(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158893
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】イベント検出方法、イベント検出システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
G01D5/245 B
G01D5/245 110L
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001938
(22)【出願日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】P 2021060058
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 和之
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077JJ01
2F077JJ03
2F077JJ07
2F077JJ23
2F077TT32
(57)【要約】
【解決手段】予め定められた磁場発生部により発生した2軸以上の磁場を磁気センサで検出することにより、磁場発生部の位置に応じたイベントを検出するイベント検出方法であって、磁気センサで検出した磁場に基づいてイベント発生位置を取得する段階と、イベント発生位置に基づいて、イベント検出用の検出軸を選択する段階と、検出軸において、イベント発生位置に応じたトリガー閾値を算出する段階と、磁気センサで検出された磁場とトリガー閾値とが所定の条件を満たすことを示すトリガー信号を取得する段階とを備えるイベント検出方法を提供する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた磁場発生部により発生した2軸以上の磁場を磁気センサで検出することにより、前記磁場発生部の位置に応じたイベントを検出するイベント検出方法であって、
前記磁気センサで検出した磁場に基づいて、イベント発生位置を取得する段階と、
前記イベント発生位置に基づいて、イベント検出用の検出軸を選択する段階と、
前記検出軸において、前記イベント発生位置に応じたトリガー閾値を算出する段階と、
前記磁気センサで検出された磁場と、前記トリガー閾値とが予め定められた条件を満たすことを示すトリガー信号を取得する段階と
を備えるイベント検出方法。
【請求項2】
前記磁場発生部を予め定められた第1方向に移動させる段階と、
前記検出軸として、前記第1方向と平行な第1軸または、前記第1軸と直交する第2軸を選択する段階と
を備える請求項1に記載のイベント検出方法。
【請求項3】
前記磁場発生部を予め定められた第1方向に移動させる段階は、前記第1軸または前記第2軸において、前記磁場発生部が前記磁気センサ上を通過するように移動させる段階を含む
請求項2に記載のイベント検出方法。
【請求項4】
前記検出軸を選択する段階は、
前記イベント発生位置が、前記第1軸において前記磁場発生部の位置を検出可能な検出可能領域に属する場合に前記第1軸を選択し、
前記イベント発生位置が、前記第1軸の検出可能領域に属さず、前記第2軸の検出可能領域に属する場合に前記第2軸を選択する段階を含む
請求項2または3に記載のイベント検出方法。
【請求項5】
前記磁場発生部の基準位置を取得する段階と、
前記基準位置および前記イベント発生位置に基づいて、前記検出軸を選択する段階と
を備える請求項1から4のいずれか一項に記載のイベント検出方法。
【請求項6】
前記磁気センサにより検出される磁場の二乗和平方根を算出する段階と、
前記二乗和平方根を用いて、前記イベント発生位置に応じたトリガー閾値を算出する段階と
を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のイベント検出方法。
【請求項7】
予め定められた磁場を発生する磁場発生部と、
前記磁場発生部が発生した磁場を検出するための磁気センサと、
前記磁気センサが検出した信号を処理する処理部と
を備え、
前記処理部は、
前記磁気センサで検出した磁場に基づいて、イベント発生位置を取得する取得部と、
前記イベント発生位置に基づいて、イベント検出用の検出軸を選択する選択部と、
前記検出軸において、前記イベント発生位置に応じたトリガー閾値を算出する算出部と
を有し、
前記磁気センサで検出された磁場と、前記トリガー閾値とが予め定められた条件を満たすことを示すトリガー信号を出力する出力部を有する
イベント検出システム。
【請求項8】
前記選択部は、前記検出軸として、前記磁場発生部が移動する予め定められた第1方向と平行な第1軸または、前記第1軸と直交する第2軸を選択する
請求項7に記載のイベント検出システム。
【請求項9】
前記磁場発生部は、前記第1方向に配列されたN極およびS極を有する
請求項8に記載のイベント検出システム。
【請求項10】
前記第1方向に配置された複数の磁気センサを備える
請求項8または9に記載のイベント検出システム。
【請求項11】
前記磁気センサは、2軸以上の磁場を検出可能な多軸磁気センサである
請求項7から10のいずれか一項に記載のイベント検出システム。
【請求項12】
記処理部は、前記磁気センサにより検出される磁場の二乗和平方根を算出し、
前記二乗和平方根を用いて、前記イベント発生位置に応じたトリガー閾値を算出する
請求項7から11のいずれか一項に記載のイベント検出システム。
【請求項13】
