(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157721
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】シート表面の異物検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20221006BHJP
G01N 21/94 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G01N21/892 A
G01N21/94
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062110
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【弁理士】
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】高木 慎
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA32
2G051AB01
2G051BA01
2G051BA08
2G051BA10
2G051BB01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB05
2G051CD04
2G051DA08
2G051EC01
(57)【要約】
【課題】検出漏れを抑制して異物を検出することが可能となるシート表面の異物検査方法を提供する。
【解決手段】シート表面の異物を検査する方法であって、前記シートが、シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シート表面に対する光の照射角度とが40度の差となる角度で光を照射し、シート表面の画像を前記撮像装置で撮像したときの前記シート表面の画像の256階調換算輝度のヒストグラムにおける輝度の半値全幅が70以上でありかつピークトップをとる輝度の値が80~175となるシートであり、前記方法が、シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シートに照射した光のシート表面に対する反射角度との相対角度が0度以上20度以下となる角度で光を照射し、前記撮像装置で撮像して第1の画像を得る工程と、シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シートに照射した光のシート表面に対する反射角度との相対角度が50度以上89度以下となる角度で光を照射し、前記撮像装置で撮像して第2の画像を得る工程とを含む、検査方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート表面の異物を検査する方法であって、
前記シートが、シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シート表面に対する光の照射角度とが40度の差となる角度で光を照射し、シート表面の画像を前記撮像装置で撮像したときの前記シート表面の画像の256階調換算輝度のヒストグラムにおける輝度の半値全幅が70以上でありかつピークトップをとる輝度の値が80~175となるシートであり、
前記方法が、
シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シートに照射した光のシート表面に対する反射角度との相対角度が0度以上20度以下となる角度で光を照射し、前記撮像装置で撮像して第1の画像を得る工程と、
シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シートに照射した光のシート表面に対する反射角度との相対角度が50度以上89度以下となる角度で光を照射し、前記撮像装置で撮像して第2の画像を得る工程と
を含む、検査方法。
【請求項2】
前記撮像装置の撮像角度を前記シート表面に対して90度とする、請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記第1および第2の画像からそれぞれ異なる種類の異物の輝度を特徴量として算出する工程をさらに含む、請求項1に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート表面の異物検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート材料を製造する工程で環境異物や、成型工程に出た塊等がシート上に入ることは、製品の外観の点から問題になっており、それらは検査工程で不良品として排除するのが一般的である。異物検査は、目視によって行うこともできるが、自動化による生産効率向上等の観点から、照明と撮影装置を組み合わせた検査装置を用いて行う系が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、シートの検査方法として明るさの異なる光を所定の角度で照射したシートを撮影し、その輝度を評価することでシートの検査を行っている。一方で、特許文献2に記載されるような方法で作製した熱伝導シートにおいては、大半が黒鉛で形成され、さらには製造工程において色むらが発生しやすいこともあり、異物の色とシートそのものの色に差がないことから、異物の特定が難しいという背景があった。具体的には、特許文献2のシートに対して特許文献1の方法で検査を行っても、異物がシートに隠れてしまい認識できない検出漏れが多く生じる結果となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-212646号
