(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158358
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 11/04 20060101AFI20221006BHJP
C10G 1/10 20060101ALI20221006BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20221006BHJP
【FI】
C08J11/04 ZAB
C10G1/10
B09B3/00 303E
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063178
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀口 忠洋
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平松 義文
【テーマコード(参考)】
4D004
4F401
4H129
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004BA06
4D004CA15
4D004CA29
4D004CB31
4D004CC15
4D004DA20
4F401AA09
4F401AA10
4F401CA59
4F401CB01
4F401CB18
4F401EA51
4F401FA05Z
4H129BA04
4H129BB03
(57)【要約】
【課題】廃プラスチックの分解性を向上できる分解処理用混合物の製造方法の提供。
【解決手段】溶融廃プラスチックと原料油とを撹拌槽で混合して溶融廃プラスチック混合油を調製する第1調製工程と、溶融廃プラスチック混合油と原料油とをライン混合装置で混合して廃プラスチック分解処理用混合物を調製する第2調製工程とを有し、溶融廃プラスチックの溶融粘度を粘度A、溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度を粘度B、及び廃プラスチック分解処理用混合物の溶融粘度を粘度Cが下記数式を満たし、分解処理用混合物の40meshフィルターの通過割合が90質量%以上である分解処理用混合物の製造方法。
1.0×10
6mPa・s≦粘度A≦1.0×10
8mPa・s…(数1)
5.0mPa・s<粘度C≦50mPa・s…(数2)
粘度C/粘度B≦1/20 …(数3)
(粘度A~粘度Cは200℃の溶融粘度(mPa・s)である。)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを分解処理装置で分解するための廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法であって、
溶融装置で溶融された溶融廃プラスチックと、1以上の第1供給ラインから供給された原料油とを、第1攪拌手段を備える撹拌槽で混合することにより溶融廃プラスチック混合油を調製する第1調製工程と、
前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油と、1以上の第2供給ラインから供給された原料油とを、第2攪拌手段を備えるライン混合装置で混合することにより廃プラスチック分解処理用混合物を調製する第2調製工程と、を有し、
前記溶融廃プラスチックの溶融粘度を粘度Aとし、前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度を粘度Bとし、前記第2調製工程で調製された前記廃プラスチック分解処理用混合物の溶融粘度を粘度Cとしたとき、
前記粘度Aが下記数式(数1)を満たし、
前記粘度Cが下記数式(数2)を満たし、
前記粘度Bに対する前記粘度Cの粘度比(前記粘度C/前記粘度B)が下記数式(数3)を満たすように前記第1調製工程及び前記第2調製工程を実施し、
前記廃プラスチック分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、前記廃プラスチック分解処理用混合物の前記フィルターの通過割合が90質量%以上である、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
1.0×106mPa・s≦粘度A≦1.0×108mPa・s …(数1)
5.0mPa・s<粘度C≦50mPa・s …(数2)
粘度C/粘度B≦1/20 …(数3)
(前記数式(数1)~(数3)において、前記粘度A、前記粘度B、及び前記粘度Cは、いずれも200℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
【請求項2】
廃プラスチックを分解処理装置で分解するための廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法であって、
溶融装置で溶融された溶融廃プラスチックと、1以上の第1供給ラインから供給された原料油とを、第1攪拌手段を備える撹拌槽で混合することにより溶融廃プラスチック混合油を調製する第1調製工程と、
前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油と、1以上の第2供給ラインから供給された原料油とを、第2攪拌手段を備えるライン混合装置で混合することにより廃プラスチック分解処理用混合物を調製する第2調製工程と、を有し、
前記溶融廃プラスチックの溶融粘度を粘度Aとし、前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度を粘度Bとし、前記第2調製工程で調製された前記廃プラスチック分解処理用混合物の溶融粘度を粘度Cとしたとき、
前記粘度Aが下記数式(数1)を満たし、
前記粘度Aに対する前記粘度Bの粘度比(前記粘度B/前記粘度A)が下記数式(数2X)を満たし、
前記粘度Bに対する前記粘度Cの粘度比(前記粘度C/前記粘度B)が下記数式(数3)を満たすように前記第1調製工程及び前記第2調製工程を実施し、
前記廃プラスチック分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、前記廃プラスチック分解処理用混合物の前記フィルターの通過割合が90質量%以上である、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
1.0×106mPa・s≦粘度A≦1.0×108mPa・s …(数1)
粘度B/粘度A≦1/1 …(数2X)
粘度C/粘度B≦1/20 …(数3)
(前記数式(数1)、(数2X)及び(数3)において、前記粘度A、前記粘度B、及び前記粘度Cは、いずれも200℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第1供給ライン及び前記第2供給ラインは、互いに同一の供給ラインであるか、又は互いに異なる供給ラインである、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第1調製工程は、1以上10以下の前記攪拌槽を用いて、前記溶融廃プラスチック混合油を調製し、
前記攪拌槽が2以上の場合、2以上の前記攪拌槽は、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて配置される、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第1調製工程は、循環ラインを介して前記攪拌槽の少なくともいずれかに第1循環油及び第2循環油の少なくとも一方を供給する第1循環油供給工程を有し、
前記第1循環油は、前記攪拌槽の少なくともいずれかで調製された前記溶融廃プラスチック混合油であり、
前記第2循環油は、前記ライン混合装置の少なくともいずれかで調製された前記廃プラスチック分解処理用混合物であり、
前記第1循環油及び前記第2循環油の少なくとも一方が供給された前記攪拌槽は、前記第1循環油及び前記第2循環油の少なくとも一方と、前記溶融廃プラスチックと、前記原料油とを混合する、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第2調製工程は、1以上10以下の前記ライン混合装置を用いて、前記廃プラスチック分解処理用混合物を調製し、
前記ライン混合装置が2以上の場合、2以上の前記ライン混合装置は、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて配置される、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第2調製工程は、循環ラインを介して前記ライン混合装置の少なくともいずれかに第2循環油を供給する第2循環油供給工程を有し、
前記第2循環油は、前記ライン混合装置の少なくともいずれかで調製された前記廃プラスチック分解処理用混合物であり、
前記第2循環油が供給された前記ライン混合装置は、前記第2循環油と、前記溶融廃プラスチック混合油と、前記原料油とを混合する、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項8】
請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記原料油、軽質炭化水素油、ナフサ、軽油、及び前記原料油とは異なる重質炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種の他の追加原料油を、1以上の追加原料供給ラインから供給する追加原料供給工程をさらに有する、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第1調製工程は、前記攪拌槽の少なくともいずれかに前記追加原料油を供給する前記追加原料供給工程をさらに有し、
前記追加原料油が供給された前記攪拌槽は、前記追加原料油と、前記溶融廃プラスチックと、前記原料油とを混合する、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項10】
請求項7または請求項8に記載の廃プラスチック製造方法において、
前記第2調製工程は、前記ライン混合装置の少なくともいずれかに前記追加原料油を供給する前記追加原料供給工程をさらに有し、
前記追加原料油が供給された前記ライン混合装置は、前記追加原料油と、前記溶融廃プラスチック混合油と、前記原料油とを混合する、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第1調製工程における前記攪拌槽での混合は、温度175℃以上260℃以下、前記第1攪拌手段の回転数3rpm以上1,000rpm以下の条件で行う、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第2調製工程における前記ライン混合装置での混合は、温度160℃以上260℃以下、前記第2攪拌手段の回転数10rpm以上20,000rpm以下の条件で行う、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記溶融装置で溶融された前記廃プラスチックの溶融温度は、175℃以上260℃以下であり、
前記第1供給ライン中の原料油の温度は、80℃以上240℃以下であり、
前記第2供給ライン中の原料油の温度は、80℃以上240℃以下である、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記原料油は、重質分解軽油、分解残渣油、常圧残渣油、脱硫残渣油、脱硫減圧軽油、未脱硫減圧軽油、未脱硫減圧残渣油、及び鉱油からなる群から選ばれる少なくとも1種である、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記溶融装置は、混練機である、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記ライン混合装置は、インラインミキサー、ラインミキサー、及び連続式ミキサーのいずれかである、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記分解処理装置は、流動接触分解装置である、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記溶融廃プラスチックは、ポリエチレンに由来する廃プラスチック及びポリプロピレンに由来する廃プラスチックの少なくともいずれかを含む廃プラスチックの溶融物である、
廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックの有効利用率の低さ、及び海洋プラスチック等による環境汚染が世界的な課題となっている。
廃プラスチックをリサイクルするための方法の1つとして、ケミカルリサイクルが挙げられる。ケミカルリサイクルの技術については、従来より、様々な検討がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、プラスチック材料(1)を溶融させてプラスチック溶融物を形成し、脱ガスした後、解重合反応装置(3)へと送ることを含み、粗油から得られた留分を溶媒(6)として前記プラスチック溶融物に添加することにより、前記解重合反応装置(3)に供給されるそのプラスチック溶融物溶液の粘度を前記プラスチック溶融物の粘度よりも低下させることを特徴とする方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、炭化水素系重合体を流動接触分解(FCC)装置にて分解処理する方法において、該炭化水素系重合体と、FCCガソリン、軽質分解軽油、重質分解軽油、分解残渣油、常圧残渣油及び脱硫残渣油から選ばれる炭化水素油との混合物をFCC原料油に混ぜ、FCC装置に供給することを特徴とする炭化水素系重合体の分解製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-518906号公報
【特許文献2】特開2002-294251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、プラスチック溶融物に溶媒を添加することで、プラスチック溶融物溶液の粘度を低下させることが記載されている。しかしながら、単に溶媒を添加しただけのプラスチック溶融物溶液は分離し易いため、特許文献1に記載の方法では、混合性が不十分な状態のプラスチック溶融物溶液が解重合反応装置に供給されることがある。その結果、プラスチック材料の分解性を十分向上できないことがある。
なお、特許文献1には、プラスチック材料の混合方法として、解重合反応装置からプラスチック溶融物をポンプで連続的に外に出し、解重合反応装置に再循環させる方法が開示されているが、この方法では、分解対象であるプラスチック溶融物を再循環させることになるため、解重合反応装置に供給されるプラスチック溶融物に対する、プラスチック材料の分解性を向上させることは難しいと考えられる。
特許文献2には、触媒反応により、原油中の高沸点留分を付加価値の高いガソリン等に分解できるFCC装置を用いて、炭化水素系重合体と炭化水素油との混合物を分解する方法が開示されているが、特許文献2は、炭化水素油への炭化水素系重合体の溶解性、具体的には、炭化水素系重合体と炭化水素油との混合性に何ら着目していない。そのため、特許文献2に記載の方法においても、混合性が不十分な状態の前記混合物がFCC原料油に混ぜられてFCC装置に供給されることがある。その結果、炭化水素系重合体の分解性を十分向上できないことがある。
【0007】
本発明は、廃プラスチックの分解性を向上できる廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、廃プラスチックを分解処理装置で分解するための廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法であって、
溶融装置で溶融された溶融廃プラスチックと、1以上の第1供給ラインから供給された原料油とを、第1攪拌手段を備える撹拌槽で混合することにより溶融廃プラスチック混合油を調製する第1調製工程と、
前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油と、1以上の第2供給ラインから供給された原料油とを、第2攪拌手段を備えるライン混合装置で混合することにより廃プラスチック分解処理用混合物を調製する第2調製工程と、を有し、
前記溶融廃プラスチックの溶融粘度を粘度Aとし、前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度を粘度Bとし、前記第2調製工程で調製された前記廃プラスチック分解処理用混合物の溶融粘度を粘度Cとしたとき、前記粘度Aが下記数式(数1)を満たし、前記粘度Cが下記数式(数2)を満たし、前記粘度Bに対する前記粘度Cの粘度比(前記粘度C/前記粘度B)が下記数式(数3)を満たすように前記第1調製工程及び前記第2調製工程を実施し、
前記廃プラスチック分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、前記廃プラスチック分解処理用混合物の前記フィルターの通過割合が90質量%以上である、廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法が提供される。
1.0×106mPa・s≦粘度A≦1.0×108mPa・s …(数1)
5.0mPa・s<粘度C≦50mPa・s …(数2)
粘度C/粘度B≦1/20 …(数3)
(前記数式(数1)~(数3)において、前記粘度A、前記粘度B、及び前記粘度Cは、いずれも200℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
【0009】
本発明の一態様によれば、廃プラスチックを分解処理装置で分解するための廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法であって、
溶融装置で溶融された溶融廃プラスチックと、1以上の第1供給ラインから供給された原料油とを、第1攪拌手段を備える撹拌槽で混合することにより溶融廃プラスチック混合油を調製する第1調製工程と、
前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油と、1以上の第2供給ラインから供給された原料油とを、第2攪拌手段を備えるライン混合装置で混合することにより廃プラスチック分解処理用混合物を調製する第2調製工程と、を有し、
前記溶融廃プラスチックの溶融粘度を粘度Aとし、前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度を粘度Bとし、前記第2調製工程で調製された前記廃プラスチック分解処理用混合物の溶融粘度を粘度Cとしたとき、前記粘度Aが下記数式(数1)を満たし、前記粘度Aに対する前記粘度Bの粘度比(前記粘度B/前記粘度A)が下記数式(数2X)を満たし、前記粘度Bに対する前記粘度Cの粘度比(前記粘度C/前記粘度B)が下記数式(数3)を満たすように前記第1調製工程及び前記第2調製工程を実施し、
前記廃プラスチック分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、前記廃プラスチック分解処理用混合物の前記フィルターの通過割合が90質量%以上である、廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法が提供される。
1.0×106mPa・s≦粘度A≦1.0×108mPa・s …(数1)
粘度B/粘度A≦1/1 …(数2X)
粘度C/粘度B≦1/20 …(数3)
(前記数式(数1)、(数2X)及び(数3)において、前記粘度A、前記粘度B、及び前記粘度Cは、いずれも200℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
【0010】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記第1供給ライン及び前記第2供給ラインは、互いに同一の供給ラインであるか、又は互いに異なる供給ラインであることが好ましい。
【0011】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記第1調製工程は、1以上10以下の前記攪拌槽を用いて、前記溶融廃プラスチック混合油を調製し、前記攪拌槽が2以上の場合、2以上の前記攪拌槽は、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて配置されることが好ましい。
【0012】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第1調製工程は、循環ラインを介して前記攪拌槽の少なくともいずれかに第1循環油及び第2循環油の少なくとも一方を供給する第1循環油供給工程を有し、
前記第1循環油は、前記攪拌槽の少なくともいずれかで調製された前記溶融廃プラスチック混合油であり、
前記第2循環油は、前記ライン混合装置の少なくともいずれかで調製された前記廃プラスチック分解処理用混合物であり、
前記第1循環油及び前記第2循環油の少なくとも一方が供給された前記攪拌槽は、前記第1循環油及び前記第2循環油の少なくとも一方と、前記溶融廃プラスチックと、前記原料油とを混合することが好ましい。
【0013】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第2調製工程は、1以上10以下の前記ライン混合装置を用いて、前記廃プラスチック分解処理用混合物を調製し、
前記ライン混合装置が2以上の場合、2以上の前記ライン混合装置は、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて配置されることが好ましい。
【0014】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第2調製工程は、循環ラインを介して前記ライン混合装置の少なくともいずれかに第2循環油を供給する第2循環油供給工程を有し、
前記第2循環油は、前記ライン混合装置の少なくともいずれかで調製された前記廃プラスチック分解処理用混合物であり、
前記第2循環油が供給された前記ライン混合装置は、前記第2循環油と、前記溶融廃プラスチック混合油と、前記原料油とを混合することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記原料油、軽質炭化水素油、ナフサ、軽油、及び前記原料油とは異なる重質炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種の他の追加原料油を、1以上の追加原料供給ラインから供給する追加原料供給工程をさらに有することが好ましい。
【0016】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記第1調製工程は、前記攪拌槽の少なくともいずれかに前記追加原料油を供給する前記追加原料供給工程をさらに有し、前記追加原料油が供給された前記攪拌槽は、前記追加原料油と、前記溶融廃プラスチックと、前記原料油とを混合することが好ましい。
【0017】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、
前記第2調製工程は、前記ライン混合装置の少なくともいずれかに前記追加原料油を供給する前記追加原料供給工程をさらに有し、
前記追加原料油が供給された前記ライン混合装置は、前記追加原料油と、前記溶融廃プラスチック混合油と、前記原料油とを混合することが好ましい。
【0018】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記第1調製工程における前記攪拌槽での混合は、温度175℃以上260℃以下、前記第1攪拌手段の回転数3rpm以上1,000rpm以下の条件で行うことが好ましい。
【0019】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記第2調製工程における前記ライン混合装置での混合は、温度160℃以上260℃以下、前記第2攪拌手段の回転数10rpm以上20,000rpm以下の条件で行うことが好ましい。
【0020】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記溶融装置で溶融された前記廃プラスチックの溶融温度は、175℃以上260℃以下であり、
前記第1供給ライン中の原料油の温度は、80℃以上240℃以下であり、
前記第2供給ライン中の原料油の温度は、80℃以上240℃以下であることが好ましい。
【0021】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記原料油は、重質分解軽油、分解残渣油、常圧残渣油、脱硫残渣油、脱硫減圧軽油、未脱硫減圧軽油、未脱硫減圧残渣油、及び鉱油からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0022】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記溶融装置は、混練機であることが好ましい。
