(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161320
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】眼科装置、眼科装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066041
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 泰士
(72)【発明者】
【氏名】西 泰史
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AB03
4C316AB04
4C316AB11
4C316AB12
4C316FA18
4C316FY01
4C316FY02
4C316FY05
4C316FY06
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】信号光を走査しながら網膜の断層画像を撮影する際に、反射鏡で生じる偏光状態の変化を抑制する。
【解決手段】被検眼を走査する信号光を反射する反射鏡と、前記反射鏡を歪ませる力を付与する力付与部と、前記被検眼を走査する走査角度に応じて、前記信号光の偏光状態が所定の偏光状態となるように、前記力付与部を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼を走査する信号光を反射する反射鏡と、
前記反射鏡を歪ませる力を付与する力付与部と、
前記被検眼を走査する走査角度に応じて、前記信号光の偏光状態が所定の偏光状態となるように、前記力付与部を制御する制御部と、
を備えた眼科装置。
【請求項2】
前記反射鏡に付与する力は、応力、圧力、及び熱の少なくとも1つのエネルギである
請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記反射鏡は、楕円反射面を有する反射鏡である
請求項1又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記走査した走査角度で反射する前記反射鏡の位置を含む所定の領域に前記力を付与するように前記力付与部を制御する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記信号光の偏光状態を検出する偏光状態検出部を含み、
前記制御部は、前記偏光状態検出部で検出した偏光状態が所定の偏光状態となるように、前記力付与部を制御する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記被検眼を走査した走査角度と前記反射鏡に付与する力とを対応付けて予め記憶されたテーブルに基づいて、前記力付与部を制御する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記テーブルから前記走査角度に対応した調整量を取得し、
前記調整量により前記力付与部を制御する
請求項6に記載の眼科装置。
【請求項8】
被検眼を走査する信号光を反射する反射鏡と、前記反射鏡を歪ませる力を付与する力付与部と、を含む眼科装置のプロセッサが行う制御方法であって、
前記被検眼を走査する走査角度を取得するステップと、
前記走査角度に応じて、前記信号光の偏光状態が所定の偏光状態となるように、前記力付与部を制御するステップと、
を含む眼科装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
被検眼を信号光で走査する走査角度を取得するステップと、
前記走査角度に応じて、前記信号光の偏光状態が所定の偏光状態となるように、反射鏡を歪ませる力を付与する力付与部を制御するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、眼科装置、眼科装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、凹面鏡を用いた眼科装置が知られており、広角の計測が可能な眼科装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国公開第2020/0214557号公報
【発明の概要】
【0004】
開示の技術の第1の態様の眼科装置は、
被検眼を走査する信号光を反射する反射鏡と、
前記反射鏡を歪ませる力を付与する力付与部と、
前記被検眼を走査する走査角度に応じて、前記信号光の偏光状態が所定の偏光状態となるように、前記力付与部を制御する制御部と、
を備える。
【0005】
開示の技術の第2の態様の眼科装置の制御方法は、
被検眼を走査する信号光を反射する反射鏡と、前記反射鏡を歪ませる力を付与する力付与部と、を含む眼科装置のプロセッサが行う制御方法であって、
前記被検眼を走査する走査角度を取得するステップと、
前記走査角度に応じて、前記信号光の偏光状態が所定の偏光状態となるように、前記力付与部を制御するステップと、
を含む。
【0006】
開示の技術の第3の態様のプログラムは、
コンピュータに、
被検眼を信号光で走査する走査角度を取得するステップと、
