(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157543
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】トリム、および車両
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20221006BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20221006BHJP
B60R 7/02 20060101ALI20221006BHJP
B60N 3/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B60R13/02 Z
B60R16/02 620Z
B60R7/02
B60N3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061826
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 俊亮
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
3D023
【Fターム(参考)】
3B088DA05
3D022CA01
3D022CC11
3D023BA01
3D023BB01
3D023BD02
3D023BE24
3D023BE26
3D023BE28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両の機能の変更・追加に柔軟に対応することが可能なトリムを提供すること。
【解決手段】車体の内装を構成するトリム2であって、外部に露出した機能部と、内部に収容されたワイヤハーネス4とを有するトリム。このトリムは、車両の側面、上面、前面および後面からなる群から選択された少なくとも一つの面におけるドア部以外の部分および窓部以外の部分に取り付け可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の内装を構成するトリムであって、
外部に露出した機能部と、内部に収容されたワイヤハーネスとを有するトリム。
【請求項2】
前記トリムは、車両の側面、上面、前面および後面からなる群から選択された少なくとも一つの面におけるドア部以外の部分および窓部以外の部分に取り付け可能である、請求項1に記載のトリム。
【請求項3】
前記機能部は、前記ワイヤハーネスに電気的に接続されている、請求項1または2に記載のトリム。
【請求項4】
前記機能部は、照明、冷蔵庫、冷凍庫、換気装置、および各種インタフェースからなる群から選択される、請求項1から3までの何れか1項に記載のトリム。
【請求項5】
前記機能部は手すり、鏡、および収納ボックスからなる群から選択される、請求項1または2に記載のトリム。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか1項に記載のトリムが装着された車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリム、および車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から車両において、発電部、電源部、電源分配器等と、アクチュエータ、センサ等の補機、ECU(electronic control unit)等とを電気的に接続する目的でワイヤハーネスが使用されている。一般的にワイヤハーネスは、エンジンルーム内に搭載された電源分配器または左右のインパネに配置された電源から、車両全体に搭載された補機やECUに電気的に接続することで各補機等に電流が流れるように、車両内に配索されている。
【0003】
近年、急速に車両の電動化(ハイブリッド車、電気自動車等)や、多機能化・高機能化(自動運転システム、コネクテッドカー等)が進んでいる。これに伴い、車両の使用後に、車両の既存機能を変更したり、車両に追加の機能を付与したりするなど、車両の機能を柔軟に変更することが要望されている。この一方で、ワイヤハーネスは車両内のボディに予め配索されているため、車両の機能変更に応じて既に配索されたワイヤハーネスを別のものに変更したり、新たに車両内にワイヤハーネスを配索することは困難であった。
【0004】
特許文献1(特開2015-50855号公報)は、パネル、パネルの一主面側に配設されるワイヤハーネス等を備えたワイヤハーネス付パネルを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の車両では、ワイヤハーネスは予め車両のボディに配索されており、既に配索されたワイヤハーネスを別のものに変更したり、新たにワイヤハーネスを配索することを想定していなかった。このため、車両の既存機能を変更したり、車両に追加の機能を付与する等の対応を十分に行えなかった。また、特許文献1は、ワイヤハーネス等を備えたパネルを開示するに過ぎず、車両の機能の変更・追加に応じて該パネルを交換することを想定したものではなかった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明では、外部に露出した機能部と、内部に収容されたワイヤハーネスとを有するトリムとすることにより、該トリムの車両内への取付けおよび取り外しが可能となっている。これにより、本発明は車両の機能の変更・追加に柔軟に対応することが可能なトリムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の各実施態様を有する。
[1]車体の内装を構成するトリムであって、
外部に露出した機能部と、内部に収容されたワイヤハーネスとを有するトリム。
[2]前記トリムは、車両の側面、上面、前面および後面からなる群から選択された少なくとも一部の面におけるドア部以外の部分および窓部以外の部分に取り付け可能である、上記[1]に記載のトリム。
[3]前記機能部は、前記ワイヤハーネスに電気的に接続されている、上記[1]または[2]に記載のトリム。
[4]前記機能部は、照明、冷蔵庫、冷凍庫、換気装置、および各種インタフェースからなる群から選択される、上記[1]から[3]までの何れか1つに記載のトリム。
[5]前記機能部は手すり、鏡、および収納ボックスからなる群から選択される、上記[1]または[2]に記載のトリム。
[6]上記[1]から[5]までの何れか1つに記載のトリムが装着された車両。
【発明の効果】
【0009】
車両の機能の変更・追加に柔軟に対応することが可能なトリムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るトリムを車両内に装着した例を表す図である。
【
図2】
図2は、他の実施形態に係るトリムを車両内に装着した例を表す図である。
【
図3】
図3は、他の実施形態に係るトリムを車両内に装着した例を表す図である。
【
図4】
