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特開2022-158458カーフ品質許容範囲変更方法、プログラム及び加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158458
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】カーフ品質許容範囲変更方法、プログラム及び加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20221006BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20221006BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20221006BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20221006BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20221006BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20221006BHJP
【FI】
H01L21/78 A
B24B49/12
B24B27/06 M
B23Q17/24 C
B23K26/38 Z
B23K26/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063376
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】梶原 佑介
【テーマコード(参考)】
3C029
3C034
3C158
4E168
5F063
【Fターム(参考)】
3C029AA04
3C029AA40
3C034AA19
3C034BB73
3C034BB93
3C034CA05
3C034CB20
3C034DD18
3C158AA03
3C158AB04
3C158AC02
3C158BB08
3C158CB06
3C158DA17
4E168AD07
4E168CA06
4E168CB07
4E168CB24
4E168DA04
4E168DA24
4E168DA43
4E168HA01
4E168JA12
4E168JA13
5F063AA28
5F063AA48
5F063BA43
5F063BA45
5F063DD02
5F063DD25
5F063DE11
5F063DE12
5F063DE16
5F063DE33
5F063FF01
5F063FF05
(57)【要約】
【課題】加工装置においてカーフチェックを適切に実行させるためのカーフ品質許容範囲変更方法、このカーフ品質許容範囲変更方法をコンピュータに実行させるプログラム及びこのカーフ品質許容範囲変更方法が実行される加工装置を提供する。
【解決手段】被加工物に形成されたカーフを撮像して形成されるカーフの画像を用いて算出される、カーフの加工品質に関する項目の被判定値がエラー値である場合に、この被判定値を含むように、当該項目の許容範囲を変更する。これにより、カーフチェックを適切に実行させることが可能になる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に形成されたカーフの加工品質を確認するカーフチェックを行うために設定されている該カーフの加工品質に関する項目の許容範囲を変更するカーフ品質許容範囲変更方法であって、
該被加工物に形成されたカーフを撮像して形成されるカーフの画像を用いて、該項目の被判定値を算出する算出ステップと、
該被判定値が該許容範囲に含まれないエラー値であるか否かを判定する判定ステップと、
該判定ステップで該エラー値であると判定された該被判定値を含むように該許容範囲を変更する変更ステップと、
を含むことを特徴とするカーフ品質許容範囲変更方法。
【請求項2】
該変更後の該許容範囲には、該許容範囲を変更する際の最小単位1つ分だけ、該被判定値よりも該変更前の該許容範囲から外れた値が含まれ、かつ、該最小単位2つ分だけ、該被判定値よりも該変更前の該許容範囲から外れた値が含まれないことを特徴とする請求項1に記載のカーフ品質許容範囲変更方法。
【請求項3】
該項目は、カーフの幅、チッピングのサイズ、カーフのずれ量又はカーフ認識値であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーフ品質許容範囲変更方法。
【請求項4】
被加工物に形成されたカーフの加工品質を確認するカーフチェックを行うために設定されている該カーフの加工品質に関する項目の許容範囲を変更するカーフ品質許容範囲変更方法を、コンピュータに実行させるプログラムであって、
該カーフ品質許容範囲変更方法は、
該被加工物に形成されたカーフを撮像して形成されるカーフの画像を用いて、該項目の被判定値を算出する算出ステップと、
該被判定値が該許容範囲に含まれないエラー値であるか否かを判定する判定ステップと、
該判定ステップで該エラー値であると判定された該被判定値を含むように該許容範囲を変更する変更ステップと、を含む
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された該被加工物にカーフを形成する加工ユニットと、該カーフを撮像してカーフの画像を形成する撮像ユニットと、該被加工物に形成されたカーフの加工品質を確認するカーフチェックを行うために設定されている該カーフの加工品質に関する項目の許容範囲を変更する制御ユニットと、を備える加工装置であって、
該制御ユニットは、
該カーフの画像を用いて、該項目の被判定値を算出する算出部と、
該被判定値が該許容範囲に含まれないエラー値であるか否かを判定する判定部と、
該判定部が該エラー値であると判定した該被判定値を含むように該許容範囲を変更する変更部と、を含む
ことを特徴とする加工装置。
【請求項6】
該加工ユニットは、環状の切削ブレードを備える切削ユニットであり、
該カーフは、該切削ブレードにより形成されることを特徴とする請求項5に記載の加工装置。
【請求項7】
該加工ユニットは、該被加工物にレーザビームを照射できるレーザ加工ユニットであり、
該カーフは、該レーザ加工ユニットから該レーザビームが該被加工物に照射されることで形成されることを特徴とする請求項5に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物に形成されたカーフの加工品質を確認するカーフチェックを行うために設定されているカーフの加工品質に関する項目の許容範囲を変更するカーフ品質許容範囲変更方法、このカーフ品質許容範囲変更方法をコンピュータに実行させるプログラム及びこのカーフ品質許容範囲変更方法が実行される加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)及びLSI(Large Scale Integration)等のデバイスのチップは、携帯電話及びパーソナルコンピュータ等の各種電子機器において不可欠の構成要素である。このようなチップは、例えば、半導体材料からなるウェーハの表面に多数のデバイスを形成した後に、加工装置を用いてウェーハを個々のデバイスを含む領域毎に分割することで製造される。
【0003】
ウェーハ等の被加工物を分割する加工装置としては、例えば、切削装置及びレーザ加工装置が挙げられる。切削装置は、被加工物を保持する保持テーブルと、環状の切削ブレードを有する切削ユニットとを有し、この切削ブレードを回転させながら被加工物に接触させることによって被加工物を切削する。また、レーザ加工装置は、被加工物を保持する保持テーブルと、レーザビームを照射できるレーザ加工ユニットとを有し、このレーザビームを被加工物に照射してレーザアブレーションを生じさせる。
【0004】
