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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161160
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】異物検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20221014BHJP
   G01N 21/90 20060101ALI20221014BHJP
   G01N 21/15 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
G01N21/90 D
G01N21/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065758
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小田 幸秀
(72)【発明者】
【氏名】村上 慎一
【テーマコード(参考)】
2G051
2G057
【Fターム(参考)】
2G051AA28
2G051AB01
2G051BA02
2G051BB02
2G051BC02
2G051BC09
2G051CA04
2G051CB05
2G051CC07
2G051CD09
2G051DA06
2G051EA23
2G057AA02
2G057AC06
2G057HA08
2G057JA03
2G057JB07
(57)【要約】
【課題】焼成炉内にある焼成物上の異物を検出できる異物検出装置を提供する。
【解決手段】焼成物が搬送装置Tによって搬送されている状態で画像に基づいて焼成物上の異物を検出する異物検出装置1であって、異物検出装置1は、搬送装置Tによって搬送されている状態の焼成物を撮影する撮像装置10と、撮像装置10の作動を制御する制御部30と、撮像装置10が設置される内部空間2hを有するケース2と、を備えており、ケース2は、搬送装置Tによって搬送されている状態の焼成物と対向するように配設される、撮像装置10が焼成物を撮影するための撮影用開口2sが形成された第一壁2aと、内部空間2h内に冷却用気体を導入する気体供給口2gと、内部空間2h内から気体を排出する気体排出口2fと、がそれぞれ形成された、互いに対向する一対の第二壁2b,2bと、を有しており、気体供給口2gと気体排出口2fの間に撮像装置10が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成装置で焼成された焼成物が搬送装置によって搬送されている状態で焼成物を撮影し撮影した画像に基づいて焼成物上の異物を検出する異物検出装置であって、
該異物検出装置は、
前記搬送装置によって搬送されている状態の焼成物を撮影する撮像装置と、
該撮像装置の作動を制御する制御部と、
前記撮像装置が設置される内部空間を有するケースと、を備えており、
該ケースは、
前記搬送装置によって搬送されている状態の焼成物と対向するように配設される、前記撮像装置が焼成物を撮影するための撮影用開口が形成された第一壁と、
前記内部空間内に冷却用気体を導入する気体供給口と、前記内部空間内から気体を排出する気体排出口と、がそれぞれ形成された、互いに対向する一対の第二壁と、を有しており、
前記気体供給口と前記気体排出口の間に前記撮像装置が設けられている
ことを特徴とする異物検出装置。
【請求項2】
前記ケース内には、
前記撮影用開口を覆うように光を透過しない部材によって形成された有底筒状の遮光部が設けられており、
該遮光部の底部には、光を透過する窓部が形成されており、
前記撮像装置は、
前記窓部と前記撮影用開口とを通して、前記搬送装置によって搬送されている状態の焼成物を撮影可能な位置に配設されている
ことを特徴とする請求項1記載の異物検出装置。
【請求項3】
前記遮光部の底部には、
該遮光部内とケース内とを連通する貫通孔が形成されている
ことを特徴とする請求項2記載の異物検出装置。
【請求項4】
前記ケース内外の差圧を測定する差圧センサを備えている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の異物検出装置。
【請求項5】