コンピュータに請求項1から6のいずれか一項に記載のイベント検出方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント検出方法、イベント検出システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「検出対象の移動量が大きくなったとしても、1つの検出部によって検出対象の移動を検出することができるポジションセンサを提供する」ことが記載されている。特許文献2には、「長い検知距離に対して出力が直線性を有し、かつ検出精度の高い位置検出が可能な位置検出センサを提供する」ことが記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
特許文献1 特開2019-2835号公報
特許文献2 特開2003-167627号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、予め定められた磁場発生部により発生した2軸以上の磁場を磁気センサで検出することにより、磁場発生部の位置に応じたイベントを検出するイベント検出方法であって、磁気センサで検出した磁場に基づいてイベント発生位置を取得する段階と、イベント発生位置に基づいて、イベント検出用の検出軸を選択する段階と、検出軸において、イベント発生位置に応じたトリガー閾値を算出する段階と、磁気センサで検出された磁場とトリガー閾値とが所定の条件を満たすことを示すトリガー信号を受信する段階とを備えるイベント検出方法を提供する。
【0004】
本発明の第2の態様においては、予め定められた磁場を発生する磁場発生部と、磁場発生部が発生した磁場を検出するための磁気センサと、磁気センサが検出した信号を処理する処理部とを備え、処理部は、磁気センサで検出した磁場に基づいてイベント発生位置を取得する取得部と、イベント発生位置に基づいて、イベント検出用の検出軸を選択する選択部と、検出軸において、イベント発生位置に応じたトリガー閾値を算出する算出部とを有し、磁気センサは、検出された磁場とトリガー閾値とが所定の条件を満たすこと示すトリガー信号を出力する出力部を有するイベント検出システムを提供する。
【0005】
本発明の第3の態様においては、コンピュータに本発明の第1の態様に記載のイベント検出方法を実行させるためのプログラム。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】イベント検出システム100の概要を示すブロック図である。
【
図1B】磁気センサ20および処理部30のより具体的な構成を示す。
【
図2A】磁場発生部10および磁気センサ20の配置方法の一例を示す。
【
図2B】磁場発生部10および磁気センサ20の配置方法の一例を示す。
【
図2C】磁場発生部10および磁気センサ20の配置方法の一例を示す。
【
図3A】磁場発生部10が基準位置P0に配置されている状態を示す。
【
図3B】磁場発生部10がイベント発生位置Peに配置されている状態を示す。
【
図3C】磁場発生部10の位置に応じた磁場波形を示す。
【
図3D】
図3Cの磁場波形に対応する磁束密度とトリガー信号の変化を示す。
【
図4A】2軸磁場を用いた閾値判定方法の一例を示す。
【
図4B】磁場発生部10および磁気センサ20の配置方法の一例を示す。
【
図4C】磁場発生部10および磁気センサ20の配置方法の一例を示す。
【
図4D】2軸磁場を用いた閾値判定方法の一例を示す。
【
図5】1軸磁場を用いた閾値判定方法の比較例を示す。
【
図9】イベント検出システム100の動作フローの一例を示す。
【
図10】イベント検出システム100の構成の一例を示す。
【
図11】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1Aは、イベント検出システム100の概要を示すブロック図である。イベント検出システム100は、磁場発生部10と、磁気センサ20と、処理部30とを備える。
【0010】
磁場発生部10は、予め定められた磁場を発生する。例えば、磁場発生部10は、予め定められた方向に配列されたN極とS極からなる2極磁石を含む。磁場発生部10は、磁石の着磁方向に応じて、予め定められた磁場波形の磁場を発生させる。磁場発生部10は、予め定められた方向に移動して磁場波形を変化させてよい。
【0011】
磁気センサ20は、磁場発生部10が発生した磁場を検出する。磁気センサ20は、少なくとも2つ以上の検出軸の磁場を検出する。本例の磁気センサ20は、2軸以上の磁場を検出可能な多軸磁気センサである。但し、磁気センサ20は、複数の1軸センサを有することにより、2軸以上の磁場を検出してもよい。磁気センサ20は、2軸以上の磁場の磁束密度を検出した測定データを取得する。磁気センサ20は、取得した測定データが予め定められた条件を満たした場合にトリガー信号を生成する。トリガー信号は、磁気センサ20の状態変化を通知する割り込み信号である。
【0012】
処理部30は、磁気センサ20が検出した信号を処理する。処理部30は、磁気センサ20とシリアル通信し、磁気センサ20からの測定データを受信する。また、処理部30は、磁気センサ20からのトリガー信号によって内部状態を変化させる。例えば、処理部30は、トリガー信号を受信することに応じて、処理部30が設けられた機器を待機状態から起動状態へ変化させる。
【0013】
