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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158054
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】押出成形用ダイ
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/32 20190101AFI20221006BHJP
【FI】
B29C48/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062678
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤井 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 輝倫
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207KA01
4F207KA17
4F207KL57
4F207KL88
4F207KL99
(57)【要約】
【課題】メンテナンス費用の抑制が可能な押出成形用ダイを提供すること。
【解決手段】押出成形用ダイは、マンドレルを備える。マンドレルは、中心軸の軸方向に延びる筒状のマンドレル本体と、マンドレル本体の内周に挿入され、且つ、第1のガス流路が貫通して設けられるノズルと、を有する。ノズルの軸方向の一方側の先端は、マンドレル本体の軸方向の一方側の先端よりも軸方向の一方側に位置する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンドレルを備える押出成形用ダイであって、
前記マンドレルは、
中心軸の軸方向に延びる筒状のマンドレル本体と、
前記マンドレル本体の内周に挿入され、且つ、第1のガス流路が貫通して設けられるノズルと、を有し、
前記ノズルの軸方向の一方側の先端は、前記マンドレル本体の軸方向の一方側の先端よりも前記軸方向の一方側に位置する、
押出成形用ダイ。
【請求項2】
前記マンドレルは、
前記ノズルと前記マンドレル本体とを連結し、且つ、前記マンドレル本体に対して前記ノズルを支持する支持部材を更に有し、
前記支持部材は、前記軸方向に交差する径方向に沿って延びる第1面を有し、
前記マンドレル本体は、前記第1面に接する第2面を有する、
請求項1に記載の押出成形用ダイ。
【請求項3】
前記支持部材には、前記ノズルの前記第1のガス流路に連通可能な第2のガス流路が設けられ、
前記第2のガス流路に連通可能な、第3のガス流路が設けられるガス流通部材を更に備える、
請求項2に記載の押出成形用ダイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、押出成形用ダイに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂の成形品を製造するための装置として押出成形用ダイが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の押出成形用ダイは、ダイ本体と、マンドレルと、を備える。マンドレルは、ダイ本体の内部に組み付けられる。マンドレルには、ガスが流通可能なガス流路が設けられる。また、ダイ本体には、樹脂供給路が設けられる。従って、前記押出成形用ダイによれば、マンドレルの先端部からガスが排出されつつ、樹脂供給路に流入した溶融樹脂が樹脂排出口から押し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-251680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マンドレルは、根本部から先端部に向かうに従って径が細くなるため、マンドレルの先端部は根本部よりも剛性が低い。従って、マンドレルをダイ本体に組み付けるとき、または、マンドレルをダイ本体から取り外すときなどに、マンドレルの先端部に荷重が加わると、マンドレルの先端部が変形する場合がある。マンドレルの先端部の変形量が押出成形用ダイでの調整量を超えると、マンドレル全体を交換する必要があり、押出成形用ダイのメンテナンス費用が増大する可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、メンテナンス費用の抑制が可能な押出成形用ダイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様の押出成形用ダイは、マンドレルを備える押出成形用ダイであって、前記マンドレルは、中心軸の軸方向に延びる筒状のマンドレル本体と、前記マンドレル本体の内周に挿入され、且つ、第1のガス流路が貫通して設けられるノズルと、を有し、前記ノズルの軸方向の一方側の先端は、前記マンドレル本体の軸方向の一方側の先端よりも前記軸方向の一方側に位置する。