このような加工装置は、一般的に、被加工物を撮像して被加工物と加工ユニット(切削ユニット又はレーザ加工ユニット)との位置合わせ等を行うための撮像ユニットを有する。また、この撮像ユニットは、加工ユニットによって被加工物に形成された加工痕を確認するために利用されることもある。
【0005】
例えば、被加工物に形成されたカーフを撮像して形成されるカーフの画像を用いて、カーフの加工品質の確認(カーフチェック)が行われることがある(例えば、特許文献1参照)。そして、カーフチェックによってカーフの加工品質に異常が発見された場合には、例えば、加工装置の動作を停止させ、かつ、これがオペレータに報知される。これにより、加工装置における被加工物の加工不具合を早期に発見し、それによる悪影響を最小限に抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-74198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カーフチェックは、例えば、カーフの画像を用いてカーフの加工品質に関する複数の項目のそれぞれの値(被判定値)を算出し、各被判定値が予め設定された許容範囲に含まれるか否かを判定することによって行われる。そして、被判定値のいずれかが許容範囲に含まれない値(エラー値)であった場合に、加工装置において、カーフの加工品質に異常があったと判断される。
【0008】
ただし、カーフの加工品質に対する要求は、加工される被加工物の種類等に応じて変化し得る。そのため、カーフチェックによってカーフの加工品質に異常があったと判断されて加工装置の動作が停止されるような場合であっても、実際に要求されているカーフの加工品質を満たしている場合がある。
【0009】
このような場合には、カーフの加工品質に関する複数の項目のうちの少なくとも一つの項目の許容範囲を変更する必要がある。しかしながら、加工装置の操作に慣れていないオペレータにとっては、許容範囲を変更すべき項目及びその変更によって設定されるべき許容範囲を特定することが容易ではないおそれがある。
【0010】
この点に鑑み、本発明の目的は、加工装置においてカーフチェックを適切に実行させるためのカーフ品質許容範囲変更方法、このカーフ品質許容範囲変更方法をコンピュータに実行させるプログラム及びこのカーフ品質許容範囲変更方法が実行される加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によれば、被加工物に形成されたカーフの加工品質を確認するカーフチェックを行うために設定されている該カーフの加工品質に関する項目の許容範囲を変更するカーフ品質許容範囲変更方法であって、該被加工物に形成されたカーフを撮像して形成されるカーフの画像を用いて、該項目の被判定値を算出する算出ステップと、該被判定値が該許容範囲に含まれないエラー値であるか否かを判定する判定ステップと、該判定ステップで該エラー値であると判定された該被判定値を含むように該許容範囲を変更する変更ステップと、を含むカーフ品質許容範囲変更方法が提供される。
【0012】
さらに、本発明のカーフ品質許容範囲変更方法においては、該変更後の該許容範囲には、該許容範囲を変更する際の最小単位1つ分だけ、該被判定値よりも該変更前の該許容範囲から外れた値が含まれ、かつ、該最小単位2つ分だけ、該被判定値よりも該変更前の該許容範囲から外れた値が含まれないことが好ましい。
【0013】
また、本発明のカーフ品質許容範囲変更方法においては、該項目は、カーフの幅、チッピングのサイズ、カーフのずれ量又はカーフ認識値であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の別の側面によれば、被加工物に形成されたカーフの加工品質を確認するカーフチェックを行うために設定されている該カーフの加工品質に関する項目の許容範囲を変更するカーフ品質許容範囲変更方法を、コンピュータに実行させるプログラムであって、該カーフ品質許容範囲変更方法は、該被加工物に形成されたカーフを撮像して形成されるカーフの画像を用いて、該項目の被判定値を算出する算出ステップと、該被判定値が該許容範囲に含まれないエラー値であるか否かを判定する判定ステップと、該判定ステップで該エラー値であると判定された該被判定値を含むように該許容範囲を変更する変更ステップと、を含むことを特徴とするプログラムが提供される。
【0015】
また、本発明のさらに別の側面によれば、被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された該被加工物にカーフを形成する加工ユニットと、該カーフを撮像してカーフの画像を形成する撮像ユニットと、該被加工物に形成されたカーフの加工品質を確認するカーフチェックを行うために設定されている該カーフの加工品質に関する項目の許容範囲を変更する制御ユニットと、を備える加工装置であって、該制御ユニットは、該カーフの画像を用いて、該項目の被判定値を算出する算出部と、該被判定値が該許容範囲に含まれないエラー値であるか否かを判定する判定部と、該判定部が該エラー値であると判定した該被判定値を含むように該許容範囲を変更する変更部と、を含む加工装置が提供される。
【0016】
さらに、本発明の加工装置においては、該加工ユニットは、環状の切削ブレードを備える切削ユニットであり、該カーフは、該切削ブレードにより形成されることが好ましい。
【0017】
あるいは、本発明の加工装置においては、該加工ユニットは、該被加工物にレーザビームを照射できるレーザ加工ユニットであり、該カーフは、該レーザ加工ユニットから該レーザビームが該被加工物に照射されることで形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、被加工物に形成されたカーフを撮像して形成されるカーフの画像を用いて算出される、カーフの加工品質に関する項目の被判定値がエラー値である場合に、この被判定値を含むように、当該項目の許容範囲が変更される。これにより、カーフチェックを適切に実行させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、システムの一例を模式的に示す図である。
図2図2は、コンピュータを模式的に示すブロック図である。
図3図3は、コンピュータに含まれる機能部を模式的に示すブロック図である。
図4図4は、切削装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、システムにおいて実行されるカーフ品質許容範囲変更方法を模式的に示すシーケンス図である。
図6図6は、カーフ品質許容範囲変更方法における加工装置の動作フローの一部を模式的に示すフローチャートである。
図7図7は、カーフチェックの結果を示す画面の一例を模式的に示す図である。
図8図8は、カーフ品質許容範囲変更方法におけるコンピュータの動作フローの一部を模式的に示すフローチャートである。
図9図9は、加工装置において実行されるカーフ品質許容範囲変更方法を模式的に示すシーケンス図である。
図10図10は、カーフ品質許容範囲変更方法における加工装置の動作フローの一部を模式的に示すフローチャートである。
図11図11は、カーフ品質許容範囲変更方法における加工装置の動作フローの一部を模式的に示すフローチャートである。
図12図12は、レーザ加工装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態のシステムの一例を模式的に示す図である。図1に示されるシステムは、コンピュータ2及び加工装置4を含む。コンピュータ2及び加工装置4は、互いに離隔して設けられ、かつ、ネットワーク6を介して互いに通信可能である。
【0021】
このネットワーク6は、例えば、無線通信又は有線通信によって構成される。あるいは、ネットワーク6は、無線通信及び有線通信を組み合わせて構成されていてもよい。また、図1においては、便宜上、コンピュータ2及び加工装置4がそれぞれ1台しか記載されていないが、コンピュータ2は、複数の加工装置4と通信可能であってもよく、また、加工装置4は、複数のコンピュータ2と通信可能であってもよい。
