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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160772
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】ガス混合供給装置
(51)【国際特許分類】
   F27D 7/02 20060101AFI20221013BHJP
   C21B 5/00 20060101ALI20221013BHJP
   F27D 19/00 20060101ALI20221013BHJP
   F27D 7/06 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
F27D7/02 Z
C21B5/00 316
F27D19/00 Z
F27D7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065173
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆
(72)【発明者】
【氏名】仁科 克一
【テーマコード(参考)】
4K012
4K056
4K063
【Fターム(参考)】
4K012BD00
4K056AA12
4K056FA10
4K063AA06
4K063CA03
4K063DA06
4K063DA13
4K063DA17
4K063DA34
(57)【要約】
【課題】酸素雰囲気を形成する酸素を含む混合ガスを供給する装置において、任意な酸素濃度の混合ガスを生成して、焼成炉等の炉内に適切に供給することができるガス混合供給装置を提供する。
【解決手段】本発明は、純酸素と圧縮空気とを混合し、混合ガスを供給するガス混合供給装置であって、純酸素を供給する純酸素供給部11と、圧縮空気を供給する圧縮空気供給部12と、純酸素供給部からの純酸素と圧縮空気供給部からの空気とを混合して混合ガスとする混合部13と、混合ガスを所定の反応器内に供給する混合ガス供給部14と、を備え、混合部13には、純酸素の混合量を調整する純酸素調整弁131と、圧縮空気の混合量を調整する空気調整弁132と、が設けられ、混合ガス供給部14には、混合ガス中の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定部141が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
純酸素と圧縮空気とを混合し、混合ガスを供給するガス混合供給装置であって、
純酸素を供給する純酸素供給部と、
圧縮空気を供給する圧縮空気供給部と、
前記純酸素供給部からの純酸素と、前記圧縮空気供給部からの圧縮空気とを混合して混合ガスとする混合部と、
前記混合ガスを所定の反応器内に供給する混合ガス供給部と、を備え、
前記混合部には、
前記純酸素の混合量を調整する純酸素調整弁と、
前記圧縮空気の混合量を調整する空気調整弁と、が設けられ、
前記混合ガス供給部には、
前記混合ガス中の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定部が設けられている、
ガス混合供給装置。
【請求項2】
前記反応器は、焼成炉であり、
当該ガス混合供給装置は、前記焼成炉内に所定の酸素濃度の前記混合ガスを供給し、該焼成炉内の酸素濃度を所定範囲に保持させるためのものである、
請求項1に記載のガス混合供給装置。
【請求項3】
前記酸素濃度測定部により測定される前記混合ガスの酸素濃度値に基づいて、前記純酸素調整弁及び/又は前記空気調整弁を調整する制御部と、をさらに備える、
請求項1又は2に記載のガス混合供給装置。
【請求項4】
酸素雰囲気にて焼成処理を行う焼成設備であって、
焼成炉と、
所定の酸素濃度となるように混合ガスを調整し、該混合ガスを前記焼成炉に供給するガス混合供給装置と、を備え、
前記ガス混合供給装置は、
純酸素を供給する純酸素供給部と、
圧縮空気を供給する圧縮空気供給部と、
前記純酸素供給部からの純酸素と、前記圧縮空気供給部からの圧縮空気とを混合して混合ガスとする混合部と、
前記混合ガスを所定の反応器内に供給する混合ガス供給部と、を有し、