前記走査角度に応じて、前記信号光の偏光状態が所定の偏光状態となるように、反射鏡を歪ませる力を付与する力付与部を制御するステップと、
を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】眼科システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】眼科装置に含まれる広角光学系の構成を示す概念図である。
【
図4】楕円鏡に応力を付与する応力付与部の構成を示す概念図である。
【
図6】テーブルの作成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】OCTによる撮影処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】OCT画像を表示する表示画面を示す図である。
【
図11】楕円鏡に応力を付与する応力付与部の構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope)を「SLO」と称する。また、以下では、説明の便宜上、光干渉断層計(Optical Coherence Tomography)を「OCT」と称する。
【0009】
[第1の実施形態]
図1を参照して、眼科システム100の構成の一例を説明する。
図1に示すように、眼科システム100は、眼科装置110と、眼軸長測定装置120と、サーバ装置(以下、「サーバ」という)140と、画像表示装置(以下、「ビューワ」という)150と、を備えている。眼科装置110は、眼底画像と断層画像とを取得する。眼軸長測定装置120は、被検者の眼軸長を測定する。サーバ140は、眼科装置110によって複数の被検者の眼底が撮影されることにより得られた複数の眼底画像及び眼軸長を、被検者のIDに対応して記憶する。ビューワ150は、サーバ140により取得した眼底画像や眼底画像を解析して得られたデータを表示する。眼底画像には、SLOで撮影されたSLO眼底画像や、OCTで撮影されたOCT画像(あるいは、断層画像とも称する)などが含まれる。
【0010】
眼科装置110、眼軸長測定装置120、サーバ140、ビューワ150は、ネットワーク130を介して、相互に接続されている。
【0011】
次に、
図2を参照して、眼科装置110の構成を説明する。
図2に示すように、眼科装置110は、撮影装置14および制御装置16を含む。撮影装置14は、被検眼の眼底を撮影する。制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)16A、RAM(Random Access Memory)16B、ROM(Read-Only memory)16C、および入出力(I/O)ポート16Dを備えたコンピュータによって実現される。
眼科装置110は、本開示の技術の眼科装置の一例である。
【0012】
入出力(I/O)ポート16Dには、記憶装置17が接続されている。なお、記憶装置17とは、例えば、不揮発性メモリ(Non-volatile memory(NVM))で構成される。また、入出力(I/O)ポート16Dは、通信インターフェース(I/F)15を介して、ネットワーク130に接続されている。
【0013】
また、制御装置16は、I/Oポート16Dを介してCPU16Aに接続された入力/表示装置16Eを備えている。入力/表示装置16Eは、撮影されて得られた画像を表示したり、撮影の指示を含む各種指示を受け付けたりするグラフィックユーザインターフェースを有する。グラフィックユーザインターフェースの一例としては、タッチパネル・ディスプレイが挙げられる。
【0014】
記憶装置17には、データ処理プログラム17Aが記憶されている。なお、ここでは、記憶装置17にデータ処理プログラム17Aが記憶されている場合について説明しているが、本開示の技術はこれに限定されるものではなく、ROM16Cにデータ処理プログラム17Aが記憶されていてもよい。
データ処理プログラム17Aは、本開示の技術の眼科プログラムの一例である。
【0015】
なお、以下の説明では、眼科装置110が水平面に設置された場合の水平方向を「X方向」、水平面に対する垂直方向を「Y方向」とし、被検眼12の前眼部の瞳孔の中心27と眼球の中心Oとを結ぶ方向を「Z方向」とする。従って、X方向、Y方向、およびZ方向は互いに垂直である。
【0016】
次に、撮影装置14について説明する。撮影装置14は、制御装置16の制御下で作動する。撮影装置14は、SLOユニット18、広角光学系19、およびOCTユニット20を含む。
広角光学系19は、SLOユニット18からの光をX方向(水平方向)に光を偏向するポリゴンミラーなどで構成される第1光学スキャナ22と、OCTユニット10からの光をX方向(水平方向)に光を偏向するガルバノミラーなどによって構成される第2スキャナ24と、ダイクロイックミラー26と、Y方向(垂直方向)に光を偏向するガルバノミラーなどで構成する第3スキャナ29を含む共通光学系28を、含む。ダイクロイックミラー26で、SLO光の光路とOCT光の光路が合成され、SLO光とOCT光は、共通光学系28を介して被検眼12の瞳孔を通して眼底の撮影可能領域12Aに照射される。なお、撮影可能領域12Aは、眼球の中心Oからの内部照射角に換算すると約200度の範囲内である。