【特許文献2】特開2019-112568号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大半が黒鉛で形成される熱伝導シートのようなシート自体の輝度と異物の輝度に差がないシートの異物検査において、検出漏れを抑制して異物を検出することについて、更なる改善の余地があった。
そこで、本発明は、シート自体の輝度と異物の輝度に差がないシートにおいて、検出漏れなく異物を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行なった。そして、本発明者は、検査対象シートに対して照明と撮像装置の相対角度が小さい角度となる照射条件により黒い異物を捉えることが可能となること、検査対象シートに対して照明と撮像装置の相対角度が大きい角度となる照射条件により白い異物を捉えることが可能となること、および両照射条件を段階的に行って異物を検出することにより、検出漏れを抑制して異物を検出することが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のシート表面の異物を検査する方法は、
前記シートが、シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シート表面に対する光の照射角度とが40度の差となる角度で光を照射し、シート表面の画像を前記撮像装置で撮像したときの前記シート表面の画像の256階調換算輝度のヒストグラムにおける輝度の半値全幅が70以上でありかつピークトップをとる輝度の値が80~175となるシートであり、
前記方法が、
シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シートに照射した光のシート表面に対する反射角度との相対角度が0度以上20度以下となる角度で光を照射し、前記撮像装置で撮像して第1の画像を得る工程と、
シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シートに照射した光のシート表面に対する反射角度との相対角度が50度以上89度以下となる角度で光を照射し、前記撮像装置で撮像して第2の画像を得る工程と
を含む、検査方法である。相対角度が0度以上20度以下となる角度(小さい角度)の照射条件により黒い異物を捉えることが可能となり、相対角度が50度以上89度以下となる角度(大きい角度)の照射条件により白い異物を捉えることが可能となり、両照射条件を組み合わせることにより、検出漏れを抑制して異物を検出することが可能となる。
【0008】
ここで、本発明の方法において、前記撮像装置の撮像角度を前記シート表面に対して90度とすることが好ましい。撮像角度が90度(垂直)であると、前記撮像装置視野内での光の照射ムラを抑制し、異物の見逃し率を低下させることが可能となる。
【0009】
また、本発明の方法は、前記第1および第2の画像からそれぞれ異なる種類の異物の輝度を特徴量として算出する工程をさらに含むことが好ましい。このように異物の輝度を特徴量として算出することにより、得られたデジタル画像データに基づいて異物の存在を同定することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検出漏れを抑制して異物を検出することが可能となるシート表面の異物検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の方法に用いられる各要素の配置関係を説明する図である。
【
図2】本発明の方法の実施形態の一例を示す模式図である。
【
図3】本発明の方法の実施形態のさらなる例を示す模式図(a:上面図、b:側面図)である。
【
図4】実施例で用いた熱伝導シートを製造する際の一工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
(シート表面の異物検査方法)
本発明の方法は、
シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シート表面に対する光の照射角度とが40度の差となる角度で光を照射したときのシートの256階調換算輝度のヒストグラムにおける輝度の半値全幅が70以上かつピークトップをとる輝度の値が80~175となるシートにおいて、
シート表面に光を照射し、シート表面の画像を撮像装置で撮像した画像をもとにシート表面の異物を検査する方法であって、
シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シートに照射した光の反射角度との相対角度(第1の相対角度)が0度以上20度以下となる角度で光を照射し、前記撮像装置で撮像して第1の画像を得る工程(第1の検査工程)と、
シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シートに照射した光の反射角度との相対角度(第2の相対角度)が50度以上89度以下となる角度で光を照射し、前記撮像装置で撮像して第2の画像を得る工程(第2の検査工程)と
を含み、
任意で、第1の画像および第2の画像を解析して異物を検出する工程(検出工程)を更に含む、
検査方法である。
【0014】
<適用可能なシート>
本発明の方法は、シート表面に対する撮像装置の撮像角度と、シート表面に対する光の照射角度とが40度の差となる角度で光を照射し、シート表面の画像を前記撮像装置で撮像したときの前記シート表面の画像の256階調換算輝度のヒストグラムにおける輝度の半値全幅が70以上でありかつピークトップをとる輝度の値が80~175となるシートに適用可能である。本発明の方法に適用可能なシートは、少なくとも検査面が上記の物性を有していればよく、片面が上記の物性を有していてもよく、両面が上記の物性を有していてもよい。後述のように、異物外観の明暗の程度に基づき、「黒異物」および「白異物」に分類される。上記の物性を有するシートでは、一度の光照射と撮像のみでは「黒異物」および「白異物」の何れか一方との輝度の差が少なくなり、両方の異物の検出が困難となる。しかし、本発明の方法では、二種類の光照射と撮像を行うことにより「黒異物」および「白異物」の両方の検出が容易となるので、本発明の方法は、上記の物性を有するシートに対して効果的な異物検出が可能となる。照射角度および撮像角度等の画像取得条件は、後述の第1および第2の検査工程で説明するとおりである。
【0015】
なお、本明細書を通じて「輝度」の値は、256階調換算輝度で表わされ、撮像された画像を光強度に応じた256段階の階調で正規化データとしたときの値を指す。
【0016】
輝度の半値全幅は、以下のようにして求める。
シートの輝度をx、輝度のヒストグラムを関数f(x)として表し、f(x)の最大値をfmax=f(xmax)とし、f(x)=xmax/2を満たすxのうち最小のxをx1、最大のxをx2として、半値全幅は次式により求められる。
半値全幅=x2-x1
【0017】
本発明の方法は、好ましくは、光沢様の外観(例、銀色様光沢、金色様光沢)を有するシートに適用可能である。また、本発明の方法は、特に、熱伝導シートに適用可能であり、好ましくは難燃性熱伝導シート、より好ましくは難燃性樹脂と粒子状炭素材料とを含む熱伝導シートに適用可能である。本発明の方法が適用可能なシートは、例えば、特開2019-112568号(特許文献2)に記載のものが挙げられる。
【0018】
<異物の種類>
本発明の方法で検査される「異物」としては、シート表面の付着物(例、切粉、埃、砂、金属異物)、析出物(例、黒鉛、カーボンナノチューブ(CNT))、変質物(例、酸化物)、および微細な変形(例、凹凸、裂け、スジ、破れ)が挙げられる。異物は、光照射時の輝度の程度(即ち、異物外観の明暗の程度)に基づき、「黒異物」および「白異物」に分類される。「黒異物」とは、光照射時に暗い外観を呈する低輝度の異物として検出される異物を指す。黒異物としては、例えば、切粉、CNT由来の黒点、金属異物が挙げられる。「白異物」とは、光照射時に明るい外観を呈する高輝度の異物として検出される異物を指す。白異物としては、例えば、埃、砂、衣類などの繊維、皮膚などの人体由来の異物が挙げられる。ただし、同じ物質または状態に由来する異物であっても、異物または周辺の状況次第で、黒異物または白異物になり得る。
【0019】
<第1の検査工程>
第1の検査工程は、光源と撮像装置をシート表面を起点に「小さい相対角度」で配置して、シート表面の検査用画像(第1の画像)を得る工程である。光源と撮像装置を小さい相対角度で配置することにより、シート表面と白異物の輝度差が小さくなる一方で、シート表面と黒異物の輝度差が大きくなるため、シート表面上の黒異物の検出が容易となる。この工程では、第1の光源101aから発せられた第1の照射光201aをシート111の表面に照射しながらシート111の表面を撮像装置102で撮影して第1の画像を得る。以下、第1の光源101a、撮像装置102、およびシート111の配置関係を、
図1を参照して説明する。
【0020】
図1において、撮像位置204は、角度等の配置関係の説明のために便宜的に示したものである。撮像位置204は、撮像装置102の撮像光軸203と、シート111の表面との交点を指す。
【0021】
本明細書中で「角度」(例、照射角度、反射角度、撮影角度)は、特に断りがない場合は、シート111の表面に対する角度で表す。
【0022】
第1の照射角度211a(α1)とは、第1の照射光201aの照射角度を指す。第1の照射光201aは、シート111の表面上の撮像位置204で反射される。第1の照射光201aの反射光は、多種の反射角度を有する乱反射光を含み得る。第1の照射光201aの反射光のうち、第1の照射角度211(α1)と等しい反射角度の反射光(正反射光)を、第1の正反射光202aと呼ぶ。また、当該反射角度を、第1の反射角度212a(α1)と呼ぶ。