前記混合部には、
前記純酸素の混合量を調整する純酸素調整弁と、
前記圧縮空気の混合量を調整する空気調整弁と、が設けられ、
前記混合ガス供給部には、
前記混合ガス中の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定部が設けられている、
焼成設備。
【請求項5】
前記焼成炉には、前記ガス混合供給装置から供給される混合ガスの流量を測定する混合ガス流量測定部が設けられている、
請求項4に記載の焼成設備。
【請求項6】
前記焼成炉には、炉内のガスを排気するための排気ファンが設けられており、
前記排気ファンの作動により、前記ガス混合供給装置から供給された前記混合ガスのガス量と同等のガスを排気する、
請求項4又は5に記載の焼成設備。
【請求項7】
前記焼成炉は、複数の反応領域に区画され、
各区画にそれぞれ個別に、前記ガス混合供給装置からの混合ガスが供給されるガス供給配管が接続されている、
請求項4乃至6のいずれかに記載の焼成設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純酸素と圧縮空気とを混合して供給するガス混合供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焼成炉では、焼成対象の原料が炉内に装入され、高温に昇温されたのち、酸素雰囲気下において、数時間から十数時間に亘って焼成処理が行われる。
【0003】
このとき、酸素雰囲気における酸素濃度を焼成処理の進行度合いに応じて変更し、またその酸素濃度の雰囲気を安定的に維持することによって、焼成反応を制御し、得られる焼成物の特性を所望なものとすることができる。
【0004】
そのため、焼成炉等における焼成反応において、炉内の酸素濃度を任意にかつ適切に変更することを可能にする技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62-167429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、酸素雰囲気を形成する酸素を含む混合ガスを供給する装置において、任意な酸素濃度の混合ガスを生成して、焼成炉等の炉内に適切に供給することができるガス混合供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の第1の発明は、純酸素と圧縮空気とを混合し、混合ガスを供給するガス混合供給装置であって、減圧弁が設けられた純酸素供給部と、減圧弁が設けられた圧縮空気供給部と、前記純酸素供給部からの純酸素と、前記圧縮空気供給部からの圧縮空気とを混合して混合ガスとする混合部と、前記混合ガスを所定の反応器内に供給する混合ガス供給部と、を備え、前記混合部には、前記純酸素の混合量を調整する純酸素調整弁と、前記圧縮空気の混合量を調整する空気調整弁と、が設けられ、前記混合ガス供給部には、前記混合ガス中の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定部が設けられている、ガス混合供給装置である。
【0008】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記反応器は、焼成炉であり、当該ガス混合供給装置は、前記焼成炉内に所定の酸素濃度の前記混合ガスを供給し、該焼成炉内の酸素濃度を所定範囲に保持させるためのものである、ガス混合供給装置である。
【0009】
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記酸素濃度測定部により測定される前記混合ガスの酸素濃度値に基づいて、前記純酸素調整弁及び/又は前記空気調整弁を調整する制御部と、をさらに備える、ガス混合供給装置である。
【0010】
(4)本発明の第4の発明は、酸素雰囲気にて焼成処理を行う焼成設備であって、焼成炉と、所定の酸素濃度となるように混合ガスを調整し、該混合ガスを前記焼成炉に供給するガス混合供給装置と、を備え、前記ガス混合供給装置は、減圧弁が設けられた純酸素供給部と、減圧弁が設けられた圧縮空気供給部と、前記純酸素供給部からの純酸素と、前記圧縮空気供給部からの圧縮空気とを混合して混合ガスとする混合部と、前記混合ガスを所定の反応器内に供給する混合ガス供給部と、を有し、前記混合部には、前記純酸素の混合量を調整する純酸素調整弁と、前記圧縮空気の混合量を調整する空気調整弁と、が設けられ、前記混合ガス供給部には、前記混合ガス中の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定部が設けられている、焼成設備である。
