(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160994
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】肉様食品
(51)【国際特許分類】
A23J 3/00 20060101AFI20221013BHJP
A23J 3/26 20060101ALI20221013BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20221013BHJP
【FI】
A23J3/00 502
A23J3/00 504
A23J3/26 501
A23L13/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009059
(22)【出願日】2022-01-25
(62)【分割の表示】P 2021065493の分割
【原出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】齋 政彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】森田 健一
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AC05
4B042AC09
4B042AD36
4B042AE05
4B042AK01
4B042AK16
4B042AP02
4B042AP06
4B042AP14
4B042AP17
4B042AP21
4B042AP27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】新たな組織、食感の肉様食品を提供する。また、風味が改良された肉様食品を提供する。
【解決手段】食肉を含まない肉様食品であって、該肉様食品の組織は、配向性のある繊維状組織であり、該組織は、その内部に繊維同士が離間している不連続部と、該不連続部の周囲に繊維同士が密着している密着部と、を有し、前記不連続部は、繊維方向に沿って延びている、肉様食品。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食肉を含まない肉様食品であって、
該肉様食品の組織は、配向性のある繊維状組織であり、
該組織は、その内部に繊維同士が離間している不連続部と、
該不連続部の周囲に繊維同士が密着している密着部と、を有し、
前記不連続部は、繊維方向に沿って延びている、肉様食品。
【請求項2】
前記密着部は、肉様食品の厚み方向に3mm以上25mm以下の厚さを有する部分を含む、請求項1に記載の肉様食品。
【請求項3】
前記部分は、肉様食品の表面と不連続部の間、及び不連続部と不連続部の間に存在する、請求項2に記載の肉様食品。
【請求項4】
前記肉様食品は、厚さが6mm以上50mm以下である、請求項1~3の何れかに記載の肉様食品。
【請求項5】
肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察したときに、断面における長径が0.5mm以上の全ての不連続部のうち、断面における長径が3mm以上の不連続部の割合が10%以上である、請求項1~4の何れかに記載の肉様食品。
【請求項6】
肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察したときに、断面における長径が7.5mm以上の不連続部を含む、請求項1~5の何れかに記載の肉様食品。
【請求項7】
前記不連続部を複数個含む、請求項1~6の何れかに記載の肉様食品。
【請求項8】
前記肉様食品は、エクストルーダーにより押出成形されたものである、請求項1~7の何れかに記載の肉様食品。
【請求項9】
前記不連続部は空隙である、請求項1~8の何れかに記載の肉様食品。
【請求項10】
前記不連続部は、エクストルーダーによる押出成形時の膨化により形成される、請求項8又は9に記載の肉様食品。
【請求項11】
前記不連続部は、前記繊維状組織の内部に切り込みを入れることにより形成される、請求項1~9の何れかに記載の肉様食品。
【請求項12】
前記不連続部は、2以上のタンパク質シートを積層し、各シートの表面同士を部分的に接着することにより形成される、請求項1~9の何れかに記載の肉様食品。
【請求項13】
テンシプレッサーによって、以下の方法により異なる2以上の点を測定した平均の値が、以下の(A)~(D)の少なくとも一つを満たす、請求項1~12の何れかに記載の肉様食品。
(A)破断応力(Tenderness)が、10000gw/cm2以上47000gw/cm2以下である;
(B)総仕事量(Toughness)が、5000gw/cm2以上15300gw/cm2以下である;
(C)柔軟性(Pliability)が、0.5以上2.1以下である;
(D)脆さ(Brittleness)が、1.3以上3.5以下である;
<方法>
試料の厚さ:繊維方向に対して垂直方向の厚みが15mmとなるように調製
プランジャー:円筒型φ5mm
Bite Speed:2.00mm/sec
Second Speed:2.00mm/sec
Plansure Area:0.041 cm2
Add Value:0.100mm
測定温度:20℃
測定方法:多重積算バイト法
【請求項14】
食肉を含まない肉様食品であって、
テンシプレッサーによって、以下の方法により異なる2以上の点を測定した平均の値が、以下の(A)~(D)の少なくとも一つを満たす、肉様食品:
(A)破断応力(Tenderness)が、10000gw/cm2以上47000gw/cm2以下である;
(B)総仕事量(Toughness)が、5000gw/cm2以上15300gw/cm2以下である;
(C)柔軟性(Pliability)が、0.5以上2.1以下である;
(D)脆さ(Brittleness)が、1.3以上3.5以下である;
<方法>
試料の厚さ:繊維方向に対して垂直方向の厚さが15mm
プランジャー:円筒型φ5mm
Bite Speed:2.00mm/sec
Second Speed:2.00mm/sec
Plansure Area:0.041 cm2
Add Value:0.100mm
測定温度:20℃
測定方法:多重積算バイト法
【請求項15】
前記(A)~(D)のうち、少なくとも2つを満たす、請求項14に記載の肉様食品。
【請求項16】
該肉様食品の組織は配向性のある繊維状組織であり、水分量が50質量%以上である、請求項14又は15に記載の肉様食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉様食品に関する。
【背景技術】
【0002】
肉の代替食品として、大豆や小麦等の植物性タンパク質を用いた肉様食品の需要がある。
植物性タンパク質を用いた肉様食品の開発は主にエクストルーダーという設備を用いて行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、植物由来のタンパク質素材、澱粉、酢酸カルシウム、水を混錬し、エクストルーダーを用いて高温高圧下でダイを通して常圧下に押出すことで作製されることを特徴とする、組織状蛋白質素材の製造方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、エクストルーダーを用いて作製された組織状蛋白質素材に、切り溝を付けることで肉らしい繊維感を有する組織状蛋白素材を製造できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-135923号公報
