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特開2022-160225化合物及び有機エレクトロルミネッセンス素子
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  • 特開-化合物及び有機エレクトロルミネッセンス素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160225
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】化合物及び有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/77 20060101AFI20221012BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221012BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
C07D307/77 CSP
H05B33/14 B
H05B33/22 B
H05B33/22 D
C09K11/06 690
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064854
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】糸井 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】田崎 聡美
【テーマコード(参考)】
3K107
4C037
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107AA05
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC22
3K107DD53
3K107DD58
3K107DD59
3K107DD66
3K107DD68
3K107DD69
3K107DD71
3K107DD74
3K107DD78
4C037XA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子を製造することができる化合物を提供する。
【解決手段】例えば、下式で示される化合物BH-1または化合物BH-2。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物。
【化41】
[式(1)中、
~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
及びLは、それぞれ独立に、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基である。
Arは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
Arは、下記式(11)~(13)のいずれかで表される基である。
【化42】
(式(11)中、
111~R120のうち1つは、単結合によりLと結合する。
前記Lと結合しないR111~R120のうち少なくとも2つは、置換基Qである。
前記Lと結合せず、前記置換基QではないR111~R120は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
式(12)中、
121~R130のうち1つは、単結合によりLと結合する。
前記Lと結合しないR121~R130のうち少なくとも2つは、置換基Qである。
前記Lと結合せず、前記置換基QではないR121~R130は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
式(13)中、
131~R140のうち1つは、単結合によりLと結合する。
前記Lと結合しないR131~R140のうち少なくとも2つは、置換基Qである。
前記Lと結合せず、前記置換基QではないR131~R140は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
置換基Qは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
置換基Qが2以上存在する場合、2以上の置換基Qは同一であってもよいし、異なってもよい。)
置換基Rは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907
(ここで、R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。R901~R907が2個以上存在する場合、2個以上のR901~R907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基
からなる群から選択される。
置換基Rが2以上存在する場合、2以上の置換基Rは同一であってもよいし、異なってもよい。]
【請求項2】
置換基Qが有する水素原子のうち少なくとも1つが、重水素原子である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arが、
前記式(11)で表される基であり、
111~R114のうち1つが、単結合によりLと結合する請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Arが、
前記式(12)で表される基であり、
121~R124のうち1つが、単結合によりLと結合する請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
Arが、
前記式(13)で表される基であり、
131~R134のうち1つが、単結合によりLと結合する請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
Arが、下記式(22)又は(23)のいずれかで表される基である請求項1又は2に記載の化合物。
【化43】
[式(22)中、
221~R224のうち1つは、単結合によりLと結合する。
225~R230のうち少なくとも1つ、及びLと結合しないR221~R224のうち少なくとも1つは、置換基Qである。
前記置換基QではないR225~R230、及びLと結合せず、前記置換基QではないR221~R224は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
式(23)中、
231~R234のうち1つは、単結合によりLと結合する。
235~R240のうち少なくとも1つ、及びLと結合しないR231~R234のうち少なくとも1つは、置換基Qである。
前記置換基QではないR235~R240、及びLと結合せず、前記置換基QではないR231~R234は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
置換基Q及び置換基Rは、前記式(1)で定義した通りである。]
【請求項7】
が、単結合である請求項1~6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
が、単結合である請求項1~7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
Arが、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基である請求項1~8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
Arが、
置換もしくは無置換のフェニル基、又は
置換もしくは無置換のビフェニル基である請求項1~9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
~Rが、水素原子である請求項1~10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
前記式(1)で表される化合物が、下記式(1-1)で表される化合物である請求項1又は2に記載の化合物。
【化44】
[式(1-1)中、R11~R15は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
321~R322及びR324のうち少なくとも1つ、並びにR325~R330のうち少なくとも1つは、置換基Qである。
前記置換基QではないR321~R322及びR324~R330は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
置換基Q及び置換基Rは、前記式(1)で定義した通りである。]
【請求項13】
水素原子であるR11~R15及び置換基RであるR11~R15が有する水素原子のうち少なくとも1つが、重水素原子である請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
水素原子であるR321~R322及びR324~R330、並びに置換基RであるR321~R322及びR324~R330が有する水素原子のうち少なくとも1つが、重水素原子である請求項12又は13に記載の化合物。
【請求項15】
置換基Qが、
置換もしくは無置換のフェニル基、又は
置換もしくは無置換のナフチル基である請求項1~14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
置換基Qが、
置換もしくは無置換のフェニル基である請求項1~15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、
炭素数1~50のアルキル基、
炭素数1~50のハロアルキル基、
炭素数2~50のアルケニル基、
炭素数2~50のアルキニル基、
環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
炭素数1~50のアルコキシ基、
炭素数1~50のアルキルチオ基、
環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、
環形成炭素数6~50のアリールチオ基、
炭素数7~50のアラルキル基、
-Si(R941)(R942)(R943)、
-C(=O)R944、-COOR945
-S(=O)946
-P(=O)(R947)(R948)、
-Ge(R949)(R950)(R951)、
-N(R952)(R953)(ここで、R941~R953は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~50のアルキル基、環形成炭素数6~50のアリール基、又は環形成原子数5~50の1価の複素環基である。R941~R953が2以上存在する場合、2以上のR941~R953のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)、
ヒドロキシ基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
環形成炭素数6~50のアリール基、及び
環形成原子数5~50の1価の複素環基からなる群から選択される、請求項1~16のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
「置換もしくは無置換の」という場合における置換基が、
炭素数1~18のアルキル基、
環形成炭素数6~18のアリール基、及び
環形成原子数5~18の1価の複素環基からなる群から選択される、請求項1~17のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
陰極と、
陽極と、
前記陰極及び前記陽極の間に配置された1以上の有機層と、を有し、
前記1以上の有機層のうちの少なくとも1つの層が、請求項1~18のいずれかに記載の化合物を含む、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項20】
前記有機層の1以上が発光層であり
前記1以上の発光層のうちの少なくとも1つの層が、前記化合物を含む、請求項19に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項21】
前記陽極と前記発光層との間に正孔輸送層を有する請求項20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項22】
前記陰極と前記発光層との間に電子輸送層を有する請求項20又は21に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項23】
