特開 2022-160836 双極型蓄電池

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022160836

(43)【公開日】2022-10-20

(54)【発明の名称】双極型蓄電池

(51)【国際特許分類】

   H01M 10/18 20060101AFI20221013BHJP

   H01M 50/184 20210101ALI20221013BHJP

【ＦＩ】

H01M10/18

H01M50/184 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021065295

(22)【出願日】2021-04-07

(71)【出願人】

【識別番号】000005290

【氏名又は名称】古河電気工業株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】000005382

【氏名又は名称】古河電池株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100103850

【弁理士】

【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼

(74)【代理人】

【識別番号】100115679

【弁理士】

【氏名又は名称】山田 勇毅

(74)【代理人】

【識別番号】100066980

【弁理士】

【氏名又は名称】森 哲也

(72)【発明者】

【氏名】田中 彰

(72)【発明者】

【氏名】田中 広樹

(72)【発明者】

【氏名】中島 康雄

(72)【発明者】

【氏名】須山 健一

【テーマコード（参考）】

5H011

5H028

【Ｆターム（参考）】

5H011AA03

5H011AA09

5H011FF01

5H011GG01

5H011HH02

5H011JJ04

5H011JJ12

5H011KK01

5H028AA07

5H028CC07

5H028CC08

5H028CC11

5H028CC19

5H028HH05

(57)【要約】

【課題】一対のピラーとセル部材の貫通孔との隙間で正極用活物質及び負極用活物質が互いに接触することを回避できる双極型蓄電池を提供する。
【解決手段】双極型蓄電池１００において、複数のセルＣの各々を形成する積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及び積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０は、それぞれから突出して互いに先端側が対向する一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３によって固定される。また、各セル部材１５０には、積層方向に貫通する貫通孔１４３が形成される。一対のピラーと貫通孔１４３との隙間１４４には、正極１４１及び負極１４２のうちの少なくとも一方の内側かつ一対のピラーのうちの少なくとも一方の基端側に設けられて、隙間１４４を正極用活物質層１０３側の隙間１４４ａと負極用活物質層１０４側の隙間１４４ｂとに仕切る仕切り部材１６０が備えられる。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

正極用活物質層を有する正極、負極用活物質層を有する負極、および前記正極と前記負極との間に介在する１又は複数の電解層を備えた複数のセル部材と、前記複数のセル部材を個別に収容する複数のセルを形成する、複数のフレームユニットと、を備え、積層方向に隣り合うセル部材同士が直列に電気的に接続されているとともに、前記複数のセルの各々を形成する積層方向一側のフレームユニット及び積層方向他側のフレームユニットが、それぞれから突出して互いに先端側が対向する接合面同士で接合される一対のピラーによって固定され、前記複数のセルの各々に収容される前記各セル部材には、積層方向に貫通し、前記一対のピラーが挿通される貫通孔が形成されている双極型蓄電池であって、
前記一対のピラーと前記貫通孔との隙間には、前記正極及び前記負極のうちの少なくとも一方の内側かつ前記一対のピラーのうちの少なくとも一方の基端側に設けられて、前記隙間を前記正極用活物質層の側の隙間と前記負極用活物質層の側の隙間とに仕切る仕切り部材が備えられていることを特徴とする双極型蓄電池。

【請求項2】

前記仕切り部材が、前記積層方向一側のフレームユニット及び前記積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方とこの少なくとも一方のフレームユニットから突出する前記ピラーの基端とが交差する角部に設けられた少なくとも一つの環状の段差部で構成されていることを特徴とする請求項１に記載の双極型蓄電池。

【請求項3】

前記セル部材の前記電解層が前記少なくとも一つの段差部に重なるように配置されることを特徴とする請求項２に記載の双極型蓄電池。

【請求項4】

前記電解層の前記少なくとも一つの段差部に対する重なり幅が１～２０ｍｍであることを特徴とする請求項３に記載の双極型蓄電池。

【請求項5】

前記少なくとも一つの段差部は、前記積層方向一側のフレームユニット及び前記積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方、及びこの少なくとも一方のフレームユニットから突出する前記ピラーと一体に形成されていることを特徴とする請求項２乃至４のうちいずれか一項に記載の双極型蓄電池。

【請求項6】

前記少なくとも一つの段差部は、前記積層方向一側のフレームユニット及び前記積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方、及びこの少なくとも一方のフレームユニットから突出する前記ピラーと別部材で構成されていることを特徴とする請求項２乃至４のうちいずれか一項に記載の双極型蓄電池。

【請求項7】

前記正極が正極用鉛層を有し、前記負極が負極用鉛層を有する双極型鉛蓄電池であることを特徴とする請求項１乃至６のうちいずれか一項に記載の双極型蓄電池。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、双極型蓄電池に関する。

【背景技術】

【0002】

近年、太陽光や風力等の自然エネルギーを利用した発電設備が増えている。このような発電設備においては、発電量を制御することができないことから、蓄電池を利用して電力負荷の平準化を図るようにしている。すなわち、発電量が消費量よりも多いときには差分を蓄電池に充電する一方、発電量が消費量よりも小さいときには差分を蓄電池から放電するようにしている。上述した蓄電池としては、経済性や安全性等の観点から、鉛蓄電池が多用されており、中でもエネルギー密度の観点から、双極（バイポーラ）型鉛蓄電池が注目されている。

【0003】

この双極型鉛蓄電池は、正極用活物質層を有する正極、負極用活物質層を有する負極、および正極と負極との間に介在する１又は複数の電解層を備えた複数のセル部材と、複数のセル部材を個別に収容する複数のセルを形成する、複数のフレームユニットと、を備え、積層方向に隣り合うセル部材同士が直列に電気的に接続されてなる。
そして、この双極型鉛蓄電池において、複数のセルの各々を形成する積層方向一側のフレームユニット及び積層方向他側のフレームユニットを互いに固定するために、積層方向一側のフレームユニット及び積層方向他側のフレームユニットが、それぞれから突出して互いに対向する接合面同士で接合される一対のピラーによって固定されるものも開発されている。