【特許文献2】特開2018-164459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、エクストルーダーを用いて製造される肉様食品は、エクストルーダーから吐出された後の水分量に応じて、大きく低水分系と高水分系に分けることができる。
低水分系は原料となるタンパク質に水分を配合してエクストルーダー処理で膨化させ、一般的には乾燥させて作製する。このものは、使用時に水戻しあるいは湯戻ししてから調理に使用する。
一方、高水分系は、原料となるタンパク質に水分を配合してエクストルーダー処理して吐出する際に冷却ダイで冷却することで膨化していないち密な構造を作製する。
これらの組織は、低水分系がスポンジ状の組織であるのに対し、高水分系は詰まった構造の組織であり、エクストルーダーの吐出方向に沿って延びる繊維状組織を有している。
また、調理性・保存性として、低水分系は、スポンジ状であることから水分や調味液が浸透しやすく、乾燥させていることで保存性も高い。
【0007】
本明細書で開示する第1~3の発明は、従来にない、新たな組織、食感の肉様食品を提供することを課題とする。
【0008】
また、本明細書で開示する第4の発明は、風味が改良された肉様食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、エクストルーダーから吐出する押出成形物の中心部品温と水分量を調整することで、従来の高水分系に特徴的なち密な繊維状組織中に、この繊維同士が離間している不連続部を形成することができることを見出した。
【0010】
前記課題を解決する第1の発明は以下の通りである。
食肉を含まない肉様食品の製造方法であって、
エクストルーダーを用い、加熱しながらタンパク質を含む原材料と水を混錬し得られた混練物を強制冷却しながら押出成形することで、押出成形物を製造する押出成形工程を有し、
前記押出成形工程は、エクストルーダーから吐出したときの該押出成形物の中心部品温が110℃以上125℃以下となるように強制冷却をすることを含み、
押出成形物の水分量が押出成形物全体に対し45質量%以上60質量%以下である、肉様食品の製造方法。
これにより、製造される肉様食品は、組織全体としては繊維状組織でありながら、内部に不連続部を形成することができる。そして、その存在によって、噛んだときに組織内の層ずれが起こることに起因する柔らかさ、崩れ感を付与することができる。
【0011】
また、本発明の好ましい形態では、前記押出成形工程は、前記混錬物の最高品温が145℃以上180℃以下となるよう加熱することを含む。
【0012】
また、本発明の好ましい形態では、前記混練物の水分量が、混練物全体に対し、45質量%以上70質量%以下である。
【0013】
また、本発明の好ましい形態では、前記混錬物のうち、固形分に占めるタンパク質の含有量の割合が、45質量%以上90質量%以下である。
【0014】
また、本発明の好ましい形態では、前記混錬物のうち、固形分に占めるデンプンの含有量の割合が、5質量%以上20質量%以下である。
【0015】
また、本発明の好ましい形態では、前記タンパク質は植物性タンパク質である。
【0016】
また、本発明の好ましい形態では、前記植物性タンパク質が大豆タンパク質及び/又は小麦タンパク質である。
【0017】
また、本発明の好ましい形態では、前記押出成形工程は、前記混錬物を配向性のある繊維状組織に成形し、膨化させることにより、該繊維状組織の内部に、繊維同士が離間している不連続部と、該不連続部の周囲に繊維同士が密着している密着部と、を形成することを含み、前記不連続部は繊維方向に沿って伸びている。
【0018】
また、前記課題を解決する第2の発明は以下の通りである。
食肉を含まない肉様食品であって、
該肉様食品の組織は、配向性のある繊維状組織であり、
該組織は、その内部に繊維同士が離間している不連続部と、
該不連続部の周囲に繊維同士が密着している密着部と、を有し、
前記不連続部は、繊維方向に沿って延びている、肉様食品に関する。
前記構造を有する肉様食品は、組織全体としては食肉のような繊維状組織でありながら、不連続部の存在によって、噛んだときに組織内の層ずれが起こることに起因する柔らかさ、崩れ感を有し、かつ密着部の存在によって、噛み応えも有しており、全体として食肉に近い食感(噛み心地)がある。
また、不連続部が存在することにより、調味液を浸透させやすいという追加の効果も得られる。
【0019】
また、本発明の好ましい形態では、前記密着部は、肉様食品の厚み方向に3mm以上25mm以下の厚さを有する部分を含む。
【0020】
また、好ましい形態では、前記部分は、肉様食品の表面と不連続部の間、及び不連続部と不連続部の間に存在する。
【0021】
また、本発明の好ましい形態では、前記肉様食品は、厚さが6mm以上50mm以下である。
【0022】
また、本発明の好ましい形態では、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察したときに、断面における長径が0.5mm以上の全ての不連続部のうち、断面における長径が3mm以上の不連続部の割合が10%以上である。
【0023】
また、本発明の好ましい形態では、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察したときに、断面における長径が7.5mm以上の不連続部を含む。
【0024】
また、本発明の好ましい形態では、前記肉様食品は、不連続部を複数個含む。
【0025】
また、本発明の好ましい形態では、前記肉様食品はエクストルーダーにより押出成形されたものである。
【0026】
また、本発明の好ましい形態では、前記不連続部は空隙である。
【0027】
また、本発明の好ましい形態では、前記不連続部は、エクストルーダーによる押出成形時の膨化により形成される。
【0028】
また、前記不連続部は、前記繊維状組織の内部に切込みを入れることにより形成されてもよい。
【0029】
また、前記不連続部は、2以上のタンパク質シートを積層し、各シートの表面同士を部分的に接着することにより形成されてもよい。
【0030】
また、本発明の好ましい形態では、テンシプレッサー(登録商標)によって、以下の方法により異なる2以上の点を測定した平均の値が、以下の(A)~(D)の少なくとも一つを満たす、肉様食品である:
(A)破断応力(Tenderness)が、10000gw/cm2以上47000gw/cm2以下である;
(B)総仕事量(Toughness)が、5000gw/cm2以上15300gw/cm2以下である;
(C)柔軟性(Pliability)が、0.5以上2.1以下である;
(D)脆さ(Brittleness)が、1.3以上3.5以下である;
<方法>
試料の厚さ:繊維方向に対して垂直方向の厚みが15mmとなるように調製
プランジャー:円筒型φ5mm
Bite Speed:2.00mm/sec
Second Speed:2.00mm/sec
Plansure Area:0.041 cm2
Add Value:0.100mm
測定温度:20℃
測定方法:多重積算バイト法
【0031】
また、前記課題を解決する第3の発明は以下の通りである。
食肉を含まない肉様食品であって、
テンシプレッサーによって、以下の方法により異なる2以上の点を測定した平均の値が、以下の(A)~(D)の少なくとも一つを満たす、肉様食品:
(A)破断応力(Tenderness)が、10000gw/cm2以上47000gw/cm2以下である;
(B)総仕事量(Toughness)が、5000gw/cm2以上15300gw/cm2以下である;
(C)柔軟性(Pliability)が、0.5以上2.1以下である;