【0017】
SLOユニット18は、光源18A、検出素子18B、およびダイクロイックミラー18C等を含んで、被検眼12の眼底を撮影するように構成されている。光源18Aは、R光(赤色光)の光源、G光(緑色光)の光源、B光(青色光)の光源、赤外線(例えば、近赤外光)の光源を備え、R光、G光又は/及びB光を発するモードと、赤外線(例えば、近赤外線)を発するモードとに切り替え可能に構成されている。
【0018】
光源18Aからの光(以下、「SLO光」という。)はダイクロイックミラー18Cを透過し、広角光学系19に向かう。SLO光は、第1光学スキャナ22によりX方向(水平方向)に偏向され、ダイクロイックミラー26を透過し、共通光学系28の第3光学スキャナ29によりY方向(垂直方向)に偏向される。第1光学スキャナ22と第3光学スキャナ29が制御装置16により制御され、眼底の撮影可能領域12Aが走査される。眼底からの反射光は、広角光学系19を介して、ダイクロイックミラー18Cで反射され検出素子18Bで受光される。検出素子18Bから検出信号による眼底の正面画像であるSLO眼底画像(以下、「SLO画像」という)が制御装置16で生成される。
【0019】
OCTユニット20は、フーリエドメインタイプのOCTを一例として説明する。特に、本開示の技術に係る眼科装置110は、波長掃引光源を用いたスウェプトソースタイプのOCT(SS-OCT)のOCTユニット20を有する。
【0020】
OCTユニット20は、光源20A、センサ20B、ファイバカプラ20C、20D、及び、偏光調整部20Fを含む参照光学系20Gを含む。光源20Aは近赤外の波長領域の光を発する波長掃引型の光源である。
【0021】
OCTユニット20の光源20Aからの光(以下、信号光(LS)という。)が、ファイバカプラ20Cで分岐し、一方の信号光は、広角光学系19の第2光学スキャナ24によりX方向(水平方向)に偏向され、ダイクロイックミラー26で反射し、共通光学系28の第3光学スキャナ29によりY方向(垂直方向)に偏向される。第2光学スキャナ22と第3光学スキャナ29が制御装置16により制御され、眼底の撮影可能領域12AにおけるOCT撮影を行う領域が走査される。OCT撮影を行う領域は眼科装置110のユーザなどにより指定される。当該走査には様々な走査のパターンがあり、眼底1点のスキャンであるAスキャン、眼底の断層画像を取得するための線状のBスキャンや、OCTボリュームデータを取得するための面状のCスキャンなどがある。
【0022】
眼底で反射した信号光は、広角光学系19、ファイバカプラ20Cを介してファイバカプラ20Dに入射する。また、他方の信号光、すなわち、光源20A、ファイバカプラ20C、偏光調整部20F、及びセンサ20Bに進む信号光を、参照光(LR)と言う。ファイバカプラ20Cで分岐した他方の参照光は、偏光調整部20Fで偏光状態が調整されて、ファイバカプラ20Dに入射する。ファイバカプラ20Dにて、偏光が調整された参照光と、眼底で反射した信号光が干渉し、当該干渉光がセンサ20Bに入射する。センサ20Bは、干渉光の強度を波長ごとに検出し、検出信号として制御装置16に出力する。
【0023】
そして、制御装置16は、センサ20Bの検出信号に対してフーリエ変換などの処理を施し、OCT画像あるいは断層画像、以下「OCT画像」という)を生成する。
【0024】
ここで、信号光(LS)の光路長は、光源20Aから眼底までと、眼底からセンサ20Bまでとにより定まる。そして、参照光の光路長も、信号光の光路長と同じになるように制御される。
【0025】
なお、信号光の内、眼底から反射してきた信号光ファイバカプラ20Dに入射する反射光を特に戻り光と言う。
OCTユニット20は、本開示の技術の干渉光学系の一例である。また、偏光調整部20Fは、本開示の技術の調整部の一例である。
【0026】
本実施形態では、偏光調整部20Fは、位相差(λ/2)を与える1/2波長板を用い、1/2波長板により、入射された直線偏光を回転させて射出する。
【0027】
以下の説明では、SLO光および信号光は共にX方向およびY方向に2次元的に走査される光であるので、SLO光および信号光を区別して説明する必要がない場合には、SLO光および信号光を総称して「走査光」という。
【0028】
次に、
図3を参照して、眼科装置110に含まれる広角光学系19の構成を説明する。
図3に示すように、共通光学系28は、第3光学スキャナ29の他に、スリットミラー30および楕円鏡32を含む。なお、ダイクロイックミラー26、スリットミラー30、および楕円鏡32が側面視端面図で表されている。なお、共通光学系28は、スリットミラー30および楕円鏡32に代えて、凹面鏡、放物面鏡、自由曲面鏡などのミラーや、複数のレンズ群を用いた構成でもよい。
【0029】
スリットミラー30は、楕円状の第1反射面30Aを有する。第1反射面30Aは、第1焦点P1および第2焦点P2を有する。楕円鏡32も、楕円状の第2反射面32Aを有する。第2反射面32Aは、第1焦点P3および第2焦点P4を有する。