【0022】
例えば、コンピュータ2は、同種又は異種の複数の加工装置4と通信可能なように構成されていてもよい。また、加工装置4は、それぞれが異なる処理を実行する複数のコンピュータ2と通信可能であり、加工装置4で実施される処理に応じて複数のコンピュータ2のいずれかと通信するように構成されてもよい。
【0023】
そして、加工装置4は、例えば、カーフの画像に対応する電気信号とカーフの加工品質に関する複数の項目のそれぞれの許容範囲(カーフチェック条件)に対応する電気信号とをコンピュータ2に送信する。また、コンピュータ2は、例えば、このカーフの画像を用いてカーフチェックを行なった際にカーフの加工品質が正常であると判定されるようなカーフチェック条件に対応する電気信号を加工装置4に送信する。
【0024】
図2は、図1に示されるシステムに含まれるコンピュータ2を模式的に示すブロック図である。図2に示されるコンピュータ2は、中央処理装置(CPU)8と、記憶装置10と、出力装置12と、入力装置14と、通信インターフェース16とを含む。また、記憶装置10は、書き換え速度に優れる主記憶装置10aと、記憶容量が大きい補助記憶装置10bとを含む。そして、これらの構成要素は、バス18を介して、互いに電気信号の授受が可能なように接続されている。
【0025】
CPU8は、記憶装置10の補助記憶装置10bに記憶された各種のプログラムを読みだして実行する。CPU8は、例えば、カーフの画像に対応する電気信号とカーフチェック条件に対応する電気信号とが加工装置4からコンピュータ2に送信された場合に、補助記憶装置10bからカーフ品質許容範囲変更用のプログラムを読みだして演算処理を行い、このカーフチェック条件を変更する。
【0026】
具体的には、CPU8は、このカーフの画像を用いてカーフチェックを行なった際にカーフの加工品質が正常であると判定されるようにカーフチェック条件を変更する。さらに、CPU8は、変更されたカーフチェック条件をコンピュータ2のユーザに報知するために出力装置12を制御する。また、CPU8は、コンピュータ2のユーザによる入力装置14の操作に応じて、通信インターフェース16を介して、変更されたカーフチェック条件に対応する電気信号を加工装置4に送信する。
【0027】
なお、記憶装置10の主記憶装置10aは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)又はSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリによって構成される。また、その補助記憶装置10bは、SSD(Solid State Drive)(NAND型フラッシュメモリ)又はHDD(Hard Disk Drive)(磁気記憶装置)等の不揮発性メモリによって構成される。
【0028】
また、出力装置12は、ディスプレイ、プリンタ及びスピーカ等の少なくとも一つによって構成される。また、入力装置14は、キーボード、マウス、タッチパッド及びマイクロフォン等の少なくとも一つによって構成される。なお、出力装置12及び入力装置14は、一体化されていてもよい。
【0029】
すなわち、出力装置12及び入力装置14は、タッチパネル等の入出力装置に置換されてもよい。また、通信インターフェース16は、通信用回路(アナログ-デジタル変換回路(ADC)及びデジタル-アナログ変換回路(DAC)等)及び入出力(I/O)ポート等の少なくとも一つによって構成される。
【0030】
図3は、コンピュータ2に含まれる機能部を示すブロック図である。図3に示されるコンピュータ2は、算出部20と、判定部22と、変更部24とを有する。算出部20は、被加工物に形成されたカーフの画像を用いて、カーフの加工品質に関する複数の項目のそれぞれの値(被判定値)を算出する機能を有する。
【0031】
この複数の項目としては、カーフの幅、チッピングのサイズ、カーフのずれ量及びカーフ認識値(カーフらしさ)が挙げられる。このカーフの幅は、例えば、カーフを画定する一対の内側面の最も内側を通り、かつ、カーフが延在する方向に沿った一対の直線の間隔として評価される。また、チッピングのサイズは、例えば、この一対の直線の一方又は他方から外側に広がるチッピングの最大幅(カーフの広がり)又はチッピングの面積(チッピングの領域を構成する画素の数)として評価される。
【0032】
また、カーフのずれ量は、例えば、理想的な位置にあるカーフを画定する一対の内側面の中央に位置し、かつ、カーフが延在する方向に沿った直線と、実際のカーフを画定する一対の内側面の中央に位置し、かつ、カーフが延在する方向に沿った直線との間隔として評価される。また、カーフ認識値は、例えば、カーフの画像を構成する一対の画素であって、カーフが延在する方向と直交する方向において隣接し、かつ、この方向において最も大きく輝度が変化する一対の画素間の輝度の差(コントラスト)として評価される。なお、このカーフ認識値は、実際のカーフを画定する一対の内側面の傾き等に依存する値である。
【0033】
また、判定部22は、算出部20によって算出された複数の被判定値のそれぞれが、カーフの加工品質に関する複数の項目のそれぞれの許容範囲に含まれない値(エラー値)であるか否かを判定する。また、変更部24は、判定部22によってエラー値であると判定された被判定値を含むように、当該項目の許容範囲を変更する。
【0034】
図4は、図1に示されるシステムに含まれる加工装置4を模式的に示す斜視図である。なお、図4においては、加工装置4の構成要素の一部が機能ブロックで示されている。また、図4に示されるX軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)は、水平面上において互いに垂直な方向であり、また、Z軸方向(上下方向)は、X軸方向及びY軸方向に垂直な方向(鉛直方向)である。
【0035】
図4に示される加工装置4は、各構成要素を支持する基台26を備える。基台26の前方の角部には、開口26aが形成されており、この開口26a内には、昇降機構(不図示)によって昇降するカセット支持台28が設けられている。カセット支持台28の上面には、複数の被加工物11を収容するカセット30が載せられる。なお、図4では、便宜上、カセット30の輪郭のみが示されている。
【0036】
被加工物11は、例えば、シリコン等の半導体材料からなる円盤状のウェーハである。なお、被加工物11の材質、形状、構造及び大きさ等に制限はない。被加工物11は、例えば、シリコン以外の半導体材料(例えば、炭化シリコン(SiC)又は窒化ガリウム(GaN)等)からなっていてもよい。被加工物11の表面11a側には、互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)が設定されている。
【0037】
複数の分割予定ラインによって区画された各領域の表面11a側には、IC又はLSI等のデバイスが形成されている。また、被加工物11の裏面11bには、被加工物11よりも径が長いダイシングテープ(粘着テープ)13が貼り付けられている。このダイシングテープ13の外周部分には、金属製の環状のフレーム15が貼り付けられている。そして、被加工物11は、ダイシングテープ13を介してフレーム15と一体化された被加工物ユニット17の状態でカセット30に収容されている。
【0038】
カセット支持台28の側方には、長手方向がX軸方向に沿う矩形の開口26bが形成されており、この開口26b内には、ボールねじ式のX軸移動機構(不図示)と、X軸移動機構を覆うテーブルカバー32及び防塵防滴カバー34とが配置されている。このX軸移動機構は、テーブルカバー32によって覆われたX軸移動テーブル(不図示)を備えており、このX軸移動テーブルをX軸方向に移動させる。
【0039】