【0004】

この双極型鉛蓄電池における、積層方向一側のフレームユニット及び積層方向他側のフレームユニットを、それぞれから突出して互いに対向する接合面同士で接合される一対のピラーによって固定するもとにして、従来、例えば、特許文献１に示すものが知られている。
特許文献１に示すバイポーラ蓄電池プレートにおいては、各セルを形成する積層方向一側のフレーム及び積層方向他側のフレームが、それぞれのバイポーラプレートから突出して互いに対向する接合面同士で接合される一対のスタンドオフによって固定されるようになっている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】米国特許第１０３１２５４９号明細書

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

ところで、前述した双極型鉛蓄電池においては、複数のセルの各々に収容される各セル部材には、積層方向に貫通し、一対のピラーが挿通される貫通孔が形成されている。そして、一対のピラーと貫通孔との間には少なからず、隙間が存在する。
ここで、貫通孔を各セル部材に形成するに際してはシート状の正極用活物質層及び負極用活物質層に貫通孔を加工することになる。この加工により正極用活物質層及び負極用活物質層のそれぞれの孔端部が脆くなることが多い。

【0007】

このため、双極型鉛蓄電池を使用していると、正極用活物質及び負極用活物質のそれぞれが正極用活物質層及び負極用活物質層のそれぞれの孔端部から脱落し、前述の隙間において脱落した正極用活物質及び負極用活物質が互いに接触し、短絡してしまうおそれがある。
特許文献１においては、一対のスタンドオフとこれらスタンドオフが挿通されるセル部材の貫通孔については言及されておらず、特許文献１に示されたバイポーラ蓄電池プレートにおいても同様に、一対のスタンドオフと貫通孔との隙間において脱落した正極用活物質及び負極用活物質が互いに接触し、短絡してしまうおそれがある。

【0008】

従って、本発明はこの従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、一対のピラーとセル部材の貫通孔との隙間において正極用活物質及び負極用活物質が互いに接触することを回避することができる双極型蓄電池を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0009】

前述した課題を解決するため、本発明は、以下の構成を有する双極型蓄電池を提供する。
（１）正極用活物質層を有する正極、負極用活物質層を有する負極、および前記正極と前記負極との間に介在する１又は複数の電解層を備えた複数のセル部材と、前記複数のセル部材を個別に収容する複数のセルを形成する、複数のフレームユニットと、を備える。積層方向に隣り合うセル部材同士が直列に電気的に接続されている。
（２）前記複数のセルの各々を形成する積層方向一側のフレームユニット及び積層方向他側のフレームユニットが、それぞれから突出して互いに先端側が対向する接合面同士で接合される一対のピラーによって固定され、前記複数のセルの各々に収容される前記各セル部材には、積層方向に貫通し、前記一対のピラーが挿通される貫通孔が形成されている。
（３）前記一対のピラーと前記貫通孔との隙間には、前記正極及び前記負極のうちの少なくとも一方の内側かつ前記一対のピラーのうちの少なくとも一方の基端側に設けられて、前記隙間を前記正極用活物質層の側の隙間と前記負極用活物質層の側の隙間とに仕切る仕切り部材が備えられている。

【0010】

ここで、「一対のピラー」は、積層方向一側のフレームユニットから突出するピラーの先端側と、積層方向他側のフレームユニットから突出するピラーの先端側とが対向していればよく、積層方向一側のフレームユニットから突出するピラーの突出長と、積層方向他側のフレームユニットから突出するピラーの突出長とが同じであっても異なっていてもよいものを意味する。

【発明の効果】

【0011】

本発明に係る双極型蓄電池によれば、一対のピラーと貫通孔との隙間には、正極及び負極のうちの少なくとも一方の内側かつ一対のピラーのうちの少なくとも一方の基端側に設けられて、隙間を正極用活物質層の側の隙間と負極用活物質層の側の隙間とに仕切る仕切り部材が備えられている。これにより、正極用活物質及び負極用活物質のそれぞれが正極用活物質層及び負極用活物質層のそれぞれの孔端部から前述の隙間に脱落しても、脱落した正極用活物質が正極用活物質層の側の隙間に負極用活物質が負極用活物質層の側の隙間に収まる。このため、一対のピラーと貫通孔との隙間において脱落した正極用活物質及び負極用活物質が互いに接触し、短絡してしまうおそれを確実に回避することができる。

【0012】

また、本発明に係る双極型蓄電池によれば、仕切り部材は、積層方向一側のフレームユニット及び積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方とこの少なくとも一方のフレームユニットから突出するピラーの基端とが交差する角部に設けられた少なくとも一つの環状の段差部で構成されている。これにより、仕切り部材として簡単かつ準備が容易な構成の環状の段差部を用いて隙間を正極用活物質層の側の隙間と負極用活物質層の側の隙間とに仕切ることができる。

【0013】

また、本発明に係る双極型蓄電池によれば、セル部材の電解層が少なくとも一つの段差部に重なるように配置される。これにより、電解層と少なくとも一つの段差部とによって隙間を正極用活物質層の側の隙間と負極用活物質層の側の隙間とに確実に仕切ることができる。

【0014】

また、本発明に係る双極型蓄電池によれば、電解層の少なくとも一つの段差部に対する重なり幅が１～２０ｍｍであるので、段差部の外径を必要以上に大きくすることなく、電解層と少なくとも一つの段差部とによって隙間を正極用活物質層の側の隙間と負極用活物質層の側の隙間とに確実に仕切ることができる。

【0015】

また、本発明に係る双極型蓄電池によれば、少なくとも一つの段差部は、積層方向一側のフレームユニット及び積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方、及びこの少なくとも一方のフレームユニットから突出するピラーと一体に形成されている。これにより、積層方向一側のフレームユニット及び積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方、及びこの少なくとも一方のフレームユニットから突出するピラーを成形によって製造する際に少なくとも一つの段差部を一緒に製造でき、簡単かつ容易に段差部を製造できるとともに部品点数を抑制することができる。