前記ケース内の温度を測定する温度センサを備えている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の異物検出装置。
【請求項6】
焼成物が、
開口を有する耐熱容器に入れた状態で被焼成物を焼成して製造されたものであり、
前記搬送装置は、
開口を上方に向けた状態で前記耐熱容器を搬送する搬送経路を有しており、
該搬送経路の上方に、該搬送経路内を外部から撮影可能となるように形成された連通開口を有しており、
前記ケースは、
前記搬送装置に形成された連通開口と前記第一壁に設けられた撮影用開口とが対向するように配設されており、
前記制御部は、
前記搬送装置の搬送経路において、前記撮像装置の撮像領域内に前記耐熱容器が配置されたことを検出する耐熱容器検出部を備えており、
該耐熱容器検出部が前記耐熱容器を検出すると前記撮像装置による撮像を実施する機能を有している
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の異物検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物検出装置に関する。さらに詳しくは、焼成物上の異物を検出するための異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の粉体材料を製造する方法として、粉体を一旦塊状に焼成して焼成物を製造し、この焼成物を解砕することが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。かかる方法によって粉体材料を製造する場合、焼成する粉体を耐熱容器内に入れた状態で焼成炉内に搬入し、焼成炉内で焼成された後、耐熱容器内から焼成物を取り出して解砕装置によって解砕することによって、目的とする粉体材料を得ることができる。
【0003】
ここで、耐熱容器は上部が開口した容器であるので、耐熱容器内に粉体を入れた状態で搬送した場合、開口から耐熱容器内に異物が入る可能性がある。例えば、焼成時の反応により焼成炉の部材が破損した場合、破損した部材が落下して耐熱容器内に入る可能性がある。また、焼成時の反応により焼成炉の内面に生成物が付着した場合、生成物が落下して耐熱容器内に入る可能性がある。かかる異物が耐熱容器内に入った状態で粉体が焼成され解砕装置に供給されれば、異物も焼成物と一緒に解砕されることになる。異物が焼成物と一緒に解砕されてしまえば、解砕した粉体材料から異物を除去することは困難になる。したがって、耐熱容器に異物が入った場合、解砕工程までに耐熱容器から異物を取り除く、または、異物が入った耐熱容器自体を取り除く必要があるので、焼成炉で焼成された焼成物を収容している状態で耐熱容器内の異物を検出することが必要になる。
【0004】
従来、耐熱容器内の焼成物への異物の混入は、搬送装置によって耐熱容器が焼成炉から解砕工程まで搬送される間に、作業者が目視によって異物の有無を確認していた。例えば、搬送装置に搬送装置内を視認できる窓等を設け、この窓等を通して作業者が目視によって耐熱容器内の異物の有無を確認していた。しかし、焼成炉近傍は焼成炉の熱によって高温となっており、また、焼成物から発生する粉塵等が飛散する過酷な作業環境であるので、作業者が目視で精度よく耐熱容器内の異物の有無を確認することは困難である。
【0005】
ところで、作業者の目視に代えて異物の有無等を検査する方法として、カメラなどの撮像装置を使用した検査方法が採用される場合がある(特許文献3参照)。搬送装置によって搬送されている耐熱容器についても、作業者の目視に代えて撮像装置を使用した検査を行えば、作業者の検査負担を軽減できるし耐熱容器内の異物の有無を検出する精度を向上できる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4768044号公報
【特許文献2】特開2019-104646号公報
