IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日清製粉グループ本社の特許一覧

特開2022-160713ピックアップ装置及びピックアップ方法
<>
  • 特開-ピックアップ装置及びピックアップ方法 図1
  • 特開-ピックアップ装置及びピックアップ方法 図2
  • 特開-ピックアップ装置及びピックアップ方法 図3
  • 特開-ピックアップ装置及びピックアップ方法 図4
  • 特開-ピックアップ装置及びピックアップ方法 図5
  • 特開-ピックアップ装置及びピックアップ方法 図6
  • 特開-ピックアップ装置及びピックアップ方法 図7
  • 特開-ピックアップ装置及びピックアップ方法 図8
  • 特開-ピックアップ装置及びピックアップ方法 図9
  • 特開-ピックアップ装置及びピックアップ方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160713
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】ピックアップ装置及びピックアップ方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065054
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】森本 隆之
(72)【発明者】
【氏名】尾身 元
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS04
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET00
3C707ET08
3C707EV21
3C707NS02
(57)【要約】
【課題】 ワークを自動でピックアップし、省人化を実現することができるピックアップ装置を提供する。
【解決手段】 ワークをピックアップするピックアップ装置であって、前記ワークを支持及び把持する支持爪と、前記ワークを前記支持爪に案内する案内爪と、前記支持爪に支持された前記ワークを前記支持爪と把持する把持爪と、前記案内爪を前記支持爪に向かって移動させる第1アクチュエーターと、前記把持爪を昇降させる第2アクチュエーターと、前記把持爪を前記支持爪に向かって移動させる第3アクチュエーターと、を備え、前記把持爪は、前記ワークを把持する際に、前記支持爪からみて前記案内爪より離れた位置において前記ワークの上方から下降し、前記支持爪からみて前記案内爪より離れた位置から前記支持爪に向かって移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをピックアップするピックアップ装置であって、
前記ワークを支持及び把持する支持爪と、
前記ワークを前記支持爪に案内する案内爪と、
前記支持爪に支持された前記ワークを前記支持爪と把持する把持爪と、
前記案内爪を前記支持爪に向かって移動させる第1アクチュエーターと、
前記把持爪を昇降させる第2アクチュエーターと、
前記把持爪を前記支持爪に向かって移動させる第3アクチュエーターと、を備え、
前記把持爪は、前記ワークを把持する際に、前記支持爪からみて前記案内爪より離れた位置において前記ワークの上方から下降し、前記支持爪からみて前記案内爪より離れた位置から前記支持爪に向かって移動するピックアップ装置。
【請求項2】
前記把持爪は、前記案内爪が前記把持爪の可動域を干渉しない形状である請求項1記載のピックアップ装置。
【請求項3】
他のワークと共に立てて載置される平板状の前記ワークをピックアップする請求項1または請求項2記載のピックアップ装置。
【請求項4】
前記ワークは、損傷を受けやすい請求項1~請求項3の何れか一項に記載にピックアップ装置。
【請求項5】
前記ワークは、食品である請求項1~請求項4の何れか一項に記載のピックアップ装置。
【請求項6】
前記ワークは、揚げ物である請求項5記載のピックアップ装置。
【請求項7】
前記ワークは、カツである請求項6記載のピックアップ装置。
【請求項8】
ワークをピックアップするピックアップ方法であって、
ロボットアームによりピックアップ装置を前記ワークの近傍に移動させ、前記ピックアップ装置の案内爪を前記ワークに当てる移動ステップと、
前記ピックアップ装置の支持爪に向かって前記案内爪を移動させることにより前記ワークを前記支持爪に案内し、前記支持爪により前記ワークを支持する支持ステップと、
前記支持爪により前記ワークを支持させることにより生じた隙間に前記ピックアップ装置の把持爪を前記ワークの上方から下降させることにより挿入する挿入ステップと、
