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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022159106
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ノボラック化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 8/08 20060101AFI20221006BHJP
   C07C 39/15 20060101ALI20221006BHJP
   C07C 37/20 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C08G8/08
C07C39/15
C07C37/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052115
(22)【出願日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2021060661
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉本 悠太郎
【テーマコード(参考)】
4H006
4J033
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB99
4H006AC25
4H006BB15
4H006FC52
4H006FE13
4J033AA01
4J033AA02
4J033CA02
4J033CA11
4J033CC02
4J033CC03
4J033CC11
4J033HA02
4J033HA09
4J033HA12
4J033HB10
(57)【要約】
【課題】本発明は、水溶液にせず有機溶媒中で反応させることができ、毒性もなく、更に優れた反応性を持つために酸、塩基の両方で目的とする反応物を得ることができるノボラック化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】炭素数6乃至60の芳香族化合物と式(1)で表されるヘミアセタール構造を有するアルデヒド等価体とを酸又は塩基存在下反応させて得られるノボラック化合物の製造方法を提供する。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数6乃至60の芳香族化合物と式(1)で表されるヘミアセタール構造を有するアルデヒド等価体とを酸又は塩基存在下反応させて得られるノボラック化合物の製造方法。
【化1】
(式(1)中、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1乃至5のアルキル基を表し、RとRは単結合を介して連結していても良い。)
【請求項2】
前記式(1)中、RとRは単結合を介して連結している請求項1記載のノボラック化合物の製造方法。
【請求項3】
前記アルデヒド等価体が式(2)で表される構造を有する化合物である請求項1又は請求項2記載のノボラック化合物の製造方法。
【化2】
【請求項4】
前記炭素数6乃至60の芳香族化合物が式(3)で表される構造を有する化合物である請求項1乃至請求項3のいずれか一つ記載のノボラック化合物の製造方法。
【化3】
(式(3)中、Xは単結合、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数2乃至10のアルキニル基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1乃至5のアルキル基で置換されていても良いメチレン基を表し、Ar、Arはそれぞれ独立してR、Rで置換されても良いベンゼン環又はナフタレン環を表し、R及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数2乃至10のアルキニル基、炭素数6乃至40のアリール基、又はエーテル結合、ケトン結合、若しくはエステル結合を含んでいても良いそれらの組み合わせである。n及びnはそれぞれAr、Arがベンゼン環のときは1~3の整数であり、Ar、Arがナフタレン環のときは1乃至5の整数である、ArとArは単結合、酸素原子、又はメチレン基を介して結合していても良い。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト下層膜形成組成物に含まれるノボラック化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造する際のリソグラフィープロセスにおいて、フォトレジスト膜を形成するのに先立ち、レジスト下層膜を設けることによって、所望の形状のレジストパターンを形成する技術が知られている。下記特許文献1には、ジアルデヒドまたはそのアセタール等価体とベンゼン誘導体とを縮合して得られたノボラック化合物を含有するレジスト下層膜材料が有用なレジスト下層膜を形成できることが知られている(特開2012‐118300)。またカルバゾール骨格を持つ芳香族化合物とグリオキサールとの反応により得られるノボラック化合物は被覆性が良好で、埋め込み後の膜厚差が小さく、平坦であるレジスト下層膜を形成できることが知られている(特願2020-211449)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-118300
【特許文献2】特願2020-211449
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらグリオキサールを用いたノボラック化合物の製造において、グリオキサール自体が不安定であり、水溶液でしか用いることができない点やグリオキサールは毒性がある点から代替のノボラック化合物の製造方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが鋭意検討した結果、グリオキサールを使用しなく、新しいノボラック化合物の製造方法を見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は以下を包含する。