イベント検出システム100は、磁場発生部10と磁気センサ20との相対的な位置関係に応じたイベントの検出に基づいてトリガー信号を生成する。本例のイベント検出システム100は、磁場発生部10が予め定められた位置に移動したことに応じてトリガー信号を生成して、予め定められた動作を実行する。
【0014】
一例において、イベント検出システム100は、ディスプレイが伸縮可能なスマートフォン(例えば、ローラブルフォン)等の携帯端末に搭載され、ディスプレイが予め定められた位置まで伸縮されることに応じて、ディスプレイの表示を切り替えるためのトリガー信号を出力する。また、イベント検出システム100は、イベントの検出に応じて、スマートフォンを待機状態から起動状態に切り替えてもよい。また、イベント検出システム100は、予め定められた期間、操作がない場合に、起動状態から待機状態に遷移させてよい。
【0015】
図1Bは、磁気センサ20および処理部30のより具体的な構成を示す。本例の磁気センサ20は、検出部22および出力部24を備える。処理部30は、取得部32と、選択部34と、算出部36とを備える。
【0016】
検出部22は、磁場発生部10が発生した磁場を検出する。検出部22は、検出した磁場の測定データ(Bx,By,Bz)を検出部22または処理部30に出力する。Bx,ByおよびBzは、それぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の磁束密度を示す。本例の検出部22は、測定データとして3軸方向の磁束密度を検出するが、2軸方向の磁束密度を検出してもよい。
【0017】
取得部32は、磁気センサ20から測定データ(Bx,By,Bz)を取得する。例えば、取得部32は、磁場発生部10が予め定められた基準位置P0に位置する場合の測定データを取得する。基準位置P0は、磁気センサ20が磁場発生部10の位置を検出可能な任意の位置であってよい。
【0018】
また、取得部32は、磁場発生部10のイベント発生位置Peなどの、検出軸の選択またはトリガー閾値の算出に必要な情報を取得してよい。イベント発生位置Peの取得方法については後述する。取得部32は、取得したイベント発生位置Peを選択部34および算出部36に出力する。取得部32は、イベント発生位置Peなどの情報を、処理部30に設けられた記憶部から取得してもよい。
【0019】
また、取得部32は、検出軸毎に、磁場発生部10の位置に応じた検出可能領域および検出不可領域を取得してよい。検出可能領域は、対応する検出軸において、トリガー閾値を検出可能な領域である。検出不可領域は、対応する検出軸において、トリガー閾値を検出できない領域である。トリガー閾値を検出できない場合とは、例えば、出力された磁束密度から磁場発生部10の位置を特定できない場合である。複数の検出軸は、それぞれ異なる領域に検出可能領域と検出不可領域を有するように選択されてよい。
【0020】
選択部34は、イベント発生位置Peに基づいて、イベント検出用の検出軸を選択する。例えば、選択部34は、検出軸として、磁場発生部10が移動する予め定められた第1方向と平行な第1軸または、第1軸と直交する第2軸を選択する。選択部34は、磁場発生部10の位置が検出可能領域に該当するように、検出軸を選択する。具体的な検出軸の選択方法については後述する。
【0021】
算出部36は、検出軸において、イベント発生位置Peに応じたトリガー閾値を算出する。トリガー閾値は、選択された検出軸において、イベント発生位置Peで磁気センサ20が検出する磁束密度である。算出部36は、算出したトリガー閾値を出力部24に出力する。
【0022】
出力部24は、予め定められたトリガー閾値を検出してトリガー信号を出力する。本例の出力部24は、検出部22が検出した磁場の磁束密度がトリガー閾値を超えるか下回った場合に、トリガー信号を生成する。出力部24は、生成したトリガー信号を処理部30に出力する。処理部30は、トリガー信号の受信に応じて、予め定められた処理を実行してよい。
【0023】
図2Aは、磁場発生部10および磁気センサ20の配置方法の一例を示す。本図は、Y軸方向の視点の磁場発生部10および磁気センサ20を示す。
【0024】
本例の磁場発生部10は、X軸方向に配列されたN極およびS極を有する。X軸方向は、第1方向の一例である。但し、磁場発生部10は、X軸方向に限らず、Y軸方向、Z軸方向またはその他の方向に移動してもよい。本例の磁場発生部10は、N極よりもX軸方向の負側にS極を有するが、これに限定されない。Z軸方向における磁場発生部10と磁気センサ20との距離は、磁気センサ20が磁場発生部10の磁場を検出できる距離であれば特に限定されない。
【0025】
本例では、磁場発生部10の磁石の形状が直方体であるが、円柱などの他の形状であってよい。磁石の材料は、ネオジウムまたはフェライトなどの任意の材料であってよい。一例において、イベント検出システム100がローラブルフォンに搭載される場合、磁場発生部10がディスプレイ側に搭載され、磁気センサ20が筐体側に搭載され、ディスプレイの伸縮に応じて磁場発生部10と磁気センサ20の相対的な位置関係が変化する。
【0026】
なお、磁場発生部10および磁気センサ20の相対的な位置関係が変化すれば、磁気センサ20が移動してもよいし、磁場発生部10と磁気センサ20の両方が移動してもよい。一例において、イベント検出システム100がローラブルフォンに搭載される場合、磁場発生部10がディスプレイ側に搭載され、磁気センサ20が筐体側に搭載され、ディスプレイの伸縮に応じて磁場発生部10と磁気センサ20との相対的な位置関係が変化する。
