(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160911
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】校正方法
(51)【国際特許分類】
G01B 5/00 20060101AFI20221013BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
G01B5/00 P
G01B11/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065439
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】井上 友人
(72)【発明者】
【氏名】奈良 正之
【テーマコード(参考)】
2F062
2F065
【Fターム(参考)】
2F062AA04
2F062CC30
2F062DD23
2F062DD34
2F062EE01
2F062EE09
2F062EE62
2F062FF02
2F062GG17
2F062GG75
2F062HH01
2F065AA04
2F065DD08
2F065FF51
2F065FF61
2F065GG04
2F065QQ25
(57)【要約】
【課題】点検用ゲージの校正作業に要する時間を短縮する。
【解決手段】第1姿勢から第3姿勢で設置された点検用ゲージの複数の辺の球間距離を三次元測定装置200により測定するステップと、第1姿勢で設置された点検用ゲージの複数の辺の第1姿勢における球間距離と、第2姿勢で設置された点検用ゲージの複数の辺の第2姿勢における球間距離と、及び第3姿勢で設置された点検用ゲージの複数の辺の第3姿勢における球間距離と、測定位置における三次元測定装置200の測定誤差と、を含む複数の連立方程式を解くことにより、点検用ゲージの複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値を算出するステップと、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正四面体の各頂点に球が配置された点検用ゲージを校正する方法であって、
三次元測定装置の測定台に前記点検用ゲージを第1姿勢で設置するステップと、
前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺の球間距離を、前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺のうちの第1辺がある測定位置における測定誤差が同定された前記三次元測定装置により測定するステップと、
前記複数の辺の球間距離を測定した後に、前記点検用ゲージをその第1回転対称軸の周りに回転させることにより、前記複数の辺のうちの前記第1辺と異なる第2辺が、前記第1姿勢において前記第1辺があった前記測定位置に一致する第2姿勢で前記点検用ゲージを前記測定台に設置するステップと、
前記第2姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺の球間距離を前記三次元測定装置により測定するステップと、
前記第2姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の球間距離を測定した後に、前記点検用ゲージを前記第1回転対称軸とは異なる第2回転対称軸の周りに回転させることにより、前記複数の辺のうちの前記第1辺及び前記第2辺と異なる第3辺が前記測定位置に一致する第3姿勢で前記点検用ゲージを前記測定台に設置するステップと、
前記第3姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺の球間距離を前記三次元測定装置により測定するステップと、
前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の球間距離と、前記第2姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の球間距離と、前記第3姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の球間距離と、前記測定位置における前記三次元測定装置の測定誤差と、を含む複数の連立方程式を解くことにより、前記点検用ゲージの複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値を算出するステップと、
を有する校正方法。
【請求項2】
正四面体の各頂点に球が配置された点検用ゲージを校正する方法であって、
三次元測定装置の測定台に前記点検用ゲージを第1姿勢で設置するステップと、
前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺のうち、前記正四面体の底面に含まれる第1辺がある第1測定位置における測定誤差と、前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺のうち、前記底面に含まれない第2辺がある第2測定位置における測定誤差とが同定された前記三次元測定装置により、前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の球間距離を測定するステップと、