(D)脆さ(Brittleness)が、1.3以上3.5以下である;
<方法>
試料の厚さ:繊維方向に対して垂直方向の厚さが15mm
プランジャー:円筒型φ5mm
Bite Speed:2.00mm/sec
Second Speed:2.00mm/sec
Plansure Area:0.041 cm2
Add Value:0.100mm
測定温度:20℃
測定方法:多重積算バイト法
このような物性を有する肉様食品は、良好な食感を有する。
【0032】
また、本発明の好ましい形態では、前記(A)~(D)のうち、少なくとも2つを満たす。
【0033】
また、本発明の好ましい形態では、該肉様食品の組織は配向性のある繊維状組織であり、水分量が50質量%以上である。
【0034】
前記課題を解決する第4の発明は以下の通りである。
食肉を含まない肉様食品の製造方法であって、
エクストルーダーを用い、加熱しながら原材料と水を混錬し得られた混練物を押出成形することで、押出成形物を製造する押出成形工程を含み、
前記原材料は、エクストルーダーを用いて得られた押出成形物である。
これにより、タンパク質原料由来の好ましくない風味を低減することができる。
【0035】
本発明の好ましい形態では、前記押出成形工程を2回以上含み、
2回目以降の押出成形工程における前記原材料は、前回の押出成形工程で得られた押出成形物である。
エクストルーダーによる押出成形を繰り返すことで、タンパク質原料由来の好ましくない風味をより低減することができる。
【0036】
また、本発明の好ましい形態では、最後の押出成形工程は、押出成形物の水分量が45質量%以上60質量%以下となるように行う。
また、前記原材料は、水分量45質量%以下であることが好ましい。また、前記原材料は、混錬物の最高品温が130℃以上となるエクストルーダー処理によって得られた押出成形物であることが好ましい。
【0037】
また、本発明の好ましい形態では、前記押出成形工程の前に、前記原材料を洗浄し、脱水する、洗浄・脱水工程を含む。
押出成形物の洗浄・脱水工程を含むことにより、タンパク質原料由来の好ましくない風味をより低減することができる。これにより、好ましくない風味をマスキングするための濃い風味付けなどをする必要がなくなり調味・調理の幅が広がる。
【0038】
ここで、第1の発明と第4の発明(製造方法の発明)の各好ましい形態を、組み合わせた形態も好ましい。
また、第2の発明と第3の発明(物の発明)の各好ましい形態を、組み合わせた形態も好ましい。
【発明の効果】
【0039】
第1~3の発明により、食感のよい肉様食品を提供することができる。特に好ましい形態では、鶏肉様の食感を有する肉様食品を提供することができる。
また、第4の発明により、風味が改良された肉様食品を提供することができる。
また、各発明の組み合わせによれば、食感が良く、風味が改良された肉様食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の肉様食品の繊維方向に対して垂直方向に切った断面写真
【
図2】本発明の肉様食品の繊維方向に対して垂直方向に切った断面写真
【
図3】本発明の肉様食品の繊維方向に対して垂直方向に切った断面写真
【
図5】構造観察時の一つの観察箇所において、不連続部が1つである場合の密着部の厚さの測定方法を表す説明図
【
図6】構造観察時の一つの観察箇所において、不連続部が2つである場合の密着部の厚さの測定方法を表す説明図
【
図8】実施例における構造観察時の観察箇所を表す説明図
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明は、以下の具体的な実施形態に限定されるものではない。
【0042】
<第1の発明>肉様食品の製造方法
本発明の肉様食品の製造方法は、エクストルーダーを用い、加熱しながらタンパク質を含む原材料と水を混錬し、得られた混錬物を強制冷却しながら押出成形する押出成形工程を含む。
【0043】
前記原材料におけるタンパク質の含有量の下限は、水を除いた原材料全体に対して、好ましくは45質量%、より好ましくは50質量%、さらに好ましくは60質量%である。タンパク質含有量の上限は、水を除いた原材料全体に対して、好ましくは90質量%、より好ましくは75質量%、さらに好ましくは70質量%である。
なお、水を除いた原材料におけるタンパク質の含有量は、混錬物の固形分におけるタンパク質の含有量に相当する。
なお、混錬物の固形分におけるタンパク質の含有量は、後述する押出成形物の固形分におけるタンパク質の含有量にも相当する。
【0044】
また、タンパク質として、植物性タンパク質を好ましく用いることができる。植物性タンパク質の中でも、特に大豆タンパク質、小麦タンパク質、エンドウ豆タンパク質、米タンパク質、馬鈴薯タンパク質を好ましく用いることができる。
中でも、大豆タンパク質を単独で用いる形態、大豆タンパク質と小麦タンパク質を組み合わせる形態が好ましい。タンパク質の配合として好ましい形態は、(大豆タンパク質):(小麦タンパク質)=1:2~1:0である。
また、タンパク質として、昆虫由来タンパク質、藻類由来タンパク質、菌類由来タンパク質、培養細胞由来タンパク質を用いることもできる。
【0045】
また、前記原材料は、デンプンを含むことが好ましい。
デンプンの含有量は、水を除いた原材料全体に対して、好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
なお、水を除いた原材料におけるデンプンの含有量は、混錬物の固形分におけるデンプンの含有量に相当する。
なお、混錬物の固形分におけるデンプンの含有量は、後述する押出成形物の固形分におけるデンプンの含有量にも相当する。
【0046】
また、デンプンとして、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプンなどを好ましく用いることができる。
【0047】
また、原材料としては、本分野で通常用いられる公知の他の原材料を用いることができる。
例えば、デンプン以外の炭水化物、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、食物繊維、脂質などを適宜用いることができる。
【0048】
本発明の製造方法では、前記原材料と水とをエクストルーダーに投入する。
水の投入量は、押出成形物の水分量を45質量%~60質量%に調製可能な量に調整すればよい。
上記原材料と水との混錬物全体に対する水の含有量の下限は、好ましくは45質量%、より好ましくは50質量%、さらに好ましくは55質量%である。また、上記原材料と水との混錬物全体に対する水の含有量の上限は、好ましくは70質量%、より好ましくは65質量%、さらに好ましくは60質量%である。
【0049】
エクストルーダーを用いて、加熱しながら混錬することで得られた混錬物を強制冷却しながら押出成形することで、押出成形物を製造することができる。
本発明の製造方法では、肉様食品の製造に利用可能なエクストルーダーを特に制限なく用いることができる。スクリューは2軸であることが好ましい。エクストルーダーとしては、例えばCoperion社製の装置など、適宜用いることができる。
【0050】
エクストルーダーにおける混錬温度は、通常肉様食品に採用される温度であれば特に制限はないが、混錬物の最高品温の下限が、好ましくは145℃、より好ましくは150℃、さらに好ましくは155℃となるように設定する。また、混錬物の最高品温の上限が、好ましくは180℃、より好ましくは175℃、さらに好ましくは170℃となるように設定する。
通常は、エクストルーダーの出口(冷却ダイの手前)での品温の測定値を、混錬物の最高品温とみなすことができる。
