ、お茶や汁物でむせる頻度、口の渇き、左右の奥歯でのかみしめ可否、食べ方や食事の問題の有無、定期的な健康食品の摂取の有無、及び、同居人の有無からなる群より選択される少なくとも1つについての質問に対する回答を点数化した値を含むことが好ましく、軽度不調スコア推定値の精度を高める点で、これらの全てについての質問に対する回答を点数化した値を含むことがより好ましい。これらの各頻度や摂取量等は、例えば、上記質問紙「食物摂取頻度調査」を用いる場合、例えば、後述の実施例1のように、該質問紙に対する回答に基づいて点数化することができる。
【0046】
本明細書において、上記のとおり、ヒトが主観的に感ずる軽度な心身不調を「軽度不調」という。また、本明細書において、「軽度不調スコア」は、軽度不調の程度を示す評点ないしスコアをいい、例えば、後述の実施例1のように点数化したものである。また、本明細書において、被験者について軽度不調スコアを推定したものを「軽度不調スコア推定値」といい、具体的には、上述の回帰分析結果ないし軽度不調スコア推定値算出手段を用いて、被験者の食事情報及び属性情報から算出することができる。
【0047】
軽度不調スコア及び軽度不調スコア推定値は、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴からなる群より選択される少なくとも1つについての算出値を含むことが好ましく、軽度不調スコア推定値の精度を高める点で、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴からなる群より選択される少なくとも3つについての算出値を含むことがより好ましく、これらの全てについての算出値を含むことが更に好ましく、また、例えば後述の実施例2のように、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴からなる群より選択される少なくとも1つに加えて、ウトウト、及び/又は、不眠についての算出値をも含むものであってもよい。
【0048】
軽度不調スコアの収集においては、例えば、公知の質問紙を用いることができる。
軽度不調スコアとしては、ストレスによっておこる心身の反応について点数化したものが好ましく、その場合、具体的には、ストレスによっておこる心身の反応に関する複数の質問に対する回答を心身の反応の程度に応じて点数で表し、該複数の質問を活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴からなる群より選択される少なくとも1つの項目に分類し、該項目について上記点数を集計した値であることが好ましい。
【0049】
上記ストレスによっておこる心身の反応に関する複数の質問は、例えば、公知の質問紙を用いることができるが、なかでも、「職業性ストレス簡易調査票」(上述の非特許文献1)における質問の少なくとも1つを含むことが好ましく、例えば、該「職業性ストレス簡易調査票」を用いる場合、例えば、後述の実施例1のように、該質問紙に対する回答に基づいて点数化することができる。
【0050】
軽度不調スコア推定値算出手段は、上述のとおり、複数人から予め得た食事情報、属性情報、及び軽度不調スコアの回帰分析結果を用いるが、具体的には、複数人から予め得た食事情報及び属性情報を説明変数とし、複数人から予め得た軽度不調スコアを目的変数とする回帰式に、被験者の食事情報及び属性情報を入力することにより、被験者の軽度不調スコア推定値を算出するものであることが好ましい。
【0051】
軽度不調スコア推定値算出システムは、軽度不調スコア推定値に基づき、被験者の軽度不調に関する説明、被験者の軽度不調を予防又は改善するためのアドバイスからなる群より選択される少なくとも1つを提供する手段をさらに有するものであってもよい。
【0052】
軽度不調スコア推定値算出システムは、被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段をさらに有するものであってもよいし、軽度不調スコア推定値を出力する出力手段をさらに有するものであってもよい。
【0053】
軽度不調スコア推定値の出力は、例えば、レーダーチャートに表されるものであってよく、具体的には、軽度不調スコア推定値が、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴からなる群より選択される少なくとも3つについての算出値がレーダーチャートに表されるものであってよく、活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴の6つについての算出値がレーダーチャートに表されるものがより好ましい。かかる軽度不調スコア推定値の出力は、出力手段をサーバが備える場合、及び、ユーザー端末が備える場合の何れにも適用可能である。
【0054】