【0023】
撮像装置102により、第1の照射光201aで照射されたシート111の表面を撮影して第1の画像を得る。撮像装置102の撮像光軸203の角度(反射光側から数える)を、撮影角度213(β)と呼ぶ。撮影角度213(β)は、特に限定されないが、複数方向から同条件で光を照射して異物の見逃し率を低下させることが可能になる観点から、90度(垂直)であることが好ましい。
【0024】
撮影角度213(β)と第1の反射角度212a(α1)との相対角度を、第1の相対角度214a(θ1)と呼ぶ。第1の光源101aおよび撮像装置102は、第1の相対角度214a(θ1)が小さい角度となるように配置される。第1の検査工程では、第1の相対角度214a(θ1)を小さい角度とすることにより、黒異物の検出が容易となる。第1の相対角度214a(θ1)は、シート地合いの輝度と異物の輝度の差をつけるという観点から、0度以上であり、5度以上が好ましく、10度以上がより好ましい。また、第1の相対角度214a(θ1)は、同様の観点から、20度以下が好ましい。
【0025】
<第2の検査工程>
第2の検査工程は、光源と撮像装置をシート表面を起点に「大きい相対角度」で配置して、シート表面の検査用画像(第2の画像)を得る工程である。光源と撮像装置を大きい相対角度で配置することにより、シート表面と黒異物の輝度差が小さくなる一方で、シート表面と白異物の輝度差が大きくなるため、シート表面上の白異物の検出が容易となる。この工程では、第2の光源101bから発せられた第2の照射光201bをシート111の表面に照射しながらシート111の表面を撮像装置102で撮影して第2の画像を得る。以下、第2の光源101b、撮像装置102、およびシート111の配置関係を、
図1を参照して説明する。
【0026】
第2の照射角度211b(α2)とは、第2の照射光201bの照射角度を指す。第2の照射光201bは、シート111の表面上の撮像位置204で反射される。第2の照射光201bの反射光は、多種の反射角度を有する乱反射光を含み得る。第2の照射光201bの反射光のうち、第2の照射角度211(α2)と等しい反射角度の反射光(正反射光)を、第2の正反射光202bと呼ぶ。また、当該反射角度を、第2の反射角度212b(α2)と呼ぶ。
【0027】
撮像装置102により、第2の照射光201bで照射されたシート111の表面を撮影して第2の画像を得る。撮像装置102の撮像光軸203の角度(反射光側から数える)を、撮影角度213(β)と呼ぶ。撮影角度213(β)は、特に限定されないが、複数方向から同条件で光を照射して異物の見逃し率を低下させることが可能になる観点から、90度(垂直)であることが好ましい。
【0028】
撮影角度213(β)と第2の反射角度212b(α2)との相対角度を、第2の相対角度214b(θ2)と呼ぶ。第2の光源101bおよび撮像装置102は、第2の相対角度214b(θ2)が大きい角度となるように配置される。第2の検査工程では、第2の相対角度214b(θ2)を大きい角度とすることにより、白異物の検出が容易となる。第2の相対角度214b(θ2)は、シート地合いの輝度と異物の輝度の差をつけるという観点から、50度以上であり、55度以上が好ましく、58度以上がより好ましい。また、第2の相対角度214b(θ2)は、同様の観点から、89度以下であり、70度以下が好ましく、75度以下がより好ましい。
【0029】
第1の検査工程と第2の検査工程が行われる順序は、特に限定されず、第1の検査工程の後に第2の検査工程が行われてもよく、第2の検査工程の後に第1の検査工程が行われてもよく、第1の検査工程と第2の検査工程とを交互に行ってもよい。
【0030】
<光源>
第1の光源101aおよび第2の光源101bが発する光の波長領域は可視光領域(360nm~830nm)であればよく、例えば、赤色(634nm)や(青色470nm)であってもよい。また、光源が発する光は、単一波長光(単色光)または可視光領域の混合波長光(例、白色光)であってもよい。第1の光源101aおよび第2の光源101bが発する光の波長は、同じであっても異なっていてもよい。
【0031】
第1の光源101aおよび第2の光源101bが発する光のシート111の表面での照度は、本発明の目的を達成する限りにおいて特に限定されないが、例えば4,000lx以上87,000lx以下の範囲内であればよい。第1の光源101aおよび第2の光源101bが発する光のシート111の表面での照度は、同じであっても異なっていてもよい。
【0032】
光源の種類は、特に限定されないが、例えば、白色ランプ、蛍光灯、LED(例、赤色LED、緑色LED、青色LED、白色LED)、レーザー光源が挙げられる。
【0033】