前記1以上の発光層のうちの少なくとも1つの層が、さらに、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ナフタセン誘導体、フルオランテン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、及びクリセン誘導体からなる群から選ばれる1以上の縮合芳香族化合物を含む、請求項20~22のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項24】
前記1以上の発光層のうちの少なくとも1つの層が、さらに、遅延蛍光性のホスト化合物を含む、請求項20~23のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項25】
請求項19~24のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物及び有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)に電圧を印加すると、陽極から正孔が、また陰極から電子が、それぞれ発光層に注入される。そして、発光層において、注入された正孔と電子とが再結合し、励起子が形成される。
【0003】
従来の有機EL素子は素子性能が未だ十分ではなかった。素子性能を高めるべく有機EL素子に用いる材料の改良は徐々に進められているが、さらなる高性能化が求められている。
【0004】
特許文献1には、有機EL素子の発光層に特定の構造を有する化合物を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2020/111733号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、長寿命な有機EL素子を製造することができる化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する化合物を用いると、長寿命な有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下の化合物等が提供される。
下記式(1)で表される化合物。
【化1】
[式(1)中、
~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
及びLは、それぞれ独立に、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基である。
Arは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
Arは、下記式(11)~(13)のいずれかで表される基である。
【化2】
(式(11)中、
111~R120のうち1つは、単結合によりLと結合する。
前記Lと結合しないR111~R120のうち少なくとも2つは、置換基Qである。
前記Lと結合せず、前記置換基QではないR111~R120は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
式(12)中、
121~R130のうち1つは、単結合によりLと結合する。
前記Lと結合しないR121~R130のうち少なくとも2つは、置換基Qである。
前記Lと結合せず、前記置換基QではないR121~R130は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
式(13)中、
131~R140のうち1つは、単結合によりLと結合する。
前記Lと結合しないR131~R140のうち少なくとも2つは、置換基Qである。
前記Lと結合せず、前記置換基QではないR131~R140は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
置換基Qは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
置換基Qが2以上存在する場合、2以上の置換基Qは同一であってもよいし、異なってもよい。)
置換基Rは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907
(ここで、R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。R901~R907が2個以上存在する場合、2個以上のR901~R907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基
からなる群から選択される。
置換基Rが2以上存在する場合、2以上の置換基Rは同一であってもよいし、異なってもよい。]
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、長寿命な有機EL素子が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一態様に係る有機EL素子の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[定義]
本明細書において、水素原子とは、中性子数が異なる同位体、即ち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)、及び三重水素(tritium)を包含する。
【0011】
本明細書において、化学構造式中、「R」等の記号や重水素原子を表す「D」が明示されていない結合可能位置には、水素原子、即ち、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子が結合しているものとする。
【0012】
本明細書において、環形成炭素数とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。以下で記される「環形成炭素数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジン環は環形成炭素数5であり、フラン環は環形成炭素数4である。また、例えば、9,9-ジフェニルフルオレニル基の環形成炭素数は13であり、9,9’-スピロビフルオレニル基の環形成炭素数は25である。
また、ベンゼン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ベンゼン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているベンゼン環の環形成炭素数は、6である。また、ナフタレン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ナフタレン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているナフタレン環の環形成炭素数は、10である。
【0013】
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば、単環、縮合環、及び環集合)の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子の結合を終端する水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記される「環形成原子数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ピリジン環の環形成原子数は6であり、キナゾリン環の環形成原子数は10であり、フラン環の環形成原子数は5である。例えば、ピリジン環に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子の数は、ピリジン環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているピリジン環の環形成原子数は、6である。また、例えば、キナゾリン環の炭素原子に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子については、キナゾリン環の環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているキナゾリン環の環形成原子数は10である。
【0014】
本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX~YYのZZ基」という表現における「炭素数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表し、置換されている場合の置換基の炭素数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0015】
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX~YYのZZ基」という表現における「原子数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表し、置換されている場合の置換基の原子数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0016】
本明細書において、無置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「無置換のZZ基」である場合を表し、置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「置換のZZ基」である場合を表す。
本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「無置換」とは、ZZ基における水素原子が置換基と置き換わっていないことを意味する。「無置換のZZ基」における水素原子は、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子である。
また、本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「置換」とは、ZZ基における1つ以上の水素原子が、置換基と置き換わっていることを意味する。「AA基で置換されたBB基」という場合における「置換」も同様に、BB基における1つ以上の水素原子が、AA基と置き換わっていることを意味する。
【0017】
「本明細書に記載の置換基」
以下、本明細書に記載の置換基について説明する。
【0018】
本明細書に記載の「無置換のアリール基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルケニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルキニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のシクロアルキル基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、3~50であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~6である。
本明細書に記載の「無置換のアリーレン基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の2価の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキレン基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
【0019】
・「置換もしくは無置換のアリール基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」の具体例(具体例群G1)としては、以下の無置換のアリール基(具体例群G1A)及び置換のアリール基(具体例群G1B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「無置換のアリール基」である場合を指し、置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「置換のアリール基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アリール基」という場合は、「無置換のアリール基」と「置換のアリール基」の両方を含む。
「置換のアリール基」は、「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアリール基」としては、例えば、下記具体例群G1Aの「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの置換のアリール基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアリール基」の例、及び「置換のアリール基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアリール基」には、下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」におけるアリール基自体の炭素原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0020】