【0007】
マンドレルを組み付けて押出成形用ダイを作製するとき、または、マンドレルを押出成形用ダイから取り外すときなどに、マンドレルの先端部に荷重が加わると、ノズルが変形する場合がある。特に、ノズルの軸方向の先端がマンドレル本体よりも突き出ているため、よりノズルが変形しやすい。ここで、本開示において、マンドレルは、ノズルとマンドレル本体とに分かれている。従って、ノズルが変形した場合は、ノズルのみを交換すればよく、マンドレル全体を交換する必要がない。これに対して、特許文献1のように、ノズルとマンドレル本体とが一体化されたマンドレルでは、先端部が変形した場合にはマンドレル全体を交換する必要がある。以上より、本開示によれば、押出成形用ダイのメンテナンス費用を抑制することが可能となる。
【0008】
本開示の押出成形用ダイの一態様として、前記マンドレルは、前記ノズルと前記マンドレル本体とを連結し、且つ、前記マンドレル本体に対して前記ノズルを支持する支持部材を更に有し、前記支持部材は、前記軸方向に交差する径方向に沿って延びる第1面を有し、前記マンドレル本体は、前記第1面に接する第2面を有することが望ましい。
【0009】
このように、支持部材の第1面とマンドレル本体の第2面とが接するため、第1面と第2面とが接した状態において、マンドレル本体に対する支持部材の軸方向の位置が決まる。また、ノズルは支持部材に支持される。従って、第1面と第2面とが接した状態において、マンドレル本体に対してノズルの軸方向の位置が決まる。以上より、支持部材によって、マンドレル本体に対するノズルの軸方向の位置決めが容易になる。
【0010】
本開示の押出成形用ダイの一態様として、前記支持部材には、前記ノズルの前記第1のガス流路に連通可能な第2のガス流路が設けられ、前記第2のガス流路に連通可能な、第3のガス流路が設けられるガス流通部材を更に備えることが望ましい。
【0011】
これによれば、ガス流通部材を組み付けて押出成形用ダイを作製することにより、第3のガス流路を第2のガス流路に容易に連通させることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、メンテナンス費用の抑制が可能な押出成形用ダイを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態の押出成形用ダイおよび押出機の模式的な側面図である。
図2図2は、本実施形態の押出成形用ダイを前方側から見た模式図である。
図3図3は、図2の一部を拡大した模式図である。
図4図4は、図2のIV-IV線による断面図である。
図5図5は、図4のA部分を拡大した断面図である。
図6図6は、本実施形態のマンドレルの断面図である。
図7図7は、図6を分解した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、同一構造の部位には同一符号を付けて、説明を省略する。なお、三次元座標において、X方向はマンドレルの中心軸Axの軸方向、Y方向は幅方向、Z方向は上下方向を示す。さらに、X1方向は、図における前方を示し、X2方向は後方を示す。また、X1側は軸方向の一方側であり、X2側は軸方向の他方側とも称する。Y1方向は、幅方向のうちの一方方向を示し、Y2方向は、他方向を示す。Z1方向は、上方を示し、Z2方向は、下方を示す。従って、以下の説明において、例えば、前方をX1方向と称したり、上方をZ1方向と称したりする場合などがある。
【0015】
図1は、本実施形態の押出成形用ダイおよび押出機の模式的な側面図である。図2は、本実施形態の押出成形用ダイを前方側から見た模式図である。図3は、図2の一部を拡大した模式図である。図4は、図2のIV-IV線による断面図である。図5は、図4のA部分を拡大した断面図である。図6は、本実施形態のマンドレルの断面図である。図7は、図6を分解した断面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る押出成形用ダイ100は、例えば、溶融樹脂を円筒状に成形してポリ塩化ビニル製のチューブなどを製造する装置である。押出成形用ダイ100の後方側(X2側)には、押出機150が接続されている。押出機150は、樹脂供給部151を有する。また、押出成形用ダイ100は、樹脂流路152,153を有する。樹脂供給部151は、樹脂流路152,153と連通している。従って、図1に矢印で示すように、溶融樹脂300は、押出機150の樹脂供給部151から押出成形用ダイ100の樹脂流路152,153を介して樹脂流出部154から流出される。
【0017】