第1の光源101aおよび第2の光源101bは、各々、単一の光源であってもよく、複数の光源であってもよい。第1の光源101aまたは第2の光源101bが複数の光源である場合、撮像装置102に対する相対角度が同じとなるように配置されることが好ましい。例えば、撮像装置102のシート表面に対する撮像角度が、90度(垂直)である場合、光源は、撮影位置204を挟んで対称に配置されることが好ましい。これらの光源の形状は、特に限定されないが、例えば、点光源、バー光源、環状光源が挙げられる。また、光源は、複数の光源ユニットを線状または環状等の配列で配置した光源であってもよい。
【0034】
第1の光源101aおよび第2の光源101bは、別個の光源であってもよく、同一の光源であってもよい。第1の光源101aおよび第2の光源101bが同一の光源である場合、光源は、可動式であってもよく、固定されてもよい。光源が固定されている場合、撮像装置102またはシート111が、第1の相対角度214a(θ1)および第2の相対角度214b(θ2)が上述した範囲内となるように移動してもよい。
【0035】
<撮像装置>
撮像装置102は、光の輝度を256(8ビット)以上の階調で認識して画像データを取得可能な撮像装置であればよい。撮像装置102としては、例えば、可視光カラーカメラ、可視光モノクロカメラが挙げられる。撮像装置102としては、集積半導体撮像素子(例、CMOS、CCD)を有する撮像装置(例、カメラ)が好ましい。このような撮像装置としては、ライン撮像素子(例、1ピクセル幅撮像素子)を有する撮像装置(例、ラインカメラ)およびエリア撮像素子を有する撮像装置(例、エリアカメラ)が挙げられるが、所定の相対角度での輝度データを精密に得られる観点から、ライン撮像素子を有する撮像装置が好ましい。撮像装置102がライン撮像素子を有する場合、第1の光源101a、第2の光源101b、および撮像装置102が検査ユニットを形成して検査ユニットがシート111の表面に対して平行に走査しながら撮像するか、あるいは、シート111を平行移動させながらシート111の表面を撮像して、シート111の表面の画像を得ることが好ましい。
【0036】
<検査ステージ>
第1および第2の検査工程において、シート111は、検査ステージ103上に設置されていてもよい。検査ステージ103は、可動式であってもよい。可動式検査ステージとしては、例えば、直動式検査ステージ、回転式検査ステージが挙げられる。
【0037】
<異物存在の評価>
第1の画像および第2の画像に基づいて、シート111の表面上の異物存在を評価する。画像中に極端に輝度が低下した部位を、黒異物が存在する部位と評価することができ、画像中に極端に輝度が上昇した部位を、白異物が存在する部位と評価することができる。第1の画像は、特に黒異物の存在評価のために使用されるが、同時に白異物の存在評価のために使用されてもよい。第2の画像は、特に白異物の存在評価のために使用されるが、同時に黒異物の存在評価のために使用されてもよい。
【0038】
画像に基づく異物存在の評価は、デジタル画像データの数理的解析に基づいて行ってもよく、モニタ等に表示された画像の目視判断に基づいて行ってもよい。異物存在の評価をデジタル画像データの数理的解析に基づいて行う場合、画像処理または機械学習手法を用いた異常検出を行ってもよい。画像処理を行うことにより、例えば、画像のノイズ除去、異物存在の強調が可能となる。画像処理としては、例えば、平滑化処理、エッジ検出処理、二値化処理、第1および第2の画像の合体、ディープラーニングによる物体検出処理が挙げられる。また、画像は、反転処理を行ってもよい。機械学習手法としては、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)、具体的には、物体検出を行うR-CNN(Regions with Convolutional Neural Network)、YOLO(You Only Look Once)、SSD(Single Shot MultiBox Detector)等を用いてもよい。
【0039】
「平滑化処理」とは、デジタル画像データ中の各ピクセルの輝度値を、平滑化フィルタを用いて平滑化処理後の輝度値に変換する演算処理であり、例えば、対象ピクセルを中心とするn(ピクセル)×n(ピクセル)エリア(nは、3以上の奇数。例えば、3または5)の輝度値アレイに対して、平滑化フィルタ(n×nの係数アレイ)を用いて、対応するアレイ要素の輝度値と係数の積の総和を平滑化処理後の輝度値として算出することにより行われる。平滑化フィルタとしては、例えば、ガウシアンフィルター、スプラインフィルターが挙げられる。平滑化処理を行うことにより、デジタル画像データのノイズ除去が可能となる。
【0040】
「エッジ検出処理」とは、デジタル画像データ中の各ピクセルの輝度値を、エッジ検出フィルタ用いてエッジ検出処理後の輝度値に変換する演算処理であり、例えば、対象ピクセルを中心とするn(ピクセル)×n(ピクセル)エリア(nは、3以上の奇数。例えば、3または5)の輝度値アレイに対して、一対の縦方向および横方向のアレイ(n×nの係数アレイ)からなるエッジ検出フィルタを用いて、対応する縦方向および横方向のアレイ要素の輝度値と係数の積の総和を処理後の輝度値として算出することにより行われる。エッジ検出フィルタとしては、例えば、ソーベルフィルター、プレヴィットフィルター、ロバーツフィルター、ラプラシアンフィルターが挙げられる。エッジ検出処理を行うことにより、異物存在を強調させることが可能となる。