【0023】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記ライン混合装置は、インラインミキサー、ラインミキサー、及び連続式ミキサーのいずれかであることが好ましい。
【0024】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記分解処理装置は、流動接触分解装置であることが好ましい。
【0025】
本発明の一態様に係る廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法において、前記溶融廃プラスチックは、ポリエチレンに由来する廃プラスチック及びポリプロピレンに由来する廃プラスチックの少なくともいずれかを含む廃プラスチックの溶融物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様によれば、廃プラスチックの分解性を向上できる廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態の製造方法の実施に用いられる処理システムの一例の概略図。
【
図2】第2実施形態の製造方法の実施に用いられる処理システムの一例の概略図。
【
図3】第3実施形態の製造方法の実施に用いられる処理システムの一例の概略図。
【
図4】第4実施形態の製造方法の実施に用いられる処理システムの一例の概略図。
【
図5】第5実施形態の製造方法の実施に用いられる処理システムの一例の概略図。
【
図6】第6実施形態の製造方法の実施に用いられる処理システムの一例の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前に記載される数値を下限値とし、「~」の後に記載される数値を上限値として含む範囲を意味する。
【0029】
〔第1実施形態〕
第1実施形態の廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法(以下、第1実施形態の製造方法とも称する。)は、廃プラスチックを分解処理装置で分解するための廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法であって、溶融装置で溶融された溶融廃プラスチックと、1以上の第1供給ラインから供給された原料油とを、第1攪拌手段を備える撹拌槽で混合することにより溶融廃プラスチック混合油を調製する第1調製工程と、前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油と、1以上の第2供給ラインから供給された原料油とを、第2攪拌手段を備えるライン混合装置で混合することにより廃プラスチック分解処理用混合物を調製する第2調製工程と、を有する。
第1実施形態の製造方法は、前記溶融廃プラスチックの溶融粘度を粘度Aとし、前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度を粘度Bとし、前記第2調製工程で調製された前記廃プラスチック分解処理用混合物の溶融粘度を粘度Cとしたとき、前記粘度Aが下記数式(数1)を満たし、前記粘度Cが下記数式(数2)を満たし、前記粘度Bに対する前記粘度Cの粘度比(前記粘度C/前記粘度B)が下記数式(数3)を満たすように前記第1調製工程及び前記第2調製工程を実施する。前記廃プラスチック分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、前記廃プラスチック分解処理用混合物の前記フィルターの通過割合は90質量%以上である。
1.0×106mPa・s≦粘度A≦1.0×108mPa・s …(数1)
5.0mPa・s<粘度C≦50mPa・s …(数2)
粘度C/粘度B≦1/20 …(数3)
(前記数式(数1)~(数3)において、前記粘度A、前記粘度B、及び前記粘度Cは、いずれも200℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
【0030】
本発明者らは、数式(数1)の粘度A、数式(数2)の粘度C、及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように、溶融廃プラスチックと原料油とを段階的に混合することで、廃プラスチック分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、廃プラスチック分解処理用混合物のフィルターの通過割合(以下、40meshフィルターの通過割合とも称する)を90質量%以上に高めることができることを見出した。
40meshフィルターの通過割合が90質量%以上であるとは、廃プラスチック分解処理用混合物が、原料油中に均一に混合されている状態であることを示している。
よって、第1実施形態の製造方法によれば、溶融廃プラスチックと原料油との混合性が向上し、廃プラスチックの分解性を向上できる廃プラスチック分解処理用混合物が得られる。
【0031】
第1実施形態の製造方法は、例えば、
図1に示す処理システムを用いて実施できる。
始めに、
図1に示す処理システム100について説明し、次いで、第1実施形態の製造方法について説明する。以降の説明において、「第1」、「第2」及び「第3」等という序数による表現は、部材を区別することを目的としており、順序を意味するものではない。また、以降の説明において、廃プラスチック分解処理用混合物を、単に、分解処理用混合物と称することがある。
【0032】
<全体構成>
図1に示す処理システム100は、混練機20(溶融装置の一例)と、第1貯留タンク60(撹拌槽の一例)と、ラインミキサー30(ライン混合装置の一例)と、第2貯留タンク40と、残油流動接触分解装置(RFCC装置50)(分解処理装置の一例)と、第1輸送ライン10と、混合油輸送ライン15と、供給ライン11A(第1供給ラインの一例)と、供給ライン13(第2供給ラインの一例)と、第2輸送ライン14と、を備える。また、処理システム100は、廃プラスチック供給制御手段25と、第1原料油供給制御手段111と、第3原料油供給制御手段131とを備える。
【0033】
(混練機20)
混練機20は、廃プラスチックを溶融することにより溶融廃プラスチックを調製する。
溶融廃プラスチックとは、固体状の廃プラスチックを溶融して液状にしたものを意味する。そのため、溶融廃プラスチックと固体状の廃プラスチックとの違いは、物質の状態が異なるのみである。
溶融廃プラスチックは、廃プラスチックの溶融物である。廃プラスチックは、混練機20で溶融されて溶融廃プラスチックとなり、溶融状態、溶解状態、またはスラリーとなる。
【0034】
混練機20には、廃プラスチックの供給量を制御するための廃プラスチック供給制御手段25が接続されている。
廃プラスチック供給制御手段25は、廃プラスチック供給手段としてのフィーダー21と、フィーダー21の動作を制御するフィーダー制御器24とを有する。廃プラスチック供給制御手段25は、フィーダー制御器24からフィーダー21へ制御信号を送信し、フィーダー21の動作を制御することで、廃プラスチックの供給量を制御する。フィーダー制御器24はマイクロコンピュータ等を使用できる。本明細書において、廃プラスチックの供給量とは、単位時間当たりに供給される廃プラスチックの量(質量)を意味する。
また、混練機20には、廃プラスチック供給ライン23を介して、フィーダー21と、ホッパー22とが連結されている。ホッパー22は、下部に供給口(不図示)を有し、供給口からフィーダー21へ廃プラスチックを供給できるようになっている。
混練機20は、ホッパー22からフィーダー21を経由して供給された廃プラスチックを溶融することにより、溶融廃プラスチックを調製する。
【0035】
廃プラスチック供給制御手段25は、フィーダー21から混練機20への廃プラスチックの供給量を制御することにより、溶融廃プラスチックの溶融量を制御してもよい。本明細書において、溶融廃プラスチックの溶融量とは、単位時間当たりに溶融される廃プラスチックの量(質量)を意味する。溶融廃プラスチックの溶融量は、廃プラスチックの供給量から算出される。
混練機20としては、特に限定されないが、例えば、押出機(例えば、単軸押出機及び多軸押出機等)、ニーダー、及び混合機等が挙げられる。
【0036】
(第1輸送ライン10)
第1輸送ライン10は、RFCC装置50に連結され、原料油をRFCC装置50に輸送する。第1輸送ライン10は、上流側から順に、供給ライン11Aに分岐する分岐点B11と、供給ライン13に分岐する分岐点B1と、第2輸送ライン14との合流点C1と、を有する。
第1輸送ライン10中の原料油の温度は、好ましくは80℃以上240℃以下、より好ましくは160℃以上230℃以下であり、例えば、第1輸送ライン10の任意の箇所に設置した温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御できる。
【0037】
(供給ライン11A)
第1供給ラインとしての供給ライン11Aは、第1輸送ライン10と混練機20とを連結し、第1輸送ライン10から混練機20へ原料油を供給する。
図1の場合、供給ライン11Aは、第1輸送ライン10の分岐点B11から分岐され、混練機20の出口側へ原料油を供給する。供給ライン11Aの途中には、供給ライン11A中の原料油の温度を制御するための熱交換器HE、及び混練機20への原料油の供給量を制御するための第1原料油供給制御手段111が設けられている。
第1原料油供給制御手段111は、原料油供給手段としての第1調節弁112と、第1制御器113とを有する。
第1原料油供給制御手段111は、第1制御器113から第1調節弁112に制御信号を送信し、第1調節弁112の動作を制御することで、原料油の供給量を制御する。第1制御器113はマイクロコンピュータ等を使用できる。本明細書において、原料油の供給量とは、単位時間当たりに供給される量(質量)を意味する。
供給ライン11A中の原料油の温度については後述する。
【0038】
(混合油輸送ライン15)
混合油輸送ライン15は、混練機20と、第1貯留タンク60と、ラインミキサー30とを互いに連結する。
図1の場合、混練機20で溶融された溶融廃プラスチック、及び供給ライン11Aから供給された原料油は、溶融廃プラスチックと原料油との混合油となり、混合油輸送ライン15を輸送し、第1貯留タンク60へ供給される。混合油輸送ライン15中の前記混合油の温度は、好ましくは160℃以上260℃以下であり、例えば、混合油輸送ライン15の任意の箇所に設置した温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御できる。
【0039】
(第1貯留タンク60)
第1貯留タンク60は、第1攪拌手段としての回転翼80を備える。回転翼80は、モーター(不図示)に接続されている。
第1貯留タンク60は、混合油輸送ライン15から供給された前記混合油(溶融廃プラスチックと原料油との混合油)を、回転翼80にて混合することにより、溶融廃プラスチック混合油を調製する。第1攪拌手段としては、例えば、インペラ及び回転翼等の攪拌羽根が挙げられる。攪拌羽根としては、例えば、スクリュー型、プロペラ型、パドル型、及びタービン型等が挙げられるが、攪拌羽根の形状は特に限定されない。
第1貯留タンク60には、ギアポンプ61が接続されている。第1貯留タンク60は、溶融廃プラスチック混合油をラインミキサー30まで供給する手段として、ギアポンプ61等のポンプを備えていることが好ましいが、自圧により溶融廃プラスチック混合油を、混合油輸送ライン15を経てラインミキサー30まで供給してもよい。
第1貯留タンク60は、溶融廃プラスチック混合油から発生するガス(例えば、二酸化炭素ガス、水蒸気、及び揮発性有機化合物等)を排出するガス抜き手段を有することが好ましい。ガス抜き手段としては、特に限定されないが、例えば、ガス抜き管等が挙げられる。
【0040】
(供給ライン13)
第2供給ラインとしての供給ライン13は、第1輸送ライン10とラインミキサー30とを連結し、第1輸送ライン10からラインミキサー30へ原料油を供給する。
図1の場合、供給ライン13は、第1輸送ライン10の分岐点B1から分岐されて、ラインミキサー30へ原料油を供給する。
供給ライン13の途中には、供給ライン13中の原料油の温度を制御するための熱交換器HE、及び原料油の供給量を制御するための第3原料油供給制御手段131が設けられている。
第3原料油供給制御手段131は、原料油供給手段としての第3調節弁132と、第3制御器133とを有する。第3原料油供給制御手段131は、第3制御器133から第3調節弁132に制御信号を送信し、第3調節弁132の動作を制御することで、原料油の供給量を制御する。第3調節弁132はマイクロコンピュータ等を使用できる。