・無置換のアリール基(具体例群G1A):
フェニル基、
p-ビフェニル基、
m-ビフェニル基、
o-ビフェニル基、
p-ターフェニル-4-イル基、
p-ターフェニル-3-イル基、
p-ターフェニル-2-イル基、
m-ターフェニル-4-イル基、
m-ターフェニル-3-イル基、
m-ターフェニル-2-イル基、
o-ターフェニル-4-イル基、
o-ターフェニル-3-イル基、
o-ターフェニル-2-イル基、
1-ナフチル基、
2-ナフチル基、
アントリル基、
ベンゾアントリル基、
フェナントリル基、
ベンゾフェナントリル基、
フェナレニル基、
ピレニル基、
クリセニル基、
ベンゾクリセニル基、
トリフェニレニル基、
ベンゾトリフェニレニル基、
テトラセニル基、
ペンタセニル基、
フルオレニル基、
9,9’-スピロビフルオレニル基、
ベンゾフルオレニル基、
ジベンゾフルオレニル基、
フルオランテニル基、
ベンゾフルオランテニル基、
ペリレニル基、及び
下記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価のアリール基。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
・置換のアリール基(具体例群G1B):
o-トリル基、
m-トリル基、
p-トリル基、
パラ-キシリル基、
メタ-キシリル基、
オルト-キシリル基、
パラ-イソプロピルフェニル基、
メタ-イソプロピルフェニル基、
オルト-イソプロピルフェニル基、
パラ-t-ブチルフェニル基、
メタ-t-ブチルフェニル基、
オルト-t-ブチルフェニル基、
3,4,5-トリメチルフェニル基、
9,9-ジメチルフルオレニル基、
9,9-ジフェニルフルオレニル基
9,9-ビス(4-メチルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-イソプロピルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-t-ブチルフェニル)フルオレニル基、
シアノフェニル基、
トリフェニルシリルフェニル基、
トリメチルシリルフェニル基、
フェニルナフチル基、
ナフチルフェニル基、及び
前記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から誘導される1価の基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基。
【0024】
・「置換もしくは無置換の複素環基」
本明細書に記載の「複素環基」は、環形成原子にヘテロ原子を少なくとも1つ含む環状の基である。ヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、及びホウ素原子が挙げられる。
本明細書に記載の「複素環基」は、単環の基であるか、又は縮合環の基である。
本明細書に記載の「複素環基」は、芳香族複素環基であるか、又は非芳香族複素環基である。
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」の具体例(具体例群G2)としては、以下の無置換の複素環基(具体例群G2A)、及び置換の複素環基(具体例群G2B)等が挙げられる。(ここで、無置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「無置換の複素環基」である場合を指し、置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「置換の複素環基」である場合を指す。)本明細書において、単に「複素環基」という場合は、「無置換の複素環基」と「置換の複素環基」の両方を含む。
「置換の複素環基」は、「無置換の複素環基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換の複素環基」の具体例は、下記具体例群G2Aの「無置換の複素環基」の水素原子が置き換わった基、及び下記具体例群G2Bの置換の複素環基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換の複素環基」の例や「置換の複素環基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換の複素環基」には、具体例群G2Bの「置換の複素環基」における複素環基自体の環形成原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G2Bの「置換の複素環基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0025】
具体例群G2Aは、例えば、以下の窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1)、酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2)、硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4)を含む。
【0026】
具体例群G2Bは、例えば、以下の窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1)、酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2)、硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4)を含む。
【0027】
・窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1):
ピロリル基、
イミダゾリル基、
ピラゾリル基、
トリアゾリル基、
テトラゾリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ピリジル基、
ピリダジニル基、
ピリミジニル基、
ピラジニル基、
トリアジニル基、
インドリル基、
イソインドリル基、
インドリジニル基、
キノリジニル基、
キノリル基、
イソキノリル基、
シンノリル基、
フタラジニル基、
キナゾリニル基、
キノキサリニル基、
ベンゾイミダゾリル基、
インダゾリル基、
フェナントロリニル基、
フェナントリジニル基、
アクリジニル基、
フェナジニル基、
カルバゾリル基、
ベンゾカルバゾリル基、
モルホリノ基、
フェノキサジニル基、
フェノチアジニル基、
アザカルバゾリル基、及びジアザカルバゾリル基。
【0028】
・酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2):
フリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
キサンテニル基、
ベンゾフラニル基、
イソベンゾフラニル基、
ジベンゾフラニル基、
ナフトベンゾフラニル基、
ベンゾオキサゾリル基、
ベンゾイソキサゾリル基、
フェノキサジニル基、
モルホリノ基、
ジナフトフラニル基、
アザジベンゾフラニル基、
ジアザジベンゾフラニル基、
アザナフトベンゾフラニル基、及び
ジアザナフトベンゾフラニル基。
【0029】
・硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3):
チエニル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ベンゾチオフェニル基(ベンゾチエニル基)、
イソベンゾチオフェニル基(イソベンゾチエニル基)、
ジベンゾチオフェニル基(ジベンゾチエニル基)、
ナフトベンゾチオフェニル基(ナフトベンゾチエニル基)、
ベンゾチアゾリル基、
ベンゾイソチアゾリル基、
フェノチアジニル基、
ジナフトチオフェニル基(ジナフトチエニル基)、
アザジベンゾチオフェニル基(アザジベンゾチエニル基)、
ジアザジベンゾチオフェニル基(ジアザジベンゾチエニル基)、
アザナフトベンゾチオフェニル基(アザナフトベンゾチエニル基)、及び
ジアザナフトベンゾチオフェニル基(ジアザナフトベンゾチエニル基)。
【0030】
・下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4):
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、NH、又はCHである。ただし、X及びYのうち少なくとも1つは、酸素原子、硫黄原子、又はNHである。
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、X及びYの少なくともいずれかがNH、又はCHである場合、前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基には、これらNH、又はCHから1つの水素原子を除いて得られる1価の基が含まれる。
【0034】
・窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1):
(9-フェニル)カルバゾリル基、
(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、
(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、
(9-ナフチル)カルバゾリル基、
ジフェニルカルバゾール-9-イル基、
フェニルカルバゾール-9-イル基、
メチルベンゾイミダゾリル基、
エチルベンゾイミダゾリル基、
フェニルトリアジニル基、
ビフェニリルトリアジニル基、
ジフェニルトリアジニル基、
フェニルキナゾリニル基、及び
ビフェニリルキナゾリニル基。
【0035】
・酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2):
フェニルジベンゾフラニル基、
メチルジベンゾフラニル基、
t-ブチルジベンゾフラニル基、及び
スピロ[9H-キサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0036】
・硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3):
フェニルジベンゾチオフェニル基、
メチルジベンゾチオフェニル基、
t-ブチルジベンゾチオフェニル基、及び
スピロ[9H-チオキサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0037】
・前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4):
【0038】
前記「1価の複素環基の1つ以上の水素原子」とは、該1価の複素環基の環形成炭素原子に結合している水素原子、XA及びYAの少なくともいずれかがNHである場合の窒素原子に結合している水素原子、及びXA及びYAの一方がCH2である場合のメチレン基の水素原子から選ばれる1つ以上の水素原子を意味する。
【0039】
・「置換もしくは無置換のアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」の具体例(具体例群G3)としては、以下の無置換のアルキル基(具体例群G3A)及び置換のアルキル基(具体例群G3B)が挙げられる。(ここで、無置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「無置換のアルキル基」である場合を指し、置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「置換のアルキル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキル基」という場合は、「無置換のアルキル基」と「置換のアルキル基」の両方を含む。
「置換のアルキル基」は、「無置換のアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキル基」(具体例群G3A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のアルキル基(具体例群G3B)の例等が挙げられる。本明細書において、「無置換のアルキル基」におけるアルキル基は、鎖状のアルキル基を意味する。そのため、「無置換のアルキル基」は、直鎖である「無置換のアルキル基」、及び分岐状である「無置換のアルキル基」が含まれる。尚、ここに列挙した「無置換のアルキル基」の例や「置換のアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルキル基」には、具体例群G3Bの「置換のアルキル基」におけるアルキル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G3Bの「置換のアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0040】