【特許文献3】特開2004-179190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、焼成炉近傍は上記したような厳しい環境であるので、搬送装置によって搬送されている耐熱容器を撮像装置によって撮影し異物の有無を検査することは困難であり、これまで、搬送装置によって搬送されている耐熱容器を撮像装置によって検査した事例はない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、焼成物上の異物を画像により検出できる異物検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の異物検出装置は、焼成装置で焼成された焼成物が搬送装置によって搬送されている状態で焼成物を撮影し撮影した画像に基づいて焼成物上の異物を検出する異物検出装置であって、該異物検出装置は、前記搬送装置によって搬送されている状態の焼成物を撮影する撮像装置と、該撮像装置の作動を制御する制御部と、前記撮像装置が設置される内部空間を有するケースと、を備えており、該ケースは、前記搬送装置によって搬送されている状態の焼成物と対向するように配設される、前記撮像装置が焼成物を撮影するための撮影用開口が形成された第一壁と、前記内部空間内に冷却用気体を導入する気体供給口と、前記内部空間内から気体を排出する気体排出口と、がそれぞれ形成された、互いに対向する一対の第二壁と、を有しており、前記気体供給口と前記気体排出口の間に前記撮像装置が設けられていることを特徴とする。
第2発明の異物検出装置は、第1発明において、前記ケース内には、前記撮影用開口を覆うように光を透過しない部材によって形成された有底筒状の遮光部が設けられており、該遮光部の底部には、光を透過する窓部が形成されており、前記撮像装置は、前記窓部と前記撮影用開口とを通して、前記搬送装置によって搬送されている状態の焼成物を撮影可能な位置に配設されていることを特徴とする。
第3発明の異物検出装置は、第2発明において、前記遮光部の底部には、該遮光部内とケース内とを連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする。
第4発明の異物検出装置は、第1、第2または第3発明において、前記ケース内外の差圧を測定する差圧センサを備えていることを特徴とする。
第5発明の異物検出装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記ケース内の温度を測定する温度センサを備えていることを特徴とする。
第6発明の異物検出装置は、第1から第5発明のいずれかにおいて、焼成物が、開口を有する耐熱容器に入れた状態で被焼成物を焼成して製造されたものであり、前記搬送装置は、開口を上方に向けた状態で前記耐熱容器を搬送する搬送経路を有しており、該搬送経路の上方に、該搬送経路内を外部から撮影可能となるように形成された連通開口を有しており、前記ケースは、前記搬送装置に形成された連通開口と前記第一壁に設けられた撮影用開口とが対向するように配設されており、前記制御部は、前記搬送装置の搬送経路において、前記撮像装置の撮像領域内に前記耐熱容器が配置されたことを検出する耐熱容器検出部を備えており、該耐熱容器検出部が前記耐熱容器を検出すると前記撮像装置による撮像を実施する機能を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、撮像装置をケース内に収容することによって外部から遮断しつつ、ケース内および撮像装置を冷却用気体によって冷却できるので、高温や粉じんが飛散する環境であっても撮像装置によって焼成物の表面に存在する異物を検出することができる。
第2発明によれば、外部光が撮像装置の撮像部に入光することを防止できるので、異物の検出精度の低下を防止できる。
第3発明によれば、遮光部内の空気が高温になることを防止できる。
第4、5発明によれば、ケース内の状態を把握できるので、ケース内の撮像装置の損傷を防ぐことができ、異物の検出精度の低下を防止できる。
第6発明によれば、耐熱容器に入れられた状態で焼成物が搬送装置によって搬送されても、耐熱容器内の焼成物上に存在する異物の有無を精度よく検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の異物検出装置1を搬送装置Tに設置した状態の概略説側面図である。
図2】本実施形態の異物検出装置1を搬送装置Tに設置した状態の概略正面図である。
図3】(A)は図2のIIIA-IIIA線断面図であり、(B)は(A)のB-B線断面図である。
図4】(A)は他の実施形態の異物検出装置1における図2のIIIA-IIIA線概略断面図に相当する概略断面図であり、(B)は(A)のB-B線断面図である。