前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の球間距離を測定した後に、前記底面と直交する回転対称軸の周りに前記点検用ゲージを回転させることにより、前記複数の辺のうち、前記第1辺及び前記第2辺と異なる第3辺が、前記第1姿勢において前記第1辺があった前記第1測定位置に一致し、且つ、前記第1辺、前記第2辺及び前記第3辺と異なる第4辺が、前記第2辺があった前記第2測定位置に一致する第2姿勢で前記点検用ゲージを前記測定台に設置するステップと、
前記第2姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺の球間距離を、前記三次元測定装置により測定するステップと、
前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の球間距離と、前記第2姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺の球間距離と、前記第1測定位置及び前記第2測定位置における前記三次元測定装置の測定誤差と、を含む複数の連立方程式を解くことにより、前記点検用ゲージの複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値を算出するステップと、
を有する校正方法。
【請求項3】
前記校正値を算出するステップにおいて前記校正値を最小2乗法により算出することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の校正方法。
【請求項4】
レーザ干渉計により前記測定誤差を同定するステップをさらに含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の校正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点検用ゲージを校正する校正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元測定装置の測定精度の点検には、多面体等の各頂点にそれぞれ球が配置された点検用ゲージが用いられる(例えば、特許文献1を参照)。この点検用ゲージにおける各球間距離の真値は、光干渉計等の基準器により予め測定されている。正四面体ゲージや立方体ゲージなど球を測定要素に持つゲージの校正方法として、ゲージの各球間距離と、校正値の付いたボールバーをコンパレータで比較測定して、校正する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された方法では、点検用ゲージを校正する場合、基準器を用いて点検用ゲージの全ての球間距離の真値をそれぞれ測定する必要がある。このため、基準器の校正作業が煩雑であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、点検用ゲージの校正作業に要する時間を短縮することができる校正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の校正方法は、正四面体の各頂点に球が配置された点検用ゲージを校正する方法であって、三次元測定装置の測定台に前記点検用ゲージを第1姿勢で設置するステップと、前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺の球間距離を、前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺のうちの第1辺がある測定位置における測定誤差が同定された前記三次元測定装置により測定するステップと、前記複数の辺の球間距離を測定した後に、前記点検用ゲージをその第1回転対称軸の周りに回転させることにより、前記複数の辺のうちの前記第1辺と異なる第2辺が、前記第1姿勢において前記第1辺があった前記測定位置に一致する第2姿勢で前記点検用ゲージを前記測定台に設置するステップと、前記第2姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺の球間距離を前記三次元測定装置により測定するステップと、前記第2姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の球間距離を測定した後に、前記点検用ゲージを前記第1回転対称軸とは異なる第2回転対称軸の周りに回転させることにより、前記複数の辺のうちの前記第1辺及び前記第2辺と異なる第3辺が前記測定位置に一致する第3姿勢で前記点検用ゲージを前記測定台に設置するステップと、前記第3姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺の球間距離を前記三次元測定装置により測定するステップと、前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の前記第1姿勢における球間距離と、前記第2姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の前記第2姿勢における球間距離と、及び前記第3姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の前記第3姿勢における球間距離と、前記測定位置における前記三次元測定装置の測定誤差と、を含む複数の連立方程式を解くことにより、前記点検用ゲージの複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した前記校正値を算出するステップと、を有する。