【0051】
また、冷却ダイは、例えば、その外周に冷媒を通す流路が設けられており、ここに冷媒を通すことで押し出される混錬物を強制冷却するものが挙げられる。冷却ダイを用いて混錬物を強制冷却することにより、エクストルーダーからの吐出時に適度に膨化させることで、食感の良い肉様食品を得ることができる。また、ダイの形状としては、シート状に成型可能な形状が好ましい。
冷却ダイとしては、例えばCoperion社製、Buhler社製、Crextral社製の装置など、適宜用いることができる。
なお、冷却ダイは、冷却ノズルとも呼ばれる。
【0052】
冷却ダイによる冷却は、押出成形物の中心部品温の下限が、好ましくは110℃となるように、冷媒の温度、冷却ダイの長さを調節する。また、当該冷却は、押出成形物の中心部品温の上限が、好ましくは125℃となるように調節する。
押出成形物の中心部品温が前記範囲となるよう冷却することで、エクストルーダーからの吐出時に適度に膨化させることで、食感の良い肉様食品を得ることができる。
【0053】
また、冷却ダイによる冷却は、押出成形物の水分量の下限が、押出成形物全体に対し、好ましくは45質量%、より好ましくは50質量%となるように行う。また、当該冷却は、押出成形物の水分量の上限が、押出成形物全体に対し、好ましくは60質量%、より好ましくは55質量%となるように行う。
押出成形物の水分量が前記範囲となるように冷却することで、押出成形物に十分に水分を残し、食感の良い肉様食品を得ることができる。
【0054】
また、混錬物の最高品温と、押出成形物の中心部品温の差は、好ましくは30℃以上65℃以下、さらに好ましくは40℃以上55℃以下となるように、加熱及び冷却を行う。
【0055】
また、混錬物の水分量と、押出成形物の水分量の差が、好ましくは2質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上12.5質量%以下、特に好ましくは7.5質量%以上10質量%以下となるように、加熱及び冷却を行う。
【0056】
本発明の製造方法において、押出成形工程は、押出成形物がシート状になるように行うことが好ましい。
また、押出成形物の厚さは、6mm以上50mm以下、好ましくは10mm以上30mm以下、さらに好ましくは17mm以上20mm以下となるように調整することが好ましい。押出成形物の吐出方向に垂直方向の長さ(横幅)は、特に制限されないが、80mm~100mm程度を目安とすることができる。
任意の厚さ、吐出方向に垂直方向の長さ(横幅)を有するシート状に成型するためには、冷却ダイの形状、サイズを適宜選択したうえで、温度条件、水分量の条件を前述した好ましい範囲に調整すればよい。例えば、冷却ダイとして、幅60~90mm、厚さ5mm~15mm程度の四角形の吐出口を有する冷却ダイを用いることができる。押出成形物の厚さは、冷却ダイの吐出口の厚さの1.5倍~3倍程度、押出成形物の吐出方向に垂直の長さは、冷却ダイの吐出口の幅の1.2倍~1.5倍程度になるよう調整することが好ましい。
なお、冷却ダイから吐出直後に膨らみを矯正するためのガイド器具を設けることで、押出成形物の厚さを調整することができる。
ダイから押し出されたシート状の押出成形物は、例えば、吐出方向に沿った方向の長さが50mm~200mm程度になるようにカットし、ほぼ矩形状の押出成形物として得ることが好ましい。
【0057】
本発明の製造方法において、押出成形物を得た後は、所望により押出成形物を洗浄し、調味液等の液体を塗布、又は調味液等の液体に浸漬した後、包装して、製品化する。
包装の形態としては、プラスチック製のフィルム材での包装が好ましく挙げられる。また、洗浄方法として、ボイルが好ましく挙げられる。
また、レトルト食品の形態、冷凍食品の形態等は特に制限されないが、本発明の製造方法により得られる良好な食感を生かす観点からは、レトルト食品の形態で提供されることが好ましい。この場合は、例えば、得られた押出成形物を調味液とともにレトルトパウチに封入し、殺菌することで、製品化することができる。
なお、洗浄工程は必須ではない。
【0058】
また、肉様食品を柔らかくするため、テンダー処理を行うことが好ましい。テンダー処理として、穴あけ処理が挙げられる。テンダー処理は、例えば、テンダライズ器具を用いて行うことができる。テンダー処理を行うことにより、調味液等の液体を浸透させやすくなる。
【0059】
<第2の発明>特定の構造を有する肉様食品
後述する実施例で示すように、第1の発明で説明した製造方法によれば、配向性のある繊維状組織の肉様食品を得ることができる。そして、その組織の内部に、繊維同士が離間している不連続部(内部にまばらに形成された空隙)を形成することができる(
図1~3参照)。
この不連続部は、押出成形の際、膨化により形成されるものである。したがって、不連続部は、押出方向である繊維方向に沿って延びる形状を有する傾向にある。ただし、すべての不連続部がこのような形状を有しているものではない。
また、不連続部の周囲は、繊維同士が密着している密着部が形成されている。この密着部は、肉様食品全体の組織の連続相に相当する。
【0060】
すなわち、本発明の肉様食品は、前述したような従来にない構造的特徴を有するものであり、以下の通り特定される。
食肉を含まない肉様食品であって、該肉様食品の組織は、配向性のある繊維状組織であり、該組織は、その内部に繊維同士が離間している不連続部と、該不連続部の周囲に繊維同士が密着している密着部と、を有し、前記不連続部は、繊維方向に沿って延びている。
以下、その構造について、より詳細に説明する。
【0061】
図5、
図6を用いて、本発明の肉様食品の繊維方向、不連続部、密着部について説明を加える。
図5、6は、繊維方向に対して垂直方向に切断したときの断面を模式的に示す。
図中、1は密着部、2は不連続部を表す。また、Hは、肉様食品の厚さを表す。また、A、B、Cは、密着部について、肉様食品の厚み方向の厚さを表す。
【0062】
密着部1は、肉様食品のち密な繊維状組織からなる部分である。目視で明確な不連続部が観察されない、いわゆる連続相に相当する部分を指す。
不連続部2は、肉様食品のち密な繊維状組織内で、繊維同士が離間している部分である。目視で明確に、この離間した部分が孔やスリット(スロット)として観察される部分を指す。
不連続部2は、繊維状組織の内部に形成され、肉様食品の外観においては実質的に観察されない。したがって、各々の不連続部2の周りを密着部1が囲っている構造となっている。
このような構造は、肉様食品を適宜カットし、その断面を観察することで目視することができる(
図1~3参照)。
【0063】
密着部1は、肉様食品の繊維方向に対して、垂直方向の厚さが3mm以上25mm以下の部分を有することが好ましい。より好ましくは、密着部は、繊維方向に対して垂直方向の厚さが5mm以上15mm以下の部分を有する。さらに好ましくは、密着部は、繊維方向に対して垂直方向の厚さが7mm以上10mm以下の部分を有する。
【0064】
また、肉様食品の表面付近に厚い密着部が形成され、肉様食品の厚さ方向の中心付近に不連続部がある構造であることが好ましい。したがって、肉様食品の表面と不連続部の間の密着部は、前記厚さ方向に、好ましくは3mm以上25mm以下、さらに好ましくは5mm以上15mm以下、より好ましくは7mm以上10mm以下の厚さを有する部分を含む。
さらに、肉様食品の不連続部と不連続部の間にも密着部が形成される構造であることが好ましい。肉様食品の空隙と空隙の間の密着部は、前記厚さ方向に、好ましくは3mm以上25mm以下、さらに好ましくは5mm以上15mm以下、より好ましくは7mm以上10mm以下の厚さを有する部分を含む。
【0065】