・無置換のアルキル基(具体例群G3A):
メチル基、
エチル基、
n-プロピル基、
イソプロピル基、
n-ブチル基、
イソブチル基、
s-ブチル基、及び
t-ブチル基。
【0041】
・置換のアルキル基(具体例群G3B):
ヘプタフルオロプロピル基(異性体を含む)、
ペンタフルオロエチル基、
2,2,2-トリフルオロエチル基、及び
トリフルオロメチル基。
【0042】
・「置換もしくは無置換のアルケニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルケニル基」の具体例(具体例群G4)としては、以下の無置換のアルケニル基(具体例群G4A)、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルケニル基とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「無置換のアルケニル基」である場合を指し、「置換のアルケニル基」とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「置換のアルケニル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アルケニル基」という場合は、「無置換のアルケニル基」と「置換のアルケニル基」の両方を含む。
「置換のアルケニル基」は、「無置換のアルケニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルケニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルケニル基」(具体例群G4A)が置換基を有する基、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアルケニル基」の例や「置換のアルケニル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルケニル基」には、具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」におけるアルケニル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0043】
・無置換のアルケニル基(具体例群G4A):
ビニル基、
アリル基、
1-ブテニル基、
2-ブテニル基、及び
3-ブテニル基。
【0044】
・置換のアルケニル基(具体例群G4B):
1,3-ブタンジエニル基、
1-メチルビニル基、
1-メチルアリル基、
1,1-ジメチルアリル基、
2-メチルアリル基、及び
1,2-ジメチルアリル基。
【0045】
・「置換もしくは無置換のアルキニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキニル基」の具体例(具体例群G5)としては、以下の無置換のアルキニル基(具体例群G5A)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルキニル基とは、「置換もしくは無置換のアルキニル基」が「無置換のアルキニル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキニル基」という場合は、「無置換のアルキニル基」と「置換のアルキニル基」の両方を含む。
「置換のアルキニル基」は、「無置換のアルキニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキニル基」(具体例群G5A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基等が挙げられる。
【0046】
・無置換のアルキニル基(具体例群G5A):
エチニル基
【0047】
・「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」の具体例(具体例群G6)としては、以下の無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A)、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)等が挙げられる。(ここで、無置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「無置換のシクロアルキル基」である場合を指し、置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「置換のシクロアルキル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「シクロアルキル基」という場合は、「無置換のシクロアルキル基」と「置換のシクロアルキル基」の両方を含む。
「置換のシクロアルキル基」は、「無置換のシクロアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のシクロアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のシクロアルキル基」(具体例群G6A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のシクロアルキル基」の例や「置換のシクロアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のシクロアルキル基」には、具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」におけるシクロアルキル基自体の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0048】
・無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A):
シクロプロピル基、
シクロブチル基、
シクロペンチル基、
シクロヘキシル基、
1-アダマンチル基、
2-アダマンチル基、
1-ノルボルニル基、及び
2-ノルボルニル基。
【0049】
・置換のシクロアルキル基(具体例群G6B):
4-メチルシクロヘキシル基。
【0050】
・「-Si(R901)(R902)(R903)で表される基」
本明細書に記載の-Si(R901)(R902)(R903)で表される基の具体例(具体例群G7)としては、
-Si(G1)(G1)(G1)、
-Si(G1)(G2)(G2)、
-Si(G1)(G1)(G2)、
-Si(G2)(G2)(G2)、
-Si(G3)(G3)(G3)、及び
-Si(G6)(G6)(G6)
が挙げられる。ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-Si(G1)(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G1)(G2)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G2)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G6)(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる。
【0051】
・「-O-(R904)で表される基」
本明細書に記載の-O-(R904)で表される基の具体例(具体例群G8)としては、
-O(G1)、
-O(G2)、
-O(G3)、及び
-O(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0052】
・「-S-(R905)で表される基」
本明細書に記載の-S-(R905)で表される基の具体例(具体例群G9)としては、
-S(G1)、
-S(G2)、
-S(G3)、及び
-S(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0053】
・「-N(R906)(R907)で表される基」
本明細書に記載の-N(R906)(R907)で表される基の具体例(具体例群G10)としては、
-N(G1)(G1)、
-N(G2)(G2)、
-N(G1)(G2)、
-N(G3)(G3)、及び
-N(G6)(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-N(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる
【0054】
・「ハロゲン原子」
本明細書に記載の「ハロゲン原子」の具体例(具体例群G11)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0055】
・「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がフッ素原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がフッ素原子で置き換わった基(パーフルオロ基)も含む。「無置換のフルオロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のフルオロアルキル基」は、「フルオロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のフルオロアルキル基」には、「置換のフルオロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のフルオロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のフルオロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がフッ素原子と置き換わった基の例等が挙げられる。
【0056】
・「置換もしくは無置換のハロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のハロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がハロゲン原子で置き換わった基も含む。「無置換のハロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のハロアルキル基」は、「ハロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のハロアルキル基」には、「置換のハロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のハロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のハロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がハロゲン原子と置き換わった基の例等が挙げられる。ハロアルキル基をハロゲン化アルキル基と称する場合がある。
【0057】
・「置換もしくは無置換のアルコキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルコキシ基」の具体例としては、-O(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルコキシ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0058】
・「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」の具体例としては、-S(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルキルチオ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0059】
・「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」の具体例としては、-O(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールオキシ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0060】
・「置換もしくは無置換のアリールチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールチオ基」の具体例としては、-S(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールチオ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0061】