このX軸移動テーブルの上面にはテーブルカバー32から露出するように保持テーブル36が固定されている。そのため、X軸移動機構がX軸移動テーブルを移動させると、テーブルカバー32が保持テーブル36と共にX軸方向に沿って移動し、かつ、移動するテーブルカバー32に合わせて防塵防滴カバー34が伸縮する。
【0040】
保持テーブル36は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料からなる円盤状の枠体を有する。この枠体は、円盤状の底壁と、この底壁の外周部から上方に延在する円環状の側壁とを有する。そして、底壁及び側壁によって枠体の上面側に凹部が画定され、この凹部には、セラミックス等からなる円盤状のポーラス板が固定されている。
【0041】
さらに、このポーラス板は、X軸方向及びY軸方向に平行な上面を有し、その下面側は、保持テーブル36の枠体の内部に形成された吸引路(不図示)及びバルブ等を介してエジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。そして、この吸引源が動作した状態でバルブを開くと、ポーラス板の上面近傍の空間に負圧が生じる。
【0042】
そのため、このポーラス板の上面は、被加工物11を保持する保持テーブル36の保持面として機能する。すなわち、このポーラス板の上面にダイシングテープ13を介して被加工物11が置かれた状態でポーラス板の上面近傍の空間に負圧を生じさせると、被加工物11が保持テーブル36に吸引保持される。
【0043】
さらに、保持テーブル36の枠体の周囲には、フレーム15を固定するためのクランプ38が設けられており、被加工物11が保持テーブル36で吸引保持される際には、このクランプ38でフレーム15も固定される。また、保持テーブル36は、その保持面の中心を通り、かつ、Z軸方向に平行な直線を回転軸として、保持テーブル36を回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)と連結している。
【0044】
基台26上には、開口26bを跨ぐ様に配置された支持構造40が設けられている。具体的には、支持構造40は、開口26bを挟むように基台26上に設けられた一対の平板状の立設部40a,40bと、開口26bの上方の空間を渡るように一対の立設部40a,40b上に設けられた平板状の渡設部40cとを有する。
【0045】
この渡設部40cの前面(表面)側には、第1Y軸移動機構42a及び第2Y軸移動機構42bが設けられている。第1Y軸移動機構42a及び第2Y軸移動機構42bは、渡設部40cの前面に固定され、かつ、Y軸方向に沿って延在する一対のガイドレール44を共有する。この一対のガイドレール44の前面(表面)側には、移動プレート46a及び移動プレート46bが設けられている。
【0046】
移動プレート46aは、移動プレート46bよりも立設部40aに近接し、また、移動プレート46bは、移動プレート46aよりも立設部40bに近接する。そして、移動プレート46a及び移動プレート46bは、互いが接触しない範囲において、一対のガイドレール44に沿ってスライド可能な態様でガイドレール44の前面(表面)側に連結されている。
【0047】
また、一対のガイドレール44の間には、Y軸方向に沿って延在するねじ軸48a及びねじ軸48bが配置されている。このねじ軸48aの立設部40b側の端部には、ねじ軸48aを回転させるためのモータ50aが連結されている。同様に、このねじ軸48bの立設部40a側の端部には、ねじ軸48bを回転させるためのモータ(不図示)が連結されている。
【0048】
そして、ねじ軸48aの螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸48aの表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。すなわち、ねじ軸48aが回転すると、ボールがナット部材を循環して、ナット部がY軸方向に沿って移動する。また、このナット部は、移動プレート46aの後面(裏面)側に固定されている。そのため、モータ50aでねじ軸48aを回転させれば、ナット部とともに移動プレート46aがY軸方向に沿って移動する。
【0049】
同様に、ねじ軸48bの螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸48bの表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。すなわち、ねじ軸48bが回転すると、ボールがナット部材を循環して、ナット部がY軸方向に沿って移動する。また、このナット部は、移動プレート46bの後面(裏面)側に固定されている。そのため、ねじ軸48bの立設部40a側の端部に連結されたモータでねじ軸48bを回転させれば、ナット部とともに移動プレート46bがY軸方向に沿って移動する。
【0050】
なお、第1Y軸移動機構42aには、移動プレート46aをY軸方向に沿って移動させるためのボールねじ(ねじ軸48a等)及びモータ50aが含まれる。また、第2Y軸移動機構42bには、移動プレート46bをY軸方向に沿って移動させるためのボールねじ(ねじ軸48b等)及びねじ軸48bの立設部40a側の端部に連結されたモータが含まれる。
【0051】
移動プレート46a及び移動プレート46bのそれぞれの前面(表面)には、Z軸移動機構52が設けられている。Z軸移動機構52は、移動プレート46a又は移動プレート46bの前面(表面)に固定され、かつ、Z軸方向に沿って延在する一対のガイドレール54を有する。一対のガイドレール54の前面(表面)側には、一対のガイドレール54に沿ってスライド可能な態様で移動プレート56が連結されている。
【0052】
また、一対のガイドレール54の間には、Z軸方向に沿って延在するねじ軸58が配置されている。このねじ軸58の上端部には、ねじ軸58を回転させるためのモータ60が連結されている。そして、ねじ軸58の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸58の表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。
【0053】
すなわち、ねじ軸58が回転すると、ボールがナット部内を循環して、ナット部がZ軸方向に沿って移動する。また、このナット部は、移動プレート56の後面(裏面)側に固定されている。そのため、モータ60でねじ軸58を回転させれば、ナット部とともに移動プレート56がZ軸方向に沿って移動する。
【0054】
移動プレート56の下部には、被加工物11を切削する切削ユニット(加工ユニット)62が設けられている。切削ユニット62は、Y軸方向に沿って延在する筒状のスピンドルハウジングを有する。このスピンドルハウジングには、Y軸方向に延在するスピンドルが収容されている。このスピンドルは、回転可能な状態でスピンドルハウジングによって支持される。
【0055】
また、このスピンドルの先端部は、スピンドルハウジングの外に露出し、この先端部には、環状の切刃を有する切削ブレード64が装着されている。さらに、スピンドルハウジングには、スピンドルの基端部に連結されるモータ等の回転駆動源(不図示)が収容されている。そのため、この回転駆動源でスピンドルを回転させれば、Y軸方向に沿った直線を回転軸として切削ブレード64が回転する。
【0056】
なお、切削ブレード64は、例えば、ハブタイプの切削ブレードである。ハブタイプの切削ブレードは、金属等でなる環状の基台と、基台の外周縁に沿って形成された環状の切刃とによって構成される。この切削ブレードの切刃は、例えば、ダイヤモンド又は立方晶窒化ホウ素(cBN:cubic Boron Nitride)等でなる砥粒がニッケル等の結合材によって固定された電鋳砥石によって構成される。
【0057】
あるいは、切削ブレード64は、ワッシャータイプの切削ブレードであってもよい。ワッシャータイプの切削ブレードは、金属、セラミックス又は樹脂等でなる結合材によって砥粒が固定された環状の切刃によって構成される。