供給ライン13中の原料油の温度については後述する。
【0041】
(ラインミキサー30)
ラインミキサー30は、第2攪拌手段としての攪拌羽根90を備える。攪拌羽根90は、モーター(不図示)に接続されている。
ラインミキサー30は、第1貯留タンク60で調製された溶融廃プラスチック混合油、及び供給ライン13から供給された原料油を、攪拌羽根90にて混合することにより、分解処理用混合物を調製する。第2攪拌手段としては、例えば、インペラ及び回転翼等の攪拌羽根が挙げられる。攪拌羽根としては、例えば、スクリュー型、プロペラ型、パドル型、及びタービン型等が挙げられるが、形状は特に限定されない。また、第2攪拌手段としてエレメントを用いてもよい。
ラインミキサー30としては、特に限定されず、インラインミキサー(例えばスタティックミキサー等)を用いてもよい。ラインミキサー30は、連続式ミキサーであってもよい。
【0042】
(第2貯留タンク40)
第2貯留タンク40は、ラインミキサー30で調製された分解処理用混合物を貯留する。第2貯留タンク40には、遠心ポンプ41が接続されている。なお、第2貯留タンク40に接続されるポンプは、特に限定されず、例えば、ギアポンプを用いてもよい。また、第2貯留タンク40は、分解処理用混合物を供給する手段として、ポンプを備えていることが好ましいが、自圧により分解処理用混合物を第2輸送ライン14へ供給してもよい。
第2貯留タンク40は、分解処理用混合物から発生するガス(例えば、二酸化炭素ガス、水蒸気、及び揮発性有機化合物等)を排出するガス抜き手段を有することが好ましい。ガス抜き手段としては、特に限定されないが、例えば、ガス抜き管等が挙げられる。
また、第2貯留タンク40は、分解処理用混合物の混合性をより向上させる観点から、攪拌手段(例えば回転翼等)を有していてもよい。
第2貯留タンク40の温度は、好ましくは160℃以上240℃以下である。第2貯留タンク40は、例えば、温度検知手段(例えば温度計等)を備え、第2貯留タンク40の温度を、温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御することが好ましい。
【0043】
(第2輸送ライン14)
第2輸送ライン14は、ラインミキサー30で調製された分解処理用混合物を、遠心ポンプ41にてラインミキサー30から第1輸送ライン10へ輸送する。
図1の場合、第2輸送ライン14は、分解処理用混合物を第2貯留タンク40へ輸送した後、遠心ポンプ41にて、第1輸送ライン10との合流点C1まで輸送する。
第2輸送ライン14中の分解処理用混合物の温度は、好ましくは160℃以上240℃以下であり、例えば、第2輸送ライン14の任意の箇所に設置した温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御できる。
【0044】
(RFCC装置50)
RFCC装置50は、ラインミキサー30で調製された分解処理用混合物中の溶融廃プラスチックを液化石油ガス類(プロパン、プロピレン、n-ブタン、イソブタン及びブチレン等)に分解し、原料油をFG(ガソリン)、LCO(軽質分解軽油)及びCLO(残油)等に分解する。
図1の場合、第2輸送ライン14を介して輸送された分解処理用混合物は、第1輸送ライン10を輸送する原料油と合流点C1で合流してRFCC装置50に供給される。
RFCC装置50は、流動接触分解装置(FCC装置)の一態様である。
RFCC装置50及びFCC装置は、石油精製の分野で通常用いられている装置でよく、基本的には、反応塔、触媒/生成油分離器、触媒表面上油分の除去部、及び触媒再生塔からなり、触媒はこの系内を流動循環する。
触媒としては、通常、合成ゼオライトを含む触媒が用いられる。プロセスとしては、UOP社及びIFP社等で開発されたいずれのプロセスでもよい。
RFCC装置50及びFCC装置に用いられる触媒、並びに稼働条件は、特に限定されず、適宜設定することができる。
【0045】
〔第1実施形態の製造方法〕
図1に示す処理システム100を用いた場合、第1実施形態の製造方法は、以下の工程を経て実施される。
【0046】
<第1調製工程>
第1調製工程は、混練機20で溶融された溶融廃プラスチックと、供給ライン11Aから供給された原料油とを、回転翼80を備える第1貯留タンク60で混合することにより溶融廃プラスチック混合油を調製する。
【0047】
(溶融廃プラスチックの溶融粘度(粘度A))
混練機20で溶融された溶融廃プラスチックの溶融粘度(粘度A)は、下記数式(数1)を満たす。粘度Aは、下記数式(数1A)を満たすことが好ましい。
1.0×106mPa・s≦粘度A≦1.0×108mPa・s …(数1)
前記粘度Aは、200℃における溶融廃プラスチックの溶融粘度(mPa・s)である。
【0048】
前記溶融粘度(粘度A)が1.0×106mPa・s以上であると、混練機20で過度の負荷をかけずに廃プラスチックの溶融が可能になるので、溶融廃プラスチックの溶融量を制御し易くなる。
前記溶融粘度(粘度A)が1.0×108mPa・s以下であると、ある程度の混練機20の負荷に加えて溶融樹脂同士の摩擦熱により廃プラスチックを溶融できる。
よって、前記溶融粘度(粘度A)が前記数式(数1)を満たすと、混合性が十分な状態の廃プラスチック分解処理用混合物を調製し易くなる。
【0049】
混練機20で溶融された廃プラスチックの溶融温度は、175℃以上260℃以下であることが好ましく、200℃以上240℃以下であることがより好ましい。
ある。なお、廃プラスチックの溶融温度は、混練機20の設定温度である。
【0050】
供給ライン11A中の原料油は、溶融廃プラスチックの溶融状態を維持したまま、原料油と溶融廃プラスチックとを混合できる温度に加熱されていることが好ましい。
供給ライン11A中の原料油の温度は、80℃以上240℃以下であることが好ましく、80℃以上240℃以下であることがより好ましい。
【0051】
第1調製工程において、第1貯留タンク60での混合は、数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を調整し易くする観点から、温度(混合温度)175℃以上260℃以下、回転翼80の回転数3rpm以上1,000rpm以下の条件で行うことが好ましく、温度200℃以上240℃以下、回転翼80の回転数10rpm以上500rpm以下の条件で行うことがより好ましい。
前記混合温度は、第1貯留タンク60の設定温度である。第1貯留タンク60は、温度検知手段(例えば温度計等)を備え、前記混合温度を、温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御することが好ましい。
【0052】
(溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度(粘度B))
第1調製工程で調製された溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度(粘度B)は、下記数式(数5A)を満たすことが好ましく、下記数式(数5B)を満たすことがより好ましい。
溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度(粘度B)は、攪拌槽の出口付近の溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度である。
図1の場合、第1貯留タンク60の出口に接続された混合油輸送ライン15中の溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度である。
1000mPa・s≦粘度B≦100万mPa・s …(数5A)
1000mPa・s≦粘度B≦50万mPa・s …(数5B)
(前記粘度Bは、200℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度(粘度B)が前記数式(数5A)を満たすと、第2調製工程において、数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を調整し易くなる。また、溶融廃プラスチック混合油の輸送性が向上する。
【0053】
<第2調製工程>
第2調製工程は、第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油と、供給ライン13から供給された原料油とを、撹拌羽根90を備えるラインミキサー30で混合することにより廃プラスチック分解処理用混合物を調製する。第2調製工程は、数式(数2)の粘度C、及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように実施される。また、第2調製工程で調製された廃プラスチック分解処理用混合物は、40meshのフィルターに通過させたときの、前記フィルターの通過割合が90質量%以上である。
【0054】
供給ライン13中の原料油は、溶融廃プラスチック混合油の溶融状態を維持したまま、ラインミキサー30にて、溶融廃プラスチック混合油と原料油とを混合できる温度に加熱されていることが好ましい。
供給ライン13中の原料油の温度は、80℃以上240℃以下であることが好ましく、80℃以上240℃以下であることがより好ましい。
【0055】
第2調製工程において、ラインミキサー30での混合は、数式(数2)の粘度C及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を調整し易くする観点から、温度(混合温度)160℃以上260℃以下、撹拌羽根90の回転数10rpm以上20,000rpm以下の条件で行うことが好ましく、温度170℃以上240℃以下、撹拌羽根90の回転数100rpm以上10,000rpm以下の条件で行うことがより好ましい。
前記混合温度は、ラインミキサー30の設定温度である。ラインミキサー30は、温度検知手段(例えば温度計等)を備え、前記混合温度を、温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御することが好ましい。
【0056】
(廃プラスチック分解処理用混合物の溶融粘度(粘度C))
第2調製工程で調製された分解処理用混合物の溶融粘度(粘度C)は、下記数式(数2)を満たす。粘度Cは、下記数式(数2A)を満たすことが好ましい。
分解処理用混合物の溶融粘度(粘度C)は、ライン混合装置の出口付近の分解処理用混合物の溶融粘度である。
図1の場合、ラインミキサー30の出口に接続された第2輸送ライン14中の分解処理用混合物の溶融粘度である。
5.0mPa・s<粘度C≦50mPa・s …(数2)
5.0mPa・s<粘度C≦30mPa・s …(数2A)
(粘度Cは、200℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
【0057】
分解処理用混合物の溶融粘度(粘度C)が5.0mPa・sを超えていると、局所的に粘度が高くなる部分が生じにくくなるので、混合性が良好になる。
分解処理用混合物の溶融粘度(粘度C)が50mPa・s以下であると、溶融廃プラスチックと原料油とが分離しにくくなるので、粘度が均一に近い状態になり易い。その結果、混合性が良好になる。
よって、分解処理用混合物の溶融粘度(粘度C)が前記数式(数2)を満たすと、混合性が十分な状態の廃プラスチック分解処理用混合物となり易い。
【0058】
第2調製工程は、粘度Bに対する粘度Cの粘度比(前記粘度C/前記粘度B)が数式(数3)を満たすように実施される。粘度比(前記粘度C/前記粘度B)は、下記数式(数3A)を満たすことが好ましく、下記数式(数3B)を満たすことがより好ましい。
粘度C/粘度B≦1/20 …(数3)
粘度C/粘度B≦1/2,000 …(数3A)
粘度C/粘度B≦1/200,000 …(数3B)
(粘度B及び粘度Cは、それぞれ200℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
【0059】
粘度比(前記粘度C/前記粘度B)が前記数式(数3)を満たすと、混合性が十分な状態の廃プラスチック分解処理用混合物となり易い。
【0060】
(溶融粘度(粘度A、粘度B及び粘度C)の測定方法)
200℃における溶融廃プラスチックの溶融粘度(粘度A)、溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度(粘度B)及び分解処理用混合物の溶融粘度(粘度C)は、レオメータ装置(アントンパール社製、MCR302(品番))を用いて、以下の条件で、測定治具としてコーンプレートを用いて測定された値である。