本発明の第二の態様は、上述の軽度不調スコア推定値算出システムによる、軽度不調スコア推定値の算出方法である。該算出方法は、上述の軽度不調スコア推定値算出システムを用いることにより、心身不調に関する主観的な回答に基づく従来の質問紙を用いなくても、被験者の軽度不調を簡便且つ客観的に推定することができる。
【0055】
本発明の第三の態様は、コンピュータを上述の軽度不調スコア推定値算出システムにおける上記手段として機能させるためのプログラムである。該プログラムにより機能させる上記手段としては、少なくとも上述の軽度不調スコア推定値算出手段を含むことが好ましく、更に、上述した、被験者情報入力手段、被験者情報送信手段、被験者情報受信手段、記憶手段、軽度不調スコア推定値送信手段、軽度不調スコア推定値受信手段、及び、軽度不調スコア推定値出力手段からなる群より選択される少なくとも1つを含むものであってもよい。また、例えば上述の態様のように、ユーザー端末をこれらの手段の少なくとも1つとして機能させるためのプログラムであってもよく、かかるプログラムは、具体的には後述の本発明の第六の態様のプログラムであってよい。
【0056】
本発明の第四の態様は、ヒトが主観的に感ずる軽度な心身不調(軽度不調)の程度を示す軽度不調スコアを被験者について推定した軽度不調スコア推定値を算出するためのサーバであって、
ユーザー端末とネットワークを介して接続されるサーバであり、
ユーザー端末から送信される被験者の食事情報及び属性情報をユーザー端末から受信する手段と、
被験者の食事情報及び属性情報を記憶する記憶手段と、
複数人から予め得た食事情報、属性情報、及び軽度不調スコアの回帰分析結果を用いて、被験者の食事情報及び属性情報から被験者の軽度不調スコア推定値を算出する軽度不調スコア推定値算出手段と、
軽度不調スコア推定値をユーザー端末に送信する手段と、
を備える、サーバである。該サーバとしては、例えば、上述のサーバが好適である。
【0057】
本発明の第五の態様は、上述の軽度不調スコア推定値算出システムにおける被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段を有する、被験者情報入力システム、又は、被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させるための被験者情報入力票である。該被験者情報入力システムは、例えば、ユーザー端末におけるものであってよく、また、ネットワークを介することなく単一のコンピュータとその端末(ユーザー端末)とを用いる態様においては該コンピュータの端末におけるものであってよい。また、被験者情報入力票としては、例えば、上述の質問紙であってよく、具体的には、例えば、上述の質問紙「食物摂取頻度調査」や、他の公知の質問紙等であってよい。質問票ないし質問紙を用いた軽度不調の評価は、特殊な装置を必要としない、比較的短時間で取り組める、簡便である等の利点を有する。
【0058】
本発明の第六の態様は、ユーザー端末を、
a)上述の軽度不調スコア推定値算出システムにおける被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段と、
軽度不調スコア推定値算出システムにより算出された軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段と、
受信した上記軽度不調スコア推定値を出力する手段と
して機能させるためのプログラム、
b)上記被験者の食事情報及び属性情報を入力又は選択させる被験者情報入力手段と、
上記被験者の食事情報及び属性情報をサーバに送信する手段と、
して機能させるためのプログラム、又は、
c)上記軽度不調スコア推定値算出システムにより算出された軽度不調スコア推定値をサーバから受信する手段と、
受信した上記軽度不調スコア推定値を出力する手段と
して機能させるためのプログラムである。
【0059】
上記a)は、第1ユーザー端末とサーバと第2ユーザー端末とが同一の端末である態様に好適なプログラムである。上記b)及びc)は、第1ユーザー端末とサーバと第2ユーザー端末とが異なる端末である態様に好適なプログラムであり、具体的には、b)は、第1ユーザー端末用に好適であり、c)は、第2ユーザー端末用に好適である。上記a)~c)のプログラムは、例えば、スマートフォン、ウェアラブルデバイスのユーザー端末に用いられるアプリケーション(アプリ)を機能させるためのプログラムであってもよい。
【0060】
本発明の第七の態様は、上述のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0061】