【0016】

また、本発明に係る双極型蓄電池によれば、少なくとも一つの段差部は、積層方向一側のフレームユニット及び積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方、及びこの少なくとも一方のフレームユニットから突出するピラーと別部材で構成されている。これにより、積層方向一側のフレームユニット及び積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方、及びこの少なくとも一方のフレームユニットから突出するピラーの製造に影響を与えることなく、別部材の段差部を用意することで、隙間を正極用活物質層の側の隙間と負極用活物質層の側の隙間とに仕切ることができる。

【0017】

また、本発明に係る双極型蓄電池によれば、正極が正極用鉛層を有し、負極が負極用鉛層を有する双極型鉛蓄電池であるので、双極型鉛蓄電池において、一対のピラーと貫通孔との隙間において脱落した正極用活物質及び負極用活物質が互いに接触し、短絡してしまうおそれを回避することができる。

【図面の簡単な説明】

【0018】

【図1】本発明の第１実施形態に係る双極型蓄電池の概略構成を示す断面図である。

【図2】図１に示す本発明の第１実施形態に係る双極型蓄電池において、正極用活物質及び負極用活物質のそれぞれが隙間に脱落した際の仕切り部材の作用を説明するための図である。

【図3】参考例に係る双極型蓄電池において、正極用活物質及び負極用活物質のそれぞれが隙間に脱落した際の様子を説明するための図である。

【図4】本発明の第２実施形態に係る双極型蓄電池の概略構成の一部の断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0019】

本発明に係る双極型蓄電池の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。

【0020】

（第１実施形態）
本発明の第１実施形態に係る双極型蓄電池について、図１及び図２を参照して説明する。図１において、「上下方向」をセル部材の積層方向とし、「下側」を積層方向一側、「上側」を積層方向他側として説明する。
図１に示す双極（バイポーラ）型蓄電池１００は、正極１４１が正極用鉛層１０１を有し、負極１４２が負極用鉛層１０２を有する双極型鉛蓄電池であり、複数（本実施形態にあっては３つ）のセル部材１５０と、複数（本実施形態にあっては２つ）の内部用フレームユニット（フレームユニット）１１０と、第一の端部用フレームユニット１２０（フレームユニット）と、第二の端部用フレームユニット（フレームユニット）１３０とを備えている。
複数のセル部材１５０は、積層方向（図１における上下方向）に、間隔を空けて積層配置されている。

【0021】

複数の内部用フレームユニット１１０、第一の端部用フレームユニット１２０、及び第二の端部用フレームユニット１３０は、複数のセル部材１５０を個別に収容する複数のセル（空間）Ｃを形成する。
各内部用フレームユニット１１０は、平面形状が長方形で積層方向一面（下面）上に負極１４２を配設されて積層方向他面（上面）上に正極１４１を配設されるバイポーラプレート１１１と、バイポーラプレート１１１の周縁に設けられる例えば、四角状の枠形（額縁形）のリム１１２とを備えている。バイポーラプレート１１１は、セル部材１５０の積層方向で隣り合うセル部材１５０の間に配置されている。各内部用フレームユニット１１０の各リム１１２は、セル部材１５０の積層方向で互いに対向する接合面１１２ａを備えている。

【0022】

バイポーラプレート１１１は、リム１１２の内側に一体化されている。内部用フレームユニット１１０は、耐硫酸性を有する熱可塑性樹脂（例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート（アクリル樹脂）、アクリルニトリルーブタンジエンースチレン共重合体（ＡＢＳ）、ポリアミド（ナイロン）、ポリカーボネート等）製である。バイポーラプレート１１１は、リム１１２の厚さ方向（図１における上下方向）の中程に位置している。リム１１２は、バイポーラプレート１１１の厚さよりも厚い厚さとなっている。

【0023】

第一の端部用フレームユニット１２０は、平面形状が長方形の第一のエンドプレート１２１と、四角状の枠形（額縁形）のリム１２２とからなる。第一のエンドプレート１２１はリム１２２の内側に一体化されている。第一の端部用フレームユニット１２０は耐硫酸性を有する熱可塑性樹脂製である。
第一の端部用フレームユニット１２０は、双極型蓄電池１００の積層方向一側端（図１における下側端）において、セル部材１５０の側面と正極１４１側を囲うものである。第一のエンドプレート１２１がセル部材１５０の正極１４１側を囲い、リム１２２が、セル部材１５０の側面を囲っている。

【0024】

第一のエンドプレート１２１は、内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１と平行に配置され、リム１２２は、隣に位置する内部用フレームユニット１１０のリム１１２と接するように配列されている。つまり、リム１２２は、セル部材１５０の積層方向（図１における上下方向）で、内部用フレームユニット１１０のリム１１２と対向する接合面１２２ａを備えている。
第一のエンドプレート１２１は、バイポーラプレート１１１の厚さよりも厚い厚さとなっている。リム１２２は、第一のエンドプレート１２１の厚さよりも厚い厚さとなっている。第一のエンドプレート１２１は、リム１２２の厚さ方向（積層方向）で一方端（積層方向一側端）に位置するように設定されている。

【0025】

第二の端部用フレームユニット１３０は、平面形状が長方形の第二のエンドプレート１３１と、四角状の枠形（額縁形）のリム１３２とからなる。第二のエンドプレート１３１はリム１３２の内側に一体化されている。第二の端部用フレームユニット１３０は耐硫酸性を有する熱可塑性樹脂製である。
第二の端部用フレームユニット１３０は、双極型蓄電池１００の積層方向他側端（図１における上側端）において、セル部材１５０の側面と負極１４２側を囲うものである。第二のエンドプレート１３１がセル部材１５０の負極１４２側を囲い、リム１３２が、セル部材１５０の側面を囲っている。

【0026】

第二のエンドプレート１３１は、内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１と平行に配置され、リム１３２は、隣に位置する内部用フレームユニット１１０のリム１１２と接するように配列されている。つまり、リム１３２は、セル部材１５０の積層方向（図１における上下方向）で、内部用フレームユニット１１０のリム１１２と対向する接合面１３２ａを備えている。
第二のエンドプレート１３１は、バイポーラプレート１１１の厚さよりも厚い厚さとなっている。リム１３２は、第二のエンドプレート１３１の厚さよりも厚い厚さとなっている。第二のエンドプレート１３１は、リム１３２の厚さ方向（積層方向）で他方端（積層方向他側端）に位置するように設定されている。