図5】(A)は他の実施形態の遮光部15Bを設けた異物検出装置1の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の異物検出装置は、焼成炉で焼成される焼成物上の異物を検出する装置であって、焼成物上の異物を画像によって検出できるようにしたことに特徴を有している。
【0013】
また、本実施形態の異物検出装置によって異物が検出される焼成物を焼成する焼成装置はとくに限定されない。公知の焼成装置で焼成した焼成物上に存在する異物の検出に本実施形態の異物検出装置を適用することができる。とくに、被焼成物を耐熱容器に収容した状態で焼成物を焼成する焼成装置において、耐熱容器内の焼成物上の異物を検出する装置として本実施形態の異物検出装置は適している。
【0014】
以下では、耐熱容器に収容した状態で焼成装置によって焼成された焼成物を、焼成物を耐熱容器に入れたまま搬送装置によって搬送する過程において、本実施形態の異物検出装置によって焼成物上の異物、つまり、耐熱容器内の異物を検出する場合を代表として説明する。
【0015】
もちろん、搬送装置が、焼成された焼成物を耐熱容器等に入れていない状態、つまり、焼成物がコンベア等の上に直接載せられた状態で搬送する機構を有する場合でも、本実施形態の異物検出装置によって搬送装置によって搬送されている状態の焼成物上の異物を検出することは可能である。
【0016】
<搬送装置T>
図1および図2において、符号Cは耐熱容器を示している。この耐熱容器Cは、上部に開口を有する容器であり、内部に被焼成物を収容することができるものである。この耐熱容器Cは、被焼成物を内部に入れた状態で焼成装置によって焼成することができるものである。そして、耐熱容器Cは、焼成装置によって焼成された焼成物を内部に入れたままで、後述する搬送装置Tによって搬送される。
【0017】
搬送装置Tは、内部に耐熱容器Cを搬送する搬送経路Thを有する中空なケーシングTcを有しており、ケーシングTcによって耐熱容器Cが搬送される搬送経路Th内と外部との間を気密に遮断している。このケーシングTcの搬送経路Th内には複数の搬送ローラRが設けられている。このため、ケーシングTcの搬送経路Th内の複数の搬送ローラR上に耐熱容器Cを載せると、複数の搬送ローラRを回転させることによって、上流側工程(焼成装置)から下流側工程(解砕装置)に向かって耐熱容器Cを搬送することができる。
なお、搬送装置Tは、直接、上流側工程および下流側工程と接続されていてもよいが、他の搬送装置等によって上流側工程および下流側工程と接続されていてもよい。
【0018】
図1および図2に示すように、搬送装置TのケーシングTcには、その上壁Taに搬送装置T内を外部から撮影可能とする連通開口Sが設けられている。具体的には、この連通開口Sを通して、本実施形態の異物検出装置1の撮像装置10が搬送経路Th内、つまり、搬送ローラR上の耐熱容器Cの内部(つまり焼成物の上面)を外部から撮影可能となるように、連通開口Sが設けられている。
【0019】
なお、連通開口Sには、ケーシングTc内部と外部との間を遮断するガラスなどの光透過性部材、つまり、その部材を通して撮像装置10による耐熱容器Cの内部が撮影可能となる部材を設けてもよい。光透過性部材を設ければ、搬送経路Th内を外部から気密に遮断した状態を維持できる。一方、連通開口Sに光透過性部材を設けない場合でも、後述するように、本実施形態の異物検出装置1のケース2や架台1bによって、連通開口Sと外部との連通を防止すれば、搬送経路Th内を外部から気密に遮断した状態に維持できる。
【0020】
<本実施形態の異物検出装置1>
図1および図2に示すように、搬送装置TのケーシングTcの上壁Taの連通開口Sの上方には、本実施形態の異物検出装置1が設けられている。図1に示すように、本実施形態の異物検出装置1は、撮像装置10等を収容したケース2が、架台1bを介して、搬送装置Tに設置されている。
【0021】
<架台1b>
架台1bは、その下端と上端が開口となった中空な筒状の部材であり、その下端が搬送装置Tの連通開口Sを覆うように搬送装置TのケーシングTcに気密に連結されている。一方、架台1bの上端は、その上端がケース2の後述する第一壁2aの撮影用開口2sを覆うように、ケース2に気密に連結されている。
【0022】
<ケース2>