【0030】
スリットミラー30、楕円鏡32、および第3光学スキャナ29は、第1焦点P3および第2焦点P2が第3光学スキャナ29で共通の位置になるように配置されている。また、スリットミラー30、楕円鏡32、および第3光学スキャナ29は、第2焦点P4が被検眼12の瞳孔の中心部に位置するように配置されている。更に、第1光学スキャナ22、第2光学スキャナ24、およびスリットミラー30は、第1焦点P1が第1光学スキャナ22および第2光学スキャナ24に位置するように配置されている。
【0031】
つまり、第1光学スキャナ22、第2光学スキャナ24、および第3光学スキャナ29は、被検眼12の瞳孔の中心部と共役な位置に配置されている。
【0032】
また、楕円鏡32には、応力付与部31によって楕円鏡32を歪ませる応力が付与されるようになっている。応力付与部31は、楕円鏡32で生じる偏光の影響を、応力の付与によって抑制する。
楕円鏡32は、本開示の技術の反射鏡の一例である。また、応力付与部31は、本開示の技術の力付与部の一例である。
【0033】
本実施形態では、
図3に示す広角光学系19により、眼底の視野角(FOV:Field of View)を大きな角度とし、広範囲の眼底領域を観察できる。当該広範囲の眼底領域を、眼科装置110による外部からの走査光についての外部照射角と、走査光が照射される被検眼の内部での照射角としての内部照射角とを区別して説明する。例えば、外部照射角が120度の場合、内部照射角は約160度に相当する。本実施の形態では、内部照射角は200度としている。
【0034】
外部照射角とは、眼科装置110側から、すなわち被検眼12の外部からの光照射角である。つまり、被検眼12の眼底に対して走査光が被検眼12の瞳孔の中心27(すなわち、瞳孔の正対視中央点(
図2も参照))へ向かう角度が外部照射角である。この外部照射角はまた眼底から反射して瞳孔の中心27から被検眼12の外部に射出して眼科装置110へ向かう光の角度に等しい。
【0035】
一方、内部照射角とは、被検眼12の眼球の中心Oを基準位置として、被検眼12の眼底が走査光により照射されることで実質的に撮影可能な光照射角を表している。外部照射角Aと内部照射角Bとは、対応関係にあるが、以下の説明では、眼科装置としての説明であるため、眼底の視野角に対応する照射角として、外部照射角を用いる。
【0036】
眼科装置110は、外部照射角による被検眼12の眼底領域である撮影可能領域12A(
図2も参照)内を撮影する。この撮影可能領域12Aは、例えば、広角光学系19による走査光の走査可能な最大領域である。
【0037】
眼科装置110が被検眼12の撮影可能領域12Aを撮影して得たSLO画像をUWFSLO画像と称する。なお、UWFとは、Ultra-Widefield(超広角)の略称を指す。眼底の視野角(FOV)を超広角な角度とした広角光学系30により、被検眼12の眼底の後極部から赤道部を超える領域を撮影することができ、渦静脈などの眼底周辺部に存在する構造物を撮影できる。
【0038】
次に、
図4を参照して、楕円鏡32に応力を付与する応力付与部31の構成の一例を説明する。
図4に示すように、応力付与部31は、第1アタッチメント31A、第1シリンダ32B、第2シリンダ31C、及び第2アタッチメント31Dを含む。なお、第1アタッチメント31A、第1シリンダ32B、第2シリンダ31C、及び第2アタッチメント31Dは側面視端面図で表されている。第1シリンダ32B及び第2シリンダ31Cは全長が伸縮自在でかつ一体に形成されており、一体に形成された第1シリンダ32B及び第2シリンダ31Cの両端には第1アタッチメント31A、及び第2アタッチメント31Dが取り付けられる。第1シリンダ32B及び第2シリンダ31Cの伸縮量はドライバ31Eにより設定される。第1アタッチメント31Aと、第2アタッチメント31Dとの空間には楕円鏡32が設置され、第1シリンダ32B及び第2シリンダ31Cの伸縮量に応じて楕円鏡32へ応力が付与される。当該応力の大きさは、反射面の角度が変わらない程度に楕円鏡を歪ませる応力の大きさである。このように楕円鏡をわずかに歪ませることにより、スキャナ29の走査には影響を与えずに(信号光の走査には影響をあたえずに)、信号光の偏光状態を変化させることができる。
【0039】
(データ処理プログラム17Aにおける各種機能)
次に、
図5を参照して、眼科装置110の制御装置16のCPU16Aがデータ処理プログラム17Aを実行することで実現される各種機能の一例について説明する。
データ処理プログラム17Aは、設定機能、SLO画像取得機能、OCT画像取得機能(画像取得機能、画像処理機能、画像表示機能)、送信機能を備えている。CPU16Aがこの各機能を有するデータ処理プログラム17Aを実行することで、CPU16Aは、
図5に示すように、設定部202、SLO画像取得部204、OCT画像取得部206(画像取得部210、画像処理部212、画像表示部214)、送信部208として機能する。
【0040】
また、本実施形態では、