【0027】

バイポーラプレート１１１の積層方向一面（図１における下面）上には、負極用鉛層１０２が配設されている。バイポーラプレート１１１の積層方向他面（図１における上面）上には、正極用鉛層１０１が配設されている。負極用鉛層１０２上には、負極用活物質層１０４が配設され、負極用鉛層１０２及び負極用活物質層１０４により負極１４２を構成している。正極用鉛層１０１上には、正極用活物質層１０３が配設され、正極用鉛層１０１及び正極用活物質層１０３により正極１４１を構成している。
対向する正極用活物質層１０３と負極用活物質層１０４との間には、硫酸等の電解液を含浸されたガラス繊維マット等からなる電解層１４０が配設されている。

【0028】

第一のエンドプレート１２１の積層方向他面（図１における上面）上には、正極用鉛層１０１が配設されている。第一のエンドプレート１２１上の正極用鉛層１０１には、正極用活物質層１０３が配設され、正極用鉛層１０１及び正極用活物質層１０３により正極１４１を構成している。第一のエンドプレート１２１上の正極用活物質層１０３と、対向するバイポーラプレート１１１の負極用活物質層１０４との間には、硫酸等の電解液を含浸されたガラス繊維マット等からなる電解層１４０が配設されている。

【0029】

第二のエンドプレート１３１の積層方向一面（図１における下面）上には、負極用鉛層１０２が配設されている。第二のエンドプレート１３１上の負極用鉛層１０２には、負極用活物質層１０４が配設され、負極用鉛層１０２及び負極用活物質層１０４により負極１４２を構成している。第二のエンドプレート１３１上の負極用活物質層１０４と、対向するバイポーラプレート１１１の正極用活物質層１０３との間には、硫酸等の電解液を含浸されたガラス繊維マット等からなる電解層１４０が配設されている。
第一のエンドプレート１２１上の正極用鉛層１０１には、第一のエンドプレート１２１の外側へ導通する正極端子１０５が設けられている。第二のエンドプレート１３１上の負極用鉛層１０２には、第二のエンドプレート１３１の外側へ導通する負極端子１０６が設けられている。

【0030】

つまり、第１実施形態に係る双極型蓄電池１００は、正極用活物質層１０３を有する正極１４１、負極用活物質層１０４を有する負極１４２、および正極１４１と負極１４２との間に介在する電解層１４０を備えた複数（本実施形態にあっては３つ）のセル部材１５０と、複数のセル部材１５０を個別に収容する複数（本実施形態にあっては３つ）のセルＣを形成する、複数（本実施形態にあっては４つ）のフレームユニット（複数（本実施形態にあっては２つ）の内部用フレームユニット１１０、第一の端部用フレームユニット１２０、第二の端部用フレームユニット１３０）とを備えている。
そして、積層方向に隣り合うセル部材１５０同士は電気的に直列に接続されている。このため、積層方向に隣り合うセル部材１５０同士の間に介在するバイポーラプレート１１１は、正極用鉛層１０１と負極用鉛層１０２とを電気的に接続する手段を備えている。

【0031】

また、隣接する内部用フレームユニット１１０のリム１１２の接合面１１２ａ同士、隣接する第一の端部用フレームユニット１２０のリム１２２の接合面１２２ａ及び内部用フレームユニット１１０のリム１１２の接合面１１２ａ同士、及び隣接する第二の端部用フレームユニット１３０のリム１３２の接合面１３２ａ及び内部用フレームユニット１１０のリム１１２の接合面１１２ａ同士は、接着剤又は振動溶着により接合される。
振動溶着は、例えば、隣接する内部用フレームユニット１１０のリム１１２の接合面１１２ａ同士を接合する際には、一方の接合面１１２ａを他方の接合面１１２ａに対して押圧し、振動させて摩擦熱を発生させ、一方の接合面１１２ａと他方の接合面１１２ａとを溶融させるものである。

【0032】

そして、双極型蓄電池１００において、複数のセルＣの各々を形成する積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及び積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０が、それぞれから突出して互いに対向する先端側の接合面１２３ａ；１１３ａ，１１３ａ；１１３ａ，１１３ａ；１３３ａ同士で接合される一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３によって固定される。
具体的に説明すると、積層方向一側端のセルＣを形成する積層方向一側の第一の端部用フレームユニット１２０の第一のエンドプレート１２１には、平面視でそのほぼ中央部に第一のエンドプレート１２１から積層方向他側（図１では上側）へ先端側を向けたピラー１２３が突設されている。ピラー１２３は、第一のエンドプレート１２１と一体に形成された円柱部材で、その先端が接合面１２３ａとなっている。

【0033】

また、第一の端部用フレームユニット１２０と対向する積層方向他側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１には、平面視でそのほぼ中央部にバイポーラプレート１１１から積層方向一側（図１では下側）へ先端側を向けたピラー１１３が突設されている。ピラー１１３は、ピラー１２３と対向するようにバイポーラプレート１１１と一体に形成された円柱部材で、その先端が接合面１１３ａとなっている。

【0034】

そして、積層方向一側の第一の端部用フレームユニット１２０のピラー１２３の接合面１２３ａと、積層方向他側の内部用フレームユニット１１０のピラー１１３の接合面１１３ａとを接合し、積層方向一側の第一の端部用フレームユニット１２０と積層方向他側の内部用フレームユニット１１０とが固定される。この接合面１２３ａ，１１３ａ同士の接合は、第一の端部用フレームユニット１２０のリム１２２の接合面１２２ａ及び内部用フレームユニット１１０のリム１１２の接合面１１２ａ同士を接合するときと同時に行われ、接着剤又は振動溶着により接合される。なお、図１に示すように、積層方向他側のピラー１１３の突出長と積層方向一側のピラー１２３の突出長とは同一となっている。