図1および図2に示すように、架台1bの上端には、ケース2の第一壁2aが連結されている。図3に示すように、ケース2は、第一壁2aと、この第一壁2aと交差する4つの第二壁2bと、第二壁2bの上端縁を覆う第三壁2cと、から形成されている。具体的には、ケース2は、連結する壁同士が直交するように設けられた直方体に形成されており、ケース2内に、第一~第三壁2a~2cによって囲まれた中空な内部空間2hを有している。この内部空間2hには、後述する撮像装置10や照明装置20等が配設されている。
【0023】
このケース2は、4つの第二壁2b同士および4つの第二壁2bと第三壁2cとは気密に連結されているが、第一壁2aの外端縁と、4つの第二壁2bの下端縁とが着脱できるようになっている。つまり、4つの第二壁2bと第三壁2cとで形成されたカバー(以下単にカバーという場合がある)を、第一壁2aに対して着脱できるようになっている。なお、カバーの下端の内面または第一壁2aの外端縁には、カバーを第一壁2aに被せて両者を連結したときに、カバーの下端と第一壁2aの外端縁との隙間を気密に保つシール部材が設けられている。なお、ケース2の内部空間2hの気密性を高める上ではシール部材を設けることが望ましいが、シール部材は必ずしも設けなくてもよい。
【0024】
このカバーを形成する4つの第二壁2bのうち、対向する一対の第二壁2b,2b(図3(A)では上下に位置する一対の第二壁2b,2b、図3(B)では左右に位置する一対の第二壁2b,2b)には、それぞれ気体供給口2gと気体排出口2fとが設けられている。気体供給口2gと気体排出口2fの詳細は後述する。
【0025】
<遮光部15>
図3(B)に示すように、ケース2の第一壁2aには、その中央部に第一壁2aを貫通する貫通孔である撮影用開口2sが形成されている。より詳しくいえば、第一壁2aを上方から見たときに、気体供給口2gと気体排出口2fの間に位置するように撮影用開口2sが形成されている。この第一壁2aの内面、つまり、第一壁2aのケース2内に位置する内面には、遮光部15が設けられている。この遮光部15は、一端に開口を有する有底筒状の部材であり、その開口によって撮影用開口2sを覆うように設置されている。つまり、底部15bが第一壁2aと離間した状態となるように遮光部15は設置されている。
【0026】
この遮光部15の底部15bには、光を透過する窓部15wが形成されている。この窓部15wはガラスなどの光透過性部材によって形成されている。
【0027】
<撮像装置10>
この遮光部15の底部15bの上方には、撮像装置10が設けられている。この撮像装置10は、画像を撮影する機能を有する装置である。撮像装置10は、例えば、CCDカメラやCMOSセンサ内蔵カメラ等である。この撮像装置10は、取付部材10sを介して第一壁2aに設置されており、遮光部15の底部15bの窓部15wと撮影用開口2sを通して、第一壁2aの下方の空間、つまり、搬送装置Tの搬送経路Th内の耐熱容器Cを撮影できるように配設されている。例えば、撮像装置10がCCDカメラであれば、そのレンズが底部15bの内面と近接するように配置されている。
【0028】
<一対の照明部20,20>
図3に示すように、第一壁2aを貫通する貫通孔である撮影用開口2sの側方には、一対の照明部20,20が設けられている。より詳しくは、撮影用開口2sを挟む位置に一対の照明部20,20が設けられている。第一壁2aにおいて、一対の照明部20,20が設けられている位置には、それぞれ照明用窓wが設けられている。照明用窓wは、遮光部15の底部15bに設けられた窓部15wと同様に、ガラスなどの光透過性部材によって形成されている。したがって、一対の照明部20,20から照射された光は、照明用窓wを通して、搬送装置Tの搬送経路Th内に照射することができる。
【0029】
なお、照明部20は、搬送装置Tの搬送経路Th内に光を照射できるものであればよく、とくに限定されない。例えば、LEDライト等の一般的な照明装置を照明部20として使用できる。とくに、照明部20として、ストロボ発光させることができるものを使用すれば、消費電力を低減できるという点で好ましい。
【0030】
<制御部30>
図3に示すように、撮影装置10および一対の照明部20,20は、制御部30に電気的に接続されている。制御部30は、撮影装置10の撮影タイミングや一対の照明部20,20により光を照射するタイミング等を制御するものである。