本発明では、軽度不調(心身不調)に関する被験者の主観的な回答に基づく従来の質問紙法とは異なり、被験者(回答者)が得られる評価値に対する影響を想定した上で意図的な操作を行うことが容易ではない情報である被験者属性情報及び食事情報を用いて軽度不調スコアを推定することができ、軽度不調(心身不調)に関する被験者の自己評価そのものを課さないことにも利点がある。
【0062】
本発明は、一般的に軽度不調に関する自己評価に基づく軽度不調の評価を正しく行うことが期待される場合にも適用可能であるが、本発明を用いることで、被験者の意図的な操作を含まない軽度不調スコア推定値が得られ、その点で特に、軽度不調に関する自己評価に基づく軽度不調の評価を正しく行うことが難しいケース、例えば、一般的に被験者の意図的な操作を生みやすい環境下においても、適切に被験者の軽度不調状態を把握することができる。
【0063】
被験者の意図的な操作を生みやすい環境としては、例えば、被験者の評価値を知り得る第三者が存在する場合が挙げられ、なかでも、被験者が周囲(第三者)への配慮から心身の不調を正しく伝えない場合や、第三者が被験者にとってのストレッサーである場合や、被験者の評価値が被験者の周囲の者(第三者)に示される場合や、被験者の評価値が被験者の周囲の者(第三者)に示され、且つ、被験者が周囲の者に真の軽度不調状態を知られたくないと感じる場合などが想定される。
【0064】
また、本発明は誰しもが日常的行動として行う食事情報と、誰しもが有する属性情報のみから軽度不調スコアを推定する方法であるため、誰でも回答可能であり、また、情報収集に対する被験者の負担は小さいという利点がある。そのため、本発明は幅広い被験者が容易に利用可能であり、また、軽度不調評価を何度も行うことにも好適である。できるだけ簡便に軽度不調を予測することは、上述のプレゼンティーイズムの解決にもつながる。
【0065】
産業上の展開としては、例えば、離れて暮らす家族の軽度不調を見守るサービス(見守りサービス)が挙げられる。また、軽度不調評価を多数の者に行うケースや、軽度不調評価を多数の者に何度も行うケース等が挙げられ、例えば、大学や企業等が所属する者の軽度不調の状態を把握するためのサービスや、大学や企業等が所属する者の軽度不調の状態を経時的又は頻回に追跡するためのサービスなどが挙げられる。
【実施例0066】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0067】
実施例1 軽度不調スコア推定値の算出1
591名の健常者を対象者として、以下のように、食事情報、属性情報、及び軽度不調スコアの回帰分析を行った。対象者とした健常者の中には軽度不調の者が含まれている可能性がある。次いで、この回帰分析結果を用いて、被験者の軽度不調スコア推定値を活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、及び身体愁訴の6項目について算出した。
【0068】
1.対象者の属性情報の収集
対象者の属性情報として年齢及び性別を収集した。
【0069】
2.食事情報の収集
2.1 食嗜好に関わる評定値の収集
質問紙「食物摂取頻度調査」(https://www.kyoikusw.co.jp/food-frequency-method/#FFQ-3)に対する対象者の回答に対して因子分析を行い、「野菜好き」因子、「果物好き」因子、「酒・生もの好き」因子、「乳製品・お菓子好き」因子、「肉好き・油好き」因子、「漬物・塩分好き」因子を抽出した。「野菜好き」因子得点(以下、FA1)、「果物好き」因子得点(以下、FA2)、「酒・生もの好き」因子得点(以下、FA3)、「乳製品・お菓子好き」因子得点(以下、FA4)、「肉好き・油好き」因子得点(以下、FA5)、「漬物・塩分好き」因子得点(以下、FA6)を食嗜好(食品摂取量)に関わる評定値として収集した。
【0070】
2.2 食習慣に関わる評定値の収集
質問紙「食物摂取頻度調査」(https://www.kyoikusw.co.jp/food-frequency-method/#FFQ-3)に対する対象者の回答のうち、
FFQ_002:お酒を飲む頻度(0:記入なし,1:月に1回未満,2:月に1~3日,3:週に1~2日,4:週に3~4日,5:週に5~6日,6:毎日)
FFQ_009:朝・昼・夕食あわせて1日にごはん(米飯)を食べる量(0:記入なし,1:1杯未満,2:1杯,3:2杯,4:3杯,5:4杯,6:5杯,7:6杯,8:7~9杯,9:10杯以上)
FFQ_011:朝・昼・夕食あわせて1日にみそ汁を飲む量(0:記入なし,1:1杯未満,2:1杯,3:2杯,4:3杯,5:4杯,6:5杯,7:6杯,8:7~9杯,9:10杯以上)
FFQ_324:朝食を食べる頻度(0:記入なし,1:月に1回未満,2:月に1~3回,3:週に1~2回,4:週に3~4回,5:週に5~6回,6:毎日)
FFQ_325:外食の頻度(0:記入なし,1:月に1回未満,2:月に1~3回,3:週に1~2回,4:週に3~4回,5:週に5~6回,6:毎日)