【0035】

また、積層方向中央のセルＣを形成する積層方向一側の内部用フレームユニット１１０（この内部用フレームユニットは積層方向一側端のセルＣを形成する積層方向他側の内部用フレームユニット１１０と同一である）のバイポーラプレート１１１には、平面視でそのほぼ中央部にバイポーラプレート１１１から積層方向他側（図１では上側）へ先端側を向けたピラー１１３が突設されている。ピラー１１３は、バイポーラプレート１１１と一体に形成された円柱部材で、その先端が接合面１１３ａとなっている。

【0036】

また、積層方向他側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１には、平面視でそのほぼ中央部にバイポーラプレート１１１から積層方向一側（図１では下側）へ先端側を向けたピラー１１３が突設されている。このピラー１１３は、積層方向一側の前述のピラー１１３と対向するようにバイポーラプレート１１１と一体に形成された円柱部材で、その先端が接合面１１３ａとなっている。

【0037】

そして、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０のピラー１１３の接合面１１３ａと、積層方向他側の内部用フレームユニット１１０のピラー１１３の接合面１１３ａとを接合し、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０と積層方向他側の内部用フレームユニット１１０とが固定される。この接合面１１３ａ，１１３ａ同士の接合は、隣接する内部用フレームユニット１１０のリム１１２の接合面１１２ａ同士を接合するときと同時に行われ、接着剤又は振動溶着により接合される。なお、図１に示すように、積層方向他側のピラー１１３の突出長と積層方向一側のピラー１１３の突出長とは同一となっている。

【0038】

また、積層方向他側端のセルＣを形成する積層方向一側の内部用フレームユニット１１０（この内部用フレームユニットは積層方向中央のセルＣを形成する積層方向他側の内部用フレームユニット１１０と同一である）のバイポーラプレート１１１には、平面視でそのほぼ中央部にバイポーラプレート１１１から積層方向他側（図１では上側）へ先端側を向けたピラー１１３が突設されている。ピラー１１３は、バイポーラプレート１１１と一体に形成された円柱部材で、その先端が接合面１１３ａとなっている。

【0039】

また、積層方向他側の第二の端部用フレームユニット１３０の第二のエンドプレート１３１には、平面視でそのほぼ中央部に第二のエンドプレート１３１から積層方向一側（図１では下側）へ先端側を向けたピラー１３３が突設されている。このピラー１３３は、積層方向一側の前述のピラー１１３と対向するように第二のエンドプレート１３１と一体に形成された円柱部材で、その先端が接合面１３３ａとなっている。

【0040】

そして、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０のピラー１１３の接合面１１３ａと、積層方向他側の第二の端部用フレームユニット１３０のピラー１３３の接合面１３３ａとを接合し、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０と積層方向他側の第二の端部用フレームユニット１３０とが固定される。この接合面１１３ａ，１３３ａ同士の接合は、第二の端部用フレームユニット１３０のリム１３２の接合面１３２ａ及び内部用フレームユニット１１０のリム１１２の接合面１１２ａ同士を接合するときと同時に行われ、接着剤又は振動溶着により接合される。なお、図１に示すように、積層方向他側のピラー１３３の突出長と積層方向一側のピラー１１３の突出長とは同一となっている。

【0041】

そして、双極型蓄電池１００において、複数のセルＣの各々に収容される各セル部材１５０には、積層方向に貫通し、一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３が挿通される貫通孔１４３が形成されている。
具体的に説明すると、積層方向一側端に形成されるセルＣに収容されるセル部材１５０を構成する正極１４１、負極１４２及び電解層１４０には、積層方向に貫通し、一対のピラー１２３；１１３が挿通される貫通孔１４３が形成されている。

【0042】

また、同様に、積層方向中央に形成されるセルＣに収容されるセル部材１５０を構成する正極１４１、負極１４２及び電解層１４０には、積層方向に貫通し、一対のピラー１１３；１１３が挿通される貫通孔１４３が形成されている。
また、同様に、積層方向他側端に形成されるセルＣに収容されるセル部材１５０を構成する正極１４１、負極１４２及び電解層１４０には、積層方向に貫通し、一対のピラー１１３；１３３が挿通される貫通孔１４３が形成されている。

【0043】

このように構成された双極型蓄電池１００において、一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３と貫通孔１４３との間には、一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３を貫通孔１４３に挿通するために、少なからず隙間１４４が存在することになる。
ここで、貫通孔１４３を各セル部材１５０に形成するに際してはシート状の正極用活物質層１０３及び負極用活物質層１０４に貫通孔１４３を加工することになる。この加工により正極用活物質層１０３及び負極用活物質層１０４のそれぞれの孔端部がぼろぼろになることが多い。

【0044】

このため、図３の参考例に示すように、双極型蓄電池を使用していると、正極用活物質１０３ａ及び負極用活物質１０４ａのそれぞれが正極用活物質層１０３及び負極用活物質層１０４のそれぞれの孔端部から脱落し、前述の隙間１４４において脱落した正極用活物質１０３ａ及び負極用活物質１０４ａが互いに接触し、短絡してしまうおそれがある。
この問題を解決するために、本発明の第１実施形態に双極型蓄電池１００においては、図１及び図２に示すように、一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３と貫通孔１４３との隙間１４４には、正極１４１の内側かつ一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３のうちの積層方向一側のピラー１２３，１１３，１１３の基端側（図１では下端側）に設けられて、隙間１４４を正極用活物質層１０３の側の隙間１４４ａと負極用活物質層１０４の側の隙間１４４ｂとに仕切る仕切り部材１６０が備えられている。

【0045】

これにより、図２に示すように、正極用活物質１０３ａ及び負極用活物質１０４ａのそれぞれが正極用活物質層１０３及び負極用活物質層１０４のそれぞれの孔端部から隙間１４４に脱落しても、脱落した正極用活物質１０３ａは正極用活物質層１０３の側の隙間１４４ａに収まり、負極用活物質１０４ａは負極用活物質層１０４の側の隙間１４４ｂに収まる。このため、一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３（図２には一対のピラー１１３；１１３のみ図示）と貫通孔１４３との隙間１４４において脱落した正極用活物質１０３ａ及び負極用活物質１０４ａが互いに接触し、短絡してしまうおそれを回避することができる。