・「置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基」
本明細書に記載の「トリアルキルシリル基」の具体例としては、-Si(G3)(G3)(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。「トリアルキルシリル基」の各アルキル基の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~6である。
【0062】
・「置換もしくは無置換のアラルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、-(G3)-(G1)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」であり、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。従って、「アラルキル基」は、「アルキル基」の水素原子が置換基としての「アリール基」と置き換わった基であり、「置換のアルキル基」の一態様である。「無置換のアラルキル基」は、「無置換のアリール基」が置換した「無置換のアルキル基」であり、「無置換のアラルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、7~50であり、好ましくは7~30であり、より好ましくは7~18である。
「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルイソプロピル基、2-フェニルイソプロピル基、フェニル-t-ブチル基、α-ナフチルメチル基、1-α-ナフチルエチル基、2-α-ナフチルエチル基、1-α-ナフチルイソプロピル基、2-α-ナフチルイソプロピル基、β-ナフチルメチル基、1-β-ナフチルエチル基、2-β-ナフチルエチル基、1-β-ナフチルイソプロピル基、及び2-β-ナフチルイソプロピル基等が挙げられる。
【0063】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリール基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはフェニル基、p-ビフェニル基、m-ビフェニル基、o-ビフェニル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、o-ターフェニル-4-イル基、o-ターフェニル-3-イル基、o-ターフェニル-2-イル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9,9-ジメチルフルオレニル基、及び9,9-ジフェニルフルオレニル基等である。
【0064】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、ベンゾイミダゾリル基、フェナントロリニル基、カルバゾリル基(1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、又は9-カルバゾリル基)、ベンゾカルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ナフトベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、ジアザジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ナフトベンゾチオフェニル基、アザジベンゾチオフェニル基、ジアザジベンゾチオフェニル基、(9-フェニル)カルバゾリル基((9-フェニル)カルバゾール-1-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-2-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-3-イル基、又は(9-フェニル)カルバゾール-4-イル基)、(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、ジフェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルトリアジニル基、ビフェニリルトリアジニル基、ジフェニルトリアジニル基、フェニルジベンゾフラニル基、及びフェニルジベンゾチオフェニル基等である。
【0065】
本明細書において、カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0066】
【化7】
【0067】
本明細書において、(9-フェニル)カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0068】
【化8】
【0069】
前記一般式(TEMP-Cz1)~(TEMP-Cz9)中、*は、結合部位を表す。
【0070】
本明細書において、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0071】
【化9】
【0072】
前記一般式(TEMP-34)~(TEMP-41)中、*は、結合部位を表す。
【0073】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアルキル基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びt-ブチル基等である。
【0074】
・「置換もしくは無置換のアリーレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリーレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアリーレン基」の具体例(具体例群G12)としては、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0075】
・「置換もしくは無置換の2価の複素環基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の2価の複素環基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換の2価の複素環基」の具体例(具体例群G13)としては、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0076】
・「置換もしくは無置換のアルキレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアルキレン基」の具体例(具体例群G14)としては、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0077】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリーレン基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-42)~(TEMP-68)のいずれかの基である。
【0078】
【化10】
【0079】
【化11】
【0080】
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、Q~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、*は、結合部位を表す。
【0081】
【化12】
【0082】
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、Q~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
式Q及びQ10は、単結合を介して互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、*は、結合部位を表す。
【0083】
【化13】
【0084】
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、Q~Qは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、*は、結合部位を表す。
【0085】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の2価の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-69)~(TEMP-102)のいずれかの基である。
【0086】
【化14】
【0087】
【化15】
【0088】
【化16】
【0089】
前記一般式(TEMP-69)~(TEMP-82)中、Q~Qは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0090】
【化17】
【0091】
【化18】
【0092】
【化19】
【0093】
【化20】
【0094】
前記一般式(TEMP-83)~(TEMP-102)中、Q~Qは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0095】
以上が、「本明細書に記載の置換基」についての説明である。
【0096】
・「結合して環を形成する場合」
本明細書において、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず」という場合は、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合しない」場合と、を意味する。
本明細書における、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(以下、これらの場合をまとめて「結合して環を形成する場合」と称する場合がある。)について、以下、説明する。母骨格がアントラセン環である下記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物の場合を例として説明する。
【0097】
【化21】
【0098】
例えば、R921~R930のうちの「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、環を形成する」場合において、1組となる隣接する2つからなる組とは、R921とR922との組、R922とR923との組、R923とR924との組、R924とR930との組、R930とR925との組、R925とR926との組、R926とR927との組、R927とR928との組、R928とR929との組、並びにR929とR921との組である。
【0099】
上記「1組以上」とは、上記隣接する2つ以上からなる組の2組以上が同時に環を形成してもよいことを意味する。例えば、R921とR922とが互いに結合して環Qを形成し、同時にR925とR926とが互いに結合して環Qを形成した場合は、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-104)で表される。
【0100】
【化22】
【0101】
「隣接する2つ以上からなる組」が環を形成する場合とは、前述の例のように隣接する「2つ」からなる組が結合する場合だけではなく、隣接する「3つ以上」からなる組が結合する場合も含む。例えば、R921とR922とが互いに結合して環Qを形成し、かつ、R922とR923とが互いに結合して環Qを形成し、互いに隣接する3つ(R921、R922及びR923)からなる組が互いに結合して環を形成して、アントラセン母骨格に縮合する場合を意味し、この場合、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-105)で表される。下記一般式(TEMP-105)において、環Q及び環Qは、R922を共有する。
【0102】
【化23】
【0103】
形成される「単環」、又は「縮合環」は、形成された環のみの構造として、飽和の環であっても不飽和の環であってもよい。「隣接する2つからなる組の1組」が「単環」、又は「縮合環」を形成する場合であっても、当該「単環」、又は「縮合環」は、飽和の環、又は不飽和の環を形成することができる。例えば、前記一般式(TEMP-104)において形成された環Q及び環Qは、それぞれ、「単環」又は「縮合環」である。また、前記一般式(TEMP-105)において形成された環Q、及び環Qは、「縮合環」である。前記一般式(TEMP-105)の環Qと環Qとは、環Qと環Qとが縮合することによって縮合環となっている。前記一般式(TMEP-104)の環Qがベンゼン環であれば、環Qは、単環である。前記一般式(TMEP-104)の環Qがナフタレン環であれば、環Qは、縮合環である。
【0104】