【0011】
(5)本発明の第5の発明は、第4の発明において、前記焼成炉には、前記ガス混合供給装置から供給される混合ガスの流量を測定する混合ガス流量測定部が設けられている、焼成設備である。
【0012】
(6)本発明の第6の発明は、第4又は第5の発明において、前記焼成炉には、炉内のガスを排気するための排気ファンが設けられており、前記排気ファンの作動により、前記ガス混合供給装置から供給された前記混合ガスのガス量と同等のガスを排気する、焼成設備である。
【0013】
(7)本発明の第7の発明は、第4乃至第6のいずれかの発明において、前記焼成炉は、複数の反応領域に区画され、各区画にそれぞれ個別に、前記ガス混合供給装置からの混合ガスが供給されるガス供給配管が接続されている、焼成設備である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、任意な酸素濃度の混合ガスを生成して、焼成炉等の炉内に適切に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ガス混合供給装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】焼成設備の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0017】
≪1.ガス混合供給装置≫
本実施の形態に係るガス混合供給装置は、純酸素と圧縮空気とを混合し、混合ガスを供給する装置である。このガス混合供給装置は、例えば反応器である焼成炉の内部に所定の酸素濃度の混合ガスを供給し、その焼成炉内の酸素濃度を所定範囲に保持させて酸素雰囲気を生成させるためのものである。
【0018】
図1は、ガス混合供給装置の構成の一例を示すブロック図である。ガス混合供給装置1は、純酸素を供給する純酸素供給部11と、圧縮空気を供給する圧縮空気供給部12と、純酸素と圧縮空気とを混合して混合ガスとする混合部13と、混合ガスを反応器内に供給する混合ガス供給部14と、制御部15と、を備えている。
【0019】
[純酸素供給部]
純酸素供給部11は、混合ガスを構成する純酸素を、後述する混合部13に供給する。純酸素供給部11には、減圧弁が設けられている。純酸素供給部11は、例えば、酸素の供給タンクと接続されており、減圧弁にて所定の圧力に減圧して得られた純酸素を、混合部13に供給する。なお、減圧弁による減圧の程度は、特に限定されない。例えば、1次圧が0.7MPa程度の圧力を0.15MPa程度にまで減圧させる。
【0020】
[圧縮空気供給部]
圧縮空気供給部12は、純酸素と混合して混合ガス中の酸素濃度を調整する空気を、後述する混合部13に供給する。圧縮空気供給部12には、減圧弁が設けられている。圧縮空気供給部12は、例えば圧縮空気の供給タンクと接続されており、減圧弁にて所定の圧力に減圧して得られた圧縮空気を、混合部13に供給する。なお、減圧弁による減圧の程度は、特に限定されない。例えば、1次圧が0.7MPa程度の圧力を0.15MPa程度にまで減圧させる。
【0021】
[混合部]
混合部13は、純酸素供給部11から供給される純酸素と、圧縮空気供給部12から供給される圧縮空気(空気)とを混合して混合ガスとする。混合部13は、後述する混合ガス供給部14に接続されており、混合ガス供給部14を介して焼成炉等の反応器に供給する混合ガスを生成する。
【0022】
混合部13は、純酸素の混合量を調整する純酸素調整弁131と、空気の混合量を調整する空気調整弁132と、純酸素と空気とを混合する混合本体部133と、を有する。また、混合部13は、純酸素供給部11から供給された純酸素及び圧縮空気供給部12から供給された空気のそれぞれの圧力を測定する圧力計を設けることができる。さらに、混合部13には、純酸素供給部11から供給された純酸素及び圧縮空気供給部12から供給された空気のそれぞれの流量を測定する流量計を設けることができる。