前記把持爪を前記支持爪からみて前記案内爪より離れた位置から前記支持爪に向かって移動させ、前記支持爪及び前記把持爪により前記ワークを把持する把持ステップと、
を含むピックアップ方法。
【請求項9】
他のワークと共に立てて載置される平板状の前記ワークをピックアップする請求項8記載のピックアップ方法。
【請求項10】
前記移動ステップは、前記案内爪を前記ワークの上端部に当て、
前記支持ステップは、前記ワークの下端部を軸として前記ワークを回動させることにより前記ワークを前記支持爪に案内する請求項8または請求項9記載のピックアップ方法。
【請求項11】
前記ワークは、損傷を受けやすい請求項8~請求項10の何れか一項に記載にピックアップ方法。
【請求項12】
前記ワークは、食品である請求項8~請求項11の何れか一項に記載のピックアップ方法。
【請求項13】
前記ワークは、揚げ物である請求項12記載のピックアップ方法。
【請求項14】
前記ワークは、カツである請求項13記載のピックアップ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークをピックアップするピックアップ装置及び該ピックアップ装置を用いたピックアップ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
持ち帰り弁当や惣菜等の中食を製造する製造工場において、惣菜を容器に詰める作業等は主に人手により行われている。しかし、このような製造工場では、労働人口の減少により人手不足が顕著となっており、製造工程の自動化が望まれている。
【0003】
例えば特許文献1には、自立したおにぎりの前面または後面を支える支持部材及びおにぎりの両側を挟む一対の保持部材を備え、ベルトコンベアにより搬送されてきた複数のおにぎりを支持部材及び一対の保持部材により保持及びピックアップし、ベルトコンベアからトレイに移載する保持装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-34825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、惣菜の中でもトンカツ等の揚げ物は、揚げて油切りする際、潰れや油移りを防止するために番重と呼ばれるトレイ内に立てた状態で載置される。その後、人がトレイからスライサーへ移載し、トンカツはスライサーによりカットされる。この移載する作業についても自動化が望まれているが、トレイ内に立てて重ねた状態で載置される不定形のトンカツを、衣を剥がすことなく一枚ずつ掴み、スライサーの台上に移載する作業の自動化、即ち省人化は困難であった。例えば、吸着方式によりトンカツを掴むと衣が剥がれ、グリップ方式によりトンカツを掴もうとするとトレイ内のトンカツとトンカツとの隙間にトンカツを掴む部材をうまく挿入させることができず、挿入させることができたとしてもトンカツが損傷するなどの問題があった。
【0006】
本発明の目的は、トンカツ等のワークを自動でピックアップし、省人化を実現することができるピックアップ装置及び該ピックアップ装置を用いたピックアップ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のピックアップ装置は、ワークをピックアップするピックアップ装置であって、前記ワークを支持及び把持する支持爪と、前記ワークを前記支持爪に案内する案内爪と、前記支持爪に支持された前記ワークを前記支持爪と把持する把持爪と、前記案内爪を前記支持爪に向かって移動させる第1アクチュエーターと、前記把持爪を昇降させる第2アクチュエーターと、前記把持爪を前記支持爪に向かって移動させる第3アクチュエーターと、を備え、前記把持爪は、前記ワークを把持する際に、前記支持爪からみて前記案内爪より離れた位置において前記ワークの上方から下降し、前記支持爪からみて前記案内爪より離れた位置から前記支持爪に向かって移動することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のピックアップ装置の前記把持爪は、前記案内爪が前記把持爪の可動域を干渉しない形状であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のピックアップ装置は、他のワークと共に立てて載置される平板状の前記ワークをピックアップすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のピックアップ装置は、前記ワークが損傷を受けやすいことを特徴とする。また、前記ワークが食品であることを特徴とする。また、前記ワークが揚げ物であることを特徴とする。