また、肉様食品の厚さの下限は、好ましくは6mm、より好ましくは15mm、さらに好ましくは20mmである。
また、肉様食品の、厚さの上限は、好ましくは50mm、より好ましくは40mm、さらに好ましくは30mm、特に好ましくは25mm、さらに好ましくは20mmである。
【0066】
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察される前記密着部のうち、断面における肉様食品表面から不連続部までの厚さが3mm以上の密着部が全体の好ましくは10%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上であることが好ましい。
一方、前記厚さが3mm未満の密着部は全体の90%未満が好ましく、50%未満がより好ましく、40%未満がさらに好ましく、30%未満がさらに好ましく、20%未満が最も好ましい。
ここで、前記の密着部の厚さの割合は後述する実施例の方法により測定する。
すなわち、任意の断面(統計的に有意な複数)において、一定の間隔で厚さ方向の観察軸を、統計的に有意な数で設定し、各々の観察軸において表面から不連続部までの厚さを測定すればよい。そして、すべての観察箇所数を母数として特定の厚さの観察箇所の割合を算出する(以下同じ)。
【0067】
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察される前記密着部のうち、断面における肉様食品表面から不連続部までの厚さが5mm以上の密着部が全体の好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上である。
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察される前記密着部のうち、断面における肉様食品表面から不連続部までの厚さが7mm以上の密着部が含まれる形態も好ましい。断面における肉様食品表面から不連続部までの厚さが7mm以上の密着部が、全体の好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。
【0068】
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察される前記密着部のうち、断面における不連続部間の厚さが3mm以上の密着部が全体の好ましくは10%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。
一方、前記厚さが3mm未満の密着部は全体の90%未満が好ましく、50%未満がより好ましく、40%未満がさらに好ましい。
【0069】
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察される前記密着部のうち、断面における不連続部間の厚さが5mm以上の密着部が全体の好ましくは5%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上である。
【0070】
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察される前記密着部のうち、断面における不連続部間の厚さが7mm以上の密着部が全体の好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上である。
【0071】
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察したときに、断面における長径が0.5mm以上の全ての不連続部のうち、断面における長径が3mm以上の不連続部の割合が個数基準で、好ましくは10%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。
一方、前記断面における長径が0.5mm以上3mm未満の不連続部は、個数基準で、好ましくは90%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下であることが好ましい。
なお、ここで、不連続部について、前記断面の観察は、統計上優位な数の断面の観察を前提とする。また、観察する断面は、肉様食品の端部分(エクストルーダーの吐出始めと終わりの部分)10mm内のものを含まない。
【0072】
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察したときに、断面における長径が5mm以上の不連続部を含むことが好ましい。また、一つの任意の断面を観察したときに、断面における長径が5mm以上の不連続部を複数含むことが好ましい。
【0073】
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察される前記不連続部のうち、断面における長径が5mm以上の不連続部を含むことが好ましい。
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察される前記不連続部のうち、断面における長径が5mm以上の不連続部を、個数基準で、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上含む。
【0074】
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察したときに、断面における長径が7.5mm以上の不連続部を含むことが好ましい。
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察される前記不連続部のうち、断面における長径が7.5mm以上の不連続部を、個数基準で、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは15%以上含む。
【0075】
また、肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察したときに、断面における長径が7.5mm以上の不連続部を含むことが好ましく、前記長径が10mm以上の不連続部を含むこと、前記長径が15mm以上の不連続部を含むことも好ましい。
【0076】
また、肉様食品において、長径が、好ましくは5mm以上、さらに好ましくは7.5mm以上、より好ましくは10mm以上の不連続部が含まれる形態が好ましい。
ここでいう長径は、肉様食品に含まれる不連続部の長径であることから、通常、繊維方向に沿った方向の径である。この径は、繊維方向に沿った断面の観察により測定することができる。
また、不連続部は複数個含まれる形態が好ましい。
【0077】
なお、密着部の厚さや、不連続部の長径についての前記記載は、当該範囲から外れる大きさの不連続部、及び密着部が含まれているものを本発明から除外する趣旨ではない。
【0078】
また、不連続部は空隙であっても、任意の成分が含まれていてもよい。
【0079】
不連続部の形態は特に制限されず、押出成形により膨化させることにより形成されたものであってもよいし、側面からナイフ様の器具で組織の内部に切り込みを入れることにより形成されたものでもよい。また、不連続部は、2以上のタンパク質シートを積層し、各シートの表面同士を部分的に接着することにより形成したものでもよい。
タンパク質シートとしては、通常の方法で製造された、タンパク質を含み、食肉を含まない高水分系の肉様食品を用いることができる。
【0080】
接着剤として、トランスグルタミナーゼ、加工デンプン、メチル化セルロース、ピロリン酸、大豆分離タンパク、小麦グルテン、カードラン、ゲル化剤を好ましく用いることができる。
【0081】