【0031】
この制御部30は、搬送装置Tの搬送経路Thを搬送される耐熱容器Cを検出する耐熱容器検出部31を備えている(図1および図2参照)。この耐熱容器検出部31は、耐熱容器Cが搬送ローラRによって搬送されて、所定の位置に到達したことを検出するセンサである。より具体的には、耐熱容器検出部31は、搬送装置TのケーシングTcの連通開口Sと対応する位置、つまり、撮像装置10の撮影領域内に耐熱容器Cが到達したことを検出するセンサである。
【0032】
なお、耐熱容器検出部31は、耐熱容器Cを検出することができるセンサであって、耐熱性が有る程度高いものであればよく、とくに限定されない。例えば、光電センサ等の公知のセンサを耐熱容器検出部31として採用することができる。
【0033】
<気体供給口2gおよび気体排出口2f>
図3に示すように、カバーを形成する4つの第二壁2bのうち、対向する一対の第二壁2b,2bには、それぞれ気体供給口2gと気体排出口2fとが設けられている。
【0034】
気体供給口2gは、一方の第二壁2b(図3(B)では右側の第二壁2b)の下端部に形成されている。この気体供給口2gは、冷却用空気を供給するダクトDが連結されるものであり、気体供給口2gを通してケース2内に冷却用空気を導入できるように設けられている。
【0035】
一方、気体排出口2fは、他方の第二壁2b(図3(B)では左側の第二壁2b)の上端部に形成されている。この気体排出口2fには、ルーバーrが設けられており、ルーバーrを通してケース2内の気体を外部に排出できるように設けられている。
【0036】
つまり、気体供給口2gから導入された冷却用気体は、ケース2の内部空間2h内をその中央を通るように斜め上方に向かって流れて、気体排出口2fから外部に排出されるようになっている。したがって、気体供給口2gから気体排出口2fまで冷却用気体が流れる間に、気体供給口2gから導入された冷却用気体を撮像装置10に直接当てることができる。
【0037】
本実施形態の異物検出装置1は以上のごとく構成を有しているので、撮像装置10の撮影領域に耐熱容器Cが配置されれば、遮光部15の窓部15w、ケース2の第一壁2aの撮影用開口2s、搬送装置TのケーシングTcの上壁Taの連通開口S、および耐熱容器Cの開口を通して、撮像装置10が耐熱容器C内を撮影することができる。すると、耐熱容器C内の焼成物上に異物が存在しているか否かを、撮像装置10が撮影した画像に基づいて検出することができる。
【0038】
また、ケース2の内部空間2h内には気体供給口2gから冷却用気体が導入されているので、ケース2の内部空間2h内や撮像装置10等を冷却することができる。しかも、気体供給口2gから導入された冷却用気体が撮像装置10に直接当たるようになっている。したがって、高温の耐熱容器Cや焼成物からの熱がケース2等に加わったり異物検出装置1の周囲の環境の温度が高くなったりしても、撮像装置10による撮影を適切に行うことができ、撮像装置10等の熱による損傷も防止できる。例えば、ケース2の周囲の温度が45℃であっても、撮像装置10の温度を30℃程度に維持することができる。
【0039】
さらに、気体供給口2gからケース2の内部空間2h内に導入される冷却用気体の流量および気体排出口2fから排出する空気の流量を調整することによって、ケース2の内部空間2h内を外部よりも高い気圧、つまり、陽圧に維持できる。すると、ケース2の内部空間2h内に埃等が流入して、撮像装置10等に損傷を生じさせることも防止できる。
【0040】
<気体供給口2gおよび気体排出口2fについて>
気体供給口2gと気体排出口2fは、導入された冷却用気体によってケース2の内部空間2hおよび撮像装置10を冷却できるのであれば、ケース2のどの位置に設けれてもよい。ケース2の下部から冷却用気体を導入でき、導入された冷却用気体が直接撮像装置10に当たり、その後ケース2の上部から冷却用気体が排出されるように形成されていれば、ケース2の内部空間2hおよび撮像装置10の冷却効果を高めることができる。
【0041】
上記例では、気体排出口2fにルーバーrを設けているので、ルーバーrの開度を調整することによって、ケース2の内部空間2h内の圧力が外気よりも高くなるように調整することができる。気体排出口2fから排出される気体の流量を調整することができるのであれば、気体排出口2fにはルーバー以外の機構を設けてもよい。