【0023】
(純酸素調整弁)
純酸素調整弁131は、混合本体部133において混合する純酸素の流量等を調整する調整弁である。具体的に、純酸素調整弁131は、例えば純酸素供給部11と連結された配管に設けられている圧力計や流量計の測定結果に基づいて、その調整弁の弁開度を調節することにより、混合本体部133に供給する純酸素の流量を調整する。
【0024】
また、詳しくは後述するが、純酸素調整弁131では、後述する混合ガス供給部14にて測定される混合ガス中の酸素濃度の測定結果に基づいて、所望とする酸素濃度の混合ガスとなるように、純酸素の流量を調整するフィードバック制御が行われる。なお、純酸素調整弁131と後述する制御部15とが電気的に接続されており、純酸素調整弁131は、混合ガス中の酸素濃度の測定値に基づく制御部15からの制御信号を受信可能となっている。
【0025】
(空気調整弁)
空気調整弁132は、混合本体部133において純酸素と混合する空気の流量等を調整する調整弁である。具体的に、空気調整弁132は、例えば圧縮空気供給部12と連結された配管に設けられている圧力計や流量計の測定結果に基づいて、その調整弁の弁開度を調節することにより、混合本体部133に供給する空気の流量を調整する。
【0026】
また、詳しくは後述するが、空気調整弁132では、後述する混合ガス供給部14にて測定される混合ガス中の酸素濃度の測定結果に基づいて、所望とする酸素濃度の混合ガスとなるように、純酸素に混合する酸素の流量を調整するフィードバック制御が行われる。なお、空気調整弁132と後述する制御部15とが電気的に接続されており、空気調整弁132は、混合ガス中の酸素濃度の測定値に基づく制御部15からの制御信号を受信可能となっている。
【0027】
(混合本体部)
混合本体部133は、純酸素と空気とを混合して、所定の酸素濃度の混合ガスを生成する本体部である。混合本体部133は、純酸素調整弁131にて流量が調整された純酸素が装入され、また空気調整弁132にて流量が調整された空気が装入され、装入された純酸素と空気とを混合することで、所定の酸素濃度の混合ガスを生成する。
【0028】
このように、混合本体部133には、純酸素調整弁131及び空気調整弁132にて流量調整された純酸素及び空気が装入されるようになっており、その純酸素と空気とを混合することで、所望とする酸素濃度の混合ガスを生成することができる。
【0029】
例えば、酸素濃度を100%としたガスとする場合には、空気調整弁132を締めた後、純酸素調整弁131の開度を調整して所定の流量で純酸素が混合本体部133に供給されるようにする。また、例えば、純酸素と空気とをそれぞれ所定に割合で含む混合ガスにおいて酸素濃度を下げたい場合には、空気調整弁132の開度を開いて流量を上げていくことによって混合ガス中の酸素濃度を下げることができ、所望とする酸素濃度の混合ガスを適切に生成させ、反応器に供給することが可能となる。
【0030】
(圧力計及び流量計)
上述したように、混合部13には、純酸素供給部11から供給された純酸素及び圧縮空気供給部12から供給された空気のそれぞれの圧力を測定する圧力計を設けることができる。また、純酸素供給部11から供給された純酸素及び圧縮空気供給部12から供給された空気のそれぞれの流量を測定する流量計を設けることができる。なお、圧力計と流量計とは、純酸素用のものと圧縮空気用のものとそれぞれ個別に設けられる。
【0031】
このように、圧力計と流量計とを設けることで。混合本体部133にて純酸素と空気とを混合して混合ガスとするにあたり、その圧力計と流量計の測定値を確認しながら、純酸素調整弁131と空気調整弁132の調整を行うことができる。
【0032】
[混合ガス供給部]
混合ガス供給部14は、焼成炉等の反応器に連結されており、混合部13にて生成した混合ガス、すなわち、純酸素と空気とを混合して生成した所定の酸素濃度の混合ガスを、その焼成炉等の反応器の内部に供給する。混合ガス供給部14は、このように混合ガスを供給することで、その反応器の内部を酸素雰囲気にすることができる。
【0033】