【0058】
切削ユニット62の前方には、撮像ユニット66が設けられている。撮像ユニット66は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の光源と、対物レンズと、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子とを有する。
【0059】
また、基台26の開口26bの、開口26aとは反対側の側方には、洗浄ユニット68が設けられている。洗浄ユニット68は、円筒状の洗浄空間内でダイシングテープ13を介して被加工物11を保持するスピンナテーブル70を備える。スピンナテーブル70の上面は、水平面(XY平面)に概ね平行な面である。
【0060】
また、スピンナテーブル70の下部は、スピンナテーブル70の内部に形成された流路(不図示)及びバルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。そして、この吸引源が動作した状態でバルブを開くと、スピンナテーブル70の上面近傍の空間に負圧が生じる。そのため、スピンナテーブル70の上面は、被加工物11を保持する保持面として機能する。
【0061】
さらに、スピンナテーブル70の周囲には、フレーム15を固定するためのクランプが設けられており、被加工物11がスピンナテーブル70で吸引保持される際には、このクランプでフレーム15も固定される。また、スピンナテーブル70は、その保持面の中心を通り、かつ、Z軸方向に平行な直線を回転軸として、スピンナテーブル70を回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)と連結している。
【0062】
スピンナテーブル70の上方には、スピンナテーブル70によって保持された被加工物11に向かって洗浄用の流体(例えば、水とエアーとが混合された混合流体)を供給するノズル72が配置されている。加工装置4においては、スピンナテーブル70によって被加工物11を保持した状態で、スピンナテーブル70を回転させながらノズル72から流体を供給することにより、被加工物11を洗浄することができる。
【0063】
基台26の上側には、基台26上に配置された各構成要素を覆うカバー74が設けられている。なお、図4においては、カバー74の輪郭のみが二点鎖線で示されている。また、このカバー74の側面には、加工装置4に関する各種の情報を表示するタッチパネル76が設けられている。
【0064】
タッチパネル76は、例えば、オペレータからの指示を加工装置4へ入力するための入力装置として機能するタッチセンサと、各種の情報を出力するための出力装置として機能するディスプレイとによって構成される。このタッチセンサは、例えば、静電容量方式のタッチセンサ又は抵抗膜方式のタッチセンサ等である。また、このディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
【0065】
すなわち、タッチパネル76はユーザーインターフェースとして機能し、オペレータはタッチパネル76の表面に触れることによって加工装置4を操作できる。なお、タッチパネル76は、互いに独立した出力装置及び入力装置に置換されていてもよい。例えば、タッチパネル76は、ディスプレイと、キーボード及びマウスとに置換されてもよい。
【0066】
カバー74の上面には、警告灯(パイロットランプ)78が設けられている。警告灯78は、加工装置4でエラー(異常)が発生した際に点灯又は点滅してオペレータにエラーの発生を報知する。例えば、警告灯78は、カーフの画像を用いてカーフチェックを行なった際にカーフの加工品質が異常であると判定された場合に点灯する。なお、警告灯78は、加工装置4で異常が発生した際に音を発するスピーカに置換され、又は、このスピーカと共に設けられてもよい。
【0067】
上述した加工装置4の各構成要素の動作は、制御ユニット80によって制御される。制御ユニット80は、例えば、CPUと、主記憶装置(揮発性メモリ)及び補助記憶装置(不揮発性メモリ)を含む記憶装置と、通信インターフェースとを含む。そして、制御ユニット80及びタッチパネル76によって、図2に示されるコンピュータ2と同様のコンピュータが構成される。
【0068】
なお、制御ユニット80の補助記憶装置には、被加工物11に形成されたカーフの画像を用いてカーフチェックを実行するためのプログラムが記憶されている。そのため、制御ユニット80のCPUは、オペレータによるタッチパネル76に応じて、このプログラムを読みだしてカーフチェックを実行できる。その結果、カーフの加工品質が異常であるとCPUが判定した場合には、CPUは、例えば、警告灯78を点灯させるとともに加工装置4における被加工物11の加工を停止させることができる。
【0069】
図5は、図1に示されるシステムにおいて実行されるカーフ品質許容範囲変更方法を模式的に示すシーケンス図である。この方法においては、まず、加工装置4において、被加工物11を保持テーブル36で保持する(保持ステップ:S1)。具体的には、ダイシングテープ13を介して被加工物11を保持テーブル36の保持面に置いた後、保持テーブル36の保持面近傍の空間に負圧を生じさせて被加工物11を保持テーブル36に吸引保持させるとともにフレームをクランプ38で固定する。
【0070】
保持ステップ(S1)が完了すれば、切削ユニット62で被加工物11にカーフを形成する(カーフ形成ステップ:S2)。このカーフ形成ステップ(S2)は、例えば、以下の順序で行われる。まず、切削ブレード64と被加工物11とがX軸方向において離隔するように、X軸方向移動機構がX軸方向における保持テーブル36の位置を調整する。
【0071】
次いで、被加工物11の分割予定ライン(ストリート)がY軸方向と平行になるように回転駆動源が保持テーブル36を回転させる。次いで、このストリートが、切削ブレード64からみて、X軸方向に位置付けられるように第1Y軸移動機構42a又は第2Y軸移動機構42bがY軸方向における切削ユニット62の位置を調整する。
【0072】
次いで、この切削ユニット62の切削ブレード64の最下端が、被加工物11の裏面11bよりも低く、かつ、保持テーブル36の保持面よりも高くなるように、Z軸移動機構52がZ軸方向における切削ユニット62の位置を調整する。次いで、切削ユニット62の回転駆動源を動作させて切削ブレード64を回転させる。
【0073】
次いで、切削ブレード64を回転させたまま、ストリートの一端から他端までを切削ブレード64が通り過ぎるようにX軸方向移動機構がX軸方向に沿って保持テーブル36を移動させる。これにより、被加工物11を貫通し、かつ、ダイシングテープ13を露出させるカーフが形成される。
【0074】
カーフ形成ステップ(S2)が完了すれば、カーフを撮像ユニット66で撮像する(撮像ステップ:S3)。これにより、カーフの画像が形成される。この時、制御ユニット80のCPUは、例えば、形成されたカーフの画像を表示させるようにタッチパネル76を制御してもよい。
【0075】
撮像ステップ(S3)が完了すれば、カーフの画像を用いてカーフチェックを行う(カーフチェックステップ:S4)。図6は、カーフチェックステップ(S4)を行う際の加工装置4の動作フローを模式的に示すフローチャートである。カーフチェックステップ(S4)においては、カーフの画像を用いて、制御ユニット80のCPUがカーフの加工品質に関する複数の項目のそれぞれの値(被判定値)を算出する。
【0076】
そして、このCPUは、各被判定値が予め設定された許容範囲に含まれるか否か(カーフチェック条件に適合するか否か)を判定する。その結果、少なくとも一つの被判定値がカーフチェック条件に適合しない(エラーが発生した)場合(S5:YES)には、このCPUは、カーフチェックに用いられたカーフの画像に対応する電気信号及びカーフチェック条件に対応する電気信号をコンピュータ2に送信する(送信ステップ:S6)。