<条件>
・コーンプレート測定システム:DIN EN(ISO 3219及びDIN 53019に準拠)
・角周波数(ω) :0.1rad/秒~100rad/秒
・測定温度 :200℃
・試料仕込み質量 :0.1g~0.3g
【0061】
(分解処理用混合物の40meshフィルターの通過割合)
第2調製工程で調製された分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、分解処理用混合物の40meshフィルターの通過割合は90質量%以上である。40meshフィルターの通過割合は高い程好ましい。
40meshフィルターの通過割合は、ライン混合装置の出口付近の分解処理用混合物を用いて測定される。
図1の場合、ラインミキサー30の出口に接続された第2輸送ライン14中の分解処理用混合物を用いて測定される。
40meshフィルターの通過割合の測定方法は、実施例の項に記載する。
【0062】
<分解処理用混合物貯留工程>
第1実施形態の製造方法は、第2調製工程で調製された廃プラスチック分解処理用混合物を第2貯留タンク40に貯留する分解処理用混合物貯留工程を有する。
【0063】
<効果>
第1実施形態の製造方法は、混練機20、第1貯留タンク60、及びラインミキサー30を用いて、数式(数1)の粘度A、数式(数2)の粘度C、及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように、第1調製工程及び第2調製工程を実施することで、廃プラスチック分解処理用混合物のフィルターの通過割合を90質量%以上に高めることができる。よって、溶融廃プラスチックと原料油との混合性、及び廃プラスチックの分解性が向上した分解処理用混合物が得られる。
また、第1実施形態の製造方法で得られる分解処理用混合物は、溶融粘度(粘度C)が調整されているので、RFCC装置50へ輸送する際の、輸送手段(例えば、遠心ポンプ41等)への負荷を軽減できる。
【0064】
〔第2実施形態〕
第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
第2実施形態の製造方法は、
図2に示す処理システムを用いて実施する例である。まず、
図2に示す処理システム200について説明し、次いで、第2実施形態の製造方法について説明する。
【0065】
<全体構成>
図2に示す処理システム200は、第1実施形態で説明した処理システム100に対し、供給ライン11Aに代えて、供給ライン12(第1供給ラインの一例)を備える点以外は第1実施形態と同様である。
【0066】
<供給ライン12>
第1供給ラインとしての供給ライン12は、第1輸送ライン10の分岐点B1から分岐され、さらに分岐点B3で分岐されて、混合油輸送ライン15との合流点C3へ原料油を供給する。供給ライン12の途中には、供給ライン12中の原料油の温度を制御するための熱交換器HE、及び原料油の供給量を制御するための第2原料油供給制御手段121が設けられている。
第2原料油供給制御手段121は、第2制御器123から第2調節弁122に制御信号を送信し、第2調節弁122の動作を制御することで、原料油の供給量を制御する。第2制御器123はマイクロコンピュータ等を使用できる。
供給ライン12中の原料油の温度については後述する。
【0067】
〔第2実施形態の製造方法〕
第2実施形態の製造方法は、第1実施形態に対し、第1調製工程を以下の方法で実施する以外、第1実施形態と同様である。第2実施形態の製造方法について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0068】
<第1調製工程>
第2実施形態の第1調製工程は、混練機20で調製された溶融廃プラスチックと、供給ライン12から供給された原料油とを、回転翼80を備える第1貯留タンク60で混合することにより溶融廃プラスチック混合油を調製する。
【0069】
供給ライン12中の原料油の温度は、80℃以上240℃以下であることが好ましく、80℃以上240℃以下であることがより好ましい。
【0070】
第1貯留タンク60での混合条件(混合温度及び回転翼80の回転数)及び第1貯留タンク60で調製された溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度(粘度B)は、第1実施形態と同様の範囲であることが好ましい。
【0071】
<効果>
第2実施形態の製造方法によれば、混練機20、供給ライン12より原料油が供給される第1貯留タンク60、及び供給ライン13より原料油が供給されるラインミキサー30を用いて、数式(数1)の粘度A、数式(数2)の粘度C、及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように、第1調製工程及び第2調製工程を実施することで、廃プラスチック分解処理用混合物のフィルターの通過割合を90質量%以上に高めることができる。その結果、溶融廃プラスチックと原料油との混合性、及び廃プラスチックの分解性が向上した分解処理用混合物が得られる。
【0072】
〔第3実施形態〕
第3実施形態について、第1実施形態及び第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。第3実施形態の製造方法は、
図3に示す処理システムを用いて実施する例である。まず、
図3に示す処理システム300について説明し、次いで、第3実施形態の製造方法について説明する。
【0073】
<全体構成>
図3に示す処理システム300は、第2実施形態で説明した処理システム200に対し、供給ライン11(第1供給ラインの一例)を備える点、第1貯留タンク60がガス抜きライン44を備える点、並びに第2貯留タンク40がガス抜きライン43を備える点が処理システム200と異なる。その他の点は第2実施形態と同様である。
処理システム300は、第1供給ラインとして、2つの供給ライン(供給ライン11及び供給ライン12)を備える。
【0074】
<供給ライン11>
第1供給ラインとしての供給ライン11は、第1輸送ライン10の分岐点B1から分岐され、さらに分岐点B2で分岐されて、混練機20の出口側へ原料油を供給する。供給ライン11の途中には、第1実施形態と同様の第1原料油供給制御手段111が設けられている。
【0075】
〔第3実施形態の製造方法〕
第3実施形態の製造方法は、第2実施形態に対し、第1調製工程及び分解処理用混合物貯留工程を以下の方法で実施する以外、第2実施形態と同様である。第3実施形態の製造方法について、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0076】
<第1調製工程>
第3実施形態の第1調製工程は、混練機20で調製された溶融廃プラスチックと、供給ライン11から混練機20の出口側に供給された原料油と、供給ライン12から供給された原料油とを、回転翼80を備える第1貯留タンク60で混合することにより溶融廃プラスチック混合油を調製する。
【0077】
供給ライン11中の原料油の温度は、80℃以上240℃以下であることが好ましく、80℃以上240℃以下であることがより好ましい。
供給ライン11中の原料油の温度は、第1実施形態の供給ライン11A中の原料油の温度と同様の方法で制御されることが好ましい。
【0078】
第1貯留タンク60での混合条件(混合温度及び回転翼80の回転数)及び第1貯留タンク60で調製された溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度(粘度B)は、第1実施形態と同様の範囲であることが好ましい。
【0079】
(第1ガス抜き工程)
第3実施形態の第1調製工程は、第1ガス抜き工程を有する。第1ガス抜き工程は、溶融廃プラスチック混合油から発生するガス(例えば、二酸化炭素ガス、水蒸気、及び揮発性有機化合物等)を、第1貯留タンク60から、ガス抜きライン44(ガス抜き手段の一例)を介して排出する工程である。
【0080】
<分解処理用混合物貯留工程>
(第2ガス抜き工程)
第3実施形態の分解処理用混合物貯留工程は、第2ガス抜き工程を有する。第2ガス抜き工程は、分解処理用混合物から発生するガス(例えば、二酸化炭素ガス、水蒸気、及び揮発性有機化合物等)を、第2貯留タンク40から、ガス抜きライン43(ガス抜き手段の一例)を介して排出する工程である。
【0081】
<効果>
第3実施形態の製造方法によれば、分解処理用混合物のフィルターの通過割合を90質量%以上に高めることができるので、溶融廃プラスチックと原料油との混合性、及び廃プラスチックの分解性が向上した廃プラスチック分解処理用混合物が得られる。
また、第3実施形態の製造方法によれば、混練機20、及び第1貯留タンク60にそれぞれ原料油を供給可能なため、粘度比(前記粘度C/前記粘度B)の調整が容易となる。その結果、溶融廃プラスチックと原料油との混合性、及び廃プラスチックの分解性が向上した分解処理用混合物が得られる。
また、第3実施形態の製造方法は、第1ガス抜き工程を有することで、溶融廃プラスチック混合油の発泡を防ぐもしくは低減させることができ、溶融廃プラスチック混合油をスムーズにラインミキサー30に移送できる。同様に、第2ガス抜き工程を有することで、分解処理用混合物の発泡を防ぐもしくは低減させることができ、分解処理用混合物をスムーズに分解処理装置に移送できる。よって、第3実施形態の製造方法によれば、運転性の向上が見込まれる。
【0082】
〔第4実施形態〕
第4実施形態について、第1実施形態~第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
第4実施形態の製造方法は、
図4に示す処理システムを用いて実施する例である。まず、
図4に示す処理システム400について説明し、次いで、第4実施形態の製造方法について説明する。
【0083】
<全体構成>
図4に示す処理システム400は、第3実施形態で説明した処理システム300に対し、2機のラインミキサーを備える点が処理システム300と異なる。その他の点は第3実施形態と同様である。
【0084】
<ラインミキサー30,30B>
2機のラインミキサー30,30Bは並列に配置されており、どちらも第2攪拌手段としての撹拌羽根90を備える。ラインミキサー30Bは、ラインミキサー30と同じ構成であってもよいし、互いに異なる構成であってもよい。
【0085】
<混合油輸送ライン15>
第4実施形態の混合油輸送ライン15は、混練機20、第1貯留タンク60、ラインミキサー30及びラインミキサー30Bを連結する。
図4の場合、混合油輸送ライン15は、第1貯留タンク60の下流側の分岐点B5で第1混合油輸送ライン151及び第2混合油輸送ライン152に分岐される。第1混合油輸送ライン151はラインミキサー30に連結される。第2混合油輸送ライン152はラインミキサー30Bに連結される。
【0086】
<供給ライン13>
第4実施形態の供給ライン13は、第1輸送ライン10、ラインミキサー30及びラインミキサー30Bを連結する。
図4の場合、供給ライン13は、第1輸送ライン10の分岐点B1から分岐点B2及びB3を経た後、分岐点B4で第1原料油供給ライン13A及び第2原料油供給ライン13Bに分岐される。第1原料油供給ライン13Aはラインミキサー30に連結される。第2原料油供給ライン13Bはラインミキサー30Bに連結される。
第1原料油供給ライン13Aの途中には、第3実施形態と同様の第3原料油供給制御手段131が設けられている。
第2原料油供給ライン13Bの途中には、ラインミキサー30Bへの原料油の供給量を制御するための第4原料油供給制御手段も設けられているが、第4原料油供給制御手段は図示を省略している。第4原料油供給制御手段は、第3原料油供給制御手段131と同じ構成及び稼働条件であってもよいし、互いに異なる構成及び稼働条件であってもよい。
【0087】
〔第4実施形態の製造方法〕
第4実施形態の製造方法は、第3実施形態に対し、第2調製工程を以下の方法で実施する以外、第3実施形態と同様である。第4実施形態の製造方法について、第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0088】
<第2調製工程>
第4実施形態の第2調製工程は、並列に配置した2機のラインミキサー30,30Bを用いて分解処理用混合物を調製する。
ラインミキサー30は、数式(数2)の粘度C、及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように、溶融廃プラスチック混合油と、第1原料油供給ライン13Aより供給された原料油とを混合することにより分解処理用混合物(以下、「分解処理用混合物X1」とも称する)を調製する。同様に、ラインミキサー30Bは、数式(数2)の粘度C、及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように、溶融廃プラスチック混合油と、第2原料油供給ライン13Bより供給された原料油とを混合することにより分解処理用混合物(以下、「分解処理用混合物Y1」とも称する)を調製する。