【0027】
図2Bは、磁場発生部10および磁気センサ20の配置方法の一例を示す。本図は、Z軸方向の視点の磁場発生部10および磁気センサ20を示す。即ち、本例の視点は、
図2Aに対して90度回転した位置からの視点を示している。
【0028】
磁場発生部10は、XY平面において、磁気センサ20を横切るように移動している。磁場発生部10が磁気センサ20を横切るとは、XY平面において、磁場発生部10と磁気センサ20の一部が重なることを指す。言い換えると、磁場発生部10は、磁気センサ20上を通過するように移動してもよい。また、磁場発生部10は、YZ平面において、磁気センサ20を横切るように移動してもよい。磁場発生部10が予め定められた平面において磁気センサ20を横切ることにより、磁場発生部10の移動に応じた磁束密度の変化を検出しやすくなり、トリガー閾値の判定が容易になる。
【0029】
また、本例の磁場発生部10は、X軸方向と平行に移動しているが、XY平面においてX軸に対して斜めに移動してもよい。このように、磁場発生部10は、XY平面において、磁気センサ20を横切るように配置される場合に限定されず、筐体設計の自由度を高くすることができる。
【0030】
本例では、磁場発生部10が直線上を移動する場合について示したが、これに限定されない。即ち、磁場発生部10は、曲線上を移動してもよいし、その他の任意の軌跡を描いて移動してもよい。磁場発生部10は、予め定められた円周上を回転してもよい。
【0031】
図2Cは、磁場発生部10および磁気センサ20の配置方法の一例を示す。本図は、Z軸方向の視点の磁場発生部10および磁気センサ20を示す。本図は、磁場発生部10が円周上を移動する場合を示した上面図である。
図2Cでは、磁場発生部10が、XY平面において、磁気センサ20を横切るように移動している。磁場発生部10が磁気センサ20を横切るとは、XY平面において、磁場発生部10と磁気センサ20の一部が重なることを指す。言い換えると、磁場発生部10は、磁気センサ20上を通過するように移動してもよい。また、磁場発生部10は、磁気センサ20上を通過しなくてもよい。
【0032】
例えば、折り畳みが可能なスマートフォン(例えば、フォルダブルフォン)の折り畳みに応じて磁場発生部10が移動してもよいし、スマートウォッチのベゼルの回転に応じて磁場発生部10が移動してもよい。フォルダブルフォンの場合、片面に磁場発生部10が設けられ、もう片面に磁気センサ20が設けられ、開閉に応じて磁場発生部10が曲線上を移動してよい。スマートウォッチの場合、本体側に磁気センサ20が設けられ、ベゼル側に磁場発生部10が設けられ、ベゼルの回転駆動に応じて磁場発生部10が円周上を回転してよい。
【0033】
図3Aは、磁場発生部10が基準位置P0に配置されている状態を示す。本例の磁場発生部10は、N極とS極の境界が磁気センサ20の上方に位置するように配置されている。本例においては、Z軸方向の磁束密度Bzよりも、X軸方向の磁束密度Bxが大きくなる。但し、基準位置P0において磁気センサ20が検出する磁束密度はこれに限定されない。
【0034】
図3Bは、磁場発生部10がイベント発生位置Peに配置されている状態を示す。即ち、イベント検出システム100は、磁場発生部10が本図の位置に配置された場合に、予め定められた処理を実行する。本例の磁場発生部10は、
図3Aの基準位置P0よりもX軸方向の正側に移動している。この場合、
図3Aにおいて磁場発生部10が基準位置P0に存在する場合よりも、Z軸方向の磁束密度Bzの成分が大きくなる。磁場発生部10および磁気センサ20の相対的な位置関係と、磁場発生部10の移動方向は、磁気センサ20によってトリガー閾値を検出できるものであれば、本例に限定されない。
【0035】
図3Cは、磁場発生部10の位置に応じた磁場波形を示す。横軸は磁場発生部10のX軸方向における位置を示し、縦軸はZ軸方向の磁束密度Bzを示す。磁場発生部10の移動に応じて、磁気センサ20で測定する磁束密度Bzの大きさが変化する。磁束密度Bz_0は、磁場発生部10が基準位置P0に配置された状態で磁気センサ20が検出する磁束密度である。磁束密度Bz_1は、磁場発生部10が基準位置P0よりもX軸方向の正側に配置された状態で磁気センサ20が検出する磁束密度である。
【0036】
磁束密度Bthzは、磁場発生部10がイベント発生位置Peに配置された状態で磁気センサ20が検出する磁束密度である。本例のイベント検出システム100は、磁気センサ20が磁束密度Bthzを超えた場合に、トリガー信号を生成する。なお、本例では、説明のために1軸の検出軸を用いる場合について説明したが、2軸以上の検出軸を用いてイベントを検出してよい。
【0037】
図3Dは、
図3Cの磁場波形に対応する磁束密度とトリガー信号の変化を示す。本例では、時刻T0から時刻T1まで、磁場発生部10が基準位置P0で停止しており、磁束密度Bzの変動がない。
【0038】
時刻T1において、磁場発生部10が基準位置P0から移動を開始して、磁束密度がBz_0から徐々に増加する。時刻T2において、磁束密度Bthzを超えた場合に磁気センサ20からトリガー信号が生成される。その後、磁場発生部10は、時刻T3で磁束密度Bz_1に応じた位置まで移動して停止している。時刻T4において、磁場発生部10は、基準位置P0への移動を開始して、時刻T5において磁束密度Bthzを下回った場合にトリガー信号の生成を停止している。このように、本例のイベント検出システム100は、磁気センサ20の内部の閾値判定に基づいてトリガー信号を生成している。