また、本発明の肉様食品は、エクストルーダーにより押出成形されたものであることが好ましく、本発明の肉様食品は、特に好ましくは、先に説明した第1の発明の製造方法により製造されたものである。
【0082】
また、本発明の肉様食品は、テンダー処理による細孔を有している形態が好ましい。テンダー処理として、穴あけ処理が挙げられる。テンダー処理は、例えば、テンダライズ器具を用いて行うことができる。テンダー処理を行うことにより、調味液等の液体を浸透させやすくなる。
【0083】
前述の構造的特徴を有する、本発明の肉様食品は、鶏肉のような良好な食感を有する。また、不連続部が存在することにより、調味液を浸透させやすいという追加の効果も得られる。
【0084】
<第3の発明>特定の物性の肉様食品
本発明者らは、第1の発明の製造方法により製造した肉様食品について、その鶏肉のような良好な食感を実現するための物性について解明している。
すなわち、本発明の肉様食品は、テンシプレッサーによって、以下の方法により異なる2以上の点を測定した平均の値が、以下の(A)~(D)の少なくとも一つを満たす。
なお、本明細書において、テンシプレッサーとは、タケトモ電機製の製品名テンシプレッサー My Boy II Systemを指す。テンシプレッサーは、試料にプランジャーを上下に振動させながら力を加えて少しずつ試料を変形させていき、各種パラメーターの測定をするものであり、その原理については、特開2005-84044に記載されている。
【0085】
(A)破断応力(Tenderness)が、10000gw/cm2以上47000gw/cm2以下、好ましくは15000gw/cm2以上30000gw/cm2以下、より好ましくは18000gw/cm2以上25000gw/cm2以下、さらに好ましくは20000gw/cm2以上24000gw/cm2以下、特に好ましくは22000gw/cm2以上23000gw/cm2以下
(B)総仕事量(Toughness)が、5000gw/cm2以上15300gw/cm2以下、好ましくは8000gw/cm2以上14000gw/cm2以下、より好ましくは10000gw/cm2以上13000gw/cm2以下、さらに好ましくは11000gw/cm2以上12000gw/cm2以下
(C)柔軟性(Pliability)が、0.5以上2.1以下、好ましくは0.9以上2.1以下、より好ましくは1.0以上1.5以下、さらに好ましくは1.1以上1.3以下
(D)脆さ(Brittleness)が、1.3以上3.5以下、好ましくは1.4以上3.0以下、より好ましくは1.6以上2.5以下、さらに好ましくは1.8以上2.0以下
【0086】
また、本発明の肉様食品は、前記物性(A)~(D)のうち好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上、さらに好ましくは全てについて、前記範囲を満たすことが好ましい。
【0087】
以下、テンシプレッサーによる測定方法について記載する。
タケトモ電機製テンシプレッサー(製品名テンシプレッサー My Boy II System)を用い、以下の方法で測定する。
測定対象とする試料は、繊維方向に対して垂直方向の厚みが15mmとなるように調製する。
円筒型φ5mmのプランジャーを用い、多重積算バイト法で測定した。
測定温度は、20℃とする。なお、測定温度が低くなると、破断応力と総仕事量が大きくなる傾向があり、高くなると小さくなる傾向がある。
その他の条件としては、Bite Speed:2.00mm/sec、Second Speed:2.00mm/sec、Plansure Area:0.041 cm2、Add Value:0.100mmとした。
【0088】
破断応力(Tenderness)、総仕事量(Toughness)、柔軟性(Pliability)、及び脆さ(Brittleness)は、テンシプレッサーによって試料にプランジャーを上下に振動させながら力を加えて少しずつ試料を変形させていき、破断が起きるまでの測定値から測定することができる。
【0089】
破断応力(Tenderness)は、プランジャーを試料に侵入させ、試料が破断した時(
図4の背圧応力曲線の最大値D点)の時の圧縮応力曲線のA点の圧縮応力である。柔らかさを表し、値が大きいほど固い。
【0090】
総仕事量(Toughness)は、破断するまでの仕事量であり、
図4中の曲面AEBCの面積で表される。値が大きいほど噛み応えがある。
【0091】
柔軟性(Pliability)は、
図4中の面積比(△ABC/曲面AEBC)で表される。しなやかさを表し、値が大きいほど噛み切り難い。
【0092】
脆さ(Brittleness)は、(試料の厚さ/プランジャーの侵入距離(
図4中L))で表される。値が大きいほど脆い。
【0093】
測定は2以上の点で行い平均の値を算出する。測定点の数は、統計的に有意な数であればよい。測定点の数は、好ましくは3点以上、より好ましくは5点以上である。
【0094】
混錬物中の水分量を減らすと、スポンジ状になり、破断応力(Tenderness)、及び柔軟性(Pliability)は大きくなり、脆さ(Brittleness)は小さくなる傾向がある。
【0095】
第2の発明、第3の発明の肉様食品は、好ましくは水分量が50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。また、水分量の上限の目安は、80質量%、好ましくは75質量%、より好ましくは70質量%である。
【0096】
本発明の肉様食品は、所望により、調味液等の液体を塗布、又は調味液等の液体に浸漬したのち、好ましくは、プラスチック製のフィルム材で包装され、レトルト殺菌し、レトルトパウチ入り肉様食品とすることができる。
【0097】
なお、レトルト処理後の肉様食品は、組織内に保持されている余剰の水分量を、取り除くことによって、押出成形物に含まれる水分量と同じ水分量を含んでいるとみなすことができる。組織内に保持されている余剰の水分量を取り除く方法として、例えば、5mm程度に粉砕し、圧力をかけて水分を押し出す方法が挙げられる。
【0098】
<第4の発明>肉様食品の製造方法(風味改良)
本発明は、食肉を含まない肉様食品の製造方法であって、
エクストルーダーを用い、加熱しながらタンパク質を含む原材料と水を混錬し得られた混練物を押出成形することで、押出成形物を製造する押出成形工程を含む。
本発明の特徴は、エクストルーダーに投入する原材料として、エクストルーダーを用いて得られた押出成形物を用いる点である。
すなわち、タンパク質を原料としてエクストルーダーで押出成形された押出成形物を、再度、エクストルーダーに投入して押出成形物を得る。
【0099】
原材料とする押出成形物は、特に制限されず、市販されている肉様食品を用いてもよいし、公知の技術によってタンパク質を用いてエクストルーダーで製造したものを用いてもよい。
原材料とする押出成形物としては、低水分のものを好ましく用いることができる。押出成形物中の水分量は、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
【0100】
本発明における押出成形工程では、原材料である押出成形物と水とをエクストルーダーに入れ、加熱しながら混錬し得られた混錬物を押出成形することで、押出成形物を製造する。
本発明の製造方法では、肉様食品の製造に利用可能なエクストルーダーを特に制限なく用いることができる。スクリューは2軸であることが好ましい。エクストルーダーとしては、例えばBuhler社製、Coperion社製、幸和工業社製の装置など、適宜用いることができる。
【0101】
エクストルーダー処理は、高水分系エクストルーダー処理(緻密な繊維状構造を作る)でも、低水分系エクストルーダー処理(スポンジ状の構造を作る)でもよい。