【0042】
<ケース2ついて>
ケース2の第一壁2aは、一枚の板状の部材で形成されていてもよいが、複数の部材で形成してもよい。例えば、図4に示すように、ベース部材bと、このベース部材bの内面に沿って移動可能な一対の移動プレートp1,p2と、によって第一壁2aを形成してもよい。この場合、ベース部材bに貫通孔h1を形成し、この貫通孔h1を覆うように、移動プレートp1、移動プレートp2の順に重ねて配置する。移動プレートp1には、ベース部材bの貫通孔h1と対応する位置に貫通孔h2を形成する。移動プレートp2には、ベース部材bの貫通孔h1および移動プレートp1の貫通孔h2と対応する位置に、上述した撮影用開口2sを形成する。また、移動プレートp2には、撮影用開口2sを挟む位置に、上述した照明用窓wを設ける。そして、移動プレートp1と移動プレートp2は、第一壁2aの内面に沿って互いに直交する方向(図4(A)のx,y方向)に移動可能かつ第一壁2aに対して固定可能に設置する。かかる構成とすれば、ケース2自体を搬送装置TのケーシングTcの上壁Taに対して移動させなくても、移動プレートp1と移動プレートp2とを移動させれば、撮像装置10の撮影領域を調整することができる。
【0043】
ケース2の形状は直方体に必られず、架台1bの上端または搬送装置Tの上壁Taと気密に連結できる形状であればよく、種々の形状を採用することができる。ケース2の形状が直方体でない場合でも、気体供給口2gと気体排出口2fは、ケース2の下部から冷却用気体を導入でき、導入された冷却用気体が撮像装置10の位置を通過し、ケース2の上部から冷却用気体が排出されるように形成されていることが望ましい。
【0044】
ケース2の大きさは、撮像装置10を内部に収容できる大きさであればよく、とくに限定されない。しかし、撮像装置10ケース内部を冷却性能を高くする上では、できるだけ小さい方が望ましい。撮像装置10の大きさにもよるが、撮像装置10が一般的なカメラであるような場合には、ケース2は、縦600~500mm、横500~400mm、高さ400~300mm程度が望ましい。
【0045】
また、ケース2内に設ける遮光部15の大きさもとくに限定されない。遮光部15の下端の開口は、撮影用開口2sよりも大きく(撮影用開口2sを覆うことができる大きさ)に形成されていればよい。また、遮光部15の高さは、撮像装置10を遮光部15の底部15bに設置した状態において、被写体である耐熱容器C内の焼成物や焼成物上の異物を適切に撮影できる高さに形成されていればよい。つまり、遮光部15の高さは、架台1bの高さや架台1bの有無、搬送装置TのケーシングTcの上壁Taから耐熱容器C内の焼成物までの距離、使用するカメラ等に応じた適切な高さに形成されていればよい。
【0046】
<架台1bについて>
架台1bは必ずしも設けなくてもよいが、架台1bを設ければ、以下のような利点が得られる。
【0047】
まず、架台1bを設ければ、撮像装置10から焼成物までの距離を長くすることができるので焼成物の熱による撮像装置10の損傷を防止し易くなる。
【0048】
また、撮像装置10による耐熱容器Cの内部の撮影を適切に行うことができる。撮像装置10によって耐熱容器Cの内部を撮影する際に、耐熱容器Cの内部全体にピントを合わせる上では、撮像装置10から焼成物までの距離が長いほうが好ましい。架台1bを設ければ、撮像装置10から焼成物までの距離を長くできるので、耐熱容器Cの内部全体をピントの合った状態で撮影しやすくなる。
【0049】
なお、架台1bを設けない場合には、ケース2の第一壁2aの撮影用開口2sと搬送装置Tの上壁Taの連通開口Sとが重なり合うように、ケース2の第一壁2aと搬送装置TのケーシングTcの上壁Taとを気密に連結すればよい。
また、架台1bを設けない場合でも、遮光部15を設ければ、撮像装置10から焼成物までの距離をある程度長くできるので、遮光部15を設けない場合に比べて、耐熱容器Cの内部全体をピントの合った状態で撮影しやすくなる。
【0050】
<遮光部15について>
遮光部15の底部15bには、遮光部15内の空間15hとケース2の内部空間2hとを連通する貫通孔15gを形成してもよい。かかる貫通孔15gを形成しておけば、ケース2の内部空間2hから空気を噴出させることによって、遮光部15の空間15hを冷却することができる。また、貫通孔15gを通して、ケース2の内部空間2hから空気を噴出させることによって、窓部15wにおける遮光部15の空間15hの内面に粉塵等の埃が付着することを防止できる。