【0007】
本発明の第2の態様の校正方法は、正四面体の各頂点に球が配置された点検用ゲージを校正する方法であって、三次元測定装置の測定台に前記点検用ゲージを第1姿勢で設置するステップと、前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺のうち、前記正四面体の底面に含まれる第1辺がある第1測定位置における測定誤差と、前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺のうち、前記底面に含まれない第2辺がある第2測定位置における測定誤差とが同定された前記三次元測定装置により、前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の球間距離を測定するステップと、前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の球間距離を測定した後に、前記底面と直交する回転対称軸の周りに前記点検用ゲージを回転させることにより、前記複数の辺のうち、前記第1辺及び前記第2辺と異なる第3辺が、前記第1姿勢において前記第1辺があった前記第1測定位置に一致し、且つ、前記第1辺、前記第2辺及び前記第3辺と異なる第4辺が、前記第2辺があった前記第2測定位置に一致する第2姿勢で前記点検用ゲージを前記測定台に設置するステップと、前記第2姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺の球間距離を、前記三次元測定装置により測定するステップと、前記第1姿勢で設置された前記点検用ゲージの前記複数の辺の球間距離と、前記第2姿勢で設置された前記点検用ゲージの複数の辺の球間距離と、前記第1測定位置及び前記第2測定位置における前記三次元測定装置の測定誤差と、を含む複数の連立方程式を解くことにより、前記点検用ゲージの複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値を算出するステップと、を有する。
【0008】
前記校正値を算出するステップにおいて前記校正値を最小2乗法により算出してもよい。前記校正方法は、レーザ干渉計により前記測定誤差を同定するステップをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、点検用ゲージの校正作業に要する時間を短縮するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態の校正方法の概要を示す図である。
【
図3】同定部による測定誤差の同定の様子を示す図である。
【
図4】点検用ゲージのj番目の位置の例を示す図である。
【
図5】添え字に対応する点検用ゲージの辺の位置の例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態において点検用ゲージの球間距離を校正する手順を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態の校正方法の概要を示す図である。
【
図8】第2の実施形態において点検用ゲージの球間距離を校正する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
[校正方法の概要]
第1の実施形態に係る校正方法は、三次元測定装置の測定精度の点検に用いられる点検用ゲージを校正するための方法である。
図1(a)から
図1(c)は、第1の実施形態の校正方法の概要を示す図である。本校正方法は、点検用ゲージの一部の辺が、レーザ干渉計等の基準器で三次元測定装置を同定した位置に一致するように点検用ゲージを三次元測定装置に載置し、点検用ゲージを所定の回数だけ所定の回転対象軸の周りに回転させることにより生じる複数の姿勢で、三次元測定装置を用いて点検用ゲージの各辺の両端に設けられた球の間の距離を測定する。三次元測定装置を用いる場合、予め測定する位置を設定しておけば自動的に距離を測定することができるので、このような校正方法により、校正する対象となる辺の数だけ基準器をセットアップする場合に比べて、校正に要する時間を短縮することができる。
【0012】
第1の実施形態に係る校正方法においては、3つの姿勢のそれぞれにおいて、基準器で校正された三次元測定装置の位置で1つの辺の長さ(辺の両端に設けられた球の間の距離)を測定し、他の少なくとも一部の辺の両端の球の間の距離を三次元測定装置における校正されていない位置で測定することにより、点検用ゲージを校正する。本校正方法においては、第1姿勢、第1姿勢から第1回転対称軸の周りに1回点検用ゲージを回転させた後の第2姿勢、及び第2姿勢から第2回転対称軸の周りに1回点検用ゲージを回転させた第3姿勢のそれぞれの姿勢で、三次元測定装置を用いて各辺の球間距離を測定する。
図1(a)は、点検用ゲージ100が第1姿勢で設置されている様子を示す。
図1(b)は、点検用ゲージ100が第2姿勢で設置されている様子を示す。
図1(c)は、点検用ゲージ100が第3姿勢で設置されている様子を示す。
【0013】
図1(a)に示すように、点検用ゲージ100は、正四面体形状を有し、この正四面体の各頂点に球A~球Dの測定要素が配置されている。