【0102】
すなわち、原材料に加える水、加熱温度、冷却の程度を調整することで、押出成形物の水分量、組織構造を変化させることができ、本発明においては任意に選択することができる。
【0103】
本発明においては、前記押出成形工程を1回以上含むことが好ましい。ここで、1回目以降の押出成形工程における前記原材料は、前回の押出成形工程で得られた押出成形物である。
すなわち、最終製品となる最終の押出成形物を得るまでに、エクストルーダーでの処理が2回以上行われることにより、より風味の改良ができる。
【0104】
最後の押出成形工程は、最終の押出成形物として求める形態に合わせて、その条件を設定することができる。例えば、第1の発明で説明したような形態をとることが好ましい。
【0105】
途中の(最後ではない)押出成形工程で得られる押出成形物はどのような形態で得てもよく、低水分系の押出成形物として得ることも好ましい。より具体的には、水分量が45質量%以下の押出成形物であることが好ましい。また、混錬物の最高品温が130℃以上となるエクストルーダー処理によって得られた押出成形物であることが好ましい。
【0106】
前記押出成形工程の前に、前記原材料(前の押出成形工程で得られた押出成形物)を洗浄し、脱水する、洗浄・脱水工程を含むことも好ましい。洗浄、脱水処理を行うことによって、大豆等のタンパク質原料の風味を低減することができる。
また、脱水後は乾燥させてもよいし、乾燥させなくてもよい。次の押出成形工程の配合において好ましい範囲に調整可能な範囲であれば、水分を含んでいてもよい。
【0107】
具体的な形態として、低水分系エクストルーダー処理(スポンジ状の構造を得る処理)を1~3回行った後に、最後に第1の発明で説明した処理を行うことが、好ましい。
【0108】
その他は、通常のエクストルーダーを用いた肉様食品の製造方法における任意の態様を適宜選択することができる。また、第1の発明で説明したような好ましい形態に即して肉様食品を製造することができる。
【実施例0109】
<製造方法>
[実施例1]
タンパク質65質量%、デンプン10質量%を含む原材料(残余は、デンプン以外の炭水化物、カルシウム塩、脂質)と、水をエクストルーダーに投入し、加熱、加圧しながら混錬して、冷却ダイから押し出すことにより肉様食品を得た。タンパク質としては、大豆由来のタンパク質、及び小麦由来のタンパク質を質量比で1:1となるように調整した。押出成形物中の水分量と、押出成形物中の中心温度は、表1に示す通りである。
【0110】
混錬物中の水分量は、35質量%~80質量%の範囲内で調整した。また、混錬物の最高品温は、145℃~180℃の範囲内で調整した。
なお、混錬物中の水分量を多くすれば、押出成形物中の水分量も多くなる。また、混錬物の最高品温を高くすると、押出成形物中の中心温度も高くなる。また、混錬物の最高品温を高くすると、混錬物中の水分量に対する押出成形物中の水分量は少なくなる。
本実施例では、混錬物中の水分量と押出成形物の水分量の差が5~10質量%、混錬物中の最高品温と押出成形物の中心部品温の差が30~65℃となるように、加温及び冷却を行った。
エクストルーダーとしては、2軸のスクリューのものを用いた(Coperion社製)。
また、冷却ダイとしては、出口サイズが幅75mm、厚さ10mmの、シート形状に成形可能な装置を用いた。
【0111】
押出成形物は、75~100mm(吐出方向、繊維方向に垂直方向の長さ)×10~20mm(厚さ)であり、これを、吐出方向、繊維方向に沿った方向の長さが60mm程度となるようにカットし、1枚の押出成形物とした。
得られた押出成形物1枚について、水を200mL加えレトルト殺菌して、レトルトパウチ肉様食品を得た。その後、常温(25℃)まで冷却した後、レトルトパウチを開封し、肉様食品を取り出した。
肉様食品の食感を、専門パネラー1名にて評価した。食感が良好であるものは〇、食感が普通であるものは△、食感が悪いもの、あるいはシート形状にならなかったものは×とした。結果を表1に示す(空欄は未実施)。
押出成形物の水分量が45質量%以上60質量%以下かつ、押出成形物中の中心部品温が110℃以上125℃以下の肉様食品は、鶏肉のような良好な食感であった。
【0112】
【0113】
[実施例2]
タンパク質、デンプンを含む原材料と、水をエクストルーダーに投入し、実施例1と同様に、加熱、加圧しながら混錬して、冷却ダイから押し出すことにより肉様食品を得た。タンパク質としては、大豆由来のタンパク質、及び小麦由来のタンパク質を質量比で1:1となるように調整した。固形分中のタンパク質及びデンプンの含有率は、表2に示す通りである。
原材料中の他の成分として、デンプン以外の炭水化物、脂質、微量のカルシウム塩を用いた。
【0114】
混錬物中の水分量は、45質量%~70質量%の範囲内で調整した。また、混錬物の最高品温は、145℃~180℃の範囲内で調整した。
本実施例では、混錬物中の水分量と押出成形物の水分量の差が5質量%~10質量%、混錬物中の最高品温と押出成形物の中心部品温の差が30℃~65℃となるように、加温及び冷却を行った。
【0115】
押出成形物の水分量、押出成形物の中心部品温、原料中のタンパク質及びデンプンの含有量が異なる肉様食品を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例2で製造したすべての肉様食品は、鶏肉のような良好な食感であった。
【0116】
【0117】
[実施例3]
実施例1と同様の方法にて、タンパク質、デンプンを含む原材料と、水をエクストルーダーに投入し、加熱、加圧しながら混錬して、冷却ダイから押し出すことにより肉様食品を得た。タンパク質としては、大豆由来のタンパク質、及び小麦由来のタンパク質を用いた。原材料中のタンパク質及びデンプンの含有率は、表3に示す通りである。
原材料中の他の成分として、デンプン以外の炭水化物、脂質、微量のカルシウム塩を用いた。
【0118】
混錬物中の水分量は、45質量%~70質量%の範囲内で調整した。また、混錬物の最高品温は、145℃~180℃の範囲内で調整した。
本実施例では、混錬物中の水分量と押出成形物の水分量の差が5~10質量%、混錬物中の最高品温と押出成形物の中心部品温の差が30~65℃となるように、加温及び冷却を行った。
【0119】
押出成形物の水分量、押出成形物の中心部品温、原料中のタンパク質及びデンプンの含有量、タンパク質の原料が異なる肉様食品を製造し、実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
実施例3で製造したすべての肉様食品は、鶏肉のような良好な食感であった。
【0120】
【0121】
<肉様食品の構造と食感についての評価>
[実施例4]
実施例1で製造した12のサンプル(No.1~No.12)について、肉様食品の構造と食感の関係を評価した。
また、比較例として、以下のサンプルも準備した。
押出成形物は、横(吐出方向に垂直方向の長さ)80~95mm、厚さ約17~20mmのシート状であった。縦(吐出方向に沿った方向の長さ)は約60mmとなるようにカットした。
【0122】
(比較例1)
実施例1の仕込みにおいて、混錬物中の水分量のみ30質量%に変更し、強制冷却機能のないダイを用いて、吐出時に冷却せずに膨化させ、押出成形物の水分量が約15質量%の肉様食品を製造した。
押出成形物は、横(吐出方向に垂直方向の長さ)30~40mm、厚さ10~15mm程度の棒状であった。
【0123】
(比較例2)
実施例1の仕込みにおいて、押出成形物の中心部品温が80℃となるように冷却ダイを調整して、肉様食品を製造した。押出成形物の水分量は、実施例よりも多少高かった。