「不飽和の環」には、芳香族炭化水素環、芳香族複素環の他、環構造中に不飽和結合、即ち、二重結合及び/又は三重結合を有する脂肪族炭化水素環(例えば、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン等)、及び不飽和結合を有する非芳香族複素環(例えば、ジヒドロピラン、イミダゾリン、ピラゾリン、キノリジン、インドリン、イソインドリン等)が含まれる。「飽和の環」には、不飽和結合を有しない脂肪族炭化水素環、又は不飽和結合を有しない非芳香族複素環が含まれる。
芳香族炭化水素環の具体例としては、具体例群G1において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
芳香族複素環の具体例としては、具体例群G2において具体例として挙げられた芳香族複素環基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
脂肪族炭化水素環の具体例としては、具体例群G6において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
「環を形成する」とは、母骨格の複数の原子のみ、あるいは母骨格の複数の原子とさらに1以上の任意の原子で環を形成することを意味する。例えば、前記一般式(TEMP-104)に示す、R921とR922とが互いに結合して形成された環Qは、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、1以上の任意の原子とで形成する環を意味する。具体例としては、R921とR922とで環Qを形成する場合において、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922とが結合するアントラセン骨格の炭素原子と、4つの炭素原子とで単環の不飽和の環を形成する場合、R921とR922とで形成する環は、ベンゼン環である。
【0105】
ここで、「任意の原子」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子である。任意の原子において(例えば、炭素原子、又は窒素原子の場合)、環を形成しない結合は、水素原子等で終端されてもよいし、後述する「任意の置換基」で置換されてもよい。炭素原子以外の任意の原子を含む場合、形成される環は複素環である。
単環または縮合環を構成する「1以上の任意の原子」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは2個以上15個以下であり、より好ましくは3個以上12個以下であり、さらに好ましくは3個以上5個以下である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」、及び「縮合環」のうち、好ましくは「単環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「飽和の環」、及び「不飽和の環」のうち、好ましくは「不飽和の環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」は、好ましくはベンゼン環である。
本明細書に別途記載のない限り、「不飽和の環」は、好ましくはベンゼン環である。
「隣接する2つ以上からなる組の1組以上」が、「互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、又は「互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、母骨格の複数の原子と、1個以上15個以下の炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子とからなる置換もしくは無置換の「不飽和の環」を形成する。
【0106】
上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
上記の「飽和の環」、又は「不飽和の環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
以上が、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(「結合して環を形成する場合」)についての説明である。
【0107】
・「置換もしくは無置換の」という場合の置換基
本明細書における一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基(本明細書において、「任意の置換基」と呼ぶことがある。)は、例えば、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
無置換の環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基等であり、
ここで、R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
901が2個以上存在する場合、2個以上のR901は、互いに同一であるか、又は異なり、
902が2個以上存在する場合、2個以上のR902は、互いに同一であるか、又は異なり、
903が2個以上存在する場合、2個以上のR903は、互いに同一であるか、又は異なり、
904が2個以上存在する場合、2個以上のR904は、互いに同一であるか、又は異なり、
905が2個以上存在する場合、2個以上のR905は、互いに同一であるか、又は異なり、
906が2個以上存在する場合、2個以上のR906は、互いに同一であるか、又は異なり、
907が2個以上存在する場合、2個以上のR907は、互いに同一であるか又は異なる。
【0108】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~50のアルキル基、
環形成炭素数6~50のアリール基、及び
環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0109】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~18のアルキル基、
環形成炭素数6~18のアリール基、及び
環形成原子数5~18の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0110】
上記任意の置換基の各基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基の具体例である。
【0111】
本明細書において別途記載のない限り、隣接する任意の置換基同士で、「飽和の環」、又は「不飽和の環」を形成してもよく、好ましくは、置換もしくは無置換の飽和の5員環、置換もしくは無置換の飽和の6員環、置換もしくは無置換の不飽和の5員環、又は置換もしくは無置換の不飽和の6員環を形成し、より好ましくは、ベンゼン環を形成する。
本明細書において別途記載のない限り、任意の置換基は、さらに置換基を有してもよい。任意の置換基がさらに有する置換基としては、上記任意の置換基と同様である。
【0112】
本明細書において、「AA~BB」を用いて表される数値範囲は、「AA~BB」の前に記載される数値AAを下限値とし、「AA~BB」の後に記載される数値BBを上限値として含む範囲を意味する。
【0113】
[新規な化合物]
本発明の一態様に係る化合物は、下記式(1)で表される。
【化24】
[式(1)中、
~Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
及びLは、それぞれ独立に、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基である。
Arは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
Arは、下記式(11)~(13)のいずれかで表される基である。
【化25】
(式(11)中、
111~R120のうち1つは、単結合によりLと結合する。
前記Lと結合しないR111~R120のうち少なくとも2つは、置換基Qである。
前記Lと結合せず、前記置換基QではないR111~R120は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
式(12)中、
121~R130のうち1つは、単結合によりLと結合する。
前記Lと結合しないR121~R130のうち少なくとも2つは、置換基Qである。
前記Lと結合せず、前記置換基QではないR121~R130は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
式(13)中、
131~R140のうち1つは、単結合によりLと結合する。
前記Lと結合しないR131~R140のうち少なくとも2つは、置換基Qである。
前記Lと結合せず、前記置換基QではないR131~R140は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
置換基Qは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
置換基Qが2以上存在する場合、2以上の置換基Qは同一であってもよいし、異なってもよい。)
置換基Rは、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907
(ここで、R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基である。R901~R907が2個以上存在する場合、2個以上のR901~R907のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の1価の複素環基
からなる群から選択される。
置換基Rが2以上存在する場合、2以上の置換基Rは同一であってもよいし、異なってもよい。]
【0114】
本発明の一態様に係る化合物は、上述した式(1)の定義から分かる通り、Ar上に、少なくとも2つの置換基Qを有する。これにより、アントラセン骨格から、L、Ar、及び2つの置換基Qにわたる共役系の広がりが確保され、ラジカルに対する化合物の安定性が向上し、キャリア耐性が高くなる。
【0115】
本発明の一態様に係る化合物を用いれば、長寿命の有機EL素子を製造することができる。
【0116】
式(1)において、Lが単結合であり、Arが式(11)で表される基である場合、式(11)におけるR111~R120のうち1つは、アントラセン骨格に直接結合する。
【0117】
式(1)において、Lが単結合であり、Arが式(12)で表される基である場合、式(12)におけるR121~R130のうち1つは、アントラセン骨格に直接結合する。
【0118】
式(1)において、Lが単結合であり、Arが式(13)で表される基である場合、式(13)におけるR131~R140のうち1つは、アントラセン骨格に直接結合する。
【0119】
一実施形態において、置換基Qが有する水素原子のうち少なくとも1つは、重水素原子である。
【0120】
一実施形態において、Arは、
前記式(11)で表される基であり、
111~R114のうち1つは、単結合によりLと結合する。
【0121】
一実施形態において、Arは、
前記式(12)で表される基であり、
121~R124のうち1つは、単結合によりLと結合する。
【0122】
一実施形態において、Arは、
前記式(13)で表される基であり、
131~R134のうち1つは、単結合によりLと結合する。
【0123】
一実施形態において、Arは、下記式(22)又は(23)のいずれかで表される基である。
【化26】
[式(22)中、
221~R224のうち1つは、単結合によりLと結合する。
225~R230のうち少なくとも1つ、及びLと結合しないR221~R224のうち少なくとも1つは、置換基Qである。
前記置換基QではないR225~R230、及びLと結合せず、前記置換基QではないR221~R224は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
式(23)中、
231~R234のうち1つは、単結合によりLと結合する。
235~R240のうち少なくとも1つ、及びLと結合しないR231~R234のうち少なくとも1つは、置換基Qである。
前記置換基QではないR235~R240、及びLと結合せず、前記置換基QではないR231~R234は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
置換基Q及び置換基Rは、前記式(1)で定義した通りである。]
【0124】
一実施形態において、Lは、単結合である。
【0125】
一実施形態において、Lは、単結合である。
【0126】
一実施形態において、Arは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリール基である。
【0127】
一実施形態において、Arは、
置換もしくは無置換のフェニル基、又は
置換もしくは無置換のビフェニル基である。