【0077】
また、この場合には、このCPUは、警告灯78を点灯することで、加工装置4のオペレータにカーフの加工品質が異常であることを報知してもよく、また、カーフチェックの結果を表示するようにタッチパネル76を制御してもよい。また、この場合には、これらの電気信号が自動的に加工装置4からコンピュータ2に送信されてもよいし、加工装置4のオペレータによるタッチパネル76の操作に応じて、これらの電気信号が加工装置4からコンピュータ2に送信されてもよい。
【0078】
カーフの画像に対応する電気信号及びカーフチェック条件に対応する電気信号をコンピュータ2が受信すると、コンピュータ2のCPU8は、補助記憶装置10bからカーフ品質許容範囲変更用のプログラムを読みだして演算処理を行い、このカーフチェック条件を変更する。具体的には、まず、コンピュータ2の算出部20が、このカーフの画像を用いてカーフの加工品質に関する複数の項目のそれぞれの被判定値を算出する(算出ステップ:S7)。
【0079】
この時、コンピュータ2においては、出力装置12を介して、カーフチェックの結果がコンピュータ2のユーザに報知されてもよい。例えば、カーフチェックの結果をディスプレイ(出力装置12)に表示させるように、コンピュータ2のCPU8がディスプレイを制御してもよい。
【0080】
図7は、このディスプレイに表示されるカーフチェックの結果を示す画面の一例を模式的に示す図である。図7に示される画像82には、カーフチェックに用いられた画像84が含まれる。そして、この画像84には、被加工物11の表面11a側に形成された隣接する一対のデバイス84aの間に位置する分割予定ライン(ストリート)84bに形成されたカーフ84cが含まれている。
【0081】
また、画像84には、カーフの加工品質に関する複数の項目(「カーフ点数」、「オフセンター」、「カーフ幅」、「最大カーフ幅」、「最大カーフ片幅」、「チッピング最大サイズ」及び「チッピングエリア」)86aと、それらの値(被判定値)86bとが含まれている。以下では、各項目86aについて説明する。
【0082】
まず、「カーフ点数」は、カーフ認識値(カーフらしさ)を表す指標である。具体的には、「カーフ点数」は、カーフ84cの画像84を構成する一対の画素であって、カーフ84cが延在する方向と直交する方向において隣接し、かつ、この方向において最も大きく輝度が変化する一対の画素間の輝度の差(コントラスト)を点数化したものである。
【0083】
この「カーフ点数」は、カーフ84cを画定する一対の内側面の傾き等に依存する値である。例えば、「カーフ点数」は、カーフ84cが延在する方向と直交する方向において、カーフ84c及び残存するストリート84bを構成する複数の画素のうち最も輝度が高い画素の輝度と最も輝度が低い画素の輝度との差を100点として算出される。さらに、ここでは、当該一対の画素の間にカーフ84cと残存するストリート84bとの境界が存在すると認識して、その他の項目86aの被判定値が算出される。
【0084】
また、「オフセンター」は、カーフ84cのずれ量を表す指標である。具体的には、「オフセンター」は、理想的な位置にあるカーフを画定する一対の内側面の中央に位置し、かつ、カーフが延在する方向に沿った直線と、実際のカーフ84cを画定する一対の内側面の中央に位置し、かつ、カーフ84cが延在する方向に沿った直線との間隔である。
【0085】
また、「カーフの幅」は、カーフ84cを画定する一対の内側面の最も内側を通り、かつ、カーフ84cが延在する方向に沿った一対の直線の間隔を表している。端的には、「カーフの幅」は、カーフ84cが延在する方向に沿って、カーフ84cの両側に生じる欠け(チッピング)を無視したカーフ84cの幅である。
【0086】
また、「最大カーフ幅」は、カーフ84cが延在する方向と直交する方向に沿ったカーフ84cの最大幅である。端的には、「最大カーフ幅」は、チッピングを含むカーフ84cの最大幅である。また、「最大カーフ片幅」は、「カーフの幅」を算出する際に用いられる一対の直線の中央に位置し、かつ、カーフ84cが延在する方向に沿った直線と、カーフ84c及び残存するストリート84bの境界との最大幅である。
【0087】
また、「チッピング最大サイズ」は、「カーフの幅」を算出する際に用いられる一対の直線の一方又は他方と、この一対の直線の一方又は他方の外側に位置するカーフ84c及び残存するストリート84bの境界との最大幅である。また、「チッピングエリア」は、「カーフの幅」を算出する際に用いられる一対の直線の一方又は他方と、この一対の直線の一方又は他方の外側に位置するカーフ84c及び残存するストリート84bの境界とによって囲まれる領域を構成する画素の数(面積)である。
【0088】
算出ステップ(S7)が完了すれば、コンピュータ2の判定部22が、複数の項目86aのそれぞれの被判定値が許容範囲に含まれないエラー値であるか否かを判定する(判定ステップ:S8)。具体的には、算出部20が算出した被判定値と、加工装置4から送信されたカーフの加工品質に関する複数の項目のそれぞれの許容範囲(カーフチェック条件)とを比較する。表1は、加工装置4から送信されたカーフチェック条件の一例を模式的に示す表である。
【0089】
【表1】
【0090】
この比較の結果、コンピュータ2の判定部22は、チッピング最大サイズの被判定値(0.012mm)がエラー値(0.010mm超)であり、その他の項目86aがエラー値ではないと判定する。この時、コンピュータ2においては、出力装置12を介して、被判定値がエラー値である項目86aがコンピュータ2のユーザに報知されてもよい。例えば、被判定値がエラー値である項目86aをその他の項目86aとは異なる色に着色されて表示するように、コンピュータ2のCPU8がディスプレイを制御してもよい。
【0091】
判定ステップ(S8)が完了すれば、コンピュータ2の変更部24が、エラー値である被判定値(0.012mm)を含むように当該項目86aの許容範囲(カーフチェック条件)を変更する(変更ステップ:S9)。図8は、変更ステップ(S9)を行う際のコンピュータ2の動作フローを模式的に示すフローチャートである。変更ステップ(S9)においては、例えば、表1に示されるカーフチェック条件を表2に示されるカーフチェック条件に変更する。
【0092】
【表2】
【0093】
具体的には、この変更ステップ(S9)においては、許容範囲を変更する際の最小単位(チッピング最大サイズについては、0.001mm)1つ分だけ、被判定値(0.012mm)よりも変更前の許容範囲(0.010mm以下)から外れた値(0.013mm)が含まれ、かつ、最小単位2つ分だけ、被判定値よりも変更前の許容範囲から外れた値(0.014mm)が含まれないように、この許容範囲(カーフチェック条件)を変更する。
【0094】
そして、変更後のカーフチェック条件によって所望のカーフの加工品質を担保できる(加工装置4のカーフチェック条件として適用できる)とコンピュータ2のユーザが考える場合(S10:YES)には、このユーザによる入力装置14の操作に応じて、コンピュータ2のCPU8が変更されたカーフチェック条件に対応する電気信号を加工装置4に送信する(送信ステップ:S11)。
【0095】
変更されたカーフチェック条件に対応する電気信号を加工装置4が受信すると、加工装置4の制御ユニット80のCPUは、制御ユニット80の記憶装置(補助記憶装置)に記憶されたカーフチェック条件を更新する(更新ステップ:S12)。これにより、加工装置4におけるカーフチェックを適切に実行させることが可能になる。
【0096】
なお、上述したカーフ品質許容範囲変更方法は本発明の一態様であって、この方法とは異なる特徴を有する発明も本発明には含まれる。例えば、本発明においては、コンピュータ2及び加工装置4の間の情報の授受は、ネットワーク6を介することなく、携帯可能なUSB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブ等の非一時的な記録媒体を用いて行われてもよい。