本発明の第一形態は、炭素数6乃至60の芳香族化合物と式(1)で表されるヘミアセタール構造を有するアルデヒド等価体とを酸又は塩基存在下反応させて得られるノボラック化合物の製造方法に関する;
【化1】
(式(1)中、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1乃至5のアルキル基を表しRとRは単結合を介して連結していても良い。)
本発明の第二形態は、前記式(1)中、RとRは単結合を介して連結している請求項1記載のノボラック化合物の製造方法に関する;
本発明の第三形態は、前記アルデヒド等価体が式(2)で表される構造を有する化合物である第一形態又は第二形態記載のノボラック化合物の製造方法に関する;
【化2】
本発明の第四形態は、前記炭素数6乃至60の芳香族化合物が式(3)で表される構造を有する化合物である第一形態乃至第三形態のいずれか一つ記載のノボラック化合物の製造方法に関する。
【化3】
(式(3)中、Xは単結合、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数2乃至10のアルキニル基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1乃至5のアルキル基で置換されていても良いメチレン基を表し、Ar、Arはそれぞれ独立してR、Rで置換されても良いベンゼン環又はナフタレン環を表し、R及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数2乃至10のアルキニル基、炭素数6乃至40のアリール基、又はエーテル結合、ケトン結合、若しくはエステル結合を含んでいても良いそれらの組み合わせである。n及びnはそれぞれAr、Arがベンゼン環のときは1乃至3の整数であり、Ar、Arがナフタレン環のときは1乃至5の整数である、ArとArは単結合、酸素原子、又はメチレン基を介して結合していても良い。)
【発明の効果】
【0006】
従来ノボラック化合物の合成は、グリオキサールを使用するため水溶液にしないといけないが、本発明は原材料そのものを有機溶媒中で反応させることができるため、簡便な合成プロセスにより、低分子量のノボラック化合物を合成することができる。またグリオキサールを使用しないため毒性もない。
更に本発明は、ヘミアセタール構造を有するアルデヒド等価体が優れた反応性を持つために酸、塩基の両方で目的とする反応物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、炭素数6乃至60の芳香族化合物と式(1)で表されるヘミアセタール構造を有するアルデヒド等価体とを酸又は塩基存在下反応させて得られるノボラック化合物の製造方法である。
【0008】
[ヘミアセタール構造を有するアルデヒド等価体]
ヘミアセタール構造を有するアルデヒド等価体は式(1)で表される化合物である。
【化4】
式(1)中、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1乃至5のアルキル基を表しRとRは単結合を介して連結していても良い。
【0009】
炭素数1乃至5のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
これらの中もR、Rはメチル基であることが好ましく、式(2)で表されるようにRとRが単結合で結合した環状構造を有する化合物が好ましい。
【化5】
【0010】
[炭素数6~60の芳香族化合物(A)]
炭素数6~60の芳香族化合物(A)は、
(a)ベンゼン、フェノール、のような単環化合物であってもよく、
(b)ナフタレン、アントラセン、ピレン、ヒドロキシナフタレン、ナフトール、9,10-アントラキノン、インデノフルオレンジオンのような縮合環化合物であってもよく、(c)フラン、チオフェン、ピリジン、カルバゾール、フェノチアジン、フェノオキサジン、インドロカルバゾールのような複素環化合物であってもよく、
(d)ビフェニル、フェニルインドール、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、α,α,α’,α’-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-p-キシレン、9,9-フルオレニリデン-ビスナフトールのように(a)~(c)の芳香環が単結合で結合された化合物であってもよく、
(e)フェニルナフチルアミンのように、-(CH-(n=1~20)、-CH=CH-、-C≡C-、-N=N-、-NH-、-NR-、-NHCO-、-NRCO-、-S-、-COO-、-OCO-、-O-、-CO-、-Ph-、-Ph-Ph-、-Ph-O-Ph-(Ph=C)、及び-CH=N-で例示されるスペーサーを介して(a)~(d)の芳香環が連結された化合物であってもよい。ここの置換基Rは後述する炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数2乃至10のアルキニル基を例示することができる。
【0011】
上記例示された芳香族化合物以外に、さらにピリミジン、ピラジン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、キノリン、フルオレン、キナゾリン、プリン、インドリジン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、アクリジン等が挙げられる。
【0012】
上記炭素原子数6~60の芳香族化合物(A)の水素原子は、炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数2乃至10のアルキニル基、ヒドロキシ基、ホルミル基、エーテル基、アルコキシ基で置換されていてもよい。
【0013】