【0089】
ラインミキサー30,30Bの混合条件(混合温度及び撹拌羽根90の回転数)は、第1実施形態と同様の範囲であることが好ましい。なお、ラインミキサー30,30Bの混合条件は、同一であっても、互いに異なっていてもよい。
【0090】
<分解処理用混合物貯留工程>
図4の場合、分解処理用混合物X1及び分解処理用混合物Y1は、第2輸送ライン14の合流点C4で合流した後、第2貯留タンク40に貯留される。
【0091】
<効果>
第4実施形態の製造方法は、混練機20、第1貯留タンク60及び2機のラインミキサー30,30Bを用いて、数式(数1)の粘度A、数式(数2)の粘度C、及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように、第1調製工程及び第2調製工程を実施することで、分解処理用混合物のフィルターの通過割合を90質量%以上に高めることができる。
図4の場合、分解処理用混合物X1及び分解処理用混合物Y1のフィルターの通過割合が共に90質量%以上である。その結果、溶融廃プラスチックと原料油との混合性、及び廃プラスチックの分解性が向上した分解処理用混合物が得られる。
また、第4実施形態の製造方法では、2機のラインミキサー30,30Bを用いて分解処理用混合物を調製するので、溶融廃プラスチックと原料油との混合状態をさらに高めるとともに、分解対象となる分解処理用混合物をより多く調製できる。
よって、第4実施形態の製造方法によれば、廃プラスチックの分解量を増加できる。
【0092】
〔第5実施形態〕
第5実施形態について、第1実施形態~第4実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
第5実施形態の製造方法は、
図5に示す処理システムを用いて実施する例である。まず、
図5に示す処理システム500について説明し、次いで、第5実施形態の製造方法について説明する。
【0093】
<全体構成>
図5に示す処理システム500は、第4実施形態で説明した処理システム400に対し、2機の混練機及び4機のラインミキサーを備える点、追加原料油供給ライン70を備える点、並びに供給ライン12を備えない点が処理システム400と異なる。その他の点は第4実施形態と同様である。
【0094】
<混練機20,20A>
第5実施形態の処理システム500は、並列に配置された2機の混練機20,20Aを備える。
【0095】
<ラインミキサー30,30A,30B,30C>
第5実施形態の処理システム500は、第4実施形態に対し、ラインミキサー30と第2貯留タンク40の間にラインミキサー30Aが配置され、ラインミキサー30Bと第2貯留タンク40の間にラインミキサー30Cが配置されている。
【0096】
<追加原料油供給ライン70>
追加原料油供給ライン70は、混練機20Aの出口側へ他の追加原料油(以下、追加原料油とも称する)を供給する。追加原料油供給ライン70の途中には、追加原料油の供給量を制御するための追加原料供給制御手段171が設けられている。追加原料供給制御手段171は、追加原料供給手段としての第4調節弁172と、第4制御器173とを有する。
追加原料供給制御手段171は、第4制御器173から第4調節弁172に制御信号を送信し、第4調節弁172の動作を制御することで、追加原料油の供給量を制御する。
追加原料油供給ライン70中の追加原料油の温度は、溶融廃プラスチックの溶融状態を維持したまま、溶融廃プラスチックと追加原料油とを良好に混合させる観点から、好ましくは80℃以上240℃以下、より好ましくは160℃以上230℃以下であり、例えば、追加原料油供給ライン70の任意の箇所に設置した温度制御手段(例えば、熱交換器及びヒーター等)で制御できる。なお、追加原料油供給ライン70中の追加原料油の温度は、温度制御手段の設定温度である。
追加原料油供給ライン70は、追加原料油を貯留する追加原料油貯留タンクに接続されていてもよい。また、追加原料油供給ライン70は、例えば、第1輸送ライン10に接続された供給ライン11もしくは供給ライン13を追加原料油供給ライン70として用い、追加原料油を第1輸送ライン10から混練機20内に供給できるようにしてもよい。
追加原料油供給ライン70の数は限定されず、1つであっても2つ以上であってもよい。
【0097】
<混合油輸送ライン15>
混合油輸送ライン15は、混練機20、混練機20A、第1貯留タンク60、ラインミキサー30及びラインミキサー30Bを連結する。
【0098】
〔第5実施形態の製造方法〕
第5実施形態の製造方法は、第4実施形態に対し、第1調製工程及び第2調製工程を以下の方法で実施する以外、第4実施形態と同様である。以下、第5実施形態の製造方法について、第4実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0099】
<第1調製工程>
第5実施形態の第1調製工程は、追加原料供給工程をさらに有し、2機の混練機20,20Aで溶融された溶融廃プラスチックと、原料油と、追加原料油とを、第1貯留タンク60で混合することにより溶融廃プラスチック混合油を調製する。
具体的には、混練機20で溶融された溶融廃プラスチックは、供給ライン11から供給された原料油と共に、混合油輸送ライン15を輸送して第1貯留タンク60へ供給される。混練機20Aで溶融された溶融廃プラスチックは、追加原料油供給ライン70より供給された追加原料油と共に混合油輸送ライン15を輸送して第1貯留タンク60へ供給される。第1貯留タンク60に供給されたこれらの溶融廃プラスチック、原料油及び追加原料油は回転翼80にて混合されることで、溶融廃プラスチック混合油が調製される。
第1貯留タンク60で調製された溶融廃プラスチック混合油は、ギアポンプ61にて混合油輸送ライン15を輸送し、一部は分岐点B5から第1混合油輸送ライン151を経てラインミキサー30へ供給され、残りは分岐点B5から第2混合油輸送ライン152を経てラインミキサー30Bへ供給される。
【0100】
混練機20,20Aでそれぞれ溶融された溶融廃プラスチックの溶融粘度(粘度A)は、前記数式(数1)を満たす。
混練機20Aは、混練機20と同様の構成及び稼働条件であってもよいし、互いに異なる構成及び稼働条件であってもよい。
第1貯留タンク60での混合条件(混合温度及び回転翼80の回転数)及び第1貯留タンク60で調製された溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度(粘度B)は、第1実施形態と同様の範囲であることが好ましい。
【0101】
<第2調製工程>
第5実施形態の第2調製工程は、
図5に示す4機のラインミキサーを用いて分解処理用混合物を調製する。
ラインミキサー30は、第1混合油輸送ライン151より供給された溶融廃プラスチック混合油と、第1原料油供給ライン13Aより供給された原料油とを混合することにより分解処理用混合物を調製する。その後、分解処理用混合物はラインミキサー30Aに供給される。ラインミキサー30Aは、数式(数2)の粘度C、及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように、さらに分解処理用混合物を混合して分解処理用混合物(以下、「分解処理用混合物X2」とも称する)を調整する。同様に、ラインミキサー30Bは、第2混合油輸送ライン152より供給された溶融廃プラスチック混合油と、第2原料油供給ライン13Bより供給された原料油とを混合することにより分解処理用混合物を調製する。その後、分解処理用混合物はラインミキサー30Cに供給される。ラインミキサー30Cは、数式(数2)の粘度C、及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように、さらに分解処理用混合物を混合して分解処理用混合物(以下、「分解処理用混合物Y2」とも称する)を調製する。
【0102】
ラインミキサー30,30A,30B,30Cでの混合条件(混合温度及び撹拌羽根90の回転数)は、第1実施形態と同様の範囲であることが好ましい。なお、ラインミキサー30,30A,30B,30Cでの混合条件は、同一であっても、互いに異なっていてもよい。
【0103】
<分解処理用混合物貯留工程>
図5の場合、分解処理用混合物X2及び分解処理用混合物Y2は、第2輸送ライン14の合流点C4で合流した後、第2貯留タンク40に貯留される。
【0104】
<効果>
第5実施形態の製造方法は、2機の混練機20,20A、第1貯留タンク60及び4機のラインミキサー30,30A,30B,30Cを用いて、数式(数1)の粘度A、数式(数2)の粘度C、及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように、第1調製工程及び第2調製工程を実施することで、分解処理用混合物のフィルターの通過割合を90質量%以上に高めることができる。
図5の場合、分解処理用混合物X2及び分解処理用混合物Y2のフィルターの通過割合が共に90質量%以上である。その結果、溶融廃プラスチックと原料油との混合性、及び廃プラスチックの分解性が向上した分解処理用混合物が得られる。
また、第5実施形態の製造方法では、2機の混練機20,20Aにおいて対象となる廃プラの種類、組成、形状、及び状態に応じて、同一もしくは別々の運転条件に設定でき、かつ混練機20Aに供給する追加原料油の種類を適宜選択できるので、数式(数5A)の粘度Bを満たす溶融廃プラスチック混合油が得られ易くなる。さらに第5実施形態の製造方法では、2機のラインミキサー30,30Aを用いて分解処理用混合物X2を調製し、かつ2機のラインミキサー30B,30Cを用いて分解処理用混合物Y2を調製するので、溶融廃プラスチックと原料油との混合状態をさらに高めるとともに、溶融廃プラスチックの処理量を増加することができ、分解対象となる分解処理用混合物をより多く調製できる。
【0105】
〔第6実施形態〕
第6実施形態について、第1実施形態~第5実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
第6実施形態は、
図6に示す廃プラスチック処理システムを用いて製造方法を実施する例である。まず、
図6に示す処理システム600について説明し、次いで、第6実施形態の製造方法について説明する。
【0106】
<全体構成>
図6に示す処理システム600は、第2実施形態で説明した処理システム200に対し、追加原料油供給ライン70を備える点が処理システム200と異なる。その他の点は第2実施形態と同様である。
【0107】
<追加原料油供給ライン70>
追加原料油供給ライン70は、第5実施形態の追加原料油供給ライン70と同様である。
【0108】
〔第6実施形態の製造方法〕
第6実施形態の製造方法は、第2実施形態に対し、第1調製工程を以下の方法で実施する以外、第2実施形態と同様である。第6実施形態の製造方法について、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0109】
<第1調製工程>
第6実施形態の第1調製工程は、追加原料供給工程をさらに有する。第1調製工程は、溶融廃プラスチックと、原料油と、追加原料油とを、第1貯留タンク60で混合することにより溶融廃プラスチック混合油を調製する。
【0110】
追加原料油供給ライン70中の原料油の温度は、第5実施形態と同様の範囲であることが好ましく、第5実施形態と同様の方法で制御されることが好ましい。
【0111】
第1貯留タンク60での混合条件(混合温度及び回転翼80の回転数)及び第1貯留タンク60で調製された溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度(粘度B)は、第1実施形態と同様の範囲であることが好ましい。
【0112】
<効果>
第6実施形態の製造方法によれば、分解処理用混合物のフィルターの通過割合を90質量%以上に高めることができるので、溶融廃プラスチックと原料油との混合性、及び廃プラスチックの分解性が向上した廃プラスチック分解処理用混合物が得られる。
第6実施形態の製造方法では、追加原料油の種類を適宜選択することで、第1貯留タンク60に供給される溶融廃プラスチックの粘度を調整し易くなるため、数式(数5A)の粘度Bを満たす溶融廃プラスチック混合油の調製、並びに数式(数2)の粘度C及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たす分解処理用混合物の調製がより容易になる。その結果、分解処理用混合物をRFCC装置50まで輸送し易くなり、廃プラスチックを効率よく分解できる。