FFQ_326:インスタント食品を食べる頻度(0:記入なし,1:月に1回未満,2:月に1~3回,3:週に1~2回,4:週に3~4回,5:週に5~6回,6:毎日)
FFQ_327:油をつかった「炒め物」を食べる頻度(0:記入なし,1:月に1回未満,2:月に1~3回,3:週に1~2回,4:週に3~4回,5:週に5~6回,6:毎日)
FFQ_328:油をつかった「揚げ物」を食べる頻度(0:記入なし,1:月に1回未満,2:月に1~3回,3:週に1~2回,4:週に3~4回,5:週に5~6回,6:毎日)
FFQ_329:肉のあぶら身を食べる量(0:記入なし,1:ほぼ食べない,2:3分の1,3:半分,4:3分の2,5:ほぼ食べる)
FFQ_330:ラーメン・うどん・そばの汁を飲む量(0:記入なし,1:ほぼ飲まない,2:3分の1,3:半分,4:3分の2,5:ほぼ飲む)
FFQ_331:食卓で料理に塩をふる習慣(0:記入なし,1:ない,2:まれに,3:ときどき,4:たいてい,5:いつも)
FFQ_332:食卓で料理にしょうゆをかける習慣(0:記入なし,1:ない,2:まれに,3:ときどき,4:たいてい,5:いつも)
【0071】
と、以下の質問
Q_441:過去1か月の便通 (0:週2回以下,1:週3-4回,2:週5-6回,3:毎日1回,4:毎日2回)
Q_444:過去1か月が便秘がち (0:いいえ、1:はい)
Q_404:食べる速さ (0:遅い,1:普通,2:速い)
Q_405:固いものが食べにくくなった (0:いいえ,1:はい)
Q_406:お茶や汁物等でむせる (0:いいえ,1:はい)
Q_407:口の渇きが気になる (0:いいえ,1:はい)
Q_408:左右の奥歯でかみしめられる (0:いいえ,1:はい)
Q_409:食べ方や食事の問題の有無 (0:無,1:有)
Q_410:定期的な健康食品の摂取 (0:無,1:有)
Q_007:同居(一人暮らし) (0:無,1:有)
に対する回答を食習慣(食行動)に関わる評定値として収集した。
【0072】
3.軽度不調スコアの収集
質問紙「職業性ストレス簡易調査票」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000050920.pdf)のうち、ストレス反応に関する29項目(No.1; 活気がわいてくる、No.2; 元気がいっぱいだ、No.3; 生き生きする、No.4; 怒りを感じる、No.5; 内心腹立たしい、No.6; イライラしている、No.7; ひどく疲れた、No.8; へとへとだ、No.9; だるい、No.10; 気がはりつめている、No.11; 不安だ、No.12; 落着かない、No.13; ゆううつだ、No.14; 何をするのも面倒だ、No.15; 物事に集中できない、No.16; 気分が晴れない、No.17; 仕事が手につかない、No.18; 悲しいと感じる、No.19; めまいがする、No.20; 体のふしぶしが痛む、No.21; 頭が重かったり頭痛がする、No.22; 首筋や肩がこる、No.23; 腰が痛い、No.24; 目が疲れる、No.25; 動悸や息切れがする、No.26; 胃腸の具合が悪い、No.27; 食欲がない、No.28; 便秘や下痢をする、No.29; よく眠れない。)に対する対象者の回答を、ほとんどなかった(1点)、ときどきあった(2点)、しばしばあった(3点)、ほとんどいつもあった(4点)として集計、採点した。これを用いて、以下の値を算出した。
【0073】
・ストレスによっておこる心身の反応点数_活気(以下、軽度不調スコア_活気)=No.1点数+No.2点数+No.3点数
・ストレスによっておこる心身の反応点数_イライラ感(以下、軽度不調スコア_イライラ感)=No.4点数+No.5点数+No.6点数
・ストレスによっておこる心身の反応点数_疲労感(以下、軽度不調スコア_疲労感)=No.7点数+No.8点数+No.9点数
・ストレスによっておこる心身の反応点数_不安感(以下、軽度不調スコア_不安感)=No.10点数+No.11点数+No.12点数
・ストレスによっておこる心身の反応点数_抑うつ感((以下、軽度不調スコア_抑うつ感))=No.13点数+No.14点数+No.15点数+No.16点数+No.17点数+No.18点数
・ストレスによっておこる心身の反応点数_身体愁訴((以下、軽度不調スコア_身体愁訴))=No.19点数+No.20点数+No.21点数+No.22点数+No.23点数+No.24点数+No.25点数+No.26点数+No.27点数+No.28点数+No.29点数
【0074】
4.食事情報を用いた軽度不調スコア回帰式の作成
軽度不調スコア_活気、軽度不調スコア_イライラ感、軽度不調スコア_疲労感、軽度不調スコア_不安感、軽度不調スコア_抑うつ感、軽度不調スコア_身体愁訴のそれぞれについて、年齢、性別、及び食事情報を用いて重回帰式を作成した。これにより、定数項を含む以下の式が得られた。