図2に示すように、眼科装置110の制御装置16が入力/表示装置16Eを備えているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、眼科装置110の制御装置16は入力/表示装置16Eを備えず、眼科装置110とは物理的に独立した別個の表示装置を備えるようにしてもよい。この場合、当該表示装置は、制御装置16のCPU16Aの制御下で動作する画像処理プロセッサユニットを備え、画像処理プロセッサユニットが、画像表示部214が出力指示した画像信号に基づいて、SLO画像等を表示するようにしてもよい。
【0041】
ここで、OCT撮影処理が実行されるより前には、楕円鏡32で生じる偏光状態の変化を抑制する情報が収集される。この収集される情報について詳細に説明する。収集される情報は、OCT画像を好ましい状態で取得するために、楕円鏡32で生じる偏光状態の変化を抑制するように調整することを示す情報である。
【0042】
OCTでは、被検眼12に照射された信号光の戻り光と参照光との干渉光に基づいて生成されるOCT画像が画像取得部210によって取得される。OCT画像を好ましい状態で取得するためには、信号光の偏光状態が走査中に安定した偏光状態であることが好ましい。
【0043】
ところが、楕円鏡32を経由して信号光を走査する場合、楕円鏡32の反射位置、すなわち走査角度で、偏光状態(例えば、偏光の方向)が異なる場合がある。走査角度によって信号光の偏光状態が異なると、参照光の偏光状態が一定の場合、干渉作用が抑制されて、結果としてOCT画像のコントラストの低下を招く。これによって、OCTにより撮影したOCT画像の画質が劣化する。このため、信号光を走査した走査角度が変化したとしても、信号光と参照光とが干渉する際に、信号光の偏光状態を安定した状態にすることが好ましい。
【0044】
走査角度と、その走査角度における信号光の偏光状態との関係は予め導出することができる。そこで、走査角度と、その走査角度における信号光の偏光状態との関係に基づいて、走査角度各々における信号光の偏光状態の変化を抑制するために、走査角度に対応した応力を応力付与部31を介して楕円鏡32に付与する。走査角度によって適切な応力が動的に付与されることにより、信号光の偏光状態を走査中に共通にする。この走査角度と、楕円鏡32に付与する応力との関係を、テーブルとして予め作成しておき、OCT画像を取得する場合に走査角度に応じて応力付与部31を制御する。結果として、信号光の偏光状態が走査角度に依存せずに一定となる。
【0045】
次に、
図6を参照して、テーブルTBの作成処理の一例を説明する。
眼科装置110の制御装置16のCPU16Aがデータ処理プログラム17Aに含まれるテーブル作成処理プロセスを実行することで、
図6に示すテーブル作成処理が実現される。
【0046】
図6に示すテーブル作成処理は、CPU16Aの作成部200によって行われる。
先ず、ステップS100で、作成部200は、眼科装置110に模型眼の設置を確認する。この場合、医者またはオペレータが入力/表示装置16Eを操作して模型眼の設置の完了を指示することで、確認される。次のステップS102では、走査範囲を設定する。走査範囲とは、眼科装置110においてOCT画像を取得する場合に信号光を走査する範囲、すなわち走査角度の範囲である。次に、ステップS104では、走査角度を初期値に設定する。初期値はステップS102で設定された走査範囲の内を走査する場合における何れかの走査角度が予め定められる。例えば、最大又は最小の走査角度が設定される。
【0047】
次に、ステップS106で、応力付与部31の調整量を初期値に設定する。初期値の一例には、ドライバ31Eにより設定される第1シリンダ32B及び第2シリンダ31Cの伸縮量を示す制御値が挙げられる。すなわち、応力付与部31はドライバ31Eの駆動量に応じた応力を楕円鏡32へ付与する。なお、反射面32Aに付与する応力は、応力により生じる歪で反射面32Aで反射する光の角度変化を生じない程度に定めることが好ましい。次のステップS108では、ステップS104で設定された走査角度で模型眼を走査し、走査して得られた信号光の偏光状態を、ステップS110で、取得して記憶する。具体的には信号光の偏光状態を測定し、記憶する。偏光状態の測定には、例えば偏光カメラ等の偏光測定装置を用いる。偏光測定装置はOCTユニット20のセンサ20Bに設置することが好ましい。なお、本実施形態に係るOCTユニット20のセンサ20Bは、偏光測定機能を有し、偏光測定装置として動作することが可能になっている。偏光測定装置の一例である偏光カメラは、ラインセンサ及び2次元センサの光の入射側に画素毎に方位角が異なる偏光子が取り付けられ、各々所定方位角の偏光状態の光のみ透過することで、入射光の偏光状態として、方位角(偏光の方向)を測定可能である。また、偏光測定装置の他の例として、ポラリメータを用いることも可能である。すなわち、偏光子に光を透過させ、その偏光子を回転することで光の偏光状態を測定する。
【0048】