また、前記ワークがカツであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のピックアップ方法は、ワークをピックアップするピックアップ方法であって、ロボットアームによりピックアップ装置を前記ワークの近傍に移動させ、前記ピックアップ装置の案内爪を前記ワークに当てる移動ステップと、前記ピックアップ装置の支持爪に向かって前記案内爪を移動させることにより前記ワークを前記支持爪に案内し、前記支持爪により前記ワークを支持する支持ステップと、前記支持爪により前記ワークを支持させることにより生じた隙間に前記ピックアップ装置の把持爪を前記ワークの上方から下降させることにより挿入する挿入ステップと、前記把持爪を前記支持爪からみて前記案内爪より離れた位置から前記支持爪に向かって移動させ、前記支持爪及び前記把持爪により前記ワークを把持する把持ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のピックアップ方法は、他のワークと共に立てて載置される平板状の前記ワークをピックアップすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のピックアップ方法は、前記移動ステップが前記案内爪を前記ワークの上端部に当て、前記支持ステップが前記ワークの下端部を軸として前記ワークを回動させることにより前記ワークを前記支持爪に案内することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のピックアップ方法は、前記ワークが損傷を受けやすいことを特徴とする。また、前記ワークが食品であることを特徴とする。また、前記ワークが揚げ物であることを特徴とする。また、前記ワークがカツであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ワークを自動でピックアップし、省人化を実現することができるピックアップ装置及び該ピックアップ装置を用いたピックアップ方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係るピックアップ装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係るピックアップ装置の概略構成を示す斜視図である。
図3】実施の形態に係るピックアップ装置を用いてトンカツをピックアップし、スライサーに移動する際の処理について説明するためのフローチャートである。
図4】実施の形態に係るピックアップ装置における初期待機状態を示す図である。
図5】実施の形態に係る案内爪がトンカツの間に挿入された状態を示す図である。
図6】実施の形態に係る支持爪がトンカツを支持している状態を示す図である。
図7】実施の形態に係る把持爪がトンカツの間に挿入された状態を示す図である。
図8】実施の形態に係る支持爪及び把持爪がトンカツを把持している状態を示す図である。
図9】実施の形態に係るピックアップ装置によりトンカツをピックアップしている状態を示す図である。
図10】他の実施の形態に係る把持爪の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係るピックアップ装置について説明する。図1及び図2は、実施の形態に係るピックアップ装置の概略構成を示す斜視図であって、図1は、ワークをピックアップする前の状態(初期待機状態)を示す図、図2は、ワークをピックアップするときの状態を示す図である。この実施の形態に係るピックアップ装置2は、トレイ4内に載置されているトンカツ6a~6g(図4参照)を1枚ずつ図示しないスライサーに移動するためにピックアップする装置であって、図1及び図2に示すように、支持爪8、案内爪10、把持爪12、第1アクチュエーター14、第2アクチュエーター16及び第3アクチュエーター18を備えている。ピックアップ装置2は、支持爪8の上面8aに図示しないロボットアームが取り付けられているため、ロボットアームを操縦することにより自在に移動可能である。
【0018】
トンカツ6a~6gは平板状であって、潰れや油移りを防止するために、図4に示すようにトレイ4内に立てて載置されている。トレイ4を水平面に対して傾斜させて載置することによりトンカツ6a~6gが倒れることを防止する。
【0019】
支持爪8は、金属等の剛体からなり、ワークであるトンカツ6a~6gを1枚ずつピックアップする際、案内爪10により案内されてきたトンカツ6a~6gのそれぞれを支持する。また、支持爪8は、トンカツ6a~6gのそれぞれを支持した後、把持爪12とトンカツ6a~6gのそれぞれを挟持することによりトンカツ6a~6gのそれぞれを把持する。