混合ガス供給部14は、供給する混合ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度測定部141を有する。酸素濃度測定部141は、後述する制御部15と電気的に接続されている。
【0034】
なお、混合ガス供給部14には、その出口付近に、焼成炉等の反応器に供給する混合ガスの流量を測定するための流量計を設けるようにしてもよい。これにより、反応器に混合ガスを供給するにあたり、その供給流量を適切に管理することができる。
【0035】
(酸素濃度測定部)
酸素濃度測定部141は、例えば酸素濃度計を備えて構成されており、当該混合ガス供給部14から焼成炉等の反応器に供給される混合ガス中の酸素濃度を測定する。具体的に、酸素濃度測定部141は、例えば、混合ガス供給部14と反応器とを連結する混合ガスの供給配管に設置された酸素濃度計により、その供給配管を流通する混合ガス中の酸素濃度を測定する。
【0036】
このように、反応器に混合ガスを供給するにあたり、その混合ガスに含まれる酸素濃度を測定することで、反応器内の酸素雰囲気がどのような酸素濃度で構成されるものであるかについて適切に把握することができる。
【0037】
そして、酸素濃度測定部141にて測定される混合ガス中の酸素濃度の測定値は、後述する制御部15に送られ、その制御部15により、酸素濃度の測定値に基づいて、純酸素調整弁131や空気調整弁132の制御が行われる。すなわち、酸素濃度の測定値に基づいてフィードバック制御が行われる。なお、上述したように、酸素濃度測定部141と制御部15とは電気的に接続されており、酸素濃度測定部141からの酸素濃度測定値に関する電気的な信号が、制御部15に送信される。
【0038】
[制御部]
制御部15は、主として、酸素濃度測定部141により測定される混合ガスの酸素濃度値に基づいて、純酸素調整弁131及び/又は空気調整弁132を調整する。すなわち、制御部15は、混合ガス中の酸素濃度の測定結果から、混合部13における純酸素の混合量や空気の混合量を調整するフィードバック制御を行うことを可能にしている。
【0039】
具体的に、制御部15は、酸素濃度測定部141と電気的に接続されており、酸素濃度測定部141にて測定された混合ガス(反応器に供給される混合ガス)中の酸素濃度を測定値に関する信号情報を受信する。濃度測定値に関する信号情報を受信した制御部15は、その混合ガス中の酸素濃度が設定する濃度(所望とする濃度)を満たしているか否かを判断する。
【0040】
そして、混合ガス中の酸素濃度が低いと判断した場合には、同様に電気的に接続されている混合部13における純酸素調整弁131にその弁開度を大きくする制御信号を送信し、純酸素調整弁131により調整される純酸素の混合量を増加させる。また、混合ガス中の酸素濃度が高いと判断した場合には、混合部13における空気調整弁132にその弁開度を大きくする制御信号を送信し、空気調整弁132により調整される空気の混合量を増加させる。あるいは、純酸素調整弁131にその弁開度を小さくする制御信号を送信し、純酸素調整弁131により調整される純酸素の混合量を減少させる。
【0041】
このように、酸素濃度測定部141からの濃度測定値に基づいて、純酸素調整弁131及び/又は空気調整弁132の弁開度を調整する制御を行い、混合部13における純酸素及び空気の混合量を制御している。これにより、より正確にかつ安定的に、混合ガス中の酸素濃度を調整し、維持することができ、設定した所望とする酸素濃度の混合ガスを適切に焼成炉等の反応器に供給することができる。
【0042】
なお、制御部15においては、例えば焼成条件等の反応条件に則した酸素濃度の閾値を予め設定して記憶しておき、処理時間の経過に伴って適切な酸素濃度を有する混合ガスを供給可能にすることができる。
【0043】
≪2.焼成設備≫
次に、上述したガス混合供給装置1を備えた焼成設備について説明する。図2は、焼成設備の構成の一例を示すブロック図である。焼成設備3は、所定の酸素濃度の混合ガスを生成し供給するガス混合供給装置1と、ガス混合供給装置1から供給される混合ガスを取り込み、内部を酸素雰囲気として焼成処理を行う焼成炉2と、を備えて構成される。
【0044】
焼成設備3では、反応の進行状況に応じて適切な酸素濃度を有する混合ガスが、ガス混合供給装置1から焼成炉2内に供給され、その混合ガスに基づいて適切な酸素雰囲気を形成することができる。