押出成形物は、横(吐出方向に垂直方向の長さ)80mm、厚さが約13mmであった。縦(吐出方向に沿った方向の長さ)は約60mmとなるようにカットした。
【0124】
得られた押出成形物について、水を加えレトルト殺菌して、レトルトパウチ肉様食品を得た。その後、常温まで冷却した後、レトルトパウチを開封し、肉様食品を取り出した。
肉様食品を
図7の実線で示す位置で、繊維方向に対して垂直にカットし、約4mm幅の試料を作製して、断面に形成された空隙の状態を観察した。
また、繊維方向に対して垂直方向の断面で観察可能な空隙の断面における長径、肉様食品の表面から空隙までの密着部の厚さ(厚さ方向に沿った距離、
図5・6のA、B)、空隙と空隙の間の密着部の厚さ(厚さ方向に沿った距離、
図6のC)を、肉様食品を撮影した画像から測定した。
実施例、及び比較例の測定は、各サンプルにつき任意の3つの断面について、
図8に点線で示すように、形成した断面の両端10mmを除いた箇所に、3mm毎に観察軸を設け、この観察軸に沿って各項目について測定した。
結果を表4に示す。
実施例1で製造した12のサンプル(No.1~No.12)の肉様食品は、何れも良好な食感であった(評価:〇)。
一方、比較例1の肉様食品は、噛み応えがなく、スポンジのような食感であった(評価:×)。
また、比較例2の肉様食品は、噛み応えがあるものの、軟らかさや崩れ感に劣るものであった(評価:△)。
【0125】
【0126】
[実施例5]
実施例4における比較例2の肉様食品について側面からナイフを差し込み、内部に切り込みを入れることにより空隙を形成し、食感について評価した。
その結果、比較例2に比較すると軟らかさや崩れ感が付与されていた(評価:〇)。ただし、実施例(No.1~12)の肉様食品と比較すると多少劣る食感であった。
【0127】
[実施例6]
比較例2に準ずる方法で、ダイの形状を調整し、厚さ約3mmの植物タンパク質シートを作製した。このシートをボイルした後、5枚重ね合わせ、各々をトランスグルタミナーゼで接着することにより空隙を形成し、真空パックで圧着した後、レトルト調理し、肉様食品を取り出して評価した。
その結果、比較例2に比較すると軟らかさや崩れ感が付与されていた(評価:〇)。ただし、実施例(No.1~12)の肉様食品と比較すると多少劣る食感であった。
【0128】
<肉様食品の物性の評価>
[実施例7]
実施例1で製造した12つのサンプル(No.1~No.12)について、肉様食品の物性と食感の関係を評価した。
また、比較例として、ZEN MEATブロックタイプについても評価した。
【0129】
レトルトした肉様食品を室温に戻し、表面の水分を軽く取り除いて、肉様食品の厚み方向を10mm~25mmに調製したものを試料とし、物性の評価を行った。
比較例についても同様にレトルトしたものを用いた。
【0130】
テンシプレッサー(テンシプレッサー My Boy II System(タケトモ電機製))によって、厚さ方向(繊維方向に対して垂直方向)から、試料にプランジャーを上下に振動させながら力を加えて、少しずつ試料を変形させていき、破断が起きるまでの測定値から、破断応力(Tenderness)、総仕事量(Toughness)、柔軟性(Pliability)、脆さ(Brittleness)を測定した。測定方法は、独立行政法人家畜改良センターの方法に準じる。1つのサンプルについて2点以上測定し、その平均値を表5に示す。
測定条件は以下の通りである。
試料の厚さ:繊維方向に対して垂直方向に10mm~25mm
プランジャー:円筒型φ5mm
Bite Speed:2.00mm/sec
Second Speed:2.00mm/sec
Plansure Area:0.041 cm2
Add Value:0.100mm
温度:20℃±5℃
測定方法:多重積算バイト法
【0131】
破断応力(Tenderness)、総仕事量(Toughness)、柔軟性(Pliability)、及び脆さ(Brittleness)は、テンシプレッサーによって試料にプランジャーを上下に振動させながら力を加えて少しずつ試料を変形させていき、破断が起きるまでの測定値から測定することができる。
【0132】
破断応力(Tenderness)は、プランジャーを試料に侵入させ、試料が破断した時(
図4の背圧応力曲線の最大値D点)の時の圧縮応力曲線のA点の圧縮応力である。柔らかさを表し、値が大きいほど固い。
【0133】
総仕事量(Toughness)は、破断するまでの仕事量であり、
図4中の曲面AEBCの面積で表される。値が大きいほど噛み応えがある。
【0134】
柔軟性(Pliability)は、
図4中の面積比(△ABC/曲面AEBC)で表される。しなやかさを表し、値が大きいほど噛み切り難い。
【0135】
脆さ(Brittleness)は、(試料の厚さ/プランジャーの侵入距離(
図4中L))で表される。値が大きいほど脆い。
【0136】
【0137】
[実施例8]
タンパク質を原料としてエクストルーダーで押出成形された押出成形物を、再度、エクストルーダーに投入して押出成形物を得て、喫食評価を行った。タンパク質原料として、粉末タンパク質原料A(濃縮大豆タンパク質)、及び粉末タンパク質原料B(分離大豆タンパク質)を用いた。結果を表7に示す。
なお、粉末タンパク質原料Aは、タンパク質を約68%含み、粉末タンパク質原料Bは、タンパク質を約90%含む。
[実施例8-1]
粉末タンパク質原料A、Bに、低水分系エクストルーダー処理を1~3回行い、喫食評価を行った。
[実施例8-2]
粉末タンパク質原料Bに、低水分系エクストルーダー処理を0~3回行ったものに対し、さらに高水分系エクストルーダー処理を行い、喫食評価を行った。高水分系エクストルーダー処理は、配合2の条件で行った。
[実施例8-3]
粉末タンパク質原料Bに低水分系エクストルーダー処理を1回行った後、洗浄、脱水処理を行い、さらに高水分系エクストルーダー処理を1回行い、喫食評価を行った。高水分系エクストルーダー処理は、それぞれ配合1~3の条件で行った。
なお、洗浄・脱水処理とは、得られた押出成形物に対して水あるいは湯を加えて浸漬、撹拌した後、ザルなどで水分を除去し、さらに乾燥させて、次のエクストルーダー処理に適した水分量になるまで水分を除去する工程である。
【0138】
低水分系エクストルーダー処理とは、原材料と水をエクストルーダーに投入し、加熱、加圧しながら混錬して、ダイから押し出し、スポンジ状あるいはパフ状の押出成形物を得る工程である。本実施例では、混錬物中の水分量が30質量%、押出成形物中の水分量が15質量%となるようにした。
【0139】
高水分系エクストルーダー処理とは、原材料と水をエクストルーダーに投入し、加熱、加圧しながら混錬して、冷却ダイから押し出す工程である。本実施例の配合・条件を表6に示す。
【0140】
【0141】
【0142】
喫食評価の結果、風味がよかったものから順に「+++++」、「++++」、「+++」、「++」、「+」、「-」とした。結果を表7に示す。
エクストルーダー処理の回数を増やすほど、風味の改善が見られた。また、洗浄、脱水処理をおこなったものはいずれも風味が特によかった。
肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察したときに、断面における長径が0.5mm以上の全ての不連続部のうち、断面における長径が3mm以上の不連続部の割合が10%以上である、請求項1~4の何れかに記載の肉様食品。
肉様食品の繊維方向に対して垂直方向の任意の断面において観察したときに、断面における長径が7.5mm以上の不連続部を含む、請求項1~5の何れかに記載の肉様食品。