次に、本実施形態に係る押出成形用ダイ100の構成を詳細に説明する。図4に示すように、押出成形用ダイ100は、ダイリング1と、マンドレル台座2と、マンドレル10と、マンドレル台座2の内方に連結された取付部材6と、を備える。なお、マンドレル台座2および取付部材6は、ガス流通部材とも称される。
【0018】
図4に示すように、ダイリング1は、円筒部材である。ダイリング1は、大径部11および小径部12を有する。大径部11は、ダイリング1における前方側(X1側)に位置する。大径部11の前端面14は、平面である。前端面14の径方向中央部に樹脂流出部154が設けられる。小径部12は、大径部11の後方側(X2側)に位置する。小径部12の外周面12aは、テーパ面である。具体的には、外周面12aは、後方側(X2側)に行くに従って径が小さくなる。また、小径部12の後端には、端面121、122が設けられる。端面121、122は、それぞれ平面である。端面121は、端面122よりもX2側に位置する。
【0019】
また、図2に示すように、ダイリング1の大径部11の前端面14において、径方向の中央部に樹脂流出部154が設けられ、前端面14における径方向外側端部には、周方向に沿って等間隔で複数(実施形態では6本)のボルトBLが配置される。このボルトBLは、図1に示すように、ダイリング1とマンドレル台座2とを連結する。
【0020】
図4に示すように、マンドレル台座2は、円筒部材である。マンドレル台座2は、大径部21および小径部22を有する。大径部21は、マンドレル台座2における後方側(X2側)に位置する。小径部22は、大径部21の前方側(X1側)に位置する。小径部22は、フランジ221を有する。フランジ221は、前方側(X1側)に突出する。フランジ221は、中心軸Axの軸回りの周方向に沿って延びる円筒状の形状を有する。フランジ221の外周面221bは、円筒面である。フランジ221の内周面221aは、テーパ面である。具体的には、内周面221aは、前方側(X1側)に行くに従って径が大きくなる。フランジ221の内周面221aは、小径部12の外周面12aに接する。また、マンドレル台座2には、端面223、224が設けられる。端面223、224は、軸方向に交差(直交)する径方向に延びる。端面223、224は、それぞれ平面である。端面223は、端面224よりもX1側に位置する。端面223は、端面121と接する。また、端面224と端面122との間には、周方向に沿って延びる空隙225が設けられる。
【0021】
マンドレル10の後端部が取付部材6に嵌合される。取付部材6の前部には、前方側(X1側)に突出するフランジ61が設けられる。フランジ61は、円筒状である。フランジ61は、前端61aを有する。フランジ61の内周側には凹部6bが設けられ、凹部6bには、マンドレル10の後端部が嵌合される。取付部材6の外周面6aは、後方側(X2側)に向けて突出する。なお、マンドレル台座2と取付部材6とは、図示しない連結部材を介して連結されている。この連結部材は、例えば、径方向に延びる。また、連結部材は、例えば、周方向に等間隔で複数(例えば3本)設けられる。このように、マンドレル台座2、取付部材6、および、図外の連結部材は、一体(1部品)である。
【0022】
また、図4に示すように、マンドレル台座2の内周面2aと、ダイリング1の内周面13とは、連続している。また、取付部材6の外周面6aと、マンドレル本体3の外周面311とは、連続している。ここで、樹脂流路152(図1および図4参照)は、マンドレル台座2の内周面2aと、取付部材6の外周面6aとで囲まれた間隙である。樹脂流路153(図1および図4参照)は、ダイリング1の内周面13と、マンドレル本体3の外周面311とで囲まれた間隙である。樹脂流路152と樹脂流路153とは連通している。
【0023】
なお、図4に示すように、押出成形用ダイ100には、ガス流路が設けられる。即ち、ガス流路は、複数のガス流路210、211、212、213、214、215、216が連通されて構成される。
【0024】
具体的には、ガス流路(第3のガス流路)201は、ガス流路210、211、212、213を含む。前述したように、マンドレル台座2および取付部材6がガス流通部材であり、このガス流通部材(マンドレル台座2および取付部材6)にガス流路(第3のガス流路)201が設けられる。ガス流路210の内周には、雌ねじが設けられる。ガス流路210およびガス流路211は、Z方向に延びる。また、ガス流路212およびガス流路213は、X方向に延びる。第2のガス流路は、ガス流路214およびガス流路215を含む。第2のガス流路は、支持部材4に設けられる。第1のガス流路は、ガス流路216を含む。第1のガス流路は、ノズル5に設けられる。これによれば、ガス200は、ガス流路210から流入したのち、ガス流路211、212、213、214、215を通ったのち、図5に示すガス流路216の先端から排出される。第2および第3のガス流路の構成については、詳細に後述する。