図1(a)の例では、点検用ゲージ100は、三次元測定装置の測定台に第1姿勢で設置されているものとする。点検用ゲージ100の各頂点には、球以外の形状の測定要素が配置されていてもよい。測定要素は、球の中心又はエッジ等の特徴点の座標が三次元測定装置により測定可能であるものとする。
【0014】
三次元測定装置は、2つの球の間の球間距離を測定する。三次元測定装置は、点検用ゲージ100の正四面体の複数の辺のうち、
図1(a)の太線により示す測定位置(破線矢印で示す位置イ)に対応する辺(以下、第1辺ともいう)の両端の2つの球B及びCの間の第1球間距離を測定する。三次元測定装置がこの測定位置において球間距離を測定した場合の測定誤差は、後述する方法により予め同定されているものとする。三次元測定装置は、第1姿勢で設置された点検用ゲージ100の第1辺以外の5つの辺に対応する球間距離についてもそれぞれ測定する。
【0015】
三次元測定装置が第1姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の球間距離を測定した後に、
図1(a)の矢印に示すように、点検用ゲージ100は、その第1回転対称軸の周りに回転させた第2姿勢で測定台に設置される。点検用ゲージ100は、三次元測定装置の座標系において第1姿勢のときと同じ位置に設置される。第1回転対称軸は、球Aをとおり、球B、球C及び球Dを含む面に直交する軸である。
【0016】
図1(b)は、点検用ゲージ100が第2姿勢で設置されている様子を示す。第2姿勢では、点検用ゲージ100の正四面体の複数の辺のうちの第1辺と異なる辺(球B及びDにはさまれる辺。以下、第2辺ともいう)は、第1姿勢において第1辺があった測定位置に一致するように移動する。三次元測定装置は、第2姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺のうち、第2辺の両端の2つの球B及びDの間の第2球間距離を測定する。三次元測定装置は、第2姿勢で設置された点検用ゲージ100ののうち、第2辺以外の5つの辺に対応する球間距離についてもそれぞれ測定する。
【0017】
三次元測定装置が第2姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離を測定した後に、点検用ゲージ100は、その第2回転対称軸の周りに回転させた第3姿勢で測定台に設置される。点検用ゲージ100は、三次元測定装置の座標系において第2姿勢のときと同じ位置に設置される。第2回転対称軸は、第1回転対称軸とは異なる軸である。第2回転軸を
図1(b)に破線で示す。
図1(b)の例では、第2回転軸は、球Dをとおり、球A、球B及び球Cを含む面に直交する。
【0018】
図1(c)は、点検用ゲージ100が第3姿勢で設置されている様子を示す。第3姿勢では、点検用ゲージ100の正四面体の複数の辺のうちの第1辺及び第2辺と異なる辺(球C及びDにはさまれる辺。以下、第3辺ともいう)は、測定位置に一致する位置に移動する。三次元測定装置は、第3姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺のうち、第3辺の両端の2つの球C及びDの間の第3球間距離を測定する。三次元測定装置は、第3姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺のうち、第3辺以外の5つの辺に対応する球間距離についてもそれぞれ測定する。
【0019】
三次元測定装置200は、点検用ゲージ100の複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値を算出する。詳細については後述するが、三次元測定装置200は、第1姿勢で設置された際の点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離と、第2姿勢で設置された際の点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離と、第3姿勢で設置された際の点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離と、複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値(未知数)と、予め同定されている測定位置における三次元測定装置の測定誤差と、を含む複数の連立方程式を解くことにより、複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値を算出する。ユーザは、このような校正方法を採用することにより、レーザ干渉計等を用いて点検用ゲージ100の全ての球間距離をそれぞれ測定する必要がないので、点検用ゲージ100を校正する校正作業に要する時間を短縮することができる。
【0020】
[三次元測定装置200の構成]
図2は、三次元測定装置200の構成を示す図である。三次元測定装置200は、通信部21、プローブユニット22、表示部23、記憶部24及び制御部25を備える。制御部25は、測定部251、同定部252、算出部253及び表示制御部254を備える。
【0021】
通信部21は、レーザ干渉計等の他の機器と通信するための通信インターフェースである。例えば、通信部21は、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信により他の機器と通信する。また、通信部21は、LAN(Local Area Network)等のケーブルを介して、他の機器と通信してもよい。