【0039】
以下では、2軸磁場を用いた閾値判定方法の一例について説明する。
【0040】
図4Aは、2軸磁場を用いた閾値判定方法の一例を示す。本例においては、
図2Aおよび
図2Bに示したように、磁場発生部10は、XY平面において、磁気センサ20を横切るように移動している。本例のイベント検出システム100は、X軸方向の磁束密度Bxと、Z軸方向の磁束密度Bzを選択的に用いている。しかしながら、イベント発生位置Peは、Z軸方向の磁束密度Bzの変曲点付近に対応しており、Z軸を検出軸とすると正確にイベント発生位置Peを検出することができない。そのため、本例のイベント検出システム100は、イベント発生位置Peにおいて、線形的な変化をしている磁束密度Bxを用いてイベント発生位置Peを検出している。本例のイベント検出システム100は、2軸以上の測定データを用いて閾値判定を行うことにより、イベント検知可能領域を拡張することができる。
【0041】
本実施形態においては、磁場発生部10が、XY平面において、磁気センサ20を横切らないように移動する場合でも、イベント検出することができる。
【0042】
図4Bは、磁場発生部10および磁気センサ20の配置方法の一例を示す。本図は、Z軸方向の視点の磁場発生部10および磁気センサ20を示す。本例の磁場発生部10は、XY平面において、磁気センサ20を横切らず、磁気センサ20からY軸方向にずれた位置を移動している。
図4Bにおいては、Y軸方向への移動量yは正の値である。即ち、磁場発生部10はY軸方向の正の方向にyだけ移動しているが、これに限定されない。
【0043】
図4Cは、磁場発生部10および磁気センサ20の配置方法の一例を示す。本図は、Z軸方向の視点の磁場発生部10および磁気センサ20を示す。本例の磁場発生部10は、XY平面において、磁気センサ20を横切らず、磁気センサ20からY軸方向にずれた位置を移動している。磁場発生部10はXZ平面内をX軸方向の正の方向に移動してよく、Y軸方向への移動量yは負の値である。即ち、磁場発生部10は、XY平面内において、Y軸の負の方向にyだけ移動していてもよい。
【0044】
図4Dは、磁場発生部10の位置に応じた磁場波形を示す。横軸は磁場発生部10のX軸方向における位置を示し、縦軸はX軸方向の磁束密度BxおよびZ軸方向の磁束密度Bzを示す。磁場発生部10の移動に応じて、磁気センサ20で測定する磁束密度BxおよびBzの大きさが変化する。
【0045】
図2Bのように磁場発生部10が磁気センサ20を横切るように移動する場合の磁場波形(Bx,Bz)を破線で、
図4Cのように磁場発生部10が磁気センサ20からY軸方向にずれた位置を移動する場合の磁場波形(Bxoff,Bzoff)を実線で示してある。
図4Cのような場合、磁場発生部10と磁気センサ20との間の距離が
図2Bの場合よりも大きくなるため、磁気センサ20で検出される磁束密度は減少する。
【0046】
しかし、
図4Dに示したように、XY平面において、磁場発生部10が磁気センサ20を横切る場合と、磁気センサ20からY軸方向にずれた位置を移動する場合とにおいて、磁束密度のピークを与える磁場発生部10のX軸方向における位置は大きく変化しない。したがって、XY平面において、磁場発生部10が磁気センサ20を横切らない場合においても、磁気センサ20を横切る場合と同様のイベント検出方法を適用することができる。
【0047】
ここで、磁気センサ20で検出される磁束密度の強度は、磁場発生部10のY軸方向への移動量yが大きいほど、小さくなる。図示していないが、
図4Bの場合に磁気センサ20で検出される磁束密度の強度は、
図4Cの場合に磁気センサ20で検出される磁束密度の強度よりも小さくなる。
【0048】
よって磁場発生部10の移動量yは、磁気センサ20の位置における磁束密度が、外部磁場ノイズ等の影響を含めて、イベント検出が可能な磁束密度サイズを考慮して決定することができる。このようにすることで、磁場発生部10と磁気センサ20の配置自由度が高くなるので、筐体設計の自由度を高くすることができる。
【0049】
図5は、1軸磁場を用いた閾値判定方法の比較例を示す。本例では、イベント発生位置PeがZ軸方向の磁束密度Bzの変曲点付近に対応しているので、イベント発生位置Pe付近において磁場発生部の位置を正確に判断することが困難である。そのため、比較例の閾値判定方法では、イベントを検知することができない検知不可領域Ruが生じてしまう。そのため、比較例の方法では、検知可能なイベント発生位置Peが限定されてしまう。
【0050】
図6は、より具体的な閾値判定方法の一例を示す。本例のイベント検出システム100は、X軸方向の位置に応じて、いずれかの検出軸を選択して使用する。グラフの実線は、磁場発生部10の位置を検出可能な検出可能領域を示す。グラフの破線は、磁場発生部10の位置を検出できない検出不可領域を示す。一例において、検出可能領域は、磁束密度の変曲点を有さず、磁場発生部10の移動に応じて、単調に増加する領域または単調に減少する領域である。検出不可領域は、磁束密度の波形が変曲点を有する領域または磁場発生部10の移動に応じた磁束密度の変化が小さい領域である。
【0051】
選択部34は、イベント発生位置Peが、X軸において磁場発生部10の位置を検出可能な検出可能領域に属する場合にX軸を選択する。一方、選択部34は、イベント発生位置Peが、X軸の検出可能領域に属さず、Z軸の検出可能領域に属する場合にZ軸を選択する。また、選択部34は、基準位置P0およびイベント発生位置Peに基づいて、検出軸を選択してよい。