【0113】
〔第7実施形態〕
第7実施形態の製造方法は、廃プラスチックを分解処理装置で分解するための廃プラスチック分解処理用混合物の製造方法であって、溶融装置で溶融された溶融廃プラスチックと、1以上の第1供給ラインから供給された原料油とを、第1攪拌手段を備える撹拌槽で混合することにより溶融廃プラスチック混合油を調製する第1調製工程と、前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油と、1以上の第2供給ラインから供給された原料油とを、第2攪拌手段を備えるライン混合装置で混合することにより廃プラスチック分解処理用混合物を調製する第2調製工程と、を有する。
第7実施形態の製造方法は、前記溶融廃プラスチックの溶融粘度を粘度Aとし、前記第1調製工程で調製された前記溶融廃プラスチック混合油の溶融粘度を粘度Bとし、前記第2調製工程で調製された前記廃プラスチック分解処理用混合物の溶融粘度を粘度Cとしたとき、前記粘度Aが下記数式(数1)を満たし、前記粘度Aに対する前記粘度Bの粘度比(前記粘度B/前記粘度A)が下記数式(数2X)を満たし、前記粘度Bに対する前記粘度Cの粘度比(前記粘度C/前記粘度B)が下記数式(数3)を満たすように前記第1調製工程及び前記第2調製工程を実施する。前記廃プラスチック分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、前記廃プラスチック分解処理用混合物の前記フィルターの通過割合は90質量%以上である。
1.0×106mPa・s≦粘度A≦1.0×108mPa・s …(数1)
粘度B/粘度A≦1/1 …(数2X)
粘度C/粘度B≦1/20 …(数3)
(前記数式(数1)、(数2X)及び(数3)において、前記粘度A、前記粘度B、及び前記粘度Cは、いずれも200℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
【0114】
本発明者らは、数式(数1)の粘度A、(数2X)の粘度比(前記粘度B/前記粘度A)、及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように、溶融廃プラスチックと原料油とを段階的に混合することで、廃プラスチック分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、廃プラスチック分解処理用混合物のフィルターの通過割合を90質量%以上に高めることができることを見出した。
よって、第7実施形態の製造方法によれば、溶融廃プラスチックと原料油との混合性が向上し、廃プラスチックの分解性を向上できる廃プラスチック分解処理用混合物が得られる。
【0115】
第1調製工程は、粘度Aに対する粘度Bの粘度比(前記粘度B/前記粘度A)が下記数式(数2X)を満たすように実施される。粘度比(前記粘度B/前記粘度A)は、下記数式(数2Y)を満たすことが好ましく、下記数式(数2Z)を満たすことがより好ましい。
粘度B/粘度A≦1/1 …(数2X)
粘度B/粘度A≦1/100 …(数2Y)
粘度B/粘度A≦1/100,000 …(数2Z)
(粘度A及び粘度Bは、それぞれ200℃における溶融粘度(mPa・s)である。)
粘度比(前記粘度B/前記粘度A)が前記数式(数2X)を満たすと、混合性が十分な状態の廃プラスチック分解処理用混合物を調製し易い。
【0116】
第7実施形態の製造方法は、第1実施形態の製造方法における数式(数2)を数式(数2X)に置き換えた製造方法である。すなわち、第7実施形態の製造方法は、第1実施形態の製造方法に対し、数式(数1)の粘度A、数式(数2X)の粘度比(前記粘度B/前記粘度A)及び数式(数3)の粘度比(前記粘度C/前記粘度B)を満たすように第1調製工程及び第2調製工程を実施すること以外、第1実施形態の製造方法と同様である。
そのため、第7実施形態の製造方法は、第1実施形態~第6実施形態で説明した
図1~
図6に示す処理システムを用いて実施できる。また、第1実施形態~第6実施形態で得られる効果と同様の効果が得られる。
【0117】
第1実施形態から第7実施形態に共通する構成について説明する。
【0118】
<廃プラスチック>
廃プラスチックとしては、例えば、非塩素化プラスチック、塩素化プラスチック、及びこれらの混合物等が挙げられる。
廃プラスチックの形状は特に限定されず、溶融装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましい。
非塩素化プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンエチレンコポリマー、ポリスチレン、ポリブテン、エチレンオリゴマー、ブテンオリゴマー、スチレンオリゴマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン、エポキシ樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び直鎖低密度ポリエチレン等が挙げられる。
塩素化プラスチックとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、及びポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。
廃プラスチックは、ビニル系重合体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンエチレンコポリマー、ポリスチレン、ポリブテン、エチレンオリゴマー、ブテンオリゴマー、及びスチレンオリゴマー等)に由来する廃プラスチックの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
廃プラスチックは、ポリエチレンに由来する廃プラスチック及びポリプロピレンに由来する廃プラスチックの少なくともいずれかを含むことがより好ましい。
廃プラスチックは、ポリスチレンに由来する廃プラスチック、及びエチレン酢酸ビニルに由来する廃プラスチックを実質含まないことが好ましい。実質含まないとは、ポリスチレンに由来する廃プラスチック及びエチレン酢酸ビニルに由来する廃プラスチックの含有量が、廃プラスチック全量に対し、10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下であることを意味する。
【0119】
<原料油>
原料油としては、特に限定されないが、重質分解軽油(HCO)、分解残渣油(CLO)、常圧残渣油(RC)、脱硫残渣油(DSRC)、脱硫減圧軽油(VHHGO)、未脱硫減圧軽油(VGO)、未脱硫減圧残渣油(VC)、及び鉱油(例えばHG500(500ニュートラル留分の鉱油)等)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、脱硫減圧軽油(VHHGO)、重質分解軽油(HCO)、脱硫残渣油(DSRC)及び鉱油からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
また、前記原料油を輸送する第1輸送ライン10は、FCC装置またはRFCC装置で回収された重質分解軽油(HCO)及び分解残渣油(CLO)の少なくともいずれかを直接供給できるように、例えば、HCO貯留タンクまたはCLO貯留タンクに接続されていてもよい。
また、第1輸送ライン10は、例えば、重油直接脱硫装置で生成された脱硫残渣油(DSRC)を直接供給できるように、例えば、DSRC貯留タンクに接続されていてもよい。
【0120】
<追加原料油>
追加原料油は、前記原料油(重質分解軽油、分解残渣油、常圧残渣油、脱硫残渣油、脱硫減圧軽油、未脱硫減圧軽油、未脱硫減圧残渣油、及び鉱油からなる群から選ばれる少なくとも1種)、軽質炭化水素油、ナフサ、軽油、及び前記原料油とは異なる重質炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0121】
<分解処理装置>
分解処理装置としては、例えば、接触分解装置(FCC装置)、残油流動接触分解装置(RFCC装置)(FCC装置の一態様)及び水素化分解装置等が挙げられる。
分解処理装置は、廃プラスチックの分解性を向上させる観点から、接触分解装置(FCC装置)または残油接触分解装置(RFCC装置)であることが好ましい。
【0122】
〔他の実施形態〕
【0123】
前記実施形態のいずれかにおいて、第1調製工程は、1以上10以下の攪拌槽(
図1の場合、第1貯留タンク60)を用いて、溶融廃プラスチック混合油を調製し、攪拌槽が2以上の場合、2以上の攪拌槽は、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて配置されることが好ましい。2以上の攪拌槽は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
また、前記実施形態のいずれかにおいて、第1調製工程は、循環ラインを介して攪拌槽(
図1の場合、第1貯留タンク60)の少なくともいずれかに第1循環油及び第2循環油の少なくとも一方を供給する第1循環油供給工程を有し、
第1循環油は、攪拌槽の少なくともいずれかで調製された溶融廃プラスチック混合油であり、第2循環油は、ライン混合装置の少なくともいずれかで調製された前記廃プラスチック分解処理用混合物であり、
第1循環油及び第2循環油の少なくとも一方が供給された攪拌槽は、第1循環油及び第2循環油の少なくとも一方と、溶融廃プラスチックと、原料油とを混合することが好ましい。
【0124】
前記実施形態のいずれかにおいて、第2調製工程は、1以上10以下のライン混合装置(
図1の場合、ラインミキサー30)を用いて、廃プラスチック分解処理用混合物を調製し、ライン混合装置が2以上の場合、2以上のライン混合装置は、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて配置されることが好ましい。2以上のライン混合装置は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
また、前記実施形態のいずれかにおいて、第2調製工程は、循環ラインを介してライン混合装置(
図1の場合、ラインミキサー30)の少なくともいずれかに第2循環油を供給する第2循環油供給工程を有し、第2循環油は、ライン混合装置の少なくともいずれかで調製された廃プラスチック分解処理用混合物であり、第2循環油が供給された前記ライン混合装置は、第2循環油と、溶融廃プラスチック混合油と、原料油とを混合することが好ましい。
【0125】
攪拌槽、ライン混合装置、及び循環ラインの配置形態としては、例えば、以下の形態が挙げられるが、これらに限定されない。
配置形態1:上流側から順に攪拌槽K1及びライン混合装置M1が直列に配置された態様。
配置形態2:攪拌槽K1及びライン混合装置M1が並列に配置された態様。
配置形態3:配置形態1の攪拌槽K1及びライン混合装置M1と並列して、上流側から順に攪拌槽K2及びライン混合装置M3が配置された態様。
配置形態4:配置形態1~3のいずれかの形態において、ライン混合装置M1で調製された分解処理用混合物を第2循環油として攪拌槽K1に供給する(戻す)循環ラインが配置された態様。
配置形態4の場合、攪拌槽K1は、第2循環油として供給された分解処理用混合物と、溶融廃プラスチックと、原料油とを混合して、溶融廃プラスチック混合油を調製する。
配置形態5:配置形態1~3のいずれかの形態において、ライン混合装置M1で調製された分解処理用混合物を第2循環油としてライン混合装置M1に供給する(戻す)循環ラインが配置された態様。
配置形態5の場合、ライン混合装置M1は、第2循環油として供給された分解処理用混合物と、溶融廃プラスチック混合油と、原料油とを混合して、分解処理用混合物を調製する。
配置形態6:配置形態1~3のいずれかの形態において、攪拌槽K1で調製された溶融廃プラスチック混合油を第1循環油として攪拌槽K1に供給する(戻す)循環ラインが配置された態様。
配置形態6の場合、攪拌槽K1は、第1循環油として供給された溶融廃プラスチック混合油と、溶融廃プラスチックと、原料油とを混合して、溶融廃プラスチック混合油を調製する。
【0126】
前記実施形態のいずれかにおいて、第1供給ライン及び第2供給ラインは、互いに同一の供給ラインであってもよいし、互いに異なる供給ラインであってもよい。