【0022】
プローブユニット22は、測定対象物に接触するためのプローブと、測定対象物にプローブが接触したことを検出するセンサと、プローブを移動させたり、プローブの向きを変更したりするモータとを含む。プローブユニット22は、プローブが測定対象物に接触したときのプローブの先端の三次元座標を測定する。プローブユニット22は、測定した三次元座標を測定部251へ入力する。表示部23は、文字や画像等を表示する。
【0023】
記憶部24は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等の記憶媒体を含む。記憶部24は、制御部25が実行するプログラムを記憶している。制御部25は、記憶部24に記憶されたプログラムを実行することにより、測定部251、同定部252、算出部253及び表示制御部254として機能する。
【0024】
測定部251は、プローブユニット22により、点検用ゲージ100の球間距離を測定する。より詳しくは、測定部251は、プローブが点検用ゲージ100の球に接触する複数の接触位置の三次元座標を測定することにより、球の中心の座標を測定する。
【0025】
測定部251は、第1姿勢で設置された点検用ゲージ100の4つの球の中心の座標を測定する。測定部251は、4つの球の中心の間の距離を球間距離として算出する。このうち、測定部251は、測定位置に対応する第1辺の両端の2つの球の間の球間距離を第1球間距離として算出する。測定部251は、第1姿勢で設置された点検用ゲージ100の第1辺以外の5つの辺に対応する球間距離についてもそれぞれ算出する。
【0026】
同様にして、測定部251は、第2姿勢で設置された点検用ゲージ100の各頂点に配置された4つの球の中心の間の球間距離をそれぞれ算出する。このうち、測定部251は、測定位置に対応する第2辺の両端の2つの球の間の球間距離を第2球間距離として算出する。測定部251は、第2姿勢で設置された点検用ゲージ100の第2辺以外の5つの辺に対応する球間距離についてもそれぞれ算出する。
【0027】
同様にして、測定部251は、第3姿勢で設置された点検用ゲージ100の各頂点に配置された4つの球の中心の間の球間距離をそれぞれ算出する。このうち、測定部251は、測定位置に対応する第3辺の両端の2つの球の間の球間距離を第3球間距離として算出する。測定部251は、第3姿勢で設置された点検用ゲージ100の第3辺以外の5つの辺に対応する球間距離についてもそれぞれ算出する。測定部251は、測定した球間距離を示す情報を算出部253へ出力する。
【0028】
[測定誤差の同定]
同定部252は、通信部21を介して、レーザ干渉計と通信する。同定部252は、測定位置における三次元測定装置200の測定誤差を予め同定する。
図3は、同定部252による測定誤差の同定の様子を示す図である。同定部252は、プローブユニット22とレーザ干渉計35との2つの装置を用いて、測定位置において同じ距離をそれぞれ測定する。同定部252は、2つの装置により測定した測定結果を比較することにより、プローブユニット22が測定する際の測定誤差を同定する。
【0029】
図3の例では、三次元測定装置200の測定台の測定位置(
図1)と同じ位置にレール31が設置されている。レール31上を移動可能なスライダ32は、測定位置に沿って移動するものとする。スライダ32には、測定体33及び反射体34が固定されている。レーザ干渉計35は、その光軸がレール31の延びる方向に一致するように配置される。レーザ干渉計35の光軸は、測定体33の先端の球状部分の中心と、反射体34の反射板の中心とをとおるものとする。
【0030】
まず、スライダ32がレール31上の第1基準位置にあるものとする。スライダ32が第1基準位置にある状態において測定体33の球状部分の位置は、点検用ゲージ100が第1姿勢で配置されるときの第1辺の一端に配置された球Bの位置(
図1(a)参照)とほぼ一致するものとする。同定部252は、スライダ32が第1基準位置にある状態において測定体33の球状部分の座標をプローブユニット22により測定する。
図3中の破線の矢印により示すように、スライダ32が第1基準位置にある状態においてレーザ干渉計35から反射体34までの距離がレーザ干渉計35により測定される。同定部252は、スライダ32が第1基準位置にあるときのレーザ干渉計35から反射体34までの距離の測定結果を、レーザ干渉計35から取得する。
【0031】
次に、スライダ32をレール31上の第2基準位置に移動させる。スライダ32が第2基準位置にある状態において測定体33の球状部分の位置は、点検用ゲージ100が第1姿勢で配置されるときの第1辺の一端に配置された球Cの位置(
図1(a)参照)とほぼ一致するものとする。同定部252は、スライダ32が第2基準位置にある状態において測定体33の球状部分の座標をプローブユニット22により測定する。スライダ32が第2基準位置にある状態においてレーザ干渉計35から反射体34までの距離がレーザ干渉計35により測定される。同定部252は、スライダ32が第2基準位置にあるときのレーザ干渉計35から反射体34までの距離の測定結果を、レーザ干渉計35から取得する。
【0032】
同定部252は、スライダ32が第1基準位置にあるときのレーザ干渉計35から反射体34までの距離(