【0051】
なお、遮光部15は必ずしも設けなくてもよいし、遮光部15の形状も上述したような有底筒状でなくてもよい。例えば、図5に示すように、撮像装置10の周囲を囲うような部材を設けて遮光部15Bとしてもよい。かかる遮光部15Bでも、撮像装置10の撮像部に外光が入ることを防止できる。また、撮像装置10の周囲を囲うような部材を設けて遮光部とした場合や、遮光部15を設けない場合には、上述したケース2の第一壁2aや移動プレートp2に形成された撮影用開口2sにガラスなどの光透過性部材Gを設けて、ケース2の内部空間2hと外部との間を気密に分離することが必要である。
【0052】
<制御部30について>
図3に示すように、制御部30は、差圧センサ32および温度センサ33を備えていてもよい。
【0053】
内部空間2hと外部との差圧を測定する差圧センサ32を設け、差圧センサ32の測定値を作業者に通知する機能を制御部30が有していれば、ケース2の内部空間2h内が外部に対して陰圧になっているか陽圧になっているかを作業者が把握できる。この場合、差圧センサ32の測定値に基づいて、ケース2の内部空間2h内を陽圧に維持するように作業者が操作できる。すると、ケース2の内部空間2hが陰圧になって周囲の埃等が内部に侵入することを防止できるので、埃等によって撮像装置10が故障したりすることを防止できる。例えば、気体供給口2gから供給される冷却用気体の流量や気体排出口2fから排出される気体の流量を作業者が調節することによって、ケース2の内部空間2h内を陽圧に維持することができる。
【0054】
もちろん、差圧センサ32の測定値に基づいて、冷却用気体の流量や気体排出口2fから排出される気体の流量を制御部30が自動で調整して、ケース2の内部空間2h内を陽圧に維持するようにしてもよい。
【0055】
なお、差圧センサ32は、内部空間2hと外部との差圧を適切に測定することができるものであればよく、公知の差圧センサを使用できる。また、差圧センサ32を設ける位置もとくに限定されず、内部空間2hと外部との差圧を適切に測定することができる位置に設置されていればよい。
【0056】
ケース2の内部空間2h内に温度センサ33を設け、温度センサ33の測定値を作業者に通知する機能を制御部30が有していれば、ケース2の内部空間2hの温度を作業者が把握できる。この場合、ケース2の内部空間2hの温度を適切な温度、つまり、撮像装置10の撮影が適正に実施できる温度(例えば0~50℃)に維持されているか否かを作業者が把握できる。すると、撮影異常によって検査精度が低下する前や撮像装置10が故障する前に、ケース2の内部空間2hの温度が適切な温度になるように作業者が調整することができる。例えば、気体供給口2gから供給される冷却用気体の流量や温度を作業者が調節することによって、ケース2の内部空間2hの温度を適切な温度に調整することができる。
【0057】
もちろん、温度センサ33の測定値に基づいて、気体供給口2gから供給される冷却用気体の流量や温度を制御部30が自動で調整して、ケース2の内部空間2h内を適切な温度に調整するようにしてもよい。
【0058】
なお、温度センサ33は、ケース2の内部空間2hの温度を適切に測定できるものであればよく、公知の温度センサを使用することができる。
また、温度センサ33を設ける位置もとくに限定されないが、撮像装置10の損傷を防止する上では、図3(A)に示すように撮像装置10の近傍や、冷却用気体の流路において撮像装置10の上流側に設けることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の異物検出装置は、焼成物上の異物を検出するための装置として適している。
【符号の説明】
【0060】
1 異物検出装置
2 ケース
2a 第一壁
2b 第二壁
2b 第二壁
2s 撮影用開口
2g 気体供給口
2f 気体排出口
10 撮像装置
15 遮光部
15b 底部
15w 窓部
15g 貫通孔
20 照明部
30 制御部
31 耐熱容器検出部
32 差圧センサ
33 温度センサ
T 搬送装置
Th 搬送経路
s 連通開口
C 耐熱容器
図1
図2
図3
図4
図5