【0020】
案内爪10は、金属等の剛体からなり、水平方向に沿う方向に移動可能に構成されている。なお、案内爪10は、金属等の剛体に限らず、ゴムベラのような素材からなるものであってもよい。案内爪10は、トンカツ6a~6gを1枚ずつピックアップする際、トンカツ6a~6gのそれぞれを支持爪8に案内する。また、案内爪10は、トンカツ6a(6b~6g)を案内する際、トンカツ6a(6b~6f)とトンカツ6b(6c~6g)との間に挿入されるかえし部10aを備えている(図5参照)。かえし部10aは、トンカツ6gを案内する際、トンカツ6gとトレイ4の内壁面との間に挿入される。案内爪10は、支持爪8に向かって水平方向に沿う方向に移動し、トンカツ6aの下端部を軸として支持爪8に向かってトンカツ6aを回動させ、支持爪8に案内する(図6参照)。
【0021】
把持爪12は、金属等の剛体からなり、鉛直方向に沿う方向及び水平方向に沿う方向に移動可能に構成されている。把持爪12は、支持爪8に支持されたトンカツ6a(6b~6gのそれぞれ)を支持爪8と把持する。具体的には、把持爪12は、トンカツ6aを把持する際に、トレイ4(トンカツ6a~6g)の上方から下降し、トンカツ6aとトンカツ6bとの間の隙間に挿入される(図7参照)。このとき、把持爪12は、支持爪8からみて案内爪10より離れた位置においてトンカツ6aの上方から下降する。そして、把持爪12は、支持爪8に向かって水平方向に沿う方向に移動し、トンカツ6aを支持爪8に向かって移動させ、トンカツ6aを支持爪8と挟持する(図8参照)。このとき、把持爪12は、支持爪8からみて案内爪10より離れた位置から支持爪8に向かって移動する。
【0022】
ところで、把持爪12は、案内爪10が把持爪12の可動域を干渉しない形状、即ち把持爪12の中央部に開口部12aが設けられている形状である。開口部12aは、把持爪12が支持爪8に向かって水平方向に沿う方向に移動する際、支持爪8及び把持爪12の間に位置する案内爪10が把持爪12と衝突せずに通過することができる形状及び大きさを有している。
【0023】
第1アクチュエーター14は、案内爪10に接続されており、支持爪8に対して案内爪10を水平方向に沿う方向に移動させるために設けられている。即ち、第1アクチュエーター14は、案内爪10を支持爪8に向かって移動させる。また、第1アクチュエーター14は、案内爪10を支持爪8から離れる方向に移動させる。第2アクチュエーター16は、把持爪12に接続されており、支持爪8に対して把持爪12を鉛直方向に沿う方向に昇降させるために設けられている。即ち、第2アクチュエーター16は、把持爪12をトレイ4(トンカツ6a~6g)に向けて下降させる。また、把持爪12をトレイ4から離れる方向に上昇させる。第3アクチュエーター18は、把持爪12に接続されており、支持爪8に対して把持爪12を水平方向に沿う方向に移動させるために設けられている。即ち、第3アクチュエーター18は、把持爪12を支持爪8に向かって移動させる。また、第3アクチュエーター18は、把持爪12を支持爪8から離れる方向に移動させる。
【0024】
次に、図面を参照して、この実施の形態に係るピックアップ装置2を用いたピックアップ方法であって、トンカツ6aをトレイ4からピックアップし、図示しないスライサーへ移動する方法について説明する。図3は、ピックアップ装置2がトンカツ6aをトレイ4からピックアップし、スライサーへ移動するために実行する処理について説明するためのフローチャートである。
【0025】
まず、ピックアップ装置2の各部を統括的に制御する図示しない制御部(以下、単に制御部という。)は、図示しないロボットアームを駆動させることにより、図4に示す初期待機位置に退避しているピックアップ装置2をトンカツ6aの近傍に移動させる。そして、制御部は、案内爪10のかえし部10aをトンカツ6aとトンカツ6bとの間に挿入させる(ステップS10)。図5は、ピックアップ装置2を退避させた位置から移動させることにより、かえし部10aがトンカツ6aとトンカツ6bとの間に挿入された状態を示す図である。
【0026】
次に、制御部は、第1アクチュエーター14を駆動させ、案内爪10を支持爪8に向かって水平方向に沿う方向に移動させる(ステップS11)。案内爪10が移動開始すると、かえし部10aの支持爪8側の面がトンカツ6aの上端部(トンカツ6b側に面の上端部)に当たる。更に案内爪10をトンカツ6aに当てた状態で支持爪8に向かって移動させることによりトンカツ6aを支持爪8に案内する。トンカツ6aの上端部はかえし部10aに押され、トンカツ6aは下端部を軸として支持爪8に向かって回動する。回動したトンカツ6aは、その上端部が支持爪8に当たり、支持爪8により支持される。図6は、案内爪10を支持爪8に向かって移動させることにより、トンカツ6aが回動し、支持爪8に支持された状態を示す図である。図6に示すように、トンカツ6aが回動し、支持爪8によりトンカツ6aを支持させることにより生じたトンカツ6aとトンカツ6bとの間の隙間は、支持爪8に支持される前(図5参照)と比較して大きくなる。