図3中の破線の矢印)と、スライダ32が第2基準位置にあるときのレーザ干渉計35から反射体34までの距離との差に基づいて、第1基準位置から第2基準位置までの基準距離を校正値として算出する。
【0033】
同定部252は、レーザ干渉計35により基準距離の校正値を測定する例に限定されない。例えば、同定部252は、ボールバー(不図示)により基準距離の校正値を測定してもよい。
【0034】
同定部252は、スライダ32が第1基準位置にある状態においてプローブユニット22により測定した測定体33の座標と、スライダ32が第2基準位置にある状態においてプローブユニット22により測定した測定体33の座標との差に基づいて、第1基準位置から第2基準位置までの基準距離の測定値を算出する。
【0035】
本明細書の例では、レーザ干渉計35の測定精度はプローブユニット22の測定精度に比べて高い。このため、同定部252は、レーザ干渉計35により測定した校正値と、プローブユニット22により測定した測定値との差が、プローブユニット22の測定誤差に起因するとみなすものとする。同定部252は、レーザ干渉計35により測定した基準距離の校正値と、プローブユニット22により測定した基準距離の測定値との差に基づいて、測定位置においてプローブユニット22により測定した測定値の測定誤差を同定する。同定部252は、同定した測定誤差を算出部253へ出力する。
【0036】
[球間距離の校正値の算出]
算出部253は、点検用ゲージ100の各辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値を算出する。算出部253は、以下の式(1)を解くことにより、点検用ゲージ100の正四面体の各辺の球間距離の校正値g1~g6と、測定部251が点検用ゲージ100の正四面体の各辺の球間距離を測定した際に生じる測定誤差m1~m6とを算出する。
【0037】
【0038】
式(1)中、m
j(j=1、2、・・・、6)は、三次元測定装置200の測定座標系においてj番目の位置に対応する球間距離をプローブユニット22により測定する際の測定誤差(未知数)を示す。
図4は、三次元測定装置200の測定座標系においてj番目の位置の例を示す図である。点検用ゲージ100は、第1姿勢から第3姿勢において
図4中に示すP
1、P
2及びP
3の位置に点検用ゲージ100の正四面体の頂点が合うように設置される。
図4には、三次元測定装置200の測定座標系においてj番目(j=1、2、・・・、6)の位置をそれぞれ示す。
【0039】
式(1)中、l
#i,k(i=1、2、3、k=1、2、・・・、6)は、第i姿勢で配置された点検用ゲージ100のk番目の位置において球間距離を測定部251が測定した測定値を示す。
図5は、添え字kに対応する点検用ゲージ100の辺の位置の例を示す図である。
図5(a)は、点検用ゲージ100が第1姿勢(i=1)で配置されたときの添え字k(k=1、2、・・・、6)に対応する点検用ゲージ100の辺の位置を示す。
図5(a)中の矢印は、第2姿勢で点検用ゲージ100を設置する際に点検用ゲージ100を回転させる方向を示す。
【0040】
図5(b)は、点検用ゲージ100が第2姿勢(i=2)で配置されたときの添え字k(k=1、2、・・・、6)に対応する点検用ゲージ100の辺の位置を示す。
図5(b)中の破線は、第3姿勢で点検用ゲージを設置する際に点検用ゲージ100を回転させる第2回転対称軸を示す。
図5(b)中の矢印は、第3姿勢で点検用ゲージ100を設置する際に点検用ゲージ100を回転させる方向を示す。
図5(c)は、点検用ゲージ100が第3姿勢(i=3)で配置されたときの添え字k(k=1、2、・・・、6)に対応する点検用ゲージ100の辺の位置を示す。g
k(k=1、2、・・・、6)は、点検用ゲージ100の第k辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値(未知数)を示す。
【0041】
式(1)中のl2,sclは、測定位置において測定部251が球間距離を測定した場合の測定誤差を同定部252が同定した値を示す。算出部253は、式(1)に示す行列に対応する複数の連立方程式を解くことにより、球間距離の校正値gk及び測定誤差mjを算出する。本明細書の例では、算出部253は、球間距離の校正値gkを最小二乗法により算出する。同様にして、算出部253は、球間距離の測定誤差mjを最小二乗法により算出する。このようにして、算出部253は、校正値gk等として最も確からしい値を算出することができる。算出部253は、算出した球間距離の校正値gk及び測定誤差mjを示す情報を表示制御部254へ出力する。
【0042】
表示制御部254は、文字や画像等を表示部23に表示する。表示制御部254は、算出部253が算出した球間距離の校正値gk及び測定誤差mjを表示する。
【0043】
[点検用ゲージの校正の手順]
図6は、第1の実施形態において点検用ゲージ100の球間距離を校正する手順を示すフローチャートである。まず、点検用ゲージ100を、第1辺の測定位置における測定誤差が同定された三次元測定装置200の測定台に第1姿勢で設置する(S101)。測定部251は、第1姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離をそれぞれ測定する(S102)。点検用ゲージ100は、第1回転対称軸の周りに120度回転されて第2姿勢で設置される(S103)。測定部251は、第2姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離をそれぞれ測定する(S104)。