【0041】
「二値化処理」とは、デジタル画像データ中の各ピクセルの輝度値を閾値を境界として大小の二値に分類する処理であり、例えば、輝度値が閾値未満(または閾値以下)のピクセルを「暗ピクセル」に、輝度値が閾値以上(または閾値超)のピクセルを「明ピクセル」に変換することにより行われる。黒異物の検出(例えば、第1の画像に基づく)においては、「暗ピクセル」を「黒異物検出ピクセル」と評価し、このピクセルに対応するシート表面上の部位を、黒異物が存在する部位と評価することができる。また、「明ピクセル」を「黒異物非検出ピクセル」と評価し、このピクセルに対応するシート表面上の部位を、黒異物が存在しない部位と評価することができる。白異物の検出(例えば、第2の画像に基づく)においては、「明ピクセル」を「白異物検出ピクセル」と評価し、このピクセルに対応するシート表面上の部位を、白異物が存在する部位と評価することができる。また、「暗ピクセル」を「白異物非検出ピクセル」と評価し、このピクセルに対応するシート表面上の部位を、白異物が存在しない部位と評価することができる。二値化処理を行うことにより、異物存在部位をより際立って特定することが可能となる。
【0042】
「反転処理」は、画像の明暗を逆転する処理である。二値化処理前の画像では、反転処理は、例えば、各ピクセルの輝度値を、
〔処理後の輝度値〕=〔輝度上限値〕-〔処理前の輝度値〕
に変換することにより行われる。二値化処理後の画像では、反転処理は、「暗ピクセル」と「明ピクセル」を逆転することにより行われる。
【0043】
二値化処理前の画像では、第1および第2の画像の「合体」は、例えば、一方が反転処理されている第1および第2の画像の各ピクセルの輝度値の合算による画像生成、一方が反転処理され一方または両方をカラー化させた第1および第2の画像の重ね合わせにより行ってもよい。第1および第2の画像は、同じ処理が行われたものであってもよく、異なる処理が行われたものであってもよいが、同じ処理が行われたものが好ましい。
【0044】
二値化処理後の画像では、第1および第2の画像の「合体」は、例えば、「黒異物検出ピクセル」および「白異物検出ピクセル」を「異物検出ピクセル」とし、「黒異物検出ピクセル」および「白異物検出ピクセル」のいずれにも該当しないピクセルを「異物非検出ピクセル」とし、「異物検出ピクセル」および「異物非検出ピクセル」とをそれぞれ別の表示(例えば、黒色および白色)とする画像を生成させてもよい。あるいは、第1および第2の画像の「合体」は、「黒異物検出ピクセル」、「白異物検出ピクセル」、および「異物非検出ピクセル」をそれぞれ別の表示(例えば、別々のカラーおよび白色)とする画像を生成させてもよい。
【0045】
「CNN(Convolutional Neural Network)」とは、画像を入力する入力層、特徴量を抽出する中間層、異常の有無と種類を識別し結果を出力する出力層を有するニューラルネットワークモデルである。中間層では入力された画素値を基に特徴量を抽出する畳み込み層と畳み込みを行った特徴量の次元削減を行うプーリング層からなる。
上記ニューラルネットワークモデルに対し、事前に識別したい異常の情報を有した教師データから学習を行いモデルと構築することで、異常個所の検出・識別が可能となる。
【0046】
<特徴量算出工程>
異物存在の評価は、第1および第2の画像からそれぞれ異なる種類の異物の輝度を特徴量として算出する工程により行ってもよい。このように異物の輝度を特徴量として算出することにより、得られたデジタル画像データに基づいて異物の存在を同定することが可能となる。また、あらかじめ画像(二値化処理前)中の各異物存在部位の輝度値と異物の種類との対応関係を集計してデータベース化しておくことで、画像(二値化処理前)から得られる輝度値情報に応じて、異物の種類を特定することが可能となる。
【0047】
<本発明の方法の実施形態例>
本発明の方法の実施形態の一例を、
図2の模式図に示す。
図2では、撮像装置102がシート111の表面の真上で、シート111の表面と垂直の向きに配置され、光が撮像位置204の両側から照射される。この配置では、撮影角度が90度(垂直)となり、第1の相対角度214a(θ
1)および第2の相対角度214b(θ
2)は、それぞれ、第1の照射角度および第2の照射角度と等しくなる。第1の光源101aおよび第2の光源101bは、各々、撮像装置102を挟んで対称に配置され、それにより、第1の照射光201aおよび第2の照射光201bは、各々、撮像光軸203を挟んで対称に照射される。複数方向から光を照射することにより、異物の見逃し率を低下させることができる。複数方向から光を照射する光源としては、例えば、複数の位置に配置された点光源および線状光源、ならびに、環状光源が挙げられる。
【0048】
本発明の方法の実施形態のさらなる例を、
図3の模式図に示す。