上記炭素数1乃至20のアルキル基としては、置換基を有しても、有さなくてもよい直鎖または分岐を有するアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、シクロヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、イソノニル基、p-tert-ブチルシクロヘキシル基、n-デシル基、n-ドデシルノニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基およびエイコシル基などが挙げられる。好ましくは炭素数1乃至12のアルキル基、より好ましくは炭素数1乃至8のアルキル基、更に好ましくは炭素数1乃至4のアルキル基である。
【0014】
炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数2乃至10のアルキニル基としては置換基を有しても、有さなくてもよい直鎖または分岐を有するアルケニル基、アルキニル基が挙げられ、例えば、ビニル基、エチニル基、2-プロぺニル基、2-プロピニル基、2-ブテニル基、2-ブチニル基、3-ブテニル基、3-ブチニル基などが挙げられる。
【0015】
なお、以上の芳香族化合物は、単結合又はスペーサーを介して連結されていてもよい。
スペーサーの例としては、-(CH-(n=1~20)、-CH=CH-、-C≡C-、-N=N-、-NH-、-NR-、-NHCO-、-NRCO-、-S-、-COO-、-OCO-、-O-、-CO-、-Ph-、-Ph-Ph-、-Ph-O-Ph-(Ph=C)及び-CH=N-の一種又は二種以上の組合せが挙げられる。これらのスペーサーは2つ以上連結していてもよい。置換基Rとしては前述した炭素数1~20のアルキル基を例示することができる。
【0016】
上記芳香族化合物(A)は、下記式(3)で表される構造が好ましい。
【化6】
式(3)中、Xは単結合、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数2乃至10のアルキニル基で置換されていても良いアミノ基、炭素数1乃至5のアルキル基で置換されていても良いメチレン基を表す。炭素数1乃至5のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられる。炭素数1乃至5のアルキル基で置換したアミノ基としてはメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基等が挙げられ、炭素数1乃至5のアルキル基で置換しても良いメチレン基としてはジメチルメチレン基などが挙げられる。
【0017】
Ar、Arはそれぞれ独立してR、Rで置換されても良いベンゼン環又はナフタレン環を表し、ArとArは単結合、酸素原子、又はメチレン基を介して結合していても良い。
【0018】
及びRはそれぞれ水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数2乃至10のアルキニル基、炭素数6乃至40のアリール基、又はエーテル結合、ケトン結合、若しくはエステル結合を含んでいても良いそれらの組み合わせである。n及びnはそれぞれAr、Arがベンゼン環のときは1乃至3の整数であり、Ar、Arがナフタレン環のときは1乃至5の整数である、
炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至10のアルケニル基、炭素数2乃至10のアルキニル基としては前述した例を挙げることができる。
【0019】
炭素数6乃至40のアリール基としては、フェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、o-クロルフェニル基、m-クロルフェニル基、p-クロルフェニル基、o-フルオロフェニル基、p-フルオロフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-シアノフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、o-ビフェニリル基、m-ビフェニリル基、p-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、ピレン基、及び9-フェナントリル基が挙げられる。
【0020】
式(3)で表される化合物としては、Ar、Arはベンゼン環またはナフタレン環であることが好ましく、Xは単結合、-NMe-、-NEt-、-NH-、-N(CCH)-、-C(CH3)(CH3)-が好ましい。
式(3)で表される化合物の具体例としては以下のような化合物が挙げられる。
【化7】
【0021】
[溶媒]
溶媒としては芳香族化合物とヘミアセタール化合物を溶解し反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、例えばグリコールエーテル系溶媒を用いることができる。グリコールエーテル系溶媒とは1分子内にエーテル基と水酸基の両方を有する有機化合物である。具体的には例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-iso-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3メチル-1-ブタノール、ジエ
チレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-iso-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテ、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、及びテトラエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1つのグリコールエーテル系溶媒である。
更に好ましくは、ジエチレングリコールジエチルエーテルである。
【0022】
[酸触媒と塩基触媒]
酸触媒としては酸触媒としては、芳香族化合物とヘミアセタール化合物との反応を促進する触媒であれば特に限定されないが、例えば、トリフルオロ酢酸、硝酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸、リン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、1,1,1-トリフルオロ-N-((トリフルオロメチル)スルホニル)メタンスルホンアミド等が挙げられる。
塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられる。
【実施例0023】
本明細書の下記実施例に示す重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、本明細書ではGPCと略称する。)による測定結果である。測定には東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8320GPC)を用い、測定条件等は次のとおりである。
<実施例1乃至4の測定条件>
GPCカラム:TSKgelSuperH-RC,TSKgelSuperMultipore HZ-N,TSKgelSuperMultipore HZ-N(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン(関東化学,高速液体クロマトグラフィー用)
標準試料:ポリスチレン(Shodex製)
<実施例5及び比較例1の測定条件>
GPCカラム:TSKgel ガードカラム PWXL,TSKgelG6000PW,TSKgel G4000PW(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
溶媒:超純水
標準試料:標準ポリエチレノキシド(東ソー株式会社製)
【0024】
また、下記実施例に記載の略記号は以下の意味を表す。
ECz:エチルカルバゾール
Cz:カルバゾール
B0464:4,4’-ジヒドロキシビフェニル
B0494:2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
DEGDE:ジエチレングリコールジエチルエーテル
THF:テトラヒドロフラン
PTS・HO:p-トルエンスルホン酸一水和物
【0025】
(実施例1)
フラスコにECz(東京化成工業(株)製)6.00g、Cz(東京化成工業(株)製)0.42g、1,4-ジオキサン-2,3-ジオール(東京化成工業(株)製)2.64g、ジエチレングリコールジエチルエーテル(東京化成工業(株)製、以後DEGDEと記載)15.00gを入れた。窒素下で約150℃まで加熱、3.00gのDEGDEに
溶解させたPTS・HO(東京化成工業(株)製)0.82gを滴下。約150℃で撹拌しながら、0.1gの反応液をサンプリングし、THFで3gの希釈液を作成。GPCを測定し、Mwを確認した。
【0026】
(実施例2)
フラスコに2,2’-ジヒドロキシビフェニル(東京化成工業(株)製)6.00g、1,4-ジオキサン-2,3-ジオール(東京化成工業(株)製)2.64g、DEGDE(東京化成工業(株)製)27.00gを入れた。窒素下で約150℃まで加熱、3.00gのDEGDEに溶解させたPTS・HO(東京化成工業(株)製)0.61gを滴下。約150℃で撹拌しながら、0.1gの反応液をサンプリングし、THFで3gの希釈液を作成。GPCを測定し、Mwを確認した。
【0027】
(実施例3)
フラスコにB0464(東京化成工業(株)製)6.00g、1,4-ジオキサン-2,3-ジオール(東京化成工業(株)製)2.64g、DEGDE(東京化成工業(株)製)39.00gを入れた。窒素下で約150℃まで加熱、3.00gのDEGDEに溶解させたPTS・HO(東京化成工業(株)製)0.61gを滴下。約150℃で撹拌しながら、0.1gの反応液をサンプリングし、THFで3gの希釈液を作成。GPCを測定し、Mwを確認した。
【0028】
(実施例4)
フラスコにB0494(東京化成工業(株)製)6.00g、1,4-ジオキサン-2,3-ジオール(東京化成工業(株)製)2.64g、DEGDE(東京化成工業(株)製)15.00gを入れた。窒素下で約150℃まで加熱、3.00gのDEGDEに溶解させたPTS・HO(東京化成工業(株)製)0.61gを滴下。約150℃で撹拌しながら、0.1gの反応液をサンプリングし、THFで3gの希釈液を作成。GPCを測定し、Mwを確認した。
【0029】
(実施例5)
フラスコに2,2’-ジヒドロキシビフェニル(東京化成工業(株)製)5.00g、1,4-ジオキサン-2,3-ジオール(東京化成工業(株)製)2.42g、DEGDE(東京化成工業(株)製)30.00gを入れた。窒素下で約100℃まで加熱、25%水酸化ナトリウム水溶液 (関東化学(株)製)12.89gを滴下。約100℃で撹拌しながら、0.1gの反応液をサンプリングし、THFで3gの希釈液を作成。GPCを測定し、Mwを確認した。
【0030】
(比較例1)
フラスコに2,2’-ジヒドロキシビフェニル(東京化成工業(株)製)5.00g、テレフタルアルデヒドビスジエチルアセタール(東京化成工業(株)製)5.69g、DEGDE(東京化成工業(株)製)30.00gを入れた。窒素下で約100℃まで加熱、25%水酸化ナトリウム水溶液 (関東化学(株)製)12.89gを滴下。約100℃で撹拌しながら反応開始後と24時間後、0.1gの反応液をサンプリングし、THFで3gの希釈液を作成。GPCを測定したところ、反応開始後と24時間後とでGPCの波形に変化は無く、ポリマーの生成は確認できなかった。
【0031】
(比較例2)
フラスコに2,2’-ジヒドロキシビフェニル(東京化成工業(株)製)5.00g、テレフタルアルデヒドビスジエチルアセタール(東京化成工業(株)製)5.69g、DEGDE(東京化成工業(株)製)30.00gを入れた。窒素下で約100℃まで加熱、メタンスルホン酸(東京化成工業(株)製)0.39gを滴下。約100℃で撹拌しな
がら、0.1gの反応液をサンプリングし、THFで3gの希釈液を作成。GPCを測定し、Mwを確認した。
【0032】
実施例1乃至実施例5及び比較例1と比較例2で反応中のサンプリングによりMwを追跡し、表1にまとめた。いずれもポリマーが生成していることを確認した。また比較例1及び比較例2のアセタールを用いた方法においては酸性条件下でしかノボラック化合物が得られないのに対し、実施例1乃至実施例5から分かるように本発明の方法を用いることで酸、塩基いずれの条件下でもノボラック化合物を得ることができる。
【0033】
【表1】