【0044】
続いて、点検用ゲージ100を、第2回転対称軸の周りに120度回転して第3姿勢で設置する(S105)。測定部251は、第3姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離をそれぞれ測定する(S106)。算出部253は、第1姿勢で設置された際の点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離と、第2姿勢で設置された際の点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離と、第3姿勢で設置された際の点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離と、点検用ゲージ100の複数の辺に対応する球間距離を校正した校正値と、予め同定されている測定位置における測定誤差と、を含む複数の連立方程式を解くことにより、球間距離の校正値を算出し、処理を終了する(S107)。
【0045】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、第1姿勢から第3姿勢において設置された点検用ゲージ100の球間距離を測定部251が測定する場合の例について説明した。これに対し、第2の実施形態では、2つの姿勢のそれぞれにおいて、底面の1辺と、底面に含まれない斜面上の1辺の合計2辺の長さを、基準器で校正された三次元測定装置の2つの位置で測定し、他の少なくとも一部の辺の両端の球の間の距離を三次元測定装置における校正されていない位置で測定することにより、点検用ゲージを校正する。すなわち、点検用ゲージ100を第3姿勢で設置する手順を省略し、第1姿勢及び第2姿勢において設置された点検用ゲージ100の球間距離を測定部251が測定する。
【0046】
図7は、本発明の第2の実施形態の校正方法の概要を示す図である。
図7(a)は、点検用ゲージ100が第1姿勢で設置されている状態を示す。
図7(b)は、点検用ゲージ100が第2姿勢で設置されている状態を示す。
【0047】
点検用ゲージ100は、第1の実施形態と同様に、三次元測定装置200の測定台に第1姿勢で設置される。第2の実施形態では、
図7(a)の太線により示す第1測定位置(破線矢印で示す位置イ)及び第2測定位置(破線矢印で示す位置ロ)において球間距離を測定部251が測定した場合の測定誤差は、第1の実施形態と同様にして同定部252により予め同定されているものとする。測定部251は、第1姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺のうち、第1測定位置に対応する第1辺の両端の2つの球B及びCの間の第1球間距離を測定する。同様にして、測定部251は、第2測定位置に対応する第2辺の両端の2つの球A及びCの間の第2球間距離を測定する。測定部251は、第1姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺のうち、第1辺及び第2辺以外の4つの辺に対応する球間距離についてもそれぞれ測定する。
【0048】
測定部251が第1姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離を測定した後に、
図7(a)の矢印に示すように、点検用ゲージ100をその回転対称軸の周りに回転させた第2姿勢で点検用ゲージ100を測定台に設置する。この回転対称軸は、
図7(a)においてほぼ奥行き方向に延びる軸である。回転対称軸は、球Aをとおり、球B、球C及び球Dを含む面に直交する。第2の実施形態の例では、点検用ゲージ100において回転対称軸が直交する面(球B、C及びDを含む面)を底面とすると、第1測定位置に対応する第1辺は底面に含まれるが、第2測定位置に対応する第2辺は底面に含まれない。ユーザは、第1測定位置と、第2測定位置と、点検用ゲージ100を回転させる回転対称軸とをこのような配置にすることにより、後述する式を用いて球間距離を算出する際に解が一意に定まらないランク落ちが生じることを抑制することができる。
【0049】
図7(b)は、点検用ゲージ100が第2姿勢で設置されている様子を示す。第2姿勢では、点検用ゲージ100の正四面体の複数の辺のうちの第1辺及び第2辺と異なる辺(球B及びDにはさまれる辺。以下、第3辺ともいう)は、第1姿勢において第1辺が配置されていた第1測定位置に一致するように移動する。このとき、点検用ゲージ100の正四面体の複数の辺のうちの第1辺、第2辺及び第3辺と異なる辺(球A及びBにはさまれる辺。以下、第4辺ともいう)が、第1姿勢において第2辺が配置されていた第2測定位置に一致する。
【0050】
測定部251は、第2姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺のうち、第1測定位置に対応する第3辺の両端の2つの球B及びDの間の第3球間距離を測定する。測定部251は、第2姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺のうち、第2測定位置に対応する第4辺の両端の2つの球A及びBの間の第4球間距離を測定する。測定部251は、点検用ゲージ100の複数の辺のうち、第3辺及び第4辺以外の4つの辺に対応する球間距離についてもそれぞれ測定する。