【0045】
[ガス混合供給装置]
ガス混合供給装置1は、後述する焼成炉2に供給する混合ガスを生成して供給する装置である。ガス混合供給装置1は、純酸素を供給する純酸素供給部11と、圧縮空気を供給する圧縮空気供給部12と、純酸素と圧縮空気とを混合して混合ガスとする混合部13と、混合ガスを反応器内に供給する混合ガス供給部14と、制御部15と、を備えている。
【0046】
ガス混合供給装置1、並びにその装置を構成する各構成については、上述したとおりであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0047】
特に、ガス混合供給装置1では、酸素濃度測定部141にて測定される混合ガス中の酸素濃度の測定値に基づいて、純酸素調整弁131や空気調整弁132のフィードバック制御が行われ、混合部13における純酸素及び空気の混合量を制御している。これにより、より正確にかつ安定的に、混合ガス中の酸素濃度を調整し、維持することができ、設定した所望とする酸素濃度の混合ガスを適切に焼成炉2に供給することができる。
【0048】
[焼成炉]
焼成炉2は、焼成対象の原料を内部に装入し、所定の焼成温度に加熱して、酸素雰囲気にて焼成処理を行う。焼成炉2の内部の酸素雰囲気は、ガス混合供給装置1から供給される、所定の酸素濃度の混合ガスにより形成される。
【0049】
図2に示すように、焼成炉2は、混合ガス供給配管25によりガス混合供給装置1と連結されている。焼成炉2においては、ガス混合供給装置1からその混合ガス供給配管25を介して混合ガスが内部に供給されるようになっている。
【0050】
焼成炉2は、焼成炉本体部21と、混合ガス流量測定部22とにより構成される。また、焼成炉2には、炉内のガスを排気するための排気ファン(図示しない)が設けられる。
【0051】
焼成炉本体部21は、原料に対する焼成処理を行う炉の本体部である。焼成炉2(焼成炉本体部21)としては、特に限定されず、例えば、トンネルキルン、プッシャーキルン、ローラーハースキルン等により構成される。また、焼成炉2は、例えば、その外壁に設けられたヒータによる加熱によって内部を所定の焼成温度に加熱することができる。
【0052】
混合ガス流量測定部22は、混合ガス供給配管25を介して供給された混合ガスの流量(流入量)を測定するものであり、ガス流量計により構成される。また、混合ガス流量測定部22は、その混合ガスの流量測定値に関する情報信号を、ガス混合供給装置1にフィードバックできるようにしてもよく、これにより、混合ガスの流入量を安定化させることができ、酸素雰囲気を安定的に維持することができる。
【0053】
排気ファンは、焼成炉2の内部の雰囲気ガスを排気するためのものである。排気ファンの作動により、ガス混合供給装置1から供給された混合ガスのガス量と同等のガスを排気する。これにより、炉内の温度や酸素濃度を適切に保持することができる。
【0054】
具体的に、焼成炉2においては、その炉内に供給された混合ガス量に応じて、排気ファンが作動し、供給された混合ガス量と同等の雰囲気ガスが排出される。また、排気ファンによる雰囲気ガスの排出に伴って炉内の温度が低下する分の熱量は、ヒータが作動することによって補われる。このようにして、焼成炉2内の温度や雰囲気中の酸素濃度を一定に保持することができる。
【0055】
ここで、焼成設備3においては、焼成炉2における焼成反応の条件を、ガス混合供給装置1の制御部15においても記憶させておき、例えば焼成反応の進行状況に応じて、適切な酸素濃度の混合ガスを生成して供給することを可能にする。
【0056】
上述したように、ガス混合供給装置1では、酸素濃度測定部141にて測定される混合ガス中の酸素濃度の測定値に基づいて、純酸素調整弁131や空気調整弁132のフィードバック制御が行われ、混合部13における純酸素及び空気の混合量を制御している。このようなガス混合供給装置1において、焼成炉2における焼成反応の進行状況に応じて、適切な酸素雰囲気を形成させるための混合ガスの酸素濃度の閾値を設定しておき、焼成炉2に供給する混合ガスが、例えばその閾値の範囲の酸素濃度を有するものであるか否かを判断するようにする。
【0057】