【0128】
一実施形態において、R~Rは、水素原子である。
【0129】
一実施形態において、前記式(1)で表される化合物は、下記式(1-1)で表される化合物である。
【化27】
[式(1-1)中、R11~R15は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
321~R322及びR324のうち少なくとも1つ、並びにR325~R330のうち少なくとも1つは、置換基Qである。
前記置換基QではないR321~R322及びR324~R330は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基Rである。
置換基Q及び置換基Rは、前記式(1)で定義した通りである。]
【0130】
一実施形態において、水素原子であるR11~R15及び置換基RであるR11~R15が有する水素原子のうち少なくとも1つは、重水素原子である。
【0131】
一実施形態において、水素原子であるR321~R322及びR324~R230、並びに置換基RであるR321~R322及びR324~R230が有する水素原子は、重水素原子である。
【0132】
一実施形態において、置換基Qは、
置換もしくは無置換のフェニル基、又は
置換もしくは無置換のナフチル基である。
【0133】
一実施形態において、置換基Qは、
置換もしくは無置換のフェニル基である。
【0134】
一実施形態において、式(1)で表される化合物における、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基は、炭素数1~50のアルキル基、炭素数1~50のハロアルキル基、炭素数2~50のアルケニル基、炭素数2~50のアルキニル基、環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、炭素数1~50のアルコキシ基、炭素数1~50のアルキルチオ基、環形成炭素数6~50のアリールオキシ基、環形成炭素数6~50のアリールチオ基、炭素数7~50のアラルキル基、-Si(R41)(R42)(R43)、-C(=O)R44、-COOR45、-S(=O)46、-P(=O)(R47)(R48)、-Ge(R49)(R50)(R51)、-N(R52)(R53)(ここで、R41~R53は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~50のアルキル基、環形成炭素数6~50のアリール基、又は環形成原子数5~50の1価の複素環基である。R41~R53が2以上存在する場合、2以上のR41~R53のそれぞれは同一でもよく、異なっていてもよい。)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、環形成炭素数6~50のアリール基、及び環形成原子数5~50の1価の複素環基からなる群から選択される。
【0135】
一実施形態においては、式(1)で表される化合物における、「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、炭素数1~50のアルキル基、環形成炭素数6~50のアリール基、及び環形成原子数5~50の1価の複素環基である。
【0136】
一実施形態においては、式(1)で表される化合物における、「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、炭素数1~30のアルキル基、環形成炭素数6~30のアリール基、及び環形成原子数5~30の1価の複素環基からなる群から選択される。
【0137】
一実施形態においては、式(1)で表される化合物における、「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、炭素数1~18のアルキル基、環形成炭素数6~18のアリール基、及び環形成原子数5~18の1価の複素環基からなる群から選択される。
【0138】
式(1)で表される化合物の各置換基、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基及びハロゲン原子の具体例は、それぞれ前述したものと同様である。
【0139】
式(1)で表される化合物は、実施例に倣い、目的物に合わせた既知の代替反応や原料を用いることで合成することができる。
【0140】
以下に、式(1)で表される化合物の具体例を記載するが、これらは例示に過ぎず、式(1)で表される化合物は下記具体例に限定されるものではない。
【0141】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【0142】
[有機EL素子用材料]
本発明の一態様に係る化合物は、有機EL素子用材料として有用であり、有機EL素子の発光層の材料として有用であり、特に、発光層のホスト材料として有用である。
本発明の一態様に係る化合物を有機EL素子の発光層で用いることにより、長寿命な有機EL素子を得ることが可能となる。
【0143】
[有機EL素子]
本発明の一態様に係る有機EL素子は、陰極と、陽極と、前記陰極及び前記陽極の間に配置された1以上の有機層と、を有し、前記1以上の有機層のうちの少なくとも1つの層が、前記式(1)で表される化合物を含む。
【0144】
本発明の一態様に係る有機EL素子は、陰極と、陽極と、前記陰極及び前記陽極の間に配置された1以上の発光層と、を有し、前記1以上の発光層のうちの少なくとも1つの層が、前記式(1)で表される化合物を含む。
【0145】
本発明の一態様の有機EL素子の概略構成を、図1を参照して説明する。
本発明の一態様に係る有機EL素子1は、基板2と、陽極3と、有機層である発光層5と、陰極10と、陽極3と発光層5との間にある有機層4と、発光層5と陰極10との間にある有機層6とを有する。
有機層4及び有機層6は、それぞれ、単一の層であってもよく、又は、複数の層からなっていてもよい。
また、有機層4は、正孔輸送帯域を含んでいてもよい。正孔輸送帯域は、正孔注入層、正孔輸送層、電子障壁層等を含んでいてもよい。有機層6は、電子輸送帯域を含んでいてもよい。電子輸送帯域は、電子注入層、電子輸送層、正孔障壁層等を含んでいてもよい。
本発明の一態様に係る化合物(式(1)で表される化合物)は、有機層4、発光層5又は有機層6に含まれる。一実施形態においては、本発明の一態様に係る化合物は発光層5に含まれる。
式(1)で表される化合物が発光層に含まれる場合、一実施形態においては、式(1)で表される化合物を、ホスト材料として用いる。式(1)で表される化合物を発光層のホスト材料として用いる場合、これと組み合わせるドーパント材料(ゲスト材料)は特に限定されない。
【0146】
本発明の一態様に係る有機EL素子は、前記1以上の発光層のうちの少なくとも1つの層が、式(1)で表される化合物と、ドーパント材料と、を含有する以外は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、従来公知の材料、素子構成を適用することができる。
【0147】
本発明の有機EL素子の代表的な素子構成としては、
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(5)陽極/有機半導体層/発光層/陰極
(6)陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
(7)陽極/有機半導体層/発光層/付着改善層/陰極
(8)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(9)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(10)陽極/無機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(11)陽極/有機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(12)陽極/絶縁層/正孔注入・輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(13)陽極/絶縁層/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
等の構造を挙げることができる。
上記の中で(8)の構成が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0148】
本明細書中で「正孔注入・輸送層」は「正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくともいずれか一方」を意味し、「電子注入・輸送層」は「電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくともいずれか一方」を意味する。
【0149】
以下、本発明の一態様に係る有機EL素子で用いることができる部材、及び各層を構成する、上記化合物以外の材料等について説明する。
【0150】
(基板)
基板は、発光素子の支持体として用いられる。基板としては、例えば、ガラス、石英、プラスチック等を用いることができる。また、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルからなるプラスチック基板等が挙げられる。
【0151】
(陽極)
基板上に形成される陽極には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム-酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、及びグラフェン等が挙げられる。この他、金(Au)、白金(Pt)、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0152】
(正孔注入層)
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、芳香族アミン化合物、又は高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)等も使用できる。
【0153】
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層には、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体等を使用する事ができる。ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。尚、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0154】
(発光層のゲスト(ドーパント)材料)
発光層は、発光性の高い物質を含む層であり、種々の材料を用いることができる。例えば、発光性の高い物質としては、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。蛍光性化合物は一重項励起状態から発光可能な化合物であり、燐光性化合物は三重項励起状態から発光可能な化合物である。
発光層に用いることができる青色系の蛍光発光材料として、ピレン誘導体、スチリルアミン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、フルオレン誘導体、ジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体等が使用できる。発光層に用いることができる緑色系の蛍光発光材料として、芳香族アミン誘導体等を使用できる。発光層に用いることができる赤色系の蛍光発光材料として、テトラセン誘導体、ジアミン誘導体等が使用できる。
発光層に用いることができる青色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体等の金属錯体が使用される。発光層に用いることができる緑色系の燐光発光材料としてイリジウム錯体等が使用される。発光層に用いることができる赤色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、白金錯体、テルビウム錯体、ユーロピウム錯体等の金属錯体が使用される。
【0155】
(発光層のホスト材料)
発光層としては、上述した発光性の高い物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。発光性の高い物質を分散させるための物質としては、上記で説明した本発明で用いる材料(式(1)で表される化合物)の他、各種のものを用いることができ、発光性の高い物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