図4は、他の実施形態に係るトリムを車両内に装着した例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の車体の内装を構成するトリムは、外部に露出した機能部と、内部に収容されたワイヤハーネスとを有する。トリムは一つの機能部を有していても良く、複数の機能部を有していても良い。該トリムは、車両の内装を構成しており、製造時の車両内に予め装着したり、車両の使用中に取り付け・取り外しをしたりすることができるようになっている。このため、車両の使用中に車両機能の変更・追加を行う際には、ワイヤハーネス全体や内装全体を交換する必要はなく、トリムを交換することで対応することができる。また、トリムの交換時に異なる外観のトリムに交換することで車両内装のデザインを変更することもできる。さらに、トリムの交換だけで車両機能の変更・追加や内装デザインの変更が可能であるため、車両を新たに買い換える場合、ワイヤハーネス全体や内装全体を交換する場合などと比べて費用を低減することができる。一実施形態のトリムは、車両の側面、上面、前面および後面からなる群から選択された少なくとも一つの面におけるドア部以外の部分および窓部以外の部分に取り付け可能である。また、典型的には、トリムの交換後に該トリムとその他の部位とを電気的に接続できるよう、トリムは接続部を有する。ここで、「車両の前面」は車両の前進方向側に位置する面、「車両の後面」は車両の後進方向側に位置する面、「車両の側面」は車両の前面および後面以外の車両の側方部を構成する面、「車両の上面」は車両の屋根部(ルーフ)を構成する面をそれぞれ表す。なお、例えば前後方向の区別がない車両の場合は、前後方向の一方の面を前面、他方の面を後面とする。
【0012】
機能部は、車両に所望の機能を付与する部品であれば特に限定されず、該機能として居住機能および電気的機能などを挙げることができる。一実施形態では、機能部はワイヤハーネスに電気的に接続されている。機能部が電気的機能を有する場合、好ましくはワイヤハーネスと機能部が電気的に接続され、該ワイヤハーネスと機能部が協働して所望の電気的機能を発現するようになっているのが良い。この場合、機能部として、例えば、照明、冷蔵庫、冷凍庫、換気装置、および各種インタフェース(モニター、スピーカー、スイッチ、コネクタ、コンセント等)からなる群から選択される機能部を挙げることができる。なお、機能部が冷蔵庫、冷凍庫、換気装置等の大型の機能部の場合は、それらの機能部が必要とする各種インタフェース(コンセント、各種配管等)も、本発明のトリムに設けられる機能部に含まれうる。トリム内に各種配管等が設けられる場合は、必要に応じてワイヤハーネスに防水・防食・耐熱その他の処理が施される。また、機能部が居住機能を有する場合、機能部として例えば、手すり、鏡、および収納ボックスからなる群から選択される機能部を挙げることができる。
【0013】
本発明のトリムを車両に装着させることにより、交換可能なトリムが装着された車両とすることができる。本発明のトリムを装着させる車両については特に限定されず、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車、自動運転システムを備えた車両、コネクテッドカー、マース(MaaS;Mobility as a Service)車両等を挙げることができる。特に、マース車両では従来の車両にはない機能を柔軟に変更することが求められるが、本発明のトリムを用いることで車両機能の変更・追加が容易となるため、このような要請にも十分に対応することができる。例えば、移動店舗型の車両の場合、機能部として照明、モニター、スピーカー、冷蔵庫、冷凍庫、換気装置、コンセント等を挙げることができ、トリムの材料として抗菌材、高反射材等を用いることができる。車両がキッチンカーの場合、機能部として照明、スピーカー、冷蔵庫、冷凍庫、モニター、換気装置、コンセント等を挙げることができ、トリムの材料として抗菌材、高反射材、耐熱材、難燃材等を用いることができる。車両が移動オフィスの場合、機能部として照明、モニター、スピーカー、ネットワーク機器、コンセント等を挙げることができる。
【0014】
以下では、一実施形態のトリムを車両に装着した例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明のトリムおよび該トリムを装着した車両は、下記の例に限定されるものではない。また、下記の例に示された各々の構成要素には、当業者が容易に想定できるものや、実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
図1は一実施形態に係るトリムを車両内に装着した例を表す図である。
図1Aに示すように、車両1の外周は前面1a、側面1b、後面1cから構成されており、各々の面には窓部3Aおよびドア部3Bが配されている。側面1bの窓部3Aとドア部3Bの間の内装材として、一実施形態に係るトリム2が装着されている。
図1Bは、
図1Aの部分Pの拡大図であり、トリム2の内部にはワイヤハーネス4が配索されており、接続部5を介して、該トリム2外に配索された電源幹線または電源枝線等の配線に電気的に接続されている。また、トリム2には、機能部としてコンセント6が設けられている。
図1Cは、
図1Bのコンセント6の拡大図である。
【0016】
図2は他の実施形態に係るトリムを車両内に装着した例を表す図である。
図2Aに示すように、車両1の側面1bの窓部3Aとドア部3Bの間の内装材として、一実施形態に係るトリム2が装着されている。
図2Bは、
図2Aの部分Pの拡大図であり、トリム2の内部にはワイヤハーネス4が配索されており、接続部5を介して、該トリム2外に配索された電源幹線または電源枝線等の配線に電気的に接続されている。また、トリム2には、機能部としてモニター7が設けられている。
図2Cは、
図2Bのモニター7の拡大図である。
【0017】
図1および
図2で示される車両1は、移動店舗、キッチンカー、移動オフィスなどに適用される例を示したが、車両1はこれらに限定されるわけではなく、本発明のトリムは多種多様な車両に用いることができる。
図3は他の実施形態に係るトリムをワゴン車内に装着した例、
図4は他の実施形態に係るトリムの変形例を小型バス車内に装着した例を表す図である。
図3は車両1が人および物を運ぶワゴン車であり、
図4は車両1が人を運ぶ小型バスである。
図3Aに示すように、ワゴン車1の側面のドア部3Bの間の内装材として、一実施形態に係るトリム2が装着されている。
図3Bは
図3Aの部分Pの拡大図であり、
図3Cは
図3Bのモニター7の拡大図である。また、
図4Bは
図4Aの部分Pの拡大図であり、
図4Cは、
図4Bの停車ボタン8の拡大図である。なお、
図4の小型バスであっても、他の例と同様に、トリム2にコンセントやモニターなどの他の機能部が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 車両
2 トリム
3A 窓部
3B ドア部
4 ワイヤハーネス
5 接続部
6 コンセント
7 モニター
8 停車ボタン