【0046】

これに対して、図３に示す参考例に係る双極型蓄電池３００においては、双極型蓄電池３００を使用して正極用活物質１０３ａ及び負極用活物質１０４ａのそれぞれが正極用活物質層１０３及び負極用活物質層１０４のそれぞれの孔端部から脱落した場合には、隙間１４４において正極用活物質１０３ａ及び負極用活物質１０４ａを仕切るものが無いため、脱落した正極用活物質１０３ａ及び負極用活物質１０４ａが互いに接触し、短絡してしまうおそれがある。

【0047】

次に、仕切り部材１６０について説明すると、仕切り部材１６０は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０と積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０から突出するピラー１２３，１１３，１１３の基端（図１では下端）とが交差する角部に設けられた環状の段差部１６１で構成されている。
環状の段差部１６１は、具体的には、積層方向一側端のセルＣにおいては、積層方向一側の第一の端部用フレームユニット１２０の第一のエンドプレート１２１とこの第一のエンドプレート１２１から突出するピラー１２３の基端（図１では下端）とが交差する角部に設けられている。

【0048】

また、環状の段差部１６１は、積層方向中央のセルＣにおいては、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１とこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３の基端（図１では下端）とが交差する角部に設けられている。
更に、環状の段差部１６１は、積層方向他側端のセルＣにおいては、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１とこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３の基端（図１では下端）とが交差する角部に設けられている。

【0049】

これにより、仕切り部材１６０として簡単かつ準備が容易な構成の段差部１６１を用いて隙間１４４を正極用活物質層１０３の側の隙間１４４ａと負極用活物質層１０４の側の隙間１４４ｂとに仕切ることができる。
ここで、段差部１６１は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及びこの積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０から突出するピラー１２３，１１３，１１３と一体に形成されている。
具体的に述べると、積層方向一側端のセルＣにおいては、段差部１６１は、積層方向一側の第一の端部用フレームユニット１２０の第一のエンドプレート１２１及びこの第一のエンドプレート１２１から突出するピラー１２３と一体に形成されている。

【0050】

また、積層方向中央のセルＣにおいては、段差部１６１は、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１及びこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３と一体に形成されている。
更に、積層方向他側端のセルＣにおいては、段差部１６１は、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１及びこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３と一体に形成されている。
これにより、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０から突出するピラー１２３，１１３，１１３を成形によって製造する際に段差部１６１を一緒に製造でき、簡単かつ容易に段差部１６１を製造できるとともに部品点数を抑制することができる。

【0051】

また、積層方向一側端のセルＣ、積層方向中央のセルＣ、及び積層方向他側端のセルＣのいずれにおいても、セル部材１５０の電解層１４０が環状の段差部１６１に重なるように配置される。これにより、電解層１４０と段差部１６１とによって隙間１４４を正極用活物質層１０３の側の隙間１４４ａと負極用活物質層１０４の側の隙間１４４ｂとに確実に仕切ることができる。
そして、各電解層１４０の段差部１６１に対する重なり幅Ｂ（図２参照）は、１～２０ｍｍとしてある。これにより、段差部１６１の外径を必要以上に大きくすることなく、電解層１４０と段差部１６１とによって隙間１４４を正極用活物質層１０３の側の隙間１４４ａと負極用活物質層１０４の側の隙間１４４ｂとに確実に仕切ることができる。

【0052】

（第２実施形態）
次に、本発明の第２実施形態に係る双極型蓄電池について、図４を参照して説明する。図４は、本発明の第２実施形態に係る双極型蓄電池の概略構成の一部の断面図である。図４において、図１及び図２に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
図４に示す第２実施形態に係る双極型蓄電池２００は、その基本構成は図１及び図２に示す第１実施形態に係る双極型蓄電池１００と同一である。しかし、第２実施形態に係る双極型蓄電池２００の仕切り部材１６０の具体的構成が第１実施形態に係る双極型蓄電池１００の仕切り部材１６０の具体的構成と相違している。

【0053】

第２実施形態に係る双極型蓄電池２００の仕切り部材１６０は、図４に示すように、正極１４１及び負極１４２の両方の内側かつ一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３の両方の基端側に設けられて、隙間１４４を正極用活物質層１０３の側の隙間１４４ａと負極用活物質層１０４の側の隙間１４４ｂとに仕切る。

【0054】

これにより、正極用活物質１０３ａ及び負極用活物質１０４ａのそれぞれが正極用活物質層１０３及び負極用活物質層１０４のそれぞれの孔端部から隙間１４４に脱落しても、脱落した正極用活物質１０３ａは正極用活物質層１０３の側の隙間１４４ａに収まり、負極用活物質１０４ａは負極用活物質層１０４の側の隙間１４４ｂに収まる。このため、一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３と貫通孔１４３との隙間１４４において脱落した正極用活物質１０３ａ及び負極用活物質１０４ａが互いに接触し、短絡してしまうおそれを回避することができる。

【0055】

また、この仕切り部材１６０は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及び積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０の両方とこの両方のフレームユニット１２０，１１０，１１０；１１０，１１０，１３０から突出するピラー１２３，１１３，１１３；１１３，１１３，１３３の基端とが交差する角部に設けられた二つの環状の段差部１６２，１６３で構成されている。

【0056】

二つの環状の段差部１６２，１６３は、具体的には、積層方向一側端のセルＣにおいては、積層方向一側の第一の端部用フレームユニット１２０の第一のエンドプレート１２１とこの第一のエンドプレート１２１から突出するピラー１２３の根元とが交差する角部、及び積層方向他側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１とこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３の基端とが交差する角部に設けられている。

【0057】

また、二つの環状の段差部１６２，１６３は、積層方向中央のセルＣにおいては、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１とこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３の基端とが交差する角部、及び積層方向他側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１とこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３の基端とが交差する角部に設けられている。

【0058】

更に、二つの環状の段差部１６２，１６３は、積層方向他側端のセルＣにおいては、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１とこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３の基端とが交差する角部、及び積層方向他側の第二の端部用フレームユニット１３０の第二のエンドプレート１３１とこの第二のエンドプレート１３１から突出するピラー１３３の基端とが交差する角部に設けられている。
これにより、仕切り部材１６０として簡単かつ準備が容易な構成の二つの段差部１６２，１６３を用いて隙間１４４を正極用活物質層１０３の側の隙間１４４ａと負極用活物質層１０４の側の隙間１４４ｂとに仕切ることができる。