次のステップS112では、走査して得られた信号光による画像コントラストを取得して記憶する。次に、ステップS114で、応力付与部31で楕円鏡32へ付与可能な調整範囲について模型眼の走査(ステップS108)が終了したか否かを判断する。ステップS114で否定判断の場合は、ステップS116で、応力付与部31を所定調整量だけ駆動させることで、調整量を更新する。具体的には、ドライバ31Eによる伸縮量を示す制御値を所定制御値に増加又は減少させた制御値を調整量として設定することで、更新された調整量になるように応力付与部31により楕円鏡32へ付与される応力が調整される。一方、ステップS114で、肯定判断の場合は、ステップS118で、最適な調整量を導出する。具体的には、
図7に示すように、ステップS112で記憶した複数の画像コントラストのうち、最大の画像コントラストの調整量(
図7では最適値として示す)を、設定された走査角度における応力付与部31の調整量として導出する。そして、ステップS120で、走査角度と、偏光状態と、ステップS118で導出した応力付与部31の調整量と、を対応付けて記憶する。
【0049】
ステップS122では、走査範囲を網羅する走査角度の走査が完了したか否かを判断し、肯定判断した場合は、ステップS126へ処理を移行し、否定判断した場合はステップS124へ処理を移行する。ステップS124では、走査角度を更新して処理をステップS106へ戻す。ステップS126では、ステップS120で対応付けた走査角度、偏光状態、及び応力付与部31の調整量の各々をテーブルTBとして作成し、記憶する。
【0050】
図8にはテーブルTBの一例としてテーブルTBwが示されている。
図8に示すテーブルTBwは、走査位置を定める走査角度θと、走査角度に対応する偏光状態PZと、応力付与部31の調整量Wとが対応づけられている。テーブルTBwは、テーブルTBとして制御装置16の記憶装置17に記憶される。
図8に示すテーブルTBwは、瞳孔の中心及び眼球の中心を通る光軸に沿う方向の走査角度θを基準(0度)にして、10度の走査角度θを増減した場合における信号光の偏光状態PZと応力付与部31で楕円鏡32に付与する応力を示す調整量Wとが対応付けられている。
【0051】
なお、
図8では、±70度の走査角度の範囲をテーブルTBとした一例を示したが、
図8に示す走査角度の範囲に限定されるものではない。例えば、±75度及び±80の走査角度の範囲のように所定範囲を設定してもよく、人物の眼の視野に対応する±100度の走査角度の範囲に設定してもよい。また、走査角度の範囲は、基準(0度)から均等に設定することに限定されず、例えば、プラス側の最大値又は及びマイナス側の最小値の走査角度を異ならせてもよく、また、例えば、±100度の走査角度の範囲の一部の角度範囲を設定してもよい。
【0052】
また、
図8では、10度毎の走査角度θ、信号光の偏光状態PZ及び調整量Wを対応付けたテーブルTBの一例を示したが、テーブルTBは10度毎の走査角度θ、信号光の偏光状態PZ及び調整量Wの対応関係に限定されるものではない。例えば、10度未満でもよく、10度を超えてもよい。
【0053】
なお、作成したテーブルTBは、サーバ140へ送信し、サーバ140から取得してもよい。また、テーブルデータは、装置の設置時等のセットアップ時に導出して記憶してもよく、サーバ140に記憶しておき、取得してもよい。
【0054】
また、規格が統一された模型眼を基準にして、眼科装置110ごとにテーブルTBwを設定する。そのため、楕円鏡製造時における形状のばらつきによって生じる偏光状態の変化の影響を除去することができる。よって、どの眼科装置110を用いても被検眼及び楕円鏡などの光学系における偏光状態のばらつきの影響を除去することができ、安定的なOCT撮影を行うことができる。
【0055】
次に、眼科装置110によるOCT撮影処理を説明する。
眼科装置110の制御装置16のCPU16Aがデータ処理プログラム17Aに含まれるOCT撮影処理プロセスを実行することで、
図9に示すOCT撮影処理が実現される。
【0056】
図9に示すOCT撮影処理では、先ず、ステップS200で、設定部202は、初期設定を行う。具体的には、初期設定とは、例えば、眼科装置110におけるフォーカス、アライメントなどのために光学系を調整したり、眼の動きに追従するアイトラッキングなどの制御を行ったり、被検者の識別情報の入力を受け付けたりする処理を指す。また、ステップS200では、上述のテーブルTBの読み取り処理も行われる。
【0057】
次のステップS202で、SLO画像取得部204は、SLOによる撮影を実行することでSLO画像を取得し、その後、ステップS208へ処理を移行する。ステップS202の処理がSLO画像取得部204によって実行されることで、ライブSLO画像が入力/表示装置16Eに表示される。入力/表示装置16Eには、SLO画像がライブビュー画像として表示される。
【0058】
ステップS206~S224で、OCT画像取得部206は、OCT画像を取得する。詳細には、まず、ステップS206で、画像取得部210は、OCT撮影範囲である走査範囲の指定を受け付ける。具体的には、入力/表示装置16Eにライブビュー画像として表示されたライブSLO画像をオペレータが見て、OCTによる撮影が指示書を示すデータに基づいて行われる箇所を確認する。オペレータは、確認した箇所についてOCTによる撮影が行われるように、眼科装置110を設定する。具体的には、例えば、オペレータは、マウスを操作して、OCT撮影範囲である走査範囲872を指定する。すなわち、ステップS206で、画像取得部210は、走査範囲872の指定を受け付ける。走査範囲872は、B-scanのラインが指定される。なお、OCT撮影範囲は、C-scanの矩形範囲を指定してもよい。