【0052】
本例のイベント検出システム100は、領域R1、領域R2、領域R3、領域R1'および領域R2'の5つの領域に分けて、軸を選択している。選択部34は、領域R1、領域R3および領域R1'において、Z軸を検出軸に選択している。選択部34は、領域R2および領域R2'において、X軸を検出軸に選択している。
【0053】
領域R1は、始点と境界1との間の区間であり、単調に減少する磁束密度Bzを用いてトリガー閾値を判定できる。領域R2は、境界1と境界2との間の区間であり、単調に減少する磁束密度Bxを用いて、トリガー閾値を判定できる。領域R3は、境界2と境界2'との間の区間であり、単調に増加する磁束密度Bzを用いて、トリガー閾値を判定できる。領域R2'は、境界2'と境界1'との間の区間であり、単調に増加する磁束密度Bxを用いて、トリガー閾値を判定する。領域R1'は、境界1'と終点との間の区間であり、単調に減少する磁束密度Bzを用いて、トリガー閾値を判定する。領域の設定方法については、これに限定されない。
【0054】
以上の通り、イベント検出システム100は、選択された軸の磁束密度が変曲点を有さないように各領域を設定し、検出軸を選択する。これにより、イベント検出システム100は、より広い範囲において、トリガー閾値を判定してトリガー信号を生成することができる。
【0055】
本実施形態では、各検出軸についてトリガー閾値を複数設定できる場合において、磁場発生部10がX軸のプラス方向又はマイナス方向に移動した際のイベント検出を行うことができる。また、本実施形態では、各検出軸についてトリガー閾値を1つしか設定できない場合においても、イベント検出を行うことができる。
【0056】
例として、磁場発生部10が基準位置P0から移動した際のイベントを検出する方法を示す。以下では、磁場発生部10がX軸のプラス方向又はマイナス方向に移動した際のイベントを検出する方法について説明するが、磁場発生部10の移動方向はこれに限定されない。
【0057】
図7Aは、磁場発生部10の位置に応じた磁場波形を示す。横軸は磁場発生部10のX軸方向における位置を示し、縦軸はX軸方向の磁束密度BxおよびZ軸方向の磁束密度Bzを示す。基準位置P0の近くで磁場発生部10がX軸のプラス方向又はマイナス方向へ移動したとき、BxとBzとがいずれも変曲点を含まない場合、基準位置P0から±1mm移動したときのイベント検出を行うことができる。
【0058】
例えば、
図7Aにおいて基準位置P0が2mmであるとき、プラス側に移動した場合のイベント発生位置Pe+に応じたトリガー閾値はBxを用いて、マイナス側に移動した場合のイベント発生位置Pe-に応じたトリガー閾値はBzを用いて、それぞれイベント検出を行うことにより、各検出軸についてトリガー閾値を1つしか設定できない場合においても、イベント検出を行うことができる。
【0059】
しかし、例えば
図7Aにおいて基準位置P0が0mmであるとき、基準位置P0の周辺においてBxの変化が小さいので、Bxを用いたイベント検出を行うことができない。このような場合であっても、磁気センサ20が磁束密度の二乗和平方根Bsumを算出することが可能であれば、イベント検出を行うことができる。即ち、二乗和平方根Bsumを用いて、イベント発生位置Peに応じたトリガー閾値を算出することにより、イベント検出を行うことができる。磁束密度の二乗和平方根Bsumは以下の数1に示す式で表すことができる。
【数1】
【0060】
図7Bは、磁場発生部10の位置に応じた磁場波形を示す。横軸は磁場発生部10のX軸方向における位置を示し、縦軸はX軸方向の磁束密度Bx、Z軸方向の磁束密度Bz、および磁束密度の二乗和平方根Bsumを示す。例えば、基準位置P0が0mmの場合、左右対称な形状をしているBsumを用いることで、基準位置P0から±1mm移動したときのイベント検出を行うことができる。
【0061】
図7Cは、磁場発生部10の位置に応じた磁場波形を示す。
図7Cにおいて、基準位置P0は
図7Bと同様に0mmである。
図7Cにおいては、プラス側に移動した場合のイベント発生位置Pe+に応じたトリガー閾値はBzを用いて、マイナス側に移動した場合のイベント発生位置Pe-に応じたトリガー閾値はBsumを用いて、それぞれイベント検出を行っている。これにより、各検出軸についてトリガー閾値を1つしか設定できない場合においても、イベント検出を行うことができる。
【0062】
図7Dは、それぞれ基準位置P0が1mmの場合を表した図である。
図7Dにおいては、プラス側に移動した場合のイベント発生位置Pe+に応じたトリガー閾値はBsumを用いて、マイナス側に移動した場合のイベント発生位置Pe-に応じたトリガー閾値はBzを用いて、それぞれイベント検出を行うことにより、各検出軸についてトリガー閾値を1つしか設定できない場合においても、イベント検出を行うことができる。
【0063】
図7Eは、基準位置P0が-1mmの場合を表した図である。
図7Eにおいては、プラス側に移動した場合のイベント発生位置Pe+に応じたトリガー閾値はBzを用いて、マイナス側に移動した場合のイベント発生位置Pe-に応じたトリガー閾値はBsumを用いて、それぞれイベント検出を行うことにより、各検出軸についてトリガー閾値を1つしか設定できない場合においても、イベント検出を行うことができる。
【0064】