【0075】
・軽度不調スコア_活気
=0.4×Q404-0.33×FFQ326+0.15×FFQ002+0.21×FFQ324+5.75(調整済み決定係数R2=0.04)
・軽度不調スコア_イライラ感
=-0.04×Age-0.64×Q407+0.54×gender-0.18×FFQ_FA2+7.72(調整済み決定係数R2=0.09)
・軽度不調スコア_疲労感
=-0.05×Age+0.85×gender+0.30×FFQ326+0.88×Q405+0.19×FFQ_FA5+7.5(調整済み決定係数R2=0.15)
・軽度不調スコア_不安感
=0.23×FFQ_FA5+1.0×Q405-0.03×Age+0.58×Q407+0.15×FFQ330+0.17×FFQ_FA3+6.4(調整済み決定係数R2=0.09)
軽度不調スコア_抑うつ感
=-0.06×Age+0.48×FFQ326-1.17×Q405+0.99×gender+0.35×FFQ330+0.85×Q407+0.26×FFQ_FA3+10.2(調整済み決定係数R2=0.11)
・軽度不調スコア_身体愁訴
=2.6×Q444+2.35×gender+0.57×FFQ325+1.09×Q409+1.63×Q405+0.49×FFQ326+12.9(調整済み決定係数R2=0.14)
【0076】
5.被験者の軽度不調スコア推定値の算出
被験者から、性別、及び年齢を属性情報として得上記対象者に対して用いた質問紙と同じものを用いて、食嗜好に関わる評定値、及び食習慣に関わる評定値を食事情報として得た。被験者の該食事情報及び属性情報(性別、及び年齢)から、軽度不調スコアの回帰分析結果として上記4.で得た軽度不調スコア回帰式を用いて、該被験者の軽度不調スコア推定値を算出した。軽度不調スコア推定値は、例えば図1におけるレーダーチャートのように表すことができる。
【0077】
実施例2 軽度不調スコア推定値の算出2
実施例1において収集した591名の対象者の質問紙「職業性ストレス簡易調査票」に対する回答を実施例1と同様に集計、採点し、これを用いて、実施例1における軽度不調スコア_活気、軽度不調スコア_イライラ感、軽度不調スコア_疲労感、軽度不調スコア_不安感、軽度不調スコア_抑うつ感、及び、軽度不調スコア_身体愁訴に加えて、下記質問紙「JESS」の得点である軽度不調スコア_ウトウト、及び下記質問紙「PSQIG」の得点である軽度不調スコア_不眠についても、実施例1において収集した対象者の年齢、性別、及び食事情報を用いて下記のように重回帰式を作成した。
・軽度不調スコア_ウトウト
=0.67×FFQ_FA5-0.06×gender-0.62×Q444+0.34×FFQ_FA4+10.9
・軽度不調スコア_不眠
=0.84×Q407+0.21×FFQ330-0.23×FFQ324+0.24×FFQ_FA3+0.21×FFQ327+0.53×Q406+5.4
【0078】
・質問紙「JESS」:
Takegami M, Suzukamo Y, Wakita T, Noguchi H, Chin K, Kadotani H, Inoue Y, Oka Y, Nakamura T, Green J, Johns MW, Fukuhara S. Development of a Japanese version of the Epworth Sleepiness Scale (JESS) based on Item Response Theory. Sleep medicine 2009; 10: 556-65.
・質問紙「PSQIG」:
Y.Doi et al. Psychometric assessment of subjective sleep quality using the Japanese version of the Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI-J) in psychiatric disordered and control subjects. Psychiatry Research 2000; 97(2-3): 165-172.
土井由利子,箕輪眞澄,大川匡子,内山真:ピッツバーグ睡眠質問票日本語版の作成,精神科治療学 1988;13(6);755-769.ピッツバーク睡眠質問票
【0079】
作成した重回帰式を、実施例1において作成した重回帰式とともに図2に示す。図2において、重回帰式中のFFQ又はQで始まる上述の食習慣に関わる評定値はその内容で表した。この回帰分析結果を用いて、被験者の軽度不調スコア推定値を活気、イライラ感、疲労感、不安感、抑うつ感、身体愁訴、ウトウト、及び不眠の8項目について算出することができる。
図1
図2