【0059】
そして、ステップS208~S220で、走査範囲872を、OCT撮影する。具体的には、ステップS208で、画像取得部210は、走査角度を初期値に設定する。走査角度の初期値は、例えば、走査範囲内の走査角度の最大値または最小値が設定される。次に、ステップS210で、テーブルTBを参照し、走査角度に対応する応力付与部31の調整量を取得し、ステップS212で、テーブルTBから取得した調整量で応力付与部31を駆動することで、楕円鏡32へ応力を付与する。ステップS214で、応力が楕円鏡32に付与された状態で、被検眼に設定した走査角度で走査される。
【0060】
次のステップS216で、画像取得部210は、走査範囲の走査が終了したか否かを判断する。ステップS216で否定判断の場合はステップS218で走査角度をインクリメントまたはデクリメントしてステップS210へ処理を戻し、上記処理を繰り返す。走査範囲の走査が終了し、ステップS216で肯定判断の場合はステップS220へ処理を移行する。ステップS220で、画像取得部210は、走査範囲の走査によって得られた干渉光の検出信号を画像処理部212へ出力する。
【0061】
ステップS222で、画像処理部212は、干渉光の検出信号に対してフーリエ変換などの信号処理を行い、複数のAスキャンデータからなるOCTデータを生成する。そして、OCTデータに対して加算平均化処理、眼球形状補正処理などの画像処理を行い、断層画像を生成する。断層画像を生成した後、ステップS224へ移行する。
ステップS224では、画像表示部214は、ステップS222の処理が実行されることによって画像処理が施されて得られた断層画像を、入力/表示装置16Eに表示させ、その後、本処理はステップS226へ移行する。
【0062】
図10に、入力/表示装置16Eに表示された断層画像を示す。表示画面800には、断層画像810と、OCTデータが取得された位置に関する位置情報として縮小されたSLO画像820に断層画像の位置情報を示す矢印830が重畳表示されているナビゲーション画像とが含まれている。
【0063】
ステップS226で、送信部208は、ステップS222の処理が実行されることによって画像処理が施されて得られた断層画像を示す画像データを、被検者の識別情報と共にサーバ140へ送信し、その後、本データ処理を終了する。なお、当該画像データと共に、OCTデータをサーバ140へ送付するようにしてもよい。
なお、ステップS212の制御の内容は、本開示の技術の制御部による制御の内容の一例である。
【0064】
一方、サーバ140は、ビューワ150からの要求に基づいて画像データなどをビューワ150に送信する。ビューワ150は、画像データに基づいて被検眼画像であるSLO画像やOCT画像をディスプレイ156に対して表示させる。ユーザは、ディスプレイ156に表示されたSLO画像やOCT画像を見ながら、被検眼12を診断することができる。
【0065】
以上説明したように本開示の技術では、信号光を走査して、信号光が眼底の網膜で反射された戻り光と、信号光から分岐した参照光とを干渉させて、各走査位置の網膜の奥行方向の断層領域を撮影する際に、楕円鏡32で生ずる偏光状態の変化を抑制するように、走査角度に応じて楕円鏡32に応力を付与して調整する。これによって、本開示の技術では、信号光を走査しながら網膜の断層領域が撮影される際に、網膜で反射された戻り光の偏光状態が走査角度によらす一定に維持することができる。よって、網膜で反射された戻り光と参照光により得られる干渉光から走査角度によって異なる偏光の影響を除去することができる。これらのことから、楕円鏡などの凹面鏡を用いて、広角でOCT撮影を行う場合に、走査角度によって異なる偏光の影響を除去し、高解像度な断層画像を取得することができる。
【0066】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態を説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
第1の実施形態では、応力付与部31を構成するシリンダ31B,31Cの伸縮で生じる応力を楕円鏡32に付与することで、楕円鏡32に生じる偏光状態の変化を抑制した。第2の実施形態は、楕円鏡32へ付与する応力の他例として、熱エネルギを付与することで、楕円鏡を歪ませて偏光状態を調整する。
【0067】
次に、
図11を参照して、楕円鏡32に熱エネルギを付与する応力付与部31の構成の一例を説明する。
図11に示すように、応力付与部31は、楕円鏡32の反射面32Aの反対側の外側面32Bに、取り付けられるヒータ等の熱発生素子31Gを複数含む。複数の熱発生素子31Gは、楕円鏡32の外側面32Bに所定間隔又は予め定めた位置に取り付けられる。また、複数の熱発生素子31G各々は、熱ドライバ31Hに接続されている。熱ドライバ31Hは、調整量として設定された電力を熱発生素子31G各々に供給する。ここで、