以上の通り、イベント検出システム100は、磁束密度の二重和平方根Bsumを用いることにより、両方向のイベント検出が可能になる。これにより、イベント検出システム100は、選択された検出軸についてトリガー閾値を1つしか設定できない場合においても、トリガー閾値を判定してトリガー信号を生成することができる。
【0065】
更に、本実施形態では、各検出軸についてトリガー閾値を1つしか設定できない場合において、磁気センサ20が磁束密度の二乗和平方根Bsumを算出することができない場合であっても、イベント検出を行うことができる。
【0066】
図8Aは、
図4Cで示したように、磁場発生部10が磁気センサ20を横切らないような場合における、磁場発生部10の位置に応じた磁場波形を示す。横軸は磁場発生部10のX軸方向における位置を示し、縦軸はX軸方向の磁束密度Bx、Y軸方向の磁束密度ByおよびZ軸方向の磁束密度Bzを示す。基準位置P0の近くで磁場発生部10がX軸のプラス方向又はマイナス方向へ移動したとき、BxとBzとがいずれも変曲点を含まない場合、基準位置P0から±1mm移動したときのイベント検出を行うことができる。
【0067】
例えば、
図8Aにおいて基準位置P0が2mmであるとき、プラス側に移動した場合のイベント発生位置Pe+に応じたトリガー閾値はBxを用いて、マイナス側に移動した場合のイベント発生位置Pe-に応じたトリガー閾値はBzを用いて、それぞれイベント検出を行うことにより、各検出軸についてトリガー閾値を1つしか設定できない場合においても、イベント検出を行うことができる。
【0068】
しかし、例えば
図8Aにおいて基準位置P0が0mmであるとき、基準位置P0の周辺においてBxの変化が小さいので、Bxを用いたイベント検出を行うことができない。このような場合であっても、Y軸を検出軸として選択し、Byを用いることにより、イベント検出を行うことができる。
【0069】
図8Bは、基準位置P0が0mmである場合を表した図である。本実施例では、プラス側に移動した場合のイベント発生位置Pe+に応じたトリガー閾値はBzを用いて、マイナス側に移動した場合のイベント発生位置Pe-に応じたトリガー閾値はByを用いて、それぞれイベント検出を行うことにより、各検出軸についてトリガー閾値を1つしか設定できない場合においても、イベント検出を行うことができることを示しているが、これに限定されない。即ち、プラス側に移動した場合のイベント発生位置Pe+に応じたトリガー閾値はByを用いて、マイナス側に移動した場合のイベント発生位置Pe-に応じたトリガー閾値はBzを用いて、それぞれイベント検出を行う事が可能である。
【0070】
図8Cは、基準位置P0が1mmである場合を表した図である。本実施例では、プラス側に移動した場合のイベント発生位置Pe+に応じたトリガー閾値はBzを用いて、マイナス側に移動した場合のイベント発生位置Pe-に応じたトリガー閾値はByを用いて、それぞれイベント検出を行うことにより、各検出軸についてトリガー閾値を1つしか設定できない場合においても、イベント検出を行うことができることを示しているが、これに限定されない。即ち、プラス側に移動した場合のイベント発生位置Pe+に応じたトリガー閾値はByを用いて、マイナス側に移動した場合のイベント発生位置Pe-に応じたトリガー閾値はBzを用いて、それぞれイベント検出を行う事が可能である。
【0071】
図8Dは、基準位置P0が-1mmである場合を表した図である。本実施例では、プラス側に移動した場合のイベント発生位置Pe+に応じたトリガー閾値はBzを用いて、マイナス側に移動した場合のイベント発生位置Pe-に応じたトリガー閾値はByを用いて、それぞれイベント検出を行うことにより、各検出軸についてトリガー閾値を1つしか設定できない場合においても、イベント検出を行うことができることを示しているが、これに限定されない。即ち、プラス側に移動した場合のイベント発生位置Pe+に応じたトリガー閾値はByを用いて、マイナス側に移動した場合のイベント発生位置Pe-に応じたトリガー閾値はBzを用いて、それぞれイベント検出を行う事が可能である。
【0072】
図9は、イベント検出システム100の動作フローの一例を示す。本例では、処理部30が待機状態に移行した後に、予め定められたイベントを検出して、処理部30を起動させるためのトリガー信号を生成する方法を示す。
【0073】
ステップS300~ステップS314は、処理部30で実行され、ステップS200~ステップS206が磁気センサ20で実行されてよい。ステップS300において、処理部30が起動状態に設定されている。ステップS302において、磁場発生部10の基準位置P0の測定データを取得するために、磁気センサ20に測定データの読み出しをリクエストする。これにより、処理部30は、磁気センサ20から基準位置P0における測定データ(Bx,By,Bz)を取得する。磁場発生部10の基準位置P0は、特に限定されない。
【0074】
ステップS304において、処理部30は、取得した測定データから、磁場発生部10の基準位置P0の領域を判定する。例えば、処理部30は、予め作成したデータテーブルまたは関数フィッティングを用いて、磁場発生部10の基準位置P0を算出する。
【0075】
ステップS306において、処理部30は、イベント発生位置Peの領域を判定する。処理部30は、予め設定されたイベント発生位置Peを記憶していてもよい。処理部30は、磁場発生部10がイベント発生位置Peに位置する場合の測定データからイベント発生位置Peの領域を判定してもよい。ステップS308において、処理部30は、イベント発生位置Peに基づいてトリガー閾値を算出する。処理部30は、予め作成したデータテーブルまたは関数フィッティングを用いて、トリガー閾値を算出してよい。