【0097】
すなわち、図5に示されるカーフチェックステップ(S4)後に、以下の順序で電気信号の授受が行われてもよい。まず、非一時的な記録媒体を加工装置4に接続した後、この記録媒体にカーフの画像に対応する電気信号及びカーフチェック条件に対応する電気信号を記憶させる。次いで、この記録媒体を加工装置4から取り外して搬送し、コンピュータ2に接続する。次いで、この記録媒体に記憶された電気信号をコンピュータ2の記憶装置10に記憶させる。
【0098】
同様に、図5に示される変更ステップ(S9)後に、以下の順序で電気信号の授受が行われてもよい。まず、非一時的な記録媒体をコンピュータ2に接続した後、この記憶装置に変更されたカーフチェック条件に対応する電気信号を記憶させる。次いで、この記録媒体をコンピュータ2から取り外して搬送し、加工装置4に接続する。次いで、この記録媒体に記憶された電気信号を加工装置4の制御ユニット80に含まれる記憶装置に記憶させる。
【0099】
また、本発明においては、加工装置4においてカーフ品質許容範囲変更方法の全てのステップが実行されてもよい。図9は、加工装置4において実行されるカーフ品質許容範囲変更方法を模式的に示すシーケンス図である。この方法においては、まず、カーフ品質許容範囲変更方法を実行するためのプログラムを記憶するコンピュータ2(の記憶装置10)又は非一時的な記録媒体から、このプログラムが加工装置4に送信される。
【0100】
そして、加工装置4では、このプログラムが制御ユニット80の記憶装置に記憶される。なお、このプログラムは制御ユニット80の記憶装置において記憶されている必要はなく、制御ユニット80のCPUが読み出し可能な状態になっていればよい。例えば、このプログラムを記憶する非一時的な記録媒体が加工装置4に接続されていれば、制御ユニット80の記憶装置が、このプログラムを記憶する必要はない。
【0101】
これにより、加工装置4の制御ユニット80は、図3に示されるコンピュータ2と同様の機能部を備えることになる。すなわち、このプログラムを読み出し可能な制御ユニット80は、被加工物に形成されたカーフの画像を用いて、カーフの加工品質に関する複数の項目のそれぞれの値(被判定値)を算出する算出部と、この算出部によって算出された複数の被判定値のそれぞれが、カーフの加工品質に関する複数の項目のそれぞれの許容範囲に含まれない値(エラー値)であるか否かを判定する判定部と、この判定部によってエラー値であると判定された被判定値を含むように、当該項目の許容範囲を変更する変更部と、を含む。
【0102】
そして、この方法においては、加工装置4において、上述した保持ステップ(S1)、形成ステップ(S2)、撮像ステップ(S3)、算出ステップ(S7)、判定ステップ(S8)、変更ステップ(S9)及び更新ステップ(S12)が、この順序で行われる。これにより、加工装置4におけるカーフチェックを適切に実行させることが可能になる。
【0103】
また、本発明においては、カーフチェック条件を変更するか否かを加工装置4のオペレータが判断してもよい。図10は、このような場合の加工装置4の動作フローの一部を模式的に示すフローチャートである。この動作フローにおいては、カーフチェックステップ(S4)において算出された複数の被判定値のそれぞれが予め設定された許容範囲に含まれるか否か(カーフチェック条件に適合するか否か)を加工装置4の制御ユニット80のCPUが判定する。
【0104】
そして、少なくとも一つの被判定値がカーフチェック条件に適合しない(エラーが発生した)場合(S5:YES)には、カーフの画像に含まれるカーフが実際に要求されているカーフの加工品質を満たしているか否かを加工装置4のオペレータが判断する。すなわち、このカーフの画像をオペレータが目視して、カーフの加工品質が異常か否かをオペレータが確認する。
【0105】
その結果、カーフの加工品質に異常がないことをオペレータが確認した場合(S13:NO)には、オペレータによるタッチパネル76の操作に応じて、カーフチェックに用いられたカーフの画像に対応する電気信号及びカーフチェック条件に対応する電気信号を制御ユニット80のCPUがコンピュータ2に送信する(送信ステップ:S6)。
【0106】
なお、この場合には、コンピュータ2において変更されたカーフチェック条件を加工装置4に適用するか否かをコンピュータ2のユーザが判断する必要がない。すなわち、図8に示されるステップ(S10)が不要になる。
【0107】
また、本発明においては、加工装置4のオペレータが選別したカーフの画像に合わせてカーフチェック条件を設定してもよい。図11は、このような場合の加工装置4の動作不フローの一部を模式的に示すフローチャートである。この動作フローにおいては、撮像ステップ(S3)において形成されたカーフの画像を用いて、形成されたカーフが所望の加工品質を満たしているか否かをオペレータが確認する。
【0108】
そして、カーフが所望の加工品質を満たしていることをオペレータが確認した場合(S14:YES)には、オペレータによるタッチパネル76の操作に応じて、カーフチェックに用いられたカーフの画像に対応する電気信号及びカーフチェック条件に対応する電気信号を制御ユニット80のCPUがコンピュータ2に送信する(送信ステップ:S6)。
【0109】
なお、この場合には、加工装置4においてカーフチェックを行う必要がなく、また、コンピュータ2において変更されたカーフチェック条件を加工装置4に適用するか否かをコンピュータ2のユーザが判断する必要がない。すなわち、図5に示されるカーフチェックステップ(S4)及び図8に示されるステップ(S10)が不要になる。
【0110】
また、本発明においては、カーフチェックを行う加工装置がレーザ加工装置であってもよい。図12は、レーザ加工装置の一例を模式的に示す斜視図である。なお、図12に示されるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、図4に示されるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向にそれぞれ対応する。
【0111】
図12に示されるレーザ加工装置88は、各構成要素を支持する基台90を有する。基台90の上面には、水平移動機構92が配置されている。水平移動機構92は、基台90の上面に固定され、かつ、Y軸方向に沿って延在する一対のガイドレール94を有する。一対のガイドレール94の上部には、一対のガイドレール94に沿ってスライド可能な態様で移動プレート96が連結されている。
【0112】
また、一対のガイドレール94の間には、Y軸方向に沿って延在するねじ軸98が配置されている。ねじ軸98の一端部には、ねじ軸98を回転させるためのモータ100が連結されている。ねじ軸98の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸98の表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。
【0113】
すなわち、ねじ軸98が回転するとボールがナット部内を循環してナット部がY軸方向に沿って移動する。また、このナット部は、移動プレート96の下面側に固定されている。そのため、モータ100でねじ軸98を回転させれば、ナット部とともに移動プレート96がY軸方向に沿って移動する。
【0114】
移動プレート96の上面には、X軸方向に沿って延在する一対のガイドレール102が固定されている。一対のガイドレール102の上部には、一対のガイドレール102に沿ってスライド可能な態様で移動プレート104が連結されている。また、一対のガイドレール102の間には、X軸方向に沿って延在するねじ軸106が配置されている。
【0115】
ねじ軸106の一端部には、ねじ軸106を回転させるためのモータ108が連結されている。ねじ軸106の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸106の表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。