図11に示すように、楕円鏡32は、反射面32Aが形成された基板32Cを備え、反射面32Aには保護膜32Dが形成されている。楕円鏡32は、基板32Cと、保護膜32Dとの熱伝導率が異なる材料を用いて形成される。楕円鏡32の外側面32Bから熱エネルギを与えることで、熱伝導率の相違から反射面32Aに歪を与えることが可能となる。なお、反射面32Aに付与する熱エネルギは、付与された熱エネルギにより生じる歪で反射面32Aで反射する光の角度変化を生じない程度に定めることが好ましい。複数の熱発生素子31G各々は、熱ドライバ31Hから、調整量として設定された電力の供給により、熱エネルギを楕円鏡32の外側面32Bに与え、調整量である熱エネルギに応じて楕円鏡32へ応力が付与される。
【0068】
なお、複数の熱発生素子31G各々に供給する電力は、走査角度に対応して、複数の熱発生素子31G各々に供給する電力の組み合わせによる複数の調整量を設定してもよく、複数の熱発生素子31Gの少なくとも1つに供給する電力を設定してもよい。
【0069】
以上説明したように本開示の技術では、熱エネルギを付与する応力付与部31によって、楕円鏡32に応力を付与する。応力を付与する、応力付与部31は、熱発生素子31Gを、楕円鏡32の外側面32Bに取り付けるのみの簡単な構成による制御で偏光状態が調整される。
【0070】
[第1の変形例]
上記では、SLO画像(UWFSLO画像)を用いる例を説明したが、眼底カメラによる眼底画像でもよいし、画角が比較的小さい(例えば、内部照射角で100°以下)のSLO眼科装置あるいは眼底カメラなど、さまざまな眼科装置で撮影された眼底画像でも適用できることは言うまでもない。
【0071】
[第2の変形例]
上記では、走査角度に応じて楕円鏡32における偏光状態の変化を抑制するように、楕円鏡32に応力を付与して偏光状態を調整する場合を説明した。本開示の技術は、走査角度に応じて偏光状態を調整することに限定されるのもではなく、例えば、楕円鏡32の反射位置、または被検眼の眼底の走査位置に応じて、楕円鏡32に応力を付与して偏光状態を調整してもよい。
【0072】
[その他の変形例]
上記実施形態では、眼科装置110、眼軸長測定装置120、サーバ140、及びビューワ150を備えた眼科システム100を例として説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、第1の例として、眼軸長測定装置120を省略してもよい。
また、第2の例として、眼科装置110が、サーバ140及びビューワ150の少なくとも一方の機能を更に有してもよい。これにより、眼科装置110が備える機能に対応するサーバ140及びビューワ150の少なくとも一方の装置を省略することができる。
更に、サーバ140を省略し、ビューワ150がサーバ140の機能を実行するようにしてもよい。
【0073】
なお、本開示の技術に係る眼科装置110は、スウェプトソースタイプのOCT(SS-OCT)を用いたOCTユニットで説明したが、なお、スウェプトソースタイプ以外のタイプ、たとえばスペクトラルドメインのOCT(SD-OCT)を用いる眼科装置に適用することも可能である。
また、本開示の技術では、SLO撮影系機能及びOCT撮影系機能を有する眼科装置110について説明したが、眼底カメラ等の眼底撮影装置、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡などと、本開示の技術に係る構成を有するOCTユニットを組み合わせることも可能である。
また、本開示の技術を、制御装置、OCTユニット及び広角光学系とから構精されるスタンドアローン型のOCT装置に適用することも可能である。スタンドアローン型のOCT装置とは、被検眼のOCT画像を取得することに特化した眼科機器である。スタンドアローン型のOCT装置では、OCT撮影位置を決定するにあたり、SLO画像に代えてOCTボリュームデータから生成した正面画像を用いる。
上記実施形態で説明したデータ処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
また、上記実施形態では、コンピュータを利用したソフトウェア構成によりデータ処理が実現される場合を例示したが、本開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、コンピュータを利用したソフトウェア構成に代えて、FPGA又はASIC等のハードウェア構成のみによって、データ処理が実行されるようにしてもよい。データ処理のうちの一部の処理がソフトウェア構成により実行され、残りの処理がハードウェア構成によって実行されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
100 眼科システム
110 眼科装置
120 眼軸長測定装置
140 サーバ装置(サーバ)
150 画像表示装置(ビューワ)
200 作成部
202 設定部
204 SLO画像取得部
206 OCT画像取得部
208 送信部
210 画像取得部
212 画像処理部
214 画像表示部
16A CPU
17A データ処理プログラム