【0076】
ステップS310において、処理部30は、算出したトリガー閾値を磁気センサ20に書き込む。これにより、ステップS202において、使用する検出軸とトリガー閾値が磁気センサ20に設定される。磁気センサ20は、トリガー閾値の判定に必要のない軸については、使用せずに磁束密度を検出しなくてよい。磁気センサ20は、磁場を測定して、設定されたトリガー閾値を超えるか、下回った場合にトリガー信号を処理部30に出力する(ステップS204,ステップS206)。そして、処理部30は、トリガー信号を受信することにより起動状態となる(ステップS314)。
【0077】
図10は、イベント検出システム100の構成の一例を示す。本例のイベント検出システム100は、複数の磁気センサ20を備える点で
図2Aの実施例と相違する。本例のイベント検出システム100は、磁気センサ20aおよび磁気センサ20bの2つの磁気センサ20を備える。
【0078】
磁気センサ20aおよび磁気センサ20bは、磁場発生部10の移動方向であるX軸方向に配置されている。磁気センサ20aおよび磁気センサ20bは、同一の種類の磁気センサであってもよいし、異なる種類の磁気センサであってもよい。磁気センサ20bは、磁気センサ20aのイベント検知可能領域と重なっていてもよいし、重ならなくてもよい。
【0079】
イベント検出システム100は、複数の磁気センサ20を設けることにより、イベント検知可能領域をさらに拡張することができる。処理部30は、磁気センサ20が1つの場合に検出軸を決定する処理と同様の処理によって、使用する磁気センサ20を選択し、選択された磁気センサ20の中から検出軸を決定してよい。これにより、イベント検出システム100は、イベント発生位置Peに応じて、最適な磁気センサ20で最適な検出軸を使用することができる。
【0080】
図11は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作又は当該装置の1又は複数のセクションとして機能させることができ、又は当該操作又は当該1又は複数のセクションを実行させることができ、及び/又はコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0081】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、及びディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、及びICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230及びキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0082】
CPU2212は、ROM2230及びRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0083】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラム又はデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0084】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0085】
プログラムが、DVD-ROM2201又はICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、又はROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0086】
例えば、通信がコンピュータ2200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0087】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0088】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0089】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上又はコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0090】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0091】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0092】
10・・・磁場発生部、20・・・磁気センサ、22・・・検出部、24・・・出力部、30・・・処理部、32・・・取得部、34・・・選択部、36・・・算出部、100・・・イベント検出システム、2200・・・コンピュータ、2201・・・DVD-ROM、2210・・・ホストコントローラ、2212・・・CPU、2214・・・RAM、2216・・・グラフィックコントローラ、2218・・・ディスプレイデバイス、2220・・・入/出力コントローラ、2222・・・通信インタフェース、2224・・・ハードディスクドライブ、2226・・・DVD-ROMドライブ、2230・・・ROM、2240・・・入/出力チップ、2242・・・キーボード