図3では、シート111は、検査ステージ103上に設置される。検査ステージ103としては、回転式検査ステージが用いられている。検査ステージ103の上には、一対の第1の光源101a、一対の第2の光源101b、および撮像装置102を有する検査ユニット121が配置される。撮像装置102は、シート111の表面に対して垂直(90度)の撮影角度で配置される。一対の第1の光源101aおよび一対の第2の光源101bは、各々、撮像装置102を挟んで対称に配置される。一対の第1の光源101aおよび一対の第2の光源101bとしては、いずれも平行に配置されたバー光源が用いられている。撮像装置102としては、バー光源と平行な線状撮像素子を有する撮像装置を用いることが好ましい。検査ユニット121は、シート111の表面に対して平行でかつバー光源に対して垂直な方向に可動である。第1および第2の検査工程を、第1の光源101aおよび第2の光源101bを切り替えつつ検査ユニット121をシート111の表面上を走査(好ましくは、2回)させて、シート111の表面の画像(第1および第2の画像)を得る。検査ステージ103を回転させて、シート111を検査ユニット121の位置から移動させ、他の検査方法(例、X線検査)によりシート111の表面異物を検査し、本発明の検査方法の評価結果と組み合わせて異物を評価してもよい。
【0049】
(シート表面の異物検査装置)
本発明の方法に用いられるシート表面の異物検査装置は、例えば、
第1の光源、第2の光源、および撮像装置を備え、
第1の光源、第2の光源、および撮像装置が、
検査対象のシート表面に対する撮像装置の撮像角度と、第1の光源から当該シートに照射した光のシート表面に対する反射角度との相対角度が、0度以上20度以下となり、かつ、
当該撮像角度と、第2の光源から当該シートに照射した光のシート表面に対する反射角度との相対角度が、50度以上89度以下となるように配置される、
検査装置であってもよい。
【0050】
本発明の方法に用いられるシート表面の異物検査装置において、複数方向から同条件で光を照射して異物の見逃し率を低下させることが可能になる観点から、検査対象のシートの載置面に対する撮像角度が、90度(垂直)であることが好ましい。
【0051】
本発明の方法に用いられるシート表面の異物検査装置は、検査対象のシートを設置するための検査ステージをさらに備えてもよい。また、本発明の方法に用いられるシート表面の異物検査装置において、第1の光源、第2の光源、および撮像装置が、検査ユニットを形成してもよい。当該検査ユニットは、検査対象のシートの表面に対して平行に可動であってもよい。
【0052】
本発明の方法に用いられるシート表面の異物検査装置の各構成要素および検査装置に適用可能なシートの好適例は、上述のとおりである。
【実施例0053】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
【0054】
(製造例1:熱伝導シートの製造)
<組成物の調製>
難燃性樹脂としての常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名「ダイエルG-101」)70部と、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、商品名「ダイニオンFC2211」)30部と、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC300」、体積平均粒子径:50μm)90部とを、加圧ニーダー(日本スピンドル製)を用いて、温度150℃にて20分間撹拌混合した。次いで、得られた混合物を解砕機(大阪ケミカル社製、商品名「ワンダークラッシュミルD3V-10」)に投入して、10秒間解砕することにより、組成物を得た。
【0055】
<プレ熱伝導シートの形成>
次いで、得られた組成物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙700μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形(一次加圧)し、厚み0.8mmのプレ熱伝導シートを得た。
【0056】
<積層体の形成>
続いて、得られたプレ熱伝導シートを縦150mm×横150mm×厚み0.8mmに裁断し、プレ熱伝導シートの厚み方向に180枚積層し、更に、温度23℃、圧力0.7MPaで90分間、積層方向にプレス(二次加圧)することにより、高さ約150mmの積層体を得た。
【0057】
<熱伝導シートの形成>
その後、スライスに必要な長さを残して、得られた積層体の上面の全体を金属板で押え、積層方向に(即ち、上から)0.1MPaの圧力をかけて、積層体を固定した。なお、積層体の側面、背面の固定は行わなかった。このとき、積層体の温度は25℃であった。
次いで、サーボプレス機(放電精密加工研究所製)のプレス部分に、
図4に示す形状の切断刃10(両刃、刃角:20°、刃部の最大厚み:3.5mm、材質:超鋼、ロックウェル硬度:91.5、刃面のシリコン加工:なし、全長:200mm)を取り付け、スライス速度200mm/秒、スライス幅100μmの条件で積層体の積層方向(換言すれば、積層されたプレ熱伝導シートの主面の法線に一致する方向に)にスライスして、縦150mm×横150mm×厚み0.10mmの熱伝導シート30を得た。なお、スライス時の切断刃の姿勢は、