【0059】

ここで、一方の段差部１６２は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及びこの積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０から突出するピラー１２３，１１３，１１３と一体に形成され、他方の段差部１６３は、積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０及びこの積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０から突出するピラー１１３，１１３，１３３と一体に形成されている。

【0060】

具体的に述べると、積層方向一側端のセルＣにおいては、一方の段差部１６２は、積層方向一側の第一の端部用フレームユニット１２０の第一のエンドプレート１２１及びこの第一のエンドプレート１２１から突出するピラー１２３と一体に形成され、他方の段差部１６３は、積層方向他側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１及びこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３と一体に形成されている。

【0061】

また、積層方向中央のセルＣにおいては、一方の段差部１６２は、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１及びこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３と一体に形成され、他方の段差部１６３は、積層方向他側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１及びこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３と一体に形成されている。

【0062】

更に、積層方向他側端のセルＣにおいては、一方の段差部１６２は、積層方向一側の内部用フレームユニット１１０のバイポーラプレート１１１及びこのバイポーラプレート１１１から突出するピラー１１３と一体に形成され、他方の段差部１６３は、積層方向他側の第二の端部用フレームユニット１３０の第二のエンドプレート１３１及びこの第二のエンドプレート１３１から突出するピラー１３３と一体に形成されている。

【0063】

これにより、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０から突出するピラー１２３，１１３，１１３を成形によって製造する際に一方の段差部１６２を一緒に製造でき、積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０から突出するピラー１１３，１１３，１３３を成形によって製造する際に他方の段差部１６３を一緒に製造でき、簡単かつ容易に二つの段差部１６２，１６３を製造できるとともに部品点数を抑制することができる。

【0064】

また、積層方向一側端のセルＣ、積層方向中央のセルＣ、及び積層方向他側端のセルＣのいずれにおいても、セル部材１５０の電解層１４０が二つの環状の段差部１６２，１６３に重なるように配置される。これにより、電解層１４０と二つの段差部１６２，１６３とによって隙間１４４を正極用活物質層１０３の側の隙間１４４ａと負極用活物質層１０４の側の隙間１４４ｂとに確実に仕切ることができる。

【0065】

そして、各電解層１４０の二つの段差部１６２，１６３に対する重なり幅は、各電解層１４０の段差部１６１に対する重なり幅Ｂと同様に、１～２０ｍｍとしてある。これにより、二つの段差部１６２，１６３の外径を必要以上に大きくすることなく、電解層１４０と二つの段差部１６２，１６３とによって隙間１４４を正極用活物質層１０３の側の隙間１４４ａと負極用活物質層１０４の側の隙間１４４ｂとに確実に仕切ることができる。

【0066】

以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、第１及び第２実施形態に係る双極型蓄電池１００、２００において、セルＣの数を３つ、フレームユニット１１０，１２０，１３０の数を４つ（内部用フレームユニット１１０の数を２つ）としてあるが、セルＣの数は２つ以上、フレームユニット１１０，１２０，１３０の数は３つ（内部用フレームユニット１１０の数は１つ）以上であればよい。
また、第１及び第２実施形態に係る双極型蓄電池１００、２００において、電解層１４０は１つでなくて複数であってもよい。

【0067】

また、第１実施形態に係る双極型蓄電池１００において、仕切り部材１６０は、正極１４１の内側かつ一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３のうちの積層方向一側のピラー１２３，１１３，１１３の基端側に設けられている。また、第２実施形態に係る双極型蓄電池２００において、仕切り部材１６０は、正極１４１及び負極１４２の両方の内側かつ一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３の両方の基端側に設けられている。しかし、仕切り部材１６０は、正極１４１及び負極１４２のうちの少なくとも一方１４１及び／又は１４２の内側かつ一対のピラー１２３；１１３，１１３；１１３，１１３；１３３のうちの少なくとも一方１２３及び／又は１１３，１１３及び／又は１１３，１１３及び／又は１３３の基端側に設けられていればよい。

【0068】

また、第１実施形態に係る双極型蓄電池１００において、仕切り部材１６０は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０と積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０から突出するピラー１２３，１１３，１１３の基端とが交差する角部に設けられた環状の段差部１６１で構成されている。また、第２実施形態に係る双極型蓄電池２００において、仕切り部材１６０は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及び積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０の両方とこの両方のフレームユニット１２０，１１０，１１０；１１０，１１０，１３０から突出するピラー１２３，１１３，１１３；１１３，１１３，１３３の基端とが交差する角部に設けられた二つの環状の段差部１６２，１６３で構成されている。

【0069】

しかし、仕切り部材１６０は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及び積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０のうちの少なくとも一方１２０及び／又は１１０，１１０及び／又は１１０，１１０及び／又は１３０と、この少なくとも一方のフレームユニットから突出するピラー１２３及び／又は１１３，１１３及び／又は１１３，１１３及び／又は１３３の基端とが交差する角部に設けられた少なくとも一つの環状の段差部１６１，１６２，１６３で構成されていればよい。

【0070】

また、第１実施形態に係る双極型蓄電池１００において、各セル部材１５０の電解層１４０が一つの段差部１６１に重なるように配置されている。また、第２実施形態に係る双極型蓄電池２００において、各セル部材１５０の電解層１４０が二つの段差部１６２，１６３に重なるように配置されている。
しかし、セル部材１５０の電解層１４０は、少なくとも一つの段差部１６１，１６２，１６３に重なるように配置されていればよい。

【0071】

また、第１実施形態に係る双極型蓄電池１００において、各セル部材１５０の電解層１４０の一つの段差部１６１に対する重なり幅Ｂが１～２０ｍｍに設定され、第２実施形態に係る双極型蓄電池２００において、各セル部材１５０の電解層１４０の二つの段差部１６２，１６３に対する重なり幅が１～２０ｍｍに設定されている。
しかし、各セル部材１５０の電解層１４０の少なくとも一つの段差部１６１，１６２，１６３に対する重なり幅が１～２０ｍｍに設定されていればよい。