そして、ある焼成反応の時点において、酸素濃度測定部141にて測定される混合ガス中の酸素濃度が、設定した閾値範囲の酸素濃度よりも低い場合には、純酸素調整弁131の弁開度を大きくする等の制御を行って純酸素の混合量を増加させ、適切な酸素濃度を有する混合ガスを生成させ、供給する。また、酸素濃度測定部141にて測定される混合ガス中の酸素濃度が、設定した閾値範囲の酸素濃度よりも高い場合には、純酸素調整弁131の弁開度を小さくする制御を行って純酸素の混合量を減少させ、あるいは空気調整弁132の弁開度を大きくする制御を行って空気の混合量を増加させ、適切な酸素濃度を有する混合ガスを生成させ、供給する。
【0058】
このように、ガス混合供給装置1において、焼成炉2に供給する混合ガスの酸素濃度が適切な範囲となるように制御することができるため、焼成炉2では、その混合ガスによって反応条件に則した適切な酸素雰囲気を形成させることができる。また、その酸素雰囲気を安定的に維持することができる。これにより、焼成炉2では、処理対象に対する焼成処理を効果的にかつ効率的に施すことができ、焼成物の品質の向上にも寄与する。
【0059】
また、焼成設備3において、焼成炉2として、焼成炉本体部21の内部が複数の反応領域に区画されている炉を用いることができる。その焼成炉2では、例えば、炉床が所定の速度で移動可能な移動炉床となっており、処理対象物が炉床の移動と共に順次に各区画領域に装入されて、各区画領域の内部にて処理が施されるようになっている。
【0060】
このような焼成炉2では、各区画にそれぞれ個別に、ガス混合供給装置1からの混合ガスが供給されるガス供給配管が接続されている。したがって、各区画領域に個別に、所望とする酸素濃度の混合ガスを供給することが可能となる。
【0061】
複数の反応領域に区画され、反応の進行と共に各区画領域に処理対象が移送される焼成炉2では、区画領域ごとに、設定する酸素雰囲気が異なる場合がある。処理対象物(得られる焼成物)の種類や特性等に大きく依存するが、例えば、上流側の区画領域では、焼成度合いを高めるために酸素濃度100%の混合ガスにより酸素雰囲気を形成し、下流側の区画領域に進むに従って徐々に酸素濃度を低くして焼成度合いを低下させるような処理が行われることがある。このような場合、各区画領域において所望とする酸素雰囲気を形成するために、区画領域ごとに適切な酸素濃度の混合ガスを供給することが重要となる。
【0062】
このとき、ガス混合供給装置1を備える焼成設備3によれば、各区画に個別に設けられたガス供給配管を介して、各区画領域での反応に適した酸素雰囲気を形成するための混合ガスがそれぞれ供給される。すなわち、ガス混合供給装置1では、酸素濃度測定部141にて測定される混合ガス中の酸素濃度の測定値に基づいて、純酸素調整弁131や空気調整弁132のフィードバック制御が行われ、混合部13における純酸素及び空気の混合量を制御し、焼成炉2に供給する混合ガスの酸素濃度が適切な範囲となるように制御している。そのため、焼成炉2には、各区画領域での反応に適した酸素雰囲気を形成するための所定の酸素濃度を有する混合ガスが、ガス供給配管を介してそれぞれ供給される。
【0063】
このように、焼成炉2が、反応条件の異なる複数の反応領域に区画されて構成されている場合においても、各区画領域のそれぞれに、所定の酸素濃度の混合ガスを適切にかつ安定的に供給することができ、その各区画領域において適切な酸素雰囲気を形成できる。
【0064】
なお、ガス混合供給装置1の制御部15において、焼成炉2の各区画領域での最適な反応条件に基づき、供給する混合ガスの酸素濃度の閾値を予め設定して記憶させておくことで、酸素濃度測定部141での酸素濃度の測定値から効果的にフィードバック制御を行うことができ、安定的に所定の酸素濃度の混合ガスを各区画領域に供給することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 ガス混合供給装置
11 純酸素供給部
12 圧縮空気供給部
13 混合部
131 純酸素調整弁
132 空気調整弁
133 混合本体部
14 混合ガス供給部
141 酸素濃度測定部
15 制御部
2 焼成炉
21 焼成炉本体部
22 混合ガス流量測定部
25 混合ガス供給配管
3 焼成設備
図1
図2