例えば、第1実施形態の場合、供給ライン11A(第1供給ラインの一例)及び供給ライン13(第2供給ラインの一例)は、供給ラインを共有していないため、互いに異なる供給ラインである。
例えば、第2実施形態の場合、供給ライン12(第1供給ラインの一例)及び供給ライン13(第2供給ラインの一例)は、第1輸送ライン10の同じ分岐点B1から分岐され、供給ラインを共有しているので、互いに同じ供給ラインである。その後、供給ライン12及び供給ライン13は、分岐点B3で分岐され、供給ライン12中の原料油は、第1調製工程に用いられ、供給ライン13中の原料油は第2調製工程に用いられる。
【0127】
第5実施形態及び第6実施形態では、第1調製工程が、追加原料供給工程を有する態様について説明したがこれに限定されない。
例えば、前記実施形態のいずれかにおいて、第2調製工程が追加原料供給工程をさらに有してもよい。その場合、追加原料油が供給されたライン混合装置は、溶融廃プラスチックと、原料油と、追加原料油とを混合することにより廃プラスチック分解処理用混合物を調製する。
また、第5実施形態及び第6実施形態では、1つの追加原料供給ラインから混練機に追加原料油を供給する態様について説明したがこれに限定されない。例えば、前記実施形態のいずれかにおいて、1以上の追加原料供給ラインから、混練機、第1貯留タンク、混合油輸送ライン、第1供給ライン、ラインミキサー及び第2供給ラインの少なくともいずれかに、追加原料油を供給する追加原料供給工程を有していてもよい。追加する追加原料油の種類は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0128】
第4実施形態では、2機のラインミキサーを用いて第2調製工程を実施する態様について説明し、第5実施形態では、4機のラインミキサーを用いて第2調製工程を実施する態様について説明したがこれに限定されない。ラインミキサーの数及び配置はこれらに限定されない。
例えば、前記実施形態のいずれかにおいて、複数のラインミキサーを直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて配置し、第2調製工程を実施してもよい。
複数のラインミキサーは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
また、前記実施形態のいずれかにおいて、複数の第1の貯留タンクを直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて配置し、第1調製工程を実施してもよい。複数の第1の貯留タンクは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
また、複数のラインミキサーの少なくともいずれかで調製された分解処理用混合物を、循環ラインを介して、第1の貯留タンク、ラインミキサー、並びに第1の貯留タンク及びラインミキサーに供給しながら(戻しながら)第1調製工程又は第2調製工程を実施してもよい。
また、複数の第1の貯留タンクの少なくともいずれかで調製された溶融廃プラスチック混合油を、循環ラインを介して第1の貯留タンクのいずれかに供給しながら(戻しながら)第1調製工程を実施してもよい。
【0129】
第5実施形態では、2機の混練機を用いて第1調製工程を実施する態様について説明したがこれに限定されない。例えば、前記実施形態のいずれかにおいて、3機以上の混練機を用いて第1調製工程を実施してもよい。複数の混練機は、互いに同一であっても異なっていてもよい。混練機の数は限定されない。
【0130】
前記実施形態のいずれかにおいて、ラインミキサーで調製された分解処理用混合物は、第2貯留タンクに貯留せずに、RFCC装置に供給されてもよい。
前記実施形態のいずれかにおいて、ラインミキサーで調製された分解処理用混合物は、第2輸送ラインから直接RFCC装置に供給されてもよい。
【0131】
前記実施形態のいずれかにおいて、混練機20,20Aに代えて、公知の溶融装置を用いてもよい。
前記実施形態のいずれかにおいて、第1貯留タンク60に代えて、公知の撹拌槽を用いてもよい。
前記実施形態のいずれかにおいて、ラインミキサー30,30A,30B,30Cに代えて、公知のライン混合装置を用いてもよい。
前記実施形態のいずれかにおいて、RFCC装置50に代えて、例えば、石油精製の分野で用いられている公知の分解処理装置を用いてもよい。
【実施例0132】
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
【0133】
〔実施例1〕
〔第1調製工程〕
廃プラスチックとして、ポリプロピレン及びポリエチレンの混合物を用いて、以下の溶融条件で、廃プラスチックを溶融させた。
溶融廃プラスチックの溶融粘度を既述の方法で測定した。溶融廃プラスチックの200℃における溶融粘度は、2.3×107mPa・sであった。
(溶融条件)
・混練機 :芝浦機械社製:二軸混練押出機(品番TEM-37SS)
・溶融温度 :200℃
・溶融量 :30kg/hr
溶融廃プラスチック(以下、「溶融廃プラ」とも称する)に対する脱硫残渣油(DSRC)の比率(DSRC/溶融廃プラ)が、質量比で1になるように、溶融廃プラ(10kg)に、原料油としてのDSRCを加え、溶融廃プラとDSRCとの混合物C1(20kg)とした後、撹拌槽へ搬送し、前記溶融廃プラに対するDSRCの比率(DSRC/前記溶融廃プラ)が、質量比で3になるように、前記混合物C1(20kg)に、原料油としてのDSRCをさらに加え、以下の混合条件1で溶融廃プラ混合油を調製した。
(混合条件1)
・撹拌槽 :ダブルヘリカルリボン翼攪拌槽
・温度 :200℃
・回転数 :15rpm
・平均滞留時間 :15分間
溶融廃プラ混合油の溶融粘度を既述の方法で測定した。溶融廃プラ混合油の200℃における溶融粘度は、15万mPa・sであった。
【0134】
〔第2調製工程〕
次に、溶融廃プラに対するDSRCの比率(DSRC/溶融廃プラ)が、質量比で49になるように、溶融廃プラ混合油(4kg)に、さらにDSRC(46kg)を加えた。その後、連続式ミキサーを用いて、以下の混合条件2で溶融廃プラ混合油とDSRCとの混合物を混合し、分解処理用混合物を調製した。
分解処理用混合物の溶融粘度を既述の方法で測定した。分解処理用混合物の200℃における溶融粘度は、11mPa・sであり、分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、40meshフィルターの通過割合は91質量%であった。
(混合条件2)
・連続式ミキサー :プライミクス社製:ホモミックラインフローLF30型
・回転数 :14500rpm
・温度 :200℃
・時間 :3秒
【0135】
〔実施例2〕
実施例1に対し、連続式ミキサーの混合条件2において、回転数を10000rpm、時間を30秒に変更したこと以外、実施例1と同様の方法で、分解処理用混合物を調製した。
分解処理用混合物の200℃における溶融粘度は、13mPa・sであり、40meshのフィルターを通過した分解処理用混合物の40meshフィルターの通過割合は98質量%であった。
【0136】
〔比較例1〕
比較例1は、撹拌槽を用いずに連続式ミキサーのみを用いて分解処理用混合物を調製した例である。比較例1の分解処理用混合物は、以下の方法で調製した。
実施例1と同様の方法で、溶融廃プラとDSRCとの混合物C1を得た。その後、前記混合物C1を撹拌槽へ搬送せずに、前記溶融廃プラに対するDSRCの比率(DSRC/前記溶融廃プラ)が、質量比で3になるように、前記混合物C1に、原料油としてのDSRCを加え、溶融廃プラ混合油D1を調製した。
その後、実施例1と同様の方法で、溶融廃プラ混合油D1(4kg)に、さらにDSRC(46kg)を加えた。その後、連続式ミキサーを用いて、前記混合条件2で溶融廃プラ混合油D1とDSRCとの混合物を混合することにより、分解処理用混合物を調製した。
分解処理用混合物の200℃における溶融粘度は、3mPa・sであり、分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、40meshフィルターの通過割合は1質量%であった。
【0137】
〔比較例2〕
比較例2は、連続式ミキサーを用いずに撹拌槽のみを用いて分解処理用混合物を調製した例である。比較例2の分解処理用混合物は、以下の方法で調製した。
実施例1と同様の方法で、溶融廃プラとDSRCとの混合物C1を得た。その後、撹拌槽へ搬送し、前記溶融廃プラに対するDSRCの比率(DSRC/前記溶融廃プラ)が、質量比で3になるように、前記溶融廃プラに、原料油としてのDSRCをさらに加え、前記混合条件1のうち、平均滞留時間を30分間に変更したこと以外、実施例1と同様の方法で、溶融廃プラ混合油D2を調製した。
次に、溶融廃プラに対するDSRCの比率(DSRC/溶融廃プラ)が、質量比で49になるように、溶融廃プラ混合油D2(4kg)に、さらにDSRC(46kg)を加えた。この溶融廃プラ混合油D2とDSRCとの混合物を比較例2の分解処理用混合物とした。
分解処理用混合物の200℃における溶融粘度は、5mPa・sであり、分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、40meshフィルターの通過割合は65質量%であった。
【0138】
〔評価〕
(粘度B及び粘度C)
溶融廃プラスチック混合油の200℃における溶融粘度(粘度B)、及び廃プラスチック分解処理用混合物の200℃における溶融粘度(粘度C)は、既述の方法で測定した。
【0139】
(分解処理用混合物の40meshフィルターの通過割合)
分解処理用混合物を40meshのフィルターに通過させたときの、フィルターの通過割合は、以下の方法で算出した。
各例で調製された分解処理用混合物5kgを常温常圧(25℃、1気圧)の条件下において40meshのフィルターに自重で通過させた。
40meshフィルターの通過割合(単位:%)は、下記数式(数X)より算出した。
40meshのフィルターを通過した分解処理用混合物の割合=A/(A+B)×100…(数X)
A:40meshのフィルターを通過した分解処理用混合物のろ液重量[g]
B:40meshのフィルターを通過しなかった分解処理用混合物のろ物重量[g]
【0140】
【0141】
(表1中の説明)
・比較例1の粘度Bは、溶融廃プラ混合油D1の粘度の値を示している。
・比較例2の粘度Cは、溶融廃プラ混合油D2とDSRCとの混合物の粘度の値を示している。
【0142】
撹拌槽及び連続式ミキサーを用いて、前記数式(数1)~(数3)もしくは前記数式(数1)、(数2X)及び(数3)を満たすように、溶融廃プラスチックと原料油とを段階的に混合して得られた実施例1、2の分解処理用混合物は、分解処理用混合物の40meshフィルターの通過割合が90%以上と高かった。
一方、撹拌槽を用いずに連続式ミキサーのみを用いて調製された比較例1の分解処理用混合物は、溶融粘度(粘度C)が、ほぼDSRCの粘度(3mPa・s)のままであった。さらに比較例1の40meshフィルターの通過割合は1%と顕著に低かった。
また、連続式ミキサーを用いずに撹拌槽のみを用いて調製された比較例2の分解処理用混合物は、溶融廃プラスチックの原料油中への混合が撹拌槽だけでは不十分であるため、40meshフィルターの通過割合は65%と低かった。
以上の結果より、本実施例の方法で分解処理用混合物を製造することで、溶融廃プラスチックと原料油との混合性が向上した分解処理用混合物が得られることがわかる。このような分解処理用混合物を分解処理装置で分解することで、廃プラスチックの分解性を向上させることができる。
10…第1輸送ライン、11,11A,12…供給ライン(第1供給ライン)、13…供給ライン(第2供給ライン)、13A…第1原料油供給ライン、13B…第2原料油供給ライン、14…第2輸送ライン、15…混合油輸送ライン、20,20A…混練機、21…フィーダー、22…ホッパー、23…廃プラスチック供給ライン、24…フィーダー制御器、25…廃プラスチック供給制御手段、30,30A,30B,30C…ラインミキサー、40…第2貯留タンク、41…遠心ポンプ、43,44…ガス抜きライン、50…RFCC装置、60…第1貯留タンク、61…ギアポンプ、70…追加原料油供給ライン、80…回転翼、90…撹拌羽根、100,200,300,400,500,600…処理システム、111…第1原料油供給制御手段、112…第1調節弁、113…第1制御器、121…第2原料油供給制御手段、122…第2調節弁、123…第2制御器、131…第3原料油供給制御手段、132…第3調節弁、133…第3制御器、151…第1混合油輸送ライン、152…第2混合油輸送ライン、171…追加原料供給制御手段、172…第4調節弁、173…第4制御器、HG…熱交換器。