【0072】

第１実施形態に係る双極型蓄電池１００において、段差部１６１は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及びこの積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０から突出するピラー１２３，１１３，１１３と一体に形成されている。また、第２実施形態に係る双極型蓄電池２００において、一方の段差部１６２は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及びこの積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０から突出するピラー１２３，１１３，１１３と一体に形成され、他方の段差部１６３は、積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０及びこの積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０から突出するピラー１１３，１１３，１３３と一体に形成されている。

【0073】

しかし、少なくとも一つの段差部１６１，１６２，１６３が、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及び積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方１２０及び／又は１１０，１１０及び／又は１１０，１１０及び／又は１３０及びこの少なくとも一方のフレームユニットから突出するピラー１２３及び／又は１１３，１１３及び／又は１１３，１１３及び／又は１３３と一体に形成されていればよい。

【0074】

また、第１実施形態に係る双極型蓄電池１００において、段差部１６１は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及びこの積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０から突出するピラー１２３，１１３，１１３と別部材で構成されていてもよい。また、第２実施形態に係る双極型蓄電池２００において、一方の段差部１６２は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及びこの積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０から突出するピラー１２３，１１３，１１３と別部材で構成され、他方の段差部１６３は、積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０及びこの積層方向他側のフレームユニット１１０，１１０，１３０から突出するピラー１１３，１１３，１３３と別部材で構成されていてもよい。

【0075】

つまり、少なくとも一つの段差部１６１，１６２，１６３は、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及び積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方１２０及び／又は１１０，１１０及び／又は１１０，１１０及び／又は１３０及びこの少なくとも一方のフレームユニットから突出するピラー１２３及び／又は１１３，１１３及び／又は１１３，１１３及び／又は１３３と別部材で構成されていてもよい。

【0076】

これにより、積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及び積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方１２０及び／又は１１０，１１０及び／又は１１０，１１０及び／又は１３０及びこの少なくとも一方のフレームユニットから突出するピラー１２３及び／又は１１３，１１３及び／又は１１３，１１３及び／又は１３３の製造に影響を与えることなく、別部材の段差部１６１，１６２，１６３を用意することで、隙間１４４を正極用活物質層１０３の側の隙間１４４ａと負極用活物質層１０４の側の隙間１４４ｂとに仕切ることができる。

【0077】

少なくとも一つの段差部１６１，１６２，１６３を積層方向一側のフレームユニット１２０，１１０，１１０及び積層方向他側のフレームユニットのうちの少なくとも一方１２０及び／又は１１０，１１０及び／又は１１０，１１０及び／又は１３０及びこの少なくとも一方のフレームユニットから突出するピラー１２３及び／又は１１３，１１３及び／又は１１３，１１３及び／又は１３３と別部材で構成した場合、段差部１６１，１６２，１６３の材質は、絶縁性及び耐硫酸性を有する熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂製であることが好ましい。

【0078】

絶縁性及び耐硫酸性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート（アクリル樹脂）、アクリルニトリルーブタンジエンースチレン共重合体（ＡＢＳ）、ポリアミド（ナイロン）、ポリカーボネート等が挙げられる。また、絶縁性及び耐硫酸性を有する熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラール樹脂、ポリイミド、不飽和ポリエステル等が挙げられる。

【0079】

また、第１及び第２実施形態に係る双極型蓄電池１００、２００における接合面１２２ａ；１１２ａ，１１２ａ；１１２ａ，１１２ａ；１３２ａ及び接合面１２３ａ；１１３ａ，１１３ａ；１１３ａ，１１３ａ；１３３ａでの接合方法は、接着剤や振動溶着による接合に限らず、熱板や赤外線加熱による熱溶着や溶剤溶解等の他の溶着処理による接合であってもよい。

【0080】

また、第１及び第２実施形態に係る双極型蓄電池１００、２００におけるバイポーラプレート１１１に備えられる電気的接続手段は、特定の方法に限定されるものではない。例えば、バイポーラプレート１１１の全体に導電性粒子や導電性繊維を含有させることにより、バイポーラプレート１１１の両面を電気的に接続するようにすることも可能である。また、電気的導通を可能とする導電性部材をバイポーラプレート１１１に組み込むこともできる。
また、第１及び第２実施形態に係る双極型蓄電池１００，２００においては、正極１４１が正極用鉛層１０１を有し、負極１４２が負極用鉛層１０２を有する双極型鉛蓄電池としてあるが、正極１４１及び負極１４２に鉛以外の金属を用いた双極型蓄電池としてもよい。

【産業上の利用可能性】

【0081】

本発明に係る双極型蓄電池は、一対のピラーと貫通孔との隙間において脱落した正極用活物質及び負極用活物質が互いに接触し、短絡してしまうおそれを回避することができるので、各種産業において極めて有益に利用することができる。

【符号の説明】

【0082】

１００，２００，３００ 双極（バイポーラ）型蓄電池
１０１ 正極用鉛層
１０２ 負極用鉛層
１０３ 正極用活物質層
１０３ａ 正極用活物質
１０４ 負極用活物質層
１０４ａ 負極用活物質
１０５ 正極端子
１０６ 負極端子
１１０ 内部用フレームユニット
１１１ バイポーラプレート
１１２ リム
１１２ａ 接合面
１１３ ピラー
１１３ａ 接合面
１２０ 第一の端部用フレームユニット
１２１ 第一のエンドプレート
１２２ リム
１２２ａ 接合面
１２３ ピラー
１２３ａ 接合面
１３０ 第二の端部用フレームユニット
１３１ 第二のエンドプレート
１３２ リム
１３２ａ 接合面
１３３ ピラー
１３３ａ 接合面
１４０ 電解層
１４０ａ 内周面
１４１ 正極
１４２ 負極
１４３ 貫通孔
１４４ 隙間
１４４ａ 正極用活物質層側の隙間
１４４ｂ 負極用活物質層側の隙間
１６０ 仕切り部材
１６１，１６２，１６３ 段差部
Ｃ セル（セル部材を収容する空間）

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】