【0027】
次に、制御部は、第2アクチュエーター16を駆動させ、把持爪12を鉛直方向に沿う方向に下降させる。そして、制御部は、把持爪12をトンカツ6aとトンカツ6bとの間に生じた隙間に挿入させる(ステップS12)。図7は、把持爪12がトンカツ6aとトンカツ6bとの間に挿入された状態を示す図である。ステップS11においてトンカツ6aを回動させ、支持爪8に支持させることにより、トンカツ6aとトンカツ6bとの間に十分な隙間を設けることができるため、図7に示すように、把持爪12をトンカツ6aまたは6bを損傷させることなく容易にトンカツ6aとトンカツ6bとの間に挿入させることができる。
【0028】
次に、制御部は、第3アクチュエーター18を駆動させ、把持爪12を支持爪8に向かって水平方向に沿う方向に移動させ、トンカツ6aを支持爪8及び把持爪12で把持させる(ステップS13)。把持爪12が移動開始すると、把持爪12の先端部(下端部)がトンカツ6aの下端部(トンカツ6b側に面の下端部)に当たる。更に把持爪12が支持爪8に向かって移動すると、トンカツ6aの下端部が把持爪12に押され、トンカツ6aの下端部が支持爪8に向かって移動する。更に把持爪12が支持爪8に向かって移動すると、案内爪10が把持爪12の開口部12aを通過し、把持爪12及び案内爪10が衝突することなく(互いに干渉することなく)、トンカツ6aの下端部は支持爪8に向かって移動し続け、トンカツ6aは、支持爪8及び把持爪12により把持される。図8は、トンカツ6aが支持爪8及び把持爪12により把持された状態を示す図である。
【0029】
次に、制御部は、ロボットアームを駆動させることにより、図9に示すように、ピックアップ装置2を移動させる。そして、制御部は、ピックアップ装置2を図示しないスライサーまで移動させる(ステップS14)。制御部は、トンカツ6aの移動を終えると、次にトンカツ6b~6gを1枚ずつ順次トレイ4からスライサーへ移動させるためにステップS10~S14の処理を繰り返す。
【0030】
この実施の形態に係るピックアップ装置2及びピックアップ方法によれば、案内爪10によりトンカツを支持爪8に案内することにより生じるトンカツ間の隙間に把持爪12を挿入するため、損傷を受けやすいトンカツであっても、トンカツを傷つけることなく、トンカツをピックアップすることができる。したがって、トンカツをピックアップする処理の自動化にあたり問題となっていたトンカツの衣の剥がれ等を解消することができ、省人化を実現することができる。
【0031】
なお、この実施の形態においては、ワークとしてトンカツを例に挙げて説明したが、例えばトンカツ以外のカツ(メンチカツやチキンカツ等)、カツ以外のコロッケ等の揚げ物、かまぼこやはんぺん等の練り物、卵焼き、沢庵、ハンバーク等の他の食品または食品以外のワークをピックアップする場合にも本発明を適用することができる。
【0032】
また、この実施の形態においては、把持爪12の中央部に開口部12aが設けられている場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、案内爪10が把持爪12の可動域を干渉しない形状を有する把持爪であればよい。例えば図10に示すようなL字形状部13aを有する把持爪13を用いてもよい。この場合には、把持爪13が支持爪8に向かって水平方向に沿う方向に移動する際、支持爪8及び把持爪13の間に位置する案内爪10がL字形状部13aにより形成される空間に収まるため、案内爪10と把持爪13とが衝突することがない。
【0033】
また、この実施の形態においては、トンカツ6aの下端部を軸としてトンカツ6aを回動させているが、案内爪10のかえし部10aの鉛直方向における長さを調整する等してトンカツ6aを水平方向に沿う方向にスライド移動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
2…ピックアップ装置、4…トレイ、6a~6g…トンカツ、8…支持爪、10…案内爪、10a…かえし部、12,13…把持爪、12a…開口部、13…L字形状部、14…第1アクチュエーター、16…第2アクチュエーター、18…第3アクチュエーター。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10