【0116】
すなわち、ねじ軸106が回転するとボールがナット部内を循環してナット部がX軸方向に沿って移動する。また、このナット部は、移動プレート104の下面側に固定されている。そのため、モータ108でねじ軸106を回転させれば、ナット部とともに移動プレート104がX軸方向に沿って移動する。
【0117】
移動プレート104の上面側には、円柱状のテーブル基台110が配置されている。また、テーブル基台110の上部には、被加工物を保持する保持テーブル112が配置されている。テーブル基台110の下部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。この回転駆動源から発生する力によって、保持テーブル112は、Z軸方向に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。
【0118】
また、テーブル基台110及び保持テーブル112は、上述した水平移動機構92によって、X軸方向及びY軸方向に移動する。保持テーブル112の上面の一部は、例えば、多孔質材で形成されており、被加工物を保持する保持面112aとして機能する。この保持面112aは、X軸方向及びY軸方向に対して概ね平行である。
【0119】
また、保持面112aは、保持テーブル112の内部に設けられた流路(不図示)等を介して真空ポンプ等の吸引源(不図示)に接続されている。この吸引源が動作すると、保持面112aに負圧が生じる。これにより、例えば、保持面112aに載置された被加工物が吸引保持される。
【0120】
基台90のY軸方向の一方側の領域上には、Y軸方向に対して概ね平行な側面を有する支持構造114が設けられている。この支持構造114の側面には、鉛直移動機構116が配置されている。鉛直移動機構116は、支持構造114の側面に固定され、かつ、Z軸方向に沿って延在する一対のガイドレール118を有する。
【0121】
一対のガイドレール118の支持構造114から遠い側の側部には、一対のガイドレール118に沿ってスライド可能な態様で移動プレート120が連結されている。また、一対のガイドレール118の間には、Z軸方向に沿って延在するねじ軸(不図示)が配置されている。このねじ軸の一端部には、ねじ軸を回転させるためのモータ122が連結されている。
【0122】
このねじ軸の螺旋状の溝が形成された表面には、回転するねじ軸の表面を転がるボールを収容するナット部(不図示)が設けられ、ボールねじが構成されている。すなわち、このねじ軸が回転するとボールがナット部内を循環してナット部がZ軸方向に沿って移動する。また、このナット部は、移動プレート120の支持構造114に近い側の側面に固定されている。そのため、モータ122でねじ軸を回転させれば、ナット部とともに移動プレート120がZ軸方向に沿って移動する。
【0123】
移動プレート120の支持構造114から遠い側の側面には、支持具124が固定されている。支持具124は、レーザ加工ユニット(加工ユニット)126の一部を支持する。レーザ加工ユニット126は、例えば、基台90に固定されたレーザ発振器(不図示)と、支持具124に支持され、かつ、Y軸方向に長い筒状のハウジング128と、ハウジング128の端部(Y軸方向の他方側の端部)に設けられた照射ヘッド130とを含む。
【0124】
レーザ発振器は、例えば、レーザ発振に適したNd:YAG等のレーザ媒質を有し、被加工物に吸収される波長(例えば、365nm)のレーザビームを生成してハウジング128側に出射する。なお、レーザ発振器で行われるレーザ発振の態様は、例えば、パルス発振である。ハウジング128は、レーザ加工ユニット126を構成する光学系の一部、例えば、ミラーを収容し、レーザ発振器から出射されたレーザビームを照射ヘッド130へと導く。
【0125】
照射ヘッド130には、レーザ加工ユニット126を構成する光学系の別の一部、例えば、ミラー及び集光レンズが収容されている。そして、ハウジング128から導かれるレーザビームは、ミラーによってその進路が下向きに変更され、また、集光レンズによって保持テーブル112側の所定の高さに集光される。
【0126】
また、X軸方向において照射ヘッド130と隣接する位置には、撮像ユニット132が設けられている。撮像ユニット132は、例えば、LED等の光源と、対物レンズと、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサ等の撮像素子とを有する。
【0127】
さらに、基台90の上部は、各構成要素を収容するカバー(不図示)によって覆われている。このカバーの一面には、タッチパネル134が配置されている。タッチパネル134は、例えば、静電容量方式のタッチセンサ又は抵抗膜方式のタッチセンサ等の入力装置と、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の出力装置とによって構成される。
【0128】
上述したレーザ加工装置88の構成要素のそれぞれの動作は、レーザ加工装置88に内蔵される制御ユニット136によって制御される。制御ユニット136は、例えば、CPUと、主記憶装置(揮発性メモリ)及び補助記憶装置(不揮発性メモリ)を含む記憶装置と、通信インターフェースとを含む。そして、制御ユニット136及びタッチパネル134によって、図2に示されるコンピュータ2と同様のコンピュータが構成される。
【0129】
その他、上述した実施形態かかる構造及び方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0130】
2 :コンピュータ
4 :加工装置
6 :ネットワーク
8 :CPU(中央処理装置)
10 :記憶装置(10a:主記憶装置、10b:補助記憶装置)
12 :出力装置
14 :入力装置
16 :通信インターフェース
18 :バス
20 :算出部
22 :判定部
24 :変更部
11 :被加工物(11a:表面、11b:裏面)
13 :ダイシングテープ(粘着テープ)
15 :フレーム
17 :被加工物ユニット
26 :基台(26a,26b:開口)
28 :カセット支持台28
30 :カセット
32 :テーブルカバー
34 :防塵防滴カバー
36 :保持テーブル
38 :クランプ
40 :支持構造(40a,40b:立設部、40c:渡設部)
42a:第1Y軸移動機構
42b:第2Y軸移動機構
44 :ガイドレール
46a,46b:移動プレート
48a,48b:ねじ軸
50a:モータ
52 :Z軸移動機構
54 :ガイドレール
56 :移動プレート
58 :ねじ軸
60 :モータ
62 :切削ユニット(加工ユニット)
64 :切削ブレード
66 :撮像ユニット
68 :洗浄ユニット
70 :スピンナテーブル
72 :ノズル
74 :カバー
76 :タッチパネル
78 :警告灯(パイロットランプ)
80 :制御ユニット
82 :画像
84 :画像(84a:デバイス、84b:ストリート、84c:カーフ)
86a:項目
86b:値(被判定値)
88 :レーザ加工装置
90 :基台
92 :水平移動機構
94 :ガイドレール
96 :移動プレート
98 :ねじ軸
100:モータ
102:ガイドレール
104:移動プレート
106:ねじ軸
108:モータ
110:テーブル基台
112:保持テーブル(112a:保持面)
114:支持構造
116:鉛直移動機構
118:ガイドレール
120:移動プレート
122:モータ
124:支持具
126:レーザ加工ユニット
128:ハウジング
130:照射ヘッド
132:撮像ユニット
134:タッチパネル
136:制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
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図12