発光性の高い物質を分散させるための物質(ホスト材料)としては、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、若しくは亜鉛錯体等の金属錯体、2)オキサジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、若しくはフェナントロリン誘導体等の複素環化合物、3)カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、若しくはクリセン誘導体等の縮合芳香族化合物、4)トリアリールアミン誘導体、若しくは縮合多環芳香族アミン誘導体等の芳香族アミン化合物が使用される。
また、ホスト材料として遅延蛍光性(熱活性化遅延蛍光性)の化合物を用いることもできる。発光層が、上記で説明した本発明で用いる材料と、遅延蛍光性のホスト化合物と、を含むことも好ましい。
【0156】
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層には、1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、3)高分子化合物を使用することができる。
【0157】
(電子注入層)
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、リチウム(Li)、イッテルビウム(Yb)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、8-ヒドロキシキノリノラト-リチウム(Liq)等の金属錯体化合物、リチウム酸化物(LiO)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。
【0158】
(陰極)
陰極には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素、即ち、リチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、及びマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属及びこれらを含む合金等が挙げられる。
陰極は、通常、真空蒸着法やスパッタリング法で形成される。また、銀ペースト等を用いる場合は、塗布法やインクジェット法等を用いることができる。
【0159】
また、電子注入層が設けられる場合、仕事関数の大小に関わらず、アルミニウム、銀、ITO、グラフェン、ケイ素もしくは酸化ケイ素を含有する酸化インジウム-酸化スズ等、種々の導電性材料を用いて陰極を形成することができる。
【0160】
(電子阻止層、正孔阻止層、励起子阻止層)
発光層に隣接して、電子阻止層、正孔阻止層、励起子(トリプレット)阻止層等を設けてもよい。
電子阻止層とは、発光層から正孔輸送層へ電子が漏出することを阻止する機能を有する層である。正孔阻止層とは、発光層から電子輸送層へ正孔が漏出することを阻止する機能を有する層である。励起子阻止層は、発光層で生成した励起子が隣接する層へ拡散することを阻止し、励起子を発光層内に閉じ込める機能を有する層である。
【0161】
本発明の一態様に係る有機EL素子において、各層の膜厚は特に制限されないが、一般にピンホール等の欠陥を抑制し、印加電圧を低く抑え、発光効率をよくするため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
【0162】
本発明の一態様に係る有機EL素子において、各層の形成方法は特に限定されない。従来公知の真空蒸着法、スピンコーティング法等による形成方法を用いることができる。発光層等の各層は、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)あるいは溶媒に溶かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法による公知の方法で形成することができる。
【0163】
[電子機器]
本発明の一態様に係る電子機器は、本発明の一態様に係る有機EL素子を備えることを特徴とする。
電子機器の具体例としては、有機ELパネルモジュール等の表示部品、テレビ、携帯電話、又はパーソナルコンピュータ等の表示装置、及び、照明、又は車両用灯具等の発光装置等が挙げられる。
【実施例0164】
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
【0165】
<化合物>
実施例1~2で用いた式(1)で表される化合物を以下に示す。
【化36】
【0166】
比較例1で用いた化合物を以下に示す。
【化37】
【0167】
実施例及び比較例で用いた化合物を以下に示す。
【化38】
【0168】
実施例1
<有機EL素子の作製>
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック株式会社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極が形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HI-1を蒸着し、膜厚5nmの化合物HI-1膜を形成した。このHI-1膜は、正孔注入層として機能する。
【0169】
このHI-1膜の成膜に続けて化合物HT-1を蒸着し、HI-1膜上に膜厚80nmのHT-1膜を成膜した。このHT-1膜は第1の正孔輸送層として機能する。
HT-1膜の成膜に続けて化合物EBL-1を蒸着し、HT-1膜上に膜厚10nmのEBL-1膜を成膜した。このEBL-1膜は第2の正孔輸送層として機能する。
EBL-1膜上にBH-1(ホスト材料)及びBD-1(ドーパント材料)を化合物BD-1の割合(重量比)が2%となるように共蒸着し、膜厚25nmの発光層を成膜した。
【0170】
この発光層上に化合物HBL-1を蒸着し、膜厚10nmの電子輸送層を形成した。この電子輸送層上に電子注入材料である化合物ET-1を蒸着して、膜厚15nmの電子注入層を形成した。この電子注入層上にLiFを蒸着して、膜厚1nmのLiF膜を形成した。このLiF膜上に金属Alを蒸着して、膜厚80nmの金属陰極を形成した。
【0171】
実施例1の有機EL素子の素子構成を略式的に示すと、次の通りである。
ITO(130)/HI-1(5)/HT-1(80)/EBL-1(10)/BH-1:BD-1(25:2%)/HBL-1(10)/ET-1(15)/LiF(1)/Al(80)
括弧内の数字は膜厚(単位:nm)を表す。
【0172】
<有機EL素子の評価>
(素子寿命)
得られた有機EL素子について、室温下、電流密度が50mA/cmとなるように有機EL素子に電圧を印加し、初期輝度に対して輝度が95%となるまでの時間(LT95(単位:時間))を測定した。尚、表中の数値は、後述の比較例1を100%とした場合の相対値である。
【0173】
実施例2
発光層のホスト材料として表1に記載の化合物を用いた以外は実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0174】
比較例1
発光層のホスト材料としてBD-Refを用いた以外は実施例1と同じ方法で有機EL素子を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0175】
【表1】
【0176】
<化合物の合成>
BH-1の合成
下記合成経路で、化合物BH-1を合成した。
【化39】
【0177】
・中間体1-Bの合成
アルゴン雰囲気下、1-A:6.4g(36.5mmol)、ジクロロメタン:182mlをフラスコに仕込み、溶液を0℃まで冷却した後に、ピリジン:3.4ml(43.8mmol)を系中に滴下し、その後トリフルオロメタンスルホン酸無水物:7.18ml(43.8mmol)を系中に滴下し、そのまま1時間攪拌した。
室温(25℃)に戻しながらさらに6時間攪拌した後、反応溶液に氷水を加えた。よく攪拌した後、水相を除去し、残った有機相を濃縮、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色固体9.3g(収率83%)を得た。
【0178】
・中間体1-Dの合成
アルゴン雰囲気下、1-B:9.3g(30mmol)、1-C:8.1g(33mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):1.2g(1.0mmol)、炭酸ナトリウム:9.5g(90mmol)、1,2-ジメトキシエタン:120ml、精製水:30mlをフラスコに仕込み、80℃で8時間加熱攪拌した。
室温(25℃)まで冷却後、反応溶液を濃縮し、トルエン:500mlを加えた。得られた溶液をよく攪拌した後、水相を除去した。残った有機相を濃縮、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色固体5.1g(収率72%)を得た。
【0179】
・中間体1-Eの合成
アルゴン雰囲気下、1-D:5.1g(21.8mmol)、テトラヒドロフラン:120mlをフラスコに仕込み、-60℃まで冷却した後に、n-ブチルリチウム,n-ヘキサン溶液(1.6M):15.2ml(24.0mmol)を加えた。室温に戻した後、1時間攪拌した後、再度-60℃まで冷却した。ホウ酸トリイソプロピル:4.4ml(32.0mmol)を加え、室温(25℃)に戻しながら6時間攪拌した後、1M塩酸を100ml加えさらに6時間攪拌した。よく攪拌した後、水相を除去し、残った有機相を濃縮し析出した固体をろ取し、白色固体3.7g(収率47%)を得た。
【0180】
・1-Gの合成
中間体1-Dの合成において、1-B、1-Cの代わりに、1-E、1-Fを用いた以外は同様の方法で合成し、白色固体5.9g(収率61%)を得た。
【0181】
・中間体1-Hの合成
アルゴン雰囲気下、1-G:5.9g(13.2mmol)、ジクロロメタン:40mlをフラスコに仕込み、溶液を0℃まで冷却した後に、三臭化ホウ素の1Mジクロロメタン溶液:50ml(50mmol)を系中に滴下し、そのまま1時間攪拌した。
室温(25℃)に戻しながらさらに6時間攪拌した後、反応溶液に氷水を加えた。よく攪拌した後、水相を除去し、残った有機相を濃縮、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色固体3.9g(収率72%)を得た。
【0182】
・中間体1-Iの合成
アルゴン雰囲気下、1-H:3.9g(9.5mmol)、トルエン:320mlをフラスコに仕込み、溶液を100℃まで加熱した後に、パラトルエンスルホン酸一水和物:0.72g(3.8mmol)を系中に滴下し、そのまま6時間攪拌した。
室温(25℃)まで冷却後、反応溶液を濃縮し、得られた反応溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色固体2.8g(収率77%)を得た。
【0183】
・1-Kの合成
中間体1-Dの合成において、1-B、1-Cの代わりに、1-I、1-Jを用いた以外は同様の方法で合成し、淡黄色固体2.7g(収率54%)を得た。
【0184】
・1-Lの合成
中間体1-Bの合成において、1-Aの代わりに、1-Kを用いた以外は同様の方法で合成し、淡黄色固体1.9g(68%)を得た。
【0185】
・BH-1の合成
中間体1-Dの合成において、1-Bの代わりに、1-Lを用いた以外は同様の方法で合成し、淡黄色固体0.69g(39%)を得た。
【0186】
BH-2の合成
下記合成経路で、化合物BH-2を合成した。
【化40】
【0187】
・中間体1-D′の合成
中間体1-Dの合成において、1-Cの代わりに、1-C′を用いた以外は同様の方法で合成し、白色固体6.2g(収率70%)を得た。
【0188】
・中間体1-E′の合成
中間体1-Eの合成において、1-Dの代わりに、1-D′を用いた以外は同様の方法で合成し、白色固体3.7g(収率50%)を得た。
【0189】
・中間体1-G′の合成
中間体1-Dの合成において、1-B、1-Cの代わりに、1-E′、1-Fを用いた以外は同様の方法で合成し、白色固体3.6g(収率61%)を得た。
【0190】
・中間体1-H′の合成
中間体1-Hの合成において、1-Gの代わりに、1-G′を用いた以外は同様の方法で合成し、白色固体2.5g(収率78%)を得た。
【0191】
・中間体1-I′の合成
中間体1-Iの合成において、1-Hの代わりに、1-H′を用いた以外は同様の方法で合成し、白色固体1.7g(収率69%)を得た。
【0192】
・中間体1-K′の合成
中間体1-Dの合成において、1-B、1-Cの代わりに、1-I′、1-Jを用いた以外は同様の方法で合成し、淡黄色固体1.5g(収率61%)を得た。
【0193】
・中間体1-L′の合成
中間体1-Bの合成において、1-Aの代わりに、1-K′を用いた以外は同様の方法で合成し、淡黄色固体1.3g(71%)を得た。
【0194】
・BH-2の合成
中間体1-Dの合成において、1-Bの代わりに、1-L′を用いた以外は同様の方法で合成し、淡黄色固体0.44g(38%)を得た。

図1