【0051】
算出部253は、第1姿勢で設置された際の点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離と、第2姿勢で設置された際の点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離と、点検用ゲージ100の複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値(未知数)と、同定部252が同定した第1測定位置及び第2測定位置における三次元測定装置200の測定誤差と、を含む複数の連立方程式を解くことにより、点検用ゲージ100の複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値を算出する。
【0052】
算出部253は、以下の式(2)により、点検用ゲージ100の正四面体の各辺の両端の2つの球の間の球間距離の校正値g1~g6と、測定部251が球間距離を測定した際に生じる測定誤差m1~m6とを算出する。
【0053】
【0054】
式(2)中、mj(j=1、2、・・・、6)は、三次元測定装置200の測定座標系においてj番目の位置に対応する球間距離をプローブユニット22により測定する際の測定誤差(未知数)を示す。式(2)中、l#i,k(i=1、2、3、k=1、2、・・・、6)は、第i姿勢で配置された点検用ゲージ100のk番目の位置において球間距離を測定部251が測定した測定値を示す。gk(k=1、2、・・・、6)は、点検用ゲージ100の第k辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値(未知数)を示す。式(2)中のl2,sclは、第1測定位置において測定部251が球間距離を測定した場合の測定誤差を同定部252が同定した値を示す。式(2)中のl5,sclは、第2測定位置において測定部251が球間距離を測定した場合の測定誤差を同定部252が同定した値を示す。
【0055】
[点検用ゲージの校正の手順]
図8は、第2の実施形態において点検用ゲージ100の球間距離を校正する手順を示すフローチャートである。まず、点検用ゲージ100を、第1測定位置及び第2測定位置において測定誤差が同定された三次元測定装置200の測定台に第1姿勢で設置する(S201)。測定部251は、第1姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離をそれぞれ測定する(S202)。
【0056】
続いて、点検用ゲージ100を、その回転対称軸の周りに120度回転して第2姿勢で設置する(S203)。測定部251は、第2姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離をそれぞれ測定する(S204)。
【0057】
算出部253は、第1姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離と、第2姿勢で設置された点検用ゲージ100の複数の辺の球間距離と、点検用ゲージ100の複数の辺に対応する球間距離を校正した校正値と、予め同定されている測定位置における測定誤差と、を含む複数の連立方程式を解くことにより、点検用ゲージ100の複数の辺の両端の2つの球の間の球間距離を校正した校正値を算出し、処理を終了する(S205)。
【0058】
第1及び第2の実施形態では、三次元測定装置200の算出部253は、点検用ゲージ100の複数の辺に対応する球間距離を校正した校正値を算出する場合の例について説明した。しかしながら、本発明は、三次元測定装置200が算出部253を備える例に限定されない。例えば、三次元測定装置200とは異なる校正装置(不図示)が算出部を備え、この算出部が点検用ゲージ100の複数の辺に対応する球間距離を校正した校正値を算出してもよい。
【0059】
第1の実施形態では、第1姿勢から第3姿勢で設置された点検用ゲージ100の球間距離を測定部251が測定する場合の例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ユーザは、点検用ゲージ100の姿勢変更の回数を増加させてもよい。例えば、測定部251は、第1姿勢から第4姿勢で設置された点検用ゲージ100の球間距離を測定してもよい。このようにして、算出部253は、算出する点検用ゲージ100の球間距離の校正値の冗長性を高くし、校正値の算出において測定ノイズの影響を受けにくくすることができる。
【0060】
[本発明の校正方法による効果]
本発明の校正方法によれば、算出部253は、複数の連立方程式を解くことにより、球間距離の校正値を算出する。ユーザは、このような校正方法を採用することにより、レーザ干渉計35等を用いて点検用ゲージ100の全ての球間距離をそれぞれ測定する必要がないので、点検用ゲージ100を校正する校正作業に要する時間を短縮することができる。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0062】
21 通信部
22 プローブユニット
23 表示部
24 記憶部
25 制御部
31 レール
32 スライダ
33 測定体
34 反射体
35 レーザ干渉計
100 点検用ゲージ
200 三次元測定装置
251 測定部
252 同定部
253 算出部
254 表示制御部