図4に示す角度αが10°になり、刃面11の延在方向が積層体20のスライス面21と平行な方向になる姿勢とした。得られた熱伝導シートを実施例1~実施例5、及び比較例1、2で用いた。
【0058】
(製造例2:実施例5で用いた熱伝導シートの製造)
製造例1の粒子状炭素材料を膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名「EC100」、体積平均粒子径:190μm)50部に変更した。それ以外は製造例1と同様に製造した。
【0059】
(熱伝導シート表面の異物の検査)
<実施例1>
検査ステージ(200mm×200mmの透明アクリル板)の上に製造例1で得られた熱伝導シート(150mm×150mm×0.1mm)を設置し、熱伝導シートの表面の垂線に対し40度(熱伝導シートの表面に対し50度)の照射角度から白色LEDバー照明(型番「LDL2-275X」CCS社製;色温度7,800K;消費電力27W)を照射し、真上(熱伝導シートの表面に対し90度の撮像角度、以下同じ)から8KのモノクロCMOSラインカメラ(Basler社製;型番「raL8192-12gm」;8192px×1px)で撮像した。照明およびカメラを熱伝導シートの表面に対し平行に走査しながら撮像して、シート表面の8bitのモノクロ画像を得た。得られた8bitのモノクロ画像を基に、画像処理ソフト(製品名「Image J」)にて、シート表面の画像の256階調換算輝度(以下、単に「輝度」という。)のヒストグラムを得た。ヒストグラムにおける輝度の半値全幅は、75であった。また、ヒストグラムにおけるピークトップをとる輝度の値は、95であった。これらのヒストグラムの評価から、製造例1で得られた熱伝導シートが本発明の方法に適用可能であることを確認した。
【0060】
第1の検査工程として、この熱伝導シートの表面の垂線に対し20度(熱伝導シートの表面に対し70度)の照射角度から白色バー照明を照射し、真上から8Kのラインカメラで撮像し得られたデジタル画像に対し、異物の輝度と、シートの輝度の差を画像処理ソフトにて測定したところ、シートの輝度の範囲が85~220、対象異物の輝度範囲が10~50、対象異物の輝度の最大値(絶対値)が50、異物の最大値とシートの最小値の輝度差が35となった。
【0061】
その後、第2の検査工程として、この熱伝導シートの表面の垂線に対し60度(熱伝導シートの表面に対し30度)の照射角度から白色バー照明を照射し、真上から8Kのラインカメラで撮像し得られたデジタル画像に対し、異物の輝度と、シートの輝度の差を画像処理ソフトにて測定したところ、シートの輝度の範囲が10~70、対象異物の輝度範囲が120~255、対象異物の輝度の最大値(絶対値)が120、異物の最大値とシートの最小値の輝度差が50となった。
【0062】
その後、第3の工程として、第1の工程で得られたデジタル画像、及び第2の工程で得られたデジタル画像に対して画像処理部(オリジナルソフト)にて平滑化処理とエッジ検出などの画像処理を行ったあと、画像を二値化処理したものをデータベース上で合体させ、異物の詳細を把握した。
【0063】
<実施例2>
実施例1における第1の工程の熱伝導シートの表面の垂線に対する照射角度を0度(熱伝導シートの表面に対し90度)とした。それ以外は実施例1と同様とした。
【0064】
<実施例3>
実施例1における第2の工程の熱伝導シートの表面の垂線に対する照射角度を50度(熱伝導シートの表面に対し40度)とした。それ以外は実施例1と同様とした。
【0065】
<実施例4>
実施例1における第2の工程の熱伝導シートの表面の垂線に対する照射角度を89度(熱伝導シートの表面に対し1度)とした。それ以外は実施例1と同様とした。
【0066】
<実施例5>
熱伝導シートとして製造例2で得られた熱伝導シートを用いた以外は実施例1と同様に行った。なお、輝度ヒストグラムの評価(表1に示す)から、製造例2で得られた熱伝導シートが本発明の方法に適用可能であることを確認した。
【0067】
<比較例1>
実施例1における第1の工程の熱伝導シートの表面の垂線に対する照射角度を30度(熱伝導シートの表面に対し60度)とした。それ以外は実施例1と同様とした。
【0068】
<比較例2>
実施例1における第2の工程の熱伝導シートの表面の垂線に対する照射角度を40度(熱伝導シートの表面に対し50度)とした。それ以外は実施例1と同様とした。
【0069】
(評価方法)
<見逃し率>
検査によって得られた異物の情報と、目視で数えた異物の個数の整合性を確認した。目視で確認出来た異物の個数に対し、見落としていた検査による異物の数の差を以下の基準で分類した。
実際に発生している異物数に対し、検査によって得られた異物の情報において異物だと判定しなかった割合を以下の基準で分類した。
〇:見逃しの数が0%以上3%以下
△:見逃しの数が3%超10%以下
×:見逃しの数が10%超
【0070】
結果を表1に示す。
【0071】
【0072】
表1の結果から、実施例1~5の検査条件では、検査による異物の見逃し率が抑制され、特に、実施例1~3および5の検査条件では、検査による異物の見逃し率が大幅に抑制されることが示された。