【0025】
図6および図7に示すように、マンドレル10は、マンドレル本体3と、支持部材4と、ノズル5と、を備える。
【0026】
図6および図7に示すように、マンドレル本体3は、中心軸Axの軸方向に沿って延びる。マンドレル本体3は、ベース31と、突出部32と、を有する。ベース31は、前方側(X1側)に行くに従って径が小さくなる略円錐形状を有する。即ち、ベース31の外周面311は、テーパ面である。ベース31の後方側(X2側)には、端面313が設けられる。端面313は、径方向に延びる平面である。端面313は、図4に示すように、取付部材6のフランジ61の前方側(X1側)の前端61aと接する。突出部32は、ベース31の後方側(X2側)に設けられる。突出部32の外周面321は、雄ねじを有する。ここで、図4に示す取付部材6のフランジ61の内周面は雌ねじを有し、この雌ねじに、突出部32の外周面321の雄ねじが噛み合う。また、突出部32の後方側(X2側)には、端面(第2面)322が設けられる。端面(第2面)322は、径方向に延びる平面である。マンドレル本体3には、貫通孔331、332、333、334が設けられる。貫通孔331、332、333、334のうち、貫通孔331が最も径が大きく、貫通孔332は貫通孔331よりも径が小さく、貫通孔333は貫通孔332よりも径が小さく、貫通孔334が最も径が小さい。貫通孔331の内周には、雌ねじが形成される。
【0027】
図6および図7に示すように、ノズル5は、中心軸Axの軸方向に沿って延び、内部にガス流路(第1のガス流路)216が設けられる。ノズル5は、大径部51と、ノズル部52と、を備える。大径部51は、ノズル部52よりも径が大きい。大径部51の内部には、嵌合孔511が設けられる。嵌合孔511は、ガス流路216と連通する。嵌合孔511の内周には雌ねじが形成される。ノズル部52は、大径部51の前方側(X1側)に設けられる。ノズル部52は、マンドレル本体3の貫通孔333、334に挿入される。なお、図6に示すように、ノズル部52のX1側(軸方向の一方側)の先端は、マンドレル本体3のX1側(軸方向の一方側)の先端312よりもX1側に位置する。
【0028】
図6および図7に示すように、支持部材4は、中心軸Axの軸方向に沿って延びる。支持部材4は、大径部41と、中径部42と、小径部43と、を備える。大径部41には、ガス流路214が設けられる。大径部41における前方側(X1側)の端面(第1面)411は、径方向に延びる平面である。端面(第1面)411は、円環状である。端面411は、図6に示すように、マンドレル本体3の端面(第2面)322と接する。端面(第1面)411および端面(第2面)322は、ともに径方向に延びる。なお、径方向は、軸方向に交差(直交)する方向である。中径部42は、大径部41の前方側(X1側)に配置される。中径部42は、大径部41よりも径が小さい。中径部42の外周には、雄ねじが形成される。中径部42の雄ねじは、マンドレル本体3の貫通孔331の雌ねじと噛み合う。小径部43は、中径部42の前方側(X1側)に配置される。小径部43は、中径部42よりも径が小さい。小径部43の外周には、雄ねじが形成される。小径部43の雄ねじは、ノズル5の嵌合孔511の雌ねじと噛み合う。
【0029】
次いで、図7を参照してマンドレル10の組付手順を説明する。まず、支持部材4をノズル5に取り付ける。具体的には、支持部材4を前方側(X1側)に移動させつつ中心軸Axの軸回り方向に回転させることにより、小径部43をノズル5の嵌合孔511に締結させる。これにより、支持部材4とノズル5とが一体になる。
【0030】
次に、支持部材4およびノズル5をマンドレル本体3に組み付ける。具体的には、ノズル部52をマンドレル本体3の貫通孔331に挿入し、そのまま前方側(X1側)に向けて移動させ、ノズル部52をマンドレル本体3の貫通孔333、334に挿入させる。このとき、ノズル5の大径部51は、貫通孔332に収納される。そして、支持部材4を中心軸Axの軸回り方向に回転させることにより、中径部42をノズル5の貫通孔331に締結させる。支持部材4を回転させると、支持部材4がマンドレル本体3に近づくが、端面(第1面)411が端面(第2面)322と接した時点で、マンドレル10の組付が完了する。なお、図6に示すように、マンドレル10の組付けが完了した状態では、ノズル部52の先端521は、マンドレル本体3のベース31の先端312よりも前方側(X1側)に突き出ている。
【0031】
次に、図3および図5を参照して、樹脂流出部154の近傍部の構成を説明する。図5に示すように、ダイリング1の内周面13は、第1内周面131と、第2内周面132と、を有する。第1内周面131は、中心軸Axの軸方向に対して傾斜する。第2内周面132は、中心軸Axの軸方向に沿って延びる。従って、樹脂流出部154の近傍部においては、ノズル部52の外周面と第2内周面132との間の間隙が樹脂流路153となる。
【0032】
従って、図3に示すように、樹脂流路153は、円環状の形状を有する。また、ガス流路216は、円形である。ガス流路216は、径方向の中央部に配置され、ガス流路216の外周側に樹脂流路153が配置される。これにより、ガス流路216からガスが排出されながら、樹脂流路153から溶融樹脂が流出するため、チューブ状の樹脂成形品を製造することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る押出成形用ダイ100は、マンドレル10を備える。マンドレル10は、中心軸Axの軸方向に延びる筒状のマンドレル本体3と、マンドレル本体3の内周に挿入され、且つ、ガス流路(第1のガス流路)216が貫通して設けられるノズル5と、を有する。ノズル部52のX1側(軸方向の一方側)の先端は、マンドレル本体3のX1側(軸方向の一方側)の先端312よりもX1側に位置する。
【0034】
マンドレル10を組み付けて押出成形用ダイ100を作製するとき、または、マンドレル10を押出成形用ダイ100から取り外すときなどに、マンドレル10の先端部に荷重が加わると、ノズル5が変形する場合がある。特に、ノズル5の軸方向の先端がマンドレル本体3よりも突き出ているため、よりノズル5が変形しやすい。ここで、本実施形態において、マンドレル10は、ノズル5とマンドレル本体3とに分かれている。従って、ノズル5が変形した場合は、ノズル5のみを交換すればよく、マンドレル10全体を交換する必要がない。これに対して、特許文献1のように、ノズルとマンドレル本体とが一体化されたマンドレルでは、先端部が変形した場合にはマンドレル全体を交換する必要がある。以上より、本実施形態によれば、押出成形用ダイ100のメンテナンス費用を抑制することが可能となる。
【0035】
マンドレル10は、ノズル5とマンドレル本体3とを連結し、且つ、マンドレル本体3に対してノズル5を支持する支持部材4を更に有する。支持部材4は、径方向に沿って延びる端面(第1面)411を有する。マンドレル本体3は、端面(第1面)411に接する端面(第2面)322を有する。
【0036】
このように、支持部材4の端面(第1面)411とマンドレル本体3の端面(第2面)322とが接するため、端面(第1面)411と端面(第2面)322とが接した状態において、マンドレル本体3に対する支持部材4の軸方向の位置が決まる。また、ノズル5は支持部材4に支持される。従って、端面(第1面)411と端面(第2面)322とが接した状態において、マンドレル本体3に対してノズル5の軸方向の位置が決まる。以上より、支持部材4によって、マンドレル本体3に対するノズル5の軸方向の位置決めが容易になる。
【0037】
また、支持部材4には、ノズル5のガス流路(第1のガス流路)216に連通可能な第2のガス流路(ガス流路214、215)が設けられる。そして、押出成形用ダイ100は、ガス流通部材(マンドレル台座2および取付部材6)を更に備える。ガス流通部材には、第2のガス流路に連通可能な、第3のガス流路(ガス流路210、211、212、213)が設けられる。
【0038】
これによれば、ガス流通部材(マンドレル台座2および取付部材6)を組み付けて押出成形用ダイ100を作製することにより、第3のガス流路を第2のガス流路に容易に連通させることが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1 ダイリング
2 マンドレル台座(ガス流通部材)
2a 内周面
3 マンドレル本体
4 支持部材
5 ノズル
6 取付部材(ガス流通部材)
6a 外周面
6b 凹部
10 マンドレル
11 大径部
12 小径部
12a 外周面
13 内周面
14 前端面
21 大径部
22 小径部
31 ベース
32 突出部
41 大径部
42 中径部
43 小径部
51 大径部
52 ノズル部
61 フランジ
61a 前端
100 押出成形用ダイ
121 端面
122 端面
131 第1内周面
132 第2内周面
150 押出機
151 樹脂供給部
152、153 樹脂流路
154 樹脂流出部
200 ガス
201 ガス流路(第3のガス流路)
210、211、212、213 ガス流路(第3のガス流路)
214、215 ガス流路(第2のガス流路)
216 ガス流路(第1のガス流路)
221 フランジ
221a 内周面
221b 外周面
223、224 端面
225 空隙
300 溶融樹脂
311 外周面
312 先端
313 端面
321 外周面
322 端面(第2面)
331、332、333 貫通孔
411 端面(第1面